ウイスキー カフェグレーンの種類と魅力|コーヒー味じゃない正体
カフェグレーンの「カフェ」はコーヒーではなく、1830年に連続式蒸溜機を発明したイーニアス・カフェの名前。竹鶴政孝から宮城峡までの歴史、ニッカが旧式カフェスチルを使い続ける理由、外国人客への答え方まで解説します。
本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれます。 掲載している商品の価格・在庫は変動するため、最新の情報は各販売サイトでご確認ください。
この記事で紹介した銘柄:イチローズモルト モルト&グレーン クラシカルエディション・ニッカ カフェグレーン 価格と購入先へ ↓
カフェグレーンの「カフェ」はコーヒーではない|名前の正体と日本に来るまでの歴史
結論からいうと、カフェグレーンはコーヒー味でもコーヒー入りでもありません。「カフェ」は、1830年に連続式蒸溜機を発明したイーニアス・カフェ(Aeneas Coffey)という人物の名前です。カフェ式連続式蒸溜機(英語でCoffey still、カフェスチル)は「カフェさんが発明した蒸溜機」という意味で、カフェグレーンはその蒸溜機でつくったグレーンウイスキーを指します。
- Coffey:発明者イーニアス・カフェの姓。蒸溜機の名前とニッカの商品名(Nikka Coffey Grain/Coffey Malt)に使われている
- coffee:飲み物のコーヒー。カフェグレーンとは無関係
- café:喫茶店。カタカナでは同じ「カフェ」になるため、日本語で混同が起きやすい
英語では Coffey と coffee の発音がほぼ同じなので、英語圏の人も耳だけでは区別できません。日本語ではカタカナの「カフェ」が喫茶店を連想させます。誤解の原因が言語ごとに違うため、説明するときは綴りを見せるのがいちばん早く伝わります。ボトルのラベルに「COFFEY」と印字されているので、それを指で示すだけで十分です。
竹鶴政孝から宮城峡まで:カフェスチルの時系列
カフェスチルが日本に入るまでの流れは、ニッカ創業者の竹鶴政孝がスコットランドで学んだ時期までさかのぼります。年ごとに整理すると次のとおりです。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1830年 | イーニアス・カフェが連続式蒸溜機を発明。「カフェ(Coffey)」の名前の由来 |
| 1919年 | 竹鶴政孝がスコットランドでカフェスチルによるグレーンウイスキーづくりを学ぶ |
| 1963年 | 1基目のカフェスチルをスコットランドから輸入し、西宮工場に設置 |
| 1966年 | 2基目のカフェスチルをスコットランドから輸入 |
| 2012年 | ニッカ カフェグレーンを欧州で先行発売(その後の流通は後述) |
竹鶴政孝が学んでから最初の1基を導入するまで、40年以上かかっています。現在のカフェグレーンは、宮城峡蒸溜所のカフェ式連続式蒸溜機でつくられています。「西宮のカフェスチル」と「宮城峡のカフェスチル」は別の設備ではありません。同じ系譜の設備が場所を移して使われている、と理解すると整理しやすくなります。
あえて旧式を使い続けている理由
1963年の導入時点で、カフェスチルはすでに130年以上前に発明された旧式の設計でした。グレーンウイスキーを効率よく大量につくるだけなら、より新しい連続式蒸溜機を選ぶこともできたはずです。それでもニッカは旧式を導入し、移設を経て現在まで使い続けています。
メーカーは「原料由来の甘さがしっかりと残っているのはカフェ式だからこそ」と説明しています。連続式蒸溜は、一般にアルコールを高純度に精製する方向に向かいやすく、そのぶん原料の香りは削られます。旧式のカフェスチルは、その削られるはずの香りが残る点に価値があります。どの成分がなぜ残るのか、それがバニラやカスタードを思わせる甘さとどうつながるのかは、後のセクションで製法の側から説明します。
外国人のお客さまに聞かれたときの返し方
店頭やカウンターで「Is this coffee whisky?」と聞かれたら、まず否定し、次に由来を伝える順番で答えると誤解が残りません。
- 最短の返し:Coffey, not coffee — it's the inventor's name.
- 由来を添える:It's named after Aeneas Coffey, who invented this type of continuous still in 1830. There's no coffee in it.
- 蒸溜機の話につなげる:Nikka still uses an old-style Coffey still at Miyagikyo. That's why the grain's natural sweetness remains.
3つ目まで伝えると、名前の誤解を解くだけで終わらず、「旧式の蒸溜機だから甘い」という商品の特徴まで一続きで説明できます。贈り物として渡す場合も、ラベルの「COFFEY」を示しながらこの一文を添えれば、受け取った人が同じ誤解をしたまま飲むことを防げます。
なぜカフェスチルのグレーンは甘く香るのか|蒸溜・原料・樽から見る味の正体

グレーンウイスキーは「ブレンデッドの脇役」「クセがなく無個性」と言われがちです。ただ、その性格は穀物という原料のせいではありません。主な原因は、連続式蒸溜機を高い度数まで精溜する運転にあります。カフェグレーンが甘く香る理由は、この点を裏返すと見えてきます。
精溜を強めるほど、香りのもとは削られる
精溜とは、アルコールを繰り返し気化・凝縮させて純度を高める工程です。蒸溜液には、エタノール以外にエステル類、高級アルコール(フーゼル油)、アルデヒドなどの微量成分が含まれ、香りと口当たりはこれらでつくられます。塔の段数と還流(凝縮した液を塔内に戻して再蒸溜させること)を増やすほど分離は精密になり、こうした成分はエタノールから切り離されて抜けていきます。
香りの残り方を決めるのは、塔の数そのものよりも運転条件です。具体的には、還流比、取り出し度数(スピリッツを取り出す段の位置と、そのときのアルコール度数)、フーゼル油を抜く段の運転です。フーゼル油は精溜塔の途中の段から側流として抜き取るのが一般的で、どの段からどれだけ抜くかでも酒質は変わります。カフェ型でも高い度数で運転すれば中性に近づきます。スコッチのグレーン蒸溜所にも、カフェ型(パテントスチル)で高い度数まで精溜しているところがあります。
度数の上限は規則と法律で決まっています。スコッチウイスキー規則(SWR 2009)は、スコッチウイスキー全体の留出度数を94.8%未満と定めています。日本の酒税法では、ウイスキーの留出時のアルコール分は95度未満です。
カフェスチルの2塔構造と、残る香り
- もろみ塔(アナライザー):多孔板の段を重ねた塔。発酵もろみに蒸気を当ててアルコール分を取り出す
- 精溜塔(レクティファイヤー):取り出した蒸気を濃縮し、アルコール度数を高める塔
- 加熱方式:直火ではなく、塔の下から吹き込む蒸気で加熱する
カフェスチルは、この2塔で構成されます。多塔式の連続式蒸溜機には、脱メタノール塔のような付帯塔を加え、特定の成分を専用の塔で取り除くものがあります。カフェスチルはそうした付帯塔を持たず、もろみ塔の多孔板段と精溜塔だけで仕上げます。構造の面では多塔式より微量成分を切り離しきらない余地が大きく、そのうえで還流と取り出し度数をどう運転するかで、どれだけ残るかが決まります。メーカーが「原料由来の甘さがしっかりと残っているのはカフェ式だからこそ」と説明しているのは、この「削りきらない」性質のことです。なお、ニッカは自社のカフェスチルの段数や留出度数を公表していません。
原料:トウモロコシの甘さが骨格になる
カフェグレーンの原料は主にトウモロコシです。デンプンが多いトウモロコシからは、穀物の甘さと、炊いたコーンを思わせる丸みのある香りが出やすくなります。精溜を強めれば消えるはずのこの性格を、カフェスチルが残しています。カフェグレーンを「甘い」と感じる中心は、樽よりもこの原料にあります。
樽:古樽で原料香を主役に残す
使用済み樽の扱いには、一般に次の種類があります。
- リフィル:一度以上ほかの酒の熟成に使った再使用樽
- リメード:解体した樽材を組み直して容量や形を変えた樽
- リチャー:使用済み樽の内側をあらためて焼き直した樽
熟成にはアメリカンオークの古樽を使います。新樽はタンニンや木香が強く、繊細な原料香を覆いやすくなります。古樽はそれが穏やかなので、蒸溜で残したトウモロコシの甘さを前に出せます。一方で、使い込んだ古樽ほど樽の成分は出にくくなります。一般論として、使用済み樽をリチャーすると、焦げたチャー層の下にできるトースト層で樽材のリグニンが熱分解し、バニリンが出やすくなります。カフェグレーンの熟成にどの処理の樽が使われているかは、メーカーは公表していません。
香味を製法に分解する
| 段階 | 感じやすい要素 | 主な由来 |
|---|---|---|
| ノージング(香り) | バニラ、ウッディ | アメリカンオークの古樽(バニリンなど木材由来の成分) |
| パレット(口に含んだ味) | トウモロコシ由来の甘さ、穀物感 | 原料と、分離をしすぎないカフェスチル |
| フィニッシュ(余韻) | 軽快 | モルトに比べて軽いグレーンの酒質 |
由来を自分の舌で確かめるには、口のすぼまったテイスティンググラスで、まずそのまま香りを取ります。次に数滴だけ加水して、もう一度香りを取ります。そのうえで口に含んで比べます。香りのバニラ(樽)と、口中で広がる甘さ(原料)を分けて捉えられれば、お客さまにも「甘さはトウモロコシ、バニラは樽」と製法に沿って説明できます。
公表されていない項目
メーカーは、冷却濾過・着色の有無と、樽の内訳(各樽の比率や前に入っていた酒)を公表していません。カフェグレーンは熟成年数を表示しないノンエイジで、熟成年数は非公表です(表示基準との関係は後述)。
カフェシリーズは2種類|カフェグレーンとカフェモルトの違いと選び方
ニッカのカフェシリーズは、カフェグレーンとカフェモルトの2本です。どちらも宮城峡蒸溜所のカフェスチルで蒸溜し、古樽で熟成しています。違いは原料です。カフェグレーンはトウモロコシ主体、カフェモルトは大麦麦芽100%でつくられます。
| 項目 | ニッカ カフェグレーン | ニッカ カフェモルト |
|---|---|---|
| 原料 | トウモロコシ主体 | 大麦麦芽100% |
| 分類 | グレーンウイスキー | グレーンウイスキー |
| 発売年 | 2012年(欧州で先行発売) | 2013年12月(欧州で先行発売)、日本は2014年 |
| 容量・度数 | 700ml・45% | 700ml・45% |
| 純アルコール量 | 100mlあたり36g | 100mlあたり36g |
| JAN | 4904230032731 | 4904230035725 |
| 実勢価格の目安 | 5,120円前後(2026年10月17日時点) | — |
| 受賞歴 | ISC2016 ゴールド | ISC2017 グレーンウイスキー部門トロフィー(最高賞)/The Spirits Business誌「The Most Innovative Spirits Launch of 2014」 |
流通状況は、後述の「カフェグレーンは今も買える?」の章で整理しています。
麦芽100%なのに「モルトウイスキー」ではない理由
ウイスキーの分類は、原料だけで決まるわけではありません。どの蒸溜機で蒸溜したかも分類を左右します。スコッチウイスキー規則(SWR 2009)では、シングルモルトを「麦芽のみを原料に、単一の蒸溜所でポットスチル(単式蒸溜器)で蒸溜したもの」と定めています。カフェモルトは麦芽の条件を満たしていますが、蒸溜には連続式のカフェスチルを使っています。そのため、この定義には当てはまらず、グレーンウイスキーとして扱われます。メーカーも、分類はモルトではなくグレーンだと明記しています。
商品名に「モルト」と入っているのは、原料が麦芽であることを示すためです。分類を表しているわけではありません。棚札やメニューに「モルトウイスキー」と書くのは誤りです。正しくは「麦芽100%のグレーンウイスキー」です。英語圏のお客さまには「100% malted barley, but distilled in a Coffey still, so it's classified as grain whisky.」と伝えると誤解が残りません。
香味の方向は原料で分かれる
蒸溜機も樽の考え方も共通なので、香味の違いの出発点は原料にあります。カフェグレーンは、前の章で触れたトウモロコシ由来の甘さが骨格になり、まろやかで丸い方向に寄りやすい酒質です。カフェモルトの麦芽は、焙燥(キルニング。発芽させた大麦を熱風で乾燥させる工程)を経ています。そのため、穀物の香ばしさやビスケットを思わせるコクが出やすくなります。ポットスチルで蒸溜したモルトほど重くはなりませんが、カフェスチルが香味成分を削りきらない分、麦芽の性格が残ります。比べるときは、同じグラスに同じ量(30mlずつなど)を注ぎます。まずそのまま香りを取り、次に数滴だけ加水して、香ばしさがどちらに強く出るかを確かめると違いがつかみやすくなります。
どちらを選ぶか:目的別の判断基準
- 甘さと飲みやすさを重視する/ハイボールにも使いたい:カフェグレーン。原料香が残っているため、1:3〜4なら炭酸で割っても甘さが残る(1:5以上では軽さが勝つ)
- 麦芽の風味と、麦芽を連続式で蒸溜するという珍しい製法を味わいたい:カフェモルト。ストレートや少量の加水で香ばしさを確かめる飲み方が向く
- ウイスキー好きへの贈り物:カフェモルト。「麦芽100%なのに分類はグレーン」という話題を添えられる
- 初めての1本、または飲み慣れていない人への贈り物:カフェグレーン
- 2本を同時に開ける:原料だけが違う比較セットになり、香味の由来を説明する教材として使える
ニッカ ザ・グレーンとの違い
関連商品のニッカ ザ・グレーンは、2023年3月28日に発売されました。700ml・48%、税別12,000円です。西宮・宮城峡のカフェモルトとカフェグレーン、門司・さつま司の原酒など、7種類のグレーン原酒をブレンドしています。カフェ2本は、原料ごとに単一の性格を見せる「定点」です。ザ・グレーンは、複数の拠点のグレーン原酒を重ねて複雑さを組み立てる「ブレンドの到達点」と位置づけられます。度数も価格も一段上なので、カフェ2本で原料ごとの違いを把握してから飲むと、どの要素がブレンドに効いているかを追いやすくなります。
カフェグレーンは今も買える?休売・価格改定・ジャパニーズウイスキー基準を一次情報で確認

2026年10月時点で、アサヒビールの商品ページには、カフェグレーンとカフェモルトのどちらにも終売・休売の記載がありません。一時期、出荷が絞られて店頭で品薄になった時期があり、「カフェモルトは休売中」という記述はその当時の情報です。
発売から現在までの流通の時系列
| 時期 | カフェグレーン | カフェモルト |
|---|---|---|
| 2012年 | 欧州で先行発売 | — |
| 2013年12月 | — | 欧州で先行発売 |
| 2014年 | — | 日本で発売 |
| 2019年 | 3月末をめどに、在庫がなくなりしだい休売となったと報じられている(熟成に時間のかかる原酒を安定して活用するため) | 同左 |
| 2026年10月 | 商品ページに終売・休売の記載なし | 同左 |
棚札やネット通販で「終売」「希少」と書かれていたら、前の章で挙げたJANコードでメーカーの商品ページと照らし合わせてください。休売期に付いた表示がそのまま残っていることがあるためです。
価格の目安と価格改定の経緯
| 銘柄 | 実勢価格の目安 |
|---|---|
| ニッカ カフェグレーン | 5,120円前後(2026年10月17日時点) |
| ニッカ カフェモルト | — |
2024年4月1日出荷分の改定(洋酒17ブランド68品目)と、2025年11月1日出荷分から予定されていたもののシステム障害の影響で延期された改定(5ブランド26品目)は、どちらもカフェ2銘柄を対象にしていません。そのため、「値上げしたから」という理由で相場より大きく高い価格が付いていても根拠にはなりません。購入前に複数の販売店で価格を比べてください。
ジャパニーズウイスキーの表示基準との関係
公式の英語ページでは、カフェグレーンはジャパニーズウイスキーの基準を満たすとされています。一方、カフェモルトは基準をすべては満たさないと明記されています。この基準は日本洋酒酒造組合が定めた業界の表示基準で、法律ではありません。主な内容は次のとおりです。
| 項目 | 基準の内容 |
|---|---|
| 施行日 | 2021年4月1日 |
| 経過措置 | 2024年3月31日まで |
| 原材料 | 麦芽(必須)・穀類・国内採水の水 |
| 製造 | 糖化・発酵・蒸溜を国内の蒸溜所で行う |
| 蒸溜 | 留出時のアルコール分95%未満 |
| 貯蔵 | 内容量700L以下の木樽で国内3年以上 |
| 瓶詰め | 国内で行い、アルコール分40%以上 |
麦芽の使用は必須ですが、カフェグレーンはトウモロコシ主体でも麦芽を使って糖化しているため、基準を満たせます。経過措置はすでに終わっています。英語圏のお客さまに聞かれたら、「Nikka states that Coffey Grain meets the Japanese whisky standard, but Coffey Malt does not meet all the criteria.」と答えれば正確です。カフェグレーンの熟成年数を聞かれた場合は、年数そのものは非公表なので、数字を推測せず、基準の下限である国内3年以上の貯蔵だけを根拠として示します。
海外の知人へ贈るときの確認点
- ラベル表記:英語名は「Nikka Coffey Grain/Coffey Malt」。相手が税関で申告したり検索したりするときに商品を特定できるよう、商品名をそのまま伝える
- 度数45%:国によっては度数で課税区分や持ち込みの扱いが変わる。700ml・45%という規格を相手に伝えておく
- 相手国の持ち込み・輸入規制:免税で持ち込める量や、酒類を国際郵便・宅配で送れるかどうかは、国や配送事業者によって違う。具体的な数値は、相手国の税関や配送事業者の案内で事前に確認する
- カフェモルトを贈る場合:「100% malted barley, classified as grain whisky」の一文を添える。ラベルの「MALT」から相手がモルトウイスキーだと受け取る誤解を防げる
カフェグレーンのおいしい飲み方|ストレート・加水・ハイボールの比率と失敗しない手順
ストレート:45%の度数で香りの立ち方を確かめる
最初の一杯はストレートで飲み、ほかの飲み方と比べる基準にします。グラスは口のすぼまったチューリップ型のテイスティンググラスを使い、シングル(30ml前後)を注ぎます。カフェグレーンは45%と、40%の標準的なボトルより度数が高めです。エタノールが揮発しやすいため、グラスに鼻を近づけすぎると刺激が先に来て、バニラや穀物の甘い香りが隠れます。最初はグラスを鼻から少し離して香りを取り、軽く回してからもう一度嗅いでください。そのうえで口に含むと、度数による刺激と甘さを分けて捉えられます。
加水とトゥワイスアップ:冷やさない理由
- ストレートの香りを確かめたら、スポイトや小さじで常温の水を数滴加える
- グラスを回して香りを取り直す。アルコールの刺激がやわらぎ、バニラや穀物の甘さが前に出てくる
- まだ刺激が強ければ、さらに数滴ずつ足す。一度に多く入れない
トゥワイスアップは、ウイスキーと常温の軟水を1:1で合わせる飲み方です。度数は約22.5%まで下がります。香り成分は温度が下がると揮発しにくくなるため、氷も冷水も使いません。軟水を選ぶのは、ミネラル分が少なく、水の味が香味に干渉しにくいからです。硬水を使うと、ミネラルの苦みが甘さの輪郭を鈍らせることがあります。
ロック:味の変化を楽しむ飲み方
ロックには、大きく溶けにくい氷を1つ使います。冷えると香りの揮発が抑えられ、甘さが締まって引き締まった印象になります。そこから氷が溶けるにつれて度数が下がり、甘さがまた開いていきます。一杯の中で変わっていく味を追う飲み方なので、注いだ直後と数分後の味を比べてください。小さな氷を使うと溶けるのが速すぎて、変化を追う前に味が薄まります。
ハイボール:比率は1:3〜4、薄くしすぎない
一般的なグレーンは酒質が軽く、炭酸に負けやすい傾向があります。カフェグレーンは原料香が残っているため、ウイスキー1に対してソーダ3〜4なら甘さが残ります。度数はおよそ9〜11%です。1:5以上に薄めると、軽さが勝って甘さが消えます。甘さをより残したいなら、1:3寄りにします。
- グラス・ウイスキー・ソーダを冷凍庫や冷蔵庫でよく冷やす
- グラスに氷を詰め、ウイスキーを注ぐ
- ソーダは氷に当てず、グラスの内側に沿わせて静かに注ぐ
- マドラーを底まで入れ、縦に1回だけ持ち上げて混ぜる
| よくある失敗 | 起きること | 理由 |
|---|---|---|
| 常温のソーダやウイスキーを使う | 泡立って炭酸が抜ける | 二酸化炭素は温度が高いほど液体に溶けにくい |
| ソーダを氷に当てて注ぐ | 注いだ瞬間に泡が立つ | 氷の表面の凹凸で気泡が発生しやすい |
| 何度もかき混ぜる | 気が抜け、味が平板になる | 撹拌でガスが逃げる |
| 1:5以上に薄める | 甘さが消え、水っぽくなる | 原料香が残るカフェグレーンでも、この比率では軽さが勝つ |
コーヒー割りとの関係
前の章で触れたとおり、名前とコーヒーは無関係です。それでも、トウモロコシ由来の甘さとバニラの香りは、コーヒーの苦みや焙煎香とよく合います。作り方や比率は「ウイスキーのコーヒー割り完全ガイド」で詳しく紹介しています。
開栓後の保管
- 瓶は立てて保管する。寝かせると、高い度数の液体がコルクに触れ続けて傷みやすい
- 直射日光と温度変化を避け、冷暗所に置く。冷蔵庫への出し入れも温度変化になる
- 残量が半分を切ると瓶内の空気が増え、酸化や揮発で香りが変わりやすくなる。その段階からは数か月以内を目安に飲み切る
バーでの注文と値付け
- 「カフェグレーンをストレートで、チェイサーもお願いします」
- 「カフェグレーンをトゥワイスアップで、シングルで」
- 「カフェグレーンのハイボールを、濃いめで」(1:3寄りにしたいとき)
- 「カフェグレーンとカフェモルトを、ストレートで飲み比べたいです」
店でカフェシリーズの値付けが通常のブレンデッドより高めになるのは、まず仕入れ値が高いためです。また、700mlの1本からシングル30mlで取れるのは約23杯です。店はこの杯数で仕入れ値を回収するため、1杯あたりの価格に仕入れ値の差がそのまま反映されます。
カフェグレーンが好きな人の次の1本とよくある質問

カフェグレーンの甘さが気に入ったら、次の1本は2つの軸で選べます。1つは、同じグレーンで蒸溜方式を比べる軸です。もう1つは、グレーン原酒がブレンドの中でどんな役割を果たしているかを比べる軸です。カフェグレーンはグレーンを単独で味わう酒です。モルトと合わせると、そのグレーンは麦芽の重さを支える土台に回ります。どちらの違いも、並べて飲むとはっきり分かります。
比較の候補:同じグレーンで蒸溜方式を比べる
- サントリー 知多:多塔式の連続式蒸溜機でつくるシングルグレーン。軽い酒質の代表として、カフェスチル由来の甘さとの違いを確かめやすい
- キリン シングルグレーン 富士:富士御殿場蒸溜所で、複数の蒸溜方式を併用してつくるシングルグレーン。蒸溜方式の組み合わせで酒質を組み立てる考え方と比べられる
比べるときの観点は、甘さの厚み、穀物香の残り方、余韻の長さです。付帯塔を備えた多塔式で高い度数まで精溜したグレーンは、口当たりが軽く、余韻が短くなりやすい傾向があります。カフェグレーンで中盤にトウモロコシの甘さが残り、余韻にもその甘さが続くなら、それが蒸溜で微量成分を削りきらなかった分の差です。
比較の候補:モルトとグレーンを合わせたブレンド
- イチローズモルト モルト&グレーン クラシカルエディション:モルトとグレーンを組み合わせたブレンデッド。海外原酒を含むワールドブレンデッドウイスキー
原酒の産地構成、度数、表示区分は、ボトルとメーカーの商品ページで確かめてから選んでください。特に海外原酒を含むブレンドは、日本洋酒酒造組合の「ジャパニーズウイスキー」表示基準の対象外になります。外国人に勧める場合や贈る場合は、ラベルの表示を必ず確認してください。
どちらに進むかの判断材料
| カフェグレーンで気に入った点 | 次に進む方向 | 比べるときに見るところ |
|---|---|---|
| トウモロコシ由来の甘さの厚み | 他社のシングルグレーン(知多、富士) | 蒸溜方式の違いが、甘さの厚みと余韻の長さにどう出るか |
| ハイボールでも崩れない甘さ、軽い余韻 | グレーン比率の高いブレンデッド | 甘さの骨格が残るか、余韻の軽さが同じか |
| もう少しコクや香ばしさが欲しかった | モルトとグレーンのブレンド(上の1本) | 麦芽由来の香ばしさがどこで出るか、グレーンが口当たりをどうならしているか |
| カフェモルトの香ばしさが好きだった | モルトとグレーンのブレンド | 麦芽の性格が、ポットスチル由来の重さとして出ているか |
比べるときは、カフェグレーンと候補の1本を同じテイスティンググラスに30mlずつ注ぎます。ストレートで香りを取り、数滴加水してもう一度香りを取ります。カフェグレーンのほうがトウモロコシの甘さが前に出て、ブレンドのほうが麦芽のコクで中盤が厚くなるなら、グレーンが土台として働いている証拠です。
よくある質問
Q. シングルグレーンとは何ですか。 A. 単一の蒸溜所でつくったグレーンウイスキーのことです。スコッチウイスキー規則(SWR 2009)では、単一の蒸溜所で蒸溜され、シングルモルトに当たらないものをシングルグレーンと定めています。原料が1種類という意味ではありません。カフェモルトのように、麦芽100%のシングルグレーンも成り立ちます。
Q. カフェグレーンは水割り(1:2〜2.5)に向きますか。 A. 向いています。45%のカフェグレーンを1:2で割ると約15%、1:2.5で約13%になり、トウモロコシ由来の甘さを残したまま食事に合わせやすい濃さになります。グラスに氷を詰めてウイスキーを注ぎ、先によく混ぜて冷やしてから、冷やした軟水を加えて軽く混ぜます。1:3を超えると甘さが薄れやすいので、薄めたいときはハイボールに切り替えるほうが香りを保てます。
Q. カクテルのベースに使うなら何と合わせますか。 A. 甘さとバニラの香りを生かせる副材料が合います。ジンジャーエールで割るウイスキージンジャー、スイートベルモットと合わせるマンハッタン、レモンとシロップで仕上げるウイスキーサワーが代表例です。酒質はモルトより軽いので、香りの強いリキュールやビターズを多く入れると、カフェグレーンの性格が隠れます。副材料は控えめに始め、甘さが残るかを確かめながら量を決めてください。
まとめ
- 「カフェ」はコーヒーではなく、発明者イーニアス・カフェの名前
- 甘さの中心はトウモロコシ、バニラは樽。カフェスチルが微量成分を削りきらないことで原料香が残る
- 分類は2本ともグレーンウイスキー。ジャパニーズウイスキーの基準を満たすとメーカーが示しているのはカフェグレーンだけ
よくある質問
ハイボール用に、ボトルごと冷凍庫で冷やしておいてもよいですか。
ハイボールに使うだけなら、冷やしておくのは理にかなっています。炭酸が抜けにくく、氷も溶けにくくなるからです。ただし、冷えたままストレートやトゥワイスアップに使うと、香り成分が揮発しにくくなり、バニラや穀物の甘い香りが閉じます。冷凍庫への出し入れは温度変化にもなります。ハイボールに使う分だけ小瓶に移して冷やすと扱いやすくなります。
ストレートで飲むとき、チェイサーには何を合わせればよいですか。
常温か、冷やしすぎない軟水が向いています。ミネラル分の多い硬水は苦みが残り、次の一口で甘さの輪郭を鈍らせることがあります。炭酸水はさっぱりしますが、舌に刺激が残り、バニラや穀物の繊細な甘さを拾いにくくなります。チェイサーは、45%の度数による刺激を舌からリセットするためのものです。一口ごとに少量ずつ含んでください。
カフェグレーンとカフェモルトを自分で混ぜて飲んでもよいですか。
混ぜても問題ありません。原料の違いを確かめる方法として役立ちます。2本は同じ蒸溜機で蒸溜し、同じように古樽で熟成しているので、比率を変えるとトウモロコシの甘さと麦芽の香ばしさのバランスが動くのが分かります。ただし、ニッカ ザ・グレーンは7種類のグレーン原酒をブレンドしたものなので、2本を混ぜても同じ味にはなりません。
カフェグレーンのハイボールには、強炭酸のソーダを選ぶべきですか。
強炭酸ほど良いとは限りません。カフェグレーンは原料香が残っているため、通常のソーダなら1:3〜4で甘さが残ります。刺激の強いソーダを使うと、トウモロコシ由来の甘さより炭酸の刺激が前に出やすくなります。甘さを残したいなら、通常のソーダを1:3寄りで合わせ、よく冷やして静かに注ぐのが向いています。キレを優先して強炭酸を使う場合も、1:5以上には薄めないでください。
出典・参考にした情報
- NIKKA WHISKY(確認日 2026-10-07)
- アサヒビール(確認日 2026-10-07)
- アサヒビール(確認日 2026-10-07)
- WHISKY Magazine Japan(確認日 2026-10-07)
- Time Out Tokyo(確認日 2026-10-07)
この記事で紹介した銘柄
20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。