アーリータイムズ終売の理由と価格高騰・入手方法|現行品も解説
アーリータイムズで終売したのは日本向けのイエローとブラウンの2品で、ブランドは継続中。サゼラック社への売却と輸入元交代の経緯、休売と終売の違い、現行のホワイト・ゴールドの品目や度数、旧品との見分け方を解説します。
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結論:終売したのは日本向けの「イエロー」と「ブラウン」で、アーリータイムズは続いている
アーリータイムズというブランドは終わっていません。終売になったのは、日本向けに輸入されていた「イエローラベル」と、1966年から日本だけで売られていた「ブラウンラベル」の2品です。ブランドの持ち主はブラウン・フォーマン社からサゼラック社に移りました。日本の輸入元もアサヒビールから明治屋に替わり、2022年に「ホワイト」、2023年に「ゴールド」が発売されています。「終売は本当か」という問いには、旧ボトル2品については本当で、ブランド全体については誤り、と答えられます。
年表:創始から輸入元の交代まで
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 1860年 | ブランド創始とされる年 |
| 1866年 | バーズタウン近くにアーリー・タイムズ蒸溜所が設立 |
| 1918年 | 戦争と禁酒法の影響で蒸溜を停止 |
| 1923年 | ブラウン・フォーマン社が取得 |
| 禁酒法後〜2021年 | ジェファーソン郡で生産 |
| 2020年6月 | サゼラック社への売却合意を発表 |
| 2020年7月31日 | 売却手続きが完了。カナディアンミスト、コリングウッドと一括で、売却額は非公表 |
| 2021年4月 | ネルソン郡バーズタウンのバートン1792蒸溜所への移管を発表。同郡での生産は103年ぶりとされる |
| 2021年12月 | アサヒビールがイエローラベルの休売を案内したとされる |
| 2022年6月 | 明治屋がサゼラック社と総代理店契約を締結 |
| 2022年8月末 | アサヒビールの契約が終了(イエロー・ブラウン) |
| 2022年9月20日 | ホワイトの出荷開始。日本で世界初の発売 |
| 2023年9月1日 | ゴールド発売 |
「休売」「一時販売休止」「終売」が混在した理由
売却の完了から旧輸入元の契約終了までは、約2年の間があります。2021年12月には、アサヒビールがイエローラベルの休売を案内したとされます。この間に在庫が切れた店では、再入荷の見込みが分からないまま「休売」「一時販売休止」と表示する例がありました。契約終了で同じ中身の旧品が戻らないことがはっきりしてから、「終売」という呼び方が定着しています。なお、アサヒビールが「終売」と明記した発表文は確認できていません。確かなのは、アサヒビールが2022年8月末での契約終了としている点です。
- 契約上の区切り:2022年8月末です。アサヒビールとの契約が終わった時点にあたります
- 市場から消えた時期:店ごとに在庫が尽きた時点です。休売の案内以降、契約終了より前に棚から消えた店もあります
- 「6月終売」という表記:6月終売とする資料もありますが、2022年6月は明治屋が契約を結んだ月です。アサヒビールの契約が終わったのは8月末です
- 輸入元の誤記:イエロー・ブラウンをキリンビールの輸入とする情報がありますが、正しくはアサヒビールです
現行品と旧品を取り違えないための要点
- ホワイト:品目はアメリカン・ブレンデッド・ウイスキーです。原材料はグレーンとモルトで、バートン1792蒸溜所が造ります。度数は40%で、41%とする記載は誤りです。2022年9月20日出荷開始です
- ゴールド:ストレート・バーボン・ウイスキー、40%です。区分により確定することは、新品のチャー樽での熟成、2年以上の熟成、着色料・香味料の添加不可の3点です。具体的な熟成年数、マッシュビル(穀物の配合比率)、蒸溜所は明治屋のリリースに記載がありません
- 米国の標準品:バーボンではありません(理由は次章)
- 旧イエローラベル:日本向けは「バーボン」表示で、米国向けとは中身の仕様が違います
酒販店やバーで値札やメニューを書くときは「アーリータイムズ終売」とせず、「旧イエローラベル(日本向けバーボン)・終売品」のように対象を限って書いてください。ホワイトやゴールドを旧品の後継として出す場合は、品目の違い(ブレンデッドかバーボンか)も併記しておくと、注文時の誤解を防げます。
なぜ終売したのか:売却と「バーボンの条件」から読み解く

直接のきっかけはサゼラック社への売却
終売のきっかけは、ブラウン・フォーマン社からサゼラック社へのブランド売却です。ブラウン・フォーマン社は1923年からアーリータイムズを持っていたので、約1世紀続いた生産体制がここで切り替わりました。終売の理由としては「従来の味を保つのが難しくなった」「原酒が足りない」「バーボンの条件を満たすためのコストが増えた」の3点が挙げられています。ただし、これらは報道や販売側の説明であり、メーカーの公式な説明ではありません。以下では、この3点が製法の面から筋の通る説明かどうかを確かめます。
連邦規則が定める「バーボン」の条件
米国の連邦規則(27 CFR §5.143)では、バーボンと名乗るには次の条件をすべて満たす必要があります。
- 原料穀物のうちトウモロコシが51%以上です
- 蒸溜したときの度数が160プルーフ(80%)以下です
- 内側を焦がした(チャーした)新品のオーク樽に、125プルーフ(62.5%)以下で詰めて貯蔵します
米国の標準品「Early Times Kentucky Whisky」は、使用済みの樽で熟成した原酒を含むため、バーボンの条件(すべて新品のチャー樽)を満たしません。そのため「ケンタッキー・ウイスキー」として売られています。一方、日本向けのイエローラベルは「バーボン」と表示されていました。つまり「アーリータイムズはバーボンじゃない」という話は、米国の標準品には当てはまり、旧イエローラベルには当てはまりません。樽の条件ひとつで、法律上の区分も中身も別の商品になります。米国の店頭にある標準品は旧イエローラベルの代わりにならず、米国で売られるボトルド・イン・ボンド(50%、100プルーフ)のストレート・バーボンも、度数・仕様とも旧イエローとは別の商品です。
新樽と使用済み樽で香味が変わる理由
チャー樽は内側を炎で焼いて炭にした樽です。焦げた層の下には、熱で分解された木の層ができます。焦げた層は、未熟な原酒の硫黄系の香りを和らげます。その下の層では、木の成分であるリグニンが分解されてバニリン(バニラ香)になり、ヘミセルロースが分解されてカラメルやトーストのような成分になります。ココナッツや木の香りのもとになるオークラクトンも、新しい樽からよく溶け出します。使用済みの樽では、これらの成分が前に詰めた原酒にすでに移っています。
| 項目 | 新品のチャー樽(バーボン仕様) | 使用済みの樽(米国標準品の仕様) |
|---|---|---|
| バニリン | 焦げた層の下の分解層から多く出る | すでに抜けているので少ない |
| カラメル様の成分 | 多い | 少ない |
| オークラクトン | 多い | 少ない |
| 色 | 同じ年数でも濃くつく | 淡い |
| 同じ年数での香味 | 甘く濃い樽香が前に出る | 穏やかで、原酒そのものの香りが残る |
| 樽の調達 | 詰めるたびに新しい樽が要る | 再び使える |
新樽を大量に調達する体制を持つ大手にとって、樽の費用だけが終売の主因とは考えにくいです。むしろ、使用済みの樽を含む米国の主力品とは別に、日本向けだけ新樽仕様の原酒在庫を持ち続けることが、生産を集約するうえで負担になった可能性があります。報じられた「原酒不足」と「条件を満たすコストの増加」は、こうした在庫管理の問題として読むと説明がつくと考えられます。
蒸溜所の移転で旧ボトルの味は再現しにくい
2021年の発表により、生産はジェファーソン郡からバーズタウンのバートン1792蒸溜所に移りました。バーボンの多くは、連続式のビアスチル(もろみ塔)で1回目を蒸溜し、ダブラー(2回目の蒸溜器)で度数を上げて仕上げます。ポットスチルのミドルカットのような「カット」の考え方は、そのままは当てはまりません。原酒の性格を左右するのは、次の工程の変数です。
- ビアスチルとダブラーから取り出す度数(ハイワインの度数)です。低い度数で取り出すほど、穀物由来の成分が多く残ります
- サワーマッシュの比率です。前回の蒸溜残液(バックセット)を発酵槽に戻す割合で、もろみの酸度と発酵の進み方が変わります。酵母株は、果実のような香り(エステル)の出方に影響します
- 樽詰め時の度数(エントリープルーフ)です。上限125プルーフの範囲で、どの度数で詰めるかにより、樽から溶け出す成分の割合が変わります
- 熟成庫の構造です。多層のリックハウス(木組みの熟成庫)では上段ほど温度差が大きく、樽との成分のやり取りが速く進みます
蒸溜所が替わると、これらがまとめて変わります。そのため、穀物の配合を同じにしても、旧ボトルと同じ香味にはなりません。なお、新旧どちらの蒸溜所についても、アーリータイムズ向けの具体的な数値は公表されていません。
ブラウンラベルが続かなかった理由
ブラウンラベルは1966年から日本だけで売られていた商品です。日本専用の仕様は、米国側で専用の原酒と瓶詰めの枠を確保して、はじめて成り立つと考えられます。持ち主と蒸溜所が替わり、生産が米国の主力品を軸に組み直されると、量の少ない日本専用品は続けにくくなったと考えられます。
実務では、旧イエローと旧ブラウンの在庫は同じ中身では二度と入らないものとして扱い、米国で買う場合はラベルが「Kentucky Whisky」でも「Bourbon」でも旧イエローと同じ中身ではないと考えてください。
旧品と現行品の違い:イエロー・ブラウン・ホワイト・ゴールドを比べる
現行のアーリータイムズは、品目の区分そのものが旧品と違います。比べるときは、まずラベルの区分を確かめてください。ホワイトはバーボンではなく、アメリカン・ブレンデッド・ウイスキーです。ゴールドはストレート・バーボン・ウイスキーです。下の表の「非公表」はメーカーが公表していない項目、「—」は公表情報がない項目です。
| 項目 | イエローラベル(旧) | ブラウンラベル(旧) | ホワイト(現行) | ゴールド(現行) |
|---|---|---|---|---|
| 区分 | バーボン(日本向けの表示) | — | ウイスキー(アメリカン・ブレンデッド・ウイスキー。米国の規則では、ストレート・ウイスキーを20%以上含み、残りに中性スピリッツや他のウイスキーを使える区分) | ストレート・バーボン・ウイスキー |
| 度数 | 40%とされる | 40%とされる | 40% | 40% |
| 容量 | 700mlとされる | 700mlとされる | 700ml | 700ml |
| 発売・終売時期 | 輸入契約が2022年8月末で終了 | 1966年から販売、2022年8月末で契約終了 | 2022年9月20日出荷開始(日本先行、世界初) | 2023年9月1日発売 |
| 輸入元 | アサヒビール | アサヒビール | 明治屋 | 明治屋 |
| 参考価格 | — | — | オープン価格(税別1,500円前後とされる) | — |
| 公表されている仕様 | 米国向けの「ケンタッキー・ウイスキー」とは中身が別 | 日本だけで販売 | 原材料はグレーンとモルト、バートン1792蒸溜所が製造 | ストレート・バーボンの区分と度数 |
| 区分により確定すること | — | — | ストレート・ウイスキー20%以上を含む | 新品チャー樽、2年以上熟成、着色・香味料不可 |
| 非公表の項目 | — | — | 熟成年数、配合比率、冷却濾過・着色の有無 | 具体的な熟成年数、マッシュビル、蒸溜所、冷却濾過の有無 |
ゴールドの熟成は2年以上(規則上の下限)です。ストレート・バーボンは4年未満なら年数表示が義務づけられるため、ラベルに年数表示が無ければ4年以上と読めます。手元のボトルで表示の有無を確かめてください。
イエローとブラウンの違いを知りたい場合、確実に言えるのは「どちらもアサヒビールの輸入で、ブラウンは1966年からの日本専用品だった」という点までです。両者の原酒構成の違いは、公表された資料では確認できません。味の差を語るなら、手元の旧ボトルを並べて確かめるのが確実です。
ホワイトとゴールドは香味の組み立て方が違う
ブレンデッドとストレート・バーボンでは、香味の骨格がまったく違います。米国のブレンデッド・ウイスキーは、ストレート・ウイスキーを20%(プルーフガロン比)以上含み、残りにニュートラル・スピリッツ(高い度数で蒸溜した無味に近い穀物蒸溜酒)や他のウイスキーを合わせる区分です。スコッチのブレンデッド(モルトウイスキー+グレーンウイスキー)とは定義が違います。軽さは主に、中性スピリッツやライトな原酒の比率から来ます。ホワイトの原材料表示は「グレーン、モルト」ですが、各原酒の配合比率は非公表です。ストレート・バーボンは、新品のチャー樽で熟成した原酒そのものを飲む区分です。前の章で触れた新樽由来のバニラ、焦がした砂糖のような甘さ、オークのタンニン(渋み)が前に出やすくなります。
- ホワイトの方向性:軽く、樽香は控えめです。炭酸で割っても軽さが残るため、ハイボールの土台として扱いやすいです
- ゴールドの方向性:甘い樽香と渋みの輪郭があります。旧イエローの「バーボンらしさ」に近い体験を探すなら、先に試すのはこちらです
- 断定できない点:どちらも冷却濾過の有無と穀物の配合比率が非公表です。舌触りの厚みを、製法から説明することはできません。ホワイトは着色が認められる区分で、着色の有無も非公表です
「ゴールドの評価」を判断するなら、旧イエローと同じバーボンの区分にあるかどうかで比べるのが筋です。ただし、蒸溜所と具体的な熟成年数が公表されていないため、旧イエローの再現品と考えるのは誤りです。
旧イエローと並べて比べる手順
- 同じ形のグラスを2脚用意します。口がすぼまったテイスティンググラスを使うと香りが集まります
- 常温のまま、それぞれ10〜15ml程度を注ぎます。量と温度をそろえないと、香りの立ち方が変わって比較になりません
- ラベルで度数を確かめ、違う場合は高い方に加水して度数をそろえてから比べます。アルコールの刺激が違うと、香りの出方も変わります
- グラスの底に印をつけ、注ぐ人と飲む人を分けて、銘柄を伏せて比べます
- ノージング(香りを確かめる):バニラ、焦がした砂糖、木の香りの強さを交互に比べます
- 少量の加水:スポイトで数滴ずつ加えます。アルコールの刺激が下がると、隠れていた果実のような香りや樽香が開きます
- パレット(口に含んだ味):甘さの量、舌に残る渋み、口当たりの重さを比べます
- フィニッシュ(余韻):甘さと渋みのどちらが長く残るかを確かめます
旧ボトルは開栓後の酸化や保管状態で香りが変わり、ロット差もあります。1回の比較で結論を出さず、日を変えて2〜3回試してから、店の後継銘柄や贈答用の1本を決めてください。
価格高騰の実態と入手方法:旧ボトルを買う・売る・出すときの判断基準

価格を判断するときの基準は2つです。2つ目は現行品ホワイトの店頭価格の目安で、オープン価格(税別1,500円前後とされる)です。ホワイトがいまも同じ価格帯で売られているかは、購入時に店頭で確かめてください。中古品やオークションの相場は、時期と出品数で大きく動きます。高騰の度合いをつかむには、出品価格ではなく落札・成約価格を日付つきで複数件集め、旧イエローの参考小売価格の何倍かで見てください。売れ残っている出品の価格は相場ではありません。
入手経路ごとの比較
| 経路 | 長所 | リスク | 確認すべき点 |
|---|---|---|---|
| 酒販店の店頭在庫 | 現物を手に取って確かめられる。値付けが旧価格に近いことがある | 在庫はほぼ残っていない。棚の照明や暖房で劣化している場合がある | 液面の高さ、ラベルの日焼け、陳列されていた場所 |
| ネット通販 | 探す手間が少なく、価格を比べやすい | 写真が実物と違う場合がある。送料込みで割高になりやすい | 通信販売の酒類免許の表示、実物写真の有無、返品条件 |
| オークション・フリマ | 出品数が多く、相場の幅が見える | 保管履歴が分からない。中身のすり替えに気づきにくい | 出品者が事業者か個人か、シールの状態、落札履歴 |
| 酒類の買取店 | 手元の在庫をまとめて売れる | 査定額は再販価格から店の経費と利益を引いた額になる | 未開栓が条件か、ラベルの傷みで減額されるか、複数店の見積もり |
| 海外 | — | 米国の店頭品は別商品(第2章参照) | — |
旧イエローを贈るなら、国内の在庫を探すしかありません。
旧ボトルを買う前に確かめること
- 液面:スクリューキャップは長く置くと少しずつ揮発します。同じ時期のボトルと比べて首より下、肩に近いほど下がっていれば、キャップの密閉が弱く、香りも抜けている可能性が高いです
- キャップとシール:さび、破れ、回した跡がないかを見ます。シールの浮きは再封の疑いがあります
- ラベル:「バーボン」の表示と、輸入元アサヒビールの記載があるかを確かめます。ここが日本向け旧品かどうかの判断材料になります
- 保管環境:直射日光(紫外線)と高温で香味は劣化します。色が退けたラベルは、光に当たっていた目安になります
- 出品者:酒類を繰り返し売るには販売業の免許が必要です。事業者として出品しているなら、免許の表示を確認します
酒販店・バーの判断:売るか、店で出すか
開けたボトルは、減るほど瓶の中の空気が増え、酸化が進みます。700mlをシングル30mlで出すと約23杯です。週に何杯出るかで、空になるまでの期間を見積もってから開けてください。目安として2〜3か月以内に空かない見込みなら、未開栓のまま酒類買取業者に売却するほうが損が出ません。なお、飲食店の営業許可だけでは、客への瓶売りや持ち帰り販売はできず、酒類販売業免許が必要です。開けて半分を切ったら、小さな瓶に移して空気に触れる面を減らします。
終売品の値付けは、仕入れ値ではなく再調達価格を基準にします。再調達価格とは、同じものを今もう一度買い直したらいくらかかるか、という値段です。旧価格で仕入れた1本を旧価格のまま出すと、次の1本は相場で買うことになり、その差額はそのまま店の損になります。1杯の値段は、公開時点の成約相場をもとに、1本の再調達価格を杯数で割り、そこに店の利幅を乗せて決めてください。
「終売品は値上がりする」は当てはまるか
旧イエローは、長年大量に出回った定番品です。家庭や店の棚に眠っているボトルが今も少しずつ市場に出てくるため、本数を限って造られた限定品と同じようには値上がりしにくいと考えられます。値上がりを支えているのは希少性よりも、「あの味をもう一度」という飲む側の需要だと考えられます。この需要は、飲み手が後継の銘柄を見つけると弱まります。
- 飲むために買う:1〜2本に絞り、状態の良いものを選びます。複数本の買い置きは、劣化の危険と見合いません
- コレクションとして買う:値上がりを期待しないでください。未開栓のまま立てて、涼しく暗い場所に置きます
- 売るつもりで持つ:相場は放出量で上下します。値上がりを待つより、成約価格が安定している時期に手放します
代わりに何を選ぶか:用途別の選び方とよくある疑問
代わりの1本を選ぶときは、法的な区分、度数、新品のチャー樽(内側を焦がした新しいオーク樽)に由来する甘さの強さの3つを見ます。旧イエローは日本向けのバーボンだったので、味を追うならストレート・バーボンの中から選ぶのが出発点です。度数は日本流通品のラベル表示です。
| 銘柄 | 区分 | 度数 | 新樽由来の甘さ | 向く用途 | 価格 |
|---|---|---|---|---|---|
| アーリータイムズ ホワイト | アメリカン・ブレンデッド | 40% | 弱い | 日常のハイボール | オープン価格(税別1,500円前後とされる) |
| アーリータイムズ ゴールド | ストレート・バーボン | 40% | 中程度 | 旧イエローの代わりとして最初に試す | — |
| エヴァンウィリアムズ ブラック | ストレート・バーボン | 43% | 中程度 | 家飲み、バーの定番ハイボール | 1,899円前後(2026年11月3日時点) |
| エヴァンウィリアムズ ボトルド・イン・ボンド | ボトルド・イン・ボンドのストレート・バーボン | 50%(規格で固定) | 中〜強 | ロック、濃いめのハイボール | — |
| オールドグランダッド | ストレート・バーボン | 40% | 中程度。ライ麦の辛さが前に出る | ハイボール、カクテル | 36,600円前後(2026年11月3日時点) |
| エライジャクレイグ スモールバッチ | ストレート・バーボン | 47% | 強い | ロック、贈り物 | 3,486円前後(2026年11月3日時点) |
| ウッドフォードリザーブ | ストレート・バーボン | 43.2% | 強い | 贈り物、バーの格上げ | 3,795円前後(2026年11月3日時点) |
| イーグルレア 10年 | ストレート・バーボン(10年熟成の表示) | 45% | 強い。渋みも伴う | 贈り物、ストレート | 5,687円前後(2026年11月3日時点) |
用途別の決め方
- ハイボールで毎日飲む:軽さを求めるならホワイトです。バーボンの甘さを残したいならエヴァンウィリアムズ ブラックです
- ストレートやロックで旧イエローに近い味を探す:まずゴールドです。物足りなければ、甘さが厚いエライジャクレイグ スモールバッチへ進みます
- バーの定番を置き換える:品目をそろえるならゴールドかエヴァンウィリアムズ ブラックです。メニューには「旧イエローの後継」ではなく、区分を書いて出します
- 贈り物にする:ウッドフォードリザーブかイーグルレア 10年です。イーグルレア 10年は熟成年数がラベルに示されているので、相手に説明しやすいです。ウッドフォードリザーブは年数表示がありませんが、ポットスチルで3回蒸溜した原酒を使う造りに説明の軸があります
40%と50%ではハイボールの濃さが変わる
量はシングル30mlに対してソーダ90〜120ml(1:3〜1:4)が目安です。氷が溶ける分を除いて計算すると、40%を1:3で割ると約10%、1:4で割ると約8%になります。40%を1:3で出していた店は、50%に切り替えたら1:4で同じ濃さになります。40%を1:4で出していた場合、50%で合わせるには約1:5が必要です。グラスや注ぎ方の詳しい手順は、アーリータイムズの飲み方ガイドにまとめています。
ウッドフォードリザーブは手放されていない
ブラウン・フォーマン社がサゼラック社に売却したのは、アーリー・タイムズ、カナディアンミスト、コリングウッドの3ブランドとカナディアンミストの生産設備です。ウッドフォードリザーブは同社に残っています。ウッドフォードリザーブの連続式の原酒は、旧アーリータイムズと同じシブリー(ルイビル)の蒸溜所に由来するとされます。ただし、ヴェルサイユのポットスチル原酒との配合とマッシュビルが違うため、旧イエローと同じ味ではありません。
よくある疑問
- ブラウンラベルの再販はあるか:再販の予定は発表されていません
- 旧イエローとゴールドを同じメニューに並べるとき、価格差をどう説明するか:旧イエローは「終売品・再調達価格で値付け」、ゴールドは「現行の流通品」と書き分けます。どちらもバーボンの区分ですが、別の商品であることを区分と併せて示すと、価格差の理由が伝わります
- ホワイトのハイボールを1杯いくらで出すか:税別1,500円前後で仕入れた場合、30mlで約23杯なので、ウイスキーの原価は1杯あたり約65円です。ここにソーダ、氷、店の利幅を乗せて決めます。実際の仕入れ値で計算し直してください
よくある質問

旧イエローの空き瓶に、現行のゴールドを詰め替えて店で出してもよいですか。
避けてください。ゴールドはストレート・バーボンですが、蒸溜所もマッシュビルも公表されておらず、旧イエローと同じ中身とは言えません。ラベルと中身が違えば、客に別の商品を出したことになります。瓶に残った酸化した液や香りも混ざります。ゴールドは自社のボトルのまま出し、メニューには区分を書いてください。
寒い場所に置いていた旧ボトルが白く濁りました。飲んでも大丈夫ですか。
温度が低いと、原酒に溶けていた脂肪酸エステルなどが固まって濁ることがあります。冷却濾過(冷やして濾し、これらを除く工程)が弱い酒ほど起こりやすい現象です。常温に戻して濁りが消え、香りに異常がなければ飲めます。常温でも濁りや沈殿が残る場合や、酸っぱい匂いがする場合は飲まないでください。
開栓後に香りが落ちた旧ボトルは、どう使い切ればよいですか。
ストレートで樽香が弱く感じたら、ハイボールに回すと無駄なく使い切れます。炭酸の泡が香りを持ち上げるため、平板になった香りを補えます。本文の比率より、ソーダを少なめの側に寄せてください。紙や段ボールのような匂いがはっきり出ている場合は、酸化が進んでいるので提供をやめてください。
この記事で紹介した銘柄
20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。