初心者におすすめの銘柄

バーボンウイスキーのおすすめ銘柄|初心者の選び方と飲み方

ハイボールの好み別にジムビーム、メーカーズマーク、ワイルドターキー101の選び分けを紹介。米国の法定基準やストレート表記の意味、樽のチャーが生む甘さとバニラ香の理由から、ラベルで味を見分けるコツが分かります。

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最初の1本に迷ったら、軽いハイボールならジムビーム、柔らかく甘い香りならメーカーズマーク、濃いめのハイボールにするならワイルドターキー 101を目安にします。そう選べる理由は、ラベルに書かれた分類と度数、樽と熟成の条件から読み取れます。

バーボンとは何か:米国の法定基準から分かる「甘さ」と「バニラ香」の理由

バーボンは「アメリカのウイスキー」の通称ではありません。米国の表示基準(連邦規則 27 CFR 5.143)で条件が決められた分類です。ハイボールで感じる甘さやバニラのような香りは、この条件の多くから直接生まれています。

米国の法定基準で決まっている主な条件

項目基準香味とのつながり
原料原料穀物の51%以上がトウモロコシ甘さと丸みの土台
製造地米国内で蒸溜・熟成(州は問わない)―
蒸溜時の度数80%以下穀物由来の香味成分が残る
樽詰め時の度数62.5%以下樽成分の溶け出し方に関わる
樽内側を焦がしたオークの新樽バニラ・キャラメル香の主な源
瓶詰め時の度数40%以上―
添加物着色料・香味料・ブレンド用添加物は不可色も香りも製法から生まれる

マッシュビル(原料穀物の配合比率)では、トウモロコシ以外の部分をライ麦、小麦、大麦麦芽などで組み立てます。配合による味の違いは次の章で扱います。

誤解1:ケンタッキー州産でなくてもバーボンです

基準が求めているのは「米国内で造ること」で、州の指定はありません。ケンタッキー州が主産地であるのは事実ですが、他州で造ったものも基準を満たせばバーボンと名乗れます。ラベルの「Kentucky」は産地の表示であり、バーボンであるための条件ではありません。

誤解2:「2年以上熟成」はストレートバーボンの条件です

バーボンそのものには最低熟成期間が定められていません。2年以上の熟成が求められるのは「ストレートバーボン」です。さらに、熟成4年未満のウイスキーには原則として熟成年数の表示が必要です(27 CFR 5.74)。そのため、棚の前では次のように読み分けられます。

  • 「Straight」の表記がある:2年以上熟成
  • 熟成年数の表示がない:原則として4年以上熟成した原酒
  • 年数の表示がある:使われた原酒のうち最も若いものが、その年数以上

なぜ甘く、バニラの香りがするのか

バーボンに糖分は加えられていません。甘く感じるのは、主に原料と樽から来る香りの働きです。土台になるのはトウモロコシで、比率が高いほど穀物の甘い香りと丸みのある口当たりが前に出ます。また、蒸溜時の度数が80%以下に抑えられているため、純粋なアルコールに近づきすぎず、穀物由来の香味成分が原酒に残ります。

バニラやキャラメルの香りは、主に樽から来ます。チャー(樽の内側を炎で焼いて焦がすこと)をすると、表面に炭化層ができます。その奥には、熱で分解された木材の層(熱分解層。レッドレイヤーとも呼ばれる)ができます。

  • 表面の炭化層:活性炭のように働き、硫黄系の未熟香を吸着する
  • 奥の熱分解層:甘い香りの成分の主な出どころになる。リグニン(木材の成分の一つ)からはバニラ香の成分であるバニリンが生まれる。ヘミセルロース(同じく木材の成分)からはキャラメルや焼き菓子のような香りの成分が生まれる

これらの成分が熟成中に原酒へ溶け出します。新樽ではこうした成分がまだ一度も抽出されていないため、香りが強く出ます。なお、炎を当てずに低温で長く加熱する「トースト」は、チャーとは別の工程です。

ジムビームとワイルドターキーは、どちらも焦がしの段階で最も強い部類のレベル4(通称アリゲーターチャー)の新樽を使います。ジムビームは、この焦がしで木の糖分をカラメル化させ、タンニンを減らすと説明しています。焦がし具合や熟成年数によって樽由来の香味は変わります。ただし、焦がしが強いほど甘さや渋みが一律に増すわけではありません。着色料も香味料も使えないので、琥珀色と甘い香りは、すべて原料・蒸溜・樽・熟成から生まれたものです。

スコッチとの違い:樽の使い方が香りの濃さを分けます

法規上の違いは、樽の扱いにあります。バーボンは焦がした新樽が必須です。スコッチは、新樽も再使用樽も使えます。

実際のスコッチの熟成で中心になるのは、次の樽です。

  • ファーストフィル(その樽でスコッチを初めて詰めるもの)のバーボン樽
  • リフィル(2回目以降)のバーボン樽
  • シーズニングしたシェリー樽

新樽も規則上は使えますが、主流ではありません。現在のシェリー樽の多くは、ウイスキー用に注文して造った樽に、一定期間シェリーを入れて馴染ませたシーズニング樽です。ソレラで長く使われたシェリーの古樽ではありません。同じスコッチでも、ファーストフィルかリフィルか、樽に何が入っていたかで、樽香の強さは大きく変わります。

バーボンは新樽が法定必須です。さらに、主産地ケンタッキーの熟成庫は夏の高温と冬の寒さの差が大きく、原酒が樽材へ出入りする量が多くなります。そのため、短い熟成でも樽香が濃く出やすくなります。スコッチにはオーク樽で3年以上という最低熟成年数がありますが、バーボンにはありません。

また、スコッチは規則上カラメル色素(E150a)の添加が認められています。バーボンは添加物を一切認めていないので、ここも製法上の大きな違いです。

初心者の選び方:マッシュビル・度数・熟成の3軸で味を予想する

ウイスキーのイメージ写真

棚の前で味を予想するには、ラベルとメーカーの案内から3つを読みます。「マッシュビル(原料穀物の配合比率)」「度数」「熟成と樽」です。

軸1:トウモロコシ以外の穀物で味の方向を見る

ライ麦の代わりに小麦を使うものはウィーテッドバーボンと呼ばれます。ライ麦由来のスパイス感、小麦由来の柔らかさは、選ぶときの手掛かりになります。ただし、香味は発酵、蒸溜、樽、熟成、ブレンドでも変わります。穀物の比率だけで完成品の味は予測できません。

  • メーカーズマーク:冬小麦を使う代表。メーカーの説明では、キャラメルやバニラの甘い香りが中心
  • ジムビーム、フォアローゼズ:ライ麦を使う

フォアローゼズは、2つの配合に5種の酵母を組み合わせ、10種の原酒を造ります。配合は「トウモロコシ60%・ライ麦35%・大麦麦芽5%」と「同75%・20%・5%」です。酵母は、発酵中に果実や花のような香りの成分の出方を左右します。そのため、同じ配合でも酵母が違えば香りの性格が変わります。同じ蒸溜所の中で原料と酵母を変えて香味の幅を作り、その混ぜ合わせ方で製品の味を設計しているわけです。ラベルの穀物は味の方向を示す目安で、最終的な味はブレンドで決まります。

軸2:度数で「割り方の幅」を見る

各銘柄の瓶詰め度数は次のとおりです。

  • ジムビーム、フォアローゼズ バーボン:40%
  • メーカーズマーク:45%
  • ワイルドターキー 8年、101:50.5%

シングル30mlをソーダ90mlで割る場合、氷の溶け分を除くと、40%の銘柄は約10%、50.5%の銘柄は約12.6%になります。50.5%の銘柄を40%と同じ強さに揃えるなら、ソーダを120mlにします。これで約10.1%です。度数が高いと、割り材の量で濃さを調整できる幅が広く、濃いめにも標準にも作れます。

割ったあとに香りがどこまで残るかは、瓶詰め度数だけでは決まりません。原酒そのものの香味の強さや、冷却濾過(低温にして濁りの成分を除く工程)の有無でも変わります。気になる銘柄は、同じ仕上がり度数(約10%)に揃えて飲み比べて判断します。

軸3:熟成年数と樽の焦がしで濃さを見る

焦がしの度合いと熟成年数は、樽由来の香味を左右する条件です。ただし、どちらも香りの濃さに比例する目盛りではありません。

ジムビームとワイルドターキー 8年は、同じレベル4の焦がしの新樽を使います。同じ#4チャーでも、4年と8年では樽から引き出される成分の量が違います。とはいえ、両者は原酒の配合も瓶詰め度数(40%と50.5%)も違います。樽材や熟成庫内の貯蔵位置、原酒の選び方でも結果は変わるため、年数だけで香りの濃い順に並べることはできません。

ほかの銘柄の熟成は次のとおりです。

  • メーカーズマーク:年数を固定していない。通常6〜7年かけて、熟成の仕上がりを判断する
  • 国内向けのフォアローゼズ バーボン:5年以上熟成した原酒を使う
  • ジムビーム ブラック:7年以上熟成した原酒を使う

ただし、年数が長いほど初心者向きとは限りません。熟成が長くなると樽からの抽出が進み、タンニン(渋みの成分)やウッディさが目立つ場合があります。ハイボールでは炭酸の刺激で渋みが目立ちやすいため、ハイボール中心なら熟成の軽い銘柄の方がすっきりまとまることがあります。熟成の長いものは、ストレートや少量の加水で甘さと渋みの釣り合いを確かめる飲み方で良さが出ます。

蒸溜方式は背景知識として押さえる

一般的なのは、2段階で蒸溜する方式です。

  1. ビアスチル(発酵した醪〈もろみ〉を蒸溜する塔型の連続式蒸溜器)で一度蒸溜する
  2. ダブラー(ポット型の再蒸溜器)で再蒸溜する

ジムビームとフォアローゼズはこの方式を採っています。メーカーズマークも、銅製の連続式蒸溜器とダブラーの組み合わせです。こうして得た樽詰め前の無色の新酒を、ホワイトドッグと呼びます。蒸溜方式はラベルに書かれないことが多いので、棚の前では3つの軸を優先して判断します。

銘柄穀物の特徴度数熟成・樽香味の手掛かり(メーカーの説明)と向く飲み方
ジムビームライ麦を使用40%レベル4の新樽で4年バニラやオークの香り。ハイボール向き
フォアローゼズ バーボンライ麦35%/20%の2配合40%5年以上の原酒果実や花のような華やかな香り。ハイボール向き
メーカーズマーク冬小麦(ウィーテッド)45%6〜7年で仕上がりを判断キャラメルやバニラの甘い香り。ロック・ハイボール
ワイルドターキー 8年―50.5%レベル4の新樽で8年以上バニラやキャラメルの香り。濃いめのハイボール・少量加水
ワイルドターキー 101―50.5%レベル4の新樽バニラやキャラメルの香り。割り方で濃さを調整しやすい

価格を踏まえた選び方は次の章にまとめます。

価格帯別おすすめバーボン:2,000円前後から5,000円前後まで

手頃な価格帯のバーボンは、1杯あたりの費用で比べると選びやすくなります。下の表では、メーカー・輸入元の希望小売価格と店頭の実売価格を別の列に分けています。30mlあたりの費用は、700mlを30mlずつ使う計算(1本あたり約23杯)です。算出に使った価格の種類も併記しています。

銘柄度数希望小売価格(税込の目安)実売価格(税込・店頭)30mlあたり(算出に使った価格)確認日
ジムビーム40%1,859円(税別1,690円)―約80円(希望小売)2026年10月
フォアローゼズ バーボン40%―1,780円(ビック酒販)約76円(実売)2026年10月
ワイルドターキー スタンダード40.5%(公式サイト)/40%(裏ラベル)2,926円―約125円(希望小売)2026年10月
ワイルドターキー 10150.5%3,465円(発売時)―約149円(希望小売)2026年10月
メーカーズマーク45%3,740円(税別3,400円)―約160円(希望小売)2026年10月
ワイルドターキー 8年50.5%4,378円―約188円(希望小売)2026年10月

価格の扱いは次のとおりです。

  • 税別の希望小売価格は、消費税10%を加えて税込の目安にしています
  • フォアローゼズ バーボンは希望小売価格を確認できなかったため、実売価格だけを載せ、30mlあたりもその額から算出しています
  • 実売価格は店や時期によって変わります。ほかの銘柄の希望小売価格と並べて、安さの順位を付けないでください

ワイルドターキー スタンダードの度数は、公式サイトが40.5%、裏ラベルの表示が40%と記しており、表には両方を載せています。また、CAMPARI JAPANはワイルドターキー スタンダードと8年の価格を2026年10月1日出荷分から改定しました。表の金額は2026年10月時点で公式サイトに載っていた額です。購入前に、店頭価格が改定後のものかを確かめてください。

用途別の結論

  • ハイボール用の常備酒:ジムビーム(1,180円前後)かフォアローゼズ バーボン。ウイスキー30ml分の費用は、ジムビームが約80円(希望小売価格から算出)、フォアローゼズ バーボンが約76円(実売価格から算出)です。どちらも40%なので、30mlをソーダ90mlで割ると約10%になります
  • ストレートで香りを試す1本:メーカーズマーク(2,460円前後)。メーカーの説明ではキャラメルやバニラの甘い香りが中心で、小麦を使う銘柄の柔らかさを確かめられます。試し方と加水は「最初の1杯」の手順に沿います
  • 度数が高く味の濃い1本:ワイルドターキー 101(2,464円前後)。50.5%で、1杯あたりの費用は8年より約40円安く済みます。ソーダの量は、選び方の軸2の計算を目安にします
  • 少し上の熟成感を求める1本:ワイルドターキー 8年(2,780円前後)か、ジムビーム ブラック(1,180円前後)。8年は、8年以上熟成した原酒を50.5%で瓶詰めしています。ジムビーム ブラックは7年以上熟成した原酒を使い、普段のジムビームと比べると、同じブランドの設計の違いが分かります。ただし、通常品は40%、ブラックは45%と度数も違い、原酒の選び方も異なり得ます。同じ量の水やソーダで割って比べても、感じた差を熟成年数だけの効果とは切り分けられません

家飲みで続けられるかを判断する目安

1日1杯なら、700mlは約3週間で空きます。開栓後はボトル内の空気が増えるほど香りが少しずつ抜けます。そのため、栓を固く閉めて立てて置き、直射日光と高温を避けて保管します。1杯150円を超える銘柄を毎日のハイボールに使うと、香りの良さよりも出費が気になりやすくなります。日常のハイボールは80円前後の銘柄にし、ストレートで飲む1本を別に持つ2本体制にすると、出費と楽しみの釣り合いが取りやすくなります。

棚で見かけるほかの銘柄

次の銘柄は、度数・価格・熟成年数の現行値を一次情報で確認できていないため、数値は載せていません。いずれも米国のラベルでバーボンと表示される製品です。購入するときは、ラベルの品目表示と度数・年数表示を確認してください。

  • エヴァンウィリアムズ ブラック、アーリー・タイムズ ゴールド:手頃な価格帯に並ぶことが多い銘柄です。ジムビームやフォアローゼズと同じハイボール常備用の候補として比べます。アーリー・タイムズは製品によって分類が違い、ホワイトはバーボンではなくアメリカン・ブレンデッド・ウイスキーです。バーボンを選ぶならゴールドを指定します
  • エヴァンウィリアムズ ボトルド・イン・ボンド:ボトルド・イン・ボンドを名乗る1本です。ボトルド・イン・ボンドは米国の法定表示で、同じ蒸溜所・同じ蒸溜シーズンの原酒を木樽で4年以上貯蔵し、100プルーフ=50%で瓶詰めしたものを指します。瓶詰め度数の高い候補として、ワイルドターキー 101と比べられます
  • オールドグランダッド:ライ麦の比率が高いとされる銘柄で、ライ麦由来のスパイス感を手掛かりに選びたい人向けです
  • エライジャクレイグ スモールバッチ:スモールバッチを名乗る中価格帯の候補です。スモールバッチは、造り手が選んだ樽を混ぜたもので、樽数に統一基準はありません
  • ウッドフォードリザーブ:上の価格帯でストレート向きの候補です

家で失敗しない飲み方:ハイボール・水割り・トゥワイスアップの比率と手順

ウイスキーのイメージ写真

買った1本の性格をつかむには、割らずに少量を確かめ、そのあと割り方を変えていく順番が確実です。

最初の1杯:ストレートで試すなら少量から加水する

  1. 10〜15ml程度をグラスに注ぎ、口元から少し離して香りを取る
  2. ごく少量を口に含み、甘さと刺激の強さを確かめる
  3. 水を数滴加えてグラスを軽く回し、もう一度香りを取る
  4. さらに数滴ずつ加水して、香りが最も開いたと感じる濃さを探す

度数が高いと、エタノールの刺激が鼻と舌を先に占めてしまいます。そのため、樽から来るバニラやキャラメルの香りが感じにくくなります。加水すると、アルコールに溶けていた香味成分が液面へ出やすくなり、刺激も和らぎます。数滴で変化が出て、加えすぎると全体が薄まるので、数滴ずつ加えて止めどころを探します。

割り方の比率と手順

飲み方ウイスキー:割り材温度向く場面
ストレート1:0(試すなら10〜15ml)常温香りの確認
トゥワイスアップ1:1(常温の水)常温香りを開かせて比べる
水割り1:2〜2.5(氷と水)冷たい食事と合わせる
ハイボール1:3〜4(炭酸水)冷たい軽く飲む・日常用

香り成分は温度が下がると揮発しにくくなります。香りを見たいときは、氷を入れずに常温の水で割るトゥワイスアップ(ウイスキーと水を1:1で割る飲み方)が向きます。冷たさと飲みやすさを優先するなら、水割りにします。

ハイボールは次の順で作ります。

  1. グラスに氷を縁まで入れて混ぜ、グラスを冷やす。溶けた水は捨てる
  2. ウイスキーを注ぎ、氷と一緒に十数回混ぜて冷やす
  3. 冷えた炭酸水を、氷に当てないよう縁から静かに注ぐ
  4. マドラーを底まで入れて氷を一度持ち上げる程度で止め、混ぜすぎない

ウイスキーを先に冷やしておくと、炭酸を注いだときに氷が溶けにくくなり、ガスも抜けにくくなります。度数ごとのソーダの量は、選び方の軸2の計算を目安にします。

グラスの選び方

  • 香りを確かめる:口のすぼまったテイスティンググラス。香りが口元に集まり、比べやすい
  • ハイボール:薄手のタンブラー。口当たりが軽く、炭酸の刺激が素直に伝わる
  • 度数の高い銘柄をゆっくり飲む:ロックグラス。大きめの氷を入れると、溶けながら少しずつ加水される

香りと味を言葉にする

感じた香りや味は、次の3段階に分けて書き留めます。

  • ノージング(香りを確かめること):バニラやキャラメルを感じたら、主に焦がした新樽から来た香り
  • パレット(口に含んだときの味):甘さや丸み、ピリッとしたスパイス感、柔らかさのどれが前に出るかを書く。ライ麦由来のスパイス感や小麦由来の柔らかさは手掛かりになるが、発酵や樽でも変わるので、ラベルの穀物と照らし合わせる程度にとどめる
  • フィニッシュ(飲み込んだあとの余韻):渋みや木の香りが長く残るなら、樽の影響が強い

この3段階で書き留めると、次に何を買えばよいかが分かります。たとえば「パレットのスパイシーさが好き」なら、ライ麦の多い銘柄から試します。

開栓後の保管

直射日光と高温を避けて立てて置きます。横にすると、高い度数の液体がコルクに触れ続け、栓が傷みやすくなります。残量が減るほど瓶の中の空気が増え、香りが変わりやすくなります。そのため、少なくなった1本は早めに飲み切るよう予定を立てます。

バーでの頼み方

銘柄名 → 飲み方 → 量の順に伝えます。たとえば「メーカーズマークを、ロックで、シングル」と伝えれば、一度で通じます。トゥワイスアップを頼むときは「常温の水で1対1」と添えると確実です。度数の高い銘柄をストレートで頼むときは、チェイサー(口直しの水)も一緒に頼みます。

ラベルの読み方と、古い記事を鵜呑みにしないための注意点

「Bourbon」「Straight」以外の表記がどこまで保証になるかは、法的な定義があるかどうかで読み分けます。

法的な定義がある表記と、ない表記

表記法的な定義棚での読み方
Bourbon/Straight Bourbonあり米国の法定基準(27 CFR 5.143)の条件を満たす。Straightは2年以上熟成
Bottled-in-Bondあり同じ蒸溜所・同じ蒸溜シーズンの原酒を木樽で4年以上貯蔵し、50%で瓶詰め
熟成年数表示あり使われた原酒のうち最も若いものの年数
Small Batchなし樽数に統一基準はない。造り手の説明として読む
Single Barrelなし通常は一つの樽の原酒だけを瓶詰めしたもの。樽ごとに香味の差が出る

同じブランドでも、ラベルが保証する中身は違います。エヴァンウィリアムズ ボトルド・イン・ボンドは、製造条件と度数を示します。エヴァンウィリアムズ 12年は、最も若い原酒が12年以上であることを示します。瓶詰め度数の高さを重視するなら前者、最も若い原酒の年数を重視するなら後者のラベルが判断材料になります。「Small Batch」は何樽以下という基準がないため、樽の数の少なさを示す表記として読まないようにします。

仕様は変わる:古い記事の数字を照らし合わせる

  • ジムビーム ブラック:2025年3月11日にリニューアル発売。現行品は7年以上熟成した原酒を使用
  • ワイルドターキー 101:2026年3月31日に国内で全国発売。700ml・50.5%
  • ワイルドターキー スタンダード/8年:2026年10月1日出荷分から価格を改定

記事の公開日や更新日がこれらの日付より前なら、熟成年数と価格をメーカーの現行の案内で確かめ直します。度数と年数の表示は瓶そのものに書かれた情報なので、迷ったときは手元のラベルを基準にします。

同じ銘柄でも、味が変わることはあります。樽ごとに熟成の進み方が違うため、複数の樽を混ぜる製品でもロットごとに細かな揺れが出ます。単一の樽から瓶詰めする製品では、その差がさらに大きくなります。リニューアルでは、ジムビーム ブラックのように原酒の熟成年数そのものが変わることもあります。

受賞歴の読み方

ワイルドターキー 8年は、東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2022で金賞を受賞しました。これは、2022年に出品された製品が審査で高く評価されたという事実で、品質のひとつの目安になります。ただし、審査で評価されるのは品質で、あなたの飲み方に合うかどうかは別の問題です。8年は50.5%で、8年以上熟成した原酒を使います。そのため、軽いハイボールを好む人には重く感じられることがあります。受賞歴を参考にするときは、自分の飲み方とその銘柄の度数・熟成の性格が合うかを先に確かめます。

よくある失敗と避け方

失敗原因避け方
50%前後の銘柄をストレートで飲み、刺激が強くて苦手になるエタノールの刺激が香りを覆う「最初の1杯」の手順で少量から加水する。またはハイボールにする
最初に長期熟成を選び、渋みに驚く熟成が長いとタンニンやウッディさが目立つことがあるまず4〜5年前後の銘柄で基準を作り、年数違いと飲み比べる
「Bourbon」とない米国産をバーボンだと思い込むAmerican WhiskeyやRye Whiskeyという表示だけでは、バーボンと判断できない。Tennessee Whiskeyはバーボンと製造基準が重なり、製品によってはバーボンの要件も満たすが、別の呼称で売られ、熟成前の木炭ろ過など独自の表示・製法要件があるバーボンを買うなら、商品ラベルの品目表示に「Bourbon」の語があるかを確かめる

よくある質問

ウイスキーのイメージ写真

ハイボールに使う炭酸水は何を選べばよいですか?

よく冷やした、開けたての強炭酸を選びます。二酸化炭素は温度が低いほど水に溶けたまま保たれるため、冷えた炭酸水のほうが注いだあとも泡が抜けにくくなります。大きなボトルを何度も開け閉めするとガスが減っていきます。1〜2杯で飲み切れる小さめの容量を使うと、毎回同じ刺激で作れます。

家の製氷機の氷と市販のロックアイスは、どちらを使うべきですか?

市販のロックアイスが向きます。時間をかけて凍らせるので気泡が少なく、硬くて溶けにくいためです。ハイボールでは炭酸が抜けにくく、ロックでは味が急に薄まりません。製氷機の氷は気泡が多く溶けやすいので、溶けた水で味がぼやけがちです。袋から出して表面が少し透明になってから使うと、注いだときに氷が割れにくくなります。

複数の銘柄を飲み比べるときは、どの順番がよいですか?

度数が低く熟成の軽いものから始め、度数が高く樽香の濃いものへ進みます。たとえばジムビーム、メーカーズマーク、ワイルドターキー 8年の順です。強い銘柄を先に飲むと、エタノールの刺激と樽の渋みが舌に残り、後の銘柄の甘さを拾いにくくなります。量は15ml程度に揃え、間に水で口を戻すと差が分かりやすくなります。

バーボンのハイボールにレモンを入れてもよいですか?

入れて構いませんが、皮と果汁では効き方が違います。皮を軽くひねって表面の精油を飛ばすと、柑橘の香りが加わり、バニラやキャラメルの香りはそのまま残ります。果汁を搾ると酸味で後味が締まる一方、甘い香りは感じにくくなります。最初の1杯は何も入れずに銘柄の香りを確かめ、2杯目から皮を試すと違いが分かります。

この記事で紹介した銘柄

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。