ジャパニーズウイスキー

響のキーモルトとは|商品別の原酒と樽、味の理由を解説

響のキーモルトは山崎・白州のモルト原酒と知多グレーン。JAPANESE HARMONYや21年など商品ごとに軸となる樽の違いと味の理由がわかります。

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響のキーモルトとは:山崎・白州のモルトと知多グレーンの役割分担

響のキーモルトは1つではありません。骨格は山崎・白州のモルト原酒と知多のグレーン原酒で、商品ごとに軸になる樽の原酒が違います。JAPANESE HARMONYはミズナラ樽で長く熟成させたモルト原酒、21年は山崎のシェリー樽原酒がキーモルトとされます。BLENDER'S CHOICEはワイン樽、BLOSSOM HARMONYは桜樽で後熟させた原酒が特徴です。

キーモルトとは、ブレンデッドウイスキーの骨格と個性を決める中心のモルト原酒のことです。酒税法や業界団体の表示基準で定められた用語ではなく、造り手や売り手が香味の成り立ちを説明するために使う言葉です。そのため、キーモルトは配合量が最も多い原酒を指すとは限りません。量が少なくても、そのブレンドらしさを決めている原酒がキーモルトと呼ばれます。

響は何でできているか:3つの蒸溜所と2種類の原酒

響は、サントリーの山崎蒸溜所と白州蒸溜所のモルト原酒に、知多蒸溜所のグレーン原酒を合わせたブレンデッドウイスキーです。

原酒蒸溜所原料と蒸溜方法ブレンドでの役割
モルト原酒山崎蒸溜所・白州蒸溜所大麦麦芽だけを原料に、単式蒸溜器(ポットスチル)で蒸溜香味の骨格と個性を担う。キーモルトもここから選ばれる
グレーン原酒知多蒸溜所穀物を原料に、連続式蒸溜機で蒸溜個性の強いモルト同士をつなぎ、口当たりを整える

グレーン原酒を「モルトを薄めて量を増やす材料」と見るのは誤りです。連続式蒸溜は高い度数まで蒸溜できるため、原料に由来する重い成分が少ない、軽い原酒になります。軽いぶん樽に由来する香味が表に出やすく、熟成させたグレーンは樽由来の甘さとなめらかさを持ちます。個性の強いモルトを並べただけでは、香味がぶつかる部分が出てきます。熟成グレーンはその間を埋めて、口当たりを均します。響 JAPANESE HARMONYでも、グレーンは「熟成させたグレーン原酒」として使われています。

30種類以上のモルト原酒を組み合わせる考え方

2015年3月10日発売の響 JAPANESE HARMONYには、30種類以上のモルト原酒と熟成させたグレーン原酒がブレンドされています。モルトの供給元は山崎と白州の2か所だけです。それでも30種類以上になるのは、一つの蒸溜所の中で原酒を造り分けているからです。

造り分けは、樽に詰める前の工程から始まります。サントリーは、山崎・白州で形状や大きさ、加熱方式(直火・間接加熱)の異なるポットスチルを使い分けていること、木桶とステンレスの発酵槽を併用していることを公開しています。一般に、ラインアーム(スチルの頭部から冷却器へ蒸気を送る管)が上向きだったり、ネックが長かったりすると、重い成分が途中で冷えてポットに戻る還流(リフラックス)が増え、軽く繊細な酒質になります。逆に、ラインアームが下向きで還流が少ないと、重い成分が残った厚みのある酒質になります。直火加熱ではスチルの底が高温になり、香ばしく重い酒質につながりやすいとされます。発酵槽では、木桶に棲みつく乳酸菌が発酵の後半に働き、香りの幅を広げると一般に説明されます。これに、ピートを焚いた麦芽と焚かない麦芽の使い分けが加わります。こうして性格の違う原酒をつくり、さらに熟成に使う樽の種類と熟成年数を変えるため、同じ蒸溜所からでも多くの種類の原酒ができます。

スコッチのブレンデッドでは、他社の蒸溜所と原酒を交換して種類の幅を確保する例が多くあります。これに対してサントリーは、自社の蒸溜所の中で原酒の幅をつくり、それを組み合わせます。これがサントリーのブレンドの基本的な考え方です。

「響のキーモルトは山崎」が半分しか正しくない理由

「響のキーモルトは山崎」という言い方は、山崎のモルト原酒が響の中心を担っているという点では間違いではありません。ただし、キーモルトは蒸溜所の名前だけでは決まりません。同じ山崎の原酒でも、どの樽でどれだけ熟成させたかで香味が大きく変わるためです。加えて、響は商品ごとに香味の軸になる原酒が違います。

  • 響 JAPANESE HARMONY:ミズナラ樽で長く熟成させたモルト原酒がキーモルトとされる(販売店の商品説明による。メーカーの一次資料では未確認)
  • 響 BLENDER'S CHOICE:ワイン樽で熟成させた原酒を使用
  • 響 BLOSSOM HARMONY:桜樽で後熟させた原酒を使うとされる限定品

店頭やカウンターで説明するなら、「山崎と白州のモルトに知多のグレーンを合わせたブレンデッドで、商品ごとに軸になる樽の原酒が違う」と伝えるのが正確です。訪日客には "A blend of Yamazaki and Hakushu malts with Chita grain whisky" と一文で伝え、商品ごとの樽の違いを付け加えると誤解されにくくなります。商品別のキーモルトと樽は、次の見出しで整理します。

公表されていない製法仕様の扱い

ポットスチルの形状や基数、麦芽のフェノール値(ppm。ピートをどれだけ焚き込んだかを示す数値)、発酵槽の材質は、蒸溜所の仕様です。響はブレンデッドウイスキーなので、これらは「響として」ではなく、原酒を造る山崎・白州・知多の各蒸溜所の情報として見る必要があります。一方、ブレンド比率や冷却濾過(低温で濾過し、濁りの原因になる成分を取り除く工程)、着色の有無は、商品ごとの仕様です。両者を分けると、次のようになります。

蒸溜所として公開されている情報公開されている内容
ポットスチル(山崎・白州)形状や大きさ、加熱方式(直火・間接加熱)の異なるスチルを使い分けている
発酵槽木桶とステンレスの発酵槽を併用している
麦芽ピートを焚いた麦芽と焚かない麦芽を造り分けに使っている
響の商品として公表されていない情報公表状況
商品ごとのブレンド比率未確認
冷却濾過の有無未確認
着色の有無未確認
樽の履歴(ファーストフィルかリフィルか、シェリーの種類、ワインの品種)未確認

スチルの基数や麦芽のppmなどの数値は、一次資料で照合できていないため、この記事には載せていません。以下でも、確認できない数値は書かず、未公表または未確認と明記します。客に聞かれた場合も、他の銘柄の数値から推測して答えず、「メーカーは公表していない」と伝えるのが正確です。山崎・白州それぞれの原酒の性格は「サントリーローヤルのキーモルトとは」で詳しく扱っているため、ここでは響の中での役割に触れるだけにとどめます。

商品別キーモルト一覧:JAPANESE HARMONY・21年・BLENDER'S CHOICE・BLOSSOM HARMONY・40年

ウイスキーのイメージ写真

響のキーモルトは商品ごとに違います。キーモルトとは、ブレンドの中で量が多いとは限らないものの、香味の方向を決める原酒のことです。響全体の骨格は前節で述べた山崎・白州のモルトと知多のグレーンですが、商品ごとの個性は、どの樽で熟成させた原酒かによって語られます。下の表は、公表・報道された範囲だけを整理し、情報の出どころと確度を並べたものです。確度は「高:メーカー一次資料」「中:報道」「低:販売店・メディアの記載(メーカー資料で未確認)」の3段階で表しています。

商品キーモルト・特徴となる原酒出どころ確度度数・容量発売流通
JAPANESE HARMONYミズナラ樽で長く熟成させたモルト原酒(30種類以上のモルト原酒と熟成グレーン原酒をブレンド)販売店の商品ページ低700ml・43%2015年3月10日通常品
21年山崎のシェリー樽原酒販売店・メディアの記載低700ml・43%1994年通常品
BLENDER'S CHOICEワイン樽で熟成させた原酒第三者の商品解説低700ml・43%2018年9月飲食店向け中心(小売は限定的)
BLOSSOM HARMONY桜樽で後熟させた原酒販売店の商品ページ・酒類メディア低700ml・43%(2026年版)2021年から毎年。2026年版は5月26日限定
40年1983年に蒸溜し、ミズナラ樽で熟成させた山崎のモルト原酒を含む。1983年以前に蒸溜した40年超の原酒だけを使用報道中700ml・43%未確認国内100本の抽選販売
17年公表情報では確認できず——未確認1989年休売(2018年9月に出荷終了)
30年公表情報では確認できず——700ml・43%1997年通常品(2026年4月の価格改定の対象)

「響のキーモルト=ミズナラ」とまとめない

表のとおり、ミズナラが挙がるのはJAPANESE HARMONYと40年だけです。21年はシェリー樽、BLENDER'S CHOICEはワイン樽、BLOSSOM HARMONYは桜樽での後熟と、商品によって軸が違います。17年と30年にミズナラを当てはめる根拠はありません。さらに、樽の履歴(新しく詰めるファーストフィルか、再使用のリフィルか)、シェリーの種類、ワインの品種、後熟の期間はどれも公表されていません。説明で補うと誤りになります。

ミズナラは日本のオークです。液漏れしやすく、香木のような香りが出るまで長い熟成が必要とされます。JAPANESE HARMONYの「長く熟成させた」という記載は、この性質と対応しています。後熟の定義と、桜材の樽を使える背景は、次の章でまとめて扱います。

店頭・案内での伝え方

  • 商品名、キーモルト、出どころを一文で伝える。例:「JAPANESE HARMONYは、ミズナラ樽で長く熟成したモルト原酒がキーモルトとされています」
  • 訪日客向けの英語例:Hibiki Japanese Harmony is said to feature malt aged in Mizunara (Japanese oak) casks.
  • 40年は「ミズナラ樽熟成の山崎モルトを含む」と伝え、「ミズナラ原酒100%」とは言わない
  • BLOSSOM HARMONYは、2026年版がシリーズ最後だとする報道があるが、メーカーの正式発表は確認できていない。「最終版」として売らない
  • 17年は終売ではなく休売。12年は2015年に国内で終売したが、2026年5月から海外の空港免税店限定で再発売されている(国内販売は未発表)。両者を混同しない。訪日客には、取り扱いのある海外の空港免税店なら12年を買えると案内できる

贈答で使えるJAPANESE HARMONYの外観

ボトルは二十四節気にちなんだ24面カットです。二十四節気は、1年を24の季節に分ける暦の区切りです。ラベルには越前和紙を使っています。海外への贈り物なら「24 facets for the 24 seasonal divisions of the traditional Japanese calendar」「label made of Echizen washi paper」と添えると、中身の説明とは別に、外観で日本の季節感と工芸を伝えられます。

なぜ樽でここまで味が変わるのか:ミズナラ・シェリー・ワイン・桜樽を製法から読む

ミズナラ樽:扱いにくい木が「長期熟成」と結びつく理由

ミズナラは日本に自生するオークですが、樽材としては扱いが難しい木です。一般に木目が粗く、導管をふさいで液漏れを防ぐ組織であるチロースが少ないため、樽に組んでも漏れやすくなります。また、熟成が短いうちは木の荒い渋みが先に出て、特有の香りがはっきり現れるまでに長い年月がかかるとされます。JAPANESE HARMONYのキーモルトが販売店の商品説明で「ミズナラ樽で長く熟成させたモルト原酒」と紹介されること、響40年の原酒に1983年に蒸溜しミズナラ樽で熟成させた山崎モルトが含まれると報じられていることは、この木の個性が長期熟成と切り離せない点につながります。

白檀や伽羅にたとえられるお香の香りや、ココナッツを思わせる甘い香りは、木材に含まれるウイスキーラクトンなどの成分が長い時間をかけて原酒に溶け出したものと説明されます。これらの香りは、グラスに注いで数分置き、アルコールの刺激が引いてから嗅ぐと捉えやすくなります。

シェリー樽:主流は輸送樽ではなくシーズニング樽

現在のシェリー樽の主流は、シェリーの輸送に使った樽を転用したものではありません。樽にシェリーを一定期間詰め、木に風味をなじませたシーズニング樽が使われています。樽材による違いもあり、一般にスペイン産オークはタンニンが多く、色が濃く出て、ドライフルーツのような重さを与えます。アメリカ産オークはタンニンが穏やかで、バニラ系の甘さと明るい色に寄ります。初めてウイスキーを詰めるファーストフィルか、再使用のリフィルかによっても、樽の影響の強さは変わります。なお、響21年に使われている樽の仕様(ファーストフィルかリフィルか、樽材の種類)は公表されていません。そのため、21年の味を樽の仕様から言い切る説明は避けるべきです。

後熟と全期間熟成:桜樽とワイン樽の香りの乗り方

全期間熟成は、熟成の始めから終わりまで同じ樽に置く方法です。後熟(フィニッシュ)は、熟成を終えた原酒を仕上げの短い期間だけ別の樽に移し、香りを重ねる工程です。BLOSSOM HARMONYは、桜樽で後熟させた原酒を使うとされます。味の骨格はそれまでの熟成で決まっているため、桜樽の香りは主役にはならず、上に重ねた香りとして現れます。さらにその原酒はブレンドの一部に使われます。BLENDER'S CHOICEはワイン樽で熟成させた原酒を使っており、ワインがしみ込んだ木から果実を思わせる香りと、タンニンの渋みが加わります。

樽の要素ノージングパレットフィニッシュ
ミズナラ樽の長期熟成(JAPANESE HARMONY)お香やココナッツ系の香りが遅れて立つ甘さが穏やかに広がる香木のような香りが長く続く
ワイン樽(BLENDER'S CHOICE)木にしみ込んだワインに由来する、ベリーやプラムなど赤系果実の香りが早く立つ果実の甘酸っぱさに、ワインと木のタンニンによる収斂感(口の中がきゅっと締まる感覚)が重なるタンニン由来のドライな余韻が残る
桜樽での後熟(BLOSSOM HARMONY)桜材に含まれるクマリンなどに由来する、桜餅のような甘い香りが最初に重なる甘い香りが中盤まで乗るが、口当たりと厚みは後熟前の原酒が決める桜餅を思わせる甘い香りが短く重なり、余韻の長さは元の原酒に左右される

表は樽材の成分から見た香味の一般的な傾向を整理したもので、各商品のテイスティングノートではありません。

43%という度数と、冷却濾過の読み方

響は43%でボトリングされています(JAPANESE HARMONY、BLOSSOM HARMONY 2026、40年で確認)。すでに加水して度数を下げてあるため、アルコールの刺激が香りを覆いにくく、ストレートでも樽由来の香りを取りやすい度数です。さらに加水する場合は数滴から始め、香りの輪郭が崩れないかを確かめてから量を増やしてください。

冷却濾過の有無は、響の仕様としては確認できていません。一般に、冷却濾過をしていないウイスキーは、冷やしたり加水したりすると成分が析出して白く濁ることがあり、これは品質の劣化ではありません。響がこれに当たるかは断定できませんが、氷や水で濁りが見えても、それだけで劣化と判断しないようにしましょう。

桜樽を使える背景:SWRと日本の基準

スコッチウイスキー規則(SWR 2009)は、熟成に使う樽をオーク樽に限っています。そのため、桜のような非オーク材の樽で後熟させた原酒は、スコッチとしては使えません。これはスコッチの規則による制約で、非オーク材の樽が日本だけに許されているわけではありません。日本では、日本洋酒酒造組合の表示基準(2021年4月1日施行、2024年4月1日から本格適用)が、貯蔵に使う樽を「木製樽」と定めています。樹種をオークに限っていないため、桜材の樽も選べます。詳しい要件は次のセクションで整理します。

キーモルトの香りを引き出す飲み方と、店での出し方・値付け

ウイスキーのイメージ写真

響のキーモルトの香りは、グラスの形、温度、度数で感じ方が大きく変わります。店で出す場合は、香りの確かめ方、注ぐ量、原価、保管方法を一続きで決めておくと、提供の質がそろいます。

グラスと加水:ミズナラの香りを確かめる手順

香りを確かめるなら、チューリップ型のテイスティンググラスを使います。ふくらんだボウルで立ち上がった香りが、すぼまった口に集まって鼻に届くため、ミズナラ樽由来のお香のような繊細な香りを拾いやすくなります。ロックグラスは口が広く、香りが上で散って逃げやすいので、香りを確かめる用途には向きません。

  1. ストレートを少量注ぎ、まずグラスを回さずにノージング(鼻で香りを取ること)をします。次に軽く回して、もう一度香りを取ります。
  2. スポイトで常温の水を2〜3滴加え、軽く回して香りを取り直します。冷水は香りを立ちにくくするので使いません。
  3. 数滴ずつ水を足しながら、香りが開く点と、水っぽく崩れ始める点を確かめます。

度数が下がると、アルコールの刺激に隠れていた香りが立ちやすくなると一般に説明されます。JAPANESE HARMONY(43%)では、ストレートでは奥に控えていたお香の香りが、加水で前に出るのか、甘さに溶け込むのかを見ます。そうすると、ミズナラ樽原酒の効き方がつかめます。

飲み方別の比率と、キーモルトを残す判断基準

  • トゥワイスアップ:ウイスキー1:常温の水1。氷は入れません。43%の商品なら、度数はおよそ20%強まで下がります。刺激が和らぎ、樽の香りを最も確かめやすい飲み方です。
  • 水割り:1:2〜2.5程度。氷を入れたグラスにウイスキーを注ぎ、ステアして冷やしてから水を加えます。
  • ハイボール:1:3〜4程度。グラスと炭酸はよく冷やしておきます。氷にウイスキーを注いでステアで冷やし、炭酸は氷に直接当てずに、氷とグラスの隙間から静かに注ぎます。その後は縦に1回持ち上げる程度にとどめ、ステアは最小限にして炭酸を逃がしません。

判断の軸は温度と希釈です。冷えるほど香りは立ちにくくなり、薄めるほど原酒の輪郭は弱まります。キーモルトの樽香を客に伝えたいなら、ストレートかトゥワイスアップを選びます。食事に合わせて軽く飲んでもらうなら、水割りかハイボールが向いています。ハイボールで香りを残したい場合は、1:3寄りの比率にします。

注ぐ量と1杯あたりの原価

注ぐ量の基準は、シングル30ml、ダブル60mlです。700mlボトルからは、計算上はシングルで23.3杯(700÷30)取れます。ただし実際には、注ぐときのこぼれ、開栓時の品質確認の試飲、ボトルの底に残る分などのロスが出ます。原価は「実際の仕入れ値÷実効杯数(ロスを見込んで22杯程度)」で出すほうが実態に近くなります。下の表は、仕入れ値の仮の値として2026年4月1日出荷分からの改定後の希望小売価格(税別。BLENDER'S CHOICEと21年は報道による)を置き、22杯で割った試算です。

商品希望小売価格(税別)シングル30mlの原価ダブル60mlの原価原価率25%(一例)で置いた場合のシングル売価
JAPANESE HARMONY8,000円約364円約727円約1,455円
BLENDER'S CHOICE16,000円約727円約1,455円約2,910円
21年61,000円約2,773円約5,545円約11,090円

実際の仕入れ値は取引条件によって希望小売価格と異なるため、実際の仕入れ値(例:)で計算し直してください。売価は「1杯の原価÷目標原価率」で決まります。目標原価率は業態によって幅があり、ホテルバー、オーセンティックバー、居酒屋では、人件費、席の回転、サービス料の扱いが違うため、同じ原価でも適切な売価は変わります。表の25%はあくまで一例です。先に店としての原価率を決めておくと、商品ごとの値付けに一貫性が出ます。

開栓後の保管

液面が下がるほど、ボトル内の空気が増えて液体に触れる機会が増え、香りが変わりやすくなります。残りが少なくなったボトルは、優先して使い切ります。保管は直射日光を避け、温度変化の少ない場所で、ボトルを立てて行います。寝かせると、度数の高い液体がコルクを傷めます。ただし、立てたままでもコルクが乾くと縮んだり崩れたりして、隙間から空気が入りやすくなります。開栓のたびにコルクの状態を確かめ、崩れがあれば替え栓に交換します。

訪日外国人客への伝え方

「key malt」をそのまま使うと、通じにくいことがあります。「the core malt that shapes the flavor」や「signature malt」と言い換え、商品名とキーモルトの樽を一文で伝えます。

  • "Hibiki Japanese Harmony is built around malt whisky aged for a long time in Japanese oak casks called Mizunara."
  • "Hibiki Blender's Choice uses whisky matured in wine casks."
  • "Blossom Harmony uses whisky finished in cherry wood casks."

飲み方もすすめるなら、"Try it neat first, then add a few drops of water." と添えます。これで、加水の手順をそのまま客に案内できます。

休売・終売・値上げの時系列と、目的別の響の選び方

年表:発売・終売・休売・値上げの流れ

  • 1989年:響17年を発売。サントリー創業90周年を記念した、響で最初の商品
  • 2015年:響12年が国内で終売。同年3月10日にJAPANESE HARMONYを発売
  • 2018年5月:原酒不足を理由に17年の販売休止を発表し、同年9月に出荷を終了
  • 2018年9月:ワイン樽で熟成させた原酒を使うBLENDER'S CHOICEを発売
  • 2021年から:限定品BLOSSOM HARMONYを毎年発売
  • 2025年11月:価格改定を発表し、2026年4月1日出荷分から値上げ
  • 2026年5月:響12年を、海外の空港免税店(グローバルトラベルリテール)限定で11年ぶりに再発売(43%。ドバイの空港から始まり、6月以降に各地の空港へ拡大。国内販売は未発表)
  • 2026年5月26日:BLOSSOM HARMONY 2026を発売(700ml・43%、税込14,300円)

混同されやすい3つの誤り

17年は終売ではなく休売です。 年数表記品は、表示した年数以上熟成させた原酒の在庫がなければ出荷できません。17年が止まった理由も原酒不足です。12年は2015年に国内での販売を終えました。2026年5月からは海外の空港免税店限定で再発売されていますが、国内での販売は発表されていません。17年の休売とは区別して表記します。

7,500円(税別)はJAPANESE HARMONYの改定前の希望小売価格です。 2026年4月1日出荷分からは8,000円(税別)になりました。2025年11月5日にサントリーが発表した同じ価格改定で、BLENDER'S CHOICEは15,000円から16,000円、21年は55,000円から61,000円、30年は360,000円から415,000円(いずれも税別)に上がったと報じられています。値札やメニューを直す際は、取引先の価格表で確認してください。

響40年の希望小売価格は400万円(税別)です。 「40万円」と書かれた例は桁の誤りです。国内100本限定の抽選販売で、1983年以前に蒸溜した40年を超える原酒だけを使っています。

BLOSSOM HARMONYは2026年版が最後か

「2026年版で最後」という話は、会員向けニュースレターにあった「最後を飾る」という表現をもとにした報道です。メーカーが正式に終売を発表したかは確認できていません。販売時の説明では「最終版」と言い切らないようにします。

ジャパニーズウイスキーの表示基準

日本洋酒酒造組合が定めた「ジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」は、2021年4月1日に施行されました。経過措置を経て、2024年4月1日から本格的に適用されています。主な要件は次のとおりです。

  • 原材料は麦芽を必ず使う(ほかの穀類も使える)。水は日本国内で採取したものに限る
  • 糖化・発酵・蒸溜は日本国内の蒸溜所で行う
  • 内容量700リットル以下の木製樽に詰め、日本国内で3年以上貯蔵する
  • 瓶詰めは日本国内で行い、アルコール分は40%以上とする

響は、自社の山崎・白州・知多の各蒸溜所の原酒で造られています。ただし、個々の商品が基準を満たしているかは別に確かめる必要があります。海外の客に「ジャパニーズウイスキー」と説明する前に、ボトルの表示とメーカーの商品情報で確認してください。

受賞歴

World Whiskies Awards 2026のBest Japanese Blended Whisky(ジャパニーズ・ブレンデッド部門)では、30年が21 Years & Over区分のカテゴリーウィナーとしてGold、JAPANESE HARMONYがNo Age Statement区分でGold、21年とJAPANESE HARMONY Master's SelectがSilverを受けました。響はWorld's Best(世界最高賞)は受賞していません(World's Best Blendedはバランタイン23年)。日本の部門での受賞を、世界最高賞のように紹介しないよう注意します。

目的別の選び方

目的合う商品判断の基準と注意点
自宅でキーモルトの香りを確かめたいJAPANESE HARMONYキーモルトはミズナラ樽で長く熟成させたモルト原酒とされますが、メーカーの一次資料では未確認です。ワイン樽の原酒を使うBLENDER'S CHOICEと飲み比べると、樽による違いが分かります
バーで定番として置きたいJAPANESE HARMONY通年で出荷される商品のため、切らさず置けます。2026年4月出荷分から仕入れ値が上がったので、1杯の売価を計算し直してください
訪日外国人や海外の知人に贈りたいJAPANESE HARMONY、21年43%・700mlの仕様は伝えやすい要素です。渡航先の酒類の免税範囲や持ち込み規制は国ごとに違うため、事前に確認が必要です
限定品として記念に買いたいBLOSSOM HARMONY 2026税込14,300円で発売されました。「最後の版」かどうかは正式に発表されていません
17年を探したい17年(休売中)新たな出荷はなく、手に入るのは流通在庫だけです。12年は2015年に国内で終売しましたが、2026年5月から海外の空港免税店限定で再発売されています(国内販売は未発表)。訪日客には、取り扱いのある海外の空港免税店なら12年を買えると案内できます

年数表記品や限定品は、市場での実際の販売価格が希望小売価格を上回ることがあります。仕入れや贈答の予算は、希望小売価格ではなく、購入先で実際に提示される価格をもとに立ててください。

よくある質問

ウイスキーのイメージ写真

響のキーモルトは何ですか?

響のキーモルトはひとつに決まっていません。骨格は山崎・白州のモルト原酒と知多のグレーン原酒で、商品ごとに香味の軸になる樽の原酒が違います。JAPANESE HARMONYはミズナラ樽で長く熟成させたモルト原酒がキーモルトとされます(販売店の商品説明による。メーカーの一次資料では未確認)。21年は山崎のシェリー樽原酒がキーモルトと説明されています。BLENDER'S CHOICEはワイン樽で熟成させた原酒、BLOSSOM HARMONYは桜樽で後熟させた原酒が特徴です。

響にミズナラ樽が使われる理由は何ですか?

響の中でミズナラ樽が挙がるのは、JAPANESE HARMONY(販売店の説明による)と40年(報道による)です。シリーズ全体に共通するわけではありません。ミズナラは日本に自生するオークで、一般に木目が粗く、導管をふさいで液漏れを防ぐチロースが少ないため、樽に組んでも漏れやすい木です。また、熟成が短いうちは木の荒い渋みが先に出て、白檀や伽羅にたとえられる香木のような香りがはっきり現れるまでに長い年月がかかるとされます。JAPANESE HARMONYで「長く熟成させた」原酒とされるのは、この性質と対応しています。

響のキーモルトは山崎と白州のどちらですか?

どちらか一方ではありません。響は、山崎蒸溜所と白州蒸溜所のモルト原酒に、知多蒸溜所のグレーン原酒を合わせたブレンデッドウイスキーです。キーモルトは商品ごとに違い、響全体について特定の原酒をキーモルトと位置づけたメーカーの資料は確認できていません。ミズナラ樽の原酒は、JAPANESE HARMONYについて販売店が説明しているものです。21年は山崎のシェリー樽原酒がキーモルトと説明されています。

響のキーモルトは製品によって違いますか?

違います。商品ごとに香味の軸になる樽の原酒が違います(JAPANESE HARMONY:ミズナラ樽とされる、21年:シェリー樽、BLENDER'S CHOICE:ワイン樽、BLOSSOM HARMONY:桜樽で後熟)。17年と30年については、キーモルトを示す公表情報は確認できていません。なお、17年は2018年から休売中です。

この記事で紹介した銘柄

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