近年、日本のスピリッツ産業が海外でも高く評価されるようになり、世界的な酒類コンテストで受賞する機会が増えてきました。そんな中で、イギリスで開催されるインターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)は特に注目されており、日本の銘柄がここ数年で目覚ましい活躍を見せています。本ブログでは、ISCの概要と2022年の日本の受賞銘柄を中心に、日本のスピリッツ産業の現状と可能性について解説していきます。
1. インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)とは?
ISCとは何ですか?
インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)は、イギリスで開催される世界的な酒類コンペティションです。ISCは、高品質な蒸留酒を評価し、世界の飲食業界にアピールするチャンスを提供しています。
審査の特徴
ISCでは、すべての審査がブラインドテイスティングで行われます。審査員は製品のブランドや生産者の情報を知らずに評価を行い、公平な判断を下します。
受賞の種類
審査では、トロフィー、最優秀金賞、金賞、銀賞、銅賞の5つの賞が与えられます。
進化するISC
2018年には焼酎部門が独立し、現在では焼酎を含む複数の部門で競われています。ISCはスピリッツ業界の専門家によって審査され、その評価は非常に信頼性が高いです。
ISCの意義
受賞はスピリッツ製品にとって最高の栄誉であり、世界中の消費者や業界関係者にとっても重要な評価です。ISCは、酒類メーカーや製造業者にとって国際的な知名度を高める絶好の機会となっています。
酒の専門家の交流の場
ISCは、酒類愛好家や専門家にとっても注目度の高いイベントであり、世界中から集まる酒のプロフェッショナルたちが交流を深める場でもあります。
次のセクションでは、2022年にISCでTrophyを受賞した日本の銘柄について詳しく紹介します。
2. 2022年、Trophyを受賞した日本の銘柄
今年のISC(インターナショナルスピリッツチャレンジ)2022では、日本の銘柄が多くの賞を受賞しました。特にジン部門では、最高評価である「トロフィー」を受賞した素晴らしい銘柄があります。以下にその一部をご紹介します。
Japanese GIN 和美人(本坊酒造株式会社)
- 受賞部門: ジン部門
- 受賞評価: トロフィー(最高評価)
- 製造元: 本坊酒造株式会社
「Japanese GIN 和美人」は、本坊酒造株式会社が鹿児島のさまざまなボタニカルを使用して造ったジンです。このジンは国内で収穫された9種類のボタニカルにジュニパーベリーやコリアンダーシードなどを加えており、金柑、けせん(ニッケイ)、柚子、檸檬、辺塚橙(へつかだいだい)、緑茶、生姜、月桃、紫蘇の爽やかな香りと味わいが特徴です。ISCの酒類コンペティションにおいて、このジンはジン部門で最高評価の「トロフィー」を受賞しました。
Bordeaux Red Wine Cask 1564 Single Malt Whisky(長濱蒸溜所)
- 受賞部門: アジアンウイスキー部門
- 受賞評価: トロフィー(最高評価)
- 製造元: 長濱蒸溜所
「Bordeaux Red Wine Cask 1564 Single Malt Whisky」は、長濱蒸溜所が作ったウイスキーで、アジアンウイスキー部門で最高評価の「トロフィー」を受賞しました。長濱蒸溜所は滋賀県長浜市にある比較的新しい蒸溜所で、2016年に設立されました。このウイスキーは限定品であり、他の製品と同様に高い評価を受けています。
以上が、ISC2022で「トロフィー」を受賞した優れた日本の銘柄の一部です。これらの銘柄は、日本のスピリッツ業界の高品質と評価を示しており、国内外で大きな注目を浴びています。ISCでは他にも多くの賞があり、日本の銘柄が数々の賞を受賞していることがわかります。
3. 2022年、Gold賞を受賞した日本の銘柄
2022年には、日本のスピリッツ業界から4つの銘柄が国際的な評価を受け、インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)でGold賞を受賞しました。これらの銘柄は品質の高さと独自性が高く評価されており、注目を集めています。
1. マツイGIN 白兎-HAKUTO- プレミアム
- 評点:98
- 蒸溜所:松井酒造(倉吉蒸溜所)
「マツイGIN 白兎-HAKUTO- プレミアム」は、鳥取県に伝わる「因幡の白兎」をイメージして造られたジンです。このジンは、鳥取県産の梨を中心にしたボタニカルを使用し、通常の白兎よりも種類の豊富なボタニカルで香りをつけられています。その豊かな香りと洗練された味わいが特徴です。
2. 棘玉ジン
- 評点:96
- 蒸溜所:松崎酒造(武蔵野蒸溜所)
「棘玉ジン」は、松崎酒造(武蔵野蒸溜所)が製造したジンで、2019年に埼玉県川越に設立された武蔵野蒸留所で作られました。このジンは、国産のオリジナル蒸溜機を使用しており、複雑な香りと力強い味わいが特徴です。コンテンポラリージンとして分類され、その斬新なスタイルが魅力です。
3. 越ノ忍ピュアモルトウイスキー
- 評点:96
- 蒸溜所:新潟麦酒(忍蒸溜所)
「越ノ忍ピュアモルトウイスキー」は、新潟ビールを創業した醸造家が2016年から造り始めたウイスキーで、数々の賞を受賞しています。このウイスキーは、ミズナラ樽で仕上げられており、香りと味わいのバランスが絶妙です。豊かな風味と独特な個性が特徴的です。
4. Kaigan Japanese Blended Whisky
- 評点:95
- 蒸溜所:四季酒造
「海岸ウイスキー」と呼ばれる「Kaigan Japanese Blended Whisky」も高い評価を受けていますが、具体的な詳細は不明です。その名前からは海岸のイメージが想起されますが、詳細な情報は公開されていません。それでも、その高い評価(95点)が示すように、品質の高さが認められています。
これらの銘柄は、日本のスピリッツ業界で高い評価を受け、ISCのGold賞を獲得しました。それぞれが独自の製法と素材を持ち、個性豊かで深い味わいを楽しむことができるスピリッツです。これからも注目されることが期待されます。
4. ISCでの日本の受賞歴
日本の酒類メーカーは、インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)において多くの受賞歴を誇っています。ISCは、イギリスの酒類専門出版社「ドリンクス・インターナショナル」が主催するスピリッツの品質・味覚競技会であり、著名なスピリッツ業界の専門家によるブラインド・テイスティングで審査されます。
以下に、ISCで受賞した日本の銘柄をいくつかご紹介します。
本坊酒造の「あらわざ桜島」(芋焼酎)
- 受賞: 最優秀金賞
- 特長: 芋の豊かな風味と深いコク
本坊酒造の「原酒 魂の芋」(芋焼酎)
- 受賞: 最優秀金賞
- 特長: 芋の風味と香り、まろやかな口当たり
本坊酒造の「屋久杉 屋久島地杉」(芋焼酎)
- 受賞: 最優秀金賞
- 特長: 屋久島で収穫された芋の深い味わいと香り
三和酒類の「iichiko 彩天」(麦焼酎)
- 受賞: 最優秀金賞
- 特長: クリアな味わいと爽やかな香り
サッポロビールの「黒和ら麦」(麦焼酎)
- 受賞: 最優秀金賞
- 特長: 口当たりが滑らかでありながらも、麦の風味と深み
これらの銘柄は、日本の酒造りの高い品質と技術を示し、世界中の酒愛好家に高い評価を受けています。ISCでの受賞は、酒造りに関わる人々や酒好きにとっての誇りです。
5. ISCの審査基準と審査員について
ISC(International Spirits Challenge)は、酒類の品質と味覚を競うコンペティションです。審査基準は厳格に設定されており、製品の品質や味わいを正確に評価するためにブラインドテイスティングが行われます。
審査基準
審査基準は、製品の風味、品質、製造プロセス、バランスなどを総合的に評価します。審査員は、外観、香り、味わい、余韻などを詳細に分析し、各項目に点数をつけます。金賞、銀賞、銅賞は、それぞれ一定の点数基準を満たす製品に与えられます。
審査員
ISCの審査員は、世界中の著名なスピリッツ業界の専門家から選ばれます。彼らは豊富な経験と知識を持ち、高い評価スキルを持っています。審査員は、ブラインドテイスティングを通じて公正な評価を行い、独立性と客観性を保っています。
審査プロセス
審査は公正かつ透明性が保たれるように行われます。審査員は製品の特徴や品質について広範な知識を持っており、テイスティング結果を正確に評価します。審査結果は確認され、特に優れた製品には最高位の栄誉である「トロフィー」が授与されます。
ISCの審査基準と審査員の高い専門性と信頼性により、受賞製品は消費者に高品質で優れたスピリッツであることを保証します。
まとめ
日本のスピリッツ業界は、インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)においても卓越した実績を残しています。ISCは世界で最も権威のある酒類コンペティションの1つであり、優れた品質と個性を持つ日本の銘柄が、トロフィーや金賞などの最高評価を受け続けています。これらの受賞実績は、日本の酒造りの高度な技術と革新性を示しており、日本産スピリッツの世界的な評価を表しています。これからも、ISCや他の国際大会での活躍を通して、日本のスピリッツ文化の魅力が世界に発信され続けるでしょう。