ウイスキーの種類・銘柄

甲州韮崎はジャパニーズウイスキー?飲みやすさと奥深い味わいの理由

甲州韮崎は山梨県韮崎市のサン.フーズ韮崎工場で、輸入原酒と自社原酒をブレンドした37%のウイスキーです。ジャパニーズウイスキーに当たらない理由、オリジナルとゴールドの違い、ハイボール向きの味わい、購入時にラベルで確かめる点を解説します。

甲州韮崎ウイスキーとは|造り手サン.フーズと韮崎御勅使蒸留所の実像

甲州韮崎は、山梨県韮崎市のサン.フーズ韮崎工場で、輸入原酒と自社製造原酒をブレンドしたウイスキーです。度数は37%で、輸入原酒を含むため、業界基準の「ジャパニーズウイスキー」には当たりません。クセの少なさはハイボール向きの長所です。ロックで飲むならゴールドを選びます。

甲州韮崎ウイスキーの製造元は、山梨県の株式会社サン.フーズです。本社は甲州市塩山熊野にありますが、ウイスキーを造っているのは韮崎市龍岡町下條南割の韮崎工場です。「甲州」は銘柄名で、製造地ではありません。

項目内容(メーカーの会社案内による)
製造元株式会社サン.フーズ
創業1976年1月20日
本社山梨県甲州市塩山熊野1205-1
ウイスキー製造拠点韮崎工場(山梨県韮崎市龍岡町下條南割640)
ウイスキー製造免許2014年取得

みりん工場の中にある蒸留所

韮崎工場は、もともとみりんと料理酒を造る工場です。その一角で、御勅使(みだい)川のほとりにある韮崎御勅使蒸留所が稼働しています。メーカーの説明では、自社で蒸留したモルトに、厳選したモルトとグレーンを合わせて、ブレンダーがブレンドしています。返礼品説明によると、仕込水は軟水です。つまり自社蒸留のモルトは香味の一部を担う原酒で、製品全体を自社原酒だけで構成しているわけではありません。

甲州韮崎の中身と「ジャパニーズウイスキー」の線引き

韮崎市のふるさと納税の返礼品説明では、甲州韮崎のオリジナルとゴールドは、どちらも「厳選された輸入ウイスキー原酒」と「韮崎工場で製造したウイスキー原酒」のブレンドとされています。ただし、2つの原材料は同じではありません。

  • オリジナル:700ml・37%。原材料名は「モルト・グレーン・スピリッツ」で、ウイスキー原酒以外のアルコールを含みます
  • ゴールド:700ml・37%。原材料名は「モルト・グレーン」で、スピリッツの表示はありません

業界基準との照合は、次の章で詳しく扱います。

公式一覧に名前が無い理由と、買うときの確かめ方

メーカー公式のウイスキー一覧に並ぶのは「御勅使」「イエローラベル」「韮崎」「富士ヶ嶺」「富士ヶ嶺 RICH PEAT」「富士ヶ嶺 SHERRY CASK FINISH」の6つです。「甲州韮崎」の名前はこの一覧にありません。甲州韮崎は主に通販、量販店、ふるさと納税の返礼品として流通しています。返礼品には「ピュアモルト」や「ザ・プレミアム」もありますが、度数と原酒の構成は確認できていません。購入や仕入れの際は、ラベルで次の点を確かめてください。

  • 原材料名:「スピリッツ」が入っているか
  • アルコール度数:37%か40%以上か
  • 製造者の表記:サン.フーズ韮崎工場か
  • 商品名:姉妹銘柄の「韮崎」(40%)や「御勅使」(37%)と取り違えていないか

公表されていない仕様と、販売文句の出どころ

甲州韮崎の製法については、次の項目が公表されていません。推測で語ることはできません。

  • ポットスチルの数と形
  • 麦芽のピート値(ppm)
  • 樽の種類(富士ヶ嶺 SHERRY CASK FINISHを除く)
  • 熟成年数
  • 冷却濾過と着色の有無

「長期熟成によるまろやかさ」は、ふるさと納税の返礼品説明に出てくる言葉です。熟成年数の裏付けは示されていません。水については、返礼品説明に「八ヶ岳の麓」「軟水」「富士川水系の御勅使川の伏流水」と書かれています。ただし、メーカー公式サイトでは水についての記載を確認できません。「富士山の天然水」を割り水に使うとメーカーが明示しているのは、姉妹銘柄の富士ヶ嶺です。また、モンドセレクション金賞として紹介されているのは姉妹銘柄の「富士山ウイスキー」で、甲州韮崎の受賞ではありません。甲州韮崎シリーズの受賞歴は確認できないため、受賞を購入の決め手にするのは避けてください。店のメニューや贈答の説明書きにも、これらを混ぜずに書くのが安全です。

甲州韮崎は「ジャパニーズウイスキー」と呼べるか|2021年の業界基準と照合

ウイスキーのイメージ写真

日本洋酒酒造組合は2021年2月に「ジャパニーズウイスキー」の表示基準を制定し、2021年4月1日に施行しました。これは組合員に適用される自主基準で、法律による定義ではありません。経過措置は2024年3月31日で終了しています。業界で広く参照される線引きなので、この記事ではこの基準で照合します。なお、サン.フーズが組合員かどうかは確認できていません。ここでは条件を一つずつ当てはめ、姉妹銘柄も含めて、どこで基準に当たらないのかを確かめます。

基準の条件と、5銘柄の照合

名乗るための条件は次のとおりです。原材料は麦芽・穀類・国内で採った水に限り、麦芽は必ず使います。糖化・発酵・蒸留は国内の蒸留所で行います。700L以下の木樽を使い、国内で3年以上熟成させます。瓶詰めも国内で行い、度数は40度以上です。色を整えるカラメル(着色料)は使えます。条件はすべてを満たして初めて名乗れる仕組みです。輸入原酒が少しでも入れば、配合の割合に関係なく名乗れません。

条件甲州韮崎 オリジナル甲州韮崎 ゴールド韮崎御勅使富士ヶ嶺
原材料が麦芽・穀類・水のみ×(スピリッツを含む)表示はモルト・グレーン表示はモルト・グレーン×(スピリッツを含む)表示はモルトウイスキー
糖化・発酵・蒸留を国内で行う×(輸入原酒を含む)×(輸入原酒を含む)非公表非公表×(イギリス製造のモルトウイスキー)
国内で3年以上の樽熟成非公表非公表非公表非公表非公表
瓶詰め度数40度以上×(37%)×(37%)○(40%)×(37%)○(43%)
判定該当しない該当しない判定できない(原酒の産地が非公表)該当しない該当しない

各銘柄の度数と原材料は、メーカー公式の商品一覧と、韮崎市ふるさと納税の返礼品表示の記載によります。原酒の産地を確認できない項目は「非公表」としました。

富士ヶ嶺は度数が43%あります。ただし、返礼品の原材料表示は「イギリス製造(モルトウイスキー)」で、輸入原酒を使っているため、蒸留地の条件に当たりません。韮崎は度数40%ですが、原酒の産地が公表されていないため、この表では判定できません。甲州韮崎の2本は、輸入原酒と度数37%の2点で外れます。オリジナルは原材料に「スピリッツ」も含むため、原材料の条件でも外れます。熟成年数はどの銘柄も非公表で、3年以上かどうかは判定できません。

これは品質の良し悪しを決める話ではありません。原酒の産地をどう表示するかという区分の話です。各地の原酒を組み合わせて狙った香味をつくるのは、ブレンデッドでは昔からある手法です。そのうえで**「山梨県韮崎市でブレンドされたウイスキー」**と呼べば、事実どおりで誤解もありません。

酒販店のPOP・バーのメニューの書き方

「ジャパニーズウイスキー」「国産ウイスキー」とは書かず、産地とブレンドの事実を並べます。度数を添えておくと、ハイボールの濃さを決めるときにも役立ちます。

  • POPの例:「甲州韮崎 ゴールド|山梨県韮崎市のサン.フーズ韮崎工場でブレンド。輸入原酒と自社製造原酒を合わせたブレンデッド。37%」
  • メニューの例:「甲州韮崎 オリジナル(山梨・韮崎ブレンド/37%)ハイボール」
  • 避けたい表現:「本格ジャパニーズ」「長期熟成」「モンドセレクション金賞」

外国人客や海外の知人に勧める・贈るとき

海外では「Japanese whisky」という言葉を、この基準の意味で受け取る人が増えています。英語でも断定は避け、たとえば次のように伝えます。

  • 短く言うなら:"A whisky blended in Yamanashi, Japan."
  • 詳しく言うなら:"Blended in Nirasaki, Yamanashi, from imported whiskies and whisky made at the producer's own Nirasaki plant. It is not labelled as Japanese whisky under the industry standard."

山梨の土地柄を伝える気軽な手土産なら、このように説明を添えれば十分です。基準を満たす本物のジャパニーズウイスキーを贈りたい場合は、5000円以下で選べる銘柄をまとめた記事(/japanese-whisky-value-under-5000-yen-2026-guide/)を参考にしてください。

甲州韮崎の種類と違い|オリジナル・ゴールド・ピュアモルト・ザ・プレミアムの選び方

甲州韮崎の返礼品として確認できるのは、オリジナル、ゴールド、ピュアモルト、ザ・プレミアムの4種類です。公表されている仕様に差があるので、下の表では確認できた項目と未確認の項目を分けて示します。飲み方の欄は、韮崎市ふるさと納税の返礼品説明に書かれた内容です。

銘柄容量度数原材料表示原酒構成説明が勧める飲み方
オリジナル700ml37%モルト・グレーン・スピリッツ輸入原酒+韮崎工場製造の原酒ハイボール、水割り
ゴールド700ml37%モルト・グレーン輸入原酒+韮崎工場製造の原酒ロック、ストレート
ピュアモルト未確認未確認未確認モルト原酒100%(詳しい内訳は未確認)記載を確認できず
ザ・プレミアム未確認未確認未確認未確認記載を確認できず

熟成年数が非公表である点は、最初の章で述べたとおりです。

オリジナルとゴールドの差は「スピリッツ」の有無

2本は容量も度数も同じです。ただし「どちらもモルトとグレーンだけ」とまとめるのは誤りです。オリジナルには、ウイスキー原酒以外のアルコールであるスピリッツが入っています。オリジナルはスピリッツ混和のぶん軽く、割る飲み方に向きます(理由は「なぜ飲みやすいのか」の章で説明します)。オリジナルの説明が「まろやかさ」を挙げ、炭酸や水で割る飲み方を勧めているのは、この軽さに合っています。一方のゴールドは、アルコール分のすべてがモルト・グレーン原酒に由来します(割り水で37%に調整)。説明にある「樽香の深みとバニラのような甘さ」は、薄めずに飲むほど感じ取りやすくなります。ロックやストレートが勧められているのはそのためです。

2本の違いは、「なぜ飲みやすいのか」の章の手順で確かめられます。

ピュアモルトとザ・プレミアムの扱い方

「ピュアモルト」は、日本では法的な定義のない表記です。一般には、グレーンを含まず、モルト原酒だけでつくった製品を指します。スコッチでは、複数の蒸溜所のモルトだけを合わせたものをBlended Maltと表記します。SWR 2009(スコッチウイスキー規則)では「pure malt」という語は使えません。甲州韮崎ピュアモルトについては、原酒の内訳(産地や自社モルトの比率)を確認できていません。販売ページには「バニラ」「蜂蜜」「ピートの余韻」といった香味の言葉が並びますが、これは販売店の表記で、メーカーが公表した香味ではありません。ピートの香りは、麦芽を乾燥させるときに焚く泥炭の煙から生まれます。ただ、甲州韮崎ではピート値(ppm)も原酒の産地も公表されていないため、香りの強さは予測できません。ザ・プレミアムは、度数も原酒構成も確認できていません。どちらも、購入前にラベルの度数と原材料名を確かめてから選んでください。

用途別の選び方

  • 毎日のハイボールや水割りに使う:オリジナル。濃さが足りなければ、炭酸の量で調整します
  • ロックやストレートで樽の甘さを楽しむ:ゴールド。氷が溶けて薄まりにくいよう、大きめの氷を1つ使います
  • モルトだけの香味を試したい:ピュアモルト。度数が未確認なので、ラベルで確かめてから割る比率を決めます
  • 店で2本を出し分ける:ハイボールにはオリジナル、ロックにはゴールドと、説明が勧める飲み方に合わせて分けると、メニューで説明しやすくなります

価格は「700mlあたり」で比べる

価格の比べ方は、評価・口コミの章を参照してください。セット品は総容量で割ってから比べます。

次の一本に選ぶ姉妹銘柄

  • 韮崎(700ml・40%、モルト・グレーン):もう少し度数が高いブレンドを飲みたい人向け。控えめなスモーキーさとされています
  • 富士ヶ嶺(43%のピュアモルト):度数が公表されているピュアモルトを選びたい人向け。割り水に富士山の天然水を使うと、メーカーが明示しています
  • 御勅使(37%、スピリッツを含む):オリジナルに近い構成です

なぜ飲みやすいのか|37%・スピリッツ・グレーン・軟水から読む香味の理由

ウイスキーのイメージ写真

甲州韮崎の飲みやすさは、度数37%、グレーン原酒、オリジナルに入るスピリッツ、軟水という4つの要素で説明できます。ただし、同じ要素が水割りやロックで「薄い」と感じる原因にもなります。口コミで「まずい」という声が出るのは、主にこの面です。

37%という度数が口当たりに与える影響

ストレートで舌や鼻が感じるピリッとした刺激は、主にエタノールによるものです。37%は40%以上の銘柄よりエタノールの刺激が弱いため、香りが鼻を刺さず穏やかに感じられ、初心者でも口に含みやすくなります。ただし香りの量そのものは、度数よりもグレーンやスピリッツの比率に左右されます。

37%は、瓶の段階で40%の銘柄より1割近く薄まっています。そのため、加水や氷で香りが開く余地が小さく、香気成分の総量も少ないぶん、割るとすぐに水っぽさが前に出ます。トゥワイスアップ(ウイスキーと水を1:1で割る飲み方)にすると、40%なら20%になるところが18.5%になります。ロックで氷が溶けた場合も、同じように早く飲み頃の濃さを下回ります。

グレーン原酒とスピリッツの役割

グレーン原酒は、一般に連続式蒸留機で90%台の高い度数まで精留して造られます。精留の過程でフーゼル油などの高級アルコール類が大きく除かれるため、香味は軽くなります。また硫黄化合物は、蒸留器の銅と接触することで除かれます。この軽い原酒をモルトに合わせると、モルト由来の重さが薄まり、甘く丸い印象にまとまります。

オリジナルには、これに加えてスピリッツが入っています。酒税法では、ウイスキー原酒のアルコール分が、製品全体のアルコール分の10%以上あれば、原料用アルコールなどを混ぜてもウイスキーに区分されます。これが「スピリッツ混和」と呼ばれるものです。混和されるスピリッツは、一般に高度に精留した中性に近いアルコールで、熟成香を持ちません。オリジナルの混和比率は公表されていません。スピリッツを加えると、香味の濃さが抑えられ、軽さと価格の手頃さにつながります。一方で、熟成した原酒の比率は下がります。そのため、水やロックで割ると香味がすぐに痩せます。口コミで多い「割ると薄い」という評価は、この構成と一致します。

ゴールドの「樽香とバニラ」と、軟水の役割

一般に、ウイスキーのバニラ香はバニリンという成分から生まれます。バニリンは、樽の内側を焼くトーストやチャーの工程と、熟成中のアルコールの作用によって、樽材のリグニンが分解してできます。ただ、ゴールドについては樽の種類も熟成年数も公表されていません。そのため、この香りの原因を銘柄固有のものとして特定することはできません。

軟水は、ミネラルの量を通じて酵母の働きに影響するため、発酵に関わります。割り水に使えば、口当たりにも関わります。ただし、返礼品説明で軟水とされているのは仕込水で、自社で蒸留する原酒に関わるものです。輸入原酒は、別の水で仕込まれています。香味に与える影響は、口当たりが柔らかいという範囲で受け止めるのが妥当です。

奥深い味わいはどこから出るか

奥行きを求めるなら、ゴールドを選びます。ゴールドはスピリッツを含まず、アルコール分のすべてがウイスキー原酒に由来します。メーカーの説明では、自社で蒸留したモルトがブレンドに入っています。モルト原酒は、軽いグレーンの上に穀物由来の厚みと香ばしさを重ね、香味の芯をつくります。この芯は、ごく少量の加水で樽の甘さとともに開きます。手順は、飲み方の章の「ゴールドを少量の加水で確かめる手順」のとおりで、20mlに常温の水を1滴ずつ足し、バニラや樽の甘さが最も前に出る点を探します。ただし熟成年数は非公表なので、「長期熟成の深み」までは期待しすぎないでください。受け止め方の目安は、樽の甘さとモルトの厚みが、割らない飲み方で感じ取れる範囲です。

「クセが少ない」を製法の言葉に言い換える

  • ピート:麦芽を乾燥させるときの泥炭の煙に由来するスモーキーさ。販売説明にスモーキーを表す言葉がなく、香りの中心にはなっていない(ピート値は非公表)
  • シェリー樽:干しぶどうや硫黄を思わせる重い香り。シリーズの説明に記載がない
  • 高い度数による刺激:37%なので出にくい

つまり「クセが少ない」とは、強い個性を生むこの3つの要素が、どれも前に出ないように設計されているということです。

オリジナルとゴールドの比べ方

同じ形のグラスを2つ用意し、それぞれに20mlずつ注ぎます。まずストレートで比べ、次に常温の水を5mlずつ加えます。水は40ml(1:2)まで、8段階に分けて足していきます。段階ごとに、香り・味・余韻の3点で次の項目を確かめ、メモします。

段階確かめる点違いの読み方
ノージング(香り)バニラや樽の甘い香りが、何ml加水した時点で消えるか消えるのが遅いほうが、ロック向き
パレット(味)甘さと厚みが、水っぽさに変わる時点甘さが先に消えた銘柄は、ハイボールで1:3より濃くする候補
フィニッシュ(余韻)飲み込んだあと、甘さが何秒続くか余韻が短い銘柄は、ロックより炭酸割り向き

水割りの比率は、飲み方の章の1:1.5〜2を出発点にします。水っぽくなった一段前の比率を、その銘柄の加水の上限(いちばん薄くしてよい比率)にします。比べた結果で薄まりやすかった銘柄は、1:1.5側に寄せます。

甲州韮崎のおいしい飲み方|ハイボール・水割り・ロックの比率と銘柄別の使い分け

甲州韮崎のオリジナルとゴールドは、度数37%です(40%の銘柄の約0.93倍)。ここでは度数を基準に比率を決めることを前提に、飲み方ごとの数値と手順をまとめます。

飲み方比率(ウイスキー:割り材)30ml使用時の目安向く銘柄
ハイボール(基準)1:3炭酸90ml・約9%オリジナル
ハイボール(軽め)1:4炭酸120ml・約7%オリジナル
水割り1:1.5〜2水45〜60ml・約12〜15%オリジナル
ロック氷のみ30〜45mlゴールド
少量の加水1滴ずつ20mlゴールド

度数の目安は、氷が溶ける前の計算値です。甘さが立たないと感じたら1:2.5に濃くし、重く感じたら1:4に寄せます。強炭酸を使う場合は、刺激が香りを補うので1:3.5まで伸ばせます。弱炭酸の場合は1:3より濃くして、全体の厚みを保ちます。

炭酸を抜かないハイボールの手順

  1. グラス・ウイスキー・炭酸水を冷蔵庫や冷凍庫で冷やしておく。液温が低いほど二酸化炭素が溶けたまま残る
  2. 氷をグラスの縁までいっぱいに入れ、氷とグラスの間にすき間をつくらない
  3. ウイスキーを注ぎ、マドラーで混ぜて液と氷を冷やす
  4. 炭酸水は氷に当てないよう、グラスの内側を伝わせて静かに注ぐ
  5. マドラーを底まで差し込み、氷を下から持ち上げるように縦に1回だけ動かす

炭酸の泡は、氷の表面の凹凸や撹拌の衝撃をきっかけに抜けていきます。注ぎ方と混ぜる回数を絞ることで、炭酸が最後まで残ります。

水割りが薄いと感じるときの対処

37%の原酒は、加水と氷が溶ける分が重なると、香味の厚みが段階的ではなく急に落ちます。前の章で触れたとおり、オリジナルはスピリッツを含むため、この傾向がさらに強く出ます。対処の基本は、1:1.5〜2の濃いめに作ることです。割り水には冷やした軟水を使います。硬水を使うと、ミネラルの苦みや渋みが軽い香味を覆ってしまうためです。氷は大きく硬いものを選び、溶ける量を抑えます。

ゴールドを少量の加水で確かめる手順

この手順は、2本を比べる手順とは目的が違います。1滴単位で、香りが開く点を探すためのものです。チューリップ型のグラスにゴールドを20ml注ぎます。この形は口がすぼまっているので、香りがグラスの中にこもります。まずストレートで香りを取ってから、スポイトで常温の水を1滴加え、軽く回して再び香りを確かめます。加水でエタノール濃度が下がると、香り成分が液面に出やすくなり、香りが開きます。これを1滴ずつくり返し、バニラや樽の甘さが最も前に出た時点を自分の適量として覚えます。加水を続けて香りが平らになったら、その手前が上限です。

店で提供するときの実務

  • 量の基準:シングル30ml、ダブル60ml。700mlからはシングルで約23杯取れる
  • 値付けの手順:1杯の原酒原価=仕入れ値(税込)÷23。これに炭酸・氷・レモンの費用を足して1杯の原価とし、店の方針で決めた目標の原価率で割って売価を決める(売価=1杯の原価÷目標の原価率)
  • 使い分け:低価格帯のオリジナルはハイボールのベースに向く。ゴールドはロックで単価を上げる枠に置く
  • メニュー表記:「ジャパニーズウイスキー」とは書かず、「山梨・韮崎ブレンド/37%」のように産地とブレンドの事実を書く
  • 注文時の伝え方:「濃いめ」の注文には、比率を1:2.5に変えて応じると決めておく

開栓後の保管と飲み切る目安

直射日光と高温を避け、栓をしっかり閉めて立てて保管します。寝かせると、液が栓に触れ続けて傷みやすくなります。残量が少なくなるほど瓶内の空気が増え、香りの揮発と酸化が進みます。少量になったボトルは早めに使い切ります。

食中酒として合わせる考え方

販売店の紹介文には、和食に合わせる提案が見られます。ただし、これはメーカーが公表した内容ではありません。組み合わせを考えるときは、飲み方ごとに相性のよい料理の性質で判断します。ハイボールは、炭酸と酸味で油を流すので、揚げ物や塩味の焼き物に合います。濃いめの水割りは、だしや醤油の繊細な味を邪魔しません。ゴールドのロックは、甘辛い味付けの料理と甘さが重なります。

甲州韮崎の評価・口コミと買う前の判断ポイント|受賞歴・価格・贈り物の注意

ウイスキーのイメージ写真

甲州韮崎の口コミは、おおむね「クセが少なく入門向け」「ハイボールで日常的に飲める」「水割りやロックでは薄い」の3つに分かれます。好意的な声も否定的な声も、もとをたどると同じ設計から来ています。

口コミ結びつく製法上の特徴当てはまりやすい銘柄
クセが少なく入門向け37%でエタノールの刺激が弱い。グレーン原酒がモルトの重さを薄める。ピートやシェリー樽の記載がないオリジナル・ゴールド
ハイボールで日常的に飲める軽い香味を、炭酸の刺激と冷たさが補う主にオリジナル
水割りやロックでは薄い37%から加水すると香味が急に落ちる。スピリッツ混和で熟成原酒の比率が下がる特にオリジナル

受賞歴については、最初の章を参照してください。

「美味しい」と「薄い」は矛盾しません。割り材で香味を補う飲み方では長所になり、原酒の厚みを求める飲み方では短所になります。口コミを読むときは、どの銘柄を、どの飲み方で飲んだ評価かを先に確かめると、自分に当てはまるかどうかを判断できます。

コスパは「度数あたり」と「用途あたり」で判断する

価格の目安は、出どころのはっきりした資料で確認できませんでした。そのため金額は示さず、比べるための物差しを2つ挙げます。

  • 度数あたり:700mlに含まれる純アルコールは、37%で約259ml、40%で280ml、43%で約301ml。税込価格をこの量で割ると、同じアルコール量あたりの価格で比べられる

  • 用途あたり:40%の銘柄30mlと同じ濃さのハイボールを作るには、37%では約32ml必要。700mlから取れる杯数は約23杯から約21杯に減る。

  • ハイボールが中心の場合:度数あたりの価格が40%の銘柄より安ければ、有力な選択肢になる

  • ストレートで熟成感を求める場合:40%以上で年数表記のある銘柄と比べる。甲州韮崎は熟成年数が非公表なので、熟成の面では比べる材料がない

  • ロックで樽の甘さを楽しみたい場合:ゴールドを選び、40%のブレンデッドと度数あたりの価格で比べる

買い方の違い:単品・まとめ買い・ふるさと納税

  • 単品:まずオリジナルかゴールドを1本買い、合う飲み方を確かめる
  • 飲み比べセット・3本セット:銘柄違いを一度に試せる。総容量で割ってから、上の物差しで単品と比べる
  • ふるさと納税:韮崎市の返礼品として、オリジナル、ゴールド、ピュアモルト、ザ・プレミアムがある。寄付額は店頭価格とは性質が違うので、控除上限の範囲内で、セットの本数と銘柄を見て選ぶ

贈り物にするときの判断

  • 向く贈り方:家でハイボールを楽しむ人への日常用の差し入れや、山梨の土地柄を伝える気軽な手土産
  • 海外向けの説明:業界基準の章の英文例を参照
  • 向かない相手:熟成感を期待する愛好家。年数表記のある銘柄を選ぶほうが期待とずれにくい
  • 贈るときの添え書き:「山梨県韮崎市でブレンド」「輸入原酒と自社製造原酒のブレンド」「37%」の3点を書き添える

よくある質問

甲州韮崎のハイボールにレモンを入れてもよいですか?

入れるなら、果汁を搾るより、皮をグラスの上で軽くひねって油分の香りを飛ばす方法が向きます。37%で香りが控えめなので、果汁を多く加えると、酸味と水分でウイスキーの甘さが隠れやすくなります。果汁を使う場合は数滴にとどめてください。まずレモンなしで一杯作って香りを確かめてから、足すかどうかを決めるのが確実です。

ボトルを冷凍庫で冷やしてストレートで飲んでもよいですか?

保管場所としては勧めませんが、飲む前に短時間冷やして楽しむ方法はあります。冷やすと口当たりにとろみが出て、刺激も抑えられます。その代わり香り成分が立ちにくくなり、ゴールドの樽香やバニラのような甘さは感じにくくなります。香りを楽しむならゴールドはチューリップ型グラスに室温で注ぎ、冷やして飲むならオリジナルを使うと分けやすくなります。

店で大容量の御勅使に切り替えるとき、ハイボールの比率は変えるべきですか?

御勅使もオリジナルと同じ37%で、原材料にスピリッツを含む構成です。そのため、1:3を基準にした比率はそのまま出発点にできます。ただし原酒の組み合わせが違うので、香味まで同じとは限りません。切り替える前に同じ比率で両方を作って飲み比べてください。甘さや厚みが足りなければ1:2.5に寄せるなど、銘柄ごとに比率を決め直します。

ロットによって味は変わりますか?

ブレンデッドは、使える原酒の在庫に合わせて配合を組み直しながら、香味をそろえて造るのが一般的です。そのため、ロットによって差が出る余地はあります。甲州韮崎は、ロットごとの情報を公表していません。店で使う場合は、新しいボトルを開けたときに、同じグラスと同じ量で前のボトルと香りを比べます。差を感じたら、ハイボールの比率を確かめ直してください。

スーパーで同じ価格帯の国産表記のブレンドとは、どう違いますか?

違いは、ラベルを並べて判断します。比べる点は、原材料名に「スピリッツ」があるか、度数が37%か40%以上か、製造者がどこかの3点です。同じ価格帯でも、スピリッツの有無と度数で、割ったときの香味の残り方が変わります。ハイボール中心なら、評価・口コミの章の「度数あたり」の物差しで比べると、同じ条件で選べます。

出典・参考にした情報

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。