コスパ最強のハイボール向けウイスキー|1杯単価と割り方で選ぶ
ハイボールのコスパは瓶の値段でなく1杯単価で比べるのが基本。30ml換算でトリスやブラックニッカ クリアなど5銘柄を比較し、容量や度数による差、予算別の選び方、1杯あたりの計算方法がわかります。
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「コスパ」は瓶の価格ではなく1杯単価・度数・容量で比べる
結論から言うと、最安を重視するならトリスウイスキーか**ブラックニッカ クリアです。どちらも37%の軽い仕上がりで、30mlあたりのウイスキー代は700ml瓶で約42円、4Lの大容量品なら約37円です。少し予算を足して燻香がほしいならティーチャーズ ハイランドクリーム**、樽香の厚みを求めるなら45%のブラックニッカ ディープブレンドを選びます。以下で、その根拠になる単価の計算を示します。
ハイボールの安さは、瓶の値札だけでは比べられません。比べる単位は1杯です。そのためには、1杯に使う量・瓶の容量・度数の3つをそろえて計算します。ここではハイボール1杯にシングル30mlを使う前提にします。700ml瓶なら700÷30で約23杯(正確には23.3杯)、4Lなら約133杯(133.3杯)取れます。
メーカー公表価格から出す1杯単価
下の表の公表価格は、メーカーが公表する希望小売価格・参考小売価格(税別、2026年10月確認)です。店頭の値段ではなく、銘柄どうしを同じ条件で比べるための価格の基準値として使います。「ウイスキー代/30ml」は、700ml瓶は23.3杯、4Lは133.3杯で割った数字で、炭酸水と氷の代金は含みません。実売価格や税込価格は店や時期で変わります。手元の税込実売価格で同じ割り算をし直せば、自分の条件での値が出ます。
| 銘柄 | 容量・度数 | 公表価格(税別) | ウイスキー代/30ml | 1杯の純アルコール量 | 純アルコール1mlあたり |
|---|---|---|---|---|---|
| トリスウイスキー | 700ml・37% | 約42円 | 11.1ml | 約3.8円 | |
| ブラックニッカ クリア | 700ml・37% | 1,001円前後(2026年10月13日時点) | 約42円 | 11.1ml | 約3.8円 |
| ティーチャーズ ハイランドクリーム | 700ml・40% | 約69円 | 12.0ml | 約5.8円 | |
| ブラックニッカ ディープブレンド | 700ml・45% | 約71円 | 13.5ml | 約5.2円 | |
| 角瓶 | 700ml・40% | 約82円 | 12.0ml | 約6.8円 | |
| トリスウイスキー(大容量) | 4L・37% | 4,870円 | 約37円 | 11.1ml | 約3.3円 |
| ブラックニッカ クリア(大容量) | 4L・37% | 4,870円 | 約37円 | 11.1ml | 約3.3円 |
| ジムビーム(大容量) | 4L・40% | 6,820円 | 約51円 | 12.0ml | 約4.3円 |
990円帯の2本と、1,600〜1,900円帯の3本では、30mlあたりのウイスキー代に約27〜40円の差があります。毎日1杯飲むなら、月に約800〜1,200円の差です。4Lを選ぶと、トリスウイスキーとブラックニッカ クリアは30mlあたり約42円から約37円に下がります。容量の違う品は、必ず容量で割って同じ30mlに直してから比べます。
ハイボール1杯の値段にするには、税込の実売価格と炭酸水代を足します。たとえば角瓶を希望小売価格どおり税込2,101円で買い、炭酸水を500ml・税込100円と仮定して1:3(90ml)で割るとします。ウイスキー代は2,101÷23.3で、税込で計算すると約90円です(表の税別ベースでは約82円)。炭酸水代は100×90÷500で18円です。氷を除いて1杯約108円になります。
度数の差は「実質の1杯単価」を動かす
30mlに含まれる純アルコールは、37%で11.1ml、45%で13.5mlです。同じ比率で割れば、45%の銘柄のほうが仕上がりのアルコール濃度は高くなります。アルコール量を37%の30mlと同じにするなら、45%は約25mlで足ります。ブラックニッカ ディープブレンドを25mlずつ注げば700ml瓶から28杯取れ、30mlあたりのウイスキー代で約71円だったものが1杯約59円まで下がります。純アルコール1mlあたりで比べても、ディープブレンドは40%のティーチャーズや角瓶より安くなります。ただし25mlに減らしてそろうのは純アルコール量だけで、香味の濃さまで30ml注いだときと同じにはなりません。
香味の厚みは度数だけでは決まりません。銘柄ごとの香味の違いは2章で扱います。
- アルコール量を抑えつつ単価を下げたい人:45%を約25mlに減らして注ぎます。比率の決め方は4章を参照してください
- 軽い口当たりで単価を最優先する人:37%の2銘柄を30mlで使います
- 樽やピートの個性もほしい人:30mlあたり約70〜80円の帯から選びます。ティーチャーズは穏やかなスモーク(理由は3章)
容量と名称の変更を確かめてから比べる
- ブラックニッカ スペシャル:2026年4月14日に、中身はそのまま720mlから700mlへ切り替わりました。30mlで数えると24杯から約23杯に減ります。旧瓶と新瓶が店頭に並ぶ時期は、価格を容量で割り、1mlあたりで比べます。
- トリスウイスキー:2025年11月下旬に「トリス〈クラシック〉」から名称が変わりましたが、中身は同じです。通販や検索では旧名で載っている場合があります。別の商品と思い込んで比較から外さないよう注意してください。
飲食店はソーダと氷まで含めて原価を出す
ハウスハイボールの原価は「ウイスキーの1杯単価+ソーダ代+氷代」で見積もります。ソーダ代は1杯の使用量に仕入れ単価を掛けて出します。30mlに対して1:3なら90ml、1:4なら120mlです。ウイスキー代は、業務用の仕入れ価格で1杯単価を計算し直します。そのうえで、店の売価と目標原価率に照らして判断します。
見落としやすいのが注ぎ量のぶれです。メジャーカップ(ジガー)を使わず目分量で35ml注ぐと、ウイスキー原価は30ml比で約17%上がります。安い銘柄を選んでも、計量が甘ければ差は簡単に消えます。
価格帯別に見るハイボール向けの定番銘柄

1,000円前後:トリスウイスキーとブラックニッカ クリア
最安帯の定番はこの2本です。どちらも700ml・37%で、価格はトリスウイスキーが、ブラックニッカ クリアが1,001円前後(2026年10月13日時点)です。原材料はどちらもモルトウイスキーとグレーンウイスキーにグレーンスピリッツを加えた構成で、ブラックニッカ クリアは輸入原酒を一部含みます。グレーンスピリッツとは、穀物を原料に連続式蒸溜で高い度数まで精製し、樽熟成を前提としない蒸溜酒です。ウイスキー原酒だけで組み立てないことが、香味の軽さと価格の両方につながっています。そのため、スピリッツの有無では2本を分けられません。クリアの違いは、ピートを焚かずに乾燥させたノンピートモルトを使う点です。燻香の元になるフェノール類が麦芽に移らないため、炭酸で香りが持ち上がっても煙たさが出にくくなります。トリスウイスキーは軽く穀物的な香りが特徴です。度数が37%であることに加え、グレーンスピリッツを使い、クリアは輸入原酒も含むため、どちらも「ジャパニーズウイスキー」の表示基準の対象外です(要件は5章)。仕上がりのアルコール濃度は1:3で約9.3%、1:4で約7.4%です。比率の決め方は4章を参照してください。
1,500〜2,000円前後:角瓶・ティーチャーズ・ディープブレンド
この帯には、香りの軸がはっきり異なる3本が並びます。角瓶はバーボン樽原酒に由来するバニラ系の甘さ、ティーチャーズ ハイランドクリームは穏やかなスモーク、ブラックニッカ ディープブレンドは新樽由来の濃い樽香が特徴で、度数は45%と高めです。角瓶以外を探すなら、スモークか樽の濃さかで選び分けます。この違いが生まれる理由は次のセクションで扱います。
| 銘柄 | 価格(税別) | 度数 | 香りの軸 | ソーダ比の目安 | 理由となる製法 |
|---|---|---|---|---|---|
| トリスウイスキー | 37% | 軽く穀物的 | 1:3 | グレーンスピリッツを加えた37%のブレンド | |
| ブラックニッカ クリア | 1,001円前後(2026年10月13日時点) | 37% | ノンピートで癖が少ない | 1:3 | ノンピートのモルト |
| ティーチャーズ ハイランドクリーム | 40% | 穏やかなスモーク | 1:3〜1:4 | ピーテッドモルトのキーモルト(3章) | |
| ブラックニッカ ディープブレンド | 45% | 新樽由来の濃い樽香 | 1:4 | 新樽熟成のモルト原酒と45%の度数 | |
| 角瓶 | 40% | バーボン樽の甘さ | 1:3〜1:4 | 山崎・白州のバーボン樽原酒 |
スコッチ・バーボン・カナディアンと国産の別枠
軽さやスモークの有無は、国産か輸入品かでは分けられません。国産のトリスウイスキーとブラックニッカ クリアは軽い仕上がりですが、同じ国産でもディープブレンドは新樽由来の濃い樽香が軸です。スコッチのティーチャーズ ハイランドクリームは穏やかなスモーク(理由は3章)を持ちます。比べるときは産地ではなく、モルトのピート仕様、樽の種類、グレーンやスピリッツの使い方、実際に割ったときの香味を銘柄ごとに見ます。
バーボンは、米国の規定で原料の51%以上をトウモロコシとし、内側を焦がした新樽で熟成させます。樽から香りが出る仕組みは3章で扱います。銘柄ごとの出方は次のとおりです。
- ジムビーム(ケンタッキー・ストレート・バーボン、4L・40%・税別6,820円):30mlあたりのウイスキー代は約51円です。トウモロコシ由来の甘さと、新樽由来のバニラ香が前に出ます。
- カナディアンクラブ(カナディアンウイスキー、700ml・40%・1,222円前後・2026年10月13日時点):バーボンではなく、カナディアンウイスキーの例です。30mlあたりのウイスキー代は価格を23.3で割って出します。樽の甘さは控えめです。食事に合わせる軽い一杯に向きます。
500ml瓶から30mlで取れるのは約16.7杯なので、700ml瓶と同じ23.3では割りません。価格×30÷500で、30mlあたりのウイスキー代になります。1杯30mlの純アルコール量は15.0mlで、37%の30mlより約35%多くなります。国内ブランドであることと「ジャパニーズウイスキー」の表示は別なので、ラベルの表示で確かめてください。香味がどこまで残るかは度数だけでは決まりません。比率の決め方は4章を参照してください。
6,000円台:キリン 富士山麓 Signature Blend
キリン 富士山麓 Signature Blendは、キリン公式通販で700ml・税込6,290円(2026年10月確認)です。30mlあたりのウイスキー代は約270円で、角瓶の希望小売価格(700ml・税込2,101円)で計算した約90円の約3倍になります(どちらも税込で比較。表の税別ベースでは角瓶は約82円)。日常の1本とは別の価格帯として扱います。熟成感を重視したブレンデッドで、氷が溶けた後半でも味が崩れにくいのが利点です。
選び方の目安は次のとおりです。毎日飲むなら1,000円前後の帯、週末に香りを楽しむなら1,500〜2,000円前後の帯を選びます。熟成感に価格を払えるなら、6,000円台の富士山麓が候補に入ります。店のハウスハイボールなら、候補の銘柄の比率を4章の手順で決め、香味が残る比率と原価の両方で基準を決めます。
なぜハイボールで味が変わるのか:原料・蒸溜・樽から読み解く
ストレートで甘く感じた銘柄が、ハイボールにすると水っぽくなることがあります。逆に、ストレートでは控えめだった燻香が、ソーダで割ると前に出ることもあります。こうした逆転は、温度と炭酸によって香りの出方が変わるために起きます。
冷却と炭酸で、感じる香りが変わる
低温では、舌が甘さや粘性を感じにくくなります。氷で冷やしたハイボールでは、樽由来の甘さやボディの重さが一段後ろに下がります。一方、揮発しやすい香り成分は、炭酸の泡がはじけるときに液面から一緒に立ちのぼります。その結果、鼻に届く香りは揮発しやすい成分が中心になります。ハイボール用の銘柄は、ストレートではなくハイボールにした状態で判断します。
ティーチャーズがハイボールでもスモーキーな理由
ティーチャーズ ハイランドクリームは、アードモア蒸溜所のピーテッドモルトをキーモルトに使っています。ピーテッドモルトとは、麦芽の乾燥時にピート(泥炭)を焚き、その煙に含まれるスモーキーな成分(フェノール類)を移した麦芽のことです。移った量はフェノール値(ppm)で示されますが、ティーチャーズに使う原酒の値は公表されていません。
それでもハイボールで燻香が輪郭として残るのは、冷却によって甘さと重さが引くぶん、スモーキーさが相対的に目立つからです。加えて、フェノール類はごく少量でも嗅ぎ取りやすい香り成分で、ソーダで薄めても香りの方向性として残りやすい性質があります。
ただし、麦芽のフェノール値(ppm)がそのまま原酒に移るわけではありません。フェノール類の多くは再溜(スピリットスチルでの2回目の蒸溜)の後半に出るため、ミドルカット(製品にする中間部分=ハートの切り出し)を遅く切り上げるほど原酒に残り、早く切ると少なくなります。さらにブレンドで他の原酒と合わさって薄まります。ティーチャーズのカット位置とブレンド比率、樽の内訳は公表されていません。
ブラックニッカ クリアとディープブレンドの違い
クリアは、2章で触れたノンピートモルトを使います。燻香の元になる成分がもともと少ないので、炭酸で香りが立ってもクセが出にくくなります。レモンを搾る飲み方や食中酒、大量に作るハウスハイボールに向きます。
ディープブレンドには、ホワイトオーク新樽で熟成したモルト原酒と、樽熟成したカフェグレーン原酒(カフェ式連続式蒸溜機で造るグレーン原酒)が使われています。新樽は通常、内面にチャー(炎で焦がす処理)やトースト(加熱して木を熱分解させる処理)を施してから使います。加熱で分解したリグニンに由来するバニリン(バニラ香)や、オークラクトン(ココナッツ様の香り)、タンニンが原酒に多く溶け出すため、ウッディな甘さと渋みの骨格が加わります。バーボン樽は、この新樽をバーボンの熟成に一度使った後の2回目以降の使用(スコッチでいうファーストフィルのバーボン樽)なので、溶け出す量は新樽より穏やかです。樽香の強さは新樽かどうかに加え、チャーとトーストの度合いで大きく変わりますが、ディープブレンドの樽の処理は公表されていないため、ここでは推測しません。度数は45%と高く、同じ30mlなら純アルコール量が多くなります。
角瓶とトリス:甘さの軸と軽さの理由
角瓶には、山崎・白州蒸溜所のバーボン樽原酒が使われています。冷えて舌で感じる甘さが弱まっても、バーボン樽由来の甘い香りは泡と一緒に立ちのぼります。これが、ハイボールの定番として親しまれている味の軸になっています。
トリスウイスキーの軽さの理由は、2章で触れた原材料の構成にあります。
好み別の判断基準
- 比べるときは、同じグラス、同じ氷、ウイスキーとソーダの比率をそろえます
- スモーキーさを確かめるなら、注いだ直後の立ち香で判断します
- 冷却濾過や着色の有無、全原酒のピート値、蒸溜器の内訳、樽の構成は確認できていません。液色や香りから推測しません
度数で変える割り比率と、気が抜けないハイボールの作り方

割り比率の基本は、ウイスキー1に対してソーダ3〜4です。「黄金比」をひとつの数字で覚えるより、仕上がりのアルコール度数で考えるほうが、銘柄を替えても同じアルコール濃度を再現できます。計算式は「ウイスキーの度数 ÷(1+ソーダの比率)」です。氷が溶ける分は含めていません。
| 銘柄(度数) | 1:3の仕上がり | 1:4の仕上がり |
|---|---|---|
| トリスウイスキー(37%) | 約9.3% | 約7.4% |
| ブラックニッカ クリア(37%) | 約9.3% | 約7.4% |
| 角瓶/ティーチャーズ ハイランドクリーム(40%) | 10.0% | 8.0% |
| ブラックニッカ ディープブレンド(45%) | 約11.3% | 9.0% |
37%を1:3で割ると約9.3%、45%を1:4で割ると約9.0%で、アルコール濃度はほぼ同じです。ただし、この表で計算できるのは仕上がりのアルコール濃度だけです。香味の濃さや、氷が溶けてからの持ちは銘柄ごとに異なります。実際には氷が溶けるため、仕上がりは表の値から少しずつ下がります。
香味に合う比率は、試飲して決めます。グラス、氷、ソーダ、ウイスキーの温度をそろえ、1:3と1:4を同じ手順で作ります。注いで混ぜた直後と、数分置いた後に、それぞれ香りと味を見ます。直後に香りが立っても、後半に香りが痩せて水っぽく感じる比率は採りません。どちらも後半まで香りが保てるなら、好みの飲み口と仕上がり度数で選びます。店のハウスハイボールで銘柄を替えるときも、まず表で仕上がり度数をそろえる比率を出し、そのうえでこの手順で比率を決め直します。
炭酸を逃がさない手順
- グラスとソーダをよく冷やします。二酸化炭素は液温が低いほど溶けたまま残りやすくなります。
- 大きめの氷をグラスの縁まで詰めます。氷が多いほど、液全体の温度が上がりにくくなります。
- ウイスキーを注ぎ、マドラーで混ぜて酒と氷を冷やします。氷が沈んで隙間ができたら足します。
- ソーダは氷に直接当てず、グラスの内側に沿わせて静かに注ぎます。
- マドラーを底まで差し入れ、縦に1回だけ持ち上げて混ぜます。
よくある失敗と、炭酸が抜ける理由
- 常温のソーダを使う:液温が高いと溶けていられる炭酸の量が減り、冷えた氷に触れた瞬間に一気に泡立って抜けます。
- 溶けかけの小さな氷を使う:表面積が大きいぶん速く溶けて水っぽくなります。表面の凹凸も泡ができる起点になります。
- 何度もかき混ぜる:混ぜるたびに刺激で泡が液面から逃げます。
- ソーダを先に注ぐ:ウイスキーは水より比重が軽いので上に浮き、混ざりにくくなります。結局何度も混ぜることになり、炭酸が抜けます。
グラスの選び方と、注ぐ量の決め方
背の高いタンブラーは、泡が液面に上がるまでの通り道が長く、液面も狭いので炭酸が持ちやすい形です。注ぐ量はグラスの容量で決めます。300ml前後のグラスならシングルの30ml、400ml級のジョッキや大ぶりのタンブラーならダブルの60mlを目安にします。大きいグラスにシングルの量だと、比率を保つとグラスに余白が残り、満たそうとすると薄くなります。店では先にグラスを決め、メジャーカップで量と比率を固定すると、味も1杯単価もぶれません。
銘柄の個性を生かす割り方
- 燻香のある銘柄:レモンピールをグラスの上で絞って精油を飛ばすと、燻香の輪郭が立ちます。
- 軽い銘柄:ブラックニッカ クリアやトリスウイスキーは香味が穏やかです。1:4では水っぽく感じやすいので、1:3を基準にします。
- 樽香を楽しむ銘柄:角瓶のようにバーボン樽由来の甘い香りが軸の銘柄は、レモン果汁を入れすぎると酸味が甘い香りを隠すので、果汁は数滴にとどめるか、ピールだけにします。
開栓後の保管と冷凍庫の扱い
開栓後はキャップをしっかり閉め、直射日光と高温を避けて立てて置きます。光は色と香りを損ない、高温は香りの揮発を早めます。立てて置くのは、コルク栓が高濃度のアルコールに触れ続けると傷むためです。700mlを飲み切るまでの期間であれば、手頃なブレンデッドで大きな劣化を気にする必要は少ないでしょう。
冷凍庫で冷やした原酒を使うと、氷が溶けにくくなります。ただし度数が低いほど凍りやすく、37%の銘柄は冷凍庫の設定によってはとろみが出ることがあります。水やソーダで割った作り置きは凍るので、瓶ごと冷凍庫に入れてはいけません。冷やしすぎると香りが立ちにくいため、樽香を楽しむ銘柄は冷蔵庫の温度帯にとどめます。冷却濾過(瓶詰め前に冷やして濾し、脂肪酸エステルなど低温で析出する成分を除く工程)をしていない、いわゆるノンチルフィルタードの原酒は、冷やしたり加水したりすると白く濁ることがあります。紹介した銘柄の冷却濾過の有無は公表されていません。出し入れでつく結露はラベルを傷めるので、拭いてから戻します。
ラベルと評価の読み方、好みと用途別の最終判断
「ジャパニーズウイスキー」の表示は品質ではなく製法の情報
日本洋酒酒造組合の表示基準では、「ジャパニーズウイスキー」と表示するために次のような要件を満たす必要があります。原材料は麦芽(必須)・穀類・日本国内で採水された水に限る、国内での糖化・発酵・蒸溜、木樽での国内貯蔵3年以上、国内での瓶詰めで、瓶詰め時の度数40%以上などです。したがって「国内で製造されたウイスキー」と同じ意味ではありません。国外で蒸溜された原酒を使う、原材料にスピリッツを加える、貯蔵が3年に届かない、度数が40%未満であるといった要件のどれかを外れれば、国内の工場で瓶詰めしていてもこの表示は使えません。
ラベルからは「原酒の生まれと熟成の最低条件が保証されているか」を読み取れば十分です。表示の有無で品質の上下は決まりません。3年という下限は格付けではありません。ハイボールの味を決めるのは原酒の個性と樽の効かせ方です。トリスウイスキーとブラックニッカ クリアは、度数と原材料の両面でこの基準の対象外です(2章)。ただ、軽さと価格を重視して毎日炭酸で割る1本としての価値は、表示とは別に考えたいところです。
受賞歴は「部門」と「連続性」まで読む
受賞歴を見るときは、どの部門で、何年続けて評価されているかまで確かめます。年ごとに別のロットが審査されるので、複数年続けて評価を保っていれば、味の安定性を判断する材料になります。ただし部門の分け方は主催者が決めるもので、ラベルの表示基準とは別物です。また、一般的なコンペは炭酸で割ったときの香りの立ち方を審査するものではありません。受賞は候補を絞る段階で使い、最後は好みと1杯単価で決めます。
用途別の判断基準
香味の方向での選び分けは2章の表を参照してください。ここでは用途から判断します。
- 毎日飲む:1杯単価を最優先します。700ml瓶をシングル30mlで注ぐなら、瓶価格を23.3で割って比べます(1章の表と同じ計算)。
- 食事に合わせる:香りが穏やかなノンピートで軽いタイプを選びます。出汁や塩味の繊細な料理を邪魔しにくいためです。燻香のあるタイプは焼き物や揚げ物に回します。
- 来客・店のハウスハイボール:知名度と味の安定性を重視します。銘柄名で注文が通じる大量生産のブレンドが扱いやすいでしょう。原価は注ぐ量(30mlか60mlか)を決めてから計算し、メニューの表記とそろえます。
よくある質問
安いウイスキーは体に悪い? 価格だけで健康への影響は判断できません。純アルコール量に加え、飲み方や本人の体質・健康状態も考慮します。40%を30ml注ぐと純アルコールは約9.6gになるので、杯数ではなくグラム数で把握します。
瓶とペットボトル・大容量はどちらが得? 1mlあたりの価格は大容量のほうが下がりやすくなります。ただ、中身が減るほど容器内の空気が増えて香りが抜け、ペットボトルは瓶より気体を通しやすい素材です。早く飲み切るなら大容量、ゆっくり飲むなら瓶が向きます。
ハイボール缶と自分で作るのはどちらが安い? 自作の1杯単価の出し方は冒頭の表を参照してください。缶は度数が製品ごとに違う(5〜9%など)ため、容量×度数×0.8で純アルコール量(g)を出し、缶の価格をそのグラム数で割ります。自作の1杯も、炭酸水代を含めた1杯の代金を30mlの純アルコール量(37%で約8.9g、40%で約9.6g)で割れば、純アルコール1gあたりで比べられます。
よくある質問

4Lペットボトルを開栓したら、どう小分けすると香りの抜けを抑えられる?
開栓後は使うたびにキャップを固く閉めます。残りが700ml程度まで減ったら、清潔でよく乾かした700mlのガラス瓶に移し替え、口元近くまで満たして密栓します。容器内の空気が少ないほど、揮発による香りの抜けを抑えられます。さらに減ったら、より小さい瓶に移して同じように空気との接触面を減らします。移し替えた瓶には銘柄名と移した日付を書いておくと、古い順に使い切れます。
店で「濃いめ」「薄め」と注文されたら、何を変える?
先に店として、ウイスキーの量を変えるのか、ソーダの比率を変えるのかを決めておきます。ウイスキーの量を変える方式なら、濃いめで増える量をメジャーカップで決め、増えた分の原価を売価に反映させます。ウイスキーを30mlに固定してソーダの比率を変える方式なら、原価はほぼ変わりませんが、グラス内の液量が変わるのでグラスとの組み合わせも決めておきます。どちらの方式でも、メニューに量か比率を明記し、原価計算も同じ量で行うと、スタッフ間で味と原価がぶれません。
ハイボールには国産と海外産、どちらがコスパが良い?
国産か海外産かでは決まりません。30mlあたりの単価と純アルコール1mlあたりの価格は1章の表、香りの方向は2章の表で比べてください。
この記事で紹介した銘柄
20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。