酒税・法令等

酒税法のウイスキー定義と分類を条文から解説|各国比較付き

酒税法第2条・第3条の条文に基づき、ウイスキーが4分類17品目のどこに位置づくかを解説します。モルトとグレーンの定義、麦焼酎との糖化方式の違い、熟成年数の規定がない点、級別制度廃止の経緯まで具体的にわかります。

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酒税法の酒類分類でウイスキーはどこにあるか:4分類17品目と蒸留酒類

酒税法第2条第2項は、酒類を発泡性酒類・醸造酒類・蒸留酒類・混成酒類の4種類に分け、それぞれに品目を割り当てています。品目は全部で17あり、それぞれの定義は第3条の各号にあります。ウイスキーは第3条第15号で定義された、蒸留酒類の一品目です。4分類は税率の骨格にあたり、分類ごとの基本税率をもとに品目ごとの扱いが決まります。

  • 発泡性酒類:ビール、発泡酒(「その他の発泡性酒類」という区分もあるが、独立した品目ではない)
  • 醸造酒類:清酒、果実酒、その他の醸造酒
  • 蒸留酒類:連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、スピリッツ
  • 混成酒類:合成清酒、みりん、甘味果実酒、リキュール、粉末酒、雑酒

蒸留酒類6品目を分ける軸

品目原料・糖化の要件蒸留の条件アルコール分
連続式蒸留焼酎発芽させた穀類を使ったもの、白樺の炭などでろ過したものは除外連続式蒸留機36度未満
単式蒸留焼酎発芽させた穀類を使ったものは除外連続式以外の蒸留機45度以下
ウイスキー発芽させた穀類(麦芽)で糖化留出時95度未満定義上の上限なし
ブランデー果実、または果実酒を発酵・蒸留留出時95度未満定義上の上限なし
原料用アルコールアルコール含有物を蒸留規定なし45度超
スピリッツ上記のどの品目にも当たらないもの規定なしエキス分2度未満

ウイスキーの定義は、イ・ロ・ハの3つに分かれています。

  • イ:発芽させた穀類と水だけを原料に、糖化・発酵・蒸留したもの。モルトウイスキーがここに入ります。
  • ロ:発芽させた穀類と水で、ほかの穀類を糖化したもの。トウモロコシなどを麦芽の酵素で糖化するグレーンウイスキーが該当します。
  • ハ:イ・ロにアルコール、スピリッツ、香味料、色素、水を加えたもの。イ・ロの原酒のアルコール分が、総量の10%以上であることが条件です。

熟成年数や樽の使用は要件に入っていません。スコッチウイスキー規則(SWR 2009)はオーク樽で3年以上の熟成を求めます。これに対し酒税法は、原料・糖化・留出時の度数だけで品目を分けています。

麦焼酎とモルトウイスキーを分けるのは糖化の仕組み

焼酎の定義(第3条第9号・第10号)は、除外するものとして「発芽させた穀類を原料の全部又は一部としたもの」を挙げています。

両者は、デンプンを糖に変える酵素の出どころが違います。

  • 麦焼酎:麦麹や米麹に含まれる、麹菌がつくる酵素で糖化する。
  • モルトウイスキー:麦が発芽するときに自ら生み出すアミラーゼ(デンプンを分解する酵素)で糖化する。

原料が同じ麦でも、この違いで品目が分かれます。麦芽を一部でも使えば焼酎の品目から外れます。逆に、麹だけで糖化したものは、ウイスキーに必要な「発芽させた穀類」の要件を満たしません。

そのため、麦焼酎をシェリー樽やバーボン樽で何年寝かせても、ウイスキーにはなりません。樽熟成の麦焼酎について外国人客に尋ねられたら、「麹で糖化しているのでウイスキーではない」と、糖化の違いで答えるのが正確です。

一方、国税庁の解釈通達は、焼酎の着色度に基準を設けています。樽由来の色がこの基準を超えると、焼酎の品目に収まりません。長期貯蔵の麦焼酎は、ろ過で色を抑えて出荷するか、スピリッツなどの品目で出荷するかのどちらかになります。

級別の廃止と2006年の再編

1989年(平成元年)に、ウイスキーの級別制度(特級・一級・二級)が廃止されました。級別は原酒の混和率などで区分され、税率も級ごとに違っていました。

2006年(平成18年)の改正では、それまでの10種類とその下位区分が、現在の4分類17品目に組み替えられました。あわせて、焼酎甲類・乙類は連続式蒸留焼酎・単式蒸留焼酎に改められています。

現行法に残っているのは品目だけで、等級はありません。オールドボトルの「特級」表示は級別時代の税法上の区分です。いまの品質の格付けとして説明してはいけません。

一次情報の確かめ方

  1. 国税庁の「酒税法における酒類の分類及び定義」(PDF)で、4分類・17品目と、品目ごとのアルコール分の要件を一覧で確認する
  2. 品目の境目は、e-Gov法令検索で酒税法第3条の該当する号(ウイスキーは第15号、焼酎は第9号・第10号)を開き、括弧書きの除外規定まで読む
  3. 着色度などの運用基準は、国税庁の「酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達」で確認する
  4. 仕入れ時はボトルの品目表示を見る。海外でwhiskyを名乗る製品でも、日本の定義に合わなければリキュールやスピリッツとして表示される

第3条第15号を読み解く:イ・ロ・ハと『95度未満』『10%以上』が製品に与える影響

ウイスキーのイメージ写真

イ・ロ・ハの原文と、実際の製品との対応

  • イ 発芽させた穀類及び水を原料として糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のものに限る。)
  • ロ 発芽させた穀類及び水によつて穀類を糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のものに限る。)
  • ハ イ又はロに掲げる酒類にアルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えたもの(イ又はロに掲げる酒類のアルコール分の総量がアルコール、スピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分の総量の百分の十以上のものに限る。)
区分原料・方式実務上の製品
イ発芽させた穀類と水だけを使うモルトウイスキー。大麦麦芽のほか、麦芽化したライ麦なども含む
ロ麦芽の酵素で、発芽させていない穀類も糖化するグレーンウイスキー。トウモロコシを主体にしたバーボンもここに入る
ハイ・ロにアルコール、スピリッツ、香味料、色素、水を加える原酒以外のアルコールを含む普及価格帯の製品が典型

「発芽させた穀類」が要件になっている理由

大麦は浸麦(水に浸けること)をして発芽させると、α-アミラーゼなどのでんぷん分解酵素が生成・活性化します。キルン(乾燥工程)は、この酵素を残す温度で行います。ピートを焚いたときにフェノール類が麦芽に付くのも、この乾燥工程です。大麦麦芽は自分のでんぷんを分解してもまだ酵素が余るほど糖化力が強いため、蒸煮して糊化させたトウモロコシや小麦もあわせて糖化できます。これを条文にしたのがロです。SWR(スコッチウイスキー規則2009)は、糖化を麦芽自身の酵素だけで行うよう明記しています。日本の条文も、糖化を担うものを「発芽させた穀類及び水」と書いています。

「留出時95度未満」が香味に与える影響

蒸溜液のアルコール分を高く取るほど、還流(蒸気が冷えて液に戻り、再び蒸溜されること)の回数が増えます。そのぶん、果実香の元になるエステルや、厚みを与える高級アルコールなどのコンジナー(香味成分)が分離され、液は中性に近づきます。ポットスチルで2回蒸溜するモルトのミドルカット(本溜の中央部分)は70度前後です。一方、多段の連続式蒸溜機で造るグレーンは90度台前半で取るのが一般的で、軽い酒質になるのはこのためです。SWRの上限94.8%と日本の95度未満はほぼ同じ線です。EUでは、農産物由来の中性エチルアルコールは96%以上と定められています。ウイスキーの上限は、この中性スピリッツの手前に引かれた線といえます。この基準は瓶詰め時の度数ではなく、蒸溜の時点で判定します。

「10%以上」はアルコール分の総量で計算する

ハの基準は液量の比率ではありません。添加後の酒類に含まれる純アルコール量のうち、イ・ロ由来の純アルコールが占める割合で判定します。液量は、混ぜたときの体積の収縮を無視した概算です。

ケース原酒加えるものアルコール分での比率液量での比率
同じ度数どうし40度 100ml(純アルコール40ml)40度のスピリッツ 900ml(360ml)40÷400=10%10%
原酒の度数が高い60度 100ml(60ml)40度のスピリッツ 900ml(360ml)60÷420≒14.3%10%
加える側の度数が高い40度 100ml(40ml)60度の原料アルコール 600ml(360ml)40÷400=10%100÷700≒14.3%

水はアルコールの総量を変えません。そのため、瓶詰め度数まで加水すると液量に占める原酒の割合はさらに下がりますが、判定は変わりません。「原酒1割でもウイスキー」の正確な意味は、アルコール分の1割が原酒であればよいということです。品目表示を見ても原酒の比率は分かりません。店頭では原材料欄を確認し、「スピリッツ」「ブレンド用アルコール」の記載があれば、ハの方式で原酒以外のアルコールが加わっていると判断できます。スコッチでは、加えてよいのは水とカラメル色素だけです。外国人のお客様への説明では、この違いを伝えると誤解を防げます。

熟成年数と樽の要件がないこと

第15号には熟成年数も樽の要件もありません。そのため、樽で貯蔵していない無色のニューメイクでも、イ・ロの要件を満たせば品目「ウイスキー」に当てはまり得ます。スコッチは、700L以下のオーク樽でスコットランド国内で3年以上熟成させなければウイスキーと名乗れません。日本洋酒酒造組合の自主基準も、「ジャパニーズウイスキー」の表示には木製樽での3年以上の貯蔵などを求めています。ただし、これは法律ではなく業界の基準です。品目表示が「ウイスキー」でも、熟成を経ているとは限りません。

香味料の範囲と、品目が変わる境界

ハで加えてよい「香味料」の種類と、加えた後のエキス分などの範囲は、政令(酒税法施行令)で定められています。その範囲内であれば品目はウイスキーのままです。糖類などを加えてエキス分が範囲を超えると、リキュールなど別の品目に当たる可能性があります。蜂蜜やスパイスで風味を付けた「ウイスキーベース」の製品は、名前ではなくラベルの品目欄で判断します。具体的な上限値は、施行令と国税庁の法令解釈通達で確認してください。

海外の法定義と並べて見る:スコッチ・アイリッシュ・バーボン・カナディアンとの違い

同じ「ウイスキー」でも、国ごとの法定義は目的が違います。日本の第3条第15号は、どの税率で課税するかを決めるための線引きです。スコッチやバーボンの規則は、その名前を名乗るための製法と産地の条件を定めています。主な項目を並べると、次のようになります。

項目日本(酒税法)スコッチアイリッシュバーボンカナディアン
蒸溜度数の上限95%未満94.8%未満94.8%未満80%以下—
熟成規定なし3年以上・スコットランド国内3年以上・アイルランド島内ストレート表示は2年以上3年以上
容器規定なし700L以下のオーク樽木樽内側を焦がした新品オーク容器(62.5%以下で詰める)700L以下の木樽
瓶詰め度数品目定義に下限なし40%以上—40%以上40%以上
他の酒類原酒10%以上なら可不可——9.09%まで可

スコッチ:SWR 2009は工程と場所を縛る

スコッチウイスキー規則(SWR 2009)では、糖化・発酵・蒸溜をスコットランドの蒸溜所で行います。蒸溜は94.8%未満です。熟成は容量700L以下のオーク樽を使い、スコットランド国内で3年以上行います。瓶詰めは40%以上です。加えてよいのは水とプレーンカラメル(E150a)だけで、香味料や他の酒類は入れられません。カラメルが認められているため、液色の濃さだけで樽の種類や熟成の長さは判断できません。

  • シングルモルト:単一の蒸溜所で、大麦麦芽100%を原料に、ポットスチル(単式蒸溜器)で蒸溜したもの
  • シングルグレーン:単一の蒸溜所で造ったもの。麦芽以外の穀物を使ってよく、連続式蒸溜機も使える
  • ブレンデッドモルト:複数の蒸溜所のシングルモルトを混ぜたもの
  • ブレンデッドグレーン:複数の蒸溜所のシングルグレーンを混ぜたもの
  • ブレンデッド:モルトとグレーンを混ぜたもの

グレンフィディック 12年もカリラ 12年も、Single Malt Scotch Whisky という表示が上の条件を法的に保証します。一方で、カリラのスモーキーさは規則とは関係ありません。この香りは、麦芽を乾かすときに焚いたピートの煙からフェノール類が麦芽に移ることで生まれます。同じカテゴリーの中でも、香味の幅は各蒸溜所の製法の選び方で決まります。

アイリッシュ:Irish Whiskey Act 1980

94.8%未満で蒸溜し、アイルランド島内(北アイルランドを含む)の木樽で3年以上熟成します。カネマラ シングルモルトはピートを焚いた麦芽を使うアイリッシュです。「アイリッシュはノンピートで3回蒸溜」という印象は慣習にすぎず、法の要件ではありません。

バーボン:新樽と度数の上限が味を決める

米国連邦規則の要件は次のとおりです。原料の51%以上がトウモロコシで、蒸溜は80%以下で行います。内側を焦がした新品のオーク容器に、62.5%以下で詰めます。瓶詰めは40%以上です。ストレートバーボンを名乗るには2年以上の熟成が必要で、4年未満なら熟成年数を表示しなければなりません。新樽しか使えないため、使い終わったバーボン樽はスコッチなどの熟成に回ります。

法律で定めた品質表示の例にボトルド・イン・ボンドがあります。単一の蒸溜所で、単一の蒸溜シーズンに造り、4年以上熟成させて50%で瓶詰めしたものです。エヴァンウィリアムズ ボトルド・イン・ボンドは、ラベルに年数がなくても4年以上の熟成を満たしていると言えます。

カナディアン:上限を定める「9.09%」

容量700L以下の木樽で3年以上熟成し、40%以上で瓶詰めします。他の酒類は9.09%まで加えることが認められています。日本は原酒の割合に「10%以上」という下限を置き、カナダは加える酒の割合に上限を置いています。規制の向きが逆です。カナディアンクラブを含め、この枠を使っているかどうかはラベルからは読み取れません。

結論:日本の定義が「緩い」理由

酒税法は品目を分けて課税するための定義であり、品質や産地を保証する規格ではありません。熟成年数や樽、原酒の産地を定めていないのはこのためです。ラベルを確認するときは、次の基準で判断します。

  • スコッチ・アイリッシュ・バーボンの表示は、それぞれの国の最低条件を満たしていることを意味する
  • 国産の「ウイスキー」表示だけでは、原酒の産地も熟成の有無も分からない。原材料欄にモルト・グレーン以外のもの(ブレンド用アルコール、スピリッツ)があるかを確認する
  • 日本洋酒酒造組合の自主基準に沿った「ジャパニーズウイスキー」の表示があるかを確認する。これは法律ではなく業界の基準である
  • 外国人客には「日本の法定義は課税区分であり、産地を示す表示ではない」と伝えると誤解が生じにくい

ジャパニーズウイスキー表示基準と酒税法の関係:ラベルで中身を判断する手順

ウイスキーのイメージ写真

表示基準の要件:原料から瓶詰までを日本国内に限る

日本洋酒酒造組合の『ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準』は2021年4月に施行されました。既存品には2024年3月末まで経過措置があったため、現在の棚で基準を満たさずに「ジャパニーズ」を名乗る組合員の商品は、原則として見られなくなっています。要件は次のとおりです。

  • 原料:麦芽を必ず使い、ほかは穀類と日本国内で採水した水に限る
  • 製造:糖化・発酵・蒸溜を日本国内の蒸留所で行い、留出時のアルコール分は95%未満
  • 貯蔵:容量700L以下の木樽に詰め、日本国内で3年以上
  • 瓶詰:日本国内で容器に詰め、充填時のアルコール分は40%以上
  • 色調の微調整のためのカラメル使用は認める

「95%未満」は、原料の香味成分をほとんど残さないニュートラルスピリッツを外すための線です。「700L以下」は、容量500L前後のシェリーバットやパンチョンは使える一方で、大型の貯蔵タンクでの「熟成」は認めないという意味になります。この基準は業界の自主基準であり、法律ではありません。組合に加盟していない事業者は、この基準に拘束されません。法制化や地理的表示(GI)の指定については議論が続いています。仕入れや販促物を作る時点で、国税庁の地理的表示の指定一覧と組合の公表資料を見て、現状を確かめておく必要があります。

酒税法の「ウイスキー」との違い

項目酒税法上のウイスキー自主基準のジャパニーズウイスキー
原酒の産地問わない(輸入原酒も可)日本国内で蒸溜したものに限る
熟成年数最低年数の定めなし日本国内で3年以上
ブレンド用アルコール一定の範囲で混和できる不可(留出時95%未満の原酒のみ)
瓶詰の場所問わない日本国内
拘束力法律(課税区分)組合の自主基準

輸入したバルク原酒を国内でブレンドし、瓶詰した商品を例にとります。この商品は、酒税法上は正規の「ウイスキー」です。ラベルの製造者欄にも国内の住所が載ります。それでも自主基準上は「ジャパニーズウイスキー」と表示できません。国産原酒だけを使っていても、熟成が3年未満の若い原酒を含めば、同じく対象外です。

ラベルで中身を判断する手順

  1. 品目表示:「ウイスキー」とあれば、酒税法上の区分が分かる。ただし産地は分からない
  2. 原材料名:「モルト、グレーン」だけの表示なら原酒のみ。「ブレンド用アルコール」があれば、自主基準の要件からは外れる。原酒の産地はこの欄から読み取れないことが多い
  3. 製造者の所在地:国内の住所は、国内で瓶詰したことを示すだけで、国内で蒸溜したことの証明にはならない
  4. 「ジャパニーズウイスキー」の表記:組合員の商品であれば、表記があることが要件を満たしている目安になる
  5. 「ワールドブレンデッド」などの表記:国外の原酒を含むことを、メーカーが自ら示している

「ワールドブレンデッド」の読み方

イチローズモルト ワールドブレンデッド リミテッドエディションは、秩父の原酒に国外で蒸溜された原酒を合わせたことを、商品名で明示しています。日本の蒸留所の銘柄ですが、「ジャパニーズウイスキー」ではなく「日本でブレンドされた、複数の産地のウイスキー」と読むのが正確です。イチローズモルト モルト&グレーン クラシカルエディションのように、同じブランドでもエディションによって構成と表記が違うことがあります。判断はブランド名ではなく、ボトルごとのラベルで行います。一方、キリン 富士 シングルモルトは、御殿場蒸溜所の単一蒸留所モルトで、ラベルに「ジャパニーズウイスキー」と記されています。自主基準に沿った典型例です。

外国人客・海外への贈答での説明

「Japanese whisky」と紹介してよいのは、ラベルに「ジャパニーズウイスキー」の表記がある商品だけ、と店の中で決めておくと誤りを防げます。表記がない商品は、次のように言い分けます。

  • 表記あり:Japanese whisky – distilled, matured and bottled in Japan
  • 国内蒸溜だが基準外(若い原酒など):distilled in Japan, but not labelled as Japanese whisky
  • 国外原酒を含む:blended and bottled in Japan, using whiskies from several countries(a world blend)
  • 不明な場合:ボトラーやメーカーの商品案内で原酒の産地を確認してから説明する

海外への贈答で「本物か」と聞かれたときは、ラベルの「ジャパニーズウイスキー」の表記を指し示し、組合の自主基準があることをあわせて伝えます。こうすると根拠のある説明になります。

分類によって何が変わるか:ウイスキーの酒税額の計算と、品目の境界で迷いやすい例

税率の仕組みと1本あたりの酒税額

国税庁の税率表では、ウイスキーの酒税はアルコール分37度未満で1klあたり37万円です。37度以上は、37度を超える1度ごとに1万円が加算されます。つまり37度以上では**1klあたり「度数×1万円」**となり、純アルコール1mlにつき1円の計算です。40度・700mlのボトルは純アルコールが280mlなので、酒税は約280円です。酒税は小売価格に含まれ、消費税はその酒税込みの価格にかかります。税率は改正されることがあるため、値付けの前に最新の税率表を確認してください。

度数・容量1klあたり税率1本の酒税該当する例
37度・700ml37万円約259円国産の普及価格帯に多い度数
40度・700ml40万円約280円SWRが定める最低度数
43度・700ml43万円約301円-
46度・700ml46万円約322円アードベッグ 10年
50度・500ml50万円約250円キリン 陸
60度・700ml60万円約420円グレンファークラス 105

37度未満にしても税率は下がりません。そのため37度は、下限の税率のまま瓶詰めできる最も高い度数です。40度と46度の酒税の差は1本あたり約42円にとどまります。カスクストレングス(加水せず樽出しの度数で瓶詰めしたもの)が高価になる主な理由は、酒税ではありません。加水しないぶん1本に使う原酒が多いことが効いています。60度の瓶に入る原酒の量は、40度の瓶の1.5倍です。バーのシングル30mlにかかる酒税は、40度で約12円、60度で約18円です。グレンファークラス 105を40度のシングルと同じ純アルコール量で出すなら20mlになります。量だけでなく度数も値付けの基準に入れる根拠になります。

品目の境界で迷いやすい例

  • フレーバード商品:糖類などを加えてエキス分(溶け込んだ不揮発成分の量)が2度以上になると、リキュールの定義に当たります。リキュールは「酒類と糖類その他の物品を原料とし、エキス分2度以上」のものです。海外のラベルにwhiskyとあっても、日本の品目表示ではリキュールになる例があります。
  • ウイスキー同士の混和:モルトとグレーンを混ぜたブレンデッドも、品目はウイスキーのままです。
  • スピリッツやアルコールを加えたもの:第3条第15号ハの規定により、原酒がアルコール分の10%以上あればウイスキーです。10%を下回るとウイスキーから外れます。つまりスピリッツを混ぜること自体は、酒税法上は適法です。
  • ハイボール缶:割り材や香味・糖類の有無によって、品目は缶ごとに異なります。「ハイボール」は品目名ではありません。アルコール分10度未満で発泡性があれば、税率は「その他の発泡性酒類」の区分で決まり、瓶のウイスキーの税率は適用されません。

店頭・バーでの表記と説明

  • 仕入れと陳列の判断は、日本語の品目表示で行います。輸入品は輸入者ラベルで確認し、表ラベルの英語では判断しません。
  • 品目がリキュールの商品は、メニューのウイスキー一覧から外し、「ウイスキーベースのリキュール」として別枠にします。外国人客にはwhisky liqueurやflavoredと伝えます。甘さを前提にした商品なので、ストレートの比較対象にはなりません。
  • 贈答の相談では、品目がウイスキーであっても、「ジャパニーズウイスキー」表示の有無を別に確認します。

よくある疑問

  • 日本のウイスキーにスピリッツが入ってもよいか:酒税法上は、原酒が10%以上あれば可能です。ただしジャパニーズウイスキー表示基準では認められず、その表示は使えません。
  • 熟成しなくてもウイスキーか:酒税法に熟成の要件はありません。表示基準は木製樽による国内での3年以上の貯蔵を求め、SWRはスコットランドでのオーク樽による3年以上の熟成を求めています。
  • ニューポット(蒸留直後の未熟成原酒)の品目は:原料と蒸留の条件を満たせば、酒税法上はウイスキーになりえます。スコットランドでは、同じものをウイスキーとは呼べません。
  • 表示基準に罰則はあるか:業界団体の自主基準であり、法律ではないため罰則はありません。ただし、誤認を招く表示は景品表示法上の問題になりえます。
  • スコッチを日本で瓶詰めした製品は:酒税法上はウイスキーです。SWRはシングルモルトについてスコットランド国内での瓶詰めを義務づけているため、日本で瓶詰めされるのはブレンデッドが中心になります。日本で瓶詰めしても、ジャパニーズウイスキーにはなりません。

よくある質問

ウイスキーのイメージ写真

酒税法上でウイスキーはどのように定義されていますか?

酒税法では、発芽させた穀類と水を原料に糖化・発酵させたもろみを蒸留した酒類で、樽で貯蔵したもの(一定の add物を加えたものを含む)をウイスキーと定義しています。原料や製法の要件を満たさない場合は別区分の酒類として扱われます。

日本の酒税法上のウイスキーの分類には何がありますか?

酒税法上のウイスキーは大きな酒類区分の一つで、スコッチのようなモルト・グレーン別の細分化はありません。国内表示ルールはウイスキー業界の自主基準で定められており、酒税法上の分類とは別物です。

スコッチと日本の酒税法上のウイスキーの定義はどう違いますか?

スコッチウイスキーは英国法で熟成年数や産地、原料まで厳格に規定されていますが、日本の酒税法は熟成期間や原料比率の細かい規定がなく、比較的緩やかです。そのため国産ウイスキーの定義は業界自主基準で補完されています。

酒税法上ウイスキーとして認められないとどうなりますか?

原料や製法が酒税法の要件を満たさない場合、ウイスキーではなくスピリッツやリキュールなど別の酒類区分に分類されます。区分によって酒税率が異なるため、表示や課税の扱いにも違いが生じます。

この記事で紹介した銘柄

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