新商品・リリース情報

ミドルトン、アイリッシュ・チェスナット樽で5年後熟の限定品

ミドルトン・ベリーレア「Irish Chestnut Edition」は、バーボン樽で12〜19年熟成後にアイルランド産栗樽で5年後熟した度数56.1%の限定品。仕様と価格、ジェムソンの栗樽版や年次ヴィンテージとの違い、国内流通の状況を整理します。

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ミドルトン・ベリーレア「Irish Chestnut Edition」の発表内容

最初に、取り違えやすい点を整理します。本品は、2025年に発表された「ジェムソン トリプルトリプル チェスナットエディション」とは別製品です。どちらも栗材の樽を使いますが、ブランド、原酒の区分、度数がすべて異なります。

メーカー発表(2026年10月)によると、本品は2026年10月8日に世界向けに発売が始まった新シリーズ「Rare Wood Collection」の第1作です。中身はシングルポットスチル・アイリッシュウイスキーです。これは、アイルランドで単式蒸溜器(ポットスチル)を使って蒸溜する、アイルランド独自の区分です。技術ファイルでは、原料の穀物を大麦麦芽30%以上、未発芽大麦30%以上とし、その他の穀物(オーツ麦・ライ麦など)は5%までと定めています。ミドルトンのポットスチル原酒は3回蒸溜です。未発芽大麦に由来するオイリーな口当たりとスパイス感が、この区分の香味の骨格になります。

発表された仕様

  • 度数:56.1%、カスクストレングス、ノンチルフィルタード
  • 数量:世界向けに約800ケース(9リットル換算、GreatDrams報道)。総量は約7,200リットルで、700ml瓶なら単純計算で約1万本
  • 価格:アイルランドのメーカー直販価格は€440(VAT込み)
  • 原酒:ライト・ミディアム・ヘビーの3タイプのシングルポットスチル原酒
  • 熟成:ファーストフィル(バーボンに使った後、ウイスキー原酒を初めて詰める樽)とリフィル(その後、さらにウイスキー原酒の熟成に再使用した樽)のバーボン樽で12〜19年熟成した後、アイルランド産スイートチェスナット樽で5年間後熟。使用原酒の熟成年数は17〜24年
  • 樽:ウォーターフォード州カポクイン・エステートで2017年に伐採された6本の木を使用。2年間自然乾燥させた後、スペインで軽くトーストしたホグスヘッド(約250リットル級の中型樽)に仕立て、アイルランドへ戻した

同時期・同系統の別製品との違い

製品原酒の区分樽構成度数発表
ミドルトン・ベリーレア アイリッシュ・チェスナット・エディションシングルポットスチルバーボン樽→アイルランド産チェスナット樽で5年後熟56.1%2026年10月
ミドルトン・ベリーレア 2026ヴィンテージリリースポットスチル原酒とグレーン原酒のブレンド未確認40%2026年3月4日

年次ヴィンテージリリースは、グレーン原酒を含むブレンドです。2026ヴィンテージは2026年3月4日に発表されました(Irish Distillersの発表)。同じブランド名で並ぶため、見分け方は後述の「ラベルで見分ける」にまとめています。ジェムソンとの違いは後述の比較表を参照してください。

日本での入手と判断基準

国内流通は未確認です。詳細は後述します。

なぜ栗の樽なのか:オークとの違いを樽材・製樽・規則から読む

ウイスキーのイメージ写真

以下では、アイルランド産スイートチェスナットという樽材の選択の意味を、樽材の性質、製樽工程、規則の三つの面から説明します。

メーカーは、アイルランドの土地で育った木でアイルランドのウイスキーを仕上げる点を、このシリーズの位置づけとして打ち出しています。この発想には、ミドルトン自身に前例があります。Dair Ghaelach(ゲール語で「アイルランドのオーク」)シリーズでは、伐採した森と使う木を特定したアイルランド産オークの樽で、バーボン樽熟成のシングルポットスチル原酒を後熟させました。アイルランドの特定の木で仕上げるという点は本品と共通です。違いは樽材がオークか栗かという点にあり、樽材の違いを考えるうえで最も近い比較軸になります。ただし、原酒の構成や後熟期間は同じではありません。そのため、両者の差をそのまま樽材の違いとは言えません。

樽材としての栗とオーク

オーク(コナラ属)と栗(クリ属)はどちらもブナ科に属します。年輪の始まりに大きな導管が並ぶ「環孔材」である点も共通です。大きく違うのは放射組織(幹の中心から外へ放射状に走る細胞の列)です。オークは肉眼でも見える幅の広い放射組織を持ち、柾目に割った樽板では、これが液体の通り道をふさぐ壁として働きます。栗の放射組織は細胞1列の細いものだけで、幅の広い放射組織はありません。

項目オーク栗
属コナラ属(Quercus)クリ属(Castanea)
導管の配列環孔材環孔材
放射組織幅の広い放射組織を持つ単列の細い放射組織のみ
エラジタンニン樽材として標準的な量オークより多い傾向(研究報告)
ウイスキーラクトン含む検出例あり。含有量と寄与は材と処理条件による

エラジタンニンは木材に由来するタンニンで、渋みや収斂感をもたらし、熟成中の酸化を促す働きもあります。ワイン・スピリッツ用の樽材を比較した研究では、栗はオークよりこの成分が多い傾向が報告されています。一方、ココナッツのような香りのもとになるウイスキーラクトン(β-メチル-γ-オクタラクトン)は、オークに特徴的な成分とされます。ただし、栗材から検出した研究もあります(樽材の揮発成分を比較した研究)。含有量や香味への寄与は、材の個体や乾燥・トーストの条件で変わるため、「栗には含まれない」とは言えません。以上は樽材一般の傾向です。本品で個々の香味がどの樽材から来たのかを示す分析は公表されていません。本品の香味は、後述するメーカーのテイスティングノートを基準にしてください。

2年の自然乾燥とライトトーストの意味

自然乾燥(シーズニング)は、割り出した樽板を屋外に積み、雨風と日光にさらして水分を抜く工程です。同時に、水に溶けやすい渋みの成分が雨で流れ出し、板の表面に付く微生物の働きでも苦味の強い成分が減っていきます。ワイン用やシェリー用の樽では18〜36か月がひとつの目安とされ、2年はその中ほどにあたります。乾燥炉で短期間に仕上げる方法と比べると、タンニンの角を落とす時間を確保した工程です。もともとタンニンの多い栗に2年をかけたことは、この目的と合っています。

トーストは内面を焦がさずに加熱する処理で、チャーは炎で内面を炭化させる処理です。加熱すると木材の成分が分解され、バニリンや焼き菓子のような香りのもとが生まれますが、エラジタンニンは減ります。トーストを軽くとどめれば、加熱で生まれる甘い香りの上乗せは控えめになり、木材本来の成分が多く残ります。栗のタンニンを乾燥で抑え、トーストで残すという、二つの工程による調整と読めます。ただし実際にどれだけ抽出されるかは、樽板の厚み、倉庫の温度、5年という期間の組み合わせで決まります。抽出の結果は、製品そのものを飲んで確かめる必要があります。

スコッチでは使えず、アイリッシュでは使える理由

スコッチウイスキー規則(SWR 2009)は、スコットランド国内で、容量700リットル以下のオーク樽で3年以上熟成することを義務づけています。オーク以外の樽に一度でも入れればスコッチを名乗れないため、栗樽は後熟にも使えません。一方、アイルランド農業・食料・海洋省がまとめたアイリッシュウイスキーの技術ファイル(Technical File)は、アイルランド島内で、700リットル以下の「オークなどの木製樽」で3年以上熟成することを求めています。オークは例として挙げられているだけで、条件は木製であることです。この表現の違いが、栗のようなオーク以外の樽を使った製品がアイルランドから出てくる背景になっています。なお、日本洋酒酒造組合が2021年に定めたジャパニーズウイスキーの自主基準も、700リットル以下の木製樽での3年以上の貯蔵を求めており、樽材をオークに限っていません。

  • 酒販店・バーで案内する場合:「アイルランド産栗材のホグスヘッドで5年後熟」と、樽材と期間をあわせて示す。スコッチでは規則上つくれない樽構成であることを、説明の中心に置く

原酒構成と5年後熟:17〜24年の内訳と瓶詰め仕様

メーカー発表(2026年10月)によると、本品はライト・ミディアム・ヘビーの3タイプのシングルポットスチル原酒を使っています。熟成はバーボン樽とチェスナット樽の二段階で、完成品に使われた原酒の熟成年数は17〜24年です。以下では、それぞれの数字の意味を順に説明します。

ライト・ミディアム・ヘビーの違い

本品について確認できるのは、ライト・ミディアム・ヘビーの3タイプの原酒を使ったという事実までです(メーカーの製品ページ)。ここでは、性格の異なるポットスチル原酒を造り分ける構造を説明します。ミドルトンのポットスチル原酒は3回蒸溜で、原酒の性格を大きく左右するのは3回目の蒸溜(スピリットスチル)です。この段階で、製品に回す部分をどこで区切るか(カット(蒸溜液のうち製品に使う部分と使わない部分の境目)の幅)と、どの度数で取り出すか(取り出し度数)を変えると、残る成分の構成が変わります。カットから外れた前留と後留(あわせてフェインツ)は、捨てずに次のバッチの蒸溜へ戻して再蒸溜します。この戻し方の扱いも原酒の性格に関わります。一般に、カットを狭く取って取り出し度数を高くすると軽い原酒に、後留側へ広げると高級アルコールや脂肪酸エステルの多い重い原酒に寄ります。還流(スチル内で蒸気が冷えて液体に戻り、釜へ落ちる現象)の量も原酒の性格に影響します。ただし、本品の3タイプについて、カット位置、取り出し度数、フェインツの扱い、還流の設定はいずれも公表なしです。各タイプの配合比率も公表されていません。

熟成の時系列

段階期間内容
第1段階12〜19年ファーストフィルとリフィルのバーボン樽で熟成
第2段階5年アイルランド産スイートチェスナットのホグスヘッドで後熟
瓶詰め時17〜24年使用原酒の熟成年数の幅(12+5〜19+5)

後熟の期間は全原酒で5年なので、年数の幅は第1段階の違いだけから生じています。アイリッシュウイスキーで年数を表記する場合は、最も若い原酒の年数が基準になります。そのため「24年」の数字だけを取り出して紹介するのは誤りです。店頭やメニューでは「17〜24年の原酒を使用」と幅で示してください。

5年の後熟は長いのか

一般的なフィニッシュは数か月から2年程度のものが多く、5年はその2.5倍以上にあたります。期間の長さとしては、明らかに長い部類です。ただし、後熟は長いほど良いとは限りません。新しい材や処理の浅い樽は抽出が速く進むため、期間が長すぎると渋みや木の苦味が原酒の個性を覆うことがあります。本品の樽は未使用のチェスナット材で、トーストも軽い処理です。これとは別に、メーカーの発表(GreatDrams掲載)は栗材の多孔性の高さに触れ、原酒と木の接触や熟成中の損失が大きくなり得る点を挙げています。5年という期間だけでは、実際の抽出量も熟成損失も判断できません。

瓶詰め仕様の読み方

  • 自然なカスクストレングス:加水せず、樽から出した度数のまま瓶詰め。複数の樽を混ぜた後の度数が56.1%
  • 冷却濾過なし:0℃前後まで冷やして濁りの成分を取り除く工程を省いている。加水したときや冷えたときにうっすら濁ることがあるが、品質の劣化ではない
  • 着色の有無:未確認。アイリッシュウイスキーでも着色用カラメルの使用は認められているため、表示がないことを無着色の根拠にしない

バーでは、香味を観察する初回に常温のストレートを提案し、希望があればロックでも提供してください。加水や氷で白く濁った場合は、冷却濾過をしていないために起きる現象だと説明できます。

メーカーの公式香味説明

メーカーの製品ページのテイスティングノートには、赤リンゴ、オレンジピール、チョコレート、ナツメグ、シナモン、ナッツのほか、カラメルや木の香りも挙がっています。ノーズ・パレット・フィニッシュごとの記述は、メーカーの製品ページで確認できます。果実の要素はポットスチル原酒に、スパイスやナッツ、木の香りは樽に由来すると推測することはできます。しかし、どの要素がどの工程や樽材から来たのかを示す分析は発表されておらず、栗材が個々の香味を生んだとは断定できません。酒販店やバーで紹介する際は「メーカーの説明では」と出どころを添え、要素ごとの由来を断定しないでください。

未確認事項

項目状況確認先
受賞歴未確認主催団体の公式結果
ピートの度合い未確認メーカー発表
スチルの数と形未確認メーカー発表
着色の有無未確認メーカー・輸入元への問い合わせ

ジェムソン トリプルトリプルの栗樽との違い

ウイスキーのイメージ写真

栗樽のアイリッシュウイスキーとしては、2025年に発表されたジェムソン トリプルトリプル チェスナットエディションが先に出ています(Irish Distillersの製品発表)。そのため「栗樽のアイリッシュ」で探すと、2つの製品が混同されやすくなります。前の章で触れたとおり、両者はブランドも原酒の区分も異なる別製品です。ここでは、仕入れや購入の判断に関わる5つの軸で違いを整理します。

5つの軸で見る違い

比較軸ジェムソン トリプルトリプル チェスナットエディションミドルトン・ベリーレア アイリッシュ・チェスナット・エディション
区分ジェムソンのブレンド(シングルポットスチルの表記はない)シングルポットスチル
栗樽の使い方バーボン樽・シェリー樽と並ぶ3種の樽の1つ全量をバーボン樽で熟成した後、アイルランド産栗材のホグスヘッドで5年後熟
度数40%56.1%(カスクストレングス)
限定の度合い数量は公表資料で未確認世界で約800ケース(9リットル換算)
価格帯1,837円前後(2026年10月25日時点)アイルランドのメーカー直販価格€440(VAT込み)

構成上の大きな違いは、栗樽の使い方です。ジェムソンはバーボン樽・シェリー樽・チェスナット樽の3種を使います。ただし、栗樽の寄与率と各樽の比率は非公表です。樽ごとに熟成した原酒を混ぜたのか、順に詰め替えたのかも確認できていません。一方のミドルトンは、全量が栗樽で5年を過ごしています。栗材と接した期間と割合が仕様上はっきりしているのはミドルトンのほうです。ただし、どちらの製品でも、栗材の寄与の大小は官能評価なしには判断できません。

度数の差が提供方法を分ける

ジェムソンは40%、ミドルトンは56.1%です。56.1%のミドルトンをジェムソンと同じ40%にそろえて飲み比べる場合、30mlに対して約12mlの水を加えると計算上ほぼ40%になります。度数をそろえてから比べると、アルコールの刺激の差ではなく、樽構成や原酒の差を比べやすくなります。ストレート、ロック、ハイボールなどの飲み方は、どちらも好みに合わせて選んでください。

目的別の判断基準

  • ラベルで見分ける:ミドルトンは「Midleton Very Rare」と「Irish Chestnut Edition」の表記、度数56.1%の3点。同じブランドの年次ヴィンテージリリースは「Irish Chestnut Edition」の表記がなく、2026ヴィンテージは度数40%。ジェムソンは「Jameson」と「Triple Triple」の表記、度数40%。初代トリプルトリプル(バーボン樽・オロロソシェリー樽・マラガワイン樽)と区別するため、チェスナットエディションの表記も確認する。通販の商品名が「チェスナット」だけの場合は、度数を必ず確認する
  • 酒販店で仕入れる場合:ジェムソンは栗樽の入門として棚に置く商品、ミドルトンは数量が限られた高額品として扱う。日本での正規流通と価格はどちらも確認できていないため、輸入元の告知で確かめてから発注する
  • バーで飲み比べを組む場合:ジェムソン、レッドブレスト12年、ミドルトンの順に出す。度数の低いものから高いものへ進む順番になる。レッドブレスト12年は、オーク樽で熟成したシングルポットスチルの別の作例として置く。原酒の選択、熟成年数、樽履歴、瓶詰め度数がそれぞれ異なるため、3本の差を栗材だけの効果として切り分けることはできない
  • 贈答や海外で購入する場合:相手が「栗樽のミドルトン」を希望しているときは、ジェムソンで代用しない。区分、度数、価格帯のすべてが異なり、同じ製品の代わりにはならない

カスクストレングス56.1%をどう出し、どう飲むか

ストレートから始め、数滴ずつ加水する手順

最初は10〜15ml程度をストレートで取り、香りと口当たりを確かめます。次に常温の軟水をスポイトで数滴ずつ加え、そのつど香りを取り直します。加水量と度数の目安は次のとおりです。

30mlに加える水加水後の度数(計算値)確かめる点
なし56.1%原液の香りの強さと、口に含んだときの刺激
約1ml(20滴前後)約54%香りの立ち方が変わり始めるか
約3ml約51%果実やスパイスの香りが前に出るか
約5ml約48%栗材の渋みが前に出るか、甘さが開くか

加水で香りが立ちやすくなるのは、主に二つの理由からです。一つは、エタノールの揮発量が減り、鼻への刺激が他の香りを覆い隠しにくくなることです。もう一つは、水に溶けにくい香り成分の一部が、エタノール濃度が下がると液面近くに集まり、空気中へ出やすくなることです。ただし、加えすぎると香りも味も薄まります。変化を見たい場合は、一度に入れずに段階を分けてください。40%までそろえる場合の水の量は、前の章で示したとおりです。

グラスの選び方

基本は、胴がふくらみ、口がすぼまったテイスティンググラス(コピータ型、チューリップ型)です。すぼまった口が香りを集めます。ただし56.1%ではエタノールも一緒に集まるため、鼻を縁に近づけすぎると刺激で香りを取れなくなります。グラスを鼻から少し離して、口をわずかに開けたまま嗅ぐと、刺激を受けにくくなります。ロックグラスは香りが逃げやすいため、この製品の確認には向きません。

バーでの提供量と値付けの考え方

  • 提供量:シングル30ml、ダブル60mlを基準にする。高額な限定品では、15mlのハーフを設けると注文の心理的な負担が下がる
  • 添えるもの:常温の軟水を小さなピッチャーかスポイトで添え、「数滴ずつ足して香りの変化を見てください」と一言伝える
  • 値付けの原価:1mlあたりの原価(仕入れ原価÷700)に、提供量を掛けて1杯の原価を出す。700ml瓶ならシングル30mlで約23杯取れる計算になる
  • 残量のリスク:再入荷が見込めないため、全量を売り切る前提で計算しない。最後の数杯が残る、または酸化で品質が落ちる可能性を見込み、取れる杯数を少なめに置いて原価を割り戻す

店頭で入手しやすいカスクストレングスとして、グレンファークラス 105(8,448円前後・2026年10月25日時点)があります。度数60%のシェリー樽系スペイサイドで、加水の手順をスタッフが事前に練習するのに使えます。度数の高い一杯の出し方を、限定品を開ける前に店内で統一しておけます。

ハイボールや水割りにするか

度数が高いため、ハイボールや水割りにしても味の輪郭は残ります。注文があれば応じられる飲み方です。ただし、数量の少ないカスクストレングスでは、ストレートと少量の加水で香りの変化を確かめる飲み方を優先する店が多くあります。割り材で薄めると、栗材のタンニンや後熟による香味の違いが確かめにくくなるためです。どちらを勧めるかは、店の方針として事前に決めておいてください。

開栓後の保管

  • 立てて保管する:高い度数の液体にコルクが長く触れると、コルクが傷み、異臭や崩れの原因になる
  • 光と温度変化を避ける:直射日光や照明の当たる棚、冷暖房の吹き出し口の近くに置かない。温度の上下は瓶内の空気の出入りを促す
  • 長期保管で香味の変化が気になる場合は移し替えを検討する:開栓後の変化は、瓶内の空気の量だけでなく、開け閉めの頻度、保管温度、栓の状態にも左右される。移す場合は、清潔で液面近くまで満たせる容量の小瓶を使う。移し替え自体にも香りの揮発や汚染のおそれがあるため、必要なときに限る
  • 開栓日を記録する:ラベルの裏に開栓日を書き、香りの変化を定期的に確かめる

日本で買える?価格・入手方法と代わりの選択肢

ウイスキーのイメージ写真

2026年10月25日時点で、メーカーの製品ページと、発売を伝えたGreatDramsの報道を確認しました。そのなかに、日本向けの発売日や日本円での正規価格は見つけられませんでした。2026年10月8日は世界向けの発売開始日であり、日本で同日に購入できることを意味しません。国内で探す場合は、日本の輸入元の告知か、酒販店の入荷案内で正規品であることを確認してください。並行輸入品の場合は、輸送や保管の履歴を店に確かめてください。

発表価格と円換算の考え方

アイルランドのメーカー直販価格は、VAT(付加価値税)込みで€440です(メーカー直販サイト)。アイルランドでは、消費者向けの表示価格にVATを含める必要があります(アイルランド競争・消費者保護委員会)。世界向けの数量は、GreatDramsが約800ケース換算と報じています。日本への輸入原価や国内販売価格は、この価格からは算定できません。試算する場合は、次の要素を一つずつ前提として置いてください。

  • 為替:仮に1ユーロ=160円とすると、440ユーロは70,400円。レートが10円動くと4,400円変わる
  • 現地の付加価値税:€440はアイルランドのVAT込みの表示価格。輸出時にVAT分が除かれるかどうかは販売者の条件による
  • 輸送費・保険料:酒類の国際発送は追加料金や梱包の条件がつくことが多い
  • 日本で課される税:酒税、関税、消費税。税額の計算方法は税関の案内で確認する

上の試算は計算の前提を示すための参考値です。国内の販売価格の予想として使わないでください。

並行輸入品を検討する場合

並行輸入品は、メーカーが認めた日本の輸入元を通さずに、海外の流通在庫から仕入れられた商品です。中身はメーカーが出荷した同じ製品です。ただし、どの国の倉庫をどんな条件で経てきたかは、商品ごとに異なります。正規品とは違い、輸入元による品質の保証や問い合わせ窓口はありません。

  • ラベル表記:見分け方は「ジェムソン トリプルトリプルの栗樽との違い」の章にある「ラベルで見分ける」のとおり
  • 輸入者表示:日本語の表示シールに輸入者の名称と所在地があるかを確認する。表示がない商品は、流通経路を店に確かめる
  • 保管状態:液面が首の付け根より下がっていないか、キャップ周りに漏れの跡がないか、外箱に日焼けや湿気の跡がないかを見る
  • 価格の妥当性:前の項の試算と比べて極端に安いものは避ける。極端に高いものは、上乗せ分の理由を店に確かめる

海外の知人に頼む・贈答に使う場合

  • 現地の販売規制:国や州によって、酒類の購入できる年齢、販売時間、1人あたりの購入本数の制限が異なる。限定品は店ごとに購入本数が制限されることもある
  • 手荷物で持ち帰る場合:日本の酒類の免税範囲は3本(1本760ml程度)まで。それを超える分には課税される
  • 国際発送:酒類の発送を受け付けない配送業者や、受け付けない国がある。送る前に配送業者の条件を確認する
  • 日本での課税:郵送や宅配便で受け取る場合の課税は、手荷物で持ち帰る場合と扱いが異なる。税関の公式案内で確認する
  • 転売の禁止:個人使用の目的で輸入した酒類は販売できない。バーで提供するために輸入する場合は食品等輸入届出が必要で、販売する場合は酒類販売業免許も必要になる(税関の案内)

国内で手に取れる代わりの選択肢

銘柄区分・蒸溜所本品と比べられる点価格の目安
レッドブレスト12年シングルポットスチル。ミドルトン蒸溜所区分の基準となる、オーク樽熟成の別の作例6,199円前後(2026年10月25日時点)
ジェムソン トリプルトリプル チェスナットエディションジェムソンのブレンド。ミドルトン蒸溜所栗樽の入門(バーボン樽・シェリー樽・チェスナット樽)1,837円前後(2026年10月25日時点)
ミドルトン Dair Ghaelach(流通があれば)シングルポットスチル。ミドルトン蒸溜所木を特定したアイルランド産オーク樽で後熟した前例—

いずれの銘柄も、国内での取扱い状況は購入前に輸入元か酒販店で確認してください。区分の味を知るならレッドブレスト12年が向きます。ただし、熟成年数、樽履歴、瓶詰め度数が本品と異なるため、栗材の効果を単独で評価する比較にはなりません。栗樽の影響を手頃な価格で知りたいなら、ジェムソン トリプルトリプル チェスナットエディションが向きます。アイルランドの木で仕上げるという発想を比べたいなら、Dair Ghaelachが最も近い前例です。なお、ピートを効かせたカネマラ シングルモルト(3,700円前後・2026年10月25日時点)は栗樽の比較対象ではありません。アイリッシュの幅を示す対照として、別に扱ってください。

よくある質問

栗の樽で後熟させると、マロンのような栗の実の香りがするのですか?

樽材が栗でも、栗の実の甘い香りが移るわけではありません。樽材の研究では、栗材はオークよりエラジタンニン(渋みのもとになる成分)が多い傾向が報告されています。オーク特有とされるココナッツのような香り(ウイスキーラクトン)も、栗材から検出された例があります。含有量や香味への寄与は、材と処理条件によって変わります。メーカーの香味説明にもマロンは挙がっていません。「ナッツ」は挙がっていますが由来は公表されていないため、栗材由来と断定せずに案内してください。

トゥワイスアップ(ウイスキーと同量の水で割る飲み方)で出してもよいですか?

出すことはできますが、最初の一杯には勧めにくい飲み方です。同量の水を加えると度数はほぼ半分になり、飲み比べの基準とした40%も大きく下回ります。一度に大量の水が入るため、どの度数で香りが開き、どこで渋みが前に出たのかを追えなくなります。まずストレートから数滴ずつ加水して好みの度数を探り、お客様が望めばトゥワイスアップへ進む順番が無難です。

栗の樽は、ウイスキー以外のお酒でも使われてきたのですか?

ヨーロッパでは、栗材はワインの樽や、イタリアの伝統的なバルサミコ酢の樽に使われてきました。酒や醸造の樽材として、もともと実績のある木です。一方ウイスキーでは、スコッチが規則でオーク樽を義務づけているため、栗樽を使える産地は限られます。店頭では「醸造の樽材として歴史のある木を、アイリッシュの規則の幅を生かして使った一本」と説明すると伝わりやすくなります。

出典・参考にした情報

この記事で紹介した銘柄

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。