ウイスキーを愛する方々の間では、近年日本発の品評会「東京ウイスキー＆スピリッツコンペティション(TWSC)」が注目を集めています。2021年の第3回目の開催では、審査方法の改革や新カテゴリーの導入など、日本のウイスキー文化を世界に発信するための新たな試みがなされました。また、ジャパニーズウイスキーの新基準が発表され、品質向上と信頼性確保に向けた大きな一歩となりました。今回のブログでは、TWSC 2021の概要と新基準の影響について詳しく解説します。
1. TWSC 2021とは？世界が注目する日本発の品評会
「東京ウイスキー＆スピリッツコンペティション（TWSC）」は、日本初のウイスキーとスピリッツの品評会として、2019年に誕生しました。このコンペティションは、ウイスキー文化研究所が主催し、国内外の高品質な飲料を評価する場を提供しています。TWSCは、ジャパニーズウイスキーやスピリッツが世界的に注目を集める中で、特に重要な役割を果たしています。
TWSCの成り立ち
TWSCの設立背景には、以下のような要素があります：
- 日本の酒文化の普及：ウイスキーやスピリッツの評価が国内で行われることにより、品質向上を図り、日本独自の酒文化を広める目的がある。
- 国際的な評価の場：日本の酒が海外で高く評価されている中で、日本国内でも同様の評価が行えるようにするため。
- 公平な審査方法：ブラインドテイスティングを採用し、銘柄が知られない状態で評価を行うことで、真の実力が反映されます。
2021年のコンペティション
TWSC 2021は、第3回目となり、例年以上の出品がありました。この年は洋酒部門で444点、焼酎部門で255点がエントリーされ、特に洋酒部門においては、その質と多様性が際立っていました。審査は、全国から集まった202人の専門家によって行われ、各カテゴリーごとの評価が厳格に実施されました。
審査カテゴリー
TWSCでは、ウイスキーやスピリッツを以下のように分類して審査が行われます：
- ウイスキー
- ブランデー
- ラム
- テキーラ
- ジン
- ウォッカ
- その他のスピリッツ
このような詳細なカテゴリー分けは、出品者にとってより公平な評価を意味します。また、品質の高い飲料を見極めるための基準を設けることにも寄与しています。
注目される理由
TWSCが注目される理由は、その透明性と専門性にあります。審査員は業界のエキスパートから選出されており、その厳選されたメンバーが評価を行います。これにより、受賞した製品には大きな信頼が寄せられます。また、TWSCの結果は国内外のメディアに掲載され、受賞酒は市場においてもさらなる注目を浴びることになります。
さらに、TWSCは新たな市場開拓にも貢献しています。海外のバイヤーが注目するプラットフォームを提供することで、日本の酒を国際的に広める機会を創出しています。
このように、東京ウイスキー＆スピリッツコンペティションはただの品評会に留まらず、日本の酒文化を世界に提示する重要なイベントであり、業界全体の活性化に寄与する役割を持っています。
2. 2021年の審査方法と新カテゴリーの登場
東京ウイスキー＆スピリッツコンペティション（TWSC）2021では、審査方法に新しい工夫が加えられました。過去のコンペティションに比べて、より多様性を重視したアプローチが採用され、焼酎部門も新たに設けられることで、より広範なスピリッツの評価が実現しました。
新しい審査方法
TWSCの審査では、ブラインドテイスティング形式が採用されています。この方法により、審査員は出品酒の銘柄や製造元に影響されることなく、純粋に香りや味わいを評価することができます。審査は以下の2段階で行われました。
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一次審査（リモート審査）
– 参加審査員が、自宅で送付されたミニボトルを使用し、指定された時間にテイスティングを行います。
– 審査員たちは、各酒のアロマやフレーバー、総合バランスなどを基に100点満点で得点を付けます。 -
二次審査（審査会）
– 審査員の中から選抜された約50名が集まり、会場で直接テイスティングを実施します。
– 審査員は、焼酎の専門家や洋酒のプロから構成され、さまざまな視点から評価を行います。
焼酎部門の導入
2021年のTWSCでは、焼酎部門が新設され、合計255点の出品が行われました。この新カテゴリーでは、国酒である焼酎の新たな価値と魅力が発見されることが期待されています。具体的な審査基準は以下の通りです。
- 各カテゴリーごとに評価基準が設定されており、米、麦、芋、黒糖、泡盛など、素材別に審査されます。
- 審査員たちは、それぞれのカテゴリー内で一定の得点以上を獲得した作品に対して、最高金賞、金賞、銀賞、銅賞などの賞を授与します。
複数の専門家によるハイブリッド審査
TWSCの審査には、多様なバックグラウンドを持つ専門家が参加することにより、客観的かつ公平な評価を実現しています。以下は審査員の構成です。
- 洋酒の専門家: 90名以上が参加し、特にブランデーやウイスキーの知識を持つ実力派ばかりです。
- 焼酎・日本酒の有識者: 焼酎や日本酒に関する深い知識を活かし、専門的な視点での評価が行われました。
このように、TWSC2021では審査方法に新たな出発点を設け、焼酎に対する熱意と本格焼酎への理解を深める機会を提供しています。農産物を基にした日本のスピリッツが、正当に評価される期待が高まっています。今回のコンペティションを通じて、焼酎の新たな価値が発見され、さらに多くの人々にその魅力が伝わることが願われています。
3. ジャパニーズウイスキーの新基準で何が変わった？
2021年2月16日に発表された「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」は、日本のウイスキー業界に顕著な変化をもたらしました。この新基準は特に、ジャパニーズウイスキーの品質や信頼性を向上させることを目的としています。それでは、新たな基準の導入により、具体的にどのような変化がもたらされたのかを見ていきましょう。
1. 新たな定義とカテゴリーの導入
この新基準によって、ジャパニーズウイスキーの定義が明確化され、次のような厳格な条件が設けられました。
- 原材料の制約: 使用可能な原材料は、大麦、穀類、および日本国内の水のみとし、必ず麦芽を用いることが求められます。
- 製造プロセス: 糖化、発酵、蒸留の全てを日本国内の蒸留所で行う必要があります。
- 熟成条件: 700リットル以下の木製樽に詰め、3年以上日本国内で熟成することが求められます。
さらに、3年未満の熟成年数を持つ製品には新たにジャパニーズニューメイクスピリッツというカテゴリーが設けられました。これにより、若いウイスキーや新たなスタイルとして北海道産ウイスキーも正式に評価される機会が増えました。
2. ワールドブレンデッドウイスキーの登場
新基準では、ワールドブレンデッドウイスキーの定義が明確にされ、外国製ウイスキーが日本でブレンドされる際の取り扱いについても詳細が示されました。このルールの導入によって、ブレンド商品の品質管理が向上し、消費者にとっての信頼性も一層高まることが期待されています。
3. ブランドと消費者への影響
新しい基準は、ブランドにとっても大きな影響をもたらします。それまであいまいだった基準が明文化されることで、ジャパニーズウイスキーとしてのアイデンティティが強化され、品質への信頼が向上すると考えられます。また、消費者にとっても、情報がより分かりやすくなることから、安心して購入できるようになるでしょう。
4. 賞への影響
TWSCにおいては、この新基準に基づいた評価が実施されるため、高品質なジャパニーズウイスキーの発掘が進むことになります。結果として、受賞する製品は、より多くの消費者や業界関係者からの注目を浴びることになるでしょう。
このように、2021年に導入された新たな基準は、ジャパニーズウイスキーの品質向上と市場競争力の強化に寄与するものとして評価されています。今後の発展にますます期待が寄せられています。
4. 注目の受賞酒をご紹介！最高金賞から金賞まで
東京ウイスキー＆スピリッツコンペティション2021（TWSC）において、特に注目を集めた受賞酒をご紹介します。今年の大会では、泡盛や焼酎を含む多岐にわたるカテゴリーで、数々の珠玉の銘柄が評価されました。
最高金賞受賞酒
今年の審査では、最高金賞を受賞した17点の中でも特に際立つ銘柄があります。
- 千年の響 43度 長期熟成古酒
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泡盛の魅力を最大限に引き出した逸品。カラメルや干し果実の香りが絶妙に融合し、豊かなコクを感じさせる味わい。
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今帰仁城 43度 10年古酒
- 長期間の熟成を経たこの古酒は、香ばしさと深みが調和し、複雑なアロマが舌に広がります。和食との相性も抜群です。
金賞受賞酒
さらに、金賞に輝いた銘柄も見逃せません。これらは各カテゴリーで特に高評価を受けたものです。
- 百年の孤独
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麦焼酎の中でも、バニラの香りに加え、芳醇な甘さが際立つ非常に飲みごたえのある銘柄。
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喜六
- 芋焼酎の中のロングセラーで、しっかりとしたコクとともに後味がスッキリとする優れたバランスを持っています。
注目すべき他の受賞酒
TWSC2021では、以下の酒も大変注目されています。
- 天使の夢 25度古酒
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柔らかな口当たりと華やかな香りを持つ焼酎。特にデザートとの組み合わせが楽しめます。
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美しき古里 30度
- フルーティーでありながらも、深い麦の香ばしさを感じる独自のキャラクターを持っています。
受賞酒の選定には、厳格な審査が実施されており、審査員の専門知識を基にした点数付けが行われました。各銘柄が持つ個性や味わいは、それぞれの酒造りの技術と情熱の結晶です。これらの受賞酒を通じて、日本のウイスキーやスピリッツの可能性がますます広がっていることを実感します。
5. TWCSが日本のお酒業界に与えたインパクト
東京ウイスキー＆スピリッツコンペティション（TWSC）の開始は、日本のウイスキー業界にとって画期的な出来事でした。この競技会が持つ影響力は多岐にわたり、国内外での日本酒の評価を高める原動力となっています。
日本のウイスキーのグローバルな評価向上
TWSCは、日本のウイスキーが国際的に認知されるようになる土台を築きました。特に、以下の点が重要です。
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公平な審査方法：TWSCではブラインドテイスティングが行われるため、無名の銘柄でも実力次第で評価されるチャンスがあります。これにより、丹精込めて作られた地元のウイスキーやスピリッツに光が当たる機会が増えました。
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専門家による評価：各分野のエキスパートから構成された審査員が名を連ねることで、日本のスピリッツの品質が世界水準であることを証明しています。この評価は、海外市場へのアプローチにも影響を与えており、ジャパニーズウイスキーの輸出増加に寄与しています。
飲食業界の活性化
TWSCはウイスキー文化の普及に寄与するだけでなく、飲食業界全体を活性化しています。具体的な影響は以下の通りです。
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新たなメニューの開発：飲食店やバーは、TWSCで受賞した銘柄をメニューに取り入れることが増え、その結果として多様なウイスキー体験を提供できるようになっています。
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クラフト蒸留所の増加：TWSCの知名度向上に伴い、各地のクラフト蒸留所が注目を集めています。新たに創業した蒸留所が競争に参加することで、業界全体が盛り上がり、独自の風味や特性を誇るウイスキーが生まれています。
業界団体との連携
TWSCは、業界団体や関連企業との連携を強化しており、以下のような取り組みがあります。
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教育プログラム：審査員や愛好者向けのワークショップやセミナーを開催し、ウイスキーに関する知識を深める活動を推進しています。
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国際交流：他国の酒類コンペティションと交流を持つことで、日本のウイスキー文化を海外に広める機会が増えています。これにより国際的な関係が強化され、共同プロジェクトやコラボレーションも広がっています。
TWSCによって生まれた革新が、日本のウイスキー業界とその周辺文化に新たな息吹を注いでいるのです。今後ますますの成長と発展が期待されます。
まとめ
東京ウイスキー＆スピリッツコンペティション(TWSC)は、日本のウイスキーとスピリッツ文化の発展に大きな役割を果たしています。厳格な審査基準とブラインドテイスティングによる公平な評価、そして業界の著名な専門家による審査が、日本のスピリッツの品質と信頼性を高めています。また、受賞酒の普及を通じて、新しいウイスキー体験を提供する飲食店やバーの活性化にもつながっています。さらに、TWSCは国内外の酒類コンペティションとの連携も深め、日本のウイスキー文化をグローバルに発信する重要な機会となっています。このように、TWSCの取り組みは日本のお酒業界全体に大きなインパクトを与え続けており、今後もその活躍が期待されています。
