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サントリーオールドの年代見分け方|特級表記・寿マーク・住所で判定

サントリーオールドの年代を、特級表記・郵便番号・容量・社名や住所・英字表記の順に絞り込む方法を解説。級別廃止が1989年4月である点や、一つの特徴だけで決めず幅を持たせて判定する理由も分かります。

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結論:サントリーオールドの年代は「級別表記→容量→社名・住所→英字表記→細部」の順に絞る

サントリーオールドの年代は、ラベルとボトルの特徴を「級別表記→郵便番号→容量→社名・住所→英字表記→細部」の順に見て絞り込みます。ただし、法令や制度で日付が決まっている区切りは一部だけです。年代の区切りの多くは、愛好家がボトルを集めて整理した分類です。メーカーはこうした区切りを公表していません。判定は「1970年代前半ごろ」のように、幅を持たせて出すのが前提です。

判定の前に押さえる歴史の要点

  • 1940年11月:オールドが完成し、発表される。戦争のため発売は見送り
  • 1950年:発売。丸いボトルの形から愛称は「だるま」
  • 1963年:社名が寿屋からサントリーへ変わる
  • 1989年4月:酒税法の改正でウイスキーの級別制度(特級・1級・2級)が廃止され、ラベルから級別表記が消える

清酒の級別は1992年に撤廃されましたが、ウイスキーは1989年4月です。「1992年に特級表記が消えた」とする説明はウイスキーには当てはまりません。

判定の順番と、それぞれで分かること

  1. 「特級」表記の有無:あれば1989年4月ごろより前の可能性が高いと判断できます。級別廃止という法令上の区切りなので、最も確かな手がかりです。ただし切り替え直後は旧ラベルの在庫が出回った可能性があるため、「1989年前後より前」と幅を残します
  2. 郵便番号:制度の開始日で区切れる手がかりです。主に、1998年2月2日より前か後かを決めます。7桁なら1998年2月以降です。旧番号(3桁・5桁)なら1968年7月〜1998年2月です。表記がなければ1968年7月より前の可能性があります。ただし郵便番号を省略したラベルもあり得るので、表記がないことだけで年代を決めません
  3. 容量:760mlは昭和の旧規格、750mlは平成初期の移行期、700mlは現行とされます。切り替わった正確な年はメーカーが公表しておらず、諸説あります。そのため大まかな時代分けに使います
  4. 社名表記と住所:寿屋・KOTOBUKIYAなら1963年の社名変更より前です。そのほかの社名表記と住所の変化は、次章の表で幅を狭める材料にします
  5. 英字表記:表記の移り変わりを次章の表と照らし合わせ、④で出した幅をさらに狭めます
  6. 細部:原材料表示の有無と大麦の絵柄を、次章の表と照らし合わせて最後の幅を詰めます。原材料表示があるボトルでは文言も読みます。モルト・グレーンだけか、スピリッツなどの記載があるかで、年代ではなく中身の構成についての手がかりが得られます

一つの特徴だけで年代を決めない理由

向かい獅子マークは「2008年以降」と言い切る説明がある一方で、1960年代のボトルの背面で「寿」から「向かい獅子」に変わったとする分類もあります。マークだけを見ると、40年以上ずれた結論になりかねません。判定では、特徴ごとに指す年代の幅を書き出し、すべての幅が重なる範囲を答えにします。たとえば「特級」表記、SPECIAL QUALITY、大麦の絵柄がそろえば、1980年代半ばから級別廃止までに絞れます。逆に、寿屋表記なのに原材料表示があるなど、幅が重ならない組み合わせが出たら、どれか一つの読み違いを疑ってください。仕入れや買取、贈答用の「生まれ年」選びなら、特徴を写真に残し、どの特徴を根拠に何年ごろと判断したかを相手に説明できるようにしておくと確実です。

早見表:特徴ごとの年代の幅と根拠の確かさ

特徴指し示す年代の幅根拠の確かさ
「特級」表記あり1989年4月ごろより前法令(酒税法改正)による事実
7桁の郵便番号1998年2月2日以降郵便制度による事実
郵便番号の記載あり(旧番号)1968年7月〜1998年2月郵便制度による事実
郵便番号の表記なし1968年7月より前の可能性郵便制度による事実。ただし省略されたラベルもあり得るため単独では決めない
寿屋/KOTOBUKIYA表記1963年より前企業の沿革(社名変更)
760ml昭和の旧規格専門メディア・愛好家の整理(切替年は諸説あり)
750ml平成初期の移行期専門メディア・愛好家の整理(切替年は諸説あり)
700ml現行現行品の仕様(切替年は諸説あり)

英字表記・住所・原材料表示・大麦の絵柄による1950〜80年代の細かな区切りは、次章の時系列一覧を参照してください。

寿屋時代から特級時代まで:英字表記・住所・寿マークで1950〜1980年代を絞り込む

ウイスキーのイメージ写真

寿屋時代(1963年より前):FINEST OLD LIQUEURとKOTOBUKIYA

1950年の発売から1963年の社名変更までのボトルは、正面の英字が「FINEST OLD LIQUEUR」で、KOTOBUKIYAの表記が入るとされます。首ラベルの下にある「寿」の字は寿屋時代のなごりとされますが、なごりである以上、社名変更後のボトルにも残っている可能性があります。「寿」の字だけで寿屋時代と決めず、KOTOBUKIYAの社名表記があるかどうかで判断してください。英字表記による区切りは愛好家の分類で、メーカーは公表していません。

1963〜1981年ごろ:中之島から堂島浜へ、「通」の有無で詰める

1963〜1971年ごろは「GENUINE QUALITY」「VERY RARE OLD」表記で、住所は大阪市北区中之島とされます。1971〜1979年ごろは住所が堂島浜になり「通」の字が入り、1979〜1981年ごろに「通」が消えるとされます。違いは一文字なので、次の手順で確かめます。

  1. 住所の印字を探す(小さな活字のため見落としやすい)
  2. ルーペかスマートフォンの接写で、ラベルに対して真正面から撮る。照明は斜めから当て、ガラスの反射が字に重ならない角度にする
  3. 「大阪市北区」の後を一字ずつ読み、「中之島」「堂島浜通」「堂島浜」のどれかを特定する。特に「浜」の直後に「通」があるかを拡大画像で見る
  4. かすれて読めない字は「判読不能」と記録し、英字表記や原材料表示で補う。推測で埋めない
  5. 売買や贈答に使うなら、拡大写真を判断の根拠として保存する

1981〜1989年ごろ:SPECIAL QUALITY、原材料表示、大麦の絵柄

この時期は「SPECIAL QUALITY」表記とされます。1981年に原材料表示が加わり、1984〜1985年ごろに大麦の絵柄が入ったと分類されています。SPECIAL QUALITYで大麦の絵柄がなければ1980年代前半、絵柄があれば1980年代半ばから級別廃止までと読み分けられます。

1950〜1980年代の時系列一覧

年代の幅英字表記住所背面の意匠原材料表示大麦の絵柄
1963年より前ごろFINEST OLD LIQUEUR(KOTOBUKIYA表記)—寿(とされる)なしなし
1963〜1971年ごろGENUINE QUALITY/VERY RARE OLD大阪市北区中之島寿→向かい獅子なしなし
1971〜1979年ごろ諸説あり堂島浜(「通」あり)—なしなし
1979〜1981年ごろ諸説あり堂島浜(「通」が消える)—1981年からなし
1981〜1984年ごろSPECIAL QUALITY堂島浜(「通」なし)—ありなし
1984〜1985年ごろ〜1989年SPECIAL QUALITY堂島浜(「通」なし)—ありあり

表の区切りは愛好家の分類によるもので、境目の年は前後します。「—」や「諸説あり」の欄は、ほかの特徴と組み合わせて幅を狭めてください。

流通量の多さと1980年代の転換が、いまの評価を左右する

1980年の年間販売量は約1,240万ケースで、世界のウイスキーブランドで1位と紹介されています。これだけ大量に出回ったため、1970〜80年代の特級ボトルは今も家庭や店に残っている本数が多く、「特級表記があるから希少」とは言えません。同じ年代のボトルどうしでは、液面の目減り、キャップやラベルの傷み、元箱の有無といった状態の差が評価を分けやすくなります。

1984年度には焼酎ブームで「オールド」の販売が急に落ち込み、大幅な減収減益になりました。その後、1988年に「新オールド」へリニューアルされます。級別廃止は1989年4月です。そのため、1988年の新オールド発売から1989年4月の級別廃止までの間は、特級表記の新オールドがあり得ます。特級表記があるからといって、新オールドより前の中身だと言い切ることはできません。

1989年以降のオールドを判定する:容量・社名・郵便番号の桁数と、よくある誤り

級別表記のない1989年4月以降のボトルは、手がかりが少なくなります。そこで、年が公的に確定している郵便番号を軸にし、容量と社名表記で前後を補うのが基本になります。

郵便番号の桁数:平成以降で唯一、日付が確定している区切り

郵便番号は「表記なし→3桁・5桁→7桁」の三段階で整理します。

  • 表記なし:郵便番号制度は1968年7月1日に始まりました。そのため、記載がなければそれより前の可能性があります。ただし、単に印字していないだけのこともあるので、記載がないことだけで判断しません
  • 3桁・5桁の旧番号:記載があれば1968年7月以降で、1998年2月より前と判断できます
  • 7桁:7桁の郵便番号は1998年2月2日に始まりました。7桁なら1998年2月以降の製造とほぼ判断できます

容量や社名と違って制度の開始日がはっきりしているため、ほかの特徴と結果が食い違ったときは郵便番号を優先します。向かい獅子マークの年代説と郵便番号が食い違った場合も、郵便番号を優先してください。

容量:760ml・750ml・700mlは「大まかな時代」だけを示す

760mlは昭和の旧規格、750mlは平成初期の移行期、700mlは現行と整理されています。ただし、容量が切り替わった正確な年はメーカーから公表されておらず、愛好家の間でも諸説あります。「750mlだから何年」とは決めず、郵便番号と組み合わせて幅を狭めてください。

社名表記と住所:前後関係の判断にとどめる

「サントリー株式会社」「サントリーホールディングス」「サントリースピリッツ」などの社名表記も目印になります。ただし、各社名の使用期間はメーカーから公表されていないため、前後の比較にとどめます。2本を並べて「どちらが新しいか」を比べる用途に限ってください。住所はさらに使いにくい手がかりです。現在の大阪本社は大阪市北区堂島浜2-1-40で、前の章で見た「通」の消えた堂島浜表記と地名が同じです。本店住所の移転の経緯も公表されていないため、住所だけで平成以降を細かく区切ることはできません。

リニューアルの流れと、現行品の仕様

  • 1988年:「新オールド」へリニューアル
  • 1994年:マイルド&スムーズ路線へ
  • 2007年10月:「オールドプレミアム43°」を先行発売
  • 2008年9月:大きなリニューアル

この流れは専門メディアや愛好家による整理で、各リニューアルでの中身の変更点はメーカーから公表されていません。現行品は700ml・アルコール分43%です。ラベルの外見が似ていても、リニューアルの前後で中身の設計が異なる可能性があります。

判定を誤らせる2つの説明

「1988〜2007年前半は度数の記載がない」という説明には、メーカーが公表した根拠がなく、愛好家の間でも諸説あります。この説明に頼ると、度数の印字がある1990年代のボトルを2007年以降と誤判定したり、印字を見落としたボトルを根拠なくこの期間に入れたりする恐れがあります。度数は正面以外のラベルにある可能性もあるので、ボトルを一周させて全面を確認してください。度数表示は現行の43%と一致するかどうかを見る程度にとどめ、年代を決める材料にはしないほうが安全です。もう一つの向かい獅子マークについては、冒頭で述べたとおりです。

組み合わせ別:考えられる年代の幅

特級表記容量郵便番号社名表示考えられる年代の幅
あり760ml5桁など—1989年4月ごろより前(昭和〜平成元年初め)
なし760ml5桁など—級別廃止(1989年4月)後〜容量切替前。廃止直後の可能性
なし750ml5桁など—平成初期の移行期〜1998年2月より前
なし750ml7桁—1998年2月以降。750mlの使用終了時期は諸説あるため、他の特徴で再確認
なし700ml5桁など—1998年2月より前。700mlへの切替年は諸説あるため、実物どうしで比較
なし700ml7桁—1998年2月以降。現行仕様(43%)と一致するかは参考程度。社名表記で新旧の前後を比べる

生まれ年のボトルを贈る場合は、上の表で幅が1年に収まることはほとんどありません。「1998年2月以降の700ml」のように、幅のまま相手に伝えてください。郵便番号と容量を写した写真を添えておくと、判断の根拠を説明できます。

なぜ年代で味が違うのか:級別制度・酒税・需要の変化とブレンド設計、ボトルの中で起きる変化

ウイスキーのイメージ写真

同じ「オールド」でも、年代によって香りの厚みや飲み口が違います。理由は二つに分けて考えます。一つは製造時のブレンド設計の違い、もう一つは瓶詰め後に長く保管されたことで起きた変化です。この二つを混ぜると、「昔のほうが濃かった」という印象の原因を取り違えます。

ブレンド設計を変えれば、同じ銘柄でも味は変わる

オールドは、モルト原酒(大麦麦芽だけを原料に単式蒸溜器で造る原酒)と、グレーン原酒(穀物を連続式蒸溜機で造る、軽い原酒)を合わせたブレンデッドウイスキーです。ただし級別廃止前の酒税法では、ウイスキー原酒に醸造アルコールなどのスピリッツを混ぜた製品もウイスキーとして扱われていました(次の節で詳しく触れます)。

オールドの香味の骨格として広く語られるのは、山崎蒸溜所のシェリー樽で熟成したモルト原酒です。干しぶどうやカカオを思わせる甘く丸い香りは、この原酒に由来するとされます。そこにグレーン原酒が軽さとなめらかさを加え、水割りにしても香りの芯が崩れにくい構成になっています。配合の比率はメーカーから公表されていません。

設計で動かせる要素は、主に次の四つです。

  • モルト原酒の比率:上げると厚み、下げると軽さが出る
  • 熟成年数の組み合わせ:長熟原酒が多いほど樽由来の甘さと複雑さが増す
  • 樽の配分:シェリー樽原酒の割合が干しぶどう系の甘さを左右する
  • 仕上げの度数:加水を増やすと口当たりは柔らかくなるが、香りの密度は下がる

年代差の背景には、使える原酒の供給元の変化もあります。サントリーでは1972年に知多蒸溜所(グレーン)、1973年に白州蒸溜所(モルト)が操業を始めました。これにより、山崎とは個性の異なるモルト原酒と、新たなグレーン原酒の供給元が加わりました。1960年代以前と1970年代以降のオールドでは、使える原酒の構成そのものが違います。ただし、オールドに各蒸溜所の原酒がいつから、どれだけ使われたかは公表されていません。

さらに、1980年前後の大量販売期には、熟成を重ねたシェリー樽原酒をオールドにどれだけ割けたかという原酒の調達事情も、味に影響した可能性があります。ここは公表資料に基づくものではなく推測ですが、販売量が急増した時期と、そうでない時期とで樽原酒の配分が同じだったと考える根拠もありません。年代ごとの味の違いは、ラベルの印象ではなく、こうした設計と原酒事情の変化として見るのが筋です。

級別と酒税:価格帯が変わると、狙う飲み手も変わる

旧酒税法のウイスキーの級別は、税率の区分であると同時に、原酒混和率(製品に占めるウイスキー原酒の割合)とアルコール分の基準による区分でした。特級は、原酒混和率とアルコール分の下限が最も高く、税率も高い区分です。2級は、原酒がごく少なくても名乗れる区分でした。つまり特級表記は、原酒の最低比率が保証されていたことを示します。

一方で、酒税法上の「原酒」にはモルトとグレーンの両方が含まれます。そのため、特級表記からモルトとグレーンの比率までは分かりません。「特級だから原酒が一定以上入っている」とは言えても、「特級だからモルトが濃い」とまでは言い切れません。

1989年の酒税法改正で級別が廃止されると、級ごとの下限がなくなり、銘柄ごとに原酒の構成を設計する自由度が上がりました。同じ改正では、旧特級と旧1級が減税で値下がりし、旧2級は増税で値上がりしました。級の間の価格差が縮まれば、各銘柄が「どの価格帯で、誰に飲ませるか」の位置付けを見直すことになり、ブレンドの狙いも変わり得ます。

需要の変化:水割り中心から、より軽い飲み口へ

1980年ごろに販売量のピークを迎えたあと、焼酎ブームで1984年度に販売が急に落ち込みました。その後、1988年に「新オールド」、1994年にマイルド&スムーズ路線へとリニューアルしています。水割りで食事と合わせる飲み方が主流だったところから、さらに軽い飲み口を求める流れに合わせて設計を変えた、と考えるのが自然です。ただし、各リニューアルで原酒の構成が具体的にどう変わったかはメーカーから公表されていないため、ここでは推測にとどめます。

現行品(700ml・43%)についても、原酒の構成、樽の種類、冷却濾過(低温で濾過して濁りの原因になる成分を除く工程)や着色の有無は公表されていません。

ボトルの中で起きる変化:「オールドボトルらしさ」の正体

  • キャップの密閉が弱まり、アルコールと揮発しやすい香りの成分が抜ける。その結果、口当たりが丸く感じられることがある
  • 液面が下がって瓶内の空気が増え、酸化が進む
  • 香りの成分が変化して、こもった香りや、紙・ほこりを思わせる鈍い香りが出る
  • 金属キャップが劣化して錆や腐食が起き、金属的な匂いが移る

旧ボトルの「柔らかさ」は、設計による柔らかさとは限りません。度数や香りが抜けた結果である可能性もあります。液面が肩より下がっているボトルや、キャップに腐食があるボトルは、製造時の味を評価する材料には向きません。開栓して強い異臭、濁り、キャップ由来の異物があれば飲まないでください。

旧ボトルと現行品の飲み比べ手順

  1. 開栓前に液面の高さとキャップの状態を記録する
  2. 両方を常温のまま、同量(各15ml程度)を計量して、小ぶりのチューリップ型テイスティンググラスに注ぐ
  3. 注いですぐの香りと、数分置いた後の香りの両方を記録する。時間を置くと消える篭り香(瓶の中に閉じ込められていた匂い)は、開栓直後の一時的なもの。消えずに残る紙・金属の匂いは劣化のサインと読む
  4. ストレートでノージング(香りをとる)→パレット(口に含んだときの味)→フィニッシュ(余韻)の順に記録する。必要なら常温の軟水をスポイトで1〜2滴ずつ、両方に同じ滴数だけ加え、香りの開き方を比べる
  5. 次に、両方をトゥワイスアップ(ウイスキーと常温の水を1対1で合わせる飲み方)にする。水は軟水のミネラルウォーターを使う。度数を20%前後まで下げ、アルコールの刺激をならした状態で香りを比べる
  6. 香りの差が設計の違いによるものか、経年変化によるものかを、下の表で切り分ける

旧ボトルは揮発で度数が下がっていることがあります。ストレートだけで比べると、アルコールの刺激の差を設計の違いと取り違えやすくなります。トゥワイスアップで条件をそろえる段階を省かないでください。

段階記録すること経年変化を疑うサイン
注いだ直後と数分後香りの変化時間を置いても紙や金属の匂いが消えない
ノージング香りの強さ、甘さ、樽の香りこもった香り、紙や金属の匂い
パレット厚み、アルコールの刺激極端に水っぽい、刺激が弱すぎる
フィニッシュ余韻の長さと残る香り短く、えぐみだけが残る
加水後(数滴・トゥワイスアップ)香りの開き方、ストレートとの差の変化加水しても香りが開かない。ストレートでは差があるのに加水後に差が縮む場合は、度数の低下による見かけの差を疑う

現行品をハイボールや水割りでどう楽しむかは、角瓶やスペシャルリザーブの飲み方を扱った関連記事を参照してください。

古いオールドを飲む・売る・店で出す・贈る:状態チェックと価値の判断基準

状態チェックの手順と、それぞれが価値と飲用に与える影響

開栓せずに、外から見える順に確認します。前の章で触れたとおり、密閉が弱まったボトルは香りが抜けて酸化しています。その兆候を外側から拾うのが目的です。

  • 液面の高さ:首の付け根付近まであれば良好です。肩より下がっていれば、密閉が弱まって揮発と酸化が進んだ可能性が高くなります。飲用には向かず、査定でも大きく下がります
  • キャップ:さびやゆるみは密閉が落ちているサインで、金属臭の原因にもなります。強く回して確かめるのは避け、目視で腐食を見ます。開け方はよくある質問を参照してください。買う側に立つ場合は、封を開けた形跡がないかも確かめます。中身の詰め替えを避けるための基本の確認です
  • 濁り・沈殿:明るい光に透かして見ます。寒い場所に置いていたことによる白濁は、常温に戻すと消えることがあります。消えない濁りや浮遊物があれば飲まないでください。売る場合も減額の対象になります
  • ラベル:破れ、しみ、日焼けは見た目の評価を下げます。それ以上に問題なのは、特級表記や住所が読めなくなって年代の根拠が失われることです
  • 箱・付属品:元箱などがあれば評価は上がりやすくなります。ただし中身の状態とは関係ありません

価値を決めるのは「古さ×流通量×状態×区分の人気」

1980年ごろのボトルは大量に出回ったため、特級表記があっても残っている本数が多く、古さだけで高くはなりません。逆に、寿屋時代のように残存が少なく人気のある区分は、状態がそろえば評価が上がりやすくなります。相場の金額は個体差が大きいので、売る前に複数の買取業者で見積もりを取ってください。比べるときは、全社に同じ写真を送ります(正面、背面、液面、キャップ、住所の拡大)。そのうえで、減額の基準、送料、キャンセル時の扱いをそろえて比較します。

家庭で飲むために買ったものや、もらったものを単発で手放す場合は、買取業者への売却が一般的です。一方、反復して仕入れ・販売すると酒類販売業免許が必要になり得ます。判断に迷う場合は、所轄の税務署に確認してください。

現行品との価格の比較

2026年4月1日出荷分からの値上げでは、ウイスキーは「山崎」「白州」「響」の15品目が対象で、オールドは挙がっていません。最新の希望小売価格は、メーカーの価格改定のお知らせで確認してください。店頭での目安は1,320円前後(2026年11月3日時点)です。現行品がこの価格帯で買える以上、旧ボトルに上乗せされる分は、中身の量ではなく「推定年代と状態」に対して払う対価だと整理できます。

酒販店・バー・贈答それぞれの判断基準

酒販店:酒類を販売するには酒類販売業免許が必要です。商品説明には、年代を判定した根拠(特級表記、容量、住所、郵便番号の桁数)と、その拡大写真を載せます。あわせて液面の位置とキャップの状態を書き、「年代は推定」と明記します。こうしておけば、買い手との認識のずれによる返品やクレームを防げます。

バー:開栓後は、瓶の中の空気が増えるほど酸化が進み、香りが変わっていきます。少量での提供や、現行品との飲み比べセットにして回転を上げ、早めに飲み切る計画を立てます。残量が半分を切ったら、小瓶に移して空気に触れる面を減らす方法もあります。値付けは、仕入れ値を注げる杯数で割った原価が基準です。30mlのシングルで、760mlは約25杯、700mlは約23杯と、容量によって取れる杯数が違います。仕入れたボトルの容量ごとに原価を計算し直し、そこに状態と希少性を上乗せします。開栓して提供できない状態だった場合の損失も見込んでおきます。メニューには推定年代とその根拠(容量・郵便番号の桁数など)を添えると、客に説明しやすくなります。なお、ボトルのまま客に売る場合は、酒類販売業免許が必要です。

贈り物:「生まれ年のボトル」は年代を幅でしか判定できないことを、先に相手へ伝えます。海外の知人や訪日客に渡す場合は、もう一つ説明が必要です。日本洋酒酒造組合が定めた自主基準「ジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」は、2021年4月1日に施行され、2024年3月31日までが移行期間でした。旧ボトルは、この基準ができる前の時代に造られた製品です。そのため「基準を満たしたJapanese whisky」とは紹介せず、「日本で瓶詰めされたサントリーのブレンデッドウイスキー、推定○年代」と、確かなことだけを伝えます。

目的確認すべき項目判断の目安
飲む液面、キャップの腐食、濁り、開栓時の香り肩より下の液面、消えない濁り、強い異臭のどれかがあれば飲まない
売る年代の根拠となる表記の読みやすさ、状態、箱同じ写真と条件で複数社の見積もりを比べる。古さだけで高値を期待しない
店で出す販売免許(酒販店)、状態、容量ごとの杯数原価に状態と希少性を上乗せする。開栓後は早めに飲み切る
贈る推定年代の幅と、その根拠の写真年代は幅で伝える。海外向けには現行の表示基準とは別物だと説明する

よくある質問

ウイスキーのイメージ写真

未開栓の旧ボトルは、立てて保管するのと寝かせて保管するのと、どちらがよいですか?

立てて保管してください。ウイスキーはワインより度数が高いため、液がキャップの内張りやコルクに触れ続けると素材を傷めます。その結果、密閉が弱まったり、金属臭やコルク由来の匂いが移ったりする恐れがあります。直射日光と温度変化の大きい場所を避けて冷暗所に置けば、液面の低下やラベルの日焼けも抑えられます。

開栓しようとしたらキャップが固着して回りません。どうすればよいですか?

力任せに回すと、腐食したキャップが崩れて破片が液に落ちたり、瓶の口が欠けたりします。ゴム手袋や布でキャップを包み、瓶をしっかり固定して少しずつ力をかけてください。破片が入った場合は、茶こしやコーヒーフィルターで濾して清潔な瓶に移します。強い異臭や消えない濁りがあれば飲まないでください。

家にあった旧ボトルを個人で売るのに免許は要りますか?

自分で飲むために買った酒や、もらった酒を一時的に売るだけなら、免許は不要です。継続して売る場合は、酒類販売業免許が必要です。どちらに当たるか判断に迷う場合は、所轄の税務署に確認してください。

遺品整理などで旧ボトルが何本も出てきたとき、どの順で仕分ければよいですか?

液面→キャップ→特級表記→郵便番号の順に見て、「飲む」「売る」「処分する」に分けます。まず液面とキャップで状態を見ます。基準は「状態チェックの手順と、それぞれが価値と飲用に与える影響」の節にあります。肩より下の液面や、腐食したキャップのボトルは、飲む候補から外します。次に特級表記と郵便番号で大まかな年代を出します。見方は冒頭の「判定の順番と、それぞれで分かること」と、郵便番号の節にあります。売る候補のボトルは、「価値を決めるのは『古さ×流通量×状態×区分の人気』」の節に沿って、写真をそろえて見積もりを取ります。

この記事で紹介した銘柄

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。