レアボトル・限定品の価値

オールドボトルウイスキーの買取相場|年代判定と査定の基準

オールドボトルの買取相場は古さでなく銘柄・年代・状態で決まります。普及品ブレンデッド、特級表示の国産品、シングルモルト旧ボトルの価格帯の違いと、級別表示による年代判定、液面・栓・ラベル・箱など査定で見られるポイントを解説します。

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この記事で紹介した銘柄:サントリーウイスキー オールド・グレンファークラス 12年 価格と購入先へ ↓

オールドボトルの買取相場は「古さ」ではなく「銘柄×時代×状態」で決まる

同じ「古いウイスキー」でも、買取額はどの層に入るかで大きく変わります。手元の1本がどの価格帯になりやすいかは、次の3層で見当がつきます。

  • 贈答品として大量に流通し、未開封のまま残っている本数が多いためです。
  • 特級表示の国産品:サントリーオールドのように流通量の多い銘柄は低めにとどまります。一方、当時の出荷量が限られたシングルモルトは高くなります。級別表示があることよりも、銘柄の需要で差がつきます。
  • シングルモルトの旧ボトル(マッカランなど):4,530円前後(2026年10月16日時点)のような高い層に入りやすい層です。樽の構成が今と違う時代の原酒で、残っている本数も限られるためです。

2023年にサザビーズで手数料込み£2,187,500で落札されたマッカラン 1926でも、栓の交換記録と中身の検査が価格の前提になりました(詳しくは後述)。

相場を決める3つの要素

  1. 銘柄の需要:単一の蒸溜所の原酒だけで造るシングルモルトか、複数の原酒を混ぜて大量に流通したブレンデッドか。生産量が限られる銘柄には国内外のコレクターの需要があります。一方、ブレンデッドは同じ銘柄が大量に残っているため、値がつきにくくなります。
  2. 製造年代:原酒や樽の構成が今と違う時代のボトルかどうか。マッカランは2004年を境に樽の構成が変わり、2018年に新蒸溜所へ移りました(詳しくは後述)。日本の旧ボトルでは、級別表示が年代の手がかりになります(次章)。
  3. 状態:液面、栓、ラベル、箱。同じ銘柄・同じ年代でも、状態の差で査定額が大きく変わります。

銘柄タイプ別の傾向

銘柄(タイプ)価格の傾向理由参考価格(買取店の公開価格表・確認日時点)
オールドパー 12年(ブレンデッドスコッチ)低め贈答用に大量に流通し、未開封で残っている本数が多い—
カティサーク(ブレンデッドスコッチ)低め流通量が多く、旧ボトルでも希少性が出にくい1,150円前後(2026年10月16日時点)
カナディアンクラブ(カナディアンウイスキー)低め贈答の定番で、市場に出てくる本数が多い1,222円前後(2026年10月16日時点)
アーリータイムズ(アメリカンウイスキー)低め大量生産品で、年代による評価の差が小さい—
オールドグランダッド(バーボン)低め〜製造者表記次第裏ラベルの製造者表記がNational Distillers Productsのもの(1987年以前)は評価が高く、Jim Beam表記以降は普及品の扱いになりやすい36,600円前後(2026年10月16日時点)
マッカラン旧ボトル(シングルモルト)高い今とは樽構成が違う時代の原酒で、残存数も限られる4,530円前後(2026年10月16日時点)
山崎12年 特級表示(シングルモルト旧ボトル)高い1984〜1989年の約5年間だけ特級表示で流通し、現行品とは別に扱われる—

表の参考価格は、各買取店が公開している価格表を確認日時点で引用したもので、相場を保証する数字ではありません。

「当時の高級酒=今も高い」とは限らない理由

特級表示の輸入ウイスキーは、当時の税制で割高だったため贈答の定番になりました。改正後には値下がりしています(次章参照)。そのため、当時の値札の感覚は今の相場の参考になりません。さらに、贈られたまま飲まれずに保管されたボトルが今も各家庭に多く残っており、市場に出てくる本数が多いことが、値がつきにくい原因です。瓶の中では熟成しないため(「なぜ古い時代のボトルに高値がつくのか」の章を参照)、置いておく年月が長いほど価値が上がるわけでもありません。ただ、値がつきにくいことは「中身に価値がない」という意味ではありません。状態が良ければ、飲むための酒としては十分に成り立ちます。

参考価格は上限。実際の査定は状態で下がる

買取店のサイトにある「参考価格」は、状態が最も良いボトルを想定した上限の目安です。状態の確認手順は「査定で減額される状態」の章で説明します。ここでは、液面とラベルの表・裏が分かる写真を撮り、複数の店に写真査定を頼んで提示額を比べること、だけを先に押さえてください。

製造年代の見分け方|1989年の級別廃止を境目に読む

ウイスキーのイメージ写真

国産・輸入品を問わず、古いボトルの年代を読むときに最初の目印になるのが、ラベルの**「特級」「1級」「2級」の表示**です。日本では1989年の酒税法の大きな改正で、ウイスキーの級別制度が廃止されました。そのため、級別表示のあるボトルは改正前に流通した品だと考える手がかりになります。ただし、これは「流通した時期」の目安です。蒸溜した年や瓶詰めした年までは分かりません。改正前に出荷された在庫が、その後もしばらく店頭に並んでいた可能性もあります。級別表示は「1989年以前の流通品らしい」と絞り込むための材料として使い、製造年を言い切る根拠にはしないでください。

よくある誤りが、日本酒の級別廃止と混同することです。日本酒の級別制度は1989年から段階的に縮小され、1992年に完全に廃止されました。特級は1989年に先に廃止され、1級・2級の表示は1992年まで残りました。ウイスキーの境目は1989年です。「級別表示があれば1992年より前」という日本酒の覚え方は、ウイスキーには使えません。査定の問い合わせや、外国人の知人に説明するときも、この2つを分けて伝えてください。

級別廃止で何が変わったか:特級は値下がり、2級は値上がり

級別廃止によって、旧特級と旧1級は減税されて値下がりし、旧2級は増税されて値上がりしました。安さを強みに旧2級を主力にしていた地ウイスキーのメーカーは、この増税で価格の優位を失い、1989年から1990年代前半にかけて多くが撤退しました。撤退したメーカーのボトルは追加で造られることがないため、今では手に入りにくくなっています。

ただし、手に入りにくいことと、買取額が高いことは別の話です。地ウイスキーは銘柄ごとに知名度の差が大きく、値がつくかどうかは、その蒸溜所を知っていて欲しがる買い手がいるかどうかで決まります。一般の総合買取店では値がつかず、ジャパニーズウイスキーに強い専門店では評価される、ということもあります。地ウイスキーの旧ボトルは、ラベルにある製造者名と所在地を写真に収めたうえで、ジャパニーズウイスキーを扱う専門店を含めて複数の店に見せてください。

山崎(12年)は1984年に発売され(当初の表記はピュアモルト)、1989年の級別廃止までの約5年間は特級表示で流通しました。この時期のボトルは数が限られるため、「特級山崎」として同じ銘柄の現行品とは別に扱われ、ラベルの表記まで確認されます。

年代判定の手がかりの比較

手がかり読み取れること注意点
「特級」「1級」「2級」の表示(ウイスキー)1989年の改正より前の流通品である目安流通時期の目安であり、製造年ではない
輸入元の表記(裏ラベル・シール)現行品と輸入元が違えば、旧流通品の可能性輸入元が変わった時期は銘柄ごとに違う
容量の表示現行品と容量や表記が違えば、旧仕様の手がかり容量だけで年代を特定しない
ラベル・ボトルのデザイン現行品との違いから、おおよその世代が分かる同じデザインの期間内でもロットによる差がある
国産品の社名・住所の表記社名や所在地の変更前後で世代を分けられる銘柄ごとに判定の基準が違う

輸入品は「現行品との差分」で読む

輸入ウイスキーは、日本向けに貼られた輸入元の表記、容量の表示、ラベルのデザインの3点を、同じ銘柄の現行品と並べて比べるのが基本です。1つの違いだけでは決め手になりません。3点の違いが同じ時代を指しているときに、年代の推定に確度が出ます。ラベルのデザインは、熟成年数の表記の位置、度数の書き方、蒸溜所名やブランド名の書体などに世代の差が出やすい部分です。銘柄ごとの細かい判定基準は、本数が多い銘柄ほど資料がそろっています。分からない場合は、無理に年代を断定するより、表・裏ラベル、肩の部分、キャップの写真を添えて査定を頼むほうが確実です。

サントリーオールドは社名と住所で絞り込む

家庭に残っていることが多いサントリーオールドは、級別表示に加えて、旧社名の**「寿屋」表記やラベルの住所の表記**で年代をさらに細かく絞り込めます。判定の手順は「サントリーオールドの年代の見分け方」(/suntory-old-whiskey-age-identification-guide/)にまとめているので、手元の1本と照らし合わせて確認してください。

なぜ古い時代のボトルに高値がつくのか|原酒・樽・蒸溜設備の変化から読む

「古いウイスキーは瓶の中で熟成が進むから高い」という説明は正確ではありません。熟成とは、樽材から成分が溶け出し、木目を通してわずかに空気と触れながら、樽の中で成分同士が反応していく変化のことです。瓶に詰めたあとは木と触れなくなるため、熟成は基本的に止まります。旧ボトルに高値がつく本当の理由は、当時と今とで原酒の造り方、樽の構成、蒸溜設備が違い、同じ中身をもう造れないことにあります。

造り方の変化は、特定の銘柄だけでなく業界全体で起きています。

  • 製麦:1960〜70年代にかけて、多くの蒸溜所が自家製麦(床に麦を広げて発芽させるフロアモルティング)をやめ、専門のモルトスターから麦芽を買うようになった
  • 大麦の品種:1970〜80年代に主力だったゴールデンプロミスから、より収量の高い品種へ移った
  • スチルの加熱:直火で釜を焚く方式から、釜の中に通した蒸気管(スチームコイル)で加熱する方式へ切り替わった

いずれも、切り替えの時期は蒸溜所ごとに違います。旧ボトルを語るときは「昔は造りが違った」とひとまとめにせず、その蒸溜所でいつ何が変わったかを確かめてから結びつけてください。

マッカランの旧ボトルが「別物」とされる2つの理由

1つ目は樽です。2004年以降はシリーズが分かれ、Sherry Oakはシェリー樽のみで熟成し、Fine Oak(のちのTriple Cask Matured)はバーボン樽も使います。2004年より前の旧ボトルの「シェリー樽100%」も、ファーストフィルとリフィルのシェリー樽を組み合わせたもので、樽材はスパニッシュオークが中心でした。外国人の知人に話すときも、「マッカラン=シェリー樽だけ」とまとめず、時代とシリーズを分けて伝えてください。

2つ目は蒸溜設備です。2018年に開業した新蒸溜所のスチル(蒸溜釜)は36基で、年間の生産能力は最大1,500万Lです。新蒸溜所は旧来の小型スチルの形状を引き継いで設計されており、設備の変更だけで香味の違いを説明することはできません。ただし、スチルハウスの配置や、ミドルカット(再溜で出てくる蒸溜液のうち、樽詰めに回す中間部分。ハートとも呼ぶ)をどこで区切るかの条件は、新しい設備に合わせて調整されます。還流(蒸気がスチル内で冷えて液体に戻り、もう一度蒸溜される量)や銅に触れる度合いも含め、原酒の連続性が保証されるわけではありません。旧ボトルとの違いは、主に樽の調達(輸送用の樽からシーズニング樽へ)、大麦の品種、熟成年数の構成に求めるのが妥当です。

シェリー樽は「昔」と「今」で中身が違う

1981年にスペインがシェリーの樽詰めでの輸出を原則として禁じ、原産地での瓶詰めを求めたのを境に、シェリーを樽ごと運んだ輸送用の樽は姿を消しました。現在は、ボデガ(シェリーの醸造・熟成所)で熟成専用の樽に主にオロロソを1〜2年ほど張り込んで染み込ませる、シーズニング樽が主流です。同じ「シェリー樽」という名前でも、樽材がシェリーを吸っていた期間や、樽の前歴は時代によって違います。1970年代以前に蒸溜された原酒の旧ボトルは、輸送樽で熟成された可能性があり、この点も年代を読むときの背景になります。さらに、同じ樽でも何回目の使用かで出方が変わります。

  • ファーストフィル(初めてウイスキーを詰める樽):色が濃く出やすく、ドライフルーツやナッツのようなシェリー由来の香味が強く移りやすい
  • リフィル(再使用の樽):樽から出る成分が減るため、色は淡くなり、原酒そのものの香味が前に出やすい

グレンファークラス 12年やグレンドロナック 12年のように、シェリー樽熟成を前面に出す現行品は、旧ボトルを比べるときの物差しになります。先に現行品を飲んで基準を作っておくと、旧ボトルとの違いが樽によるものか、保存によるものかを分けて考えやすくなります。

ブレンデッドの「中心原酒」説は根拠にしない

オールドパー 12年の原酒構成について、メーカーは公表していません。「特定の蒸溜所の原酒が中心」といった説明は、出典を確かめられない限り、香味の違いや査定額の根拠にはなりません。ブレンデッドは手持ちの原酒に合わせて配合を調整しながら、同じ香味を保つように造られます。旧ボトルと現行品の違いを語るときも、具体的な蒸溜所名を挙げて推測するのは避けてください。

OBE(オールドボトルエフェクト)は価値か劣化か

旧ボトルを開けると、「角が取れて丸い」「甘い香りが立つ」と語られることがあり、これはOBE(オールドボトルエフェクト)と呼ばれます。原因は熟成ではなく、栓の隙間からのわずかな空気の出入りによる酸化や、光・温度による変化です。良い方向に感じられることもあれば、明らかな劣化であることもあります。

確認すること価値として受け取りやすい状態劣化を疑う状態
液面首の付け根から肩の上部を保っている(古い年代ほど肩の上部まで許容されやすい)肩の上〜中部より下がっている(蒸散・酸化)
香り果実や樽由来の香りが、時間とともに開く段ボール、カビ、湿ったコルクのような匂い
味甘みと厚みがあり、余韻が続く水っぽく、アルコール感も香りも平板
コルク弾力があり、形が崩れていない崩れている、液中にコルク片がある

売る予定があるボトルは開けないでください。査定は未開封であることが前提です。飲み方の手順は、よくある質問を参照してください。開栓したあとは、液面が下がるほど酸化が進みます。一度に飲み切れない場合は、小さな瓶に移し替えて、瓶の中の空気を減らしてください。

査定で減額される状態|液面・栓・ラベル・付属品のチェック手順

ウイスキーのイメージ写真

液面はオークションの区分で読み、立てたまま確かめる

液面が下がるのは、コルクが劣化したり乾いて縮んだりして栓との間に隙間ができ、中身が少しずつ蒸発するためです。前の章で触れたとおり酸化も疑われます。液面は、オークションで使われる区分にそろえて「首の中」「首の付け根」「肩の上部」「肩の上〜中部」と読みます。判断の軸は年代です。古い年代のボトルほど、肩の上部までは年代相応として許容されやすく、1960〜70年代の瓶詰めであれば肩の上部は大きな減点になりにくい一方、比較的新しい瓶詰めで同じ位置まで下がっていると栓の不具合を疑われます。肩の上〜中部より下まで減ったボトルは、年代を問わず減額か買取不可になりやすくなります。査定に出す前に、次の手順で確認してください。

  1. 平らな台にボトルを立て、数分置いて液面を落ち着かせる。直前に傾けたり振ったりしない
  2. 目の高さでボトルの後ろから光を当て、液面が首の中、首の付け根、肩の上部、肩の上〜中部、それより下のどこにあるかを見る
  3. 定規を真横に添えて写真を撮る。ボトルに印やテープは付けない
  4. キャップシールの周りにベタつき、シミ、液だれの跡がないかを見る。跡があれば栓から漏れている可能性があるので、査定のときに伝える

同じ銘柄を何本か持っている場合は、並べて比べると、1本だけ減りが大きいかどうかがすぐに分かります。

保管は「立てて」が一般的な扱い

度数の高い蒸溜酒は、立てて保管するのが一般的な扱いです。ワインはコルクを湿らせておくために寝かせますが、40度前後のアルコールに長く触れ続けると、コルクが傷んで崩れたり、コルクの匂いが中身に移ったりするおそれがあるためです。ただし、立てておけば安全というわけではありません。立てたままでも、コルクは年月とともに乾いて縮みます。売る予定のボトルは、直射日光と温度変化を避けた場所に立てて置いてください。照明の当たる棚に長く飾ると、ラベルの日焼けの原因にもなります。

栓・ラベル・付属品が査定に与える影響

確認項目状態査定への影響の目安
液面首の中〜首の付け根小さい
液面肩の上部年代しだい。古い瓶詰めほど許容されやすい
液面肩の上〜中部より下大幅な減額、または買取不可
コルク・キャップシール破れ、浮き、液漏れの跡減額。漏れがあれば買取不可の場合もある
ラベル小さなシミ、軽い擦れ小〜中
ラベル破れ、剥がれ、文字が読めない中〜大。年代を判定する根拠がなくなる
化粧箱なし銘柄による。高額な銘柄ほど減額幅が大きい
冊子・替え栓・証明書なし限定品や高額品では減額の理由になる

減額の幅は店ごとに違います。この表は、どの項目が重く見られるかの順番として使ってください。普及品のブレンデッドは箱がなくても影響が小さい一方、限定品は箱と冊子まで含めて1組として扱われます。

高額ボトルほど真贋確認は厳しくなる

冒頭で触れたマッカラン 1926は、シェリー樽で約60年熟成し、1986年に40本だけ瓶詰めされました。落札されたのは、そのうちヴァレリオ・アダミのラベルが貼られた12本の中の1本です。2023年11月18日のサザビーズ(ロンドン)で、手数料込み£2,187,500(約270万米ドル)で落札されました。事前の予想は£75万〜£120万です。この1本は出品前にコルクとキャップシールを交換し、中身の真贋検査も受けていました。交換したことと検査の結果を明らかにしたうえで、この値がついています。反対に、記録を残さずに個人が栓を替えたボトルは、詰め替えを疑われる原因になります。高額なボトルの栓は自分で触らず、そのまま査定に出してください。

やってはいけない失敗

  • ラベルを濡れた布で拭く:古い紙のラベルは水分で破れたり剥がれたりする。ほこりは乾いた柔らかい刷毛で払う程度にとどめる
  • 箱を捨てる:傷んだ箱でも、ないよりは評価される。冊子や替え栓は箱の中に戻しておく
  • 開栓して味見をする:一度でも開けると、未開封品として扱われなくなる
  • 詰め替え品と気づかずに出品する:キャップシールの継ぎ目や貼り直した跡、同じ銘柄のほかのボトルと比べて液色やラベルに違和感がないかを確かめる。気になる点があれば、査定のときに伝える

開栓済みのボトルとバーの在庫

開栓済みのボトルは、買取の対象外にしている店が多くあります。中身が入れ替えられていないことを確かめる方法がないためです。バーの在庫を整理するときは、まず未開栓品と開栓済み品を分けてください。

  • 未開栓品:液面とラベルの写真を撮り、銘柄、本数、箱の有無を一覧にまとめて、複数の店に査定を頼む
  • 開栓済み品:店で提供して使い切る。旧ボトルであることをショットの値付けに反映し、液面が下がった瓶は前の章のとおり小瓶に移して酸化を遅らせる

売り先の選び方と、売る・残すの判断基準

売り先は、真贋と状態の確認を誰が引き受けるかで性格が分かれます。店に売る場合は店がその確認を担い、そのための手間と、買い取ったあとに売れ残るリスクが買取額から差し引かれます。オークションやフリマでは、確認と説明の責任が出品者に移ります。その代わり、その銘柄を欲しがる買い手が直接値をつけるため、価格が上振れする余地が生まれます。

売り先ごとの比較

売り先手数料入金までの日数真贋・状態確認の手間価格の上振れトラブルの起きやすさ
店頭買取原則なし(店の取り分は買取額に含まれる)最短でその場店が確認する。持ち込むまでの破損に注意小さい少ない。提示額を聞いてから断れる
宅配買取送料・返送料の扱いは店ごとに違う発送・査定・入金の順で数日以上店が確認する。梱包は自分で行う小さい輸送中の破損、査定額に納得できないときの返送の条件
出張買取出張費の有無は店ごとに違う予約日しだい本数が多くても自宅で済む小さいその場で決めるよう迫られやすい
オークション(専門業者への委託)落札額に応じた手数料がかかる開催日程に左右され、長め業者が検品する。来歴も問われる大きい(希少な銘柄に限る)落札されない、最低落札価格の設定をめぐる行き違い
フリマ・個人間のネット取引販売手数料と送料売れるまで読めない写真と説明をすべて自分で用意する中程度破損、すり替えの主張、詰め替えを疑われる、免許の問題

普及品のブレンデッドは、店頭か宅配でまとめて売るほうが手間と価格の釣り合いが取れます。マッカランの旧ボトルや特級表示の国産シングルモルトのように買い手が限られる銘柄は、専門店の写真査定で出た額を下限として押さえてから、オークションに出すかどうかを決めてください。

個人がネットで売るときの注意

お酒を「業として」売る場合、酒類販売業免許が必要になることがあります。国税庁の案内では、家庭で飲むために買った酒や贈られた酒を、継続的でなく売る場合は免許が要らないとされています。一方、仕入れて繰り返し売る場合は免許が必要です。遺品を1回だけ出品する場合は前者に近く、迷う場合は出品する前に所轄の税務署で確認してください。各サービスの出品規約で、酒類の扱いを定めていることもあります。在庫を整理する酒販店やバーは、自分の持っている免許で、未開栓の瓶を一般客やほかの事業者に売れるのかを確かめてください。店でグラスに注いで出すことと、瓶のまま売ることは同じ扱いとは限りません。

2026年4月の値上げと旧ボトルの比較基準

サントリーは2026年4月出荷分から、「山崎」「白州」「響」の希望小売価格を引き上げました。定価が上がると、旧ボトルを「現行品の何倍か」で語るときの分母も変わります。そのため、改定前の定価をもとにした比較は使えなくなります。ただし、定価が上がったからといって、旧ボトルの買取額が同じ割合で上がるわけではありません。査定額は、二次流通での需要と状態で決まります。

売る・残す・飲むの判断の流れ

  1. 状態:液面が肩の上〜中部より下にある、または栓から漏れている場合、売り物としての価値は大きく下がる。早めに開けて飲むか、料理やハイボール用に回す
  2. 手間:撮影、梱包、買い手とのやり取りを引き受けられるならオークションやフリマ、引き受けられないなら店頭か宅配を選ぶ
  3. 思い入れ:故人の愛飲品などは、1本を残して残りを売る、という分け方もできる。残す場合は前の章のとおり立てて保管し、開けると決めたら家族で飲む

外国人の知人や客から相談されたとき

日本の旧ボトルを海外へ持ち出したり送ったりするときは、相手の国の持ち込みの数量制限、関税、酒類の輸入規制を事前に調べる必要があります。国によっては、個人でも郵送で酒類を受け取れない場合や、配送業者が酒類の扱いを断る場合があります。具体的な可否は、相手の国の税関や配送業者の案内で確認するよう伝えてください。

よくある質問

ウイスキーのイメージ写真

液色が濃い旧ボトルは、シェリー樽で熟成した証拠になりますか?

目安にはなりますが、証拠にはなりません。色をそろえるためのスピリッツカラメル(E150a)の添加は、現行のスコッチウイスキー規則(SWR 2009)でも、それ以前の制度でも認められてきました。当時のボトルに使われていたかどうかは、ラベルから分からないことが多くあります。手がかりになるのが輸出先向けの表示で、ドイツ向けの「mit Farbstoff」のように、ドイツ・デンマーク向けのボトルでは着色の有無が記載されている場合があります。リフィル樽が中心の原酒でも、着色で色が濃く見えることがあります。樽の構成は液色で判断せず、ラベルの表記や同じ銘柄の資料で確かめてください。

旧ボトルの中に濁りや澱のようなものが見えます。劣化しているのでしょうか?

低温で白く濁るものは、冷却濾過をしていない、または濾過が弱い原酒の成分が冷えて固まったもので、劣化とは限りません。常温に戻すと消えることが多くあります。一方、黒っぽい粒や繊維のような片が浮いている場合は、コルクが崩れている可能性があります。どちらの場合もボトルを振らず、立てたまま写真を撮り、査定のときに伝えてください。

飲むと決めた旧ボトルと現行品を飲み比べるときは、どうそろえればよいですか?

次の条件をそろえます。

  1. グラス:同じ形のチューリップ型のノージンググラスを使う。口がすぼまっているため、香りが集まりやすい
  2. 量:両方に同じ量を注ぐ(たとえばそれぞれ15ml)
  3. 温度:同じ部屋に置いて室温になじませた瓶から注ぎ、温度をそろえる
  4. ブラインド:注ぐ人と飲む人を分けるか、グラスの底に印を付けてラベルを隠し、どちらか分からない状態で並べる
  5. 加水前:香り(ノージング)、味(パレット)、余韻(フィニッシュ)の順に比べる
  6. 加水:スポイトで1滴ずつ、両方に同じ滴数を加え、そのたびに香りの開き方を比べる

条件をそろえておくと、違いが原酒や樽によるものか、瓶の中での酸化によるものかを分けて考えやすくなります。

出典・参考にした情報

この記事で紹介した銘柄

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。