ウイスキーの種類・銘柄

グレンが付くウイスキーの種類|意味とグレングラントの味

グレン(Glen)はゲール語で「谷」という意味。グレンの付く銘柄が多い理由、産地や系列とは無関係なこと、グレーンとの違い、表記揺れで見落とさない探し方を解説し、グレングラントの味の特徴も紹介します。

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ウイスキーの「グレン」とは?名前の意味と、グレンの付く銘柄が多い理由

グレン(Glen)は、スコットランド・ゲール語で「谷」を意味します。蒸溜所は水を得やすい谷に建てられ、その谷の名を名乗ったため、グレンの付く銘柄が多くなりました。つまり「グレン」は地名に由来する言葉にすぎず、産地の区分でも、同じ会社の系列名でもありません。名前の頭がそろっていても、つくり手どうしに関係はなく、輸入元も別です(詳しくは一覧の章)。

Glenはゲール語で「谷」

Glenは、スコットランド・ゲール語(アイルランド語も同じ)の gleann が英語に入った語で、山あいの細長い谷を指します。蒸溜には仕込み水と冷却水が大量に要るため、蒸溜所は川や湧き水のある谷に建てられてきました。その谷や川の名を、そのまま蒸溜所名にした例が多くあります。スペイ川の支流が刻む谷に蒸溜所が集まるスペイサイドで、とくにグレンの付く名前が目立つのはこのためです。

ただし、後ろに続く語がいつも川の名とは限りません。グレングラントの「グラント」は、創業者であるグラント兄弟の姓です。グレンスコシアの「スコシア」は、スコットランドを指すラテン語名です。由来は銘柄ごとに確かめる必要があります。

銘柄産地区分「グレン」の後ろの語
グレンフィディックスペイサイドフィディック川
ザ・グレンリベットスペイサイドリベット川
グレングラントスペイサイド創業者の姓(グラント)
グレンモーレンジィハイランド—
グレンキンチーローランドキンチー川(小川)
グレンスコシアキャンベルタウンスコットランドのラテン語名

「グレン=スペイサイド」ではない

上の表のとおり、グレンモーレンジィはハイランド、グレンキンチーはローランド、グレンスコシアはキャンベルタウンの蒸溜所です。英国のスコッチ・ウイスキー規則(The Scotch Whisky Regulations 2009)は、ハイランドやスペイサイドなどの産地名を表示のルールとして保護しています。一方で「Glen」という語には、法的な意味が何もありません。また、産地表示は所在地を示すもので、香味の傾向は決めません。香味を見当づけるには、スチルの形・樽の構成・度数・ナチュラルカラーなどの表示を見てください(詳しくは「味が違う理由」の章)。

あわせて注意したいのが、カタカナの「グレーン」との混同です。グレーンウイスキーは、トウモロコシや小麦などを主原料にした穀物(grain)のウイスキーを指します。谷を意味するグレン(Glen)とは、まったく別の言葉です。

表記の揺れで見落とさない

日本語の表記は、輸入元や販売店によって揺れがあります。通販サイトや価格比較サイトでは、次の点に気をつけて探すと見落としを減らせます。

  • 中黒の有無:「グレングラント」と「グレン・グラント」の両方で検索してください
  • 定冠詞:「ザ・グレンリベット」は「グレンリベット」だけでも検索してください
  • 語尾の違い:「グレンモーレンジィ」と「グレンモーレンジ」の両方で検索してください
  • 英字で探す:Glen Grant、Glen Scotia のように2語に分かれる銘柄と、Glenfiddich、Glenlivet のように1語でつづる銘柄があります。スペースの有無も変えて試してください

外国人の知人に贈るときの一言

英語で贈り物を説明するなら、たとえば次の一言で十分です。

  • "Glen means 'valley' in Gaelic. This one is named after the valley of the River Fiddich."(グレンフィディックの場合)

話の糸口になるうえ、相手がスコットランドに関心を持っていれば会話も続きます。ただしグレングラントを「グラント谷」と説明するのは誤りなので、「創業者の名前が付いている」と伝えてください。

グレンが付く主なウイスキーの種類一覧|産地・日本の輸入元・定番の入門ボトル(2026年時点)

ウイスキーのイメージ写真

グレンの付く銘柄を選ぶときは、名前ではなく次の4点で見分けます。産地区分、日本の輸入元、いま店頭にある入門ボトル、香味の軸(シェリー樽主体か、軽快な果実味か)です。下の表は2026年10月時点の情報で整理しました。

銘柄産地区分日本の輸入元現行の入門ボトル度数希望小売価格(税区分・時点)味の方向性
グレングラントスペイサイドCAMPARI JAPANアルボラリス40%1,980円前後(2026年11月3日時点)(税抜、2025年9月1日出荷分から)ピュリファイア付きの細身のスチルによる、青リンゴ・洋梨系の軽快な果実味
グレンファークラススペイサイドミリオン商事8年(700ml)40%(参考小売価格・税別、2026年春から)直火焚きの蒸溜と、オロロソシェリー樽主体の熟成による、ドライフルーツ感とコク
グレンフィディックスペイサイドブラウンフォーマンジャパン12年40%—ダグラスファー製の木桶で発酵。洋梨を思わせる果実味、軽やか
グレンモーレンジィハイランドMHD モエ ヘネシー ディアジオオリジナル(10年)40%—背の高いスチルとバーボン樽での熟成による、花や柑橘を思わせる繊細な香り
グレンキンチーローランドMHD モエ ヘネシー ディアジオ12年43%—大型のウォッシュスチルとワームタブ(水槽に沈めた蛇管で蒸気を冷やす伝統的な冷却器)。草や花を思わせる軽やかさ
ザ・グレンリベットスペイサイドペルノ・リカール・ジャパン12年 ダブルオーク40%—アメリカンオーク樽とヨーロピアンオーク樽で熟成。華やかな果実と花の香り

古い情報のまま選ばないための3点

  • グレンファークラス 10年は国内終売:輸入元ミリオン商事の案内によると、2026年春から8年(700ml・40%)が定番になりました。10年(700ml/200ml)は定番から外れ、在庫がなくなりしだい国内での販売を終えます。新しいコアレンジは8年・12年・15年・17年・25年・グレンファークラス 105(カスクストレングス=加水せず樽出しの度数で瓶詰め)の6品です。10年は流通在庫が尽きれば手に入らなくなります。代わりに選ぶなら入門は8年、シェリー樽の厚みの基準として味を覚えるなら12年です。
  • グレンフィディックの輸入元はブラウンフォーマンジャパン:2025年1月1日から、ウィリアム・グラント&サンズの製品の日本総代理店になりました。対象はグレンフィディック、ザ・バルヴェニーなどです。「サントリー扱い」と書かれた情報は、それより前のものです。グレンフィディック 12年は、この切り替えの時期に価格も改定されているため、それ以前の価格情報は参考になりません。
  • グレングラントの12年は度数が変わった:12年の度数変更は、グレングラントの章の「2026年の変更点」を参照してください。

同じ「グレン」でも香味が分かれる理由

同じスペイサイドでも、グレングラントは蒸気の重い成分を釜へ戻す装置で軽く澄んだ原酒を、グレンファークラスは直火焚きとシェリー樽で厚みのある原酒をつくります。仕組みは次の章で説明します。

条件別の選び方

  • 予算を抑えて、まず1本試したい:グレングラント アルボラリスです。軽い香味なので、ハイボールにしても果実の香りが残ります。
  • 贈り物で、産地の違いを話題にしたい:ハイランドのグレンゴイン 12年、ローランドのグレンキンチー 12年、キャンベルタウンのグレンスコシア 15年から選びます。「同じグレンでも産地が違う」という説明が、そのまま贈る理由になります。グレンゴインは、ピートを焚かずに乾燥させた麦芽と、ゆっくりした蒸溜で知られています。
  • バーで違いを体験したい:グレンマレイ エルギン クラシックとグレンスコシア ダブルカスクを、少量ずつ注文します。軽快なスペイサイドと、潮気のあるキャンベルタウンの対比がわかりやすい組み合わせです。

シェリー樽の濃さなど、好みから選ぶ場合は最終章の早見表を参照してください。

定価と店頭価格を比べるときは、税込か税別かをそろえてから比べてください。そろえないと、約1割の差を割高・割安と見誤ります。

同じ「グレン」でも味が違う理由|スチルの形・樽・熟成庫から読み解く

グレンの付く銘柄どうしの味の差は、法律が「自由」にしている部分から生まれます。SWR 2009(スコッチ・ウイスキー規則)は、シングルモルト・スコッチを「1つの蒸溜所で、水と大麦麦芽だけを原料に、ポットスチルでバッチ蒸溜したもの」と定めています。スコッチ全体には、熟成3年以上・度数40%以上という条件もあります。一方で、スチルの形、加熱の方法、樽の種類と履歴、熟成庫のつくりは、蒸溜所ごとに選べます。違いを読み解く手がかりも、この4つにあります。

蒸溜所が選べる部分は、ほかにもあります。麦芽の乾燥にピートを焚くかどうかと、その強さ(フェノール値。ppmで表します)です。ここで取り上げた銘柄の多くはノンピート麦芽が中心で、煙の香りは味の軸になっていません。次に発酵時間です。果実の香りのもとになるエステルは主に発酵で生まれ、発酵時間が長いほど増えて果実香が強まる傾向があります。さらに、ミドルカット(再溜で製品として取り分ける中間部分)の幅も重さを左右します。後半を早めに切り上げると重い成分が混ざりにくくなり、遅くまで取るほど油性の重い成分が増えます。

スチルの形:グレングラントとグレンモーレンジィは別の方法で「軽さ」を狙う

グレングラントは、細身のポットスチルに水冷式のピュリファイアを組み合わせています。ピュリファイアは、ラインアーム(スチル上部から冷却器へ蒸気を送る管)の途中で蒸気を冷やし、重い成分を液体に戻してスチルへ送り返す装置です。この還流(いったん液体に戻った成分がスチル内で再び蒸溜されること)が増えると、沸点の高い油性の成分は上まで届かずに釜へ戻ります。さらに、蒸気が銅に触れる回数が増え、銅が硫黄系の成分を取り除きます。こうして、重さや硫黄臭の少ない、果実味の澄んだスピリッツになります。ただし、果実系のエステルをつくるのは主に発酵で、還流はできた成分を選り分ける工程です。

グレンモーレンジィは、スコットランドで最も背の高いスチルで同じ方向を狙っています。首が高いぶん、蒸気は長い距離を上り、途中で冷えて落ちる成分が増えます。銅に触れる面積も広がります。グレングラントは「途中で冷やして戻す装置」、グレンモーレンジィは「高さそのもの」で、軽い香気成分を選び出しているわけです。

これとは逆の方向にあるのが、グレンファークラスの直火焚きです。蒸溜所は直火焚きのスチルを3対6基使い、仕込みにはノンピートの麦芽を使います。直火焚きでは釜の壁面が蒸気加熱より高温になり、ウォッシュ(発酵を終えた蒸溜前の液)中の糖やアミノ酸が熱で反応して(メイラード反応)、香ばしく重い成分が生まれやすくなります。焦げつきは香味を損なう不具合なので、釜の底を銅の鎖でこするラメジャー(rummager)を回して防ぎます。直火の影響が大きいのは、主にウォッシュを蒸溜する初溜です。熟成は、オロロソシェリー樽を主体に、ファーストフィルとリフィルを組み合わせて行います(樽の履歴による違いは次の節で説明します)。熟成庫はダンネージ式(土の床に樽を低く積む伝統的な倉庫)です。温度と湿度の変化が穏やかなため、樽の成分はゆっくりと溶け出します。

「シェリー樽熟成」の一語では味は決まらない

「シェリー樽=濃い色と甘さ」とは限りません。ファーストフィル(その樽で初めてウイスキーを熟成するもの)は、樽材に残るシェリーと木の成分が多く、色もドライフルーツ感も短期間で強く出ます。リフィル(2回目以降の使用)では溶け出す量が大きく減り、スピリッツ本来の性格が前に出ます。同じ「シェリー樽熟成」の表記でも、ファーストフィルの比率しだいで、濃厚にも穏やかにもなります。現在の熟成用シェリー樽の多くは、ウイスキー向けにシェリーを入れて樽になじませた「シーズニング樽」です。ボデガ(シェリーの醸造所)で長く使われた樽とは別物と考えてください。

ラベルから味の方向を見当づける

グレンドロナックの200周年記念「ボインズミルハウス・エディション14年」は、ラベルで読み取れる情報が多い1本です。度数は46.8%で、オロロソ・PX(ペドロ・ヒメネス)・クラレット(ボルドーの赤ワイン)樽を使い、ナチュラルカラー(着色なし)と明記しています。1,200本限定で、価格は5,940円前後(2026年11月3日時点)(税抜)です。SWR 2009は、色調整のためのカラメル(E150a)の添加を認めています。そのため「ナチュラルカラー」の表示は、色の濃さがそのまま樽から来ていることの裏付けになります。

表示読み取れること
40%加水が多く、口当たりは軽め。冷却濾過されていることが多い
46%以上香りの成分が残りやすい。冷却濾過を省いたボトルが増える
カスクストレングス樽出しの度数。少量の加水で香りの開き方を試せる
ナチュラルカラー色の濃さは樽由来。濃ければファーストフィル比率が高い可能性
ノンチルフィルタード低温で白く濁ることがあるが、品質の問題ではない
樽の種類(PX・ワインなど)PXは甘く粘性のある方向、赤ワイン樽はベリー系と渋みの方向

好みからの選び方は、最終章の早見表を参照してください。

グレングラントの種類と年数別の違い|2026年の新パッケージ・度数・価格

ウイスキーのイメージ写真

グレングラントの現行品は、アルボラリス・10年・12年・15年・18年の5種類です。2026年はパッケージと12年の度数が変わる移行期にあたります。そのため店頭には、旧仕様と新仕様のボトルが並んでいます。選ぶときは、熟成年数とボトリング度数(瓶詰め時のアルコール度数)を別々に確かめてください。

現行ラインナップ(2026年10月時点)

商品熟成年数度数希望小売価格(税抜)新パッケージへの切り替え
アルボラリス表示なし(ノンエイジ)40%1,980円前後(2026年11月3日時点)2026年2月発表の全商品切り替えの対象
10年10年以上40%1,980円前後(2026年11月3日時点)2026年2月発表の全商品切り替えの対象
12年12年以上40%(旧仕様は43%)1,980円前後(2026年11月3日時点)2026年2月24日出荷分から
15年15年以上50%1,980円前後(2026年11月3日時点)2026年5月ごろの予定と発表
18年18年以上43%1,980円前後(2026年11月3日時点)2026年中の予定と発表

2026年の変更点を時系列で整理

  • 2026年2月5日:輸入元のCAMPARI JAPANが、全商品のパッケージを「ブルーポピー」をあしらったデザインに切り替えると発表
  • 2026年2月24日出荷分:12年が新パッケージになり、度数は43%から40%に変更。希望小売価格は1,980円前後(2026年11月3日時点)(税抜)
  • 2026年5月ごろ:15年が切り替えの予定(度数50%)
  • 2026年中:18年が切り替えの予定(度数43%)

12年は43%か40%か:店頭での見分け方

「グレングラント12年は43%」という説明は、切り替え前の仕様です。いまは新旧のボトルが混在しているため、次の順で確かめてください。

  1. ラベルの度数表示を見ます。43%なら2026年2月24日より前に出荷された在庫、40%なら新仕様です
  2. パッケージにブルーポピーの意匠があるかを確かめます
  3. 通販では、商品説明の度数と商品画像のラベルが食い違うことがあります。画像のラベル表記を優先し、届く仕様が不明なら購入前に店へ問い合わせてください

シングル30mlに含まれるアルコールは、43%で12.9ml、40%で12.0mlです。加水が増えたぶん、口当たりは軽くなります。通販や店頭では、ラベルの度数で新旧どちらの仕様かを確かめてから買ってください。

「年数が長いほど良い」とは限らない:15年だけ50%

度数は、熟成年数ではなく、樽出し後にどれだけ水を足すかで決まります。グレングラントでは、18年が43%なのに対し、15年だけが50%で瓶詰めされています。加水が少ないぶん香りの密度が高く、飲み手が自分で水を足して調整できる幅も広くなります。

15年の30mlに水を7.5ml足すと、度数は40%になり、10年・12年と同じ条件で比べられます。同じ度数にそろえて飲み比べれば、熟成年数の差だけを取り出して確かめられます。1対1のトゥワイスアップなら25%です。アルコール濃度が下がると、水に溶けにくい香気成分が液面へ押し出され、香りが立ちやすくなります。水は数滴ずつ加え、香りが最も開くところで止めてください。

香味の方向性と、年数による変化

前の章で触れたとおり、グレングラントは発酵で生まれた果実系のエステルを、ピュリファイアで重い成分を釜へ戻しながら選り分けています。そのため、どの年数でも軽快な果実味が軸になります。共通する香味は次のとおりです。

  • ノーズ(香り):青リンゴや洋梨のような果実、軽いシトラス
  • パレット(口に含んだときの味):バニラの甘みにナッツが重なる
  • フィニッシュ(余韻):ナッツの香ばしさと穏やかな甘み

一般に、熟成が長くなるほど樽由来のバニラ系の甘みや渋み(タンニン)が増え、果実の印象は青さから熟した方向へ移ります。年数による違いを自分で確かめるなら、15年を加水で40%にそろえ、12年と並べて比べてください(手順は上の節のとおりです)。

条件別の選び方

  • ハイボール用:アルボラリスか10年です。軽い香味でも、青リンゴ系の香りが残ります。割り方は最終章の手順を参照してください
  • ストレートで1本目:新仕様の12年(40%)です。果実・バニラ・ナッツの3要素がそろい、基準の味を覚えやすくなります
  • 加水で香りの変化を試したい:15年です。まずストレートで飲み、次に40%、さらに25%まで水を足して比べます
  • 贈り物:新パッケージの12年か18年です。ブルーポピーの箱やボトルを選ぶと、旧在庫との取り違えを防げます

グレン系ウイスキーの選び方と飲み方|好み別の1本と、加水・ハイボールの手順

グレン系の1本は、まず「軽い果実味かシェリー樽の厚みか」で絞り込みます。そのうえで、度数に合わせて飲み方を決めます。下の早見表では、好みごとに1本と最初に試す飲み方を組み合わせました。

好み別の早見

好み選ぶ1本最初の飲み方
軽く爽やかグレングラント、グレンマレイ エルギン クラシックハイボール、またはストレートに数滴の加水
シェリー樽の甘く厚い味グレンファークラス 8年(入門)、基準を知るなら12年。もう一段濃いものはグレンドロナック 12年ストレートで香りを確かめてから少量の加水
軽めの入門グレンキンチー 12年ストレート、続けてハイボール
度数の高い1本を試すグレンファークラス 105トゥワイスアップから

グラスと量

香りを確かめるなら、チューリップ型やテイスティンググラスを使います。胴がふくらみ口がすぼまった形なので、液面から揮発した香気成分が口元に集まり、鼻に届く量が増えます。ロックやハイボールには、厚手のタンブラーを選びます。口が広いため香りは拡散しますが、厚いガラスは冷えを保ち、氷が溶けにくくなります。量の目安は、シングルが約30ml、ダブルが約60mlです。

加水の手順

  • 40%のボトル:スポイトかストローで数滴ずつ足し、そのたびに香りを確かめます。果実の香りが前に出たところで止めます
  • 50%のグレングラント 15年、カスクストレングスのグレンファークラス 105:ウイスキーと常温の水を1:1にするトゥワイスアップから始め、そこから水かウイスキーを足して調整します
  • 水は常温の軟水を使います。冷水は揮発を抑えるため、香りが閉じます

前の章で触れたとおり、度数が下がると、水に溶けにくい香気成分が液面へ押し出され、揮発しやすくなります。度数の高いボトルほど、加水で香りの変化が大きく出ます。

ハイボールの手順

  1. グラスに氷を満たしてステアし、グラスを冷やします。溶けた水は捨てます。ソーダも冷蔵庫で冷やしておきます
  2. ウイスキー30mlを注ぎ、氷と一緒にステアしてウイスキーを冷やします
  3. 溶けて減った分の氷を足します
  4. 冷えたソーダ90〜120ml(ウイスキー1に対し3〜4)を、氷に当てず、グラスの内側を伝わせて静かに注ぎます。氷に当たると炭酸が抜けます
  5. バースプーンで氷を下から1回だけ持ち上げて混ぜます

40%になったグレングラント12年は、氷の溶け水を除いて計算すると、30mlをソーダ120mlで割った場合に8.0%で、旧仕様の43%(約8.6%)より軽くなるため、以前の濃さに近づけたいときはソーダを90ml側に寄せてください。

開栓後の保管

  • 瓶の中の空気が増えるほど酸化が進み、果実の香りが平板になります
  • 立てて保管します。高い度数の液体がコルクに触れ続けると、コルクが傷んで劣化臭が移るためです
  • 直射日光と高温を避けてください
  • 残りが3分の1を切ったら早めに飲み切るか、口いっぱいまで入る小瓶に移します

バーでの頼み方と値付け

注文は「銘柄+年数+飲み方+量」の順で伝えます。たとえば「グレングラント12年をストレートでシングル、チェイサー付きで」です。グレンファークラス 105なら「トゥワイスアップで、水は別添えで」と頼めば、自分で比率を調整できます。

1杯の値段は、主にボトルの仕入れ値と1杯あたりの量で決まります。700mlのボトルからシングル30mlを注ぐと約23杯なので、仕入れ値を杯数で割った原価に、店の経費と利益が上乗せされます。同じ銘柄でも店によって値段が違うのは、仕入れの時期と量の基準が店ごとに違うためです。ダブルで頼む前に、店が何mlをシングルとしているか確かめてください。

グレン系ウイスキーのよくある質問

ウイスキーのイメージ写真

グレングラント12年は40%になって、味が落ちましたか

良し悪しは一律には言えません。変わったのは瓶詰め時の加水量です。度数が下がると舌へのアルコールの刺激が弱まるため、果実の香りや甘みを拾いやすいと感じる人もいれば、余韻が短く物足りないと感じる人もいます。新旧の見分け方は、グレングラントの章を参照してください。

違いを自分で確かめるなら、旧仕様の43%を30ml注ぎ、水を約2.25ml足してください。度数が40%にそろうので、加水量の差を除いて比べられます。それでも残る違いには、ロット(瓶詰めの単位)による差も含まれます。

ハーフ(15ml)で飲み比べるときは、どの順番で頼めばよいですか

軽いものから重いものへ、度数の低いものから高いものへ進めます。先に濃いシェリー樽や度数の高いボトルを飲むと、舌に残る甘みとアルコールの刺激で、あとの軽い果実味を拾いにくくなるためです。たとえば、グレングラント 12年→グレンフィディック 12年→グレンファークラス 12年→グレンファークラス 105の順です。1杯ごとにチェイサーの水で口を戻し、105は少量の加水も試してください。ハーフを置いていない店もあるため、注文の前に扱いがあるかを確かめてください。

シェリー樽系は、開栓後どれくらいで飲み切ればよいですか

決まった期限はありません。香りの変わり方は、瓶に残った量と開け閉めの回数で大きく変わります。たっぷり残っているうちは変化が緩やかですが、残りが少なくなるほど瓶内の空気が増え、酸化が早まります。開栓直後に香りを書き留めておき、ドライフルーツのような香りが平板になったと感じたら、飲み切るか小瓶に移す目安にしてください。

外国人の知人への贈り物に向くグレン系は

  • 見た目で選ぶ:新パッケージのグレングラント。ブルーポピーの意匠で新仕様と分かります。12年なら40%で、ストレートでもハイボールでも楽しめると添えられます
  • 記念の1本を選ぶ:グレンドロナックの「ボインズミルハウス・エディション14年」。1826年創業の200周年記念品です。46.8%、オロロソ・PX・クラレット樽、ナチュラルカラー、1,200本限定、5,940円前後(2026年11月3日時点)(税抜)。2026年9月から順次発売のため、店頭の在庫を先に確かめてください

手渡すときは、産地と度数を添えると、相手が自分で飲み方を決められます。46.8%なら「少し水を足すと香りが開く」と伝えれば十分です。名前の由来の伝え方は、冒頭の章を参照してください。

グレンファークラスの受賞歴は

2025年12月4日に発表された「ワールド・ウイスキー・アワード・スコットランド2026」で、グレンファークラス 25年がスペイサイド21年以上部門のカテゴリー・ウィナーに選ばれました。同時に発表された「アイコンズ・オブ・ウイスキー・スコットランド2026」では、カラム・A・フレイザー氏がマスターディスティラー/マスターブレンダー・オブ・ザ・イヤーに選ばれています(日本では2026年2月27日に輸入元のミリオン商事が発表)。前者は特定のボトルへの評価、後者は造り手個人への評価です。ボトル選びの手がかりになるのは前者です。

よくある質問

グレン系をロックで飲むときのコツはありますか

大きく溶けにくい氷を使い、タンブラーも先に冷やしておきます。冷えるほど香りは立ちにくくなるため、ロックは香りよりも、冷たさと口当たりの軽さを楽しむ飲み方です。シェリー樽の厚みがあるボトルは、まずストレートで香りを確かめてからロックにしてください。冷やしたときに香りがどう変わるかが分かります。

未開栓のまま置いておけば、瓶の中で熟成は進みますか

進みません。熟成は、樽の木材との接触や、樽を通したゆるやかな空気の出入りによって起こります。瓶に詰めたあとは樽の影響がなくなるため、12年は何年置いても12年のままです。未開栓でも、直射日光と高温を避けて立てて保管してください。寝かせると度数の高い液体がコルクに触れ続け、コルクが傷む原因になります。

この記事で紹介した銘柄

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。