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ウイスキーを最高に愉しむロックグラスのおすすめと選び方【厳選】

ウイスキーのロックグラスは容量・口径・厚みと素材で選ぶのが基本。容量250〜320ml、口径73〜82mmを目安に、丸氷との相性や注ぐ量に合うサイズの見極め方と、北斗や薄氷などおすすめのグラスを紹介します。

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ロックグラスの選び方は「容量・口径・厚みと素材」の3点で決まる

結論から言うと、ウイスキーのロックに使うグラスは容量250〜320ml前後、口径73〜82mmを基準にすると失敗が少なくなります。丸氷を使うなら口径80mm台、鼻を口元に近づけて香りを取りたいなら70mm台前半も候補です。この範囲なら大きめの氷がすんなり入り、注いだあとも液面の上に香りのたまる空間が残るためです。210ml級のグラス(東洋佐々木ガラス「北斗 7オールド」、口径75mmなど)は、小ぶりな氷でシングルを少量楽しむ使い方に向きます。

容量は「満水容量」と「実際に注ぐ量」の差で考える

グラスの容量表示は、縁のぎりぎりまで水を入れたときの量です。ロックでは大きめの氷を入れ、そこにシングル30ml、またはダブル60mlを注ぐので、液面はかなり低い位置に収まります。**液面から縁までの空間に揮発した香りがこもり、グラスを傾けたときにまとまって鼻へ届きます。**容量の小さいグラスに大きな氷とダブルを入れると、この空間がほとんど残りません。香りが立つ前に縁から逃げてしまいます。

  • シングル中心で、小さめの角氷を使う:210ml級
  • シングル〜ダブルで、大きめの氷を1個入れる:250〜305ml
  • ダブル以上を注ぐ:305〜320ml
  • 丸氷を使うなら、容量よりも口径80mm台を優先

満水容量だけで選ぶと、氷が押しのける体積を見落とします。直径7cmの丸氷は、体積だけで約180mlあります。250mlのグラスにこの氷を入れて60mlを注ぐと、氷の収まり方によっては液面が縁に近づきます。選ぶときはふだん注ぐ量・氷の直径・グラスの内径と形をセットで確かめてください。丸氷の場合は、口を通るかどうかだけでなく、入れたあとに液面がどこまで来るか、鼻や唇が氷に当たらずに飲めるかも確認します。手持ちのグラスと氷で、ウイスキーの代わりに水を注いで試すと確実です。

注ぐ量を毎回そろえたい場合は、目印付きのグラス(リーデル6417/02の節を参照)も選択肢になります。

口径は「氷が入るか」と「鼻が収まるか」で決める

口径は、丸氷や大きめの角氷が縁に当たらずに入るか、そして飲むときに鼻がグラスの口に収まるかで判断します。比較しやすい例として、KAGAMIのT428-640は容量320mlで口径73mm、東洋佐々木ガラス「薄氷 オンザロック」は容量305mlで口径82mmです。容量はほぼ同じでも、口径には約1cmの差があります。

KAGAMI T428-640東洋佐々木ガラス「薄氷」
容量320ml305ml
口径73mm82mm
氷の入れやすさ大きな丸氷は口径との差を確かめる必要あり大きめの氷も入れやすい
飲むときの感触口が狭い分、鼻や大きな氷が縁に近づきやすい口が広く、鼻が入りやすい

使う氷が決まっているなら、氷の直径を測り、口径と比べてから選ぶと確実です。口径の数値は、まず氷の出し入れと飲みやすさの判断に使ってください。香りの感じ方は、液面の広さ、グラス全体の形、氷の位置でも変わります。口径だけで73mmと82mmのどちらが優れているかは決まりません。

厚みと素材:底の厚さと口元の薄さは役割が違う

項目ソーダライムガラスクリスタルガラス
概要一般的な食器用ガラス屈折率を高めたガラス
透明度・輝き実用上は十分高く、液色やカットが映える
重さ製品により幅がある重めのものが多い
価格の例「薄氷」990円KAGAMI T493-1521 8,800円

食器洗い機の可否は、素材名ではなく製品ごとの表示で決まります(手入れの章を参照)。

底の厚いグラスは重心が低く安定するため、氷を入れて揺らす動作や、カウンターでの提供に向きます。ただし、ガラスの量が多い分、常温のまま使うと氷が溶けやすくなります。冷やし方は手順の節で扱います。口元の薄いグラスは、唇に当たる感触が軽く、液体が細い流れで舌に乗ります。加水で香りが開いていく変化を追いたい飲み方に向きます。

形は、オールド型・寸胴型・下すぼまり型に大きく分かれます。下すぼまり型(口に向かって広がる形)は鼻が入りやすく、香りは穏やかに広がります。口元が内側にすぼまった形は、香りが口元に集まりやすくなります。寸胴型は氷が収まりやすいのが特徴です。ストレート用やハイボール用を含めたグラス全般の選び方は、別の記事で詳しく扱っています。

なぜグラスでロックの味が変わるのか|温度・加水の速さ・香りの立ち方

ウイスキーのイメージ写真

ロックの一杯は、注いだ瞬間から冷却と加水が同時に進み、味が変わり続けます。グラスが影響するのは、この変化の「速さ」と「感じ取り方」です。温度、溶ける速さ、口元の形がそれぞれ別の働きをするため、分けて整理します。

冷えると香りは閉じ、薄まると香りは開く

氷が溶けて度数が下がると、アルコールの刺激に隠れていた甘さや果実の香りが感じ取りやすくなることがあります。グアイアコール(ピート由来のスモーキーなフェノール類の一つ)など一部の成分では、加水によって液面付近に集まりやすくなるとの研究があります。ただし、加水で強まる香りもあれば弱まる香りもあり、すべての香気成分が同じ動きをするわけではありません。一方で、液温が下がりすぎると香りの成分が揮発しにくくなり、香りは閉じてしまいます。

つまりロックは、加水で香りが開く方向と、冷却で香りが閉じる方向が綱引きをしている状態です。注いだ直後は冷たさで香りが控えめになりやすく、時間がたつにつれて加水の影響が増していきます。どの時点で好みの状態になるかは、銘柄、氷の量、室温によって変わります。サントリーが案内するように、注いだあと軽く混ぜるのは、液温を早くそろえて、この変化を安定した位置から始めるためです。

厚いグラスは「冷やしてから」使うと氷が長持ちする

ガラスの量が多いグラスほど熱容量が大きく、温まりにくく冷めにくい性質があります。常温の重いグラスにそのまま氷を入れると、グラス自体を冷やすために氷が余分に溶け、最初の一口から薄まります。このため、底の厚い重いグラスほど、使う前に冷やしておくのが確実です。実際の氷の溶け方は、グラスの冷え具合のほか、室温、氷とガラスの接触面、飲み終えるまでの時間でも変わります。

リムの薄さは「一口の量と流れ込む勢い」を変える

リムが薄いと、一口の量が少なく、流れ込む勢いも穏やかになります。そのためアルコールの刺激が立ちにくく、加水による小さな変化を拾いやすく感じられます。リムが厚いと一口が大きくなり、度数の高さを強く感じやすくなります。いずれも口当たりと一口量の感じ方の違いで、香りの変化を追いたいなら薄口、度数の高さや重厚さを受け止めたいなら厚口、と使い分けるのが実用的です。

カスクストレングスと無濾過のボトルは、氷で表情が大きく動く

樽出しの度数のまま加水せずに瓶詰めしたカスクストレングスは、加水で下げたボトルより香味成分の濃度が高い状態です。氷で少しずつ薄まる過程で開く香りの幅が大きく、ロックでの変化をもっとも楽しめるタイプといえます。

冷却濾過は、液を低温にして、低温や加水で濁りの元になる長鎖の脂肪酸エステルなどを濾し取る工程です。この成分は、口当たりの厚みや香りの持続にも関わるとされます。濾過をしていないボトルは、氷による冷却と加水で度数が下がると白く濁ることがありますが、通常は品質の劣化ではありません。こうしたボトルには、薄口で変化を追えるグラスが合います。

「氷は大きいほど良い」の実際

大きな氷は体積の割に表面積が小さいため、溶ける速さが遅く、薄まり方が緩やかになります。ただし、シングルやダブルの量では液面が低いため、大きすぎる氷は大半が液面から上に出ます。注ぐ量に対して、氷とウイスキーが触れる面が小さくなり、冷え方がゆっくりになることがあります。

状態起きること対処
氷が口径ぎりぎり出し入れしにくく、香りの逃げ道も狭まる口径より1cm前後小さい氷にする
氷が液面から大きく出る注ぐ量に対して、氷とウイスキーが触れる面が小さくなることがある一回り小さい氷にするか、マドラーで軽く混ぜて温度をそろえる
小さな角氷を多数入れる表面積が大きく、早く薄まる短時間で飲み切る一杯に限る

氷の大きさの目安は、口径との差が片側5mm前後あることです。シングル・ダブルの量では、どの大きさの丸氷でも上部はかなり液面から出ます。そのため、注いだあとにマドラーで回し、液を氷の表面に繰り返し当てて冷やします。

【厳選】ウイスキー用ロックグラスのおすすめ|価格帯別の比較表

予算と用途で選ぶなら、1,000円以下は東洋佐々木ガラス、毎日使えるクリスタルはリーデル、贈答はKAGAMIを軸にすると迷いません。下の表には、メーカー公式の表示で確認できた仕様と価格を載せ、確認できなかった欄は「未確認」としています。価格はメーカー公式サイトの税込表示(2026年10月時点)です。

商品名型番容量口径素材食洗機価格向く用途
東洋佐々木ガラス「北斗 7オールド」P-01125-JAN210ml75mmソーダライムガラス未確認396円シングルの少量ロック、業務用の買い足し
東洋佐々木ガラス「薄氷 オンザロック」B-21109CS305ml82mmソーダライムガラス(日本製)未確認990円大きめの氷でゆっくり飲む
リーデル「Drink Specific Glassware Rocks Glass」6417/02(2個組)283ml未確認クリスタルガラス対応未確認日常使い、ダブルを毎回同じ量で注ぐ
KAGAMI ロックグラスT493-1521250ml81mmクリスタルガラス不可(使用を避けるよう案内)8,800円贈答(木箱入り)、氷を扱いやすい一客
KAGAMI ロックグラスT428-640320ml73mmクリスタルガラス不可(使用を避けるよう案内)13,200円贈答(木箱入り)、小さめの氷でゆっくり飲む人
KAGAMI 江戸切子「幕襞に四角籠目紋」T370-2835-CCB240ml76mmクリスタルガラス不可(使用を避けるよう案内)11,000円贈答、訪日客に出す和の一客

東洋佐々木ガラスは、商品ページに食洗機OKマークがある製品のみ食器洗い機を使えると案内しています。食洗機で洗う予定があるなら、型番ごとに表示を確かめてください。

1,000円以下:割れても惜しくない実用の2客

「北斗 7オールド」は210mlの小ぶりなオールド型です。小さめの角氷にシングル30mlという飲み方なら、液面上の空間も十分に残ります。単価が低いので、営業中に割れても同じ型をすぐ補充できます。グラスの形がそろったまま揃いを保てる点は、業務用で特に効きます。「薄氷 オンザロック」は口径82mmと広く、直径7cm前後の丸氷も無理なく入ります。日本製のソーダライムガラスで、自宅で大きめの氷を使い始める最初の一客に向きます。

クリスタルを日常に:リーデル 6417/02

クリスタルの輝きは欲しいけれど、手洗いの手間は避けたい人にはリーデルの6417/02が向きます。満水容量は283mlで、メーカーが食器洗い機対応と表示しています。内側には、メーカーが60mlと表示する目印があります。ただし、目印で60mlを量れるのは氷を入れる前だけです。先に氷を入れると氷が液面を押し上げるため、目印まで注いでも60mlになりません。目印で量るなら、ウイスキーを目印まで注いでから氷をそっと入れます。氷を先に入れる手順で作る場合は、メジャーカップで量ってください。量り方を決めておけば、自宅では一杯ごとの量が、店では原価がぶれにくくなります。700mlのボトルなら、60mlのダブルで約11杯分です。注ぐ量が一定であれば、ロットや銘柄を替えたときの比べ飲みも公平になります。

贈答・高級帯:KAGAMIの3型の選び分け

  • 相手が大きな丸氷を使う人:T493-1521(口径81mm)。3型の中でもっとも氷を扱いやすい
  • 小さめの氷でシングルモルトをゆっくり飲む人:T428-640(口径73mm、320ml)。3型で口径が最も狭く、容量に余裕がある
  • 日本らしさを伝えたい相手や訪日客:江戸切子のT370-2835-CCB。カットが液色を映し、手に持ったときの滑り止めにもなる

KAGAMIは3型とも木箱入りなので、そのまま贈答に使えます。一方で、手洗いが必要です(手入れの章を参照)。贈る相手が日常的に食洗機を使う家庭なら、そのことを一言添えると親切です。店で使う場合も、江戸切子はカットの溝に洗剤が残りやすいため、柔らかいスポンジでの手洗いを前提に本数を見積もってください。なお、KAGAMIには公式サイトで欠品中・入荷未定と表示されているモデルもあります。注文前に在庫表示も確かめてください。

価格や仕様は改定されることがあります。購入前には必ず各メーカーの公式サイトで最新の表示を確認してください。

用途別の選び方|自宅の晩酌・贈り物・バーや酒販店での業務用

ウイスキーのイメージ写真

同じグラスでも、自宅の晩酌、贈り物、店での提供では重視する点が変わります。自宅は手入れの手間、贈り物は箱と渡し方、店は補充と量の管理で選ぶと決めやすくなります。高級ブランド同士の詳しい比較は、高級ロックグラスの記事で扱っています。

自宅の晩酌:量と氷からグラスを逆算する

まず、ふだん注ぐ量がシングルかダブルか、使う氷が何かを決めます。グラスはその組み合わせに合わせて選ぶと失敗しません。

  • 家庭の製氷皿の氷:小さく溶けやすいので、短時間で飲み切るシングルが中心。小ぶりなオールド型で十分
  • 市販のロックアイス:形が不ぞろいなので、口径の広いグラスが扱いやすい
  • 丸氷:手持ちの製氷器の直径を測り、前の章で触れた口径との余裕で選ぶ

毎晩使うなら、輝きより洗いやすさと食洗機対応を優先します。手洗いが前提のグラスは、使う頻度が自然と下がりがちです。日常用は食洗機に対応したもの、週末にじっくり飲む一本には手洗いのクリスタル、と2客で分ける方法もあります。

贈り物:木箱・江戸切子・名入れと、渡し方の実務

贈答で見た目の格を決めるのは、グラス本体よりも箱です。KAGAMIのように木箱入りの製品は、包装を足さなくてもそのまま渡せます。名入れは対応の有無も納期も販売店によって違うため、注文の前に確認してください。名入れしたグラスは返品できないことが多い点にも注意が必要です。

海外に住む知人や外国人に贈る場合は、文様の意味を一言添えると、器の背景まで伝わります。たとえば籠目紋は、編んだ竹籠の目を図案化した文様で、魔除けの意味を持つとされます。英語のカードに一行書くだけで十分です。送る場合は次の点を守ってください。

  • グラスを1客ずつ緩衝材で包み、木箱の中で動かないよう隙間を埋める
  • 木箱ごと一回り大きな外箱に入れ、四方に緩衝材を詰めて二重箱にする
  • 手荷物で持ち帰ってもらう場合は、機内持ち込みの手荷物に入れるよう伝える

バー・酒販店:単価・洗浄・ラック・量の4点で選ぶ

判断軸確認すること
補充のしやすさ割れたときに同じ型をすぐ買い足せる単価か。廃番になりにくい定番品か
洗浄業務用食洗機を通すかどうか。通すなら、メーカーが対応と表示している製品に限る
ラックへの収まりグラスの最大径と高さが、手持ちの洗浄ラックや棚の仕切りに収まるか
量の管理目印やグラスの形で、誰が注いでも同じ量になるか

量をそろえる方法は2つあります。1つは、目印付きのグラス(リーデル6417/02の節を参照)を使い、ダブルの基準を店内で統一する方法です。もう1つは、目印のないグラスを使い、メジャーカップでの計量を手順として決める方法です。どちらにするかで、選ぶべきグラスが変わります。

食洗機を通す運用なら、型番ごとに食器洗い機対応の表示を確かめてから数をそろえます。東洋佐々木ガラスの製品であれば、商品ページの食洗機OKマークが判断の基準になります。対応を確かめた単価の低い定番品を数をそろえて置き、割れた分を補充していく形が向きます。江戸切子のKAGAMIは手洗いが前提のため、特別な一杯に出す数客だけにとどめ、手洗いで管理するのが現実的です。

訪日客の多い店:グラスそのものを説明の材料にする

訪日客には、グラスの産地や技法を伝えることが、ジャパニーズウイスキーを勧めるきっかけになります。売り場の説明文や接客では、次の要点を短く伝えると効果的です。

  • 産地:「薄氷 オンザロック」のように、メーカーが日本製と表示しているものは「Made in Japan」と明記する
  • 技法:江戸切子は、東京の伝統工芸として受け継がれてきたカットガラスの技法だと一行で説明する
  • 文様:籠目紋などの名前と意味を英語で添える
  • 扱い方:手洗いが必要なことを伝えると、持ち帰りの購入にもつながりやすい

店で使う江戸切子と同じ型を売り場にも置いておけば、気に入った客にその場で販売できます。カウンターで実際に使った体験が、そのまま購入の決め手になります。

ロックグラスで作る美味しいオン・ザ・ロックス|手順と銘柄の合わせ方

ロックを美味しく作るコツは、冷やす・注ぐ・軽く混ぜるの3つの手順で、加水の速さを抑えることです。基本の手順はサントリーの案内に沿っています。

オン・ザ・ロックスの基本手順と、それぞれの理由

  1. グラスが冷えていなければ、水と氷を入れてしばらく置き、中身を捨てる。グラスが熱を持ったままだと、注いだ直後に氷の表面が一気に溶け、最初の一口から水っぽくなるため
  2. 大きめの氷を入れる。表面積が小さく、溶ける速さが緩やかになる
  3. ウイスキーを適量注ぐ。量はメジャーカップで量る。氷に直接かけず、氷とグラスの隙間に注ぐと氷が割れにくい
  4. マドラーで数回、氷を回して軽く混ぜる。目的は液温をそろえることで、混ぜすぎると氷が削れて加水が進みすぎる。グラスの外側がうっすら曇り始めたら止める

店で出す場合は、手順1で使った冷却用の氷を捨て、提供用の氷は新しく入れ替えます。冷却に使った氷は角が溶けて丸くなり、表面に水の膜がついているため、そのまま使うと薄まり方が早くなります。

時間で変わる香りと味わい|直後・数分後・氷が半分溶けた頃

変化の速さや順序は、銘柄、氷の量と大きさ、室温、飲む速さによって変わります。下の表は決まった変化の予測ではなく、直後と数分後、氷が半分ほど溶けた頃を比べて、好みの状態を探すための観察の手順です。

タイミングノージング(香り)パレット(口に含んだ味)フィニッシュ(余韻)
注いだ直後アルコールの刺激がどの程度先に立つかを確かめる口当たりの締まり具合と、甘さの出方を確かめる余韻の長さと、ドライに切れるかを確かめる
数分後直後と比べ、果実や樽の香りが増えたか減ったかを確かめる甘さと刺激の釣り合いが、好みに近づいたかを確かめる余韻が伸びたか、短くなったかを確かめる
氷が半分ほど溶けた頃香りが軽くなりすぎていないかを確かめる薄まったあとに、繊細な要素が残っているかを確かめる最後にどの要素が残るかを確かめる

同じ一杯の変化を比べたいなら、3つのタイミングで一口ずつ確かめ、好みの状態になったところで飲み進めるのが実用的です。輪郭がぼやけてきたら、氷を足すより早めに飲み切るほうが味は崩れません。

ロックで変化がわかりやすい銘柄と、製法上の理由

銘柄製法上の特徴ロックでの変化
グレンファークラス 105加水せずに樽出しの度数で瓶詰めするカスクストレングス度数が高く、氷で下がる幅が大きいため、薄まる過程の変化が出やすい。シェリー樽由来のドライフルーツやナッツの香りが、薄まるにつれてどう出てくるかを確かめる
アードベッグ 10年ピートを焚いて乾燥させた麦芽を使用。冷却濾過をしていないピート由来のスモーキーさが、冷えたときと薄まったときでどう変わるか、麦芽の甘さや柑橘の香りが出てくるかを確かめる。冷却濾過なし(上の節を参照)
ウッドフォードリザーブ内側を焦がした(チャーした)新樽で熟成するバーボン焦がした新樽から溶け出すバニラやキャラメルの甘い香りが香味の中心になる。冷やした直後にどの程度甘さを感じるかを確かめる
  • 変化の大きさを楽しみたい:グレンファークラス 105を、時間をかけて香りの変化を追う
  • スモーキーさの移り変わりを見たい:アードベッグ 10年を、薄口のグラスで少量ずつ飲む
  • 最初から甘く飲みやすい一杯が欲しい:ウッドフォードリザーブを、大きめの氷でゆっくり飲む

ロック以外の飲み方も試すなら、別の記事が参考になります。トゥワイスアップ(ウイスキーと常温の水を1:1で割る飲み方)は、冷却で香りを閉じずに加水だけを効かせられます。ハイボールの比率と手順も、飲み方の記事で詳しく扱っています。

ロックグラスの手入れと長持ちのコツ|食洗機・電子レンジ・保管

ウイスキーのイメージ写真

ロックグラスを長く使うには、まず製品ごとの洗浄表示を確かめ、手洗いと保管で縁と表面を守ることです。グラスに残ったにおいは、次の一杯の香りを直接邪魔します。

食洗機・電子レンジは「素材名」ではなく製品の表示で判断する

クリスタルガラスでも、食器洗い機の可否はメーカーによって違います。リーデルは6417/02を食器洗い機対応と表示しています。一方、KAGAMIは自社のクリスタルガラス製品について、食器洗い機と電子レンジの使用を避けるよう案内しています。購入後は次の順で確認してください。

  1. 商品ページ、箱、添付の取扱説明で「食器洗い機」「電子レンジ」の記載を探す
  2. 記載がなければ、メーカーの問い合わせ窓口で型番を伝えて確認する
  3. 確認が取れるまでは手洗いで扱う。電子レンジにも入れない

手洗いのコツ:ぶつけない・温度差をつけない・自然乾燥させない

  • 1客ずつ洗う。シンクに重ねて浸けると、洗っている最中に縁同士が当たって欠けやすい
  • 冷えたグラスに熱い湯をかけない。急な温度変化はひびの原因になるため、洗う湯はぬるめにする
  • 柔らかいスポンジと中性洗剤で洗い、洗剤の膜が残らないよう十分にすすぐ
  • すすいだらすぐ、毛羽の出にくいクロスで拭く。水道水のミネラル分が乾いて白い跡(ウォータースポット)になる前に水分を取る
  • 拭くときは底側を持ち、縁をねじらない。薄い口元ほど、ねじる力で割れやすい

保管:口を上に向け、においの強い場所を避ける

口を下にして伏せると、グラス全体の重さが最も薄い縁にかかります。棚に置くときや取り出すときに縁が擦れ、細かな欠けも出やすくなります。ロックグラスは口を上にして並べ、ほこりが気になる場合は扉付きの棚に入れてください。伏せた状態では、棚板やマットのにおいが口元に移ることもあります。コンロや香辛料の近く、洗剤や防虫剤を置いた収納は避けます。

グラスのにおいと残った氷が、次の一杯を変える

ノージングで最初に鼻に入るのは、グラスの内側にこもった空気です。洗剤や棚のにおいが残っていると、繊細なエステル香(果実のような香り)より先にそれを拾います。提供する前に空のグラスを嗅ぎ、においがあれば水ですすぎ直してください。手順1の冷却でにおいも流せます。前の一杯の氷を残したまま注ぎ足すのも避けます。角が溶けて表面に水の膜があるため、最初から薄まります。冷凍庫のにおいを吸った氷なら、そのにおいも液に移ります。

よくある質問

Q. ロックグラスとオールドファッションドグラスの違いは? 国内では、背が低く口の広いタンブラーを指す名前として、ほぼ同じ意味で使われています。「7オールド」のように商品名に「オールド」を含む製品もあります。名前で選ぶより、容量と口径の数値で比べてください。

Q. 焼酎と兼用できますか? 焼酎のロックなら兼用できます。芋焼酎など香りの強いものを飲んだあとは、においを残さないよう念入りにすすいでください。お湯割りに使う場合は、耐熱の表示がある器を選びます。

Q. クリスタルガラスは鉛を含みますか? 鉛を含むものと、含まない無鉛クリスタルの両方があります。気になる場合は、材質欄に「無鉛」と表示された製品を選んでください。

よくある質問

ロックグラスを冷凍庫に入れて冷やしてもいいですか?

製品の表示で禁止されていなければ使えます。ただし、取り出した直後に常温の液体が触れる急な温度差は、ひびの原因になります。冷凍庫のにおいがグラスに移ることや、冷えすぎて最初の一口の香りが閉じることにも注意が必要です。香りを優先するなら、手順1の冷却が無難で、においも流せます。

ロックで飲むときもチェイサーは必要ですか?

用意するのがおすすめです。合間に水を口に含むと、舌に残ったアルコールの刺激や樽由来の苦味が流れ、次の一口で甘さや果実の香りを拾い直せます。氷が溶けていても、飲み始めの度数は高いままです。時間ごとの香味の変化を比べたいときほど効果があります。チェイサーはウイスキーとは別のグラスに用意してください。

バーでロックを注文するとき、どう伝えればよいですか?

「銘柄・量・飲み方」の順に伝えると確実です。たとえば「グレンファークラス 105をシングルでロック」のように言います。シングルやダブルの基準量は店によって異なることがあるため、気になるときは確認してください。丸氷か角氷かの好みや、チェイサーの有無も、このときに一緒に伝えるとスムーズです。

開栓したボトルは、ロック用でも保管に気をつけるべきですか?

気をつけてください。残量が減るほど瓶の中の空気が増え、果実のような繊細な香りから先に弱まっていきます。キャップをしっかり閉め、光と熱を避けて立てて保管します。コルク栓は、横に寝かせると度数の高い液に触れて傷みやすいためです。残りが少なくなったら、早めに飲み切るか小瓶に移すと香りを保てます。

出典・参考にした情報

この記事で紹介した銘柄

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。