飲み方の基本

ウイスキーの美味しい飲み方|比率と手順を銘柄別に解説

ハイボール、水割り、トワイスアップ、お湯割りなどの比率を、サントリーとニッカの公表値をもとに一覧で紹介。出来上がり度数の目安、湯温や氷の扱い、加水で香りが開く仕組みまで、おいしく作るためのポイントがわかります。

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ウイスキーの飲み方一覧|メーカー公表の比率と出来上がり度数の早見表

ウイスキーの飲み方は、何で割るか、何対何で割るか、氷を入れるかの3つで決まります。比率は、サントリーとニッカウヰスキーがそれぞれ公表している目安を基準にします。出来上がり度数は、氷が溶ける前の計算値です。

飲み方割り材・比率(ウイスキー:割り材)出来上がり度数(40%の場合)要点
ストレートなし(チェイサーを添える)40%少量の水を足して香りの変化を見る
トワイスアップ常温の水 1:1、氷なし約20%香りを確かめるための飲み方
オン・ザ・ロック氷のみ40%から徐々に下がる大きな氷を使うと溶けにくい
ハーフロック水 1:1+氷約20%から下がるロックより穏やか
水割り水 1:2~2.5(サントリー)/1:2(ニッカ)約13~11%氷が溶けてさらに薄まる
ハイボール炭酸水 1:3~4(サントリー)/1:3(ニッカ)約10~8%炭酸水は冷やして静かに注ぐ
ミストクラッシュアイスに注ぐ溶け方で変わる冷たさと口当たりを楽しむ
ウイスキーフロート水の上にウイスキーを浮かべる層ごとに変わる混ぜずに上から順に飲む
ホットウイスキー80℃前後の湯(湯温はサントリーの目安)1:2なら約13%沸騰直後の湯は使わない
ジュース割りジュース 1:3~4が目安1:3なら約10%果汁の甘さと酸味で調整する

ハイボールの比率がメーカーで違う理由

サントリーは1:3~4、ニッカは1:3を目安にしています。比率が違うのは、どちらかが間違っているからではありません。それぞれが想定している銘柄の香味の強さや、仕上がりの濃さが違うためです。比率の調整は、「ハイボールと水割りを美味しく作る手順」の章で説明します。

トワイスアップとストレートは「香りを確かめる」飲み方

トワイスアップは、常温の水とウイスキーを1:1で合わせ、氷を入れない飲み方です。ストレートから少しずつ加水してトワイスアップへ進める詳しい手順は、次の章で説明します。

ホットウイスキーは湯の温度に気をつける

サントリーは、お湯割りの湯温を80℃前後としています。沸騰直後の湯を使うと、アルコールの蒸気が鼻を強く刺激し、香りが飛びやすくなります。沸かした湯をいったん別の器に移すと、温度を下げやすくなります。

元の度数と氷で、仕上がりは変わる

表の度数は40%のウイスキーで計算した値です。ウイスキーがすべて40%以上というわけではありません。たとえば角瓶は40%、ブラックニッカ クリアは37%です。37%のウイスキーを1:3で割ると約9.3%になり、同じ比率でも少し軽く仕上がります。また、ロック、ハーフロック、水割り、ミストは、氷が溶けるにつれて表の数値より薄くなります。濃さを保ちたいときは、溶けにくい氷を使い(氷の選び方は「よくある質問」を参照)、早めに飲み切ります。

割っても、飲むアルコールの量は減らない

水や炭酸で割ると度数は下がりますが、グラスに注いだウイスキーに含まれる純アルコールの量は変わりません。40%のウイスキー30mlに含まれる純アルコールは約9.5g(30ml×0.40×エタノールの比重約0.79)です(厚生労働省の資料では、43%のウイスキー60mlで約20gとしています)。ハイボールは飲みやすいぶん、杯数が増えがちです。量を管理するには、ジガー(計量カップ)で1杯30mlと決め、何杯飲んだかを数えるのが確実です。

なぜ水で香りが開き、冷やすと閉じるのか|度数・温度・グラスの仕組み

ウイスキーのイメージ写真

加水で香りが立つのは、刺激が弱まり、香りの出方も変わるから

40%前後のウイスキーをストレートで嗅ぐと、まず揮発したエタノールが鼻の粘膜を刺激します。このツンとした感覚が、ほかの香りを覆い隠します。水を加えると香りが立つ理由は二つあります。一つは、度数が下がって刺激が弱まり、樽に由来するバニラの香りや、発酵でできるエステル(果実のような香りの成分)を感じ取りやすくなることです。もう一つは、揮発のしかたそのものが変わることです。度数が下がるとエタノールと水の混ざり方が変わり、グアイアコール(スモーキーな香りの成分の一つ)のように水になじみにくい香気成分が液面近くに集まりやすくなることが、研究で示されています。液面に集まった成分はグラスの中へ揮発しやすく、香りとして立ちます。ただし、加えた水は取り除けません。入れすぎると、香りは開くのではなく、ただ薄まります。

「水を一滴」は、香りが変わる地点を探す作業です。家では次の手順で進めます。

  1. テイスティンググラスに30mlを注ぎ、ストレートで香りと味を確かめる
  2. 常温の水をスポイトかティースプーンの先で数滴加え、グラスを軽く回してから嗅ぐ
  3. 刺激が引き、果実や甘い香りが前に出てきたら、そこが目安。香りが平板になったら、一つ前の濃さが適量

度数の高いカスクストレングス(加水せずに瓶詰めしたもの)ほど、少量の水で印象が大きく変わります。40%前後のボトルは数滴では変化が小さいことがあります。その場合は、前の章で触れたトワイスアップまで進めます。

トワイスアップは評価の場での嗅ぎ方に近い

ブレンダーや評価者がノージング(香りを嗅いで確かめること)を行うときも、原酒を水で割り、度数を下げてから嗅ぐのが一般的です。高い度数のまま嗅ぎ続けると鼻が疲れ、香りの違いを判別できなくなるためです。トワイスアップで度数がおよそ20%まで下がると、アルコールの刺激で隠れていた香りを感じ取りやすくなります。割り水には常温の水を使い、氷は入れません(温度による違いは次の表のとおりです)。水はにおいのない軟水を選びます。塩素のにおいが残る水道水は、繊細な香りを邪魔します。

温度で変わるもの|ストレートとロックは役割が違う

温度香り味の感じ方向く飲み方
常温(手でグラスを包む程度まで)立ちやすい甘みも刺激もはっきり感じるストレート、トワイスアップ、加水
氷で冷やす立ちにくい甘みも刺激も弱く感じるロック、ミスト

ロックは香りを嗅ぎ分けるための飲み方ではありません。冷たさと、とろりとした口当たりを楽しむ飲み方です。香りを確かめたいボトルは常温で、刺激を抑えて飲みたい日はロックで、と目的で使い分けます。

冷やすと白く濁るのは品質の問題ではない

冷やしたり水を加えたりすると白く濁ることがあります。熟成中に溶け込んだ脂肪酸エステルなどの成分が、温度や度数が下がって溶けきれなくなるためです。冷却濾過(瓶詰め前に原酒を低温にし、これらの成分を濾し取る処理)をしていないボトルで起きやすく、温度が戻ると透明に戻ることが多い現象です。冷却濾過をしない銘柄は、濁りが出にくい46%以上で瓶詰めされる例が多く見られます。ラベルの「ノンチルフィルタード(Non-Chill Filtered)」という表示が手がかりになります。表示のない銘柄は、濾過の有無を公式情報で確かめます。

グラスは飲み方の目的で選ぶ

グラス形その形が向く理由向く飲み方
テイスティンググラス(チューリップ型)胴が膨らみ、口がすぼまる揮発した香りが口元に集まるストレート、トワイスアップ、加水
ロックグラス厚手で口が広く、底が重い大きな氷が入り、手の熱が伝わりにくいロック、ハーフロック
タンブラー細長く背が高い液面が狭く、炭酸が抜けにくいハイボール、水割り

チューリップ型のグラスがなければ、口のすぼまった小ぶりのワイングラスで代用できます。

シングル・ダブルの量と、家での量り方

一般に、シングルは約30ml、ダブルは約60mlとされます。ただし量は店によって違い、英国のパブでは25mlか35mlが単位として定められています。量が気になるときは、注文の際に「シングルは何mlですか」と尋ねれば確かめられます。家では、30mlと45ml、または30mlと60mlの目盛りを両端に持つジガー(メジャーカップ)を使います。毎回同じ量を注げるので加水の比率もそろい、香りの違いを比べやすくなります。

ハイボールと水割りを美味しく作る手順|よくある失敗と理由

ハイボールも水割りも、比率が同じでも作る順番で味が変わります。どちらも、注ぐ前にグラスと氷を冷やしきることが要になります。

ハイボールの手順

  1. タンブラーの縁近くまで氷を入れ、マドラーで回してグラスを冷やす
  2. グラスの底にたまった水を捨てる
  3. ウイスキーを注ぎ、マドラーで十数回ほど回して冷やす
  4. 冷蔵庫でよく冷やした炭酸水を、氷に当てないようグラスの内側に沿わせて静かに注ぐ
  5. マドラーを底まで差し入れ、氷を持ち上げるように縦に1回だけ混ぜる

手順2で水を捨てるのは、溶けた水がそのまま割り材に加わり、比率が崩れるためです。手順3でウイスキーを先に冷やしておくと、炭酸水を注いだときに液温が上がりにくくなります。手順4と5は、ニッカが案内している作り方に沿っています。炭酸ガスは、氷の表面や細かな凹凸に触れると泡になって抜けます。氷に当てずに注ぐのはこのためです。

よくある失敗と、その理由

失敗起きること理由対策
常温の炭酸水を使う水っぽく、気が抜けた味になる炭酸ガスは温度が高いほど水に溶けにくく、注いだ時点から抜けていく。液温が高いぶん氷も早く溶ける炭酸水は冷蔵庫で冷やしておく。開栓後は早めに使い切る
何度もかき混ぜる泡が立たず、口当たりが平板になるマドラーの動きが泡の発生源になり、ガスを追い出す。炭酸水は注ぐ勢いで自然に混ざる縦に1回だけ混ぜる
氷が少ない数分で味がぼやける氷が少ないとグラスと液体を冷やしきれず、残った氷が速く溶けて薄まる。炭酸も抜けやすくなるグラスの縁近くまで氷を詰める
割り材が多すぎる香りも味も薄い度数の低い銘柄や香りの穏やかな銘柄ほど、割り材を増やすと香味が埋もれる下の基準で比率を決める

比率の決め方は、ボトルの度数と、何を残したいかで判断します。

  • 37%のブラックニッカ クリアなど度数が低めの銘柄:ハイボールは1:3寄りにする。1:4では香りが残りにくい
  • 40%の角瓶など:まず1:3で作り、食事に合わせて軽くしたい日は1:4まで広げる
  • 香りが物足りない、水っぽいと感じたとき:次の1杯は炭酸水を減らして1:2.5にする
  • 水割りで香りを残したい:サントリーの目安(1:2~2.5)のうち1:2寄り、ニッカの目安(1:2)どおりにする。氷が溶けて薄まる分も見込んでおく

水割りの手順

  1. グラスに氷をたっぷり入れて冷やし、溶けた水を捨てる
  2. ウイスキーを注ぎ、マドラーで13回転半混ぜて冷やす
  3. 減った分の氷を足す
  4. 冷やした水を注ぎ、マドラーで3回転半混ぜる

手順2と4の回数は、サントリーが水割りの作り方として案内しているものです。水割りは、ハイボールと違ってしっかり混ぜます。炭酸の抜けを気にする必要がないうえ、度数の違う液体は混ぜないと層に分かれやすいためです。手順3で氷を足すのは、手順2で溶けた分を補い、グラスを冷えた状態に保つためです。水は、前の章で触れた軟水を使います。

家飲みの定番2本の特徴

角瓶は700ml・アルコール分40%です。サントリーは、山崎・白州蒸溜所のバーボン樽原酒を配合していると公表しています。バーボン樽は、米国でバーボンの熟成に一度使われた、主にアメリカンホワイトオークの樽です。内側の焦げた層(チャー)とその下の熱分解された層からバニリン由来の甘い香りが残っており、この樽で熟成した原酒はバニラのような甘い香りを持ちやすく、炭酸で割っても香りの芯が残ります。新樽で熟成させるのはバーボン本体の側で、スコッチや日本の蒸溜所はその中古樽を受け継いで使います。受け継いで初めてウイスキーを詰めるファーストフィルの樽は、2回目以降のリフィルの樽より樽の香味が強く出ます。

ブラックニッカ クリアは700ml・アルコール分37%で、ノンピートモルト(ピートでいぶしていない麦芽)とグレーンスピリッツを使っています。ピート由来のスモーキーな香りがないため、ウイスキーの煙たさが苦手な人や、来客に出す一杯にも向きます。2026年春に、ボトルのデザインが刷新されています。

銘柄の個性から飲み方を選ぶ|樽・ピート・度数で決める判断表

ウイスキーのイメージ写真

飲み方を選ぶ手がかりは、そのウイスキーの香味がどの工程から来ているかです。判断する軸は3つあります。1つ目はピート(麦芽を乾かすときに焚く泥炭)の煙に由来するスモーキーさ、2つ目は樽の種類(バーボン樽、シェリー樽、内側を焦がした新樽)、3つ目はボトルの度数です。香りを生む成分がどれだけの量含まれ、どれほど低い濃度で感じ取れるか(閾値)によって、割り材や炭酸、氷にどこまで耐えるかが決まります。

タイプ(例)香味の由来向く飲み方避けたい扱い
スモーキーなアイラモルト(アードベッグ 10年)ピートの煙に含まれるフェノール類ハイボール、ストレートに少量の加水割り材の入れすぎ
フルーティーで軽いスペイサイドモルト(グレンフィディック 12年)発酵と蒸溜でできるエステル(果実のような香りの成分)トワイスアップ、ストレートに少量の水割り材の入れすぎ(1:4以上)、強炭酸
シェリー樽の個性が出る銘柄(アベラワー 12年 ダブルカスクマチュアード、グレンファークラス 12年)シェリー樽由来のドライフルーツやナッツの甘い香味ストレート、トワイスアップ氷で冷やしすぎる
高い度数でボトリングされた銘柄(グレンファークラス 105、60%)度数の高さによる刺激と香味の密度ストレート+チェイサー、数滴ずつ加水いきなり大量の水を加える
バーボン(ウッドフォードリザーブ)内側を焦がした新樽由来のバニラやキャラメルロック、ハイボール特になし
ブレンデッド(イチローズモルト モルト&グレーン クラシカルエディション、海外の原酒を含むワールドブレンデッド)モルト原酒とグレーン原酒の組み合わせ水割り、ハイボール特になし

スモーキーなモルトは、炭酸で割っても個性が残る

アードベッグ 10年のようなアイラモルトのスモーキーさは、麦芽を乾燥させるときにピートの煙を当て、煙の中のフェノール類を麦芽に吸着させることで生まれます。ただし、麦芽のフェノール値(ppm)がそのまま原酒に残るわけではなく、蒸溜でかなり減ります。重いフェノール類は本留の後半に多く出るため、ミドルカット(製品として取り分ける範囲)を遅めまで取る蒸溜所ほど、ニューメイク(蒸溜直後の原酒)にスモーキーさが残ります。フェノール類は低い濃度でも感じ取りやすい成分なので、炭酸で割って薄めても煙の印象は消えにくく、泡が弾けるたびに香りが鼻へ運ばれます。「シングルモルトをハイボールにするのはもったいない」とよく言われますが、このタイプには当てはまりません。一方で、煙の奥にある甘さや果実の香りは、ストレートに水を数滴加えると確かめやすくなります。ハイボールで飲む日と、加水して飲む日を分けると、同じボトルの二つの面を楽しめます。

軽いスペイサイドは、薄いハイボールにしない

グレンフィディック 12年のような軽くフルーティーな香りは、主にエステル類から来ています。軽い銘柄は香りの総量がもともと多くないため、割り材を増やすほど果実の香りが感じ取れる濃さ(閾値)を下回りやすくなり、強い炭酸の刺激や冷たさにも隠れます。低い濃度でも感じ取りやすいフェノール類が主役のスモーキーなモルトとは、ここが違います。まずはトワイスアップか、ストレートに少量の水を加えて飲みます。香りを確かめたあとでハイボールにするなら、割り材は1:3までにとどめ、強炭酸を避けます。なお、グレンフィディック 12年はアメリカンオーク樽とシェリー樽で熟成した原酒を合わせて造られています。「軽い」は樽の影響が少ないという意味ではなく、香りの出方が穏やかで、果実の香りが前に出る構成だということです。

シェリー樽の銘柄は、冷やしすぎると香りが閉じる

アベラワー 12年 ダブルカスクマチュアードは、トラディショナルオーク樽(バーボン樽など)とシェリー樽で熟成した原酒を合わせています。グレンファークラス 12年は、シェリー樽で熟成した原酒を主体に造られています。現在ウイスキーに使われるシェリー樽の多くは、ソレラ(シェリーの熟成システム)から払い出された古樽ではなく、ウイスキー用に樽材を選んで組み、シェリーを一定期間入れて染み込ませたシーズニング樽です。樽材がヨーロピアンオークかアメリカンオークか、シーズニングに使ったのがオロロソ(辛口で酸化熟成させたシェリー)かPX(ペドロ・ヒメネス、極甘口のシェリー)か、ファーストフィル(シェリーを抜いて初めてウイスキーを詰めた樽)かリフィルかで、香味は大きく変わり、ファーストフィルほど色と香味が濃く出ます。シェリー樽に由来するドライフルーツやナッツのような香味は、ヨーロピアンオーク由来のタンニンや、樽に染み込んだシェリーの糖分・色素成分といった揮発しにくい成分が骨格をつくっています。そのため氷で冷やすと香りが閉じ、甘さも感じにくくなります。こうした銘柄はストレートかトワイスアップを基本にし、手でグラスを包んで少し温めながら飲むと、香りが段階的に開きます。

高度数の銘柄は、香りが変わる地点を探す

グレンファークラス 105は60%でボトリングされています(名前は英国の旧プルーフ表記105に由来)。ストレートではアルコールの刺激が香りを覆うため、チェイサーを用意し、最初の加水は1~2滴から始めます。1:1のトワイスアップにしても約30%で、40%のボトルを同じ1:1にした約20%よりまだ濃いため、40%のボトルと同じ感覚で水を足すと刺激が残ります。

バーボンとブレンデッドは、冷やしても割っても崩れにくい

バーボンは、内側を焦がした新樽で熟成させる決まりがあります。焦げた層の下で熱分解された木材から、バニラ香の元になるバニリンやキャラメルのような香味が溶け出します。ウッドフォードリザーブのこうした甘い香りは、成分の量が多く、冷やしても残りやすい性質があります。そのため、冷たさと甘さを両立できるロックや、甘さを炭酸で軽くするハイボールに向きます。

イチローズモルト モルト&グレーン クラシカルエディションは、海外の原酒を含むワールドブレンデッドで、度数は48%です。個性の強いモルト原酒を、軽いグレーン原酒が支える構成です。初めから全体のバランスを取って造られているので、水割りやハイボールにしても香りのバランスが崩れにくいタイプです。度数が高いぶん、水割り・ハイボールは1:3.5~4でも香味が残ります(1:4で約9.6%と、40%のボトルを1:3で割った約10%に近い濃さ)。来客に出す一杯にも使いやすいタイプです。

表は目安。最後は一杯ずつ試して決める

同じ銘柄でも、熟成年数が違えば香味は変わります。同じ年数表記でも、ボトリングの時期(ロット)によって、使われた樽の構成や香りの出方が変わることがあります。表は出発点として使い、手元のボトルの香りに合わせて割り方や比率を決めます。

「水割りやハイボールは邪道」は本当か|通説・表示・適量の確認

「本場ではストレートかロックだけ」は実態と違う

スコッチの産地でも、ストレートに少量の水を加えて香りを確かめる飲み方は広く行われています。前の章で触れたとおり、評価の場でも度数を下げてから嗅ぐのが一般的です。一方、ハイボールや水割りは、食事と合わせて長く飲む飲み方として日本で広く根づきました。どの飲み方が正しいかではなく、目的が違うだけです。

目的向く飲み方
香りの構成を確かめるストレート、少量加水、トワイスアップ
食事と合わせる、軽く長く飲むハイボール、水割り
冷たさと口当たりを楽しむロック

もったいないのは、香りを確かめたいボトルを最初から薄く割ってしまう場合です。香りを確かめてから割れば(手順は「なぜ水で香りが開き、冷やすと閉じるのか」の章)、最終的にどの飲み方を選んでも、そのボトルの香りを知らないまま飲むことにはなりません。

来客や外国人の知人に出すとき

  • 最初に聞くこと:普段どう飲んでいるか、煙たい香りは平気か
  • 用意する選択肢:ストレート(チェイサー付き)、少量加水、ハイボールの3つ
  • 準備するもの:常温の軟水とスポイト、冷やした炭酸水、多めの氷

日本のハイボールは、作り方そのものが話題になります。「ハイボールと水割りを美味しく作る手順」の章の手順で目の前で作って見せると、日本の飲み方を説明するきっかけになります。

「ジャパニーズウイスキー」と紹介する前に確かめる

国内で売られているウイスキーが、すべてジャパニーズウイスキーというわけではありません。日本洋酒酒造組合は自主基準で、「ジャパニーズウイスキー」と表示できる条件を定めています。

  • 糖化・発酵・蒸溜を国内で行う
  • 700L以下の木製樽に詰め、国内で3年以上貯蔵する
  • 国内で瓶詰めし、その時点で40度以上
  • このほか原材料などの要件

国内のメーカーが海外の原酒を合わせて造る製品もあります。たとえば前の章で挙げたイチローズモルト モルト&グレーン クラシカルエディションは、海外の原酒を含むワールドブレンデッドで、この基準には当たりません。贈り物やもてなしで「日本のウイスキー」と紹介するときは、ラベルの表示かメーカーの公式情報で、基準に沿った表示があるかを確かめます。

バーでの頼み方

銘柄、飲み方、量の順に伝えると、一度で通じます。

  • 例:「グレンファークラス 12年を、ストレートで、シングルでお願いします」
  • 「チェイサーもください」「加水用の水を少し別で添えてください」と頼んでかまいません。水を別でもらえば、自分で数滴ずつ濃さを調整できます
  • 銘柄が決まらないときは、「スモーキーでないもの」「ハイボールに向くもの」のように好みを伝えます

適量とチェイサー

冒頭の章で触れた純アルコール量を前提に、チェイサーでペースを落とします。チェイサーは口直しのためだけのものではありません。一口ごとに水を挟むと、飲むペースが自然に落ちます。ウイスキー1杯にチェイサー1杯を合わせて出すと決めておくと、杯数を抑えやすくなります。

開栓後の保管

  • 直射日光と高温を避ける:光と熱は香りの劣化を早めます。窓際、コンロや暖房器具の近くには置きません
  • ボトルは立てて置く:寝かせると度数の高い液体がコルクに触れ続け、コルクが傷んで崩れたり、においが移ったりしやすくなります
  • 残りが少なくなったら早めに飲み切る:瓶の中の空気が増えると、酸化が進み、揮発しやすい香りも抜けて、香りが変わりやすくなります。小さな瓶に移し替えて空気の量を減らす方法もあります

よくある質問

ウイスキーのイメージ写真

家の製氷皿で作った氷と市販のロックアイスで、仕上がりは変わりますか。

変わります。市販のロックアイスは時間をかけて凍らせるため、空気や不純物が少なく、透明で硬く、溶けにくい氷になります。家庭の製氷皿の氷は空気を含んで白く濁りやすく、割れやすく溶けやすいため、水割りやハイボールが早く薄まります。冷凍庫のにおいも移りやすいので、ロックやハイボールには市販の氷が向きます。

ハイボール用の炭酸水は、ガス圧の強いものと弱いもの、どちらを選ぶべきですか。

銘柄の香りの強さで選びます。炭酸ガスは、ウイスキーと合わせた時点で薄まり、注ぐときや氷に触れたときにも抜けるため、ガス圧の強い炭酸水のほうが飲み終わりまで泡が残りやすくなります。角瓶のように炭酸で割ることを前提にした銘柄や、スモーキーなモルトには強めの炭酸水が合います。一方、軽くフルーティーな銘柄は強い炭酸の刺激に香りが隠れやすいため、ガス圧の穏やかなものを選びます。どちらの場合も、炭酸水はよく冷やし、開栓したらすぐに使います。

グラスの洗い方で、ウイスキーの味は変わりますか。

変わります。洗剤の成分や油膜がグラスに残ると、ハイボールではグラスの内側に泡が付いて炭酸が抜けやすくなり、ストレートでは洗剤のにおいが香りを邪魔します。洗ったあとはぬるま湯で十分にすすぎ、自然乾燥させるか、糸くずの出にくいクロスで拭きます。布巾や食器棚のにおいが移ることもあるので、保管場所にも気をつけます。

スクリューキャップとコルク栓で、保管の注意は違いますか。

違います。コルク栓は天然素材のため、長く置くうちに乾いて縮んだり、崩れやすくなったりすることがあります。すき間ができると中身が少しずつ蒸発し、液面が下がる原因になります。開けるときはねじりながらゆっくり引き抜き、コルクが崩れた場合は替えの栓に交換します。スクリューキャップは密閉性が安定していますが、開栓後に瓶の中の空気が増えると香りが変わりやすくなる点は、コルク栓と同じです。どちらも、立てて置き、残りが少なくなったら早めに飲み切ります。

出典・参考にした情報

この記事で紹介した銘柄

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。