ウイスキー投資のおすすめ銘柄と将来性|買う前の判断基準
ウイスキー投資の将来性を、2025年に希少ボトル指数が10.9%下落した事実と熟成年数による供給制約から解説。過去の高額落札や高利回り実績の読み方、損失許容や売却先の確認など、買う前に押さえたい判断基準がわかります。
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ウイスキー投資の将来性:2025年の相場下落から読む現在地
ウイスキーが投資対象として注目されてきた理由は、供給を短期間で増やせない構造にあります。日本洋酒酒造組合の「ジャパニーズウイスキー」自主基準は、700リットル以下の木樽で国内3年以上貯蔵することを要件にしています。スコッチもスコッチウイスキー規則(SWR 2009)で、オーク樽での3年以上の熟成が義務です。12年や21年といった年数表記品の出荷量は、表記年数より前に蒸溜し、樽詰めした原酒の量で上限が決まります。需要が急に伸びても、今日増産した原酒は12年後まで12年物として出荷できません。この時間差が「希少性が価格を押し上げる」という説明の土台です。
2025年、希少ボトル指数は10.9%下落
供給を増やしにくいことは、値上がりの条件の一つにすぎません。Knight Frankが公表する希少ウイスキーボトル指数は、2025年に10.9%下落しました。「持っていれば毎年上がる資産」という前提は、すでに成り立っていません。供給が増えなくても、買い手が減れば価格は下がります。この指数の下落は、その関係を数字で示したものです。ただし、この指数の対象は収集用の希少ボトルです。山崎12年のような一般流通品や、日本の個別銘柄の値動きを直接示す数字ではありません。個別のボトルの相場は、同じ仕様のボトルの成約データで別に確認してください。
過去の高額落札や「10年で400%」は想定利回りにならない
オークションでの高額落札や「10年で利回り400%」といった実績は、次の条件がそろって生まれた結果です。
- 特定の銘柄を、値上がり前の安い価格で取得できた
- 需要が伸びている局面で売却できた
これから買う人の取得価格は、その値上がりをすでに織り込んだ水準です。同じ倍率で計算すると、出発点がずれます。また高額落札の記録は、ラベル、液面の高さ、化粧箱などの付属品、来歴の条件が最も良い1本の結果です。手元のボトルがその価格で売れることを示すものではありません。数字を見るときは、次の4点を切り分けて確認してください。
- いつ買ったか
- いくらで買ったか
- どの場で売れたか
- どんな状態のボトルだったか
値動きを左右する要因
| 要因 | 価格への効き方 | 購入前の確認点 |
|---|---|---|
| 銘柄の人気 | 二次流通での買い手の数が売値の上限を決める | オークションや買い取り店で継続的に取引があるか |
| 終売・休売 | 新規供給が止まり、市場にある在庫だけになる | 再発売の可能性(例は銘柄表の宮城峡10年を参照) |
| 限定品か通年品か | 通年品はメーカーの出荷が続く限り供給が補充される | 限定本数、ボトリング年やロットの違い |
| 原酒の供給状況 | 原酒が不足して出荷が絞られると、通年品も品薄になる | メーカーの出荷調整・休売の告知や、蒸溜所の増設の発表が出ていないか |
| 二次流通の需要 | 売れる場の厚みが換金のしやすさを決める | 買い取り店とオークションの両方で落札・買い取り実績があるか |
出荷が増えて供給が戻れば、二次流通の価格には下がる圧力がかかります。
「確実に増える資産」ではなく、嗜好品の現物保有として考える
ウイスキー投資は、価格が下がることもある嗜好品を現物で持つことです。購入前に、次の基準で判断してください。
- 購入総額を全額失っても、生活や他の支払いに支障がないか
- 売却手取が購入総額を下回った場合に、保有を続けるか、損失を確定して売るかを決めているか
- 売るときの買い手(買い取り店やオークション)を、買う前に確認したか
- 売買を繰り返す予定がある場合、酒類販売業免許の要否を確認したか(ボトルの章を参照)
- 樽を買う場合、所有者登録を倉庫業者に直接確認できるか(詳しくは樽の章で説明)
自分で飲んで楽しめることは、その銘柄を持つ理由にはなります。ただし、購入代金を回収できることを意味しません。金銭的な損失は、飲用価値とは分けて見積もってください。これらのどれかに「いいえ」が付くなら、その購入は見送る判断が妥当です。
投資対象として語られる銘柄と、定価・流通の見方

投資の文脈でよく名前が挙がるのは、サントリーの山崎・白州・響、ニッカの宮城峡、スコッチのマッカラン、秩父のイチローズモルトです。ただし、ブランドの知名度と個々のボトルの売りやすさは同じではありません。同じ宮城峡10年でも旧版と再発売品では、また同じイチローズモルトでも通年品と限定品では、買い手の層も取引の頻度も違います。換金できるかどうかは、銘柄名ではなく容量・度数・ラベル・ボトリング年まで特定したうえで、同じ条件の成約件数と買い取りの可否で確かめてください。値動きの理由も銘柄ごとに違います。原酒の構成、出荷の仕方、ボトリングの単位を分けて見る必要があります。
| 銘柄 | 容量・度数 | メーカー希望小売価格(税別) | 注目される理由 | 購入前の確認点 |
|---|---|---|---|---|
| 山崎12年 | 700ml・43% | — | ホワイトオーク樽、スパニッシュオーク樽、ミズナラ樽の原酒を組み合わせた構成。国際的な受賞歴 | 通年品なので、出荷が増えれば品薄による上乗せ分は縮む |
| 白州12年 | 700ml・43% | — | 山崎と並ぶサントリーのシングルモルト。年数表記のない白州には軽くピートを焚いた麦芽の原酒を使用 | 出荷状況で品薄が緩む点は山崎12年と同じ |
| 響21年 | 700ml・43% | — | モルト原酒もグレーン原酒も酒齢21年以上。長期熟成原酒の在庫が出荷量の上限になる | 購入額が大きく、下落したときの損失額も大きい |
| 宮城峡10年 | 700ml・45% | 国内参考小売価格 — | 発売延期を経て、2026年2月3日から数量限定で順次発売 | 旧ボトルと現行ボトルを区別して相場を見る |
表の価格は、メーカーが示す希望小売価格または参考小売価格です。実売価格でも買い取り価格でもありません。山崎12年と白州12年は定価が近くても、二次流通の相場は銘柄ごとに別々に動きます。マッカランとイチローズモルトは、国内の定価で比べるより、ボトリングごとの評価で見るほうが実態に合います。
推奨できる条件と、現時点の結論
候補は、次の条件をすべて満たす場合にだけ購入を検討します。
- 容量・度数・ラベル・ボトリング年まで特定したボトルである
- 定価またはそれに近い価格で購入できる
- 同じ仕様のボトルに直近の成約が複数あり、買い取り店でも買い取りの対象になっている
- その成約価格から計算した売却手取が、購入総額を上回る(計算はボトルの章を参照)
- 再発売や出荷増で供給が戻るリスクが小さい
| 候補 | 通年品か限定品か | 購入可能な価格 | 直近の売却実績 | 供給再開リスク |
|---|---|---|---|---|
| 山崎12年 | 通年品 | 定価は銘柄表のとおり。実際の購入価格は購入ルートで異なる | 本記事では未確認。仕様を特定して成約件数を調べる | 出荷が続く限り供給が補充される |
| 白州12年 | 通年品 | 定価は銘柄表のとおり。実際の購入価格は購入ルートで異なる | 本記事では未確認 | 出荷が続く限り供給が補充される |
| 響21年 | 通年品 | 定価は銘柄表のとおり。購入額が大きい | 本記事では未確認 | 長期熟成原酒の在庫しだいで出荷量が変わる |
| 宮城峡10年 | 再発売品は数量限定。旧ボトルとは別の商品として扱う | 再発売品の参考小売価格は銘柄表のとおり | 本記事では未確認。旧版と再発売品を分けて調べる | すでに再発売されており、旧ボトルの「入手できない」という根拠は弱まった |
| マッカラン | 通年品と限定ボトリングが並存し、銘柄名だけでは判断できない | ボトリングごとに異なる | 本記事では未確認 | 通年品は出荷が続く限り供給が補充される |
| イチローズモルト | 通年品と限定品が並存する | ボトリングごとに異なる | 本記事では未確認 | 通年品は出荷が続く限り供給が補充される |
本記事では、上の条件をすべて満たすと確認できた候補はありません。そのため現時点では、値上がりを目的とした購入はどの候補も勧めません。購入を検討するのは、自分で仕様と直近の成約を確認し、売却手取が購入総額を上回ると計算できた特定のボトルに限ってください。
宮城峡10年の再発売と、旧ボトル相場の変化
宮城峡蒸溜所は、蒸気による間接加熱と、上向きのラインアーム(蒸溜器の頭部から冷却器へ蒸気を送る管)を持つバルジ型ポットスチルを使っています。上向きの管では重い成分が液体に戻りやすく、再び蒸溜器内を循環します。この還流が多いため、軽やかで華やかな原酒になります。同じニッカでも、余市蒸溜所は石炭直火蒸溜とストレートヘッド型ポットスチルを使い、骨格の強い原酒をつくります。宮城峡10年が注目されるのは、この個性が10年熟成で表れたシングルモルトだからです。
一度終売した銘柄が再び発売されると、「もう手に入らない」ことを理由に上がっていた旧ボトルの相場には下押しの力がかかります。反対に、現行品との香味や表記の違いがはっきりしていれば、旧ボトルは別の商品として評価が分かれることもあります。旧ボトルを売るか持ち続けるかは、現行品が出荷されている間の取引価格を見てから判断してください。
イチローズモルトは「限定か通年か」で扱いが分かれる
イチローズモルトは、ボトリングごとに原酒の構成が変わります。そのため、同じブランド名でも二次流通での評価が大きく分かれます。イチローズモルト ワールドブレンデッド リミテッドエディションは、商品名に「リミテッド」とありますが、それだけで生産本数が固定された単発の限定品とは判断できません。正式な商品名、ラベル、ボトリング年、メーカーが発表した限定本数と追加出荷の有無を確認してください。本数が公表されていなければ、継続流通品として扱います。イチローズモルト モルト&グレーン クラシカルエディションのように限定と記されていないボトルは、まず継続して出荷されているかを確認してください。出荷が続いている品は、供給が補充されるため値上がりを前提にできません。もう一点、名称に「ワールドブレンデッド」とある製品は、海外の原酒も使っています。後述するジャパニーズウイスキーの自主基準には当てはまりません。
受賞歴は需要の材料であって、価格の保証ではない
山崎12年は、インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ2024で全部門最高賞を受賞しました。受賞の報道は新しい買い手を呼び、一時的に需要を押し上げることがあります。ただし、受賞はその年に審査されたボトルの香味に対する評価です。将来の売却価格を約束するものではありません。受賞のニュースが出た直後に高値で買うと、需要が落ち着いたときの下落を一番大きく受けることになります。
「ジャパニーズウイスキー」表示の現状と、購入時の確認点
日本洋酒酒造組合の自主基準では、前の章で触れた貯蔵要件に加えて、次の条件が求められます。
- 原材料は麦芽・穀類・日本国内で採水された水に限り、麦芽を必ず使う
- 糖化・発酵・蒸留を国内の蒸留所で行う
- 瓶詰めを国内で行い、瓶詰め時のアルコール分は40%以上
この基準は業界の自主ルールで、法律による義務ではありません。国税庁は2025年12月の酒類分科会資料で、ジャパニーズウイスキーの地理的表示(産地名を保護する制度)の指定と、法に基づくウイスキー表示基準の制定を検討事項に挙げています。制度の内容も施行時期も、現時点では決まっていません。購入時には、ラベルの「ジャパニーズウイスキー」表記の有無と、原酒の産地・製造工程についてのメーカーの説明を確認してください。
樽(カスク)投資の落とし穴:所有権・目減り・度数40%の壁
価格表も売買市場もない:売りたいときに売れないリスク
Scotch Whisky Associationによると、熟成中のスコッチの樽には公認の売買価格表も、整備された売買市場もありません。確立した売却の仕組みもないため、業者が示す「評価額」は、その業者が付けた値段です。買い戻し先を購入時点で確保できるとは限らず、相手が見つかるまで樽は現金になりません。契約前に、仲介業者の買い取り条件、手数料、最低取扱条件、倉庫での移転手続きを書面で確認してください。自分で瓶詰めして売る場合も、瓶詰め費用と、保税倉庫(酒税を猶予した状態で保管する倉庫)から出すときの税負担がかかります。
17人中4人:所有権は契約書と倉庫の記録で確かめる
英国倒産局は2026年8月、調査した樽投資会社の顧客17人のうち、有効な所有権書類を持っていたのは4人だったと公表しました。代金を払っていても、書類がなければ樽が自分のものだと示せません。購入と権原(法的な所有の根拠)を示すのは売買契約書です。そのうえで、倉庫にも所有者変更が記録・承認されているかを別に確認します。業者が発行する「証明書」は、倉庫の記録と一致して初めて意味を持ちます。樽の書類は、Scotch Whisky Associationが確認を勧めているものです。契約前に次の項目を確認してください。
- 契約書に樽番号・樽種・内容量・保管先・保管費用の5項目がすべて書かれている
- 契約書の樽番号が、倉庫の記録の番号と一致している
- 倉庫業者が自分への所有者変更を記録・承認したことを示す書面がある
- その記録を、業者を通さず倉庫業者に直接問い合わせて確認できる
- 保管費用の請求元(倉庫か業者か)が明記されている
倉庫の記録の確認が業者経由でしかできない場合は、所有が確かめられたことになりません。
目減りと40%の壁:長く寝かせるほど得とは限らない
樽の原酒は木を通して蒸散し、容量もアルコール度数も減っていきます。冷涼で湿度の高いスコットランドの倉庫では、水よりアルコールが抜けやすく、度数は年ごとに下がります。SWR 2009はスコッチウイスキーの最低アルコール分を40%と定めているため、40%を下回った原酒は樽のままでもスコッチウイスキーとして販売できません。「長く熟成させるほど高く売れる」という説明は、この下限と、減り続ける液量を計算に入れていません。減り方は樽の大きさや倉庫内の置き場所で樽ごとに違います。購入後はリゲージ(現在の液量と度数の測り直し)を定期的に依頼し、度数が40%に近づく前に売却か瓶詰めを判断してください。リゲージの結果は、液量と度数から換算した純アルコール量(RLA)で示されます。樽詰め時の純アルコール量(OLA)や樽詰め時の度数と比べて、目減りを判断します。契約書にOLAと樽詰め日が書かれているかも確認してください。
樽種の記載が評価の根拠になる
ファーストフィルは、バーボンやシェリーを抜いた樽を、スコッチの熟成に初めて使うものです。リフィルは、スコッチの熟成にすでに1回以上使った樽を再使用したものです。チャーは樽の内側を炎で焦がす処理、トーストは焦がさない程度に加熱してあぶる処理で、どちらを施したかによって木から移る成分が変わります。同じ年数でも、樽種によって熟成の進み方と評価が変わります。
| 樽種 | 熟成の進み方 | 評価への影響 | 契約書で確かめる点 |
|---|---|---|---|
| ファーストフィルのバーボン樽 | 内側を焦がした(チャー)樽の成分が残り、バニラ香や色が早く移る | 樽履歴は香味形成の条件。売却価値はサンプルの香味や同等樽の実取引で判断する | 「ファーストフィル」の明記 |
| リフィル樽 | 木の成分が前の熟成で抜けており、変化は穏やか | 短期熟成では原酒の個性が前に出る。長期熟成に向く | スコッチで何回目の使用か |
| シェリー樽 | 色とドライフルーツのような香味が強く移る。現在の多くはシェリーでシーズニング(酒をしみ込ませる処理)した樽 | 評価は高いが品質の幅も大きい | シェリーの種類、ファーストフィルかリフィルか、オークの種類(アメリカンかヨーロピアンか) |
| 小容量の樽 | 液に触れる木の面積の比率が大きく、抽出や液量の変化が速くなり得る | 40%への接近は樽の大きさから推測せず、現在と過去のリゲージ値で判断する | バレル、ホグスヘッド、バットなど樽の名称と実容量 |
契約書に「シェリー樽」とだけ書かれていると、樽の使用回数も処理も分かりません。その状態では、提示された評価額が妥当かを検証できません。樽履歴は香味がどう形づくられるかの条件であり、売却価値を直接決めるものではありません。ファーストフィルでも原酒との釣り合いが悪ければ評価は下がり、リフィルでも優れた熟成原酒はあります。売却価値は、蒸溜所、蒸溜年、現在の液量と度数、リゲージ結果、サンプルの香味、同等の樽の実際の取引価格で見積もってください。
勧誘を受けたときの危険信号
- 「年利○%」などの利回りや元本を保証する
- 売却先と売却方法を説明せず、「満期に買い戻す」とだけ言う
- 保管先の倉庫名を明かさない、倉庫への直接確認を断る
- 樽番号を契約後まで示さない
- 「今月中」「残り数樽」と契約を急がせる
**1つでも当てはまれば契約は見送ってください。**すでに契約している場合は、まず倉庫業者に自分名義の登録があるかを問い合わせます。登録がなければ、契約書とやり取りの記録をそろえ、消費者ホットライン(188)に相談してください。
ボトルで始めるなら:買い方・保管・売却の実務と判断基準

ボトルは樽に比べて少額から始められ、売り先も見つけやすい形です。一方で、価値はラベル、液面、箱を含めたボトルの状態で決まります。そのため、買い方、保管、手放し方のすべてが評価額に直結します。樽の詳細は前の章で触れたとおりなので、ここでは両者の違いを実務の観点だけで比べます。
| 比較項目 | ボトル | 樽(カスク) |
|---|---|---|
| 初期費用 | 1本単位で購入でき、金額を自分で区切れる | 1樽単位の購入で、保管費用が毎年かかる |
| 流動性 | 買い取り店やオークションなど売り先が複数ある | 売り先が限られる(樽の章を参照) |
| 保管の手間 | 自宅で管理できるが、状態の維持は自己責任 | 倉庫に預けるため、リゲージや保管費の管理が必要 |
| 真贋・所有権のリスク | 偽造品、詰め替え品、付属品の差し替え | 契約書で購入と権原を示し、倉庫にも所有者変更が記録・承認されているか確認する |
| 売却先 | 買い取り店、オークション | 確立した売却の仕組みはない。仲介業者の買い取り条件を契約前に書面で確認する |
購入時の判断基準:4点を買う前に確かめる
- 正規の販売ルートか:メーカーの特約店や百貨店、酒販店の店頭・抽選販売で買ったものは、来歴を説明しやすい。個人間取引品は真贋を自分で証明できない
- 付属品がそろっているか:化粧箱、冊子、外装フィルムの有無で買い取り評価が変わる。限定品は箱の有無だけで評価が分かれる
- ロットや瓶詰め時期が分かるか:瓶の裏やラベルの印字でボトリングを区別できるか。同じ銘柄でも旧ボトルと現行品は別の相場で取引される
- 相場の根拠を複数の売却先で確認したか:同じ仕様のボトルについて、買い取り店2社以上の実際の査定額と、オークションの落札額から手数料などを引いた手取額を並べ、下の計算で購入総額と比べる。販売価格だけを根拠にしない
売却手取の計算:損益分岐を買う前に出す
比べるのは「購入価格と落札額」ではなく、「購入総額と売却手取」です。
- 購入総額=購入価格+購入時の送料+保管にかけた費用
- オークションの売却手取=落札額-出品手数料などの売り手側の手数料-梱包・発送費-振込手数料
- 買い取り店の売却手取=実際の査定額-売り手負担の送料-振込手数料
仮の数字で計算します。購入価格150,000円、購入時の送料2,000円、保管費なしとすると、購入総額は152,000円です。オークションの売り手側の手数料を落札額の10%、発送費を3,000円と仮定すると、落札額170,000円での手取は170,000円-17,000円-3,000円=150,000円です。落札額が購入価格を上回っていても、2,000円の損失になります。この条件での損益分岐の落札額は、(152,000円+3,000円)÷0.9=約172,300円です。買い取り店で送料を店が負担し、振込手数料もかからない場合は、損益分岐の査定額は152,000円です。店の掲示する「上限買い取り価格」ではなく、実際に出た査定額で比べてください。手数料率や費用は売り先ごとに違うため、出品規約と買い取り条件で実際の数字を確かめてから計算します。
保管の実務:状態の劣化はそのまま減額になる
ボトルは立てて保管します。ワインのように寝かせると、度数40%を超えるアルコールがコルクに触れ続けてコルクを傷めます。崩れたコルクは液漏れや異臭の原因になり、抜栓時に折れる原因にもなります。直射日光は液色やラベルを退色させるので避けます。温度変化も避けます。温度が上下するたびに液体と瓶内の空気が膨張と収縮を繰り返し、コルクの隙間から少しずつ蒸散が進むためです。押し入れの奥など、光が届かず温度が安定する場所が向きます。
買い取り査定では、液面の高さ、キャップシールの状態、箱の角のつぶれや色あせが確認されます。液面が肩口より下がったボトルや、箱が傷んだボトルは、同じ銘柄でも評価が下がります。購入時に液面の位置を写真で記録しておくと、変化に気付けます。開栓したボトルは資産として扱えません。 瓶内の空気に触れて酸化が進み、香味が変わるうえ、未開栓でなければ買い取りの対象外になるのが一般的です。売る予定のボトルと飲むボトルは分けて持ってください。
売却時の注意点:免許と売り先の選び方
日本で酒類の販売を業として行う場合は、国税庁の案内のとおり、販売場ごとに酒類販売業免許が必要です。値上がりを狙って仕入れては売る取引を繰り返すと、個人でも販売業にあたると判断される可能性があります。自分のコレクションを手放す場合は、次の方法が一般的です。
- 酒類の買い取り店:査定から入金までが早く、価格交渉もしやすい。2社以上で査定を取り、付属品を含めた条件で比べる
- オークション:限定品や旧ボトルなど、欲しい買い手が限られる銘柄は高値が付くことがある。ただし手数料が引かれ、落札まで時間もかかる。出品規約で酒類の扱いを確認する
結論:飲める銘柄を、失っても困らない金額で
ボトル投資で最後に残る判断基準は2つです。1つ目は、売れなかったときに自分で開けて飲み、納得できる銘柄を選ぶことです。2つ目は、相場が下がっても生活や他の資産運用に影響しない金額にとどめることです。通年品は飲む前提で買い、限定品は箱と付属品を完全に保てる本数だけ買う、と分けると判断がぶれません。
よくある質問
海外オークションで落札したボトルを日本に送るとき、何に注意すべきですか?
まず出品規約で、酒類の国際配送が認められているかを確認してください。オークション会社や配送業者によっては、酒類の海外発送を扱わない場合があります。日本に届く際は輸入の扱いになり、酒税と消費税がかかります。関税の有無を含めた税額は、税関の案内で確認してください。配送中の破損や液漏れが保険や補償の対象になるか、補償の上限額がいくらかも、落札前に確かめておきます。税と送料を含めた額が、損益分岐を計算するときの購入総額になります。
買った銘柄の香味を確かめるとき、加水はしたほうがよいですか?
まずストレートで香りを取り、次に数滴ずつ水を加えて変化を比べる方法が向いています。山崎12年のような43%のボトルでは、加水でアルコールの刺激が和らぎ、樽由来の香りを拾いやすくなります。入れすぎると戻せないので、少量から試してください。グラスは口のすぼまったテイスティンググラスを使うと、香りがまとまります。
同じ銘柄でもボトリングごとに味が違うのはなぜですか?
年数表記品は、熟成の進み方が異なる多数の樽の原酒を組み合わせて香味をそろえます。樽の仕上がりは、種類や使用回数、倉庫内の置き場所で変わります。そのため、原酒の在庫が入れ替われば構成も少しずつ変わります。この差が、ロットごとの評価の差になります。売買では、旧ボトルと現行品をラベルの表記、ボトル形状、裏ラベルのロット印字で見分け、相場は別々に調べてください。
年数表記のないボトルは投資対象になりますか?
SWR 2009では、年数表記は使った原酒のうち最も若いものの熟成年数を示します。表記のないボトルは年数の縛りがないため、原酒を組み合わせる自由度が高くなります。通年品の扱いはイチローズモルトの節を参照してください。白州の年数表記のない製品のように、香味の個性で選んで飲むボトルとして扱うのが妥当です。
出典・参考にした情報

- Knight Frank(確認日 2026-10-17)
- Scotch Whisky Association(確認日 2026-10-17)
- 英国倒産局(確認日 2026-10-17)
- 日本洋酒酒造組合(確認日 2026-10-17)
- 国税庁(確認日 2026-10-17)
- サントリー(確認日 2026-10-17)
この記事で紹介した銘柄
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