ウイスキーのハイボール氷の作り方|透明な氷柱を自宅で作る手順
家庭でも透明な氷柱は作れます。側面と底を断熱して上から凍らせ、全部凍る前に取り出す手順を紹介。小型クーラーボックスなら2〜3日が目安。氷が濁る理由や、大きな氷がハイボールを薄めにくい理由もわかります。
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なぜ家の氷は白く濁り、ハイボールを薄めてしまうのか
透明な氷は、容器の側面と底を断熱して上からだけゆっくり凍らせ、全部凍る前に取り出せば家庭でも作れます。小型クーラーボックスなら2〜3日が目安です。保存容器にタオルを巻く方法なら、2/3ほど凍った時点が取り出しどきです。具体的な作り方は次の章で紹介します。ここではまず、氷が濁る理由と、それがハイボールに与える影響を説明します。
家の冷凍庫で作った氷が白く濁ることと、ハイボールがすぐ薄く気の抜けた味になることは、同じ原因でつながっています。濁りは氷の中の気泡と不純物の集まりで、その部分が割れやすく、溶けやすい氷を作ります。
白い濁りは「最後に凍った中心」にできる
家庭の冷凍庫では、製氷皿の水は外側から凍っていきます。水が氷の結晶になるとき、溶けていた空気やミネラルなどの不純物は結晶に入りにくいため、まだ凍っていない内側へ押し出されます。最後に凍る中心部には押し出されたものが集まり、気泡として閉じ込められます。これが白い濁りの正体です。
日本の製氷の専門業者は、48〜72時間かけて水を凍らせる技術を使っています。時間をかけるのは、気泡が閉じ込められる前に押し出すためです。ただし、市販の氷がすべてこの条件で作られているわけではありません。製法の条件を確かめる目安は、後述の「氷屋純氷」のロゴです。
濁った氷はもろく、割れると溶ける速さが増す
気泡を多く含む部分は、氷の結晶がそこで途切れているため、強度が弱くなります。冷凍庫から出したばかりの冷たい氷に常温のウイスキーを注ぐと、急な温度差で割れが起こりやすくなります。割れれば表面積が増え、溶ける速さも上がります。その結果、最初の数口は冷たくても、すぐに水っぽくなり、冷たさも続きません。
大きい氷が勧められるのは表面積が理由
氷は表面から溶けるので、体積に対して表面積が小さいほど長く持ちます。1辺4cmの立方体の氷を1辺2cmの氷8個に分けると、全体の体積は同じでも表面積は2倍になります。同じ量の氷を入れても、小さな氷ではおよそ2倍の速さで溶けると考えてよいでしょう。グラスの高さに合わせた氷柱や大きめの氷が勧められるのはこのためです。
炭酸が抜ける3つの原因と、氷が関わる部分
炭酸が抜ける主な原因は、圧力が下がること、温度が上がること、物理的な衝撃の3つです。このうち温度と衝撃の2つには、氷の質が直接関わります。
| 原因 | 氷との関係 | 対策 |
|---|---|---|
| 圧力が下がる | 氷の質とはほぼ関係しない。栓を開けたときや注いだときに起こる | よく冷えたソーダを、開けたらすぐ静かに注ぐ |
| 温度が上がる | 炭酸ガスは温度が高いほど水に溶けにくい。氷が早く溶けて冷たさが続かないと、ガスが抜けやすくなる | 割れにくい大きな氷で、グラスとウイスキーを先によく冷やす |
| 物理的な衝撃 | 割れた氷の角や凹凸にソーダが当たると、そこから泡が一気に出る。氷同士のすき間が多いと、冷やすために混ぜる回数も増える | ソーダは氷に当てずに注ぎ、混ぜるのは縦に1回だけにする |
サントリーの工場ブログでも、ソーダを入れる前に氷でウイスキーとグラスを冷やし終えておく手順が紹介されています(具体的な手順は後述)。ソーダを入れる前に冷やし終えておくのは、ソーダを入れた後に混ぜる回数を減らすためです。
ウイスキー側から見る「冷やす」と「薄める」
ウイスキーは冷やすと香りの成分が揮発しにくくなり、香りの立ち方が穏やかになります。アルコールの刺激も和らぐので、ハイボールが食事に合わせやすいのはこのためです。一方で、度数40度の角瓶をサントリーが勧める1:4の比率で割ると、計算上は約8度になります。ソーダで割った時点ですでに十分に薄まっているので、そこに溶けた氷の水が加わると、度数も香味も一気に薄まります。しかも溶けた水には炭酸が含まれていないので、加わるほど味も泡も弱くなります。
ハイボールは「冷やしつつ、加水は最小限にする」飲み方です。氷はその調整役になります。氷を選ぶときは次の基準で考えると判断しやすくなります。
- 透明で大きい氷が手元にある場合:グラスにすき間なく詰め、ソーダを注いだ後は縦に1回混ぜるだけにする
- 製氷皿の白い氷しかない場合:氷は多めに入れ、ウイスキーを注いで混ぜた後、グラスにたまった溶けた水を捨ててからソーダを注ぐ。ぬるい状態から冷やす分の加水を味に残さないため
- 来客などで何杯も作る場合:ソーダとグラスを先に冷やしておく。冷やす作業が少ないほど氷の溶ける量も減るので、1杯目と最後の1杯で味の差が出にくくなる
透明な氷柱を自宅で作る3つの方法と所要時間

透明な氷を作る決め手は、時間をかけてゆっくり、一方向から凍らせることです。この凍らせ方を方向性凍結と呼びます。水は凍るときに空気や不純物を氷の中に取り込みにくく、まだ凍っていない側の水へ押し出していきます。容器の側面と底を断熱して上面からだけ凍るようにすれば、押し出された空気と不純物は下側の水に集まり、上の層は澄んだまま固まります。製氷業者が時間をかけて凍らせるのも同じ原理で、家庭ではこれを断熱によって再現します。
方法1:保存容器にタオルを巻く
保存容器に水を張り、側面と底をタオルで包んで冷えにくくします。上面はふさがず、冷気が上からだけ当たるようにします。2/3ほど凍った時点で取り出し、上面の氷に小さな穴を開けて、下に残った水を捨てます。透明なのは上側の層です。濁りはこの最後まで残る水に集まるので、これを凍らせきらないことがこの方法の要です。必要なのは手持ちの容器とタオルだけで、試しに作るなら最も手軽な方法です。
方法2:牛乳パックにタオルを巻く
洗った牛乳パックの上部を開いて水を入れ、タオルを巻いて凍らせます。上から7〜8割が凍り、底側にまだ水が残っている段階で取り出します。パックをはがして底側を上に向け、底側の薄い氷に小さく穴を開けます。そのまま穴を下に向けて凍っていない水を抜くと、透明な部分だけが残ります。パックが縦長なので、そのまま縦に割ればハイボール用の細長い氷柱を取りやすい形になります。冷凍庫の奥行きが浅くても立てて置けるのも利点です。
方法3:小型クーラーボックスで2〜3日
小型のクーラーボックスに浄水を入れ、ふたを開けたまま冷凍庫で2〜3日かけて凍らせます。ボックスの壁が断熱材の役割を果たすため、上面からだけ凍る状態を作りやすい方法です。底に濁った層ができる前に取り出すのが要点で、方向性凍結の代表的な方法として知られています。一度に大きな塊が取れるため、来客用に何杯分もまとめて用意したいときに向いています。
どの方法を選ぶか
3つに共通する要点は全部凍らせないことです。最後に凍る部分に濁りが集まるため、そこまで凍らせてしまうと透明な層まで台無しになります。あとは、冷凍庫の空き、1回に作りたい量、待てる日数で選びます。
| 方法 | 取り出す目安 | 1回に取れる量 | 冷凍庫の場所 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 保存容器+タオル | 2/3ほど凍った時点 | 少なめ(数杯分) | 小さめで済む | まず試したい、毎日少しずつ作る |
| 牛乳パック+タオル | 上から7〜8割が凍り、底側に水が残っている段階 | 細長い氷柱が数本 | 縦の高さが必要 | コリンズグラスで飲む、奥行きが浅い冷凍庫 |
| 小型クーラーボックス | 2〜3日、底の濁りができる前 | 多い(来客分も可) | 幅と高さの両方が必要 | まとめて作り置きしたい、数日待てる |
- 冷凍庫に余裕がなく、明日飲む分だけほしい:保存容器。凍り具合は冷凍庫の温度や水の量で変わるので、時間では決めず、2/3凍ったかどうかを目で確かめる
- グラスの高さに合う一本氷がほしい:牛乳パック
- 週末の来客に向けて量を確保したい:クーラーボックス。2〜3日前に仕込み始める
氷塊を氷柱に切り分ける
- 取り出した氷塊は、常温に数分置いて表面をなじませる。冷凍庫から出した直後は表面と内部の温度差が大きく、刃を当てた衝撃で思わぬ方向にひびが走りやすい。表面がうっすら濡れて透明感が増したら切りどき
- 寸法はグラスに合わせて決める。幅はグラスの内径より少し細くして、側面が当たらずに滑り込む太さにする。高さはグラスの縁より下に収め、ソーダを注ぐ余地を残す
- 割りたい線にパン切り包丁などの刃で浅く溝を付け、溝に刃を当てて背を軽く叩く。一気に力を込めず、溝に沿って割れるように少しずつ進める
- 濁りや気泡が残った部分は切り落とし、透明な部分だけを使う。切った氷柱はすぐにグラスへ入れず、もう一度冷凍庫で締めておくと、注いだときに溶けにくい
湯冷ましは効くのか:透明氷づくりのよくある失敗とその理由
「湯冷ましを使えば透明な氷になる」という説明はよく見かけますが、これは言い過ぎです。方向性凍結(一方向から凍らせる方法)を広めたことで知られるカクテルライターのCamper Englishは、自身のサイトAlcademicsの記事「Boiled Versus Rested Water Clarity with Directional Freezing」で、煮沸した水と煮沸していない水をそれぞれ一方向から凍らせ、透明度を比べています。結果は、煮沸した水でも濁る部分の割合に大きな差は出ないというものでした。煮沸で抜けた空気は冷ます間にまた水へ溶け込み始めるうえ、水に溶けているミネラルの多くは煮沸しても残ります。濁りの元を一方へ押し出しながら凍らせれば、空気も不純物もまとめて氷の外へ逃がせます。透明度を決めるのは凍らせ方で、湯冷ましは決め手になりません。製氷皿のように四方から凍る容器では、湯冷ましを使っても、押し出された空気が中心に閉じ込められる仕組みは変わりません。
失敗1:最後まで凍らせて、中心や底が白くなる
一方向から凍らせる方法では、先に凍った層が空気や不純物を未凍結の側へ押しやります。凍り切るまで待つと押しやられた成分の逃げ場がなくなり、最後に凍る部分に白く固まります。対策は取り出すタイミングにあります。
- 保存容器:2/3ほど凍った時点で取り出し、上面の氷に小さな穴を開けて、下に残った水を捨てる(透明なのは上側の層)
- 牛乳パック:上から7〜8割が凍り、底側にまだ水が残っている段階で取り出す。底側に小さく穴を開けて、凍っていない水を抜く
- クーラーボックス:冷凍庫で2〜3日を目安に、底に濁った層ができる前に取り出す。冷え方は冷凍庫ごとに違うので、初回は1日ごとに凍り具合を確かめ、自宅の冷凍庫での日数をつかむ
水を全部氷にしようとせず、透明な部分が必要な量だけ取れれば成功と考えます。
失敗2:出してすぐ切る・注ぐと、ひびが入る
冷凍庫から出した直後の氷は、0℃よりかなり冷たい状態です。そこへ刃を入れたり常温のウイスキーやソーダを当てたりすると、表面だけが急に温まり、冷えたままの内側との伸び縮みのずれでひびが走ります。ひびの入った氷は表面積が増えて溶けやすくなります。割れ目は炭酸ガスが泡になる起点にもなるため、薄まりと炭酸抜けの両方を招きます。
扱う前に数分置き、表面の霜が消えて濡れたような透明感が出るまでなじませます。切るのはそれからで、アイスピックを当てる位置を決めて軽く叩けば、狙った面で割れやすくなります。グラスに入れた後の組み立て方は、後述の手順に沿って進めます。
失敗3:冷凍庫のにおいが移る
氷は表面から周りのにおいを取り込みます。長く置くと表面から少しずつ昇華して曇り、細かな凹凸もできます。ハイボールは立ち上る泡が香りを運ぶので、移ったにおいが思いのほか目立ちます。
- 切り分けた氷は冷凍用保存袋に入れて空気を抜き、さらに密閉容器か別の袋に入れて二重にする
- においの強い食品の近くに置かない
- 作り置きは「次の仕込みが凍り上がるまでに使い切る量」を基準にする。クーラーボックス法なら2〜3日で次が仕上がるので、1回分はその間に飲む杯数に合わせる。来客の日は、そこから逆算して仕込みを始める
- においや表面の曇りが出た氷はハイボールに使わず、グラスやボトルを冷やす用に回す
氷のせいではない濁り:冷却濾過をしていないウイスキー
冷却濾過とは、瓶詰め前にウイスキーを低温にして濾し、冷えると濁る成分を取り除く工程です。濁りの元は長鎖脂肪酸のエチルエステル(パルミチン酸エチルなど)で、度数がおよそ46%を下回り、温度が下がると溶けきれずに析出します。ノンチルフィルタード(冷却濾過をしていない)の銘柄が46%以上で瓶詰めされることが多いのはこのためです。この工程を省くと口当たりや香りに関わる成分を残せる一方、冷やしたり加水したりすると白く濁ることがあります。氷で冷やしてソーダで割るハイボールは、度数が10%前後まで下がり、液温も低く保たれるため、まさに析出しやすい条件にあたります。反対に、40%前後で瓶詰めされる一般的なブレンデッドは冷却濾過されているのが通例で、ハイボールにしても霞みにくくなります。この濁りは品質の欠陥ではなく、温度が上がれば薄れます。
| 見え方 | 考えられる原因 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 氷の中に白い芯や筋がある | 氷の凍らせ方 | 氷だけを光に透かして見る |
| 氷は透明なのに液体全体が霞む | ウイスキー由来の成分 | 同じウイスキーを氷なしで水割りにし、冷蔵庫で冷やして濁るか見る |
| グラスの内側に細かい泡が付く | 炭酸の泡(濁りではない) | 軽く揺らして泡が消えるか見る |
冷却濾過をしているかどうかは、ラベルの「Non Chill-Filtered」の表記や、メーカーの公表内容で確かめます。表記も公表もない銘柄については、どちらとも決めつけないほうがよいでしょう。
自作か、製氷器か、市販の氷か:費用と手間で選ぶ判断基準

氷を選ぶときに見るべき点は三つです。グラスを満たせる量があるか、1個が大きく溶けにくいか、そして用意にかかる時間と冷凍庫のスペースを負担できるかです。サントリーが案内する角ハイボール(角瓶1:ソーダ4)は、氷をいっぱいに入れたグラスで作ることが前提になっています。氷が足りないとウイスキーとグラスを冷やし切れず、ソーダの温度が上がって炭酸が抜けやすくなります。透明度は大事ですが、量が足りなければその良さは活きません。
| 選択肢 | 費用の目安 | 手間・時間 | 透明度 | ハイボールへの向き |
|---|---|---|---|---|
| 100円ショップの製氷皿 | 110円から(初期費用のみ) | 水を入れて凍らせるだけ | 中心が白く濁る | 1マスが大きいものなら日常使いに向く |
| アイスボールメーカー | 100円ショップでも買える(初期費用のみ) | 製氷皿と同程度 | 製氷皿と同程度 | ロック向け。グラスを満たしにくい |
| 透明氷専用の製氷器 | 数千円台が中心(初期費用のみ) | 凍るまで時間がかかり、濁った部分を取り除く手間がある | 高い | グラスの内径に合えば最も向く |
| 冷蔵庫の自動・急速製氷 | 追加費用なし(冷蔵庫に付いている機能) | ほぼ手間なし | 急速製氷では期待できない | 量を確保する役 |
| 氷屋純氷(ロゴ付き) | 使うたびに購入費がかかる | 買うだけ | 製法の条件が定められている(後述) | 来客時に向く |
製氷皿:個数より「1マスの大きさ」で選ぶ
製氷皿は100円ショップで110円から手に入ります。製氷皿は側面と底の全方向から冷えるため、どの皿を使っても中心に空気が閉じ込められて白くなります。「透明」とうたう皿でも、この冷え方は変わりません。選ぶときに差が出るのは大きさです。1枚あたりの個数が多いほど1個は小さくなり、早く溶けて味が薄まります。
アイスボールメーカー:丸氷はロック向き
100円ショップには、1枚で多数の丸氷を作れるアイスボールメーカーもあります。球は体積あたりの表面積が最も小さく溶けにくい形なので、オールドファッションドグラスに1個だけ入れるロックには理にかなっています。しかし細長いハイボールグラスでは、球の直径がグラスの内径で制限され、球と球のあいだにも大きな隙間が残ります。その結果、グラスを満たす氷の量が足りなくなります。また、一度に多数取れるタイプの小さな丸氷は、形が丸くても小さい氷であることに変わりません。
透明氷専用の製氷器:仕組みと内径の確認
透明氷専用の製氷器は、側面と底を断熱材で囲み、上面からだけ冷えるようにして、一方向に凍らせる仕組みです。凍る境目が上から下へゆっくり進むため、気泡や不純物はまだ凍っていない下の方へ押し出され、最後に下の濁った部分だけを取り除けば透明な部分が残ります。氷柱型を選ぶときは、グラスの内径と高さを測り、製品が作る氷のサイズと比べてください。氷柱がグラスの内径より一回り細くないと入りません。ぎりぎり入る太さでも、ソーダを氷に当てずに注ぐ隙間がなくなってしまいます。
冷蔵庫の自動製氷・急速製氷
日立や東芝などは、自動製氷や急速製氷を備えた冷蔵庫を出しています。急速製氷は冷やす速度を上げて氷の量を確保するための機能で、「ゆっくり一方向から凍らせる」という透明な氷の条件とは逆の働きをします。毎日の量の確保には便利ですが、透明度は期待しないほうがよいでしょう。透明な氷を作れるとうたう機能があるかどうかは、機種ごとの仕様で確認してください。
市販の氷:「氷屋純氷」と「ロックアイス」は別のもの
「氷屋純氷」は、氷屋の組合である全氷連(全国氷雪販売業生活衛生同業組合連合会)が認めた氷です。食品衛生法に基づいて定期的に検査した原水を使い、48時間以上かけて凍らせます。ただし「48時間」はこの認定を受けるための条件であり、市販の氷すべてに当てはまるわけではありません。「ロックアイス」は小久保製氷冷蔵の商品名で、氷全般を指す言葉ではありません。製法の条件で選びたいときは、袋に「氷屋純氷」のロゴがあるかを目安にします。
場面別の選び方
- 平日に1〜2杯、費用を抑えたい:1マスが大きい製氷皿を使います。溶けやすさは、後述の手順で先にウイスキーとグラスを冷やし、氷を足してからソーダを注ぐことで補えます。
- 来客で一度に何杯も出す:当日に袋の氷を買います。氷屋純氷のロゴがあれば製法の条件がはっきりしており、自宅の冷凍庫で作る量の限界も気にしなくて済みます。
- 一杯の仕上がりにこだわりたい:透明氷専用の製氷器で氷柱を作ります。手持ちのグラスの内径に合うサイズを先に決めることが選ぶ順番になります。
- とにかく量を切らしたくない:冷蔵庫の製氷は補充用と割り切り、仕上げの一杯には別の氷を使います。
作った氷を活かすハイボールの作り方:比率・注ぎ方・混ぜる回数
透明な氷柱を用意しても、組み立て方を誤ると炭酸は抜け、味は薄まります。サントリーは、おいしく作るポイントとして次の3つを挙げています。①ウイスキーとグラスを氷でしっかり冷やす、②炭酸を逃がさない、③ウイスキーとソーダの割合を守る。以下の手順は、すべてこの3点から組み立てています。
手順:冷やす→足す→注ぐ→1回混ぜる
- グラスに氷をぎっしり入れる。氷柱なら、グラスの内壁にほぼ沿う太さのものを使う。
- ウイスキーを注ぎ、マドラーでよく混ぜて、ウイスキーとグラスを冷やす。
- 溶けて減った分の氷を1〜2個足す。
- 冷えたソーダを、氷に当てないよう静かに注ぐ。
- マドラーを底まで差し入れ、縦に1回だけ動かす。
2の工程は、ソーダを注いだときの温度差を小さくするためのものです。常温のウイスキーに冷えたソーダを注ぐと、ソーダが温められて炭酸が抜けやすくなります。3で氷を足すのは、冷えた氷が十分にある状態でソーダを迎えるためです。こうすると、注いだ後に溶ける氷の量が減り、最終的な加水量を抑えられます。
ソーダを入れた後に何度も混ぜてはいけない理由
炭酸が抜ける3つの原因(圧力・温度・衝撃)と氷との関係は、冒頭の表の通りです。このうち、ソーダを入れた後に自分で加えてしまうのが衝撃です。温度と圧力については、ソーダを注ぐ直前まで冷蔵庫に入れておき、開けたらすぐに注ぎ、残りは栓を固く締めておけば抑えられます。
ウイスキーとソーダは、注いだ勢いである程度混ざります。仕上げは、底のウイスキーを持ち上げるつもりで氷を軽く上下させる1回で足ります。何度も回すと、そのたびに衝撃が加わり、自分で炭酸を抜いていることになります。
比率は「角ハイボール」と「一般的なハイボール」で分ける
| 種類 | 比率 | 出どころ | 計算上の度数(40度のウイスキーの場合) |
|---|---|---|---|
| 角ハイボール | 角瓶1:ソーダ4 | サントリー公式サイト | 8% |
| 一般的なハイボール | 1:3〜4 | サントリー工場ブログ | 8〜10% |
度数は、溶けた氷の水を含めない計算上の値です。たとえばウイスキー30mlなら、1:4のソーダは120mlになります。角ハイボールについてメーカーが案内している手順は、氷をいっぱいに入れたグラスに軽く搾ったレモン、角瓶の順に入れ、冷えたソーダを静かに注いで軽く混ぜる、というものです。角瓶なら1:4を基準にし、ウイスキーの香味をもっと前に出したいときだけ1:3まで寄せると、迷わずに済みます。
手持ちの別の銘柄に当てはめるときは、度数と香味の強さで比率を動かします。度数43〜46%以上の銘柄は、同じ比率でも液中に残るウイスキーの量が多くなります。たとえば46%を1:4で割ると計算上は約9%で、40%を1:3で割った10%に近い濃さです。香味の強い銘柄も、1:4まで割って香りが残ります。たとえば、ピートを焚いて乾燥させた麦芽のフェノール類に由来するスモーキーな銘柄や、シェリー樽熟成で樽由来の香味が濃い銘柄です。反対に、軽いブレンデッドや繊細なスペイサイドのモルトは、1:4では香りがソーダに埋もれやすいので1:3寄りにします。量の目安は、シングル(30ml)なら1:3でソーダ90ml、1:4で120mlです。ダブル(60ml)なら180〜240mlになるので、氷とソーダが収まる容量のグラスを選びます。
氷柱の太さが注ぎ方を決める
氷柱がグラスの内壁にほぼ沿う太さなら、ソーダを氷柱とグラスのすき間に流し込めます。氷に当たらないので泡立ちが少なく、混ぜる回数も1回で済みます。製氷皿の小さな氷は、すき間が不規則なのでソーダが当たりやすく、しかも速く溶けて味が薄まります。この場合は、グラスを少し傾けて内壁を伝わせるか、マドラーに沿わせて注ぐと衝撃を減らせます。形が不揃いな市販のかち割り氷も、同じ注ぎ方が合います。
よくある疑問
冷凍庫で何時間かかる? 保温した容器で一方向から凍らせる方法では、2〜3日かける例があります。来客に出すなら、2〜3日前に仕込み始めると確実です。
水道水でよい? 透明度を左右するのは、水の種類より凍らせ方です。煮沸の効果が小さいことは前述の通りです。水道水でも作れますが、においが気になるなら浄水を使います。
作った氷はどのくらい保存できる? 日数ではなく状態で判断します。表面に霜がついたり、冷凍庫のにおいが移ったりした氷は使いません。保管には密閉できる袋か容器を使います。
丸氷を使ってよい? 使えます。ただし丸氷はグラスとのすき間が大きく、ソーダが氷に当たりやすい形です。タンブラーなら径の合う丸氷を縦に重ね、内壁に沿わせて注ぎます。
氷はどのタイミングで足す? 手順3の通り、ソーダを注ぐ前です。ソーダを注いだ後に足すと、氷を落とした衝撃で炭酸が抜けます。
よくある質問

ハイボール用の透明な氷を家庭で作るにはどうすればいいですか?
容器の側面と底を断熱し、上からだけゆっくり凍らせる「方向性凍結」が基本です。小型クーラーボックスに水を入れ、ふたを開けたまま冷凍庫に入れます。かかる時間は冷凍庫の温度と水量で変わりますが、クーラーボックスなら2〜3日が目安です。初回は1日ごとに凍り具合を確かめ、底に濁りが固まる前に取り出して、透明な上側だけを使います。水を煮沸しても、凍らせ方ほどの効果はありません。においが気になる場合は浄水を使います。
ハイボールに使う氷は市販のロックアイスと自家製どちらがいいですか?
市販の氷を製法の条件で選ぶなら、袋に「氷屋純氷」のロゴがあるかで判断します。ロゴのない袋の氷にも、手軽に量を確保できる利点があります。なお「ロックアイス」は小久保製氷冷蔵の商品名で、氷全般の呼び名ではありません。自家製の透明氷の強みは、グラスの内径に合わせた氷柱にできることです。平日は手持ちの氷、来客時は純氷のロゴ付きか自家製、と使い分けると無駄がありません。
ハイボールの氷が早く溶けて薄くなるのを防ぐ方法はありますか?
組み立ての順番で防げます。まずグラスに氷をぎっしり入れ、ウイスキーを注いでマドラーでよく混ぜ、ウイスキーとグラスを冷やします。次に、溶けて減った分の氷を1〜2個足します。そのうえで冷えたソーダを氷に当てないよう静かに注ぎ、縦に1回だけ混ぜます。ソーダの前に冷やし終えておけば、注いだ後に溶ける氷が減り、加水も炭酸抜けも抑えられます。
ハイボールに合う氷の大きさや形はどれがおすすめですか?
体積に対して表面積が小さい、大きな氷が向いています。細長いタンブラーなら、内径より一回り細い氷柱が収まりよく、ソーダをすき間に注げるので炭酸も抜けにくくなります。氷柱がなければ、大きめのかち割り氷や角氷をグラスにぎっしり詰めます。小さな氷や砕いた氷は表面積が大きいため、早く溶けて薄まりやすくなります。
この記事で紹介した銘柄
20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。