ジャパニーズウイスキー

ジャパニーズウイスキーのピートが強い順|ppmと選び方

公表された麦芽ppmで並べると、ジャパニーズウイスキーで最もピートが強いのは三郎丸の80ppm銘柄。次点の50ppmにはあかしPX5年 Heavily Peatedなど。余市や嘉之助などppm未公表銘柄の特徴と、樽も含めた選び方を解説。

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結論:麦芽ppmの公表値で並べた、ピートが強いジャパニーズウイスキーの順番

結論から示します。2026年10月時点で麦芽のフェノール値(ppm)を公表しているジャパニーズウイスキーのうち、最も高い値は80ppmです。これを掲げるのは三郎丸蒸留所の2銘柄で、三郎丸Ⅶ・Ⅷの各通常版とカスクストレングス版の計4本がこの麦芽を使います。アイラ産ピートで乾燥した麦芽を使う**『三郎丸Ⅷ STRENGTH』(2026年5月21日発売)と、ハイランド産ピートの麦芽を鋳造製ポットスチル「ZEMON」で蒸溜した『三郎丸Ⅶ THE CHARIOT』(2025年11月20日発売)です。次の階層は50ppmで、三郎丸が従来から使うヘビリーピーテッド麦芽(ハイランド産とアイラ産のピート)と、江井ヶ嶋酒造の『シングルモルトあかし PX5年 Heavily Peated』**が並びます。

「ジャパニーズで一番ピートが強いのは?」と聞かれた場合は、公表された麦芽ppmで比べる限り、三郎丸の80ppm麦芽の銘柄と答えるのが正確です。この条件を外して「最強」と言い切ることはできません。ppmは乾燥後の麦芽に含まれるフェノール量を表す値で、瓶の中の液体の数値ではないからです。

銘柄蒸溜所麦芽ppm(公表値)ピートの産地度数容量希望小売価格(2026年10月確認)発売時期・数量
三郎丸Ⅷ STRENGTH三郎丸蒸留所80ppmアイラ48%700ml税込19,800円2026年5月21日・7,250本
三郎丸Ⅷ STRENGTH カスクストレングス三郎丸蒸留所80ppmアイラ59%700ml税込29,040円2026年5月21日・1,600本
三郎丸Ⅶ THE CHARIOT三郎丸蒸留所80ppmハイランド48%700ml税抜18,000円(税込19,800円)2025年11月20日
三郎丸Ⅶ THE CHARIOT カスクストレングス三郎丸蒸留所80ppmハイランド59%700ml税抜26,400円(税込29,040円)未確認
シングルモルトあかし PX5年 Heavily Peated江井ヶ嶋酒造50ppm未確認50%500ml未確認未確認
三郎丸の従来ヘビリーピーテッド麦芽を使う銘柄三郎丸蒸留所50ppmハイランド・アイラ銘柄による銘柄による銘柄による銘柄による

表の三郎丸ⅦとⅧは同じ80ppmでも、ピートの産地(Ⅶはハイランド、Ⅷはアイラ)が異なります。あかしの50ppmはペドロヒメネス・シェリー樽で5年熟成しており、樽由来の甘みが煙の当たりを丸める方向に働きます。ppmの数字だけでなく、熟成した樽の種類もあわせて確認してください。

ppm未公表の銘柄は順位に入れない

次の銘柄は、メーカーがピートやスモーキーさを特徴として打ち出していますが、麦芽ppmの正確な値は公表されていません(幅のある表示のみの銘柄を含みます)。推測で順位を付けると根拠のない序列になるため、別枠で扱います。

  • シングルモルト余市(ニッカウヰスキー):700ml・45%。メーカーの表現は力強いピートとスモーキーな余韻です。石炭直火で蒸溜し、ポットスチルはストレートヘッド型でラインアームが下向きです。麦芽ppmは公表されていないため、順位には入れていません。
  • 嘉之助シングルモルト PEATED(嘉之助蒸溜所):700ml・48%。冷却ろ過なし(メーカー公表)。メーカーは「メロー」「やわらかく、奥深いピート香」と表現し、強いスモーキーさやヨード感ではなく、穏やかに広がるスモーキーさを目指したと説明しています。キーモルトは焼酎リチャー樽とバーボン樽で熟成したピート原酒で、再留にはストレート型とランタン型のスチルを使います。麦芽ppmは公表されていないため、順位には入れていません。
  • シングルモルト駒ヶ岳 Peated × Sherry(本坊酒造):700ml・50%。2026年10月上旬に数量限定で発売されました。参考小売価格は税抜9,000円です。麦芽ppmを確認できないため、順位には入れていません。
  • 厚岸「秋分」(厚岸蒸溜所):700ml・55%。製品ページの表記は「ミディアム(10~30ppm以上)」という幅のあるもので、正確な値を確認できないため、順位には入れていません。

イチローズモルト(秩父蒸溜所)のピーテッドも、スモーキーさの評判が強い銘柄です。ただし公表ppmを確認できていないため、ここでは数値を書かず、順位にも入れていません。「飲んでみて強く感じる」という体感の評判と、公表値による数値の順位は、別の物差しとして分けて扱います。

店頭やカウンターで説明するときの言い方

根拠を数値で示すなら、「80ppmの麦芽を使用(メーカー公表)」と麦芽の値であることを添えて伝えます。「このボトルは80ppm」と言うと、液体の値だと誤解されます。贈答用なら、表の上位から予算と在庫で選び、限定品は生産本数が決まっているため早めに確認してください。

麦芽ppmが同じでも、蒸溜・樽・度数で体感は変わります。仕組みは次の章で工程ごとに説明します。

この記事で紹介した銘柄

なぜ80ppmでも『80の強さ』にならないのか:麦芽から瓶までのフェノールの変化

ウイスキーのイメージ写真

前の章で触れたとおり、ppmは麦芽の段階の値です。キルホーマン蒸溜所も、この値は瓶詰めしたウイスキーの数値でも、飲んだときの煙香の強さでもないと説明しています。麦芽からグラスまでの間に、フェノールは工程ごとに減ったり、ほかの香りに包まれたりします。80ppmの麦芽が「80の強さ」のまま届かないのはそのためです。

製麦:ピートの量だけでなく産地で煙の質が変わる

麦芽はキルン(乾燥炉)でピートの煙を当てられ、表面にフェノール類を吸着します。吸着する量と質は、ピートを焚く時間、焚き始めるタイミング(麦芽の水分が多い初期ほど煙を吸いやすい)、ピートの産地で変わります。産地による煙質の違いは、後の章で飲み比べ手順とともに扱います。

糖化・発酵:麦汁と酵母を通る間に一部が失われる

麦芽を砕いて湯で糖化し、酵母で発酵させる間に、フェノールの一部は粕や酵母の側に残り、もろみに移りきりません。そのため、麦芽のppmがそのまま原酒の濃さになることはありません。

蒸溜:カットとスチルが煙の残り方を左右する

フェノール類の多くは沸点が高く、再留の後半(フェインツ寄りの区間)に出やすい成分です。ただし、成分ごとに留出の挙動は異なります。ミドルカット(再留の留出液のうち、製品用の原酒として取り分ける区間)は、留出液の度数で判断します。後ろ側の切り替え度数を低くとるほど、沸点の高いフェノール類など一部の重い香味成分を取り込みやすくなります。外したフォアショッツ(前留)とフェインツ(後留)は次の再留に戻すため、フェノールの一部は循環します。煙の残り方は、カットの始点と終点に加えて、留出速度や還流も組み合わさって決まります。特定銘柄の煙の強さを、カット位置だけから推定することはできません。

スチルの形状も効きます。還流(蒸気がネックで冷えて液体に戻り、釜に落ちる現象)が多いと重い成分は上がりにくく、少ないと残りやすくなります。余市のストレートヘッド型は首に膨らみがなく、下向きのラインアームは蒸気をそのまま冷却器へ送るため、還流が起きにくい組み合わせです。石炭直火は釜底を強く加熱します。この3点が、余市の重く力強い原酒の理由として挙げられます。嘉之助は形状の違う3基を使い分け、ピート原酒の再留には還流の少ないストレート型と、首の膨らみで還流を増やすランタン型を使います。重さと軽さを、蒸溜の段階で作り分けて組み合わせる設計です。

樽と熟成:煙は丸くなり、甘さに包まれる

熟成が進むほど、ピートの煙香は角が取れて丸くなる傾向があります。シェリー樽由来のドライフルーツのような甘さは、煙の印象を包み込みます。50ppmの麦芽をペドロヒメネス樽で5年熟成した『あかし PX5年 Heavily Peated』や、シェリー樽熟成の『駒ヶ岳 Peated × Sherry』は、ppmの数字と飲んだ印象がずれやすい例です。リフィル樽やバーボン樽の原酒と比べると、同じ程度のppmでも煙が奥に引いて感じられます。

瓶詰め:度数とろ過で体感が変わる

度数が高いほど、香りの成分は濃く感じられます。三郎丸Ⅷ STRENGTHは、通常版(48%)とカスクストレングス版(59%)がともに80ppmのアイラ産ピート麦芽を使っており、度数による印象の差を確かめる手がかりになります。ただし、度数以外の条件(樽の構成など)が同一だとは公表されていないため、香味の差をすべて度数に帰すことはできません。冷却ろ過は、低温で濁りの原因になる成分を取り除く工程です。冷却ろ過をしない『嘉之助 PEATED』は、これらの成分を除かずに瓶詰めしています。口当たりへの影響は製品や比較条件によって異なり、冷却ろ過の有無だけで厚みの差を断定することはできません。

「強い順」を判断する5つの確認点

麦芽ppmを含む次の5点をそろえて見ると、数値と体感のずれを説明できます。

確認点煙が強く出やすい条件煙が穏やかに出やすい条件
麦芽ppm高ppm(公表値が大きい麦芽)低ppm
カット・スチル後ろ側の切り替え度数を低くとるカット、還流の少ない形状後ろ側の切り替え度数を高くとるカット、還流の多い形状
樽バーボン樽、リフィル樽シェリー樽(とくにPX)
熟成年数若い原酒長期熟成
度数カスクストレングス、50%超40%台前半

ピートの産地は強弱ではなく質の軸です(アイラ産はヨード・薬品・潮、内陸産は焚き火・土・草として語られることが多い)。煙の質は製麦・発酵・蒸溜・樽の条件でも変わるため、購入時はメーカーのテイスティングノートもあわせて確認してください。

店頭やカウンターで比べるときは、まず同じ蒸溜所・同じ公表ppmの銘柄から、ピートの産地が違う三郎丸ⅦとⅧや、度数違い(前節の三郎丸Ⅷの48%と59%)を選ぶと、変わる要素を少なくできます。ただし、どちらも一つの要素だけを変えた比較ではありません。そのうえで、蒸溜所の違う銘柄を比べてください。

体感の強さで選ぶ:ノンピートからヘビーピートまでの段階と、アイラのスコッチとの位置関係

ノンピートとは、製麦時にピートで燻していない麦芽を使うウイスキーです。フェノール類がほとんど付かないためピート由来の煙香はほぼなく、麦の甘さや樽の香りが前に出ます。ただし、樽の内側を焦がすチャーなどピート以外の要因で、焦げたような香りが出ることはあります。ノンピートとピーテッドは別の種類ではなく、同じ物差しの両端と考えると選びやすくなります。片方の端がノンピート、もう片方の端は、本記事で確認した公表値では80ppm麦芽の三郎丸です。ppm未公表の銘柄を含めた体感の最上位という意味ではありません。

段階は、ノンピート/ライト/ミディアム/ヘビーの4つで考えるのが実用的です。ただし、各段階をppmで区切る業界の統一規格はありません。たとえば厚岸は自社の製品ページで「ミディアム(10~30ppm以上)」と表記しており、同じ「ミディアム」でも指す幅はメーカーごとに異なります。表の段階は、店頭で比べるための目安として使ってください。国産銘柄は、ppmの公表値かメーカーの段階表記があるものだけを置いています。この表は公表値と表記による分類で、同じ条件で試飲して決めた体感の順位ではありません。公表値がない銘柄は段階に置かず、メーカーの香味表現を次の表に分けて示します。スコッチ側の数値は確認できていないため、ppmは書かず、体感で比べる基準点として並べています。

段階煙の出方の目安麦芽ppmまたはメーカー表記で当てはまる国産銘柄アイラのスコッチの基準点
ノンピートピート由来の煙香はほぼない。麦と樽の香りが主役製麦時にピートで燻していない麦芽該当なし
ライト香りの奥に煙がわずかに残る白州(軽いピートの麦芽を使う設計として語られる。ppm未確認)該当なし
ミディアム煙と果実・麦の香りが拮抗する厚岸「秋分」(メーカー表記が「ミディアム(10~30ppm以上)」。正確な値は未確認)該当なし
ヘビー煙が前に出やすい三郎丸Ⅶ・Ⅷの通常版(80ppm・48%)カリラ 12年、キルホーマン マキヤーベイ、アードベッグ 10年
ヘビー+シェリー煙をドライフルーツ様の甘さが包むあかし PX5年 Heavily Peated(50ppm・PX樽)アードベッグ ウーガダール
ヘビー+高度数煙が厚く、余韻が長い三郎丸Ⅶ・Ⅷのカスクストレングス版(80ppm・59%)アードベッグ コリーヴレッカン
ppm未公表の銘柄メーカーによる香味表現麦芽ppmの公表
シングルモルト余市力強いピートとスモーキーな余韻なし
嘉之助シングルモルト PEATED「メロー」「やわらかく、奥深いピート香」。穏やかに広がるスモーキーさを目指したと説明なし
シングルモルト駒ヶ岳 Peated × Sherry本記事では未確認確認できず

白州はこの物差しではライト側に入ります。軽いピートの麦芽を使う設計として語られることが多い銘柄ですが、ppmは確認できないため数値は書きません。スモーキーさを求めて選ぶ銘柄ではなく、ノンピートから一段だけ煙側に寄せたいときの選択肢です。

煙の「質」を飲み比べる:三郎丸ⅦとⅧ

同じ段階に並ぶ銘柄でも、煙の質は異なります。アイラ産のピートは、海辺の薬品のようなヨード香や潮の香りで語られることが多いです。内陸のピートは、焚き火や土の香りで語られることが多いです。アードベッグやカリラで感じるヨード香が「スモーキー」の印象を作っている人は、内陸系の煙を同じ強さとして受け取らないことがあります。三郎丸Ⅶ(ハイランド産)とⅧ(アイラ産)は、同じ公表麦芽ppm(80ppm)で、ピートの産地が異なる製品を比べられる組み合わせです。ただし、Ⅶは2021年、Ⅷは2022年の蒸留で、樽の選択や原酒構成が同一だとも示されていません。完全な単一変数の比較ではないため、香味の差を産地だけに帰すことはできません。

  1. 同じ形のテイスティンググラスに同じ量を注ぎ、数分置いてから香りを取ります。
  2. 最初の香りで、ヨード・潮の香り(Ⅷ)と、焚き火・土の香り(Ⅶ)のどちらが立つかを比べます。
  3. 数滴ずつ加水します。加水すると、度数の陰に隠れていたフェノール香が開いてきます。
  4. 口に含んだあとの余韻(フィニッシュ)で、煙が薬品のように残るか、炭のように乾いて残るかを比べます。

何本か飲み比べるときは、煙の軽い順に注いでください。フェノール香は口と鼻に残りやすく、先に重いものを飲むと、後の軽い銘柄の香りが分からなくなります。銘柄を替えるたびに、水で口をすすぎます。

条件別の選び方

  • 初めてピーテッドを選ぶ:度数45〜48%台で、シェリー樽を使っていない定番が候補です。余市(45%)、嘉之助 PEATED(48%・冷却ろ過なし)、三郎丸Ⅷ STRENGTH の通常版(48%)があります。アイラで言えばカリラ 12年やアードベッグ 10年を最初に飲む位置づけで、煙の質そのものを確かめられます。
  • 煙の厚みと度数を求める:三郎丸Ⅷ STRENGTH カスクストレングス(59%)。同じ80ppm・59%の三郎丸Ⅶ THE CHARIOT カスクストレングスも候補です。アードベッグ コリーヴレッカンを好む人に勧める位置です。生産本数が限られるため、在庫を先に確認してください。
  • 煙と甘さの対比を楽しむ:あかし PX5年 Heavily Peated、駒ヶ岳 Peated × Sherry。アードベッグ ウーガダールが好きな人に合う組み合わせです。煙の強さだけで選ぶ人には、ppmから想像するより穏やかに感じられる点を先に伝えてください。

買う前に確かめること:『ジャパニーズウイスキー』の表示基準と、限定品の価格・本数

ウイスキーのイメージ写真

「ジャパニーズウイスキー」という表示は、日本洋酒酒造組合が定めた自主基準(表示に関する基準)で条件が示されています。主な要件は、原料に麦芽を使い、日本国内で採水した水を用いること、糖化・発酵・蒸溜を日本国内で行い、留出時の度数を95度未満とすること、700L以下の木樽に詰めて国内で3年以上貯蔵すること、国内で瓶詰めし、瓶詰め時の度数を40度以上とすることです。基準は2021年4月に施行されました。それ以前の表示を認める経過措置は2024年3月末に終わっています。これは業界団体の自主基準で、すべての商品の適合を保証する制度ではありません。また、ラベルに表示がないことだけで、基準を満たさないとは判断できません。

基準を満たすかどうかを確かめる手順

  1. 表ラベルか裏ラベルに「ジャパニーズウイスキー」の表記があるかを見ます。厚岸「秋分」は、メーカーが「シングルモルト・ジャパニーズウイスキー」と明記している例です。
  2. 表記がない場合は、メーカーの製品ページで、基準への適合をうたっているか、蒸溜・熟成・瓶詰めをどこで行ったかの説明を確認します。
  3. 製品説明から判断できない場合(輸入原酒を使っているかどうかが読み取れない場合など)は、メーカーに問い合わせてください。

ピーテッド限定品の容量・価格・本数・ろ過の比較

銘柄容量・度数希望小売価格生産数・販売形態冷却ろ過着色
三郎丸Ⅷ STRENGTH700ml・48%税込19,800円7,250本未公表未公表
三郎丸Ⅷ STRENGTH カスクストレングス700ml・59%税込29,040円1,600本未公表未公表
シングルモルト駒ヶ岳 Peated × Sherry700ml・50%税抜9,000円(参考小売価格)2026年10月上旬発売・数量限定未公表未公表
厚岸「秋分」700ml・55%未確認(メーカーは税抜で表示)2026年8月発売未公表未公表
嘉之助シングルモルト PEATED700ml・48%未確認未確認なし(メーカー公表)未公表
シングルモルトあかし PX5年 Heavily Peated500ml・50%未確認未確認未公表未公表

同じ三郎丸Ⅷでも、カスクストレングス版は通常版の約5分の1の本数です。価格は通常版が税込19,800円、カスクストレングス版が税込29,040円で、差は9,240円です。度数違いで飲み比べたい人は、本数の少ないカスクストレングス版の在庫を先に確認してください。駒ヶ岳 Peated × Sherryの参考小売価格は税抜9,000円で、消費税10%を加えると9,900円です。税込で示された三郎丸と比べるときは、このように税込にそろえてから並べてください。

容量が違う銘柄は700ml換算か1杯あたりで比べる

あかし PX5年は500ml入りです。ほかの700ml入りの銘柄と瓶の価格をそのまま比べると、割安に見えます。比べるときは、500mlの価格に1.4を掛けて700ml相当の価格に直してください。バーのように1杯30mlで考える場合、700mlからは約23杯、500mlからは約16杯取れます。瓶の価格をこの杯数で割ると、1杯あたりの原価がそろった条件で比べられます。度数も50%と55%と59%で違うため、同じ量でも香りの濃さは同じではありません。加水して提供する店では、この点も値付けに含めて考えます。

冷却ろ過と着色は「公表あり」と「未公表」を分ける

冷却ろ過をしていないことをメーカーが公表しているのは、表の中では嘉之助 PEATEDだけです。着色については、表のどの銘柄も公表を確認できませんでした。未公表は「冷却ろ過や着色をしている」という意味ではありません。説明するときも「行っていない」と言い換えず、「メーカーの公表なし」と伝えてください。

希望小売価格と店頭価格は別のものとして判断する

表の価格は、メーカーが示す希望小売価格や掲載価格です。実際の店頭価格や在庫は、店によって異なります。生産本数の少ない限定品は、発売から時間が経つと二次流通で値上がりしやすくなります。価格が妥当かどうかは、次の基準で判断してください。

  • 購入する場合:まず希望小売価格と比べます。上乗せがある場合は、その分を払ってでも今しか手に入らない本数かどうかで決めます。三郎丸Ⅷのカスクストレングス版と通常版では、手に入りにくさが大きく違います。
  • 贈答に使う場合:贈り先がピート好きなら、限定品を選ぶ理由が立ちます。ただし二次流通の価格で買うと、同じ予算で定番の嘉之助 PEATEDや駒ヶ岳を複数本そろえられる場合もあります。
  • バー・酒販店の場合:仕入れた価格を1杯あたりの原価に直してから値付けします。限定品は補充できないので、開栓するときに1本あたりの杯数と提供期間をあらかじめ決めておきます。開栓後は香りが変わっていくためです。

ピートの強いウイスキーの飲み方:加水量・グラス・ハイボールで煙の出方はどう変わるか

最初の1杯はストレートで、グラスから鼻を少し離して香りを取る

1杯目は何も加えずにノージング(香りを嗅ぐこと)をします。チューリップ型のテイスティンググラスは口がすぼまっていて香りを集めますが、50%を超える銘柄ではアルコールの刺激も一緒に集まります。最初はグラスの縁から鼻を少し離して香りを取り、刺激がなければ徐々に近づけます。口が狭いほど煙を強く感じやすいので、比べるときは同じ形のグラスにそろえてください。

加水は数滴ずつ、度数別の目安で止める

水を少し加えると、アルコールの刺激が引き、煙の奥にある果実や麦の香りが開くことが多くなります。フェノール類のように水になじみにくい香気成分は、度数が下がると液面に出てきやすくなり、香り立ちが変わります。そのため一度に多く加えず、スポイトで数滴ずつ足して、そのつど香りを取ります。加えすぎると煙が薄まり輪郭がぼやけるので、香りが平板になったと感じた一つ手前が止めどころです。

瓶の度数30mlに加える水の目安加水後のおおよその度数
45〜48%(余市、嘉之助 PEATED、三郎丸Ⅶ・Ⅷ 通常版)数滴〜3ml約41〜48%
50%(あかし PX5年、駒ヶ岳 Peated × Sherry)3〜5ml約43〜45%
55〜59%(厚岸「秋分」、三郎丸Ⅶ・Ⅷ カスクストレングス)6〜10ml約41〜49%
トゥワイスアップ(1:1)30ml59%→約29.5%、55%→約27.5%

加水後の度数は「瓶の度数×30÷(30+加水量ml)」で計算できます(数滴は加水量をほぼ0として扱っています)。

トゥワイスアップは、常温の水とウイスキーを1:1で合わせる飲み方です。カスクストレングス(樽出しの度数のまま瓶詰めしたもの)の59%や55%は刺激が強く、ストレートでは香味の細部が分かりにくいため、構成を確かめる手段として向いています。水はミネラルの少ない軟水を使い、冷水は香りを閉じるので避けます。

ハイボールは1:3〜4、ヘビーピートは少なめでも香りが立つ

  • グラスに氷を詰めて混ぜ、グラスを冷やしてから溶けた水を捨てる
  • ウイスキーを注ぎ、ソーダは氷に当てずにグラスの内側を伝わせて注ぐ
  • 比率はウイスキー1に対してソーダ3〜4。炭酸を逃がさないよう、マドラーで縦に1回だけ混ぜる

弾ける炭酸の泡が煙香を鼻まで運ぶため、80ppm麦芽の三郎丸Ⅷのようなヘビーピートは、ウイスキーを20ml程度に減らしても香りが立ちます。一方、あかし PX5年や駒ヶ岳 Peated × Sherryは、ソーダで割るとシェリー樽の甘さが薄まり、煙だけが残りやすくなります。ストレートか少量の加水で、甘さと煙の対比を見るほうが特徴をつかめます。

温度は目的で使い分ける

  • 香りを細かく見る:常温のストレートか加水。冷やしすぎると香りが閉じる
  • 高い度数の刺激を抑えたい:室温のまま飲まず、加水かトゥワイスアップで度数を下げる
  • 食中で煙を軽く楽しむ:よく冷やしたハイボール。冷たさで刺激が和らぐ

開栓後は空気に触れる量を減らす

瓶の中のウイスキーが減って空気が増えると、酸化による香りの変化が進みます。残りが3分の1ほどになったら、空気が入らない大きさの遮光小瓶に移します。瓶は立てて保管してください。横にすると高い度数の液体がコルクに触れ続け、コルクが傷みます。直射日光と高温の場所は避け、温度変化の少ない暗所に置きます。

バーでの頼み方と、限定品が高くなる理由

銘柄名に加えて、量(シングルかダブルか)、飲み方(ストレートかトゥワイスアップか、加水を自分でするか)、チェイサー(口直しの水)が要るかを一度に伝えます。たとえば「三郎丸Ⅷのカスクストレングスをシングルで、加水用の水とチェイサーもお願いします」と伝えれば、注文が一度で済みます。

限定品の1杯が高くなりやすい理由は3つあります。仕入れ値そのものが高いこと、本数が限られていて補充できないこと、1本から取れる杯数が決まっていることです。

よくある質問

ウイスキーのイメージ写真

ピートの強い銘柄をロックで飲むと、煙の感じ方はどう変わりますか?

冷えると香りが立ちにくくなり、煙の印象はストレートより弱まります。また、氷が溶けるにつれて度数が下がり続けるため、同じ一杯でも飲み進めるうちに香味が変わっていきます。銘柄どうしを比べる場面には向きません。高い度数の刺激を和らげたいときや、食事と一緒にゆっくり飲みたいときの選択肢と考えてください。

飲み比べのとき、同じグラスを続けて使ってもよいですか?

避けるのが無難です。フェノール香はグラスの内側に残りやすく、空いたグラスに次の銘柄を注ぐと、前の煙が重なって判断を誤ります。銘柄ごとに別のグラスを用意し、形と量をそろえるのが基本です。洗って使い回す場合は、洗剤の香りが残らないよう十分にすすぎ、水気を拭き取ってから注いでください。

同じ銘柄でも、買った時期によって煙の強さが違うことはありますか?

あります。定番品はボトリングのたびに原酒を組み直すため、使う樽の種類や熟成年数の配分がロットごとに少しずつ変わり、煙の出方にも差が出ます。麦芽のppmが同じでも、カットや樽の違いで体感がずれるのと同じ理由です。限定品は銘柄名が似ていても発売ごとに中身が別物と考え、ラベルの表記と発売時期を確かめてから比べてください。

開栓してから時間が経つと、ピートの煙は弱くなりますか?

弱まったと感じられることがあります。瓶の中の空気が増えると酸化や揮発が進み、鋭く立ち上がる香りから先に変わりやすいためです。そのぶん果実や樽の甘さが前に出て、煙の角が取れたように感じられます。変化を確かめたいときは、開栓直後に香りの特徴を書き留めておき、残量が減った時点で、同じグラスに同じ量を注いで比べてください。

出典・参考にした情報

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。