ウイスキーグラスの選び方|飲み方別の形・容量・素材の基準
ウイスキーグラスをテイスティング・ショット・ロック・タンブラー・ホットの5種に整理。ストレートは口のすぼまった形、ロックは大きな氷が入る広口、ハイボールは背の高い形など、飲み方別に形・容量・素材の選び方の基準がわかります。
本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれます。 掲載している商品の価格・在庫は変動するため、最新の情報は各販売サイトでご確認ください。
この記事で紹介した銘柄:サントリーオールド・アードベッグ 10年 価格と購入先へ ↓
ウイスキーグラスの種類と呼び方を整理する(テイスティング・ショット・ロック・タンブラー・ホット)
ストレートなら口のすぼまった形、ロックなら大きな氷が入る広口、ハイボールなら背の高い形を選びます。この基準を先に決めておけば、呼び方の違いに迷わずに済みます。ウイスキーグラスの呼び方がまちまちなのは、別々の酒の文化から来た名前が並んで使われているためです。コピタはシェリーの産地ヘレスで使われてきた脚付きの小ぶりなグラスで、シェリー樽を扱うスコッチの業界でも香りを確かめる道具として使われるようになりました。スニフターはブランデー用に生まれた、胴が大きく膨らんだ短い脚のグラスです。ノージンググラスは「香り(ノーズ)を確かめるためのグラス」という用途を指す呼び名で、特定の形の名前ではありません。製品名もこの混乱を広げています。たとえばグレンケアンの「ジュラ・ウイスキータンブラー」は製品名こそタンブラーですが、高さ92mm・幅80mm・容量300mlで、背の低い広口の形です。以下では、名前ではなく形と用途で次の5つに分けます。
- テイスティング:香りを確かめるための、口がすぼまったグラス(脚なし・脚付きを含む)
- ショット:少量の酒を供する小型グラス。容量や目盛りは製品ごとに異なる
- ロック(オールドファッションド):背が低く口が広い、底の厚いグラス。オールドファッションドという呼び名は同名のカクテルに由来し、ロックグラスと同じ形を指す
- タンブラー:背が高く、まっすぐ立ち上がるグラス
- ホット(耐熱):お湯割りやホットトディ用の、熱に強い素材のグラス
テイスティンググラスは脚なしと脚付きの2系統
脚なしの代表はグレンケアン・グラスです。容量200ml、鉛を使わないクリスタル製で、食洗機に対応します。ふっくらしたボウルから口に向かってすぼまる形で、メーカーは香りを鼻に集める設計だと案内しています。底が厚く重心が低いので倒れにくく、毎日使いやすいのが利点です。脚付きの代表はグレンケアン・コピタです。容量170mlで、メーカーは蒸溜所などで香りを確かめる用途を案内しています。脚を持てば手の熱がウイスキーに伝わりにくく、グラスを回して香りを立たせる動作も安定します。同じ脚付きでは、リーデル「ヴィノム シングル・モルト・ウイスキー」もクリスタル製で食洗機に対応します。ただしこちらは脚が短く、メーカーは脚を通じて手で軽く温める設計だと説明しており、コピタとは持ち方の想定が違います(次の章で製品別に説明します)。
スニフターとの違いは口の大きさにあります。スニフターは胴が大きく膨らんだ形で、口の開き具合は製品によって異なります。胴が大きく口も開いている形では、揮発した成分が広い空間に薄まり、香りの細部を拾いにくくなります。ブランデーのように手で温めて香りを立たせる前提の形です。蒸溜酒用グラスの比較研究では、スニフターでエタノール臭が優勢に感じられたという報告もあり、形状によってはエタノールの刺激が目立ちます。テイスティンググラスはスニフターよりボウル全体を小さくしつつ、液面の位置ではボウルが膨らんで揮発面を確保し、上に向かって口を絞ることで、香りの成分を鼻先の狭い範囲に集めます。加水したときに香りが開く変化を追いやすいのもこの形です。
ここで言う容量はグラスの容量で、注ぐ量ではありません。ストレートの1杯はサントリーの案内でシングル約30ml、ダブル約60mlです。200mlのグラスにシングルを注ぐと、液面はボウルのいちばん膨らんだ位置より下にとどまります。その上の空間に香りがたまる構造です。
ショットグラスはテイスティンググラスの代わりにならない
ショットグラスは壁がまっすぐで口が開いており、底が厚い形です。少量の酒を供するための小型グラスで、香りをためる空間がありません。容量や目盛りは製品ごとに異なり、決まった量を正確に注ぐときはショットグラスではなくジガー(計量カップ)で量ります。小さくてストレートに使えるという理由でテイスティング用に選ぶと、香りの評価にも、加水による変化の確認にも向きません。家で1杯ずつ香りを楽しむなら、テイスティンググラスを選んでください。
| 分類 | 形の特徴 | 容量の傾向(メーカー公表値の例) | 向く飲み方 | 向かない飲み方 |
|---|---|---|---|---|
| テイスティング(脚なし) | 膨らんだボウル、すぼまった口、厚い底 | グレンケアン・グラス 200ml | ストレート、少量の加水、トゥワイスアップ | 氷を入れる飲み方 |
| テイスティング(脚付き) | チューリップ形のボウル、細い脚 | グレンケアン・コピタ 170ml | 香りの比較、手の熱を避けたい評価 | 大きな氷を使う飲み方 |
| ショット | まっすぐな壁、開いた口、厚い底 | 製品ごとに異なる(シングル約30mlは注ぐ量の目安で、グラスの容量ではない) | 少量をそのまま供する | 香りを確かめる飲み方 |
| ロック(オールドファッションド) | 背が低い、広い口、厚く重い底 | ジュラ・ウイスキータンブラー 300ml | 大きめの氷を使うロック、オン・ザ・ロックの加水 | 香りを集めて評価する飲み方 |
| タンブラー | 背が高い、まっすぐ立ち上がる胴 | 製品ごとにメーカー公表値を確認 | ハイボール(1:3〜4)、水割り | ストレート |
| ホット(耐熱) | 耐熱素材、持ち手付きが多い | 製品ごとにメーカー公表値を確認 | お湯割り、ホットトディ | 冷やして飲む飲み方 |
ロックグラスの口が広いのは、溶けにくい大きめの氷を入れるためです。底が厚く重いと、氷を回しても重心がぶれにくく、置いたときの安定感や手に持った重みが出ます。急な温度差や衝撃への強さは厚みだけでは決まらず、素材や製法にも左右されるため、気になる場合は製品の仕様を確認してください。厚いガラスはむしろ内外の温度差でひずみが生じやすいので、熱湯で温めたグラスに氷を入れるような使い方は避けます。タンブラーは、ハイボールなら氷とソーダ3〜4倍を受けられる高さが必要になります。選ぶときは、ふだんの飲み方に合う分類を表から決めてから、容量と素材を比べる順番にすると迷いません。
なぜグラスの形で香りと味が変わるのか(口のすぼまり・液面・リム・温度)

口がすぼまったボウルでは、液面から揮発した成分がいったんボウルの中にたまり、狭い口から鼻へ向かって出ていきます。メーカーがグレンケアン・グラスを「香りを鼻に集める設計」と案内しているのは、この構造のことです。ただし、集まるのは香りだけではありません。ウイスキーから最も多く揮発する成分はエタノールで、その刺激も同じように口元に濃縮されます。すぼまったグラスは香りを細かく拾いやすくする一方で、アルコールの刺激も強く感じさせます。
度数が高いと刺激が先に立つ理由と、加水で香りが変わる理由
度数が高いままだと、グラスの上部にエタノールの蒸気が多く漂います。鼻の粘膜にある三叉神経(痛みや冷たさを感じる神経)がこれに反応するため、香りを感じる前に、つんとした刺激が届きます。少量の水を加えると、液中のエタノール濃度が下がり、揮発するエタノールも減るため、刺激や香りの感じ方が変わり得ます。液中で起きていることを示す研究例の一つが分子シミュレーションです。スモーキーな香りに関わるフェノール類の一種グアイアコールでは、加水によって液面付近での分布が変わることがシミュレーションで示されました。ただしこれはグアイアコールを対象にした計算で、すべてのフェノール類やエステルに同じことが起きるとも、数滴の加水で香りがどう変わるかとも実証したものではありません。加水による変化の出方は、銘柄や度数によっても異なります。
加水の量は目的によって変わります。ブレンダーなどの評価者は、サンプルを度数20%前後まで加水してから嗅ぎ比べることがあります。エタノールの刺激で鼻が疲れるのを避け、複数の原酒を同じ度数で比べるためで、飲むための数滴の加水とは目的が違います。家庭では数滴から始め、香りが変わらなくなったら止めてください。
嗅ぐときは、いきなり鼻をグラスの口に入れないでください。まず胸の高さで軽く嗅ぎ、そこから少しずつ鼻を近づけます。続いてグラスを傾け、鼻を当てる位置を口の手前側と奥側で変えます。刺激が強い距離と位置を避け、香りが拾える位置を探すのが手順です。鼻は縁から離して短く嗅ぎ、刺激が強ければ距離を取るか、少量ずつ加水してください。口を少し開けたまま嗅ぐと刺激を感じにくいという人もいるので、試せる工夫の一つです。
ボウルの膨らみと、注ぐ量に対する空間
液面が広いほど揮発する量は増えます。一方で、注いだ量に対して上の空間が大きすぎると、香りはその空間に薄まります。最初の章で触れた形(膨らんだ液面部と絞った口)が、この揮発量と濃度の両立を担っています。ボウルが大きすぎるグラスや、口が大きく開いたロックグラスでは、揮発した成分が口から外へ逃げ、鼻に届く濃度が下がります。刺激は穏やかになりますが、繊細な香りも拾いにくくなります。
リムの薄さと口径は、口当たりと一口の量に関わる
リムの薄さは、主に口当たりの好みに関わります。薄いリムは唇にグラスの厚みを感じにくく、厚いリムはしっかりした口当たりになります。どちらが良いかは好みで決めて構いません。口径が狭いグラスは、傾けても一度に流れ出る量が少なくなりやすい形です。ただし一口の量は、飲む人の傾け方でも大きく変わります。グラスによる刺激の違いを比べるときは、一口の量をグラス間で揃えてから判断してください。
脚付きと脚なしの使い分け
ボウルを手のひらで包むと、体温がガラス越しに液体へ伝わります。液温が上がると、香り成分もエタノールも揮発しやすくなります。ただし、脚付きなら一律に手の熱を避ける道具になるわけではなく、持ち方の想定は製品ごとに違います。
- グレンケアン・コピタ:細い脚を持てば、手がボウルに触れずに済む。ボウルは口に向かってすぼまるチューリップ形で、液温を変えずに香りを比べる用途に合う
- リーデル「ヴィノム シングル・モルト・ウイスキー」:脚が短く、メーカーはこの脚を通じて手で軽く温められる設計だと説明している。縁は外側へわずかに開いた形。冷えたボトルの香りを手の温度で起こしたいときに向く
使い分けの目安は次のとおりです。
- 複数の銘柄を同じ液温で比べたい:同じ室温に置いたボトルから同量を注ぎ、全グラスを同じ時間(例:5分)置く。嗅ぐときだけ持ち、持ち方も全グラスで揃える(脚を持つなら全部脚、包むなら全部包む)。嗅ぎ終えたらすぐ置く
- 冷えたボトルや寒い部屋で香りが立たない:脚なしを手で包むか、温める前提の短い脚のグラスを使い、数分ごとに嗅いで変化を確かめる
- 温めて刺激が増えてきたら手を離し、少し置いてから嗅ぎ直す
製法によって、すぼまったグラスで目立つ要素が変わる
| 銘柄 | 度数(ラベル表示) | 香りの主な由来 | すぼまったグラスで目立つ要素 | 嗅ぎ方・飲み方のポイント |
|---|---|---|---|---|
| アードベッグ 10年 | 46% | ピートを焚いて乾かした麦芽。麦芽のフェノール値(ppm)は、蒸溜でそのまま残るわけではない。ミドルカット(製品に使う蒸溜液の中間部分)の取り方で残る量が変わり、アードベッグはスピリットスチルのラインアームに付けたピュリファイアーで還流を増やして軽い成分も残すため、煙の奥に柑橘や甘さが出る | 煙、ヨードや薬品を思わせる香り | 煙の香りが先に立つ。数滴の加水で、奥にある甘さや柑橘の香りを探す |
| グレンドロナック 12年 | 43% | ペドロ・ヒメネス樽とオロロソ樽での熟成(シーズニング樽が主流) | ドライフルーツ、ナッツ、樽由来のスパイス | 揮発しにくい樽由来の成分は立ち上がりが遅いので、注いで数分置き、液温がなじんでから嗅ぐ |
| グレンフィディック 12年 | 40% | 発酵で生じるエステルが蒸溜を経て残った果実香 | 洋梨のような果実香(エステル) | 度数が低めで刺激は穏やか。洋梨のようなエステル香が主体なので、加水しすぎると香りが痩せやすく、加水は1滴ずつで十分 |
家でできる比較手順
- 同じウイスキーを同じ量だけ、テイスティンググラスとロックグラスに注ぎ、数分置く
- 香り:同じ距離から交互に嗅ぎ、刺激の強さと最初に分かる香りを書き留める
- 一口:両方のグラスで一口の量を揃えて含み、刺激が来る速さと強さを比べる
- 数滴加水:両方のグラスに同じ滴数の水を加え、香りと一口をもう一度比べる
- 判断:香りの差が大きければ、ストレートにはテイスティンググラスを使う。差が小さく、香りより飲み心地を重視するなら、手持ちのグラスで十分と判断できる
「容量」の正しい読み方と、飲み方別に必要なサイズの計算
グラスに表示された容量は「縁まで入る量」です。前の章で触れたとおり、200mlのテイスティンググラスでも、ストレートで注ぐのはシングル約30ml、ダブルで約60mlです(サントリーの案内)。グラスを選ぶときは表示容量をそのまま見ず、注ぐ量、割り材、氷、余白を足し合わせた数字と比べてください。
ストレートは「注ぐ量に対する空間」で選ぶ
テイスティンググラスの容量が大きいのは、多く注ぐためではありません。液面の上に香りをためる空間を確保するためです。ただし、表示容量から注ぐ量を引いた割合を出しても、液面の高さや香りのたまり方は分かりません。ボウルの形によって、同じ量でも液面の位置が変わるためです。次の手順で確かめてください。
- ふだん注ぐ量(シングル約30ml、ダブル約60ml)の水をグラスに入れ、液面がボウルのどの高さに来るかを見る。店頭で試せない場合は、製品の高さや最大径の寸法、写真で見当をつける
- 軽く回して、液体が縁の近くまで上がらないか、こぼれないかを確かめる
- シングル中心で香りを確かめる:170〜200mlのどちらでもよい
- ダブルで注ぐことが多い:容量の小さいグラスほど液面が上がりやすいので、ダブルの量で回してもこぼれないかを確かめてから選ぶ
- 店で出す場合:注ぐ量を決めてから、その量で液面がボウルの最も膨らんだ位置より下に収まるかをグラスで確かめる
ハイボールは300ml前後から試し、氷を入れて実測する
サントリーの目安はウイスキー1:ソーダ3〜4です。シングル30mlならソーダは90〜120mlになり、液体だけで120〜150mlです。氷は大きさや詰め方、浮き方によって液面への影響が変わるため、氷の体積を足し算しても必要な容量は決まりません。表示容量300ml前後は、シングルのハイボールで試し始める目安と考え、次の手順で確かめてください。
- ふだん使う氷を、ふだんの詰め方でグラスに入れる
- 予定量のウイスキーとソーダを注ぐ(シングルなら合計120〜150ml)
- 泡が上がっても縁まで余白が残るか、マドラーで氷を縦に1回持ち上げてもあふれないかを見る(作り方は「冷やし方の手順」を参照)
余白が足りなければ、容量の大きいタンブラーに替えます。ダブルで作るなら液体は240〜300mlになるので、300mlより大きいタンブラーで同じ確認をしてください。
口径と高さも結果を左右します。ジュラ・ウイスキータンブラーは容量300ml、高さ92mm・幅80mmです。口が広いので、大きな氷も指でつまんだまま底まで入れられ、マドラーを差し込んで氷を持ち上げる動作も楽です。一方で背が低いため、氷を詰めると液面が縁の近くまで来ます。液面も広いので、炭酸ガスが抜ける面積が増えます。ハイボールを主に飲むなら背の高いタンブラーを選び、低い広口型はロック兼用として使い分けると無駄がありません。
ロックは氷の大きさから逆算する
サントリーはロックに大きめの氷を使うよう案内しています。選ぶ前に、ふだん使う製氷皿や球形の型でできる氷の最大幅(球なら直径、角氷なら最も長い幅)を測り、グラスの内径と照合してください。ガラスの厚みがあるため、内径は外寸より狭くなります。氷を指やトングで無理なく出し入れできるか、氷を入れたまま予定量(約30〜60ml)を注いでもあふれないかが基準です。底が厚く重いグラスは、大きな氷を回しても重心がぶれません。ただし底が厚いほど、外寸のわりに中に入る量は少なくなります。見た目の大きさではなく、表示容量と内径で判断してください。
水割りはハイボール用のタンブラーで足りる
サントリーの目安はウイスキー1:水2〜2.5です。シングル30mlなら水は60〜75ml、液体は90〜105mlで、同じシングルのハイボール(120〜150ml)より少なくなります。そのため、ハイボール用と同じタンブラーで足ります。ロックグラスでも、氷・液体・混ぜるための余白が収まる容量があれば使えます。必要な容量は、使う比率で出した液体量に、ふだんの氷と余白を加え、実物に注いで確かめてください。作り方はサントリーの案内に沿い、グラスに氷を入れてウイスキーを注ぎ、マドラーで氷とよく混ぜて冷やしてから、水を加えて軽く混ぜます。
| 飲み方 | ウイスキーの量 | 割り材の量 | 氷 | 必要な容量の目安 | 形 |
|---|---|---|---|---|---|
| ストレート(シングル) | 約30ml | なし(加水は数滴) | なし | 170〜200ml | テイスティング(脚なし・脚付き) |
| ストレート(ダブル) | 約60ml | なし(加水は数滴) | なし | 200ml程度 | テイスティング(脚なし) |
| ロック | 約30〜60ml | なし | 大きめの氷 | 氷の最大幅が内径に収まり、無理なく出し入れできること。例:300ml | 背が低い広口、厚く重い底 |
| ハイボール(シングル) | 約30ml | ソーダ90〜120ml | グラスを満たす量 | 300ml前後から試し、氷を入れて実測 | 背の高いタンブラー |
| ハイボール(ダブル) | 約60ml | ソーダ180〜240ml | グラスを満たす量 | 300mlより大きいもの(同様に実測) | 背の高いタンブラー |
| 水割り | 約30ml | 水60〜75ml(1:2〜2.5) | グラスを満たす量 | ハイボール用と同じタンブラーで足りる | 背の高いタンブラー(容量が足りればロックグラスも可) |
素材・手入れ・冷やし方で失敗しないための判断基準

ソーダガラスとクリスタルガラスの違い
同じ形のグラスでも、素材によって透明度、リムの薄さ、重さ、扱いやすさが変わります。家庭用のロックグラスやタンブラーに多いのはソーダガラス(窓や瓶と同系統の一般的なガラス)で、テイスティンググラスや高価格帯のステムグラスにはクリスタルガラスが多く使われます。
| 比較項目 | ソーダガラス | クリスタルガラス |
|---|---|---|
| 透明度 | 厚い部分がわずかに青緑がかって見える製品がある | 透明度が高く、光を屈折させて輝きが出やすい |
| リムの薄さ | 強度を保つため厚めに作られやすい | 薄く均一に成形しやすく、薄いリムの製品が多い |
| 重さ | 厚手のものは重い | 鉛入りは重め。鉛不使用は比較的軽い製品が多い |
| 割れにくさ | 厚手のものは置くときの衝撃に強い | 薄いリムは縁をぶつけると欠けやすい |
| 価格の傾向 | 安い | 高い |
クリスタルには、鉛を含むもの(鉛クリスタル)と鉛を使わないもの(鉛不使用クリスタル)があります。グレンケアン・グラスは鉛不使用クリスタルです。「クリスタル」という表記だけではどちらか分からないため、購入時は製品説明や箱にある「鉛不使用(lead-free)」「鉛クリスタル(lead crystal)」の表記を確認してください。
食洗機に入れてよいかは製品ごとに確かめる
食洗機対応かどうかは、素材の種類ではなく製品ごとに決まります。グレンケアン・グラスとリーデル「ヴィノム シングル・モルト・ウイスキー」は、メーカーが食洗機対応としています。対応表記のない製品は手洗いにしてください。脚付きを手洗いするときは、破損が脚の付け根に集中します。ボウルを片手で持ったまま台座を反対の手で拭くと、ねじる力が細い脚にかかって折れます。洗うときも拭くときも、ボウルと脚の付け根を同じ手でまとめて支えてください。
香りを邪魔する失敗と、その防ぎ方
テイスティンググラスは香りを集める形のため、グラス由来の匂いもいっしょに鼻先へ集めます。次の失敗は、ロックグラスよりテイスティンググラスで目立ちます。
- 洗剤のすすぎ残し:ボウルの内側に残った膜が、注いだあとに洗剤の香料として立つ。すぼまった口の内側は指が届きにくいので、ぬるま湯で多めにすすぐ
- 拭き布の匂い移り:柔軟剤や生乾きの匂いがガラスに付く。グラス専用の布を分け、柔軟剤を使わずに洗う
- 棚の匂い移り:木材、塗料、紙箱の匂いがボウルの空間にたまる。新しい棚や購入時の箱に入れたまま長く置かない
- 伏せて保管したときのこもり:棚板の匂いや湿気が口から入り、抜けずに残る。伏せるなら水切りラックのように空気が通る場所にし、密閉した棚では口を上にする
注ぐ前に空のグラスを嗅ぎ、何か匂ったら水ですすいで乾かし直してください。複数銘柄を比べるときは、この確認を全グラスで済ませてから注ぐと、匂いの原因をグラスと取り違えずに済みます。
冷やし方の手順
- ハイボール:グラスに氷を詰め、マドラーで回して先にグラスを冷やす。溶けて出た水は捨て、減った分の氷を足してからウイスキーを注ぐ。ウイスキーを注いだらマドラーで十数回混ぜて冷やし、氷を足す。冷蔵庫で冷やしたソーダを、氷に当てないようにグラスの内壁に沿って注ぐ。最後はマドラーで氷を縦に1回持ち上げるだけにする
- ロック:グラスが冷えていなければ、大きめの氷と水を入れて冷やし、その水を捨ててからウイスキーを注ぐ(サントリーの案内)
冷やす目的は、注いだ直後に氷が溶けて薄まるのを抑えることです。ハイボールはグラスが温かいままだと氷が溶けて炭酸も抜けやすくなるため、この手順を省かないでください。ソーダを氷に当てたり、注いだあとに何度も混ぜたりすると炭酸が抜けます。液面が広い背の低いグラスでは抜ける面積も大きくなるため、混ぜる回数を最小限にする意味はさらに大きくなります。
店で使うグラスを選ぶときの判断軸
店では、家庭の判断基準に次の3つが加わります。
- 洗浄の回転率:営業中に業務用食洗機で回せるか。脚付きはラックに並べられる数が減り、手洗いに回すと人手と破損が増える。ピーク時に必要な数を、洗浄から乾燥までの時間で割って在庫数を決める
- 欠けたときの損失:薄いリムのクリスタルは縁を欠きやすく、欠けたグラスは提供に使えません。高価な薄手のグラスは有料テイスティングや指名の多いボトル用に数を限り、通常のストレートは底の厚い脚なし型で回します。
- 同じ型を補充し続けられるか:廃番や仕様変更で型が変わると、同じ注ぐ量でも液面の高さが揃わず、見た目の量に差が出る。国内で継続して取り扱いのある定番品を選び、予備を確保しておく
目的別に最初の1脚・贈り物を決める(価格の目安と選び方の早見表)
最初の1脚は、いちばん多い飲み方から逆算して決めます。目的ごとの推奨は次のとおりです。
- ストレートで銘柄ごとの香りを比べたい:脚なしのテイスティンググラス(例:グレンケアン・グラス)。重心が低く倒れにくいので、毎晩の1杯にも複数銘柄の比較にも使える
- 香りに集中し、手の温度を液に伝えたくない:脚付きのコピタ型。カスクストレングス(樽出しの度数のまま瓶詰めしたもの)を並べて評価するときも、液温を揃えやすい
- ハイボール中心:300ml前後の背の高いタンブラー。ダブルで作るなら、それより大きいもの
- ロック中心:手持ちの氷が内径に収まる、底の重いロックグラス
1脚で幅広く使いたいなら、テイスティンググラスから始めてください。決め手は、ほかの器で代わりが利くかどうかです。ハイボールや水割りは家にある背の高いグラスでも作れます。一方で、香りをためて鼻先に集める形は、手持ちの食器では代用できません。脚なしのテイスティンググラスなら、ストレート、数滴の加水、トゥワイスアップ(ウイスキーと常温の水を1:1で割る飲み方)まで1脚でまかなえます。そのうえで、ハイボールやロックの頻度が上がった時点で専用のグラスを買い足すと、無駄がありません。
参考価格は「製造国の公式価格」として読む
下の表の価格は、英国と米国の公式サイトに表示されている価格です。日本国内の販売価格ではありません。 国内では、販売店、正規輸入か並行輸入かといった輸入経路、仕入れ時の為替によって価格が変わります。ポンドやドルをその日のレートで円に換算しても、国内価格の目安にはなりません。輸送費や輸入にかかる経費が上乗せされるためです。リーデルは2脚組の価格なので、比べるときは1脚あたりに直してください。
| 目的 | 形(製品例) | 容量の例 | 素材 | 食洗機対応 | 参考価格(国・税の扱い) |
|---|---|---|---|---|---|
| ストレートで香りを比べる | 脚なしテイスティング(グレンケアン・グラス) | 200ml | 鉛不使用クリスタル | 対応 | 紙箱入り1脚£9.00(英国公式サイト。税込みかどうかは同サイトの表示で確認) |
| 香りに集中し、手の熱を避ける | 脚付きコピタ型(グレンケアン・コピタ) | 170ml | 鉛不使用クリスタル | 対応 | 1脚£6.95(英国公式サイト。税込みかどうかは同サイトの表示で確認) |
| 脚付きの上位の選択肢 | 脚付き(リーデル「ヴィノム シングル・モルト・ウイスキー」) | 200ml | クリスタル | 対応 | 2脚組85ドル(米国公式サイト、税別) |
| ハイボール中心 | 背の高いタンブラー | 300ml前後(ダブルならそれ以上) | 製品ごとに確認 | 製品ごとに確認 | 製品ごとに確認 |
| ロック中心 | 背が低く広口で底の厚い形(ジュラ・ウイスキータンブラー) | 300ml | メーカー表示で確認 | メーカー表示で確認 | 1脚£9.95(英国公式サイト。税込みかどうかは同サイトの表示で確認) |
価格はいずれも2026年10月時点の表示です。
贈り物は4つの条件で絞り込む
- 相手の主な飲み方:ハイボール派ならタンブラー、ロック派なら底の重いロックグラスを選ぶ。飲み方が分からなければ、脚なしのテイスティンググラスにする(理由は上記のとおり)
- 箱入りかどうか:グレンケアン・グラスには紙箱入り1脚の設定がある。箱なしで売られている品を贈るなら、緩衝材と化粧箱を別に用意する
- 食洗機対応:毎日使う相手ほど重視する。対応表記がない品を贈る場合は、手洗いが前提であることを添える
- 割れにくさ:脚なしで底の厚いものは倒れにくく、置くときの衝撃にも強い。脚付きは付け根が弱点なので、扱い慣れた相手に向く
海外在住の知人に贈る場合は、まず相手が住む国の公式サイトや現地の販売店から直接届けられるかを確かめてください。日本から国際配送すると、輸送中に何度も積み替えられるため、破損のリスクが上がります。国際配送する場合は、割れ物の補償があるかを配送業者に確認します。梱包は二重箱にし、ボウルの内側にも緩衝材を詰めて、グラスが箱の壁に当たらないよう固定してください。
よくある質問

ストレートに加水するとき、何滴から試せばよいですか。水の種類や温度も気にした方がよいですか
まず1滴を加え、グラスを軽く回してから嗅ぎます。変化を確かめてから次の1滴を足してください。一度に多く入れると元に戻せないためです。水は常温のものを使います。冷たい水は液温を下げて揮発を抑えるため、香りが開く変化を追いにくくなります。なお、冷却濾過(低温で濁りの元になる成分を濾し取る工程)をしていない銘柄は、冷水や氷で冷やすと白く濁ることがあります。脂肪酸エステルなどの成分が析出しただけで品質の劣化ではなく、温度が戻れば消えます。カルキ臭のある水道水は、すぼまった口でその匂いも集まるので避け、匂いの少ない軟水を選んでください。
数銘柄を飲み比べるとき、グラスは同じ製品で揃えるべきですか
揃えてください。ボウルの膨らみや口径が違うと、香りの集まり方や一口の量が変わります。そのままでは、感じた差が銘柄によるものかグラスによるものか区別できません。注ぐ量も揃え、たとえばすべてシングル約30mlにします。同じ型のグラスが足りなければ、比べる本数をグラスの数まで絞る方が判断を誤りません。
ストレート用のテイスティンググラスも、冷やしておいた方がよいですか
冷やす必要はありません。グラスを冷やすのは、氷が溶けて薄まるのを抑えるためです。氷を使わないストレートには当てはまりません。冷えたグラスに注ぐと液温が下がり、香り成分の揮発が抑えられて香りが閉じます。冷蔵庫に入れると、庫内の匂いもグラスに移りやすくなります。室温で、よく乾いた状態のグラスを使ってください。
出典・参考にした情報
この記事で紹介した銘柄
20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。