ジャパニーズウイスキー

山崎と白州の違いは?どっちを買うべきか味・価格・飲み方で比較

山崎と白州のノンエイジは定価が同じ。熟した果実と樽の厚みが特徴の山崎、青りんごやハーブに軽いスモークが重なる白州の香味の違いを比較し、ハイボール・ストレート・贈答など飲み方と用途別にどちらを選ぶべきか解説します。

結論:山崎と白州、どっちを買うべきかは「飲み方」と「用途」で決まる

山崎と白州のノンエイジ(熟成年数表記のないボトル、以下NV)は、2026年4月出荷分からの定価改定後も同じ価格に揃っています。価格で選び分ける余地はほとんどありません。選ぶ基準は香味の方向性とどう飲むかです。

山崎は熟した果実や蜂蜜のようなリッチな甘さが前に出ます。樽由来のバニラ、スパイス、タンニンが重なり、口に含んだときの厚み(パレットでの重さ)が特徴です。白州は青りんごや若い洋梨のような青い果実、ミントやハーブ系の香りが中心です。そこに軽いスモークが薄く重なる爽やか系で、フィニッシュ(飲み込んだ後の余韻)は短めで切れがよい方向です。「どちらが美味しいか」は、この2つの方向性のどちらが好みかでほぼ答えが出ます。

条件別の早見表

条件選ぶ銘柄判断の理由
ハイボール中心白州炭酸で香りの軽い成分が立ち上がり、ハーブ香と軽いスモークが割っても残りやすい
ストレート・少量の加水・食後酒山崎樽由来の甘さと厚みは、水やソーダで薄めないほうが活きる
スモーキーなものが苦手山崎山崎は主体がノンピートの原酒。白州NVには軽くピーテッドな原酒が効いており、燻香がある
和食や軽い料理と合わせる白州青さと切れのよさが出汁・塩・柑橘の味を邪魔しにくい
贈答で受賞歴を伝えたい山崎ISCの最高賞を3年連続で受賞しているのは山崎ブランド

ハイボールで差が出る理由は、加水の度合いにあります。ウイスキー1に対してソーダ3〜4で割ると、アルコール度数も樽由来の甘さやボディも大きく薄まります。一方、香りの揮発しやすい成分と、ピート由来のフェノール類(燻製のような香りのもとになる成分)は、薄めても比較的残ります。そのため、厚みで勝負する山崎よりも、香りの輪郭で勝負する白州のほうが崩れにくくなります。

贈答で受賞歴を添える場合は、対象のボトルを正確に伝えてください。ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)の全部門最高賞「シュプリーム チャンピオン スピリット」を受賞したのは、2023年が山崎25年、2024年が山崎12年、2025年が山崎18年です。NVそのものの受賞ではありません。「受賞した山崎ブランドのボトル」と説明するのが正確です。

初心者が迷ったときの2つの実行案

  1. 両方のNVを1本ずつ買う:価格が同じなので、2本で飲み比べるのが最短です。開栓後の保管は飲み方の章の末尾を参照してください。
  2. バーで飲み比べてから買う:「山崎と白州のNVを、それぞれシングルでストレート、チェイサー付きで」と頼みます。シングルは約30mlです。まず両方の香りを嗅ぎ、山崎→白州の順に口に含みます。スモークの余韻は残りやすいので、軽い燻香のある白州を後にします。次に数滴ずつ加水し、香りの開き方を比べます。最後にハイボールで1杯頼めば、自宅での飲み方まで確かめられます。

「どっちが人気か」は、飲み方と用途によって答えが割れます。ハイボールや食中酒としてなら白州、ストレートや贈答なら山崎を選ぶ人が多いと考えると、自分がどちらに当てはまるか判断しやすくなります。

なお、「山崎はボディが濃く、白州はライト」という印象は、好みの話ではなく製法の違いから説明できます。発酵槽、蒸溜釜の形、ピートの使い方、樽の構成のどこで差が生まれるのかは、次の章で順に見ます。

味の違いはどこから生まれる?発酵・蒸溜・樽・立地から読み解く

ウイスキーのイメージ写真

前の章で触れた「山崎は厚く甘い、白州は青く軽い」という差は、発酵、蒸溜、ピート、樽、熟成環境の5つの工程で生まれます。両蒸溜所が公表している情報をもとに、工程ごとに香味とのつながりを整理します。

工程山崎蒸溜所白州蒸溜所香味への影響(一般論)
稼働1923年建設開始、1924年蒸溜開始1973年稼働—
仕込水桂川・宇治川・木津川の合流地の「離宮の水」(大阪府で唯一の名水百選)南アルプスの花崗岩層を通った軟水(天然水)仕込水の硬度は発酵に影響しうるが、香味への寄与は限定的とされる
発酵槽木桶とステンレスを併用すべて木桶木桶は乳酸菌などの働きで香味が複雑になるとされる
蒸溜直火加熱と蒸気加熱の釜を使い分ける初溜釜に直火を採用。釜ごとに大きさと形が違う。初溜・再溜の2回蒸溜釜の形で還流量が変わり、軽い原酒も重い原酒も造り分けられる
ピート主体はノンピート。一部にピーテッド原酒も仕込むノンピートからヘビーピートまで造り分け、NVにも軽くピーテッド原酒が効く麦芽乾燥時の煙のフェノール類が燻香のもとになる
樽ワイン樽、スパニッシュオーク、ミズナラ、チャー樽など材質・大きさの違う多様な樽樽の種類で色・甘さ・香木香が変わる

発酵:木桶だけか、ステンレスと併用か

木桶は完全には殺菌できません。そのため、発酵の後半に乳酸菌などが増え、酸やエステル(果実様の香気成分)が加わって香味が複雑になると一般に言われます。ステンレスは温度や衛生を管理しやすく、香味がすっきりした発酵液になりやすい素材です。白州は全量が木桶、山崎は2種類を併用しています。山崎は性格の違う発酵液を造り分けられる体制だと言えます。発酵時間はどちらも公表されていないため、比較はできません。

蒸溜:直火は白州だけの特徴ではない

「直火は白州の特徴」という説明を見かけますが、山崎は直火と蒸気加熱の釜を使い分け、白州も初溜釜に直火を採用しています。直火は釜底でもろみの固形分がわずかに焦げ、香ばしく重い成分が出やすいとされます。

白州は大きさも形も違う釜で2回蒸溜します。還流(蒸気が釜の中で冷えて液体に戻る現象)が多い形の釜では、重い成分が釜に戻ります。そのため、軽く華やかな原酒になります。還流が少ない形では、油分のある重い原酒が取れます。還流の量は釜の形だけでなく、ラインアーム(釜の頂部から凝縮器へ蒸気を送る管)の角度でも変わり、一般にラインアームが上向きだと還流が増えて軽く、下向きだと重くなります。銅に触れる時間が長いほど硫黄系の重い香りが減ることも、軽い原酒になる理由の一つとされます。

ピート:白州のスモークはどこから来るか

ピート(泥炭)を麦芽の乾燥時に焚くと、煙のフェノール類が麦芽に移ります。フェノール類は蒸溜の後半に出てくる重い成分です。そのため、ハート(中留)からフェインツ(後留)への切り替え(カットポイント)を、より低いアルコール度数まで遅らせるほど原酒に残ります。麦芽のフェノール値(ppm)が同じでも、グラスに残る燻香の強さは同じにならない、ということです。両蒸溜所とも麦芽のフェノール値は公表していません。白州はノンピートからヘビーピートまで、ピートの強さの違う原酒を造り分けています。NVは全量がピーテッドではなく、軽くピーテッドな原酒を効かせた設計のため、燻香は背景に薄く重なる程度にとどまります。山崎も主体はノンピートの原酒ですが、一部にピーテッド原酒を仕込んでいます。「白州はスモーキー、山崎はノンピート」という単純な二分ではなく、ピーテッド原酒を配合の前面にどれだけ出すかの違いと捉えるのが実態に近い見方です。

樽:山崎の色と甘さ、ミズナラの香木香

ワイン樽やスパニッシュオーク樽は、濃い色、干した果実のような甘さ、タンニンの渋みにつながるとされます。ミズナラ樽は、白檀や伽羅にたとえられる香木の香りを生むと言われます。ただし、ミズナラは木目が粗くて液漏れしやすく、香りが出るまでに長い熟成が必要だと一般に言われます。ミズナラの香りを確かめたい場合は、NVよりも熟成年数表記のあるボトルで比べるほうが判断しやすくなります。内側を焦がしたチャー樽は、炭化層が硫黄臭を和らげ、炭化層の下にある、加熱で分解された層(レッドレイヤー)からバニラやキャラメルの香りが出るとされます。同じ種類の樽でも、初めて原酒を詰めるファーストフィルは抽出が強く、詰め直しのリフィルは穏やかです。シェリー樽の多くは、熟成用にシェリーを一定期間入れて馴染ませたシーズニング樽です。

立地:熟成環境の違いとして

山崎は3つの川が合流する地にあり、白州は森の中にあります。気温と湿度の違いは、熟成の進み方やエンジェルズシェア(熟成中に揮発して失われる分)に影響しうると考えられます。ただし、立地がどの香味にどれだけ影響しているかは、公表情報からは断定できません。製法の違いを補う要素として捉えるのが妥当です。

山崎・白州の定価はいくら?2026年4月の値上げと価格の推移

山崎NVと白州NVの定価は、**2026年4月1日出荷分からどちらも7,500円(税別)**です。改定前の7,000円から約7.1%上がりました。サントリーは2025年11月4日にこの改定を発表しています。対象は「響」「山崎」「白州」の3ブランド15品目で、上げ幅は品目によって6〜15%です。同時に、響 JAPANESE HARMONYも7,500円から8,000円(税別)になりました。メーカーは理由を「包材等の原材料価格および仕入れ価格等コストアップ」と説明しています。

改定前後の定価

銘柄改定前(税別)2026年4月以降(税別)
山崎 NV7,000円7,500円
白州 NV7,000円7,500円
響 JAPANESE HARMONY7,500円8,000円

その他の年数表記品は公式発表を参照してください。

「山崎と白州はどっちが高いか」への答えは、NVなら定価は同額です。12年・18年・25年の改定後の定価は、サントリーの公式発表で確かめてください。

「4,500円」「7,000円」は旧定価

NVは2024年4月の改定で4,500円から7,000円に上がったとされます。4,500円と7,000円は、どちらも現在の定価ではありません。「2026年版」とうたう比較記事は、旧定価のまま計算していることが多くあります。価格を比べるときは、その数字が2026年4月以降の定価に基づいているかを先に確かめてください。参考として、白州12年は原酒不足で2018年に休売となりました。2021年3月30日に数量限定で再発売された際の定価は8,500円(税別)で、現在の水準とは大きく離れています。

定価で買う経路と、プレミア価格を払うかの判断

定価で買える経路は、主に3つです。酒販店やスーパーの店頭入荷、小売店や通販サイトの抽選販売、蒸溜所のショップです。入荷の時期や購入の条件は店ごとに異なるため、狙う店に直接問い合わせるのが確実です。定価を上回る実勢価格で買うかどうかは、用途で分けて判断します。

  • 自分で飲む場合:まずバーでシングルを1杯頼み、好みに合うかを確かめます。そのうえで、定価で買える機会を待つのが合理的です。1本の価格差は、バーで数杯飲む金額に相当することがあります
  • 贈る場合:渡す日が決まっているなら、時間を優先して実勢価格で買う判断もあります。その際は箱とラベルの状態、液面の高さ、封の有無を確かめ、正規の流通経路を持つ店で買います
  • 迷っている場合:NVは定価が同額なので、自宅用はどちらか片方を定価で確保します。もう片方はバーで試してから決める方法もあります

値上げはバーの1杯にどう反映されるか

NVの700mlからシングル(約30ml)を取ると、計算上は23杯強です。実際には、注ぎこぼしや味の確認に使う分があるため、22杯前後で見積もるのが現実的です。定価ベースで見ると、1本7,000円から7,500円への上昇は、1杯あたり約22円の原価増になります。改定後の1杯の原価は、22杯で割って約340円です。仮に原価率を25%とすると、1杯の売価は約1,350円前後が目安になります。

ただし、店は定価より高い実勢価格で仕入れることも多くあります。その場合、1杯の値段は定価の改定幅以上に動きます。ハイボールは1杯あたりの使用量が少ないため、原価増の影響はシングルより小さくなります。メニューの価格が改定前後で大きく変わっていない店は、仕入れ値の上昇分を店側が吸収しているか、早い時期に仕入れた在庫を出している可能性があります。

NV・12年・18年で差はどう開く?年数違いの選び方と市場での評価

ウイスキーのイメージ写真

NVは「年数を名乗らない」ことで配合の自由度を得たエントリー品

NVは熟成年数を表記しない商品で、若い原酒も含めて組み合わせて造られます。年数表記は、使った原酒のうち最も若いものに合わせるのが国際的な慣行です(スコッチではSWR 2009で法定)。日本の表示基準でも、年数表記は最も若い原酒の年数に合わせるのが通例です。NVはこの表記をしない代わりに、若い原酒の明るさと長熟原酒の深みを自由に組み合わせられます。なお、ジャパニーズウイスキーを名乗るには国内で3年以上の樽熟成が必要なため、NVの「若い原酒」も3年未満ではありません。その代わり、原酒の在庫状況によって配合が変わり、ロットによって香味に差が出ることがあります。以前飲んだNVと印象が違うと感じたら、開栓後の酸化だけでなくロット差の可能性も考えてください。NVの度数は山崎・白州とも43%(700ml)です。冷却濾過と着色(カラメル)の有無はメーカーが公表していません。日本の表示基準でもカラメル着色は認められているため、色の濃さを熟成の長さの目安にはしないでください。

年数が上がると何が変わるか

樽の中では2つの変化が同時に進みます。1つは、樽材からバニリンやタンニン、色の成分が溶け出す抽出です。もう1つは、樽材を通して入る酸素による酸化熟成です。酸化熟成では、アルデヒドが酸になり、酸とアルコールが結びついてエステルになります。その結果、角の取れた果実香が増えるとされます。年数が長いほど両方が進むため、山崎では樽由来の甘さと厚みが増します。白州では、青い果実感が熟した果実の丸みへ移っていきます。

段階山崎の香味の方向(一般論)白州の香味の方向(一般論)向く飲み方
NV若い原酒の明るい甘さ。樽感は控えめハーブと青りんごが前面。軽いスモークハイボール、飲み比べの基準
12年甘さと厚みが増し、樽のスパイスが輪郭を作る果実が熟した方向へ。スモークは背景に回るストレート、少量の加水。白州はハイボールも可
18年樽由来の甘さ、渋み、香木香が主役果実感がさらに丸くなり、青さは後退ストレート、少量の加水。ハイボールでは割高

「長いほど良い」とは限らない理由

  • 樽が強すぎる場合:タンニンの渋みや木の香りが果実香を覆うことがあります。好みによっては重く感じます
  • 蒸溜所らしさが薄れる場合:白州の魅力である青さと切れは、若い原酒ほどはっきり出ます。爽やかさを求めるならNVや12年のほうが合うことがあります
  • 飲み方で価格差の意味が変わる場合:ソーダで3〜4倍に割ると、熟成で生まれた繊細な複雑さは大きく薄まります。ハイボール中心なら、長熟ボトルの価格差に見合う満足は得にくくなります

白州12年の休売・再販と、山崎の受賞の読み方

白州12年は原酒不足のため2018年に休売となりました。2021年3月30日に、700ml・43%・8,500円(税別)の仕様で数量限定で再発売されています。12年以上の原酒の量は、12年以上前にどれだけ仕込んだかで上限が決まります。需要が急に増えても短期間では増やせないため、年数表記品は品薄になりやすいのです。現行の定価は、前の章の価格表を参照してください。

毎年違う年数表記のボトルで受賞している点は、ブランド全体の実績として贈答の説明に使えます(受賞年と銘柄は冒頭の章を参照)。

予算に合わせた段階の上げ方

  1. まず山崎NVと白州NVを飲み比べ、「甘さと厚み」と「青さと切れ」のどちらに惹かれるかを決めます
  2. 次に、気に入った側の12年に進みます。同じ蒸溜所なら原酒の性格(発酵・蒸溜)は共通なので、差は主に熟成年数と樽構成の違いに絞られます。両方の12年を同時に買うより、比較の軸がぶれません
  3. 18年は、ボトルで買う前にバーでシングルを頼み、12年と並べて飲みます。樽の甘さや渋みを深みと感じるなら、進む価値があります。重いと感じたら、12年に留まるのが合理的です

飲み方で差が出る:ハイボール・トゥワイスアップ・ストレートの使い分けと手順

ハイボール:冷やす、静かに注ぐ、1回だけ混ぜる

  1. グラスに氷を縁まで入れ、マドラーで回してグラスを冷やします。溶けた水は捨てます。炭酸は冷蔵庫で十分に冷やしておきます
  2. ウイスキーを注ぎ、氷と一緒に十数回かき混ぜてウイスキー自体も冷やします。氷が減ったら足します
  3. ウイスキー1に対して炭酸3〜4を目安に、氷に当てないようグラスの内側に沿わせて静かに注ぎます
  4. マドラーを底まで差し込み、氷を縦に1回だけ持ち上げて終わりにします

手順の目的は、炭酸ガスを逃がさないことです。炭酸ガスは液温が低いほど液体に溶けたまま保たれます。逆に、氷の表面に当たったり何度も混ぜたりすると、泡になって抜けていきます。ウイスキーがぬるいままだと、炭酸を注いだ瞬間に気が抜けてしまいます。

割っても残りやすいのが揮発しやすい香りとピート由来のフェノール類であることは、前の章で触れたとおりです。白州では、発酵・蒸溜で造られる軽い原酒の性格に由来する青い果実様のエステルと、ピートの軽いスモークが泡と一緒に立ち上がります。山崎では、ワイン樽やスパニッシュオーク樽、チャー樽に由来する甘い香りが前に出ます。ただし口の中の厚みは薄まります。山崎の甘さを残したいなら1:3寄り、白州の切れを出したいなら1:4寄りを目安にしてください。

トゥワイスアップと少量の加水

トゥワイスアップは、ウイスキーと常温の水を1:1で割る飲み方です。度数が下がると、鼻を刺すアルコールの刺激が和らぎます。同時に香りの成分が液面から揮発しやすくなるため、香りが開きます。冷たい水は揮発を抑えてしまうので、水は常温にします。硬度の低い軟水のミネラルウォーターを使うと、水道水のカルキ臭が香りに混ざりません。

最初から1:1にせず、スポイトやストローで数滴ずつ加えていくと、香りが変わる様子を追えます。山崎は果実と樽の甘さが開きやすく、白州はハーブ系の香りが立ちやすい傾向があります。香りの輪郭がぼやけてきたら、水の入れすぎです。その一つ前の量が、そのボトルにとっての上限です。

グラスと温度の合わせ方

飲み方グラス温度・水理由
ストレート・飲み比べチューリップ型のテイスティンググラス常温すぼまった口が香りを集める
トゥワイスアップ・加水チューリップ型のテイスティンググラス常温の軟水加水による香りの変化を追いやすい
ハイボール薄手のタンブラーグラスも炭酸も十分に冷やすすぐ冷え、口当たりが軽く、炭酸の刺激が素直に伝わる

自宅での飲み比べの手順

  1. 同じ形のグラスを2脚用意し、それぞれ15〜20ml程度を同じ量だけ注ぎます。グラスの形が違うと香りの集まり方が変わり、比較になりません
  2. ノージング(香りを嗅ぐこと):縁から少し鼻を離して嗅ぎ、刺激が落ち着いたら近づけます。果実の熟し具合、樽の甘さ、スモークの有無を確かめます
  3. パレット(口に含んだときの味):少量を舌全体に広げ、甘さ、厚み、刺激の強さを比べます
  4. フィニッシュ(飲み込んだ後の余韻):残る香りと長さを比べます。燻香は残りやすいため、山崎を先に、白州を後にします
  5. 両方に同じ滴数の水を加え、2〜4を繰り返します

バーでの頼み方

「山崎と白州をシングルで飲み比べたい」と伝え、NVか12年かを必ず添えます。年数を言わないと、在庫の状況によって片方だけ違う年数で出てくることがあり、比較の条件が揃いません。ストレートで頼み、常温の水を別に添えてもらえば、手元で数滴ずつ加水できます。ハイボールは店ごとに使う銘柄が決まっていることがあるため、「白州のハイボール」のように銘柄名で頼みます。

開栓後の保管

立てて保管するのは、度数の高い液体にコルクが触れ続けると、コルクが傷んでにおいが移ることがあるためです。高温になると液体が膨張し、栓のまわりから揮発や液漏れが起こりやすくなります。コンロのそばや窓際は避けてください。残りが半分を切ったら、早めに飲み切るか、空気の層がほとんど残らない容量の遮光の小瓶に移します。こうすると酸化の進みを抑えられます。

贈り物・外国人への案内ではどっちを選ぶ?よくある質問

ウイスキーのイメージ写真

贈り物は「スモークへの耐性」「添える物語」「予算」の3点で決める

相手・条件選ぶ銘柄判断の理由
好みが分からない、スモークが苦手そう山崎主体がノンピートの原酒で、樽由来の甘さが前に出るため外れにくい
アイラなどスモーキーなウイスキーを好む白州燻香はあるが軽いため、「森の蒸溜所の穏やかなスモーク」として説明して渡す
歴史と実績を添えたい(上司・目上の人)山崎日本初の本格的なモルトウイスキー蒸溜所として1923年に建設開始、2023年に100周年。ISCの受賞は冒頭の章で触れたとおり
自然や土地の話題を添えたい、相手がハイボール派白州1973年稼働の森の蒸溜所で、2023年に50周年
予算を抑えたいNV山崎NV・白州NVとも定価7,500円(税別)で同額のため、銘柄は好みだけで選べる
改まった贈答にしたい12年年数表記が「格」を伝えやすい

添える一言は、事実を1つに絞ります。山崎なら「100周年を迎えた日本最初期のモルト蒸溜所」、白州なら「50周年を迎えた森の中の蒸溜所」です。受賞歴を添えるなら、受賞したのは特定の年数表記品で、NVではない点を混同しないでください。

訪日外国人への案内:「ジャパニーズウイスキー」の表示基準を説明材料にする

海外では、日本の銘柄名を付けた輸入原酒の製品が出回っていた経緯があり、「本当に日本で造られたのか」と聞かれることがあります。日本洋酒酒造組合は「ジャパニーズウイスキー」の表示基準を2021年2月に制定し、移行期間を経て2024年4月に本格施行しました。法律ではなく業界の自主基準です。主な要件は次のとおりです。

  • 原料は麦芽・穀類と日本国内で採水した水に限り、麦芽は必ず使う
  • 糖化・発酵・蒸溜は日本国内の蒸溜所で行う
  • 内容量700L以下の木製樽に詰め、日本国内で3年以上貯蔵する
  • 日本国内で瓶詰めする

山崎・白州はいずれもこの基準を満たす表示で販売されています。

案内では、次の2点を分けて伝えると正確です。1つ目は、シングルモルトが単一の蒸溜所で造られたモルトウイスキーを指すことです。2つ目は、山崎・白州がそれぞれ大阪府と山梨県にある蒸溜所の名前を冠したボトルだということです。酒販店では、棚札に蒸溜所の所在地を書き添えるだけで、説明の手間が大きく減ります。

海外に贈る・持ち帰ってもらう場合

  • 持ち込める本数や度数、免税の範囲、関税は国ごとに異なります。渡航先の税関の案内で事前に確認するよう伝えます
  • 機内持ち込みには液体の制限があります。空港の免税店以外で買ったボトルは、預け荷物に入れる前提で考えます
  • 預ける場合は緩衝材で包み、箱ごと袋に入れます。割れたときに他の荷物を汚さないためです

蒸溜所見学を勧める場合

白州蒸溜所の見学ツアーは、一部施設の改修による休止を経て、2023年10月2日に再開しました。予約の方法や受付の状況は変わることがあるため、案内するときは最新の情報をサントリーの公式サイトで確認するよう伝えてください。

よくある質問

  • スモーキーが苦手でも白州は飲めますか:苦手の程度で分かれます。アイラ系の強い薬品様の燻香が苦手な程度なら、白州の軽いスモークは許容範囲のことが多いです。煙の香りそのものを受け付けない場合は、山崎を選びます。ピート由来のフェノール類は割っても残るため、ハイボールにすれば消えると期待しないでください。先にバーでシングルを1杯試すのが確実です
  • NVの小容量瓶(180mlなど)で飲み比べてもよいですか:中身は同じNVなので、700mlを2本買う前の飲み比べには向いています。ただし小瓶は開栓後の空気の層の割合が大きくなりやすいため、開けたら早めに比べ終えてください

よくある質問

ロックで飲むなら山崎と白州のどちらが向きますか

氷で冷えると香りの成分が揮発しにくくなり、甘さも感じにくくなります。そのため、どちらもストレートより香りは閉じます。氷が溶けるにつれて加水と同じ変化が少しずつ進むので、温度と濃さが移っていく過程を楽しむ飲み方です。山崎の甘さを残したいなら溶けにくい大きな氷を使います。白州は冷たさで切れのよさが際立ちます。

水割りにするならどちらが合いますか

冷たい水で大きく割る水割りは、炭酸の泡が香りを持ち上げるハイボールと違い、香りが立ちにくい飲み方です。樽由来の甘さと厚みも薄まるため、山崎の持ち味は出にくくなります。食中に軽く飲むなら、青さと切れが残る白州のほうが輪郭を保ちやすいです。水は軟水を使い、濃いめから少しずつ薄めて好みの割合を探します。

ハイボール用にボトルごと冷凍庫で冷やしてもよいですか

炭酸を逃がさないという点では、ウイスキーが冷えているほど有利です。ただし冷えすぎると香りの成分が揮発しにくくなり、注いだ直後は香りが閉じます。白州のハーブ香や山崎の甘い香りを活かすなら、グラスの中で氷と混ぜて冷やす本文の手順で十分です。冷凍庫への出し入れで瓶に結露が付き、ラベルが傷むこともあります。

開けたばかりのボトルで香りが感じにくいのはなぜですか

開栓直後やグラスに注いだ直後は、アルコールの刺激が先に鼻に届き、果実や樽の香りが隠れることがあります。まずグラスで数分置き、次に数滴ずつ加水して、香りの開き方を確かめます。それでも以前の印象と違う場合は、本文で触れたNVのロット差の可能性もあります。手元のボトルのラベル表示を確かめてから比べてください。

響とは何が違いますか

響はモルト原酒とグレーン原酒を合わせたブレンデッドウイスキーです。単一蒸溜所のモルトだけで造る山崎・白州とは成り立ちが異なります。

出典・参考にした情報

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。