ウイスキー陸の飲み方|ハイボールの作り方と割合、割り方別比率
キリン陸の飲み方は公式基準のハイボール1:5(陸30ml・炭酸水150ml、レモンなし)が基本。水割り・ロックなど割り方別の比率と仕上がり度数の早見表、50%ならではの濃さの目安、割ったときに白く濁る理由まで解説します。
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結論:陸の飲み方は「ハイボール1:5」が基準|割り方別の比率と仕上がり度数の早見表
**キリン 陸の飲み方は、ハイボール「陸1:炭酸水5、レモンなし」が基準です。**陸30mlに炭酸水150mlが目安になります。これは2026年10月時点で、キリン公式の「おいしいハイボールのつくり方」に載っている比率です。公式の「つくり方」ページで紹介されているのはハイボールだけです。水割りやロックの公式比率は、現行ページでは確認できません。ハイボール以外の比率は、発売当時の推奨か、度数から逆算した目安として扱います。
比率を決める前に押さえる製品の前提
- アルコール分:50%。40%の銘柄と同じ30mlでも、純アルコールは12mlではなく15mlになる
- 容量:500mlびんと4,000mlペットボトルの2種類
- 原酒:富士御殿場蒸溜所の原酒が主体で、厳選した海外原酒もブレンドしたブレンデッドウイスキー。海外原酒を含むため、国産原酒100%ではない(御殿場のグレーン原酒の造り分けは、後の時系列の項を参照)
- 製法:冷却濾過(瓶詰め前に液を冷やし、濁りのもとになる成分を濾し取る工程)を行っているかどうかについて、本記事では公式の文言を確認できていない
冷却濾過で取り除かれやすいのは、主にラウリン酸エチルやパルミチン酸エチルなどの長鎖脂肪酸エチルエステルです。これらは香りよりも、口当たりの質感や粘性に関わる成分として語られるのが一般的です。冷却濾過を行っていない製品は、これらの脂肪酸エステルを濾し取らずに残しています。そのため、冷やしたり、加水して度数が下がったりすると、成分が溶けきれずにうっすら白く濁ることがあります。度数については、一般に46%前後を下回ると出やすくなります。劣化ではなく、成分が溶けきれなくなって見えているだけです。客や贈り先には「成分を濾し取らずに残しているための濁りで、品質の異常ではない」と伝えます。陸を割ったときに白く濁った場合も、まずこの現象を疑ってください。
割り方別の比率と仕上がり度数の早見表
度数は、陸の量×50%を合計量で割った計算値で、氷が溶ける前の最も濃い時点の数字です。氷の溶け水で薄まるので、飲む時点の度数はこれより低くなります。
| 割り方 | 比率(陸:割り材) | 出典の種類 | 計算上の度数 | 向く場面 |
|---|---|---|---|---|
| ハイボール | 1:5(レモンなし) | 現行公式 | 約8.3% | 最初の1杯、食中の基準 |
| ハイボール | 1:4〜8 | 発売当時の推奨(旧仕様の推奨。現行品では調整幅として流用) | 10%〜約5.6% | 濃いめ〜長く飲む軽めまでの調整 |
| ブレンダー割り | 1:1〜2 | 発売当時の推奨 | 25%〜約16.7% | 香りを確かめながら少量を飲む |
| 水割り | 1:2〜2.5 | 編集部の目安 | 約16.7%〜14.3% | 食事と合わせる |
| 牛乳割り | 1:4〜7 | 発売当時の推奨 | 10%〜約6.3% | 食後、甘さが欲しいとき |
| ホットシナモンウイスキー | 1:3〜6(お湯は60℃) | 発売当時の推奨 | 12.5%〜約7.1% | 寒い時期、寝る前の1杯 |
| トゥワイスアップ | 1:1(常温の水) | 編集部の目安 | 25% | 香りの比較、銘柄の確認 |
| ロック | 氷のみ | 編集部の目安 | 50%から氷が溶けるにつれて低下 | 冷えた状態からの変化を追う |
ブレンダー割りは、加水して香りを確かめるための濃いめの水割りです。1:1で作ると、実質的にトゥワイスアップと同じ濃さ(25%)になります。食事と合わせて飲む水割りは、編集部の目安の1:2〜2.5を使います。
1:5の度数と、発売当時の幅「1:4〜8」の差
陸30mlに炭酸水150mlを合わせると、アルコール15ml÷180mlで約8.3%です。同じ計算で、1:4は10%、1:6は約7.1%、1:8は約5.6%になります。発売当時の推奨幅の両端である1:4と1:8では、度数に倍近い差があります。1:4は、40%の銘柄を1:3で割ったときと同じ濃さです。一般的な40%の銘柄を1:4で割ると8%になり、陸ではその濃さが1:5にあたります。
厳密には、エタノールと水を混ぜると体積がわずかに縮むため、実測値は単純な足し算よりやや高めに出ます。ただ、その差は氷の溶け水による薄まりよりずっと小さいので、比率を選ぶうえでは計算値で十分です。
シングル・ダブル別の炭酸水の量
- シングル30ml:1:4なら120ml、1:5なら150ml(合計180ml)、1:6なら180ml、1:8なら240ml
- ダブル60ml:1:4なら240ml、1:5なら300ml(合計360ml)、1:6なら360ml、1:8なら480ml
量はジガー(計量カップ)で量ります。目分量で陸を40ml注ぐと、炭酸水150mlでも約10.5%になり、1:5の狙いから外れます。
条件別の選び方
- 初めて飲む、または店で標準の1杯を決める:公式の1:5、レモンなし。陸の果実のような香りを、そのまま確かめられる
- 1:5で物足りない:1:4へ。度数は約8.3%から10%に上がる
- 食事中に何杯も飲む:1:6〜1:8。度数は約7.1〜5.6%に下がる
- 柑橘を合わせたい:2杯目以降にする(理由は次章)
陸ハイボールの作り方|公式の4ステップと、各工程の理由

キリン 陸のハイボールは、比率(前の章の1:5)だけでなく、注ぐ順番と混ぜ方まで公式に決められています。キリン公式「おいしいハイボールのつくり方」の手順は次の4つです。
- グラスに氷を入れ、陸を氷の上から注ぐ
- グラスに水滴がつくまで混ぜる
- 炭酸水をグラスの内側に沿わせて静かに注ぐ
- グラスの下の方からゆっくり2回ほど混ぜる
4つの工程には2つの目的があります。炭酸ガスを液に残すことと、陸の香りを薄めずに残すことです。
手順1〜2:陸を先に冷やし、水滴で冷え具合を判断する
炭酸水に溶けていられる二酸化炭素の量は、液温で決まります。0℃の水は、20℃の水のおよそ2倍を溶かしておけます。常温の陸に冷えた炭酸水を注ぐと、混ざった瞬間に液温が上がり、溶けきれなくなったガスが泡になって抜けます。先に陸と氷とグラスを冷やしておけば、炭酸水との温度差が小さくなり、この泡立ちを抑えられます。グラスの外側につく水滴は、表面が周りの空気より十分に冷えたしるしです。温度計がなくても、家庭でも店でも同じ見た目で判断できます。混ぜて氷が沈んだら、炭酸水を注ぐ前に氷を足しておきます。冷やすと白く濁ることがあります(理由は冒頭の製品の前提を参照)。
手順3:炭酸水は氷に当てず、内側に沿わせる
炭酸の泡は、氷の表面の細かな凹凸やひびを「核」(泡が生まれるきっかけになる場所)にして生まれます。炭酸水を氷に直接当てると、核に勢いよくぶつかって泡が一気に出て、その分のガスが抜けます。グラスの内側に沿わせれば、液は静かに底へ流れ、核に当たる衝撃が小さくなります。炭酸水のボトルの口をグラスの縁に近づけ、高い位置から落とさないのがこつです。
手順4:下から2回、持ち上げるように混ぜる
アルコール分50%の陸は比重が軽く、後から注いだ炭酸水と分かれて層になりやすい性質があります。マドラーを氷の脇から底まで差し込み、下から持ち上げるように2回動かせば、上下は入れ替わります。それ以上かき回すと液面が波立ち、氷とマドラーが擦れて泡の核が増え、炭酸が抜けます。削れた氷で味も薄まります。
レモンを入れない理由
公式の香りの説明は「黄桃・オレンジ・りんごを思わせるほのかな甘い香り」です。陸は50%で瓶詰めされているため、1:5で割っても約8.3%になります。40%の銘柄を1:4で割ったときに近い濃さが残り、炭酸水で薄めても香味の骨格が崩れにくいということです。ハイボールを前提にした度数設計と読めます。
一般に、グレーン主体のブレンドで感じる甘さやバニラのような香りは、2つの要素の組み合わせから生まれます。1つは、樽材から溶け出すバニリンやオークラクトン(ココナッツに似た香りの成分)です。もう1つは、穀物の香りが控えめな軽めのグレーン原酒です。ただし陸の樽構成は公表されていないため、陸の香りの由来をそこまで特定することはできません。香りの観察手順は、次の章のトゥワイスアップの項で示します。
レモンの皮の油分(精油)は、主成分のリモネンが強く香り、液面に広がってグラスを口に運んだときに最初に鼻に届きます。そのため、陸の控えめな果実の香りを上から覆ってしまいます。香りを確かめる1杯目はレモンなしで飲み、レモンは好みで足すものとして扱います。足すなら、皮をグラスの上でひねって香りをのせる程度から始めると、レモンなしとの違いを比べやすくなります。店で出すときは、レモンを別添えにして客に選んでもらうと、公式の推奨と両立できます。
道具と温度の準備
- 炭酸水:強炭酸を冷蔵庫で冷やしておく。開栓直後のものを使う
- 氷:溶けにくい大きめのもの。冷凍庫から出した直後は表面の霜が泡の核になるため、表面が少し透明になってから使う
- グラス:12オンス(約360ml)前後のタンブラー。氷を縁まで詰めても、シングル30mlを1:5で作った液量180mlが収まる
- ダブルで作る場合:液量が360mlになるため、500ml級のジョッキを使う
ハイボール以外の割り方|水割り・トゥワイスアップ・ロック・お湯割り・牛乳割りの比率と手順
キリン 陸のハイボール以外の比率は、現行の公式ページでは確認できません。ここでは、2020年の発売当時にメーカーが推奨していた比率を当時のものとして示します。それ以外は編集部の目安として区別します。発売当時の推奨は次の3つです。
- ブレンダー割り:陸1:水1〜2
- 牛乳割り:陸1:ミルク4〜7
- ホットシナモンウイスキー:陸1:お湯3〜6(お湯は60℃)、砂糖小さじ1、シナモン少量
ストレートからトゥワイスアップへ|数滴ずつ加水して香りの開く点を探す
50%のままでは、エタノールが鼻の三叉神経(痛みや刺激を感じる神経)を刺激します。そのため、黄桃やりんごを思わせる香りより先に刺激が届きやすくなります。水を加えてエタノール濃度が下がると、水に溶けにくい香気成分が液面に出やすくなります。手順は次のとおりです。
- 口のすぼまったテイスティンググラスに陸を15ml注ぎ、まずストレートで香りを取る
- 常温の軟水をスポイトで2〜3滴加え、軽く回してから香りを取る
- 香りの印象が変わるまで2を繰り返し、刺激が引いて甘い香りが前に出た量を覚えておく
- 15mlまで加えると、陸1:水1のトゥワイスアップ(約25%)になる
トゥワイスアップは、常温の水を同量加える飲み方です。氷を使わないので、時間が経っても度数と温度がほとんど動かず、香りを落ち着いて比べられます。水を冷やさないのは、温度が下がると香気成分が揮発しにくくなるためです。
トゥワイスアップにしたら、次の順で観察します。
- ノーズ(香りを取ること):まず回さずに香りを取り、次に軽く回して取る。果実(黄桃・りんご)の香りと、バニラのような甘い香りのどちらが先に来るかを確かめる
- パレット(口に含んだときの味わい):舌の上での甘さの強さ、とろみなどの質感、アルコールの熱さがどこで出るかを確かめる
- フィニッシュ(飲み込んだ後の余韻):残る香りの種類(甘さ、穀物、樽の渋み)と、消えるまでの長さを確かめる
同じ手順をハイボールの1杯目でも繰り返すと、割ったときにどの要素が残り、どの要素が消えるかが分かります。
ロック|大きな氷1個で、冷え方と薄まり方を釣り合わせる
注いだ直後は50%のまま急に冷えるため、香りは閉じ、アルコールの熱さと厚みが前に出ます。氷が溶けるにつれて度数が下がり、溶け水が陸と同量になった時点で25%になります。大きな氷1個を使うのは、体積のわりに表面積が小さく、十分に冷やしながら薄まる速さを抑えられるからです。小さな氷を詰めると早く薄まり、変化を追う前に水っぽくなります。氷の表面の霜は、水で軽く流してから使います。
水割り|1:2〜2.5は編集部の目安、食事に合わせて調整する
水割りの1:2〜2.5は公式比率ではなく、度数から逆算した編集部の目安です。計算上は約16.7〜14.3%で、氷の溶け水でさらに下がります。作り方は次のとおりです。グラスに氷を入れて陸を注ぎ、グラスに水滴がつくまで混ぜて冷やします。そこへ冷やした軟水を加え、軽く混ぜます。食事に合わせる場合は、次のように考えます。
- だしや塩味の穏やかな和食:1:2.5で薄めにし、料理の香りを覆わないようにする
- 揚げ物や味の濃いつまみ:1:2で陸の厚みを残す
- 発売当時のブレンダー割り(1:1〜2)は、少量で香りを確かめる飲み方として使う
お湯割り・ホットシナモン|熱湯を避け、お湯を先に入れる
熱湯に近いと液温が上がり、エタノールが一気に揮発して鼻を刺します。お湯割りでは、沸かした湯を別の器に一度移し、80℃前後まで下げてから使います(この温度は、お湯割り全般に対する編集部の目安です)。常温の陸30mlに80℃の湯120mlを合わせると、計算上は70℃弱です。実際にはグラスに熱を取られて60℃台に収まります。
お湯を先に入れると、湯でグラスが温まり、同時に湯温もグラスに熱を取られて少し下がるため、液温が安定します。比重の軽い陸を後から注ぐと、注いだ勢いで沈み込み、浮き上がる流れで湯と混ざりやすくなります。強く混ぜる必要はなく、仕上げにマドラーを底から2〜3回静かに動かす程度で足ります。陸を先に入れると、湯を勢いよく注いだときに局所的に温度が上がって揮発が増え、最初の香りにアルコールの刺激が混じりやすくなります。
ホットシナモンは、発売当時の推奨どおり60℃のお湯を使います。お湯に砂糖小さじ1を溶かしてから陸を注ぎ、シナモンを少量のせます。
牛乳割り|冷えた牛乳を後から注ぐ
グラスに氷と陸を入れて混ぜ、冷えた牛乳を注いで軽く混ぜます。乳脂肪とたんぱく質がアルコールの刺激を和らげるので、1:4でも10%の強さを感じにくくなります。飲み過ぎないよう、量はジガーで量ります。
各割り方の比率と計算上の度数は、冒頭の早見表にまとめています。
「陸はまずい」と感じる原因と直し方|失敗例から逆算する判断基準

キリン 陸を「まずい」と感じる場合、原因の多くは銘柄そのものではなく、アルコール分50%に合わない飲み方にあります。まず症状から原因を絞り込みます。そのうえで、比率・温度・注ぎ方のどれを直すかを決めます。
失敗例と原因・直し方
| 症状 | 主な原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| ストレートでアルコールが刺さる | 50%のまま鼻と舌に当てている | 常温の軟水を数滴ずつ加え、1:1のトゥワイスアップ(約25%)を評価の基準にする |
| ハイボールが水っぽい | 炭酸水が多い(1:8前後で約5.6%)、氷が溶けた、炭酸が抜けた | 1:5に戻し、手順1〜2で陸・氷・グラスを先に冷やす |
| 重い、アルコールが立つ | 1:4より濃い(1:3で12.5%) | 1:5〜6(約8.3〜7.1%)に寄せる |
| 陸らしさが消える | レモンや香りの強い割り材 | 1杯目は割り材なしで飲み、柑橘は皮の香りづけ程度から試す |
失敗例1:ストレートの印象だけで陸を判断しないでください。加水の手順は前の章で触れたとおりです。評価はトゥワイスアップ(約25%)の状態で行います。25%でも刺激が残る場合は、グラスと液温を疑います。口の広いグラスでは香りが散り、手で温めた液ではエタノールの揮発が増えます。
失敗例2:水っぽさには3つの原因があり、症状で見分けられます。
- 一口目から薄い:比率の問題。1:8は発売当時の推奨幅に入るため、古いレシピどおりに作ると起こりやすい
- 飲み進めるうちに薄くなる:氷の溶けすぎ。陸を常温のまま注いでいないか確認する
- 味の濃さはあるのに舌への刺激がない:炭酸抜け。炭酸水の温度と開栓からの時間を確認する
失敗例3:1:4で度数は10%になり、40%の銘柄を1:3で割ったのと同じ濃さです。目分量で注いで重くなっている場合は、ジガーで量り直すだけで直ります。
失敗例4:ジンジャーエールやコーラは、香りも甘さも強い割り材です。一方、陸の香りは公式の説明でも「ほのかな甘い香り」とされる控えめなものです。そのため、これらで割ると割り材の香味がそのまま前に出ます。この場合に「陸の味がしない」と感じるのは、割り材の味を飲んでいるからです。陸らしさを確かめたいときは炭酸水で割ります。レモンについては、ハイボールの作り方の章の「レモンを入れない理由」を参照してください。
判断の順番|1回に1つだけ変える
- 香りが弱い、味が薄い → 濃くする。1:6→1:5→1:4の順に試し、1:4より濃くはしない
- 刺激が強い → 1:5→1:6へ薄めるか、手順1〜2で十分に冷やす。ストレートなら加水する
- 濃さは足りているのに平板でガス感がない → 注ぎ方を見直す。炭酸水は冷えているか、開栓直後か、氷に当てていないか、混ぜすぎていないかを確認する
比率と注ぎ方を同時に変えると、何が効いたのか分からなくなります。店で標準の1杯を決めるときも、1杯ごとに変える条件は1つにします。
「まずい」という評価は、時期と仕様を確かめてから読む
陸は2022年4月5日にリニューアルされており、それより前のレビューは旧仕様の評価です(変更点は次章の時系列を参照)。缶の評価も、ボトルの陸を割った味とは別に扱います。
モルトとグレーンの比率、ピートの度合い、樽の種類、着色の有無は、公式製品ページに記載がありません。「グレーンが多いから薄い」「樽が弱い」といった味の由来の説明には、確認できる根拠がありません。こうした推測に頼らず、上の判断の順番で比率・温度・注ぎ方を1つずつ確かめてください。
比率が記事ごとに違う理由|陸の中身・推奨比率・缶の時系列
陸のハイボール比率には「1:4〜8」と「1:5」の2つがあります。前者は2020年の発売当時の推奨、後者は現行の公式推奨です。中身も2022年に変わり、缶は数量限定品として発売・再発売されています。どの情報がいつ時点のものかを確かめてから読む必要があります。
発売から現行までの時系列
- 2020年5月19日:500ml・50%で発売。オープン価格で、予想価格は税抜1,300円前後。原酒は「3種のグレーンウイスキーを中心に少量のモルトを配合」と説明されていた。ハイボールの推奨は1:4〜8
- 2022年4月5日:リニューアル。現行品は、富士御殿場蒸溜所の原酒が主体で、一部に海外原酒を使うと説明されている。メーカーは、「ほのかな甘い香りと澄んだ口あたり」「何層にも感じる香味豊かなおいしさ」を強めたとしている
- 2024年9月:陸を含む洋酒の価格改定(値上げ)
- 2024年:陸ハイボール缶を数量限定で発売
- 2025年10月7日・12月9日:陸ハイボール缶(350ml・7%)を数量限定で再発売
- 現行の公式推奨:ハイボールは陸1:炭酸水5、レモンなし
1:4〜8を公式比率として扱わないでください。現行品では1:5を基準にし、1:4〜1:8は好みに合わせる調整幅として使います。
富士御殿場蒸溜所は、グレーン原酒を3種類の蒸溜方式で造り分けていることで知られています。
- 連続式のマルチカラム:香りの軽いクリーンな原酒
- バッチ式のケトル:穀物感と厚みのあるヘビーな原酒
- ダブラー(再蒸溜器)付きの蒸溜機:その中間の厚みを持つ原酒
発売当時の「3種のグレーン」は、この造り分けを指すと考えられます。そうであれば、旧仕様の説明と、現行の「富士御殿場蒸溜所の原酒主体」という説明は対立するものではありません。どちらも御殿場の原酒という同じ軸の上にあります。リニューアルで変わったと確認できるのは、次の2点です。
- 現行品の説明で、海外原酒を一部使うことが明示されている。ただし、発売当時に海外原酒を使っていたかどうかは、当時の説明からは確認できていない
- メーカーが掲げる香味の設計(上の時系列2)
各原酒の構成比や樽の情報は公表されていないため、本記事では書きません。
陸ハイボール缶と、瓶で作る1:5の比較
| 項目 | 瓶で作る1:5 | 陸ハイボール缶(2024年・2025年、数量限定) |
|---|---|---|
| 容量 | 陸30ml+炭酸水150ml | 350ml |
| 度数 | 約8.3%(計算値) | 7% |
| 販売形態 | — | 数量限定 |
| 中身 | 陸と炭酸水 | 公式資料での確認範囲外 |
缶の容量と度数は、2025年の再発売を伝えるキリンビールのプレスリリース(PR TIMES掲載)によります。このほかの缶製品は、度数と容量を公式資料で確認できていないため、表に含めていません。
瓶の1:5は、氷が溶ける前の計算で約8.3%です。そのため、家で作ると缶より濃く仕上がります。缶の7%に合わせたい場合は、1:6強(陸30mlに炭酸水約184ml)にします。
実際には氷の溶け水で度数がさらに下がります。缶を飲み慣れた人に瓶で出すときは、1:5の濃さを先に伝えておくと、「重い」という反応を防げます。
価格の扱い
2020年の発売時は、オープン価格で、予想価格は税抜1,300円前後と報じられていました。その後、2024年9月に値上げが行われています。改定前後のメーカー価格は公式資料で確認できていないため、本記事では示しません。店で値付けや杯単価を出すときは、仕入れ時点の価格で計算し直してください。
「ジャパニーズウイスキー」と書かない理由
日本洋酒酒造組合の表示基準は、法令ではなく業界の自主基準です。2021年4月1日に施行され、経過措置は2024年3月31日まででした。この基準は、主に次の要件を求めています。
- 原料に麦芽を必ず使い、穀類と日本国内で採水した水を使う
- 糖化・発酵・蒸溜を国内の蒸溜所で行う
- 木製樽に詰めて国内で3年以上貯蔵する
- 国内で瓶詰めする
陸は海外原酒を一部使っているため、この基準の「ジャパニーズウイスキー」には当たらず、「国産原酒100%」でもありません。日本語では「キリンが富士御殿場蒸溜所の原酒を主体に、海外原酒も合わせて造ったブレンデッドウイスキー」と伝えます。外国人ゲストや贈り先には、次のように説明すると正確です。
「A blended whisky made mainly from Fuji Gotemba Distillery whiskies, with some imported whiskies. It does not meet the Japan Spirits & Liqueurs Makers Association's voluntary standard for 'Japanese Whisky'.」
受賞歴の取り違えに注意
キリン 陸そのものの国際品評会での受賞歴は、公式資料で確認できていません。ISCでトロフィーを受賞しているのは、「富士 30年」(2020年)と「キリン シングルグレーンジャパニーズウイスキー 富士 50th Anniversary Edition」(2024年)です。どちらもシングルグレーンです。なお、キリン 富士 シングルモルトはISC2024でゴールドを受賞していますが、トロフィーではありません。「富士」ブランドの受賞を、陸の受賞として紹介しないでください。POPや贈答用の説明文にも書かないようにします。
店で出す・人に勧めるときの実務|4Lペットの使い方と説明の仕方、よくある質問

店でキリン 陸をハイボールの定番にするなら、まず量を固定します。シングル30mlを1:5(炭酸水150ml)に決めておけば、どのスタッフが作っても度数は約8.3%にそろいます。1本から取れる杯数も読めるので、原価が安定します。
500mlびんと4Lペットの杯数と原価
1杯あたりの原価は「仕入れ値÷杯数」で出します。値上げ後のメーカー参考価格は公式資料で確認できていないため、下の表には価格を入れていません。仕入れ時点の価格(現在の目安は)を、表の杯数で割って計算してください。
| 項目 | 500mlびん | 4,000mlペットボトル |
|---|---|---|
| シングル30mlの杯数 | 約16杯(20ml余る) | 約133杯(10ml余る) |
| ダブル60mlの杯数 | 8杯(20ml余る) | 66杯(40ml余る) |
| シングル1杯の原価 | 仕入れ値÷16 | 仕入れ値÷133 |
| 1:5で必要な炭酸水 | 約2.4L | 約20L |
| 向く使い方 | 家庭、杯数の少ない店、棚の見せ筒 | ハイボールが主力の店、宴会 |
炭酸水とレモンの原価は別に加算します。4Lペット1本を1:5で使い切ると炭酸水は約20L必要になるため、炭酸水の仕入れ単位も杯数から逆算しておきます。ジガーを使わず目分量で40ml注ぐと、1本あたりの杯数が約4分の3に減り、計算した原価は成り立ちません。
4Lペットの開栓後の扱い
4Lペットは注ぐたびに中身が減り、容器の中の空気の量も、液面が空気に触れる時間も増えていきます。1本を数週間かけて使う店ほど、後半の香りの印象が落ちやすくなります。
- 開栓したら、洗って完全に乾かした500ml前後のガラスびんに小分けし、口元近くまで満たして密栓する
- 小分けしたびんは遮光し、常温で保管する。製氷機や厨房の熱源の近く、窓際は避ける
- 営業中に使う1本だけをカウンターに出し、残りは元のペットに戻さない
- 開栓日と小分け日をラベルに書き、古いものから使う。杯数の少ない店は500mlびんを選んで早めに使い切る
カウンターでの伝え方
「陸ハイボール」だけでは、店ごとに比率やレモンの有無が違うことがあります。注文するときは、比率とレモンの有無を一緒に伝えると確実です。
- 標準:「陸ハイボール、1:5、レモンなしで」
- 濃いめ:「陸ハイボール、1:4でお願いします」
- 軽め:「陸ハイボール、薄め(1:6)で」
- 店側のメニュー表記:「陸ハイボール(陸30ml・1:5・レモンは別添え)」と書けば、公式の推奨と客の好みを両立できる
外国人ゲストや贈り先への説明
日本語・英語での紹介の仕方は、前の章の「「ジャパニーズウイスキー」と書かない理由」を参照してください。贈答の添え書きには、度数50%であることと、ハイボールなら1:5がメーカーの推奨であることを加えると、受け取った人が濃く作りすぎるのを防げます。
よくある質問
陸のボトルを冷凍庫で冷やしてからハイボールにしてもいいですか?
アルコール分50%なので、家庭用冷凍庫では凍りません。陸の液温が下がると、炭酸水との温度差と氷の溶け方が小さくなり、炭酸を保ちやすくなります。ただし冷えるほど香気成分は揮発しにくくなり、白濁も出やすくなります(前述のとおり)。香りを確かめる1杯目は公式の手順どおりに作り、冷凍した陸は2杯目以降で比べると違いが分かります。
割り水や炭酸水は、硬水と軟水のどちらを選べばいいですか?
軟水が基本です。硬水に多いカルシウムやマグネシウムは、苦みや塩味として舌に残ります。そのため、陸の黄桃やオレンジを思わせる「ほのかな」香りを覆いやすくなります。炭酸水も、国内で一般的な軟水タイプが合わせやすいです。迷ったら、同じ陸に2種類の水を加えたトゥワイスアップを並べて比べると、差がはっきり分かります。
水割りやハイボールを営業前に作り置きしてもいいですか?
ハイボールは作り置きできません。注いだ時点から炭酸ガスが抜け続けるためです。前もって準備できるのは、陸の計量と、グラスと炭酸水の冷却までです。水割りは、陸と軟水を先に合わせて密栓し、冷蔵しておく「前割り」ができます。氷の溶け水による薄まりも抑えられます。冷えて白く濁ることについては、前述のとおりです。
この記事で紹介した銘柄
20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。