飲み方の基本

ウィスキーの麦茶割り(アカプルコ)の作り方と合う銘柄の選び方

ウイスキーの麦茶割りは焙煎香で口当たりが丸くなり後口はすっきり。比率30ml対90〜120mlの目安と作り方、合う銘柄選びのコツを解説します。

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ウイスキーの麦茶割りはどんな味?「同じ麦だから合う」の通説を製法から確かめる

ウイスキーの麦茶割りは、同じ比率の水割りと比べると、焙煎した穀物の香ばしさが加わり、口当たりに丸みが出ます。後口の甘さはすっきり切れます。麦茶そのものには砂糖のような甘さがほとんどなく、香ばしい香りが余韻を引き締めるためです。甘さが舌に残りにくいので、焼き鳥のたれ、醤油味の焼き物、揚げ物といった食事と合わせやすく、食中酒に向く一杯です。割らずに、甘みの強いウイスキーをストレートで飲み、冷えた麦茶をチェイサーにする使い方もあります。

結論から言うと、目安はウイスキー30mlに冷えた麦茶90〜120ml(1:3〜4)です。 ウイスキーを先に氷と一緒にステアして冷やし、麦茶を注いで軽く混ぜます。最初の1本は、バーボンや軽いブレンデッドが合わせやすいでしょう。詳しい手順は「失敗しない麦茶割りの作り方」の節で、銘柄の選び方は「麦茶割りに向くウイスキーの選び方」の節で説明します。

「同じ麦だから合う」を製法で分けて考える

ウイスキーのモルトは、大麦を水に浸して発芽させ、キルン(乾燥炉)で乾かしたものです。発芽の間にできる酵素は、あとで糖化(でんぷんを糖に変える工程)に使います。その酵素を壊さないよう、乾燥は比較的穏やかな温度で行います。麦茶は、発芽させない大麦を高温で焙煎したものです。香ばしさは、焙煎中に起きるメイラード反応(糖とアミノ酸が熱で反応し、褐色と香ばしい香りを生む反応)から生まれます。同じ大麦でも、麦芽の穀物香と麦茶の焙煎香は出どころが違います。しかもウイスキーの香りの多くは、麦芽そのものより、発酵でできるエステル(果実のような香り)と樽熟成から来ています。

品種も同じとは限りません。スコッチのモルトウイスキーには主に二条大麦が使われます。一方、麦茶の原料は地域によって好みが分かれ、関東では六条大麦が好まれます。

相性を決めているのは「焙煎香」と「樽香」の重なり

原料が同じだから合う、という説明では足りない例が多くあります。ブレンデッドウイスキーには、トウモロコシや小麦を原料にしたグレーンウイスキーが入っています。バーボンは原料の51%以上がトウモロコシです。それでも、どちらも麦茶とよく合います。鍵を握るのは樽です。内側を焦がした(チャーした)樽では、木の成分が熱で分解され、バニラ香のもとになるバニリンやキャラメルのような香りができます。熱で生まれた樽の香りと、熱で生まれた麦茶の焙煎香が重なるため、なじみがよいのです。

樽・香味のタイプ麦茶との重なり方向く飲み方
チャーした新樽(バーボン)バニラやキャラメルの香りが焙煎香と一体になり、香ばしい甘さが前に出る麦茶割りの基本。最初に試すならこのタイプ
バーボン樽熟成のスコッチ・ブレンデッド穏やかなバニラ香が重なり、軽い甘さがすっきり切れる食事と合わせる麦茶割り
シェリー樽レーズンのようなドライフルーツの甘い香りを、麦茶の香ばしさが締める麦茶割り、またはストレート+麦茶チェイサー
ピーテッド(ピートを焚いて乾かした麦芽)フェノール香(泥炭の煙で麦芽に付く、薬品や煙のような香り)が焙煎香と重なり、焦げた印象が強まる水出しの麦茶で1:4から。合わなければストレート+麦茶チェイサーに切り替える

スコッチが使うバーボン樽は、バーボンの熟成に一度使ったあとの中古樽で、バーボンそのものが使う「チャーした新樽」とは別物です。バーボンを払い出したあと初めてスコッチを詰めるファーストフィルはバニラやココナッツの香りが強く、麦茶と重なりやすくなります。2回目以降のリフィルほど樽香は穏やかになり、原酒の果実香が前に出ます。ラベルに「First Fill」と明記された銘柄は、麦茶割り向きかを判断する目安になります。

ピートの強さは、麦芽のフェノール値(ppm)で表します。ただし麦芽のppmは目安にすぎず、実際に原酒に残るフェノール類はそれより少なくなります。フェノール類は蒸溜の後半に多く出てくるため、製品にする中間の留分(ミドルカット)をどこで切るかで残る量が変わります。熟成年数によっても煙の印象は変わり、同じ蒸溜所でも若いボトルほど煙の印象が強く出やすくなります。店で出す場合は、樽のタイプごとに銘柄を分けておくと、「甘めに」「すっきり」「スモーキーなもので」という注文に応えやすくなります。

緑茶割り・紅茶割りより香りを邪魔しにくい理由

麦茶はカフェインゼロの飲み物です。茶葉から淹れる緑茶や紅茶には、カフェインのほかにカテキン類などの渋み成分が含まれます。そのため、割るとウイスキーの香りに渋みや苦みが重なります。サントリーは紅茶割りを「ウイスティー」として提案しています(アイスはウイスキー1:紅茶4)。紅茶の香りも主役の一つに据える割り方といえます。麦茶は渋みがほとんどなく、香りの方向も樽香に寄り添います。そのため、ウイスキーの個性を残したまま香ばしさだけを足せます。

ストレート+麦茶チェイサーという使い方

シェリー樽熟成の甘いモルトや、度数の高いバーボンをストレートで飲むときは、水の代わりに冷えた麦茶をチェイサーにする方法があります。ひと口ごとに麦茶を挟むと、舌に残った甘さとアルコールの熱さが焙煎香で切れます。次のひと口で、樽の香りをあらためて感じ取れます。割らないので、ウイスキーの香味はそのままです。麦茶割りに向くか迷う銘柄は、まずこの形で香りの重なり方を確かめると判断しやすくなります。

「アカプルコ」とは何か:サントリーのCMで付いた愛称と、本来のラムベースのカクテル

ウイスキーのイメージ写真

「アカプルコ」はウイスキーの麦茶割りの別名として知られていますが、カクテルの名前としてはラムベースの一杯を指します。麦茶割りのアカプルコは、1970年代の広告で広まったとされる愛称です。ネット上の情報の真偽を見分けるときも、店で注文するときも、この点を押さえておけば迷いません。

1970年代のサントリーの広告で広まったとされる呼び名

1970年代のサントリーの広告で、ウイスキーの麦茶割りを指す「アカプルコ」の名が広まったとされます。「ウイスキー、麦茶で割ったらアカプルコ」というフレーズで知られています。ただし、放送年や対象の銘柄を示す確かな資料は見当たりません。具体的な年や銘柄を挙げる記事もありますが、どれも出典が示されていません。

現在のサントリー公式サイトの飲み方紹介にも、麦茶割りやアカプルコの項目はありません。公式の水割りにはウイスキー1:水2〜2.5という比率が示されていますが、麦茶割りにはメーカーが定めた比率がありません。つまりアカプルコは、今のメーカー公認の飲み方ではありません。当時の広告で生まれた呼び名です。

本来のアカプルコはラムベースのシティカクテル

カクテルのアカプルコは、メキシコの都市名にちなむ「シティカクテル」の一つです。シティカクテルとは、都市や地名を名前に持つカクテルのことです。レシピは書籍やバーによって異なり、決まった「標準」の配合はありません。代表的な配合の一例は次のとおりです。

材料・工程分量・内容
ライトラム2
コアントロー(オレンジリキュール)1
レモンジュース1
砂糖1tsp
卵白1/2個
技法シェーク

骨格は、スピリッツ・オレンジリキュール・レモンを2:1:1で合わせるサワー系の比率です。ブランデーで組めばサイドカー、ジンで組めばホワイトレディになります。アカプルコはここに卵白を加え、泡の層となめらかな口当たりを出します。酸味はレモンのほかライムを使うレシピもあり、トリプルセックを減らしたものや、砂糖を加えずコアントローだけで甘みを取るものもあります。甘さと酸味の釣り合いは、使う柑橘と好みで調整します。卵白を使うときは、まず氷を入れずに振るドライシェークで卵白を泡立て、次に氷を入れて振り、冷やしながら仕上げます。

このほか、テキーラとラムにパイナップルジュース、グレープフルーツジュース、ココナッツミルクを合わせるトロピカルな型もあります。どちらの型にも、ウイスキーと麦茶は入りません。

このため、アカプルコを「麦茶割りの正式名称」や「カクテルの定番」と説明するのは誤りです。カクテルとしてのアカプルコはラムの一杯で、麦茶割りを指す意味はCM由来の愛称にとどまります。

店で頼むとき・店で出すとき

飲む側の頼み方

  • 「アカプルコ」とだけ頼まない。バーで通じるのはラムのカクテルのほうで、卵白入りのシェークドリンクが出てくるのが普通です。
  • 先に「麦茶は置いていますか」と聞く。ソフトドリンクとしても麦茶を常備していないバーは珍しくありません。
  • 麦茶があれば「ウイスキーを麦茶で割ってください」とはっきり伝え、ベースの銘柄とシングルかダブルかも指定する。銘柄を言わなければ、店の標準のウイスキーで作られることが多くなります。値段はベースの銘柄で決まるので、気になるときは注文の前に確かめます。

店を運営する側の備え

  • メニューには「麦茶割り(アカプルコ)」と両方の名前を書く。愛称だけを載せると、ラムのカクテルと取り違えられます。
  • ラムのアカプルコも出す店は、麦茶割りをウイスキーの欄、アカプルコをカクテルの欄に分けて載せる。口頭で「アカプルコ」と頼まれたら「ラムのカクテルと、ウイスキーの麦茶割りのどちらですか」と聞き返す手順を、スタッフ全員で決めておきます。
  • 使う麦茶を一つに決める。麦茶は原料の麦の種類や焙煎の度合いで香ばしさが変わります。仕入れる麦茶を固定し、ベースの銘柄と一緒にメニューへ書いておけば、一杯ごとの味がぶれません。

失敗しない麦茶割りの作り方:比率別の濃さ、麦茶の淹れ方、ステアの手順

ウイスキーの麦茶割りには、メーカーが定めた公式の比率も「黄金比」もありません。自分の基準を決めるときは、確かな数字が3つあります。1つ目はサントリー公式の水割りで、ウイスキー1:水2〜2.5です。2つ目はお茶割り全般の目安で、ウイスキー30mlにお茶180〜200mlとされています。3つ目は前述の紅茶割り「ウイスティー」で、アイスの場合はウイスキー1:紅茶4です。麦茶割りの濃さは、この幅の中で決めると失敗しにくくなります。

比率別の度数と向く場面

下の表は、アルコール度数40%のウイスキー30mlで作った場合の度数です。氷が溶ける前の計算値で、実際には溶けた水の分だけさらに下がります。

比率(ウイスキー:麦茶)30mlに対する麦茶氷が溶ける前の度数基準にした数字向く飲み方
1:260ml約13%公式の水割りの濃いめ側ウイスキーの香りを味わう
1:2.575ml約11%公式の水割りの薄め側ウイスキーの香りを味わう
1:390ml約10%―食事と合わせる
1:4120ml約8%ウイスティー(アイス)食事と合わせる
1:6(30ml:180ml)180ml約5.7%お茶割りの目安軽く長く飲む

最初の一杯は1:3〜4がおすすめです。ここから香りが物足りなければ濃く、アルコールが強ければ薄くすると、好みの比率が早く見つかります。量はシングルが30ml、ダブルが60mlです。目分量で注ぐと毎回濃さが変わるので、メジャーカップで量ってください。飲食店で出す場合も、量を決めて量ることで味と原価が安定します。

作り方の手順(水割りの手順を応用する)

  1. 麦茶はあらかじめ冷蔵庫で冷やしておく。常温の麦茶を注ぐと氷が一気に溶け、味がぼやける
  2. グラスに氷をいっぱいに入れ、ウイスキーを注ぐ
  3. マドラーで十分にステアし、ウイスキーとグラスを冷やす
  4. 溶けて減った分の氷を足す
  5. 冷えた麦茶を注ぎ、縦に一度持ち上げる程度に軽く混ぜる

先にウイスキーだけを冷やしておくと、麦茶を注いだあとに溶ける氷が少なくなります。そのため、表の度数に近い濃さを保てます。麦茶を注いだあとに混ぜすぎると、氷が溶けて薄まるだけなので注意してください。

麦茶の淹れ方で香りの相性が変わる

  • 煮出し:高温で抽出するため、焙煎した大麦の香ばしさと苦みが強く出る。ウイスキーの香りと競り合いやすい。樽由来のバニラやカラメルのような甘い香りが強い銘柄なら、麦茶の香りに負けにくい
  • 水出し:香ばしさが穏やかで、雑味が少ない。華やかな果実香が持ち味の繊細なモルトを割るならこちらが合う
  • ブレンド茶:はと麦やトウモロコシが入ると、甘さと香りの出方が変わる。比率を決めるまでは、大麦だけの麦茶で試す

市販のペットボトルの麦茶を使う場合も、まずは原材料が大麦だけのものを選ぶと、ウイスキーとの相性を比べやすくなります。

グラスの選び方

基本は、氷と割り材がたっぷり入るタンブラーです。1:4以上に割ると液体だけで150ml以上になるため、氷を入れる余裕のある大きさを選んでください。香りを楽しみたいときは、口のすぼまったグラスを使い、比率を1:2〜2.5の濃いめにします。すぼまった口が香りを集めるので、麦茶の香ばしさの奥にある樽や麦芽の香りを感じ取りやすくなります。

応用の飲み方:ホット・麦茶ハイボール・チェイサー

  • ホット:お湯割りと同じく、温めた麦茶を先にグラスに入れ、あとからウイスキーを注ぐ。ウイスキーが熱に直接当たらないので、アルコールの揮発で香りがツンと立ちすぎない。対流で自然に混ざるため、ステアは軽くでよい。沸騰直後の麦茶は少し冷ましてから使う
  • 麦茶ハイボール:いつものハイボールに冷えた麦茶を少し加える。炭酸の爽快感に焙煎香が加わる。炭酸が抜けないよう、麦茶を入れたあとは混ぜすぎない
  • チェイサー:ストレートやロックの横に、冷えた麦茶を置く。水の代わりに口直しとして飲める

麦茶割りに向くウイスキーの選び方:樽・蒸溜・ピートで決める

ウイスキーのイメージ写真

麦茶割りに使う銘柄は、①樽の香り、②酒質の軽さ、③ピートの有無の順に絞ると決めやすくなります。麦茶の香ばしさは大麦を焙煎してできる香りです。ウイスキー側のどの香りがこれと重なり、どの香りが打ち消し合うかで、一杯の仕上がりが決まります。

  • ①樽:内側を焦がした樽から出るバニラやキャラメルの香りは、焙煎香と同じ方向に重なります。シェリー樽由来のドライフルーツのような甘さは、麦茶の焙煎香のわずかな苦みが締めます(渋みの出どころは麦茶ではなく樽の木のタンニンで、後述します)
  • ②酒質:グレーンが主体のブレンデッドや3回蒸溜のモルトは軽く、麦茶の香ばしさが前に出ます。酒質が重いものほど、濃いめの比率が必要です
  • ③ピート:麦芽を乾かすときに焚くピートの煙は、フェノール類としてウイスキーに残ります。これが焙煎香と重なると、焦げた印象が強くなります
タイプ銘柄比率の目安(ウイスキー:麦茶)合わせる麦茶
軽いブレンデッド・カナディアンカティサーク、カナディアンクラブ、角瓶1:4以上煮出し
バーボン(手頃)ジムビーム、エヴァンウィリアムズ ブラック1:3〜4煮出し
バーボン(香りが厚い)ウッドフォードリザーブ1:2〜3煮出し
軽快なシングルモルトオーヘントッシャン 12年、グレンキンチー 12年、グレンフィディック 12年1:3前後水出し
シェリー樽系グレンドロナック 12年、アベラワー 12年 ダブルカスクマチュアード1:2〜2.5煮出し
ピーテッドアードベッグ 10年、キルホーマン マキヤーベイ、カネマラ シングルモルト1:4から試す水出し

日常用はブレンデッドとカナディアン、バーボンは樽香で選ぶ

カティサークとカナディアンクラブは、香りの骨格が細い軽い酒質です。そのため麦茶が主役になり、1:4以上に薄めても味が抜けた感じになりにくいのが利点です。カナディアンクラブは、トウモロコシが主体のベースウイスキーを連続式蒸溜機で高い度数まで蒸溜してつくるため、クセが少なく仕上がります。角瓶で作る場合も、同じ薄めの比率が使えます。

バーボンは、内側を焦がした新しいオーク樽で熟成させることが決まりです。焦がした層の下で木材が熱分解し、バニリンやキャラメルのような甘い香りが生まれます。麦茶の焙煎香も加熱でできる香りなので、両者はよく重なります。普段使いならジムビームやエヴァンウィリアムズ ブラックが手頃です。ウッドフォードリザーブは銅製ポットスチルの原酒を含んでいて香りが厚いため、1:2〜3と濃いめにすると持ち味が残ります。

軽いモルトは水出し、シェリー樽は濃いめ、ピートは薄めから

オーヘントッシャン 12年は3回蒸溜で、重い成分がさらに取り除かれるため酒質が軽くなります。グレンキンチー 12年は草や花の香り、グレンフィディック 12年は洋ナシのような果実の香りが持ち味です。これらは、焙煎香が穏やかな水出しの麦茶で割ると、繊細な香りが消されずに残ります。

グレンドロナック 12年はペドロヒメネス樽とオロロソ樽で熟成させます。アベラワー 12年 ダブルカスクマチュアードは、バーボン樽とシェリー樽の原酒を合わせたものです。いまのシェリー樽の多くは、新しく組んだ樽にシェリーを一定期間入れて仕立てた「シーズニング樽」で、甘い香りと木のタンニンを持っています。麦茶で割るとこの甘さが締まりますが、薄めすぎると樽由来のタンニンの渋みだけが残るので、1:2〜2.5の濃いめで作ります。

アードベッグ 10年とキルホーマン マキヤーベイはアイラ島のウイスキー、カネマラ シングルモルトはアイルランドのピーテッドモルトです。前述のとおり、製品のスモーキーさは麦芽のppmだけでは決まりません。麦茶と合わせると焦げの印象が重なり、好みがはっきり分かれます。まずは水出しの麦茶を使い、1:4の薄めから試してください。合わなければ、ストレート+麦茶チェイサーに切り替えます。

国産ボトルと「ジャパニーズウイスキー」表示

国産で選ぶなら、キリン 陸やキリン 富士山麓 シグニチャーブレンドのように、割って飲むことを想定したボトルが扱いやすいでしょう。ただしキリン 陸は海外原酒も使ったブレンドで、ジャパニーズウイスキー表示の対象外です。ラベルの「ジャパニーズウイスキー」表示は、日本洋酒酒造組合が2021年に定めた自主基準によるもので、法律ではありません。この基準は、原料に麦芽を必ず使うこと、糖化・発酵・蒸溜を国内の蒸溜所で行うこと、木製樽に詰めて国内で3年以上貯蔵すること、国内で瓶詰めすること、アルコール分40%以上であることを求めています。ただし国産でなければならない原料は水だけで、麦芽や穀物の産地は決まっていません。従来の表示を認める経過措置は、2024年3月31日で終わっています。この表示があるかどうかは製造条件の話で、麦茶割りに向くかどうかとは関係ありません。

価格の目安と、割るかどうかの判断

  • 角瓶700ml:1,672円前後(2026年11月3日時点)
  • 山崎NV:、白州NV:、響 JAPANESE HARMONY:
  • 数千円以上のボトルは、まずストレートで香りを確かめ、次に少量の水を加えて香りの開き方を見ます。樽由来の甘さや香ばしさが主体なら麦茶割りに向きます。果実や花の香りが主体なら、加水だけで飲むほうが香りを生かせます

麦茶割りのよくある失敗と疑問:苦い・薄い・濁る・作り置き

麦茶割りが「まずい」ときは、原因をたどるとたいてい麦茶の濃さ、温度と氷、ウイスキーの造りのどれかに行き着きます。症状ごとに原因と直し方を整理します。

苦い・焦げっぽい

煮出した麦茶は、焙煎でできた焦げの香りと苦みが強く出ます。そこへ樽由来の香ばしさが加わると、焦げの印象が前に出すぎます。ピーテッドモルトではさらに香りが重なります。ピートの煙香は、麦芽を乾かすときにピートを焚いて付くフェノール類(フェノール、クレゾール、グアイアコールなど)から来るもので、焙煎穀物の焦げ香と近い系統です。似た香りが足し算になり、苦みとして感じられます。

  • 麦茶を水出しに変える。低温でじっくり抽出すると苦みが出にくく、香ばしさが軽くなる
  • 煮出した麦茶を使うなら、水で薄めて色を一段明るくしてから割る。煮出す時間を短くしても同じ効果がある
  • ピーテッドで苦いときは、水出しの麦茶で1:4から試す。それでも合わなければ、ストレート+麦茶チェイサーに切り替える

水っぽい・薄い

常温の麦茶を注ぐと、その熱で氷が一気に溶け、1杯目から水が増えます。氷が少ないと、1個あたりが受ける熱が増えるので溶けるのがさらに速くなります。

  1. 麦茶は冷蔵庫で冷やしておく。割り用のウイスキーも冷蔵庫か冷凍庫に入れる(度数40%前後なら家庭用冷凍庫では凍らない)
  2. グラスの縁まで氷を詰め、軽く混ぜてグラスを冷やす。溶けて出た水は捨てる
  3. ウイスキー、麦茶の順に注ぎ、ステアは数回で止める

白く濁る

冷却濾過は、瓶詰め前に原酒を低温にして、脂肪酸エステルなど冷えると固まる成分を濾し取る処理です。この処理をしていないウイスキーは、加水で度数が下がり氷で冷えると、溶けていた成分が析出して白くかすみます。ラベルに「ノンチルフィルタード」「Non Chill-Filtered」とある銘柄で起きやすく、品質の劣化ではありません。温度が上がると消えることが多いのもこの濁りの特徴です。ただ、客から不良品と受け取られることもあるので、店で出すならメニューに一言添えるか、割り用には冷却濾過をしている銘柄を使うと安心です。

作り置きと開栓後の保管

  • 麦茶は傷みやすい。清潔な容器で作って冷蔵庫に入れ、早めに使い切る。ティーバッグは所定の時間で取り出す。入れたままにすると抽出が進んで苦くなる
  • ウイスキーと麦茶を合わせたものは作り置きしない。揮発しやすい香りの成分から抜けていくため、飲む直前に作る。店では麦茶だけを冷やしておき、ウイスキーは注文ごとにメジャーカップで量る
  • 開栓した瓶は、残りが減るほど中の空気が増え、酸化や揮発で香りが変わりやすい。残りの少ない瓶や日常用の瓶は割り用に回し、香りを味わう瓶とは分ける。キャップは確実に締め、高温と直射日光を避けて立てて保管する

酔い方とペットボトルの麦茶について

  • 麦茶割りなら酔いにくい? 麦茶で割っても、酔い方を決めるのはアルコールの量です。度数40%のウイスキー30mlに含まれるアルコールは約12ml(約9.6g)で、麦茶で何mlに割っても変わりません。飲みやすいぶん杯数が進みがちなので、ウイスキーを合計何ml使ったかで判断します
  • ペットボトルの麦茶でもよい? 使えます。冷えた状態で味も安定しているので、失敗しにくい選択です。原材料表示が大麦だけの無糖のものを選びます。ハトムギやとうもろこしが入ったブレンド茶は、香りが別物になります

よくある質問

ウイスキーのイメージ写真

ウイスキーの麦茶割りはどんな味ですか?

同じ比率の水割りより香ばしく、甘さは舌に残りにくい味です。麦茶自体に甘みはほとんどなく、後口はすっきりします。一方で、樽由来のバニラやキャラメルのような甘い香りは残ります。ピーテッドモルトは麦茶の焙煎香と焦げの印象が重なるため、好みが分かれます。

麦茶割りに合うウイスキーの種類は?

まずは、チャーした樽由来のバニラ香をもつバーボンや、軽いブレンデッドから試すと合わせやすいでしょう。産地よりも、樽・酒質・ピートの有無で選ぶのが近道です。ピーテッドは水出しの麦茶で1:4から試し、合わなければストレート+麦茶チェイサーに切り替えます。

ウイスキーと麦茶の割合はどれくらいが良いですか?

目安はウイスキー1に対して麦茶3〜4(ウイスキー30mlなら麦茶90〜120ml)です。麦茶はあらかじめ冷蔵庫で冷やしておきます。グラスに氷とウイスキーを入れて先にステアで冷やし、そのあと麦茶を注いで軽く混ぜます。こうすると氷が溶けにくく、味がぼやけません。

麦茶割りはハイボールと何が違いますか?

ハイボールが炭酸の刺激とキレを楽しむのに対し、麦茶割りは炭酸を使わず、麦茶の香ばしさとまろやかさが際立ちます。喉ごしよりも風味重視で、食事と合わせやすいのが特徴です。

この記事で紹介した銘柄

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。