ジャパニーズウイスキー

竹鶴ピュアモルトはまずい?現行品の味・値段・飲み方で判断

現行品の味を軸に、竹鶴ピュアモルトが「まずい」と言われる理由を、香味・価格7,700円・飲み方から整理。煙やシェリー樽が苦手な人向けのトゥワイスアップやハイボールも紹介し、買う前の判断材料になります。

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竹鶴ピュアモルトは「まずい」のか――評判がどのボトルの話かを時系列で分ける

**結論として、「まずい」という声の多くは中身の欠陥ではなく、好み・飲み方・価格の合わなさを指しています。**現行品は、グラスでは果実や花のような華やかな香りが立ちます。口に含むとシェリー樽由来の干し果実やコクの厚みが広がり、余韻に軽い煙が残ります。合わないのは、煙とシェリー樽の重さが苦手な人と、ストレートで43%の刺激を強く感じる人です。その場合は、トゥワイスアップ(常温の水と1:1)かハイボールにすると印象が変わります。価格は希望小売価格7,700円で、30mlなら1杯約335円です。ストレートやトゥワイスアップで香味をたどる人には見合いますが、ハイボール専用なら割高です。

不満の原因は、ほぼ次の5つです。①ピート香のクセ、②アルコールの刺激、③香りと味のギャップ、④価格に対する期待値、⑤リニューアルによる味の変化。どれも「どのボトルを、いくらで買い、どう飲んだか」で結論が変わります。そのため、まず評判がどの時期のボトルの話なのかを分けておきます。

年表:どの時期のボトルの評判かを分ける

時期出来事評判を読むときの注意
2000年ブランド「竹鶴ピュアモルト」発売初期の感想は、現行品とは設計が異なるボトルの話
2020年3月末17年・21年・25年が原酒不足で出荷終了(終売)年数表記品の感想は、今買える通常品の評価にならない
2020年3月31日通常品を現行品へリニューアル。参考小売価格は税別4,000円、年間販売数量は2万2,000ケース(700ml×12本)現行の味の起点。これより前の投稿は旧設計の話
2023年World Whiskies Awards 2023で「World's Best Blended Malt Whisky」を受賞受賞したのは現行設計のノンエイジ品
2024年4月1日参考小売価格を税込4,950円から7,700円へ改定(+56%)改定前は税込4,950円。値ごろ感の評価はここで前提が変わる
2026年6月16日限定品「エッセンシャルズ 2026」発売(700ml・43%)通常品とは別の商品。味も価格も同列に比べない

2020年のリニューアルで何が変わったか

現行品は、宮城峡モルトをベースに余市のシェリー樽原酒とピート原酒を加え、余市モルトの比率を高めた設計です。メーカーが示すキーモルトは「シェリー樽熟成の余市モルトと宮城峡モルト、リメード樽熟成の宮城峡モルト」です。

余市モルトの比率を上げたため、味わいは重さと煙が前に出る方向に振れています(蒸溜設備の違いは次章で説明します)。旧ボトルを「飲みやすかった」と記憶している人が現行品にクセを感じるのは、この設計変更が一因と考えられます。ただし、旧ボトルとは熟成年数の構成や樽の構成も異なり、配合比も公表されていません。印象差の原因を一つに絞ることはできません。なお、現行品に使う麦芽のフェノール値(ppm)は公式情報では確認できません。

「竹鶴12年」や旧ボトルの評判は今の味ではない

「竹鶴12年」は旧ラインナップの商品で、現行の通常品とは別物です。「竹鶴12年 今」で見つかる感想は、過去に出荷されたボトルの話です。今店頭で買える竹鶴ピュアモルトの味を示すものではありません。17年・21年・25年の感想も同じです。

口コミを読むときの3つの確認点

  1. 投稿の時期:2020年3月31日より前なら旧設計の話です。2024年4月より前なら、税込4,950円を前提にした値ごろ感です。価格の評価は、現在の実勢価格を基準に読み直します。
  2. ボトルの表記:年数表記の有無とラベルを確認します。12年・17年・21年・25年などの年数入りは、現行の通常品ではありません。限定品のエッセンシャルズ 2026も別扱いです。
  3. 飲み方:ストレートの感想は、43%のアルコールの刺激とピートを直接受けた評価です。ハイボールや水割りの感想は、加水で刺激が和らぎ香りが開いた状態での評価です。自分の飲み方に合うものだけを拾います。

たとえば現行品をストレートで飲み「煙たく刺激が強い」と感じたなら、参考になるのは2020年3月31日以降・年数表記なし・ストレートの評判だけです。「昔はもっとまろやかだった」という声は、比べている対象が違うため判断材料から外してかまいません。

「刺さる」「煙い」「香りと味が合わない」はどこから来るのか――余市と宮城峡の蒸溜と樽から読む

ウイスキーのイメージ写真

余市は重い成分を「残す」蒸溜、宮城峡は「戻して選ぶ」蒸溜

余市蒸溜所(1934年創立)は石炭の直火で釜を焚きます。ポットスチル(単式蒸溜器)は首がまっすぐなストレートヘッド型で、ラインアーム(蒸気を冷却器へ送る管)は下向きです。管の中で冷えて液体に戻った成分も、釜へ戻らず冷却器側へ流れていくため、還流(蒸気が冷えて釜に戻り、再び蒸溜されること)が少なくなります。その結果、沸点の高い重い香味成分が留液に残りやすく、これが余市モルトの厚み、オイリーな舌触り、力強さの土台になります。

宮城峡蒸溜所(1969年創立)は、蒸気による間接加熱で、直火より穏やかに釜を加熱します。ポットスチルは首の下が膨らんだ大型のバルジ型で、ラインアームは上向きです。膨らみで蒸気が冷やされ、上り勾配で凝縮した液は釜へ落ちるため、還流が多くなります。釜の中で蒸溜が繰り返されるうちに軽い成分が選ばれて抜けていくので、酒質は軽やかで華やかになります。

**「香りと味が合わない」は、この性格差が一因と考えられます。**ただし、香りの立ち方は成分ごとの揮発しやすさと度数で決まり、蒸溜所ごとにきれいに分かれるわけではありません。ピート由来のフェノール類もそれ自体が揮発性で、鼻でも十分に感じ取れます。傾向として言えるのは次のことです。グラスで先に立つのは、エステル類(果実のような香りを持つ成分)の華やかな香りです。口に含んで温まると、シェリー樽由来の重い成分や、余韻に残るフェノール類が目立ちやすくなります。香りから軽い酒を予想すると、このずれが違和感になります。現行品は余市の比率を高めた設計なので、旧ボトルの印象より口の中の重さが出やすいと考えられます。

どの香味がどの原酒から来ていそうか

メーカーが挙げるキーモルトは、シェリー樽熟成の余市モルト、宮城峡モルト、リメード樽(古い樽の鏡板を替えて組み直し、内側を焼き直した樽)熟成の宮城峡モルトです。配合比は公表されていないため、下の表は樽と原酒の一般的な傾向から見た対応として読んでください。

段階感じやすい香味出所として考えられるもの
ノージング(香りを取ること)果実や花のような華やかさ、バニラ宮城峡モルトの酒質、リメード樽の焼き直した内面
パレット(口中の味わい)干し果実、コク、オイリーな厚み、木の甘さシェリー樽熟成の余市モルト、余市の重い酒質、リメード樽
フィニッシュ(余韻)穏やかな煙、ほろ苦さ余市のピート原酒

煙は製麦で付く。ただし主役ではない

ピートの香りは、蒸溜ではなく麦芽づくりの段階で付きます。ピート(泥炭)を焚いた煙で麦芽を乾燥させると、煙に含まれるフェノール類が麦芽に付き、それが発酵と蒸溜を経て原酒に残ります。現行品に使う麦芽のフェノール値(ppm)は公表を確認できていません。言い切れるのは「ピート原酒をブレンドの一部として加えている」ところまでです。アイラの強くピートを効かせた銘柄と同列の酒ではなく、煙は余韻に輪郭を与える役割と捉えるのが実態に近い見方です。

「アルコールが刺さる」を分解する

  1. グレーンウイスキーを含まないブレンデッドモルトなので、一般的なブレンデッドウイスキーより口当たりのクッションが少ない
  2. 度数は43%
  3. 年数表記がなく、熟成年数の構成は公表されていない。「刺さる=若い原酒が多い」と決めつける根拠はない
  4. 開栓直後、室温が高いとき、口のすぼまったグラスで揮発成分が鼻に集まるときは、刺激が強く出やすい
  • 開栓直後に刺さる場合:注いでから5〜10分置き、揮発の強い成分を先に飛ばしてから飲む
  • 室温が高い場合:ボトルは冷暗所に置き、グラスを手のひらで包んで温めない
  • グラスが原因の場合:テイスティンググラスなら鼻を縁から少し離す。口の広いロックグラスに替えるのもよい
  • それでも強い場合:常温の水を数滴から加えてみる。詳しい加水の手順は次章で扱う

「ピュアモルト」はブレンデッドモルトのこと

ピュアモルトは、複数の蒸溜所のモルトウイスキーを混ぜたものです。スコッチの分類では「ブレンデッドモルト」にあたり、単一蒸溜所のシングルモルトとも、グレーンを含むブレンデッドとも違います。スコッチウイスキー規則(SWR 2009)では「ピュアモルト」という表記は認められておらず、「ブレンデッドモルト」と書く決まりです。竹鶴はスコッチではないためこの規則の対象外で、この名称を使っています。なお、冷却濾過(低温で濾して、冷やしたときの白濁を防ぐ処理)と着色の有無は公式情報で確認できません。色の濃さや油分を、これらの処理と結びつけて説明することはできません。

口に合わなかった一本を立て直す――症状別の加水・温度・グラス・ハイボール比率

竹鶴ピュアモルトは43%で瓶詰めされています。余市由来のピートとシェリー樽の香りに、宮城峡由来の軽やかな果実香が重なる設計です。そのため、度数・温度・グラスのどれか一つが合わないだけで、特定の要素だけが突出して「まずい」と感じやすくなります。一本を見限る前に、症状から逆算して出し方を変えてみてください。また、開栓時期やロットで印象が変わることがあるため、1回の印象で判断しないようにします。

症状対処なぜ効くか
①アルコールが刺さる数滴ずつ加水し、口の開いたグラスに替えるすぼまったグラスは、エタノールの揮発も鼻先に集めてしまう。度数を少し下げるだけで刺激は大きく引く
②煙たすぎる冷えた水割り(1:2〜1:2.5)かハイボールにする冷やすことで香りの揮発が抑えられ、煙が目立ちにくくなる。常温のトゥワイスアップ程度の加水では煙がかえって立つこともあるため、煙が苦手なら常温の加水は避ける
③香りは良いのに味が薄い・ばらけるトゥワイスアップ(常温の水と1:1)にする度数が約21〜22%まで下がって舌への刺激が減り、中盤の甘さや果実味がまとまって拾える
④甘さやコクが物足りない冷やしすぎない。ストレートか常温の加水で飲む低温では甘味の感じ方も香りの揮発も鈍る

ストレートの基本

量はシングル30ml、ダブル60mlです。チューリップ型のテイスティンググラスに注ぎ、2〜3分置いてから香りを取ります。注いだ直後はエタノールが一気に立ち上がり、奥の香りを覆ってしまうからです。鼻はグラスの中に深く入れず、縁から少し離して嗅ぎます。刺激が強ければ離し、香りが遠ければ近づける、というように距離で調整します。口に含んだら少量を舌全体に広げ、飲み込んだ後の余韻(フィニッシュ)に、シェリー樽の甘さとピートのどちらが残るかを確かめます。

加水は段階的に

まず数滴、次に小さじ1杯(約5ml)ほど、と足すたびに香りを確かめます。30mlに5mlを足すと約37%、15mlなら約29%になります。度数が下がると、アルコールに隠れていた果実香や、シェリー樽由来のドライフルーツのような香りを拾いやすくなります。水は常温の軟水が扱いやすいでしょう。硬水はミネラルの味が乗り、冷水は香りを閉じてしまいます。足した水は戻せないので、少量ずつが原則です。

ハイボールの手順

  1. グラスと炭酸水をよく冷やしておく
  2. 氷をグラスいっぱいに入れてグラスを冷やし、溶けた水を捨てる
  3. ウイスキー30mlを注ぎ、ウイスキーだけを先に混ぜて冷やす
  4. 炭酸水を1:3〜1:4(90〜120ml)の目安で、氷に当てないよう静かに注ぐ
  5. マドラーを底まで差し入れ、縦に1回持ち上げるだけで混ぜ終える

竹鶴の厚みを残したいなら1:3寄り(約11%)、食事に合わせてすっきり飲むなら1:4(約9%)が目安です。炭酸ガスは温度が低いほど液中にとどまります。冷やす工程を省くと泡がすぐに抜け、薄く感じる原因になります。

水割りとロック

水割りは1:2〜1:2.5を目安にし、グラス・水・ウイスキーを冷やしてから氷と合わせます。約12〜14%まで下げると、ピートは輪郭だけが残ります。ロックは、最初は冷えて香りが閉じ、氷が溶けるにつれて度数が下がって香りが戻ってくる飲み方です。その変化の過程を楽しむものなので、一口目だけで評価しないようにします。

温度と保管

  • 冷やしすぎると香りが閉じ、室温が高いとアルコールが立ちやすい。夏の室内に置いた瓶は、注いでから少し長めに置いて落ち着かせる
  • 開栓後は瓶を立てて冷暗所に置く。横に寝かせると、高い度数の液体が栓に触れ続けて傷めやすい
  • 残りが3分の1を切ったら、容量の合う小瓶に移す。瓶の中の空気が増えるほど香りの成分が抜けやすく、開栓後の味の変化も早まる

バーで頼むとき

「竹鶴をトゥワイスアップで」「竹鶴のハイボールを濃いめで」のように、飲み方と濃さを一言で伝えれば通じます。刺激が苦手なら、ストレートに常温の水を添えてもらいましょう。自分で段階的に加水すれば、ちょうど合う度数を探せます。

7,700円に見合うか――価格の推移、実勢価格、1杯あたりのコストで考える

ウイスキーのイメージ写真

現行の竹鶴ピュアモルト(700ml・43%)のメーカー希望小売価格は税込7,700円です。2024年4月1日の改定で税込4,950円から上がり、改定率は+56%でした。この金額が高すぎるかどうかは、1杯あたりに割り戻して、自分がどう飲むかと照らし合わせると判断しやすくなります。

定価の推移――4,000円も4,950円も過去の価格

時期価格区分補足
2020年3月31日(現行品の発売)4,000円税別・参考小売価格リニューアルで余市モルトの比率を上げた
改定前(〜2024年3月)4,950円(税別4,500円)税込・参考小売価格—
2024年4月1日以降7,700円(税別7,000円)税込・メーカー希望小売価格改定率+56%
エッセンシャルズ 2026(別製品)27,500円(税別25,000円)税込計2万本の限定品

「定価4,000円」「4,500円」「4,950円」は、どれも改定前の数字です。今の定価のつもりで読むと、3,000円近くずれます。税別4,500円→7,000円の改定は、2024年4月1日に実施されました。2026年4月にニッカ製品の価格改定は確認できません(ブラックニッカ等の改定は2025年11月1日出荷分から)。竹鶴ピュアモルトの定価は、2024年4月1日改定の税込7,700円のままです。

実勢価格と「最安値」の見方

通販の価格は毎日のように変わるので、数字は確認した日付と一緒に読んでください。最新の参考価格は です。

  • 税込7,700円を上限の目安にする。これより高い出品は、通常品であれば割高
  • 同じ商品ページでも出品者ごとに価格が違う。送料込みの総額で比べる
  • 現行品(2020年3月以降)か旧ボトルかをラベルで確かめる。原酒の構成が違うので、味の評価も分けて考える

1杯あたり約335円を、飲み方と照らし合わせる

700mlからシングル30mlを注ぐと約23杯取れます。希望小売価格7,700円なら、1杯あたり約335円です。ダブル60mlならおよそ倍の約670円になります。実際に買った価格で考えるときは、「購入価格÷23」がシングル1杯あたりの目安です。

  • ハイボール中心の家飲み:ソーダで3〜4倍に薄めると、シェリー樽由来の甘さや原酒の重なりは感じ取りにくくなる。竹鶴のハイボールは、口に合わなかった一本を飲み切るときや、煙をどこまで許せるかを試すときの手段と考える。日常のハイボール用には別の銘柄を使うほうがコストに合う
  • ストレート・トゥワイスアップ中心:43%のまま、または同量の常温水で割って飲むと、宮城峡モルトの華やかさの下に、余市のシェリー樽やピートの重さが重なるのをたどれる。香り・味・余韻の変化を1杯で確かめる飲み方なら、この価格差は中身に払う対価として納得しやすい。コスト面で竹鶴の価値が出るのは、この飲み方
  • 贈答:年数表記のない通常品であることをラベルで確かめ、税込7,700円を上限の目安に選ぶ。受賞歴や海外の相手への伝え方は、次章の贈答の項を参照

店で出すときの値付けの考え方

  1. 1杯の原価 = 仕入れ値 ÷ 取れる杯数(30mlなら理論上約23杯)
  2. 販売価格 = 1杯の原価 ÷ 目標原価率

杯数は理論値のまま使わず、計量のぶれや試飲に使う分を見込んで少なめに置きます。ハイボールで出す場合は、ソーダと氷の原価も足します。希望小売価格で比べると、2024年の改定で約1.56倍になっています。改定前の値付けを続けている店は、実際の仕入れ値で計算し直すと、原価率が大きく上がっていることに気づくはずです。

「エッセンシャルズ 2026」は通常品と別に考える

2026年6月16日に発売された「竹鶴ピュアモルト エッセンシャルズ 2026」は、同じ700ml・43%でも税込27,500円(税別25,000円)です。国内1万本・海外1万本の計2万本の限定品で、2000年に仕込んだ余市と宮城峡の長期熟成原酒を一部使っており、通常品とは原酒の構成が違います。ブランド30周年にあたる2030年まで、毎年限定品を出す計画もあります。レビューや価格を調べるときは、商品名に「エッセンシャルズ」が入っているかを確かめ、通常品の味や価格の評価と混ぜないようにしてください。

自分に合うか、人に贈ってよいか――好み別の判断基準と比べて飲みたい銘柄

現行の竹鶴ピュアモルトは、宮城峡モルトを土台に、余市のシェリー樽原酒とピート原酒を重ねた設計です。合うかどうかは主に「ピートの煙」「シェリー樽の甘い厚み」「アルコールの刺激」の3つで決まります。どこで引っかかったかによって、次に試すことが変わります。

好み別の判断フロー

  1. ピートの煙が苦手:まず冷えた水割りかハイボールで、煙をどこまで許せるかを試します。冷やすと香りの揮発が抑えられて煙が目立ちにくくなり、宮城峡由来の果実味を拾いやすくなります。常温の加水では煙がかえって立つことがあるので、この確認には向きません。冷やして割っても煙が鼻につくなら、竹鶴の方向性そのものが合っていません。ピートを使わず、シェリー樽の香味が主体の銘柄へ移ります。
  2. 煙や厚みをもっと求める:竹鶴のピートは、余市原酒の一部として効かせたアクセントで、主役ではありません。ピートの強いシングルモルトと並べて、どこまでの強さが好みかを測ります。
  3. 刺激が苦手:ストレートでの評価はいったん脇に置きます。トゥワイスアップ(常温の水とウイスキーを1:1で合わせる飲み方)を基準に評価し直します。43%の原酒が約21%まで下がり、エタノールの刺激に隠れていた香りを拾いやすくなります。この状態で好ましいと感じるなら、加水を前提に楽しむ一本と割り切って構いません。

並べて飲む5本――ランク付けではなく物差しとして

銘柄熟成・香味の軸竹鶴と並べて分かること
シングルモルト余市石炭直火蒸溜による厚くオイリーな酒質と、ピートの煙余市側(重さ・煙)と宮城峡側(華やかさ)のどちらに引っかかったかが分かる。竹鶴と同じ違和感がこちらで強まるなら、余市側の要素が苦手
シングルモルト宮城峡間接加熱と還流の多い蒸溜による、軽く華やかな酒質余市側(重さ・煙)と宮城峡側(華やかさ)のどちらに引っかかったかが分かる。香りの華やかさに違和感があったなら、こちらで確かめる
グレンドロナック 12年オロロソとペドロヒメネスのシェリー樽熟成が主体竹鶴のシェリー樽由来のドライフルーツ感や甘い厚みが、全体のどれくらいを占めるか
アベラワー 12年 ダブルカスクマチュアード伝統的なオーク樽とシェリー樽で熟成した原酒を合わせるシェリー樽の香味が、ほかの樽の香味とどう混ざっているか
カリラ 12年アイラ島のピーテッドモルト。煙ははっきりしているが重すぎない竹鶴のピートが、スモーキーなモルトの目盛りのどこにあるか

手順は次のとおりです。まず、シングルモルト余市とシングルモルト宮城峡を竹鶴と並べ、どちら側の要素に引っかかったかを切り分けます。そのうえで、スコッチ3本を次の物差しとして使います。同じ形のテイスティンググラスに各15mlほど注ぎ、ストレートで香り、味、余韻の順に比べます。次に、すべてを1:1に加水して並べ直します。こうすると、度数による違いと樽による違いを分けて見られます。グレンドロナック側に惹かれたならシェリー樽主体の酒、カリラ側ならピート主体の酒が、あなたの好みの軸です。具体的な代わりの一本の選び方は、「竹鶴ピュアモルトの代替品」の記事で扱っています。

人に贈るとき、とくに海外の相手へ

  • 説明の材料:竹鶴ピュアモルトは、World Whiskies Awards 2023で「World's Best Blended Malt Whisky」を受賞しました。ノンエイジ品として初の世界最高賞です。英語では「余市と宮城峡、ニッカの2つの蒸溜所のモルトだけを合わせたblended malt」と伝えると通じやすくなります。
  • 事前の確認:相手がアイラ系のようなスモーキーな銘柄を好むかを確かめます。煙が苦手な相手には、竹鶴は避けます。
  • 添える一言:「ハイボールでも、少量の水を加えたストレートでも」と書き添えます。ストレートの刺激や煙に戸惑わせずに済みます。
  • 予算の目安:

よくある質問

ウイスキーのイメージ写真

竹鶴ピュアモルトはまずいと言われるのはなぜ?

理由は主に4つです。1つ目は、余市由来のピートの煙とシェリー樽の甘く重い厚みです。軽い酒を好む人にはクセになります。2つ目は、43%の刺激です。グレーンを含まないブレンデッドモルトなので口当たりのクッションが少なく、ストレートでは刺さるように感じやすくなります。3つ目は、香りと味のずれです。グラスでは果実のような華やかな香りが先に立ち、口中ではシェリー樽由来の重さと余韻の煙が目立つため、香りから想像した味と食い違います。4つ目は期待値です。2024年4月1日に税込4,950円から7,700円へ上がり、価格に見合う満足を求める目が厳しくなりました。

竹鶴ピュアモルトは初心者にも飲みやすい?

ストレートでは43%の刺激とピートを直接受けるため、初めてだと強く感じることがあります。刺激が気になるなら、数滴ずつ加水するか、トゥワイスアップ(常温の水と1:1)にします。煙が気になるなら、冷えた水割り(1:2〜1:2.5)かハイボールにします。常温の加水では煙がかえって立つことがあるので、煙が苦手な人は冷やす飲み方を選びます。

竹鶴ピュアモルトのおいしい飲み方は?

香味を味わうなら、ストレートを2〜3分置いてから香りを取り、数滴から小さじ1杯(約5ml)まで段階的に加水します。刺激が強ければトゥワイスアップにします。この飲み方が、1杯約335円の価格に見合いやすい飲み方です。煙が苦手な場合や、口に合わなかった一本を飲み切りたい場合は、ハイボール(1:3〜1:4)か冷えた水割りにします。甘さやコクが物足りないときは、冷やしすぎずに飲みます。

竹鶴ピュアモルトが口に合わなかった人におすすめの銘柄は?

どこに引っかかったかで選ぶ方向が決まります。まずシングルモルト余市と宮城峡を並べて、重さ・煙の側と華やかさの側のどちらが苦手かを切り分けます。煙が苦手だったならピートを使わないシェリー樽主体の銘柄、たとえばグレンドロナック 12年の方向が目安です。逆に、煙がもっと欲しかったならカリラ 12年のようなピーテッドモルトの方向です。具体的な代わりの一本は、「竹鶴ピュアモルトの代替品」の記事で扱っています。

ボトルと表示についての質問

  • 竹鶴12年は今でも買える?:12年は旧ラインナップで、現行の通常品はノンエイジです。手に入るのは流通在庫や二次流通品に限られます。
  • 旧ボトルと現行品はどちらが美味しい?:2020年3月のリニューアルで、余市モルトの比率が高まりました。設計が違うため、優劣ではなく別物として比べるべきです。
  • シングルモルトなの?:違います。2つの蒸溜所のモルトを合わせたブレンデッドモルトです。
  • 17年・21年・25年は終売?:原酒不足のため、2020年3月末の出荷で終売になりました。
  • エッセンシャルズと通常品の違いは?:「竹鶴ピュアモルト エッセンシャルズ 2026」は国内外あわせて2万本の限定品です。2000年に仕込んだ余市と宮城峡の長期熟成原酒を一部に使っています。価格はです。
  • 開けてすぐ合わなくても、時間を置けば変わる?:開栓直後はアルコール感が前に出やすく、空気に触れてなじむことがあります。一方で、残量が減るにつれて酸化が進み、香りは平板になっていきます。開栓直後と数週間後に、同じグラス・同じ量で飲み比べて判断してください。
  • 「ジャパニーズウイスキー」の基準に当てはまる?:日本洋酒酒造組合の表示基準(2021年4月1日施行、経過措置は2024年3月31日まで)は法律ではなく、組合の自主基準です。主な条件は、原材料に麦芽を必ず使うこと、日本国内で採水した水を使うこと、国内の蒸溜所で糖化・発酵・蒸溜すること、700L以下の木樽で国内3年以上貯蔵すること、国内で瓶詰めし度数40度以上であることなどです。竹鶴ピュアモルトがこの基準に該当するかを示す公式の表示は、確認できていません。そのため、この基準への該当を贈る理由にはしないほうが確実です。

この記事で紹介した銘柄

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。