飲み方の基本

タリスカー10年のスパイシーハイボール|黒胡椒の量と比率の決め方

タリスカー10年30mlに強炭酸60〜90mlを合わせ、黒胡椒をミル1〜2回転振るスパイシーハイボールの作り方を解説。比率の目安、胡椒を振る位置、45.8%の度数が活きる理由まで分かります。

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タリスカー10年とスパイシーハイボールの基本:仕様と生まれた経緯

結論から書きます。編集部がすすめる基本の1杯は次のとおりです。

  • タリスカー10年30mlに、よく冷えた強炭酸60〜90ml(1:2〜3、迷ったら1:2.5)
  • マドラーで軽くなじませた後、粗挽きの黒胡椒をミル1〜2回転
  • 胡椒は泡の上へ振り、挽きたてのうちに飲む

比率は、輸入元のMHDが提案する範囲に収まっています。胡椒を泡の上に振る方法は編集部のおすすめで、MHDの提案とは異なります(後述)。

タリスカー10年の基本仕様

項目内容補足
度数45.8%スコッチの法定最低度数40%(SWR 2009)より高い
容量700ml日本で流通する標準サイズ
熟成樽主にアメリカンオークのバーボン樽バニラやココナッツに似た甘さが、スモークの受け皿になる
麦芽中程度のピート(フェノール値18〜22ppmとされる)ppmはピート由来の香り成分の濃さ。公式の数値は未確認

ハイボールで効いてくるのは45.8%という度数です。炭酸水を3倍量加えても、計算上のアルコール度数は11%台に残ります。40%のボトルを同じ比率で割るより香味の骨格が崩れにくく、ピートのスモークとバーボン樽の甘さが炭酸に負けません。

冷却濾過は、ウイスキーを冷やしてから濾過する処理です。加水や氷で白く濁る原因になる成分を取り除きます。除かれるのは、長鎖脂肪酸のエチルエステルなどの脂肪酸エステルです。これらの成分は、おおむね46%を下回る度数で冷やすと析出しやすくなります。そのため、処理が必要かどうかは46%前後が目安とされます。10年の45.8%はこの目安をわずかに下回りますが、処理の有無をメーカーは公表していません。

着色は、SWR 2009で色の調整を目的とするスピリッツカラメル(E150a)に限って認められています。ただし、10年での使用はメーカーが公表していないため、断定はできません。

蒸溜所の場所と所有

蒸溜所はスコットランド西岸、スカイ島のカーボストにあります。1830年に、ヒュー・マカスキルとケネス・マカスキルの兄弟が創業しました。現在の所有者はディアジオです。日本での輸入販売は、ディアジオとLVMHが組んだ合弁会社のMHD モエ ヘネシー ディアジオが担っています。

よく見かける2つの誤り

  • 「ディアジオはLVMHの傘下」は誤りです。ディアジオは独立した酒類企業で、LVMHと組んでいるのは流通を担う合弁会社のMHDです。
  • 「ワームタブ(水槽に銅管を沈めた冷却器)は海水で冷やしている」も誤りです。冷却水はカーボスト川の水です。海辺の立地から生まれた俗説とみられます。

スパイシーハイボールが生まれた経緯

スパイシーハイボールは、タリスカーのハイボールの上に黒胡椒をひと振りする飲み方です。MHDが提案しており、2018年3月20日から全国で「タリスカー スパイシーハイボールキャンペーン」を行ったことで広まりました。

MHDの提案として紹介されている作り方は、次の3点です。

  • ソーダは氷に当てないように注ぐ
  • ウイスキーとの比重の違いで自然に混ざるので、かき混ぜない
  • 最後に黒胡椒を氷の上に1〜2プッシュ(ひとつまみ程度)振る

この記事の手順では、編集部のおすすめとして別の方法を紹介します。マドラーで軽くなじませてから、胡椒を泡の表面に振る方法です。泡の上に振ると、口元に上がる香りの段階で胡椒とピートのスモークが重なります。

  • 家庭:胡椒は飲む直前に挽きます。挽いてから時間がたった粉末は香りが飛んでいて、辛さだけが残ります。
  • バー・飲食店:定番メニューにするなら、ミルの挽き目を粗挽きに固定し、1杯あたりの回転数(例:1〜2回転)をレシピに明記します。こうすると、作る人が替わっても仕上がりがぶれません。
  • 酒販店:「度数が高く、割っても味が薄まりにくいシングルモルト」と伝えると、ハイボール用に探している客に届きやすくなります。
  • 外国人客:日本で広まった提案型の飲み方です。英語なら「Talisker highball with a crack of black pepper」と伝えると通じます。

なぜ黒胡椒が合うのか:タリスカーの「スパイシーさ」を製法からひもとく

ウイスキーのイメージ写真

タリスカーの「胡椒っぽさ」は、ひとつの工程だけで生まれるものではない。中程度のピート、還流を強めた初溜、銅との接触が少ない冷却、バーボン樽の甘み、45.8%という度数が重なって、舌を刺す辛味の印象ができる。黒胡椒は、その輪郭を外側からなぞる役を担う。

麦芽:ピートは「中程度」

麦芽のフェノール値は18〜22ppmとされる。メーカーの公式値は確認できていない。フェノール値は、ピートを焚いて乾燥させた麦芽に含まれるスモーク由来成分の量の目安だ。アイラ島の強いピートの銘柄はこれを上回る数値で語られることが多く、煙が香味の中心に座る。タリスカーでは煙は前に出すぎず、潮気や辛味と並ぶ要素の一つにとどまる。なお、この数値は麦芽の段階のものだ。蒸溜とミドルカット(製品に使う中留部分の切り出し)を経た原酒に残るフェノールは、ずっと少ない。ppmだけでスモーキーさの強弱は比べられない。

糖化と発酵:木製の発酵槽

粉砕した麦芽を湯と合わせて糖化し、得た麦汁(ウォート)を酵母で発酵させて、蒸溜の元になるもろみ(ウォッシュ)をつくる。タリスカーの発酵槽(ウォッシュバック)は木製だ。発酵時間の公式値は確認できていない。

一般に、木製の槽はステンレス槽より洗浄で菌を落としきりにくい。発酵の後半には、槽に住み着いた乳酸菌が働きやすいとされる。これがエステル(果実を思わせる香り成分)など香味の幅に関わると考えられている。

蒸溜:U字のラインアームとピュリファイアー

ポットスチル(単式蒸溜器)は5基あり、初溜が2基、再溜が3基。初溜釜のラインアーム(釜の頭から冷却器へ蒸気を送る管)はU字に曲がっている。その最も低い位置にピュリファイアー(還流を促す装置)が付く。管の底で冷えて液体に戻った重い成分は、ピュリファイアーを通って釜へ戻される。初溜の段階で、油っぽく重すぎる成分をふるいにかける仕組みだ。

冷却:屋外の木製ワームタブ

冷却は屋外にある5基の木製ワームタブ(蛇管を水槽に沈めた旧式の冷却器)で行う。一般に、ワームタブは現在主流のシェル&チューブ式より、蒸気が銅に触れる面積が小さい。銅には硫黄化合物などを取り除く働きがあるため、接触が少ないほど厚みのある重い香味が残りやすいとされる。還流で重さを削る工程と、冷却で重さを残す工程は逆向きに働く。どちらにどれだけ寄せるかが、蒸溜所ごとの骨格を決める。

熟成と度数:刺激を受け止める土台

熟成には主にアメリカンオークのバーボン樽を使う。樽から来るバニラや甘みが、煙と潮の香りの受け皿になる。甘みの土台があるので、上から胡椒の刺激を足しても味が尖りきらない。シェリー樽の重い甘さではなく軽いバニラ系の甘さなので、炭酸の軽さとも噛み合う。

度数の45.8%も効いている。ソーダで割ったときの度数を、40%の銘柄と比べると次のとおり。氷が溶ける分は含めていない。

ウイスキー:炭酸水タリスカー10年(45.8%)40%の銘柄
1:2約15.3%約13.3%
1:3約11.5%10.0%

同じ比率でも度数が1.5〜2ポイント高く、香味成分もその分多く残る。1:3まで伸ばしても痩せにくいのはこのためだ。40%の銘柄で同じ飲みごたえを狙うなら、1:2寄りに詰める必要がある。

黒胡椒の側の仕組み

黒胡椒の辛味の主成分はピペリンで、舌に来る刺激を担う。香りのほうは、挽いたときに立つ揮発成分が担う。揮発成分は空気に触れると時間とともに飛ぶため、挽き置きの粉では辛さは出ても香りが弱い。

  • ミルを使い、注ぎ終えたグラスの真上で挽いてすぐ出す。店では挽き置きの粉を使わず、1杯ごとに挽く
  • 粗めに挽くと粒が液面にとどまり、口を近づけるたびに香りが立ちやすい
  • 胡椒の香りが先に来て、タリスカーの煙や潮気が隠れたら振りすぎ。量の決め方は次の節で扱う

タリスカーを「胡椒のよう」と表すのは香味の描写で、胡椒と同じ成分が含まれると確かめられたわけではない。黒胡椒は、原酒が持つ刺激の方向を外から強める組み合わせと捉えるのが正確だ。

バーボンやライウイスキーで語られるスパイシーさは原料のライ麦に由来し、タリスカーとは出どころが違う。シングルモルトであるタリスカーの原料は大麦麦芽だけで、辛味の印象はピート、蒸溜、冷却、樽の重なりから生まれる。ライ麦由来のスパイシーさは、ライウイスキーとバーボンの比較記事(/rye-whiskey-vs-bourbon-complete-comparison-spicy-vs-sweet/)で詳しく扱っている。

作り方の手順:比率・温度・黒胡椒を振るタイミング

基本の6ステップ

以下は編集部がすすめる手順だ。手順5でマドラーを使うことと、泡の上に胡椒を振ることは、MHDの提案には含まれない。MHDの提案どおりに作るなら、手順5を省き、最後に氷の上へ黒胡椒をひと振りする。

  1. グラスに氷を縁まで詰め、マドラーで10回ほど回してグラスそのものを冷やす。
  2. グラスの底に溜まった溶け水を捨てる。残すとその分だけ薄まり、ぬるい水が炭酸を抜く原因にもなる。
  3. タリスカー10年を注ぎ、マドラーで軽く回してウイスキーを冷やす。沈んだ分の氷は足しておく。
  4. よく冷えた強炭酸のソーダを、氷に当てないようにグラスの内側に沿わせて注ぐ。氷の表面の凹凸に当たると、そこで気泡が一気に生まれて炭酸ガスが逃げる。
  5. マドラーを底まで差し込み、氷を縦に1回だけ持ち上げて下ろす。何度も回すと炭酸が抜けるので、ウイスキーとソーダがなじむ最低限の動きで止める。
  6. 最後に黒胡椒をひと振りする。

比率ごとの度数と味の出方

輸入元のMHDが提案する比率は、タリスカー1に対して炭酸水2〜3。まずこの幅の中で調整する。度数45.8%の10年を30ml使う場合、計算上の度数は次のとおり。実際には氷が溶けて水が加わるので、飲み進めるうちにこの数字よりさらに下がる。

比率(ウイスキー:ソーダ)計算上の度数煙・潮・胡椒の感じ方向く場面
1:2(30ml:60ml)約15.3%煙と潮気が太く残り、胡椒の辛味とぶつかり合う。余韻が長い1杯目にじっくり。脂の多い肉料理に合わせる
1:2.5(30ml:75ml)約13.1%煙が一歩引き、潮気と胡椒の香りが前に出る初めて飲む人や贈った相手に勧める基準の1杯
1:3(30ml:90ml)約11.5%煙は輪郭程度。胡椒の香りと炭酸の切れが主役になる食中酒として長く飲む。店の定番メニュー

迷ったら1:2.5で作り、煙が物足りなければソーダを減らし、重ければ増やす。1杯ごとに5〜10ml単位で動かすと、好みの位置が見つけやすい。店で出すならジガーで量り、比率をレシピに固定しておくと、誰が作っても同じ味になる。

シングルとダブルの量とグラス容量

氷を縁まで詰めると、グラス容量のおよそ半分を氷が占める。液量の約2倍の容量があれば、泡が縁からこぼれず、胡椒を乗せる余白も残る。

  • シングル(30ml):ソーダ60〜90mlで液量90〜120ml。240〜300ml程度のグラスが合う。
  • ダブル(60ml):ソーダ120〜180mlで液量180〜240ml。400ml前後のグラスが必要になる。300mlのグラスでダブルを作るなら1:2が上限で、それ以上ソーダを入れると氷が足りずに温度が上がる。

黒胡椒は粗挽き、挽きたて、混ぜた後

黒胡椒の香りは、挽いた直後から飛んでいく。挽き置きの粉ではなく、ミルで粗挽きにした挽きたてを使う。細かすぎると液面で湿って沈みやすく、辛味だけが舌に残る。量はひと振り(ミル1〜2回転)から始め、足りなければ2杯目で増やす。多すぎると、タリスカー自体の胡椒を思わせる余韻が隠れてしまう。

編集部では、胡椒を振るのは混ぜた後をすすめる。泡の上に乗せると、口を近づけた瞬間に胡椒の香りが先に届き、その後に煙と潮気が続く順番になる。混ぜる前に入れたり、振った後にかき混ぜたりすると粒が沈み、香りより辛味が勝つ。なお、MHDの提案は、混ぜずに最後に氷の上へ黒胡椒をひと振りする方法だ。

グラスの選び方と温度

  • 香りを拾いたい場合:口がやや狭いハイボールグラス。立ちのぼる煙と胡椒の香りが口元に集まり、炭酸も抜けにくい。
  • 胡椒を乗せる面を広く取りたい場合:口の広いタンブラー。粒が液面に散って見た目が映え、ひと口ごとに胡椒の香りが入る。店で見せる1杯にも向く。
  • 温度:ウイスキー・ソーダ・グラスのすべてを冷やしておく。常温のソーダは注いだ瞬間に氷を溶かし、薄まるうえに炭酸も抜ける。ソーダは冷蔵庫で冷やし、開栓したらすぐに使い切る。

よくある失敗と、場面ごとの使い分け(肉料理・キャンプ・店のメニュー)

ウイスキーのイメージ写真

失敗の原因は5つに絞れる

スパイシーハイボールがまずく感じるとき、原因はウイスキーより組み立て方にあることが多い。症状から原因をたどると、次の5つに行き着く。

  • 辛いだけで香りが立たない → 胡椒の入れすぎ。辛味の主成分ピペリンが舌を覆い、ピートの燻香や潮気が感じ取れなくなる。メーカーの提案どおり「ひと振り」を上限にする
  • 胡椒の香りがしない → 挽いてから時間が経っている。胡椒の香りはリモネンやピネンなど揮発しやすい成分なので、挽いた直後がいちばん強い。挽いてある胡椒ではなく、ミルでグラスの真上から挽く
  • 炭酸が弱く、ぼやける → 混ぜすぎ。ソーダを注いだ後はマドラーを縦に1回、氷を持ち上げるだけで十分に混ざる
  • 水っぽい → ソーダがぬるい。温度が高いと炭酸ガスが水に溶けにくく、注いだ瞬間に抜ける。さらに氷が溶けて薄まる。ソーダは冷蔵庫でしっかり冷やしておく
  • 胡椒が底に沈む → 先に入れている。ソーダより前に入れると胡椒が濡れて沈み、香りが上がらない。胡椒は最後に液面へのせる

肉料理と合わせる理由

肉の脂は舌の表面に膜をつくり、次のひと口の味をぼかす。炭酸の泡と刺激は、この膜を洗い流す役割を果たす。黒胡椒の刺激も口の中を引き締める。度数45.8%の原酒は割っても骨格が残るため、脂の多い肉に負けない。ピートに由来するフェノール系の燻香は、焼き目の香ばしさと重なる。相性がもっとも分かりやすいのは、塩と胡椒で焼いたステーキや、塩で食べる焼肉だ。甘いタレより、塩味の料理のほうが合う。MHDは肉料理と合わせる「#肉タリ」キャンペーンを行っていたが、これは2024年1月31日で終了している。現在は実施されていないので、店のPOPなどに書く場合は注意が必要だ。

キャンプ・屋外で味を守る道具

屋外では気温の影響で氷が早く溶け、ソーダもぬるくなる。そのため、家で作るより薄く、炭酸も弱くなりやすい。対策は道具で決まる。

  • 携帯ミル:挽いてある胡椒を持っていくと、香りの失敗をそのまま持ち込むことになる
  • 保冷力の高いクーラー:ソーダは氷に埋めて冷やす。小さいボトルを持っていけば、1杯ごとに開けられて炭酸が抜けにくい
  • 溶けにくい氷:コンビニで買う板氷やロックアイスを使う。細かい氷はすぐ溶ける
  • 二重構造のステンレスタンブラー:グラスより保冷が効く。ソーダは氷に当てないよう、内側の壁に沿わせて注ぐ

店で出すときの原価の考え方

700mlのボトルからシングル30mlをとると、約23杯になる。残りの約10mlは注ぐときのロスとして見込んでおくと、計算が実際に近くなる。仕入れ値を23で割ると、1杯あたりのウイスキー代が出る。

仕入れの前提ボトル価格(税込)1杯30mlのウイスキー代加える費用
希望小売価格を基準にした場合7,645円約332円ソーダ+胡椒+氷
実際の仕入れ値で計算する場合仕入れ値(P円)P÷23円ソーダ+胡椒+氷

飲食店の仕入れは酒販卸経由が一般的で、仕入れ値は取引条件によって変わる。店頭で安く売られているボトルは、並行輸入品や一時的な特価の場合がある。原価の前提にする前に、正規品か並行輸入品かを確認する。

ソーダの量は、輸入元のMHDが提案する比率1:2〜3なら60〜90mlになる。500mlのボトルで5〜8杯分なので、「ソーダ1本の仕入れ値÷5〜8」が1杯分のソーダ代だ。胡椒ひと振りの費用はごくわずかなので、ミルと原料の胡椒の購入費を月単位でならして計上すればよい。氷は、買うならkg単価から、自家製氷なら水道代と電気代から見積もる。これらの合計を原価として、店の原価率で割り戻せば価格が決まる。現在の実勢価格は4,532円前後が目安になる。仕入れ値が1,000円違えば、1杯あたりのウイスキー代は約43円変わる。値付けは仕入れ値が決まってから行う。

注文の伝え方と英語メニュー

店で頼むときは「タリスカーのハイボール、黒胡椒あり」と伝えれば通じる。濃いめが好みなら「1対2で」と比率を添えるとよい。外国人客向けのメニューでは、たとえば「Talisker 10 Spicy Highball — Isle of Skye single malt with soda, topped with freshly ground black pepper」のように書く。産地と「挽きたて」を明記すると、どんな一杯かが伝わりやすい。

開栓後の保管

ボトルは立てて、冷暗所に置く。横に寝かせると、度数の高い液体にコルクが長く触れて傷みやすくなる。一般に、残量が減るほどボトル内の空気が増え、酸化や香りの揮発で味わいが変わりやすくなる。残りが3分の1を切ったら、早めに飲み切る前提で提供の順番を組むとよい。

価格の推移と買い方、ほかの銘柄でスパイシーハイボールを作るなら

タリスカー10年(45.8%、700ml)の希望小売価格は、酒販店の案内によると2年続けて上がっている。輸入販売元はMHD モエ ヘネシー ディアジオで、改定は同社の扱う他の銘柄と同じ時期に行われている。

時期希望小売価格(税抜)税込補足
2024年1月まで5,850円―「定価5,000円台」はこの時期の情報
2024年2月〜6,450円―酒販店による情報
2025年1月〜6,950円7,645円酒販店による情報
2026年――2026年10月時点で、改定の発表は確認できていない

**希望小売価格と店頭の実売価格は、分けて考える。**2026年10月時点の実売は税込4,598円〜7,128円ほどと店によって差が大きく、Amazonでは5,280円だった。実売のほとんどが希望小売価格の税込7,645円を下回っているため、これを超える値付けは割高とみてよい。店でハイボールの定番にする場合は、ボトル1本の仕入れ値をハイボール1杯あたりのウイスキー量で割って原価を出し、その原価をもとに売値を決める。

限定品や長期熟成品は、ハイボール用ではない

タリスカーには、10年のほかに限定品や長期熟成のボトルもある。これらの価値は、樽による仕上げや長い熟成にある。炭酸と胡椒を加えると、そうした個性は隠れてしまう。ストレートか、数滴の加水で飲むのが向く。スパイシーハイボールは10年で作る。

タリスカー以外で作るなら

選ぶ基準は二つある。ピートの強さと、潮気やオイリーさ(口に残る油のような質感)だ。黒胡椒の辛さに負けない骨格があるかどうかで判断する。

  • カリラ 12年:アイラらしいピートがあり、一般にタリスカーより強めとされる。煙は重すぎず、柑橘とオイリーな質感がある。胡椒は控えめから
  • アードベッグ 10年:ピートが強い。胡椒は少なめにして、煙の香りを主役にする
  • キルホーマン マキヤーベイ:若いピートの香りに甘さが重なる。胡椒の刺激と甘さの対比が出る
  • オールドプルトニー 12年:ピートは控えめで、潮気と軽い甘さがある。燻した香りが苦手な人に向く
  • オーバン 14年(ディアジオ所有):蜂蜜、オレンジ、わずかな煙。胡椒はごく少量で
  • クライヌリッシュ 14年(ディアジオ所有):ワックスのような質感と潮気。炭酸で割っても香りの芯が残る

贈り物にするとき

  • 気軽な手土産:10年。実売価格で5,000円前後から買える。「黒胡椒をひと振り」という飲み方のメモを添えると、話のきっかけになる
  • 特別な贈り物:限定品や長期熟成のボトル。仕上げの樽や熟成年数など、話題にする情報はメーカーの発表で確かめてから添える
  • 海外の知人へ:10年は世界中で売られている定番なので、珍しさでは喜ばれにくい。日本の輸入販売元MHDが提案し、日本で広まった飲み方として、スパイシーハイボールを紹介するほうが印象に残る

よくある疑問

  • Q. 白胡椒や山椒でもよいか:使える。ただし香りの性格が変わる。白胡椒は皮を除いてあるため、香りが弱く辛さが前に出る。山椒は柑橘系の香りと舌のしびれが加わる。黒胡椒と同じ量では強すぎるので、半分程度から試す
  • Q. 比率は何対何が正解か:輸入元のMHDが提案する比率は、ウイスキー1に炭酸水2〜3。潮気や煙の香りを立たせたいなら1対2、食事と合わせて軽く飲みたいなら1対3にする
  • Q. 10年以外の年数でも合うか:年数が上がるほど、樽から来る甘さや熟した果実の香りが増える。胡椒の鋭い辛さとはぶつかりやすいので、スパイシーハイボールには10年が向く
  • Q. 開栓後どれくらいで飲み切るか:瓶の中の空気が増えると、揮発しやすい煙や潮の香りから先に弱まる。残りが半分を切ったら数か月で飲み切るか、小瓶に移して空気に触れる量を減らす
  • Q. なぜ値段が上がったのか:個別の理由について、メーカーの説明は公表資料では確認できていない。仕組みとして言えることは二つある。10年表記の原酒は10年以上前に仕込んだ量で供給の上限が決まり、需要が伸びてもすぐには増やせない。また輸入品なので、為替の影響も受ける

よくある質問

ウイスキーのイメージ写真

タリスカー10年のハイボールはなぜスパイシーと言われるのですか?

タリスカー10年はスカイ島で造られ、黒胡椒のようなピリッとした刺激と潮風を思わせる塩味、軽いスモーキーさが特徴です。炭酸で割ると香りが立ち、胡椒感が際立つため、スパイシーなハイボールと呼ばれます。

タリスカー10年のハイボールの美味しい作り方と割合は?

よく冷やしたグラスに氷を縁まで詰め、タリスカー10年を30ml注いで冷やします。よく冷えた強炭酸水を60〜90ml(1:2〜1:3)、氷に当てないようグラスの内側に沿わせてそっと注ぎます。迷ったら1:2.5が基準です。この比率は輸入元のMHDが提案する範囲に収まっています。編集部のおすすめは、マドラーで氷を縦に1回持ち上げてなじませ、粗挽きの黒胡椒をミル1〜2回転、泡の上へ振る方法です。

タリスカー10年のハイボールに合う料理やおつまみは?

潮の香りと胡椒のような刺激があるため、牡蠣やホタテなどの魚介、生ハム、ソーセージ、燻製チーズがよく合います。黒胡椒を効かせた唐揚げや、塩と胡椒で焼いたステーキもおすすめです。炭酸と胡椒の刺激が脂を洗い、燻香が焼き目の香ばしさと重なります。

タリスカー10年のハイボールをもっとスパイシーに楽しむ方法はありますか?

仕上げに粗挽きの黒胡椒をひと振り(ミル1〜2回転)すると、原酒の刺激と同じ方向の香りを外から足せます。比率を1:2に寄せ、炭酸を控えめにするのも有効です。レモンピールを軽く絞り、香りを添えると爽やかさも加わります。

この記事で紹介した銘柄

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。