飲み方・初心者ガイド

ウイスキーのテイスティングセットで自宅飲み比べ|選び方と手順

ウイスキーのテイスティングセットを公式ミニチュア・詰め替え・フライト型の違いから解説。人数と飲む回数で決める容量の計算方法、1mlあたりの単価での比べ方、初回は各10〜15mlから始める注ぐ量の目安まで、自宅で飲み比べる手順がわかります。

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ウイスキーのテイスティングセットは3種類:中身・容量・価格で選び方が変わる

市販のウイスキーのテイスティングセットは、まず瓶詰めした主体で2種類に分かれます。メーカーや輸入元が出す公式ミニチュアのセットと、酒販店がフルボトルから小瓶に移した詰め替えのセットです。これに、小瓶にグラスや飲み比べの組み合わせを付けたフライト型のセットという売り方が加わります。違いは、中身をどこまでたどれるかにあります。

瓶詰めの違い中身向く人確認すること
公式ミニチュアのセットメーカー・輸入元が瓶詰めした小瓶気に入った銘柄をフルボトルで買い足したい人、贈り物銘柄の選択肢はそのメーカーの商品に限られる
販売店の小分け(詰め替え)のセット(30ml・100mlなど)酒販店がフルボトルから小分けしたもの国や蒸溜所をまたいで幅広く比べたい人販売者、元の商品名、容量、度数、密栓の状態、ラベルの表示

フライト型は、公式ミニチュアにも詰め替え品にもあります。瓶詰めの違いとは別に、付属するグラスの形と数、銘柄の組み合わせ(どの条件を比べる構成か)を追加で確認してください。初めての試飲会や贈り物に向く売り方です。

公式ミニチュアと詰め替え品の差は、ラベルとの対応で決まる

公式ミニチュアは、度数・原料・樽の表示がフルボトルと対応しています。小瓶で気に入った銘柄を、同じ表示のフルボトルでそのまま買い足せます。

詰め替え品は銘柄の幅が広い反面、中身の状態が見えにくくなります。ウイスキーは瓶の中ではほとんど熟成しません。ただし開栓後は、残量、栓の状態、保管条件によって香りが変わることがあります。また、同じ銘柄でも瓶詰めのたびに使う樽の組み合わせが変わるため、ロット(製造単位)ごとに香味の差が出ます。詰め替え品を買うときは、まず販売者、元の商品名、容量、度数、密栓の状態、ラベルの表示を確認します。詰め替えた日や元ボトルの保管方法は、店が回答できる場合に尋ねる追加の確認事項です。日付が表示されていないことだけで品質は判断できず、香りの変化も日数だけでは決まりません。

容量は「人数×何回に分けて飲むか」で決める

買う小瓶の容量と、1人が1銘柄に注ぐ量は分けて考えます。注ぐ量は、初回なら各銘柄10〜15ml程度から始めます。蒸溜所のフライト案内には1銘柄15〜25mlを目安とするものもありますが、4〜5銘柄を並べるなら少なめから始めたほうが、後半まで嗅覚と味覚が保てます。

  • 30ml:1人で原液を確かめ、少し加水して確かめ直せる量。2人なら各10〜15mlずつ分け合える
  • 50ml:原液と加水を両方試せる量(加水の手順は第4章)
  • 100ml:日を変えて2回以上飲める量。体調や料理を変えて印象を確かめ直したい人向け

必要な容量は「1人あたりの注ぐ量 × 人数 + 注ぎ直しや翌日の確認に残したい量」で計算します。たとえば4人で各10mlなら40mlで、注ぎ直し用に10ml残すなら50mlの瓶が合います。2人で各15ml、翌日にもう一度確かめる分を15ml残すなら45mlで、これも50mlの瓶に収まります。1人で何日かに分けて飲むなら100mlが向きます。保管は最終章を参照してください。

1本の価格ではなく、1mlあたりの単価で比べる

セットを比べるときは、税込総額、送料、銘柄数、各瓶の容量を並べます。そのうえで、予算内で何銘柄を試せるか、その量を飲み切れるかで判断します。小容量は瓶や栓、詰め作業の費用が中身に対して大きくなるため、1mlあたりでは割高になりやすいです。それでも、合わないボトルを1本丸ごと買うよりは負担が小さく済みます。1mlあたりの単価は、同じ銘柄・同じ容量の条件で比べられるときの補助指標として使います。フライト型はグラスなどの付属品を含んだ総額なので、その付属品が自分に必要かどうかも判断に加えてください。

同一蒸溜所の4種を比べたい人向けの例:キュロ ウイスキー テイスティング セット

同じ蒸溜所の4種を比べたい人向けの一例が、国内輸入元が掲載する「キュロ ウイスキー テイスティング セット」です。50ml×4本で、希望小売価格は3,850円(税込)、1mlあたり約19円です。4種の度数は同じ47.2%で、中身の造りは次章で解説します。

購入時に確認するのは次の4点です。

  • 商品名:「キュロ ウイスキー テイスティング セット」であること
  • 4本の内訳:キュロ モルト、ウッドスモーク、ピートスモーク、オロロソの4種であること
  • 容量:各50ml
  • 販売店の在庫と税込総額:希望小売価格と異なることがあるため、送料も含めて確認する

名前が似た別商品に注意してください。輸入元の「キュロ テイスティング セット」は、ジン3種とライモルトウイスキー1種(各50ml、希望小売価格3,080円・税込)の組み合わせで、ウイスキー4種のセットではありません。また、ウイスキー4種セットの輸入元のページには「欠品中」と、すでに過ぎた「2026年6月頃再入荷予定」が並んで表示されています。一方で、販売店のページに在庫が表示されていることもあります。購入前に、在庫と発送時期を販売店に確認してください。

入手できない場合は、同じ蒸溜所の小瓶やフルボトルを個別に探すか、第3章の考え方で、比べたい条件を決めてから他の蒸溜所の小瓶でセットを組みます。

キュロ4種セットを製法から読む:原料と度数がそろうから違いが見える

ウイスキーのイメージ写真

このセットの強みは、4種の度数がそろっていることです。メーカー公式サイトは4種すべてを47.2%と表示しています。度数が違うと、高いほうがアルコールの刺激で香りを覆い、口当たりも強く感じます。4種は度数がそろうので、度数の差を気にせず比較できます。ただし度数が同じでも、原酒の配合、熟成期間、発酵や蒸溜の条件まですべてそろうわけではありません。メーカーが示す麦芽と樽の表示を手掛かりに香味を比べ、感じた差の原因を一つに決めつけずに記録してください。加水しても4種は同じ度数のまま下がるので、同じ比率で加水すれば加水後も同じ条件で比べられます。

共通の土台:大麦ではなくライ麦の麦芽

4種はどれも、フィンランド産のライ麦を発芽させて乾燥した麦芽(モルティングしたライ麦)から造ります。大麦麦芽で造るスコッチのモルトウイスキーと比べるときは、黒パンやライ麦パンのような穀物の香り、舌の奥に残る胡椒のような辛さがどこまで出ているかに注目してください。ライ麦は粒に殻(ハスク)を持たず、糖化の段階でもろみが粘りやすい穀物です。そのため製造の手間がかかります。スパイシーさの強弱は樽や蒸溜でも変わるので、「ライ麦だから必ず辛い」とは言えません。大麦のスコッチを1杯横に置き、穀物の印象の違いを確かめるのが確実です。

4種の造りと、比べるときの見どころ

銘柄麦芽樽注目する香味
キュロ モルト燻していないライ麦麦芽新しいアメリカンホワイトオーク樽ライ麦の穀物感と新樽のバニラ・トースト(比較の基準)
オロロソ燻していないライ麦麦芽バーボン樽とホワイトオーク樽で熟成し、オロロソ・シェリー樽で仕上げシェリー樽由来と思われるドライフルーツやナッツの印象
ウッドスモークハンノキの煙を当てたライ麦麦芽バーボン樽・フレンチオーク樽・新しいアメリカンホワイトオーク樽木を焚いた燻製のような煙
ピートスモークフィンランドの淡水域由来のピートで燻したライ麦麦芽メーカーの案内で確認メーカーが樹脂・ハーブ系と説明する煙の印象

キュロ モルトは、すべての比較の基準になります。新樽は、まだ他の酒を吸っていない木なので、溶け出す成分が多くなります。樽の内側を強く焼く処理(チャー)をすると、表面が炭になり、その下に木の糖分がカラメル化した層ができます。弱めに焼く処理(トースト)では、木の成分が分解されてバニリンなどの甘い香りの成分が生まれます。新樽熟成の原酒にバニラやトースト、焦がし砂糖の香りが出やすいのは、このためです。なお、メーカーが無着色・非冷却濾過と明記しているのはモルトです。他の3種についての表示は確認できていません。

オロロソは、最後に別の樽へ移して香味を重ねる「仕上げ(フィニッシュ)」の造りです。熟成期間のすべてをシェリー樽で過ごした原酒とは別物です。オロロソは辛口シェリーの一種で、その樽の影響は後から加わった層として現れます。ただし、モルトとは仕上げ以前の樽構成も異なるため、モルトとの差のすべてを仕上げに帰すことはできません。モルトの直後に飲み、シェリー樽由来と思われる印象に注目して記録してください。

ウッドスモークとピートスモークの違いは、麦芽を燻す燃料にあります。ハンノキは木なので、その煙は燻製小屋のような乾いた煙として出やすいです。ピートは植物が水辺で長い年月をかけて堆積した泥炭で、燃やすとフェノール類を含む煙を出し、薬品や土を思わせる香りのもとになりやすい燃料です。ピートスモークについて、メーカーは樹脂やハーブを思わせる香りと説明しています。ただし煙の香味は、燃料や燻煙の条件だけでなく、発酵、蒸溜時の取り分け、樽熟成、ブレンドでも変わります。ピートの産地だけで香味の原因は決められません。アイラのスモーキーなスコッチを横に置くなら、煙の質や、潮・海藻・薬品を思わせる印象があるかどうかを、感じたまま記録して比べてください。煙の濃さの目安とされるフェノール値(ppm=乾燥を終えた麦芽に含まれるフェノール類の濃度。製品ではなく麦芽の仕様を示す値)は、キュロについて公表値を確認できていないため、ここでは数値で比べません。

飲む順番:モルト → オロロソ → ウッドスモーク → ピートスモーク

  1. キュロ モルト:燻しのない基準の味を、舌が疲れていないうちに確かめる
  2. オロロソ:シェリー樽での仕上げを含む、樽構成の違いを比べられる。オロロソは全期間シェリー樽で熟成したものではなく、仕上げにシェリー樽を使う造りです。煙のある2本よりは口に残りにくいため、煙の前に置きます(第4章の原則の例外)
  3. ウッドスモーク:煙が加わる。ピートより先に木の煙を覚えておく
  4. ピートスモーク:最後に回す(理由は第4章の順番の項を参照)

蒸溜所の設備については、国内輸入元によると、2016年に1,500Lと3,000Lのスチル、2019年に7,000Lと9,000Lのスチルを追加しています。生産設備は段階的に拡大してきました。ロットによる差を比べるときは、この拡大の経緯も背景として押さえておくとよいでしょう。

テイスティングセットを自分で組む:『1つだけ違う』組み合わせの作り方

自分でセットを組むときは、変える条件を1つに絞るのが原則です。産地も樽も度数もばらばらに選ぶと、「どれも違う」以上のことは分かりません。蒸溜所・度数・原料のどれかをそろえておけば、違いの理由を製法に結びつけて考えやすくなります。ただし市販品で条件を厳密に1つだけ変えるのは難しく、下の表にも複数の条件が重なる組み合わせを含めています。蒸溜所が違えば、麦芽の仕様、発酵時間、スチルの形状、カットの位置が変わり、ニューメイク(蒸溜したての原酒)の酒質そのものが異なります。蒸溜所をまたぐ軸は、樽やピートだけの差として読まないでください。

軸並べる銘柄主に変わる条件注目点
① シェリー樽の使い方グレンフィディック 12年/アベラワー 12年 ダブルカスクマチュアード/グレンドロナック 12年樽の構成+蒸溜所の酒質異なる蒸溜所でのシェリー樽を使った表現の違い
② 同じ蒸溜所の別樽の製品カリラ 12年とカリラ ディスティラーズエディション、オーヘントッシャン 12年とオーヘントッシャン スリーウッド樽の構成(熟成年数の表示と度数もラベルで確認)標準品の土台に、別の樽構成で何が重なるか
③ 度数グレンファークラス 12年/グレンファークラス 105加水の量自分で加水したときの香りの開き方
④ 煙ノンピートの銘柄 → カリラ 12年 → アードベッグ 10年ピートの強さ+蒸溜所の酒質煙の質と、余韻への残り方
⑤ 穀物ウッドフォードリザーブ ディスティラーズセレクト/ウッドフォードリザーブ ライコーンとライ麦の比率甘さとスパイシーさの比重

軸①②:樽と仕上げで、同じ土台がどう変わるか

軸①は、異なる蒸溜所のシェリー樽を使った表現を比べる組み合わせです。3本はいずれもシェリー樽を使いますが、その使い方が異なります。グレンフィディック 12年はアメリカンオーク樽の原酒にオロロソ・シェリー樽の原酒も合わせて造られ、アベラワー 12年 ダブルカスクマチュアードはシェリー樽と他のオーク樽の原酒を組み合わせています。グレンドロナック 12年は、ペドロ・ヒメネスとオロロソのシェリー樽で熟成させた原酒から造られます。影響の強さに事前の順位は付けず、それぞれの表現の違いを記録してください。瓶詰め度数も銘柄によって異なるので、ラベルで確かめて書き留めます。蒸溜所が違うため、ニューメイクの違いも重なります。樽だけの差として読まないでください。

なお「シェリー樽」には、シェリーの熟成に使われた樽と、ウイスキー用に新しく組んだ樽に販売用ではないシェリーを一定期間(年単位のことが多い)入れて、木になじませたシーズニング樽の2種類があります。現在のウイスキーに使われるシェリー樽の多くは後者です。同じシェリー樽でも、アメリカンオークかヨーロピアンオークか、ファーストフィル(初めてウイスキーを詰める樽)かリフィル(2回目以降)かで、香味の出方が変わります。

軸②は、同じ蒸溜所の標準品と、別の樽を使う製品を比べるものです。カリラ ディスティラーズエディションはモスカテルの樽で熟成を重ねた製品、オーヘントッシャン スリーウッドはバーボン樽、オロロソ樽、ペドロ・ヒメネス樽を使う製品です。蒸溜所はそろいますが、熟成年数の表示は12年とは異なり、樽構成や瓶詰め度数も製品ごとに違うことがあります。熟成年数、樽構成、度数をそれぞれラベルで確認して記録し、差を一つの条件に帰さずに読んでください。

軸③:加水量の違いを自分の手で再現する

グレンファークラス 105は加水を抑えた高度数のボトルで、12年とは年数表記もそろっていません。比べるときは、まず両方を原液で確かめます。そのうえで、加水を次の2つの手順に分けて行います。

  • 数滴ずつ試す加水:105を少量取り、スポイトで数滴ずつ加えて香りの開き方を確かめる。手順は第4章のとおり
  • 度数を計算してそろえる加水:105を12年のラベル度数まで下げる。必要な水の量は「105の量 ×(105のラベル度数 ÷ 12年のラベル度数 − 1)」で計算する。日本向けの輸入元資料では105が60%、12年が43%なので、105を20ml使うと 20 ×(60 ÷ 43 − 1)≒ 約7.9mlの水が必要になる。数滴では届かない量なので、1ml単位で量れる目盛り付きのシリンジや小型の計量カップを使う。度数の表示は時期によって変わることがあるため、手元の瓶の表示度数で計算し直す。エタノールと水は混ぜると体積がわずかに縮むので、この計算は目安と考える

加水すると、アルコールの刺激に隠れていた果実や樽の香りが立ち上がります。その変化と、度数をそろえても残る差を分けて記録してください。度数をそろえても残る差には、熟成年数や樽の構成などが関わります。

軸④:煙は弱い順に、数値に頼りすぎない

ノンピートの1杯を基準に置き、カリラ 12年、アードベッグ 10年の順に煙を強めていきます。蒸溜所が違うため、ニューメイクの違いも重なります。ピートの強さだけの差として読まないでください。ppmの意味は前章を参照してください。ppmはボトルに表示されず、ここでは蒸溜所の公式資料で確認できた数値がないため、数値では並べません。また、麦芽のppmと製品の煙の強さは比例しません。フェノール類は蒸溜の後半に多く出てくるため、ミドルカット(製品にする部分の取り分け)をどこで切るかによって、原酒に残る量が変わります。ppmは多くの場合、製麦業者(モルトスター)に発注する麦芽の仕様で、製品の煙の強さを示す値ではありません。測定方法によっても値がずれます。蒸溜でニューメイクに残るのは麦芽のフェノール類の一部で、カットの位置や熟成年数によっても煙の感じ方は変わります。

軸⑤:コーンとライ麦の比率を比べる

バーボンはコーンを51%以上、アメリカのライウイスキーはライ麦を51%以上使うことが法律で定められています。また、バーボンとアメリカンライはいずれも、内側を焦がした新しいオーク容器での熟成が法律上の要件です。ウッドフォードリザーブの2本は、同じブランドのうえにこの樽の前提がそろっているので、コーン由来の甘さとライ麦由来の胡椒のような辛さの比重の違いを比べやすくなります。公式サイトによると、バーボンの原料はコーン72%・ライ麦18%・大麦麦芽10%です。

応用として、前の章で触れたキュロ モルトをウッドフォードリザーブ ライと並べる方法もあります。どちらもライ麦が主体ですが、キュロ モルトはライ麦麦芽100%、ウッドフォードリザーブ ライは麦芽にしていないライ麦にコーンと大麦麦芽を混ぜたものです。ただし蒸溜方式(ウッドフォードリザーブはポットスチルとコラムスチルの原酒を併用)、樽、度数も異なるので、差は原料だけによるものではありません。キュロの新樽の焼き方は確認できていないため、樽の条件がそろうとも言えません。キュロ モルトをバーボンのほうと並べる場合は、100%ライ麦麦芽とコーン主体のバーボンを比べる応用例として、原料構成と製麦の違いを含めて比べてください。

日本の銘柄を加えるときはラベルを確かめる

「日本製ウイスキー」と「ジャパニーズウイスキー」は同じ意味ではありません。後者は日本洋酒酒造組合の自主基準による表示です。国内での糖化・発酵・蒸溜や、700L以下の木製樽で国内3年以上貯蔵することなどが要件になっています。イチローズモルト ワールドブレンデッド リミテッドエディションのように、海外原酒を使っていることを名前で示す商品もあります。日本の銘柄を加えるときは、ラベルの表示を確認してから並べてください。

予算:フルボトルか小瓶かの判断

  • フルボトル:5,880円前後(2026年11月8日時点)と8,448円前後(2026年11月8日時点)のように、比べる本数分の価格を合計する。残ったボトルを数か月以内に飲み切る見込みがあるときに選ぶ
  • 小瓶・量り売り:4〜5種を比べたい、一度きりの試飲会にしたいときに選ぶ。気に入った1本だけをフルボトルで買い足す
  • 迷ったら:最初は2本だけの軸(③など)をフルボトルでそろえ、残りの軸は小瓶で試す

自宅での飲み比べの手順:グラス・量・順番・加水の理由

ウイスキーのイメージ写真

飲み比べで最初に整えるのは、銘柄よりも比べる条件です。グラス・量・温度・水が銘柄ごとにずれると、感じた差が中身によるものか、条件によるものかを切り分けられなくなります。

グラスは銘柄の数だけ同じ形をそろえる

テイスティンググラスは用意してください。飲み口がすぼまったチューリップ型は、液面から立つ香りをグラスの中にとどめ、細い口から鼻へ集めます。ロックグラスは口が広いため、香りが横に逃げやすくなります。形が違えば香りの集まり方も変わるので、グラスは銘柄の数だけ同じ形のものをそろえます。同じ形を数そろえられないときは、比べる本数のほうを減らします。

量は少量でそろえ、順番は香りの残り方で決める

1銘柄あたりの量は、原液でまず確かめ、そのあと加水できる程度の少量にそろえます。量が違うと、液面からグラスの口までの空間の大きさが変わります。香りがたまる空間がずれるので、同じ香りでも強さの印象が変わります。

順番は、軽く穏やかなものから始めて、スモーキーなものを最後にします。燻煙由来のフェノール類は揮発しにくく、鼻と口に長く残るため、先に飲むと後の銘柄の繊細な香りを覆ってしまいます。順番を逆にした場合は、水を飲み、数分あけてから次に移ってください。度数の高いものやシェリー樽の影響が強いものも後半に置きます。度数が高いと、アルコールの刺激が舌と鼻に残り、次の銘柄の繊細な香りを感じにくくなります。シェリー樽由来の濃い甘さや渋み(タンニン)も口の中に長く残り、軽い銘柄の果実味を覆います。

評価は3段階、鼻は少し離して始める

  • ノージング(香りを嗅ぐ):グラスを鼻から少し離した位置で嗅ぎ始め、徐々に近づける。いきなり近づけると、揮発しやすいアルコールが先に鼻を刺し、他の香りが分かりにくくなる
  • パレット(口に含んだときの味と質感):少量を舌全体に広げ、甘さ・辛さ・とろみや軽さを確かめる
  • フィニッシュ(飲み込んだあとの余韻):何が、どのくらいの長さ残るかを確かめる

加水は数滴ずつ、トワイスアップは全銘柄同じ比率で

少量の水を足すと、アルコールの刺激が和らぎます。その刺激に隠れていた香りも感じやすくなります。手順は次のとおりです。

  1. 原液でノージングとパレットを記録する
  2. スポイトで数滴加え、グラスを軽く回してから香りを嗅ぐ
  3. 変化があれば記録し、さらに数滴ずつ足して、そのたびに香りを確かめる
  4. 香りが薄まり始めたところを、その銘柄の加水の上限として書き残す

度数を計算してそろえる加水は、第3章の軸③の手順で行います。

トワイスアップ(ウイスキーと水を1:1)は、サントリーのイエノバが香りと味を確かめる飲み方として紹介しています。水は常温の軟水を使い、氷は入れません。冷やすと香りの成分が揮発しにくくなり、香りが立ちにくくなるためです。比べるときは全銘柄を同じ比率にそろえます。

温度をそろえるため、ボトルと水は同じ部屋に置いておきます。口直しには水と味の薄いクラッカー程度を用意します。香りの強い食べ物は、鼻と舌に残って比較を乱すので避けてください。

記録テンプレート

銘柄名・度数・樽の種類を先に書き、その下に香り・味・余韻・加水後の変化を1行ずつ残します。度数と樽を先に書いておくと、読み返したときに、感じた差を製法に結びつけて考えられます。次に買うボトルを決めるときは、「加水後に香りが開いた」「余韻が長かった」といった行を銘柄どうしで見比べます。

項目書き方
銘柄名ラベルどおりに書く
度数ラベル表示の%
樽の種類ラベルやメーカーの表示
香り原液で感じた香りを2〜3語
味甘さ・辛さ・質感
余韻残る香味と長さ
加水後の変化何滴加えて何が出たか

よくある失敗と、その理由

失敗起きる理由
最初にスモーキーなものを飲む理由は上記の順番の項を参照
グラスがばらばら香りの集まり方が違い、差が中身によるものか判断できない
ロックにする冷えて香りが閉じる。さらに溶けた氷で、濃さも銘柄ごとにずれる
本数が多すぎる嗅覚と味覚が疲れ、後半は差を感じにくくなる。同じ形のグラスをそろえられる本数を上限にする

この記事で紹介した銘柄

小瓶の保管と贈るときの注意、よくある質問

小瓶は、中身の量に比べて瓶の中の空気と栓の面積が大きい容器です。一度注ぐと、残った液に対する空気の割合はさらに増えます。そのため、揮発しやすい香りから先に抜けていきます。開栓したら早めに飲み切ることを前提に、次に飲む日まで決めてから開けてください。

小瓶の保管:立てる・光を避ける・温度を一定に

  • 立てて保管する:寝かせると度数の高い液が栓に触れ続ける。コルクやキャップ内側のパッキンが傷み、栓の匂いが移ったり液が漏れたりする原因になる
  • 直射日光を避ける:光は色や香味の成分を変える。外箱に戻すか、扉付きの棚に入れる
  • 高温と温度の上下を避ける:温まると中の空気が膨らみ、栓の隙間から香りが抜けやすくなる。コンロの近くや夏の車内には置かない

未開栓でも、詰め替え品は注意が必要です。元ボトルを開けて小分けした時点で、中身はすでに空気に触れています。また、酒販店が使う小瓶の栓は、メーカーが瓶詰めした栓と同じ密閉性とは限りません。購入時は第1章のとおり、販売者、元の商品名、容量、度数、密栓の状態から確認し、詰め替えた日は店が答えられる範囲で尋ねます。手元に届いたら、詰め替え日が分かるものは古いものから飲みます。

飲み残しは、さらに小さな瓶へ移す

長く保管する予定で瓶内の空気が多い場合は、密閉できる小さな瓶への移し替えを検討します。

  1. 残量に合う容量のガラス瓶を用意する。洗ったあとは完全に乾かす。水滴が残ると度数と香りが変わるため
  2. 漏斗を使い、液面が瓶の首に届くまで移して、瓶の中の空気を減らす
  3. 銘柄名・度数・移した日をラベルに書く
  4. 移すのは同じ銘柄だけにする。別の銘柄と混ぜると、どの香りがどの銘柄のものか分からなくなる

贈り物にするときの選び方

相手の状況選び方
好みが分からない度数と香りの傾向がラベルや案内で分かる公式セット
スモーキーが苦手と分かっている燻した麦芽やピートを使った銘柄を含まない組み合わせ
飲み比べが初めてグラス付きのセットを選ぶか、同じ形のグラスを人数分添える
ウイスキーに詳しい珍しい銘柄の詰め替えセット。販売者・元の商品名・度数の表示がそろった店で選ぶ

キュロの4種セットは度数がそろい、燻した麦芽かどうかが銘柄名で分かります。贈る側も中身を説明しやすい構成です。ただし、燻した麦芽の銘柄が2本入っています。スモーキーが苦手な相手には向きません。グラスが付いているかどうかは、販売店の商品表示で確認してください。

よくある質問

Q. 小瓶は機内に持ち込めますか?預け荷物に入れられますか? 航空会社と、出発・到着する国の規定によって扱いが変わります。国際線の機内持ち込みには液体の容量制限があり、度数の高いお酒には持ち込みや預け入れの量に制限が設けられていることもあります。到着国での免税範囲も確認が必要です。搭乗前に、利用する航空会社と国の規定を確認してください。

Q. 詰め替えセットの中身が想定と違う香りだったら、店に何を伝えればよいですか? 商品名、購入日、どの銘柄の小瓶かを伝えたうえで、元ボトルのロット、詰め替え日、元ボトルの開栓日を尋ねます。店が答えられる範囲で情報がそろえば、ロットの違いか、開栓後の変化かを考える手掛かりになります。香りの変化は日数だけで決まるものではないので、回答は判断材料の一つとして扱ってください。

Q. 18歳の知人に贈ってもよいですか? 国税庁の資料のとおり、民法上の成年年齢は18歳ですが、日本で飲酒できる年齢は20歳以上のままです。18・19歳の学生や新社会人への贈り物にはしないでください。

Q. 海外に住む知人へ送れますか? お酒の国際発送は、配送業者のルールと相手の国のルールによって扱いが変わります。発送前に、業者が受け付けるか、相手が受け取れるかを確認してください。現地の販売店から届けてもらう方法も検討できます。

よくある質問

ウイスキーのイメージ写真

テイスティングセットの小瓶をハイボールで比べてもよいですか?

香味の差を確かめたいなら、先にストレートかトワイスアップで比べてください。氷と炭酸で冷えると香りの成分が揮発しにくくなります。溶けた氷で濃さも銘柄ごとにずれます。ハイボールは評価を終えた残りで作り、グラス・比率・炭酸水を全銘柄でそろえます。そのうえで「割ったときにどの香りが残るか」を別の比較として記録してください。

グラスに注いだら、すぐに香りを嗅いでよいですか?

注いだ直後は揮発しやすいアルコールが先に立ち、他の香りを覆いがちです。全銘柄を注ぎ終えてから少し置き、グラスを軽く回して液面を広げてから嗅ぐと、香りを拾いやすくなります。置く時間と回し方は全銘柄でそろえてください。時間をおいて嗅ぎ直し、香りがどう変わったかも記録しておくと、比較の材料が増えます。

香りを言葉にできないときは、どう記録すればよいですか?

香りの由来ごとに枠を決めておくと書きやすくなります。穀物(パンや麦芽)、樽(バニラやトースト)、シェリー樽(ドライフルーツやナッツ)、煙(燻製や泥炭)の4つです。1杯だけで言葉を探さず、隣のグラスと比べて「基準より甘い」「煙が長く残る」のように差で書きます。こうすると、感じた違いを製法と結びつけやすくなります。

フルボトルを買う前にバーで試すときは、どう頼めばよいですか?

「飲み比べたいので少量ずつ」と伝え、同じ形のグラスで出してもらえるか尋ねてください。樽違いや度数違いなど、比べたい軸を先に言うと、店のボトルから組み合わせを提案してもらいやすくなります。チェイサーの水も頼みましょう。店で飲んだ印象と自宅で開けたボトルの印象がずれることがあります。これは開栓からの日数やロットの差によるものです。

出典・参考にした情報

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。