バーボンウイスキー

フォアローゼズの飲み方|プラチナ含む全5種の特徴とレシピ

フォアローゼズの飲み方を、プラチナを含む全5種の特徴とあわせて解説。2種の穀物配合と5種の酵母で造る10種の原酒の仕組みや、OBSVなど原酒コードの読み方が分かり、銘柄ごとの味の違いから好みに合う飲み方とレシピを選べます。

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フォアローゼズとは|2種の穀物配合×5種の酵母で10種の原酒を造るバーボン

フォアローゼズは、米国ケンタッキー州で造られるバーボンです。最大の特徴は、2種類の穀物配合と5種類の酵母を掛け合わせて、性格の違う10種類の原酒を造り分けていることです。この10種のレシピは香味設計の基礎です。ただし、最終的な味はレシピだけでは決まりません。樽の選択、熟成の進み方、原酒のブレンド比率、瓶詰め前の加水も味を左右します。製品を選ぶ前に、この仕組みを押さえておくと違いが分かりやすくなります。

バーボンの条件と、新樽が生む香りの土台

米国酒類たばこ税貿易管理局(TTB)の表示基準では、バーボンは次の条件を満たす必要があります。米国内で造ること、原料穀物の51%以上がトウモロコシであること、蒸溜時の度数が80%(160プルーフ)以下であること、樽詰め時の度数が62.5%(125プルーフ)以下であること、内側を焦がした新しいオーク樽で熟成すること、瓶詰め時の度数が40%(80プルーフ)以上であること、着色料や香料を加えないことです。「ストレート・バーボン」は、これらバーボンの条件をすべて満たしたうえで、さらに2年以上熟成させたものを指す区分です。スコッチはバーボンやシェリーの空き樽を使い回すのが主流で、カラメル色素での色調整も認められています。これに対してバーボンは、毎回新しい樽を使います。内面の焦げた層(チャー)とその下の熱を受けた木材から、バニラやキャラメルを思わせる成分が濃く溶け出すため、これがバーボンの甘い香りの土台になります。琥珀色もすべて樽から来たものです。

穀物配合「B」と「E」

配合トウモロコシライ麦麦芽大麦傾向
B60%35%5%スパイシーで骨格が強い
E75%20%5%甘く丸い口当たり

穀物配合(マッシュビル)とは、原料穀物の比率のことです。ライ麦は、コショウやクローブのような辛みと、引き締まった骨格を原酒に与えます。トウモロコシは、甘さとふくよかさを与えます。ライ麦を35%使うBは辛口で輪郭がはっきりし、トウモロコシを75%使うEは甘くまろやかになります。

5種の酵母と原酒コード(OBSVなど)の読み方

同じ原料の液を発酵させても、酵母の種類によって生まれる成分の量が変わります。とくに果実や花の香りのもとになるエステルの量が違ってきます。フォアローゼズは5種類の酵母を使い分け、2種類の配合と組み合わせて10種類の原酒を造っています。原酒は4文字のコードで表します。

  • 1文字目:O=フォアローゼズ蒸溜所で蒸溜した原酒(10種すべてで共通)
  • 2文字目:穀物配合(BまたはE)
  • 3文字目:S=ストレート・ウイスキー(10種すべてで共通)
  • 4文字目:酵母(V・K・O・Q・Fの5種)

たとえばOBSVは「B配合をV酵母で発酵させた原酒」、OESKは「E配合をK酵母で発酵させた原酒」を意味します。蒸溜所は、5種の酵母の性格を次のように説明しています。

酵母蒸溜所が公表している性格
V繊細な果実
K軽いスパイス
O濃い果実
Q花
Fハーブ

香味を読むときは、この対応を手がかりにします。酵母由来のエステルによる果実や花の香りはノージング(グラスから香りを取る段階)で、配合由来のトウモロコシの甘さとライ麦の辛みはパレット(口に含んだときの味わい)で、新樽由来のバニラやキャラメル、ライ麦のスパイスはフィニッシュ(飲み込んだ後の余韻)で拾いやすくなります。後の章の商品ごとの説明は、この対応に沿って原酒コードと香りを結びつけています。

コラムスチルとダブラーによる蒸溜

スコッチのモルトウイスキーは、スコッチウイスキー規則(SWR 2009)でポットスチル(単式蒸溜器)での蒸溜が求められています。多くの蒸溜所は2回蒸溜ですが、3回蒸溜を行う蒸溜所もあります。2回蒸溜の場合、初溜(ウォッシュスチル)ではカットをせず、ローワイン(初溜液)を全量回収します。再溜(スピリットスチル)で、蒸溜液をフォアショッツ(前留)・ハート(本留)・フェインツ(後留)に分け、ハートだけを樽詰めに回します。前留と後留は、次の回の再溜に戻して蒸溜し直すのが一般的です。スチルの形状やラインアーム(蒸気を冷却器へ送る管)の角度によって、蒸気が凝縮して釜に戻る量(還流)が変わり、酒質が軽くも重くもなります。

フォアローゼズは、塔型のビアスチル(コラムスチル)に発酵液を連続して通して最初の蒸溜を行います。そこで得た液を、ポット型のダブラー(再蒸溜器)でもう一度蒸溜します。1回ずつ区切って蒸溜し、前・中・後を切り分ける回分式のミドルカットとは、仕組みが違います。

樽詰め度数は60%

蒸溜所は、樽に詰めるときの度数を120プルーフ(60%)に定めています。法定上限の62.5%(125プルーフ)に対し、60%とやや低めに詰めていることになります。樽材の成分には、水に溶けやすいものとアルコールに溶けやすいものがあります。そのため、樽詰め時の度数は、熟成中にどの成分がどれだけ溶け出すかを左右します。10種類の原酒をすべて同じ度数で樽に詰めているので、原酒ごとの違いは配合と酵母の差として比べやすくなります。製品は40〜50%で瓶詰めされているので、瓶詰め前に加水して度数を下げています。

注意:「10種の原酒」は通常のバーボンだけ

商品原酒の数使用する原酒
バーボン10種全原酒
ブラック(日本限定)2種OBSK・OESK
プラチナ(日本限定)4種OBSV・OBSK・OESV・OESK
スモールバッチ4種OBSK・OBSO・OESK・OESO
シングルバレル1種OBSV

コードを見ると、各商品の構成が読めます。**ブラックは酵母をKに固定し、B配合とE配合を合わせた構成です。違いが出るのは配合の比率と熟成で、酵母の差は入っていません。**ただし、ブレンドした1本を飲んでも、BとEの味を分けて確かめることはできません。配合の差を実際に比べたい場合は、蒸溜所や海外で流通しているシングルバレル(OBSKとOESKなど)を並べる方法があります。シングルバレルはOBSVだけなので、プラチナに含まれるOBSVの個性を単独で知る手がかりになります。シングルバレルとプラチナは、シングルバレルのOBSVがプラチナのブレンドにどう溶け込んでいるかを確かめる組み合わせです。順番はプラチナ→シングルバレル(度数の低い順。理由は後の章)にそろえます。

フォアローゼズ全種類の特徴を比較|バーボン・ブラック・シングルバレル・プラチナ・スモールバッチ

ウイスキーのイメージ写真

日本向けの公式ラインアップは、バーボン、ブラック、シングルバレル、プラチナ、スモールバッチの5商品です。製法の仕組みは前の章で触れたとおりなので、ここでは商品ごとの仕様と香味を並べ、選ぶときの判断基準をまとめます。

商品使用原酒(コードと数)熟成年数度数キリンが挙げる香味日本限定
バーボン全10種5年以上40%洋梨・リンゴの味わい、花・果実の香りいいえ
ブラックOBSK・OESK(2種)6年以上40%ナツメグ、シナモンはい
シングルバレルOBSV(1種・一樽ずつ瓶詰め)7年以上50%プラム、チェリーいいえ
プラチナOBSV・OBSK・OESV・OESK(4種)8年以上43%プラム、チェリー、オーク、キャラメルはい
スモールバッチOBSK・OBSO・OESK・OESO(4種)6年以上44%以上45%未満—いいえ(国内は数量限定販売)

価格はメーカー発表では「オープン価格」です。店頭価格の目安は通販サイト以外では確認できないため、表には価格以外の比較軸を並べています。

バーボン:全原酒を使う基準の1本

10種すべての原酒をブレンドしているので、Bのライ麦由来の辛みとEの甘さ、酵母ごとの果実や花の香りが一通りそろいます。蒸溜所が示す酵母の性格に当てはめると、果実の香りはV酵母(繊細な果実)とO酵母(濃い果実)、花の香りはQ酵母、ハーブの印象はF酵母、軽いスパイスはK酵母の原酒が担うと読めます。キリンが挙げる洋梨・リンゴの味わいや花・果実の香りは、これらの重なりとして理解できます。香味の幅が広い分、炭酸やソーダで薄めても輪郭が崩れにくく、ハイボールやカクテルの基準になります。ほかの4商品を飲み比べるときも、まずこの1本を起点にすると差がつかみやすくなります。

ブラック(日本限定):酵母をKにそろえた構成

OBSKとOESKは、酵母がKで共通し、穀物配合だけが違います。K酵母は、蒸溜所が「軽いスパイス」と説明している酵母です。キリンが挙げるナツメグやシナモンの香味は、この性格と方向が一致しており、K酵母がこの銘柄の軸だと読めます。そこにB配合のライ麦がパレットで辛みと骨格を足し、E配合が甘さで角を丸めています。度数はバーボンと同じ40%ですが、熟成は6年以上と1年長く、樽由来の甘いスパイス感も厚くなります。

シングルバレル:一樽ごとの個体差を前提に評価する

OBSVを一樽ずつ瓶詰めし、50%で仕上げています。キリンが挙げるプラムやチェリーの果実味は、蒸溜所が「繊細な果実」と説明するV酵母の性格と重なり、B配合のライ麦が辛みと骨格で支えます。原酒の種類も樽詰め度数(60%)も全樽で共通なので、ボトルごとの差は熟成の段階で生まれます。フォアローゼズは平屋(単層)のラック式倉庫で熟成させており、多層倉庫に比べて上下の段による温度差を抑えています。そのため樽差の主因は、樽材の個体差、チャーの深さ、倉庫内の位置(外壁側か中央か)といった残りの要素になります。ブレンドで平均化されないため、同じ銘柄でも樽ごとに香味の差(樽差)が出ます。評価や店頭での説明は「この銘柄の味」ではなく「このボトルの味」として扱い、新しいボトルを開けたら提供前にテイスティングして説明を更新するのが確実です。蒸溜所の説明では、瓶詰め前に冷却濾過(低温で濁りの成分を除く処理)をしています。2024年のワールド・ウイスキーズ・アワードで「World’s Best Single Barrel Bourbon」を受賞しました。

プラチナ(日本限定):最長熟成と43%の厚み

BとEの両配合を、V酵母とK酵母で造った4種でそろえた構成です。V酵母の果実とK酵母の軽いスパイスに、B配合の辛みとE配合の甘さが重なります。日本のラインアップで最も長い8年以上熟成した原酒を使用しており、キリンはプラム、チェリーに加えてオークとキャラメルの香味を挙げています。新樽での熟成中は、木材成分の抽出に加えて、酸化や揮発も同時に進み、その進み方は樽ごとに違います。熟成が長いほど良いとは限らず、木の渋みや苦みが前に出すぎる場合もあるので、年数は選ぶ目安の一つとして扱ってください。度数は40%より少し高い43%で、ストレートでも口当たりが薄くならず、果実味と樽香の厚みを保ちます。

スモールバッチ:ブラックの原酒にO酵母を加えた4種

OBSKとOESKはブラックと同じ原酒で、これに蒸溜所が「濃い果実」と説明するO酵母の2種(OBSO・OESO)を加え、44%台で瓶詰めしています。ブラックと並べて飲むと、O酵母の原酒と度数の差がどう効くかを確かめられます。日本では数量限定販売です。米国の限定品との違いは後の章を参照してください。

目的別の選び方は後の章でまとめています。

2024年のリニューアルで味は変わっていない

2024年3月出荷分から、バーボン、ブラック、シングルバレル、プラチナのパッケージが順次変わりました。キリンは中味を変えていないと発表しているので、新旧ボトルで味の違いを探す必要はありません。差を感じた場合は、開栓後の経過日数や提供温度、シングルバレルなら樽ごとの個体差を先に疑ってください。

銘柄別に決める基本の飲み方|ストレート・ロック・トワイスアップ・水割り・ハイボールの比率と手順

飲み方は、香味の強さと甘さ、割り材との相性、そして何を確かめたいかで決めます。度数は判断材料の一つです。バーボンは花や果実の香りが主体で、炭酸に乗せると香りが立ちやすいので、最初の一杯はハイボールが合います。ブラックはK酵母のスパイスが軸なので、ロックで甘さが締まってもスパイスを追いやすい銘柄です。プラチナは果実味とオーク、キャラメルの重なりを確かめるために、まずストレートで飲みます。シングルバレルは50%と高く、樽ごとに香味が違うので、ストレートに数滴ずつ水を足し、そのボトルの適量を探します。スモールバッチはブラックと共通のK酵母の原酒にO酵母の原酒を加えた構成なので、まずストレートでブラックとの違いを確かめ、割るならトワイスアップから試します。表の「次に試す飲み方」は好みで入れ替えて構いません。どの飲み方でも、注ぐ量はシングル約30ml、ダブル約60mlを基準にします。

銘柄度数最初の一杯次に試す飲み方割るときの目安
バーボン40%ハイボール水割り・ロックソーダ1:3〜4、水1:2〜2.5
ブラック40%ロックハイボールソーダ1:3〜4
プラチナ43%ストレートトワイスアップ水1:1(常温)
シングルバレル50%ストレート+数滴の加水トワイスアップ数滴ずつ足し、止めどきを探す
スモールバッチ44%台ストレートトワイスアップ・ロック水1:1(常温)

加水で香りが立つ理由と、止めどきの見極め方

度数の高い液体では、エタノールの刺激が鼻を占め、果実や花を思わせるエステルや、樽由来のバニラ系の香りが隠れがちです。水を足して度数を下げると刺激が引き、それまで感じにくかった香りを拾いやすくなります。ただし入れすぎると、香りを支える成分まで薄まり、骨格が崩れてしまいます。

シングルバレルなら、スポイトで2〜3滴ずつ足すのが確実です。足すたびにグラスを軽く回して香りを確かめ、次の状態になったら止めます。

  • 香りの広がりが前の一滴より増えなくなった
  • 口に含んだときの厚みが弱まり始めた

行き過ぎたと感じたら、その一つ手前が適量です。樽ごとに適量は変わるので、ボトルを開けたら最初に確かめておくと、提供時の説明もそろえやすくなります。

トワイスアップ:常温の水で1:1

ウイスキーと常温の水を1:1で合わせます。冷水を使うと液温が下がり、香りが立ちにくくなるからです。グラスは、口がすぼまったテイスティンググラスを使います。香りが口の部分に集まり、変化を追いやすくなります。度数はプラチナで約21.5%、シングルバレルで約25%まで下がります。アルコールの刺激を抑えたまま、香りを確かめられます。

ロック:大きめの氷で変化を追う

溶けにくい大きめの氷を使い、少しずつ薄まっていく過程で味の変化を楽しみます。冷えると甘みと香りの感じ方が弱まります。香りを見たいときは、同じ銘柄をストレートと並べて飲み比べてください。冷やすことで何が引っ込み、何が残るかが分かります。

ハイボール:1:3〜4を目安に、炭酸を逃がさない

比率はウイスキー1に対しソーダ3〜4が一般的な目安です。メーカーが定めた数値ではありません。40%の銘柄なら、氷の溶け水を除いて約8〜10%になります。手順は次のとおりです。

  1. グラスに氷を入れ、グラスと氷を先に冷やす(溶けた水は捨てる)
  2. ウイスキーを注ぐ
  3. ウイスキーを氷とよくステアして冷やし、目減りした分の氷を足す。ソーダとの温度差が大きいと炭酸が抜けやすい
  4. ソーダを氷に当てないよう、グラスの内側に沿わせて静かに注ぐ
  5. マドラーで縦に1回だけ混ぜる。かき回すと炭酸が抜ける

水割り:1:2〜2.5

水割りは1:2〜2.5を目安にします。40%のバーボンなら約11〜13%です。ここまで薄めても香りが残りやすいのは、前の章で触れた、酵母ごとに造り分けた華やかな香りの原酒をブレンドしているためです。

バーでの頼み方

  • 「プラチナをトワイスアップで、シングルでお願いします」
  • 「シングルバレルをストレートで。お水を別に添えてください」(自分で数滴ずつ足すため)
  • 「バーボンのハイボールを、ソーダは少なめで」(濃いめにしたいとき)
  • 「ブラックをロックで、ダブルでお願いします」

フォアローゼズで作るおすすめカクテルレシピ|公式レシピと銘柄の選び方

ウイスキーのイメージ写真

カクテルの基本はバーボンです。全10種の原酒を使っているので香味の幅が広く、甘味や酸味を加えても輪郭が残ります。スパイスを主役にしたい一杯にはブラックを使います。以下の3品は、キリン公式サイトに掲載されているレシピです。材料と手順は公式に合わせ、公式に無い補足は「公式とは別の作り方」として分けて書きます。

ミントジュレップ:ミントは潰さずに軽く叩く

材料はバーボン60ml、シュガーシロップ小さじ1、ミントの葉5枚、クラッシュアイスです。

  1. グラスにミントとシロップを入れ、バースプーンで葉を軽く叩く
  2. バーボンを注ぐ
  3. クラッシュアイスを詰め、グラスの外側に霜がつくまで混ぜる
  4. 氷を山盛りに足し、ミントを飾る

ミントの香りの成分は、葉の表面にある小さな油の粒にたまっています。そのため、軽く叩くだけで香りは十分に移ります。強く潰すと葉の組織が壊れ、青臭さや渋みのある成分まで溶け出して苦くなります。

ホットトディ:湯の温度と量は好みで調整する

材料はバーボン45ml、角砂糖、レモン、クローブ、お湯です。公式の手順では、バーボンを入れた後にお湯を注ぎます。

  1. カップに角砂糖、レモン、クローブとバーボンを入れる
  2. お湯を注いで混ぜる

熱すぎるとアルコールの刺激を強く感じることがあるため、湯量と温度は好みで調整してください。公式とは別の作り方として、カップを湯で温めてから使う、沸騰した湯を少し置いてから注ぐ、といった調整も選べます。

ゴールドラッシュ:ブラックのスパイスで蜂蜜を引き締める

材料はブラック60ml、蜂蜜25ml、レモンジュース25mlです。

  1. シェーカーに材料と氷を入れてシェークする
  2. 氷を入れたグラスに注ぐ

蜂蜜は甘さが重く、余韻にもったりと残りがちです。ブラックのナツメグやシナモンの風味と、B配合のライ麦由来の辛みが、その甘さに輪郭を与えます。シナモンと蜂蜜は、菓子でもおなじみの組み合わせで、香りの方向がそろっています。生の蜂蜜は冷えると溶けにくく、シェークしても溶け残りが出やすい材料です。公式とは別の作り方として、店では蜂蜜を同量程度の湯で溶いたハニーシロップを作り置きしておくと、計量と溶け残りの問題が無くなります。その場合は甘さの感じ方が変わるので、分量は味を見て調整してください。

割り材の比率の目安

キリン公式サイトでは、割り材としてミルク、ホットオレンジ、コーヒー、カシスソーダ、コーラを紹介しています。下の比率は作りやすさから示した目安で、メーカーが定めた数値ではありません。

割り材比率の目安(バーボン:割り材)ポイント
ホットミルク45ml:135ml(1:3)牛乳は沸騰させず、表面が揺らぐ程度に温める。バーボンと好みで砂糖をカップで混ぜてから牛乳を注ぎ、ナツメグを振る
コーラ30ml:90〜120ml(1:3〜4)ハイボールと同じく、冷やしたグラスにコーラを静かに注ぎ、縦に1回だけ混ぜる。レモンを絞ると甘さが締まる
ホットオレンジ1:3温めたオレンジジュースで割る。果汁の酸がバーボンの果実香を補う
コーヒー1:3ホットで作る。苦味と樽由来のキャラメル香がつながる
カシスソーダバーボン30ml+カシスリキュール15ml+ソーダ90mlカシスの甘さを先にバーボンとなじませてから、ソーダを注ぐ

ミルクは高温にすると表面に膜が張り、加熱臭も出ます。ホットミルクは湯温より、牛乳の温め過ぎに注意してください。

カクテルに使う銘柄の選び方

  • 日常使い・店の定番:バーボン。割り材を選ばず、コストも抑えられる
  • スパイスを生かす一杯(ゴールドラッシュ、ホットトディ、コーヒー割り):ブラック
  • シングルバレル・プラチナ:まずは少量をストレートで確かめる。割るなら香味を残しやすいシンプルなレシピから試す。カクテルに使うかどうかは好みと予算で選ぶ

シングルバレルの樽ごとの個性や、プラチナのオークとキャラメルの厚みは、蜂蜜や柑橘、炭酸を多く使うレシピでは判別しにくくなります。一方、マンハッタンやオールドファッションドのように酒の比率が高いシンプルなカクテルなら、度数の高さや果実味を生かせる場合もあります。バーで扱う場合は、カクテルの定番をバーボンとブラックにしておき、上位2銘柄をカクテルに使うときは原価に合わせて別の値付けにすると、提供の意図を客に説明しやすくなります。

どれを選ぶ?目的別の選び方と、日本限定品・米国限定品の扱い方

銘柄の仕様は前の章で触れたとおりです。ここでは、目的ごとに選ぶ理由と、限定品を見分けるときの判断基準をまとめます。

目的別の選び方と、その理由

  • 初めての1本・ハイボール用:バーボン。全10種の原酒を使うため香味の幅が広く、ソーダで3〜4倍に薄めても香りの芯が残ります。基準の味を知る1本としても最初に置く価値があります
  • スパイス感を楽しみたい:ブラック。2種の原酒の酵母をKにそろえているので、ナツメグやシナモンの香りが散らずに前に出ます
  • 1樽ごとの個性と高い度数を味わう:シングルバレル。50%で瓶詰めされ、ブレンドで平均化されていないため、加水で香りが開いていく過程を最も大きく追えます
  • 熟成感とストレートの厚み:プラチナ。8年以上の熟成による樽の香りと、43%の度数による口当たりの厚みを、割らずに確かめられます
  • 飲み比べと限定性:スモールバッチ。ブラックと2種の原酒が共通で、国内では数量限定販売です。見かけたときに押さえる1本と考えてください

飲み比べは目的に合わせて順番を決める

度数や刺激の条件をそろえて全体を比べるなら、度数の低い順に進めます。順番は**バーボン(40%)→ブラック(40%)→プラチナ(43%)→シングルバレル(50%)**です。度数の高い液体を先に飲むと、エタノールの刺激で舌と鼻の感度が落ちます。そのあとに40%の銘柄を飲むと、香りが平板に感じられてしまいます。同じ40%のバーボンとブラックは、熟成の短いバーボンを先にします。B配合のライ麦に由来する辛みは後に残りやすいので、ブラックを後ろに回すほうが比べやすくなります。スモールバッチを加える場合は、44%台なのでプラチナとシングルバレルの間に入れます。

シングルバレルのOBSVがプラチナのブレンドにどう溶け込んでいるかを見たい場合は、この2本だけを並べ、少量ずつ比べます。度数の低いプラチナから飲み、水で口をリセットしてからシングルバレルに進みます。そのあと少し間を置いてプラチナに戻ると、共通する果実の香りを探しやすくなります。

  • 注ぐ量と温度はすべての銘柄でそろえる(たとえば各15ml、常温)
  • グラスも同じ型にそろえる。口のすぼまり方が違うと香りの集まり方が変わり、銘柄の差かグラスの差かを区別できなくなる
  • 1杯ごとに水を口に含んでリセットし、少し間を置いてから次へ進む
  • 最初はストレートで比べる。加水は全銘柄を一巡したあと、同じ量を足して比べる

日本限定のブラック・プラチナを贈り物にする

ブラックとプラチナは日本限定品なので、海外では手に入りにくく、贈り物としての理由がはっきりしています。相手が普段ストレートで飲むならプラチナ、カクテルやロックを好むならブラックが合います。持ち出すときの酒類の免税範囲は国ごとに違うため、渡航先の税関の案内を事前に確認してください。訪日客にバーで1杯すすめる場面でも、「日本でしか買えない2銘柄」と説明すれば選ぶ理由が伝わります。酒販店では、この2本の棚札に「日本限定」と明記しておくと、土産を探す客が判断しやすくなります。

「Limited Edition Small Batch」と定番のスモールバッチを分ける

店頭で「リミテッドエディション」を尋ねられたときに取り違えやすいのが、年ごとに出る「Limited Edition Small Batch」と、日本向けの定番のスモールバッチです。蒸溜所は「2026 Limited Edition Small Batch」を10月10日に米国で発売すると発表しています。この2026年版の日本での取扱いは確認できていません。一方、2026年版の「2025 Limited Edition Small Batch」は、キリンの公式通販で取り扱っています。どちらも、日本で数量限定販売されている通常のスモールバッチとは別の商品です。また、米国で展開しているシングルバレルの他レシピ(OBSV以外の原酒)は、国内での通常販売を確認できていません。

商品原酒・熟成仕様日本での扱い
スモールバッチ(日本向け)OBSK・OBSO・OESK・OESO、6年以上44%以上45%未満公式ラインアップに掲載、数量限定販売
2025 Limited Edition Small Batch——キリン公式通販で取扱い。通常のスモールバッチとは別商品
2026 Limited Edition Small Batch14〜23年熟成の原酒冷却濾過なし、米国希望小売価格249ドル蒸溜所の発表に基づく米国発売。日本での取扱いは未確認
シングルバレル(米国の他レシピ)OBSV以外の原酒—国内での通常販売は未確認

開栓後の保管

開栓後は直射日光と高温を避け、ボトルを立てて保管します。横に寝かせると、度数の高い液がコルクに触れ続けて栓を傷めます。注意したいのは、残量が減るほど瓶の中の空気が増えることです。空気が増えると、香りの成分が揮発し、酸化も進んで、香りが変わりやすくなります。シングルバレルやプラチナのようにストレートで味わう銘柄は、残りが3分の1程度になったら早めに飲み切る計画を立ててください。

フォアローゼズの飲み方に関するよくある質問

ウイスキーのイメージ写真

フォアローゼズはバーボン?ストレート・バーボン?

バーボンの条件を満たしています。 前の章で触れたTTBの表示基準のうち、原料のトウモロコシ比率は、B配合が60%、E配合が75%で、どちらも51%以上です。熟成には内側を焦がした新しいアメリカンオーク樽を使っています。「ストレート・バーボン」に必要な2年以上の熟成についても、日本向けの5商品は最短のバーボンで5年以上なので、年数の条件は大きく上回っています。ただし、ラベルに「Straight」と表示しているかどうかは商品ごとの表示で決まります。店頭で説明するときは、実物のラベルを確認してから伝えてください。

プラチナやシングルバレルを店で出すとき、1本何杯で値付けする?

ボトルの容量をシングル約30mlで割った杯数を、そのまま売れる杯数として見込まないのが基本です。開栓時のテイスティングや、シングルバレルなら加水の適量を確かめる分が先に減ります。さらに、残りが3分の1程度を切ると香りが変わりやすくなるため、その分を早めに使い切る前提で考えます。実際に売れる杯数を少なめに見積もり、その杯数で原価を割り戻すと、ストレートで出す上位銘柄の値付けが安定します。シングルバレルは樽差があるので、ボトルが替わったら香味のメモと合わせて説明を更新してください。

フォアローゼズは「スモーキー」?

ピートの使用量は確認できていないため、ピーテッドかどうかは断定しません。スコッチのスモーキーさは、麦芽を乾燥させるときにピート(泥炭)を焚き、その煙のフェノール類を麦芽に移すことで生まれます。強さはフェノール値(ppm)で示します。フォアローゼズで麦芽大麦が占めるのは、どちらの配合でも5%です。また、キリンが挙げる香味にもスモーキーという言葉は入っていません。

飲んで「焦げた」「燻したような」と感じる場合、その多くは新樽の内面を焦がしたときに木材の成分(リグニン)が分解してできる香りで、トーストや焦がし砂糖に近いものです。ピートの、薬品や海藻を思わせる煙香とは性質が違います。アイラ島のモルトのような煙を求める人には、フォアローゼズは選ばないほうが確実です。

「フォアローゼス」と「フォアローゼズ」はどちらが正しい?

日本の販売元キリンの表記は「フォアローゼズ」です。英語のRosesは語尾が濁って発音されるため、「ズ」のほうが原音に近くなります。ただし、店や通販では「フォアローゼス」と書かれていることもあります。在庫を探したり検索したりするときは、両方の表記で試すと見落としを防げます。

よくある質問

ハイボールのソーダは強炭酸を選ぶべき?

強炭酸を、冷蔵庫でよく冷やして使うのがおすすめです。炭酸ガスは液温が低いほど水に溶けたまま残りやすく、ぬるいソーダは注いだ瞬間に泡が抜けます。1:3〜4で割るとウイスキーの香りは薄まるので、炭酸の刺激で輪郭を補う意味もあります。開栓済みのソーダは気が抜けているため、使い切れる小容量の瓶を選ぶと確実です。

ボトルを冷凍庫で冷やしてもいい?

ストレートやトワイスアップで飲むボトルには勧めません。冷えると甘みと香りの感じ方が弱まり、プラチナやシングルバレルの果実味や樽香を拾いにくくなるからです。一方、ハイボールに使うバーボンは、ボトルを冷やしておくと氷が溶けにくくなり、炭酸も抜けにくくなります。冷やして使うボトルと常温で置くボトルを、飲み方で分けると扱いやすくなります。

開けたてのボトルで香りが弱いと感じたらどうする?

グラスに注いで数分置き、軽く回して空気に触れさせてから、もう一度香りを確かめてください。注いだ直後はエタノールの刺激が先に立ち、果実や花の香りが隠れやすいためです。それでも開かなければ、シングルバレルなら数滴の加水を試します。香りを開かせるためにボトルの栓を開けたまま置くのは、揮発と酸化が進むので向きません。

テイスティンググラスが無い店では、どのグラスで代用する?

口がすぼまった小ぶりのワイングラスで代用できます。香りがグラスの口に集まるので、ノージングの変化を追いやすくなります。ロックグラスのように口の広いグラスは香りが逃げやすいので、香りを比べる場面には向きません。飲み比べでは、代用する場合も全銘柄を同じ型のグラスにそろえてください。

出典・参考にした情報

この記事で紹介した銘柄

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。