スコッチウイスキー

マッカラン12年の種類と違い|選び方と2025年改定後の価格

マッカラン12年のシェリーオーク・ダブルカスク・トリプルカスクの違いを、樽の木材とシーズニングの観点から解説。ストレート向きかハイボール向きかの選び方や、2025年の価格改定の対象品目、終売の噂の背景もわかります。

本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれます。 掲載している商品の価格・在庫は変動するため、最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

この記事で紹介した銘柄:アベラワー 12年 ダブルカスクマチュアード・グレンファークラス 12年 価格と購入先へ ↓

マッカラン12年は何種類あるのか:シェリーオーク・ダブルカスク・トリプルカスクの現在の立ち位置

マッカラン12年で、現行品として正規に買えるのはシェリーオーク12年とダブルカスク12年の2本です。流通在庫として見かけるトリプルカスク12年を含めると、計3種類になります。国内仕様の2本は、どちらも700mL・40%です。結論から言うと、濃いシェリーの果実味をストレートで味わうならシェリーオーク12年、甘さと飲みやすさ、ハイボールなどの割り方を重視するならダブルカスク12年が向いています。3種類の違いは、熟成に使う樽の「木材」と「前に何を入れていたか」の組み合わせで決まります。

銘柄国内仕様使用樽日本での現在の立ち位置参考価格
シェリーオーク12年700mL・40%シェリー酒で風味づけしたオーク樽(木材の比率は非公表)正規品の定番4,530円前後(2026年10月25日時点)
ダブルカスク12年700mL・40%アメリカンオークのシェリー樽とヨーロピアンオークのシェリー樽正規品の定番。2016年発売4,530円前後(2026年10月25日時点)
トリプルカスク12年—ヨーロピアンオークのシェリー樽、アメリカンオークのシェリー樽、バーボン樽2025年4月の価格改定の対象5品目に含まれていない。流通は在庫品と並行輸入品が中心—

シェリーオーク12年:ヘレスのシェリーで風味づけした樽で熟成

メーカーの案内では、スペイン・ヘレス産のシェリー酒で風味づけ(シーズニング)したオーク樽で、12年熟成させたものとされています。シーズニングの詳しい中身は次章で説明します。アメリカンオークとヨーロピアンオークの配合比は公表されていません。

ダブルカスク12年:「樽が2種類」ではなく「木材が2種類」

名前から「2種類の樽で二段階熟成させたもの」と受け取られがちですが、違います。どちらもシーズニングしたシェリー樽です。違うのは木材の構成で、ダブルカスク12年はアメリカンオークを意図的に組み込んでいます。アメリカンオーク製のシェリー樽で熟成させた原酒と、ヨーロピアンオーク製のシェリー樽で熟成させた原酒を、それぞれ12年以上寝かせてからヴァッティングしています。ヴァッティングとは、複数の樽の原酒を混ぜ合わせることです。

木材ごとの香味の違いは、次章で説明します。

トリプルカスク12年:ファインオークからの改称と現在の流通

2004年に始まったファインオークシリーズが、2018年に「トリプルカスク」へ名前を変えました。3種類の樽とは、ヨーロピアンオークのシェリー樽、アメリカンオークのシェリー樽、バーボン樽です。シェリーを経ていないバーボン樽の原酒が入る点で、ほかの2本とは系統が異なります。

サントリーが2024年11月に発表した価格改定の対象は、シェリーオーク12年・18年・25年・30年とダブルカスク12年の5品目で、トリプルカスク12年は含まれていません。日本で新品として手に入るのは、主に流通在庫と並行輸入品です。なお、シェリーオーク12年とダブルカスク12年についても終売の噂がありますが、これは出荷制限と流通量の減少から出ているもので、公式な発表はありません。

2本の香味の違い:公式テイスティングノートから

下の表の香味の語は、マッカランの公式テイスティングノートの主な語です。右の列は、それぞれの語を製法と結びつけた読み方です(木材ごとの成分は次章で説明します)。

段階シェリーオーク12年ダブルカスク12年読み取れる由来
ノーズ(香り)ドライフルーツ、ジンジャー、ウッドスモーク蜂蜜、バニラ、バタースコッチドライフルーツはオロロソのシーズニング、ジンジャーはヨーロピアンオークのスパイス香、蜂蜜やバニラはアメリカンオークのラクトンとバニリン
パレット(味)ドライフルーツ、シェリー、スパイス蜂蜜、柑橘、スパイス甘さの厚みの差は、アメリカンオークを組み込んだかどうかの差
フィニッシュ(余韻)トフィー、ドライフルーツ、ウッドスモークトフィー、ドライフルーツ、オーク後に残る渋みはヨーロピアンオークのタンニン、トフィーやスモーク様の香りは樽内面のトースト

購入・仕入れで迷ったときの判断基準

  • シェリー樽の濃い果実味と渋みを求めるなら:シェリーオーク12年
  • シェリーの印象を保ちつつ甘く軽めの1本が欲しいなら:ダブルカスク12年
  • トリプルカスクを中古・並行品で買うなら:ラベルの表記がファインオークかトリプルカスクかを確かめる。さらに容量と度数が国内仕様と同じかも確かめる(海外向けには43%の製品がある)
  • 新旧デザインと国内仕様・海外仕様の見分け方は、「新デザインと旧ボトル」の章で説明

実際に注いで比べた詳しい飲み比べは、別記事の飲み比べレビューで扱っています。

味の違いはなぜ生まれるのか:樽材・シェリー樽の実態・蒸溜の個性から読む

ウイスキーのイメージ写真

シェリーオーク12年とダブルカスク12年の味の差は、熟成に使う木材の違いから生まれます。どちらの樽もシェリーで風味づけしているので、シェリー由来の要素は共通しています。一方、ボトルの色と、仕込みの段階で決まる酒質の重さは、ラベルの名前だけでは読み取れません。ここでは樽材、シェリー樽の実態、蒸溜、色、度数の順に、味の差がどこから来るのかを説明します。

樽材の化学:甘さ、スパイス、渋みはどこから来るか

アメリカンオーク(主にホワイトオーク)には、ウイスキーラクトンと呼ばれる成分が多く含まれています。ココナッツのような甘い香りのもとになる成分で、ごく低い濃度でも感じ取れるため、最初の印象を作りやすい性質があります。バニラの香りのもとになるバニリンは、木材のリグニンが熱と熟成で分解されて生じます。ヨーロピアンオークは加水分解性タンニン(エラジタンニン)が多く、口の中を乾かす収斂感を原酒に与えます。クローブやシナモンのようなスパイス香は、タンニンではなく、オイゲノールなど樽から溶け出す揮発成分によるものです。

整理すると、甘い香りはラクトンやバニリンなどの香気成分、スパイス香はオイゲノールなど、渋みはエラジタンニンによる収斂感で、それぞれ感じる器官と時間が違います。香りは鼻で、グラスに鼻を近づけたときと、口に含んで喉の奥から鼻へ抜けるときに感じます。収斂感は香りではなく舌や口の粘膜で感じる触覚で、ひと口ごとに積み重なり、飲み込んだ後に残ります。ダブルカスク12年で甘い香りが最初の印象を作り、渋みが後から残るように感じられるのは、この感じ方の違いが重なるためです。

「シェリー樽」の実態:ソレラ樽ではなくシーズニング樽

「シェリー樽」と聞くと、ボデガ(シェリーの熟成庫)で何十年も使われた古樽を思い浮かべる人が多いはずです。しかし、ボデガのソレラ樽はシェリー造りに使い続けられるため、外に出ることはほとんどありません。現在のウイスキー熟成で主流なのはシーズニング樽です。シーズニング(風味づけ)とは、ウイスキーのために新しく組んだ樽にシェリーを一定期間入れて木に染み込ませ、中身を抜いてからウイスキーを詰める工程のことです。マッカランは、スペインの樽工房で組んだ樽を主にオロロソ(酸化熟成させた辛口のシェリー)でシーズニングし、それからスコットランドへ運ぶと案内しています。メーカーが「シェリー酒で風味づけしたオーク樽」と書いているのは、この実態に合わせた表現です。

シーズニング樽では、樽材の種類、焼き加減、風味づけに使うシェリーと期間を蒸溜所側で指定できます。焼き加減の考え方は、バーボン樽とは異なります。バーボン樽は内面を強く焦がすチャー(炭化)が基本で、炭の層が硫黄化合物などを吸着し、その下の加熱された層からバニラやキャラメルのような甘さが出ます。シェリー樽は内面をあぶるトーストが中心で、木の成分を熱で分解してトーストやスパイスの香りを引き出しつつ、木材そのものの個性を残します。木材の個性がそのまま味に出るのは、この管理があるためです。

小さな蒸溜釜と新蒸溜所の構成

2018年に開業した新蒸溜所の主な設備は、次のとおりです。

設備数容量・仕様
初溜釜(ウォッシュスチル)12基各13,000L
再溜釜(スピリットスチル)24基各3,900L
発酵槽21基ステンレス製
マッシュタン(糖化槽)1基17トン

再溜釜は初溜釜の3割ほどの大きさしかなく、初溜釜1基に対して再溜釜2基という組み合わせです。釜が小さいと、容量に対して銅に触れる面積の割合が大きくなります。銅は硫黄化合物と反応してこれを取り除くため、銅との接触はスピリッツ(樽に詰める前の蒸溜液)から硫黄臭を除き、クリーンさを与える方向に働きます。酒質を重くする要因ではありません。

酒質の重さに効くのは、還流(蒸気が釜の中で冷えて液体に戻ること)の量です。首が高い釜や、ラインアーム(釜の上部から冷却器へ蒸気を送る管)が上向きに付いた釜では、重い成分が途中で液体に戻って釜へ落ち、軽い酒質になります。首が短くずんぐりした釜や、ラインアームが下向きの釜では還流が少なく、重い成分も蒸気のまま冷却器へ抜けていきます。マッカランの再溜釜は首の短い小型の釜で、還流が少ない側にあります。

もう一つの要因がミドルカット(再溜の留出液のうち、樽詰めに回す中間部分)です。マッカランは再溜の留出液のうち16%だけを樽詰めに回すと案内しています。狭いカットでフォアショッツ(前留)とフェインツ(後留)を大きく外し、香味の濃い中心部分だけを採っているということです。銅で硫黄臭を除きつつ、還流の少なさと狭いカットで、油分を含んだ厚みのあるスピリッツになります。この骨格があるため、ヨーロピアンオークの強いタンニンを受けても味がやせません。

着色なしの色をどう読むか

スコッチウイスキー規則(SWR 2009)では、カラメル色素(E150a)の添加が認められています。それでもマッカランは「100%自然由来の色」を掲げ、着色をしていません。色の濃さを決めるのは、主に次の2つです。

  • 樽材:ヨーロピアンオークは赤みのある濃い色、アメリカンオークは明るい金色が出やすい
  • 樽の使用回数:ファーストフィル(初めてウイスキーを詰める樽)は成分がよく溶け出し、リフィル(再使用の樽)は淡くなる

そのため、リフィル樽で長く熟成した原酒のほうが、ファーストフィル樽で短く熟成した原酒より淡い色になることもあります。色の濃さは、熟成年数の長さや味の濃さを示す目安にはなりません。棚の前で選ぶときは、色ではなく樽材の表記で判断してください。

確認できていない仕様

冷却濾過をしているかどうかと、麦芽のピートの度合い(フェノール値)は、公式の数値も説明も見つかっていません。未確認です。

40%という度数と加水の効き方

日本で正規に売られている2本は40%です。40%はスコッチウイスキー規則(SWR 2009)が定める最低瓶詰め度数で、国内品はその下限で瓶詰めされています。海外向けにある43%との差は3ポイントです。40%のボトルは43%より香味の密度がやや低く、加水で香味が崩れるまでの幅が少し狭くなります。そのため加水は1滴ずつ、香りの変化を確かめながら進めるのが基本です。加水の手順は、「用途別の選び方」の章にある提供の手順で説明します。

価格の推移と今の妥当な相場:2025年4月の改定と誤情報の見分け方

マッカラン12年の現在のメーカー希望小売価格は、シェリーオーク12年が税込14,850円、ダブルカスク12年が税込10,890円です。どちらも2025年4月1日出荷分から適用された価格です。この改定は2024年11月8日に発表され、サントリーが扱うマッカラン5品目が対象でした。

品目改定前(税別)改定後(税別)上げ幅
シェリーオーク12年12,500円13,500円(税込14,850円)+8%
ダブルカスク12年9,040円9,900円(税込10,890円)約+9.5%
シェリーオーク18年52,000円62,000円約+19%
シェリーオーク25年280,000円360,000円約+29%
シェリーオーク30年550,000円796,000円約+45%

年数が上がるほど値上げ幅が大きい

12年の上げ幅は8〜9.5%でした。これに対して、18年は約19%、30年は約45%上がっています。長期熟成の原酒は、樽に詰めた時点から何十年も在庫として抱える必要があり、毎年エンジェルズシェア(熟成中の蒸発)で量も減っていきます。年数が長いほど供給を増やしにくく、その分が価格に強く出たと読めます。改定前と比べると、12年は上位の年数に対して割安になりました。18年との価格差は税別で約4.6倍に広がっています。マッカランの樽の個性を知る最初の1本として12年を選ぶ理由は、改定前より強くなっています。

「2026年4月にシェリーオーク12年が値上げ」は誤り

「2026年4月出荷分からシェリーオーク12年が14,850円に値上げ」という記述を見かけますが、これは誤りです。14,850円は2025年4月の改定で決まった価格です。サントリーが2025年11月5日に発表した2026年4月1日出荷分からの値上げは、山崎・白州・響の3ブランド15品目が対象で、報道ではマッカランは含まれていません。2026年10月9日時点で、マッカランの次の価格改定は発表されていません。「値上げ前の駆け込み」をうたう売り場を見かけたら、改定の発表日と対象品目を確かめてください。

約4,000円の差に含まれるもの

2本の差は税込で3,960円です。熟成年数(12年)、容量(700mL)、度数(40%)はどちらも同じで、どちらもシェリーで風味づけした樽の原酒だけでできています。差が出るのは木材の構成です。ダブルカスク12年はアメリカンオークのシェリー樽原酒を組み合わせ、前の章で触れたラクトン由来の甘さを前に出す設計です。シェリーオーク12年は、アメリカンオーク主体の甘さを狙った設計ではなく、シェリー樽の個性を濃く出しています(木材の配合比は非公表)。シェリー由来の果実味とタンニンの骨格を濃く求めるなら、差額を払う意味があります。甘さと飲みやすさを優先するなら、ダブルカスク12年で十分に目的を果たせます。

店頭価格を判断する手順

  1. メーカー希望小売価格(シェリーオーク12年14,850円、ダブルカスク12年10,890円)と、店頭価格(目安:シェリーオーク12年 4,530円前後・2026年10月25日時点、ダブルカスク12年 4,530円前後・2026年10月25日時点)を比べる
  2. 希望小売価格を大きく上回る場合は、正規品か並行輸入品かを表示で確かめる
  3. 並行輸入品は度数と容量を確認する。43%表示なら海外向けの仕様で、国内正規品の40%とは味の濃さが違う
  4. 「終売間近」を理由にした高値は根拠にしない。2本とも終売の公式発表はない
  5. ボトルのデザインの新旧ではなく、度数・容量・輸入者の表示で判断する(見分け方は「新デザインと旧ボトル」の章)

店の値付け:1杯あたりの原価の出し方

700mLのボトルから注げる量は、シングル(30mL)で23杯、ダブル(60mL)で11杯です。ただし、計量のぶれ、スタッフの確認テイスティング、瓶底の残りが出るため、原価の計算はシングル20杯で見込むのが安全です。希望小売価格で計算すると、1杯あたりの原価はシェリーオーク12年で約740円、ダブルカスク12年で約540円です。実際の仕入れ値で同じように割り、店の目標原価率で割り戻してください。たとえば目標原価率が30%なら、原価740円÷0.3で約2,470円が売価の目安になります。

今回の改定による1杯あたりの原価の上昇は、税別でシェリーオーク12年が約50円、ダブルカスク12年が約43円です。売価を見直すときは、この差額を基準にします。注意したいのは開栓後の劣化です。1本を空けるのに数か月かかる店では、香りが落ちた終盤の数杯を、販売できない分として原価に見込みます(保管方法は「用途別の選び方」の章)。回転が遅い店は、単価の低いダブルカスク12年を定番に置き、シェリーオーク12年は飲み比べ用に絞るという分け方もできます。

新デザインと旧ボトル、国内仕様と海外仕様の見分け方

ウイスキーのイメージ写真

店頭では、ラベルやパッケージのデザインが異なるマッカラン12年が並ぶことがあります。デザインの刷新については、発表日、対象のコレクション、裏ラベルに加わった要素、中身を変えたかどうかを、マッカラン公式かサントリーの発表で確かめてください。棚の前で選ぶ基準は、デザインの新旧ではなく、ラベルの情報と仕様の表記です。

デザインの新旧と味の差

同じ銘柄でも、ボトリングの時期によってロット差は出ます。ヴァッティングに使う樽の組み合わせは、毎回まったく同じにはならないためです。デザインの異なるボトルを飲み比べて違いを感じても、その差がデザインの変更によるものか、ロットの差によるものかは、ボトルの見た目からは判断できません。中身の変更があったかどうかは、公式の発表で確かめるのが確実です。

確認項目国内正規品海外仕様・並行輸入品
度数40%43%の製品がある(米国向けなど)
容量700mL国によって異なる場合がある
日本語ラベルの輸入者名サントリー並行輸入を行った事業者の名前
デザイン店頭で新旧が混在しうる同じく混在しうる

中古・個人間取引で確かめる点

  • 封の状態:キャップシールに破れや貼り直しの跡がないかを、写真で確かめます
  • 液面の高さ:同じ銘柄の新品と比べて、極端に下がっていないかを見ます
  • 表示:度数、容量、日本語ラベルの輸入者名を確かめます。国内正規品か並行輸入品かは、ここで分かります
  • 価格:相場より極端に安い出品は、上の3点を写真で確認できない限り見送ります

40%と43%:海外の数値をそのまま当てはめない

日本の正規品は、シェリーオーク12年もダブルカスク12年も40%です。一方、米国向けなどには43%の製品があります。度数が3ポイント違うと、加える水の量が変わります。43%のほうが口当たりの油っぽさとアルコールの厚みが残り、スパイスや渋みも強く感じられます。海外のレビューに書かれた香味の評価や点数が、どちらの度数のボトルで書かれたものかを確かめてください。43%のボトルの評価は、40%では印象がやや軽くなる前提で読みます。海外で買ったボトルと国内品を飲み比べる場合も同じです。差を感じたら、まず度数の表記を見比べます。容量の表記も国によって異なる場合があるため、あわせて確認してください。

贈り物にするときの確認点

  • 来日した外国人に日本で渡す場合:相手の国で流通しているのは43%の製品かもしれません。日本の40%のボトルは「日本の正規流通品」として渡すと意味が伝わります。母国と同じ味を期待する相手には、度数が違うことを一言添えます
  • 海外に住む知人へ送る場合:酒類を国際配送で受け付けるかどうかと、相手国の受け取りの規定は国によって違います。発送前に配送業者と相手国の条件を確かめます。相手の国で43%の製品が手に入るなら、あえて日本から送る理由は日本語ラベルの国内品であることになります
  • 日本語の裏ラベル:国内正規品には、輸入者名などを記した日本語の裏ラベルが付いています。日本仕様であることの証明になるため、剥がさずに渡します
  • 外箱:贈答では外箱の有無で印象が変わります。店頭で箱付きかどうかを確かめます。ボトルと箱のデザインが揃っているかも見ておきます
  • 価格:希望小売価格を目安にし(店頭の目安はシェリーオーク12年 4,530円前後・2026年10月25日時点、ダブルカスク12年 4,530円前後・2026年10月25日時点)、新デザインであることを理由に上乗せされた価格は避けます

用途別の選び方:ストレート・加水・ハイボール・贈答で決める

2本は熟成年数、容量、度数がどれも同じです。違うのは樽の構成だけなので、「誰が飲むか」と「どう飲むか」で選べば決まります。迷ったときは次の表で判断してください。

判断の軸条件選ぶ1本決め手
飲み方ストレート・トゥワイスアップが中心シェリーオーク12年加水してもドライフルーツの香りとタンニンの骨格が残る
飲み方ハイボール・ロックが中心ダブルカスク12年ラクトン由来の甘さが、冷やして割っても残る
予算1本あたりの出費を抑えたいダブルカスク12年希望小売価格で税込3,960円安い
シェリー香の強さ干しぶどうのような香りと渋みまで欲しいシェリーオーク12年アメリカンオークの甘さで和らげていない
シェリー香の強さシェリーは控えめで、甘さを優先したいダブルカスク12年甘さが果実味を軽くまとめる
贈答相手がシェリー樽の味を好むシェリーオーク12年樽の個性がはっきりしている
贈答相手の好みが分からないダブルカスク12年甘さが先に来るので、好みが分かれにくい

ストレートで飲むならシェリーオーク12年

シェリーオーク12年は、アメリカンオークの甘さを前に出す設計ではありません。そのため、ヨーロピアンオーク寄りとされ、公式テイスティングノートにあるドライフルーツやジンジャー、前章のタンニンの要素が香味の中心になります。この骨格は常温で、時間をかけて飲むと最もよく分かります。冷やしたり大きく薄めたりすると、差額を払った意味が薄れます。

割って飲むならダブルカスク12年

冷やすと香りは立ちにくくなり、タンニンの渋みは強く感じられるようになります。ダブルカスク12年は、アメリカンオーク由来のバニラや蜂蜜の甘さが先に出るため、炭酸で冷やして割っても甘さが残り、渋みが尖りません。割ると樽の細かい違いは消えるので、単価の低いこちらを選べば十分です。

提供の手順とグラス

  • トゥワイスアップ:チューリップ型のテイスティンググラスにウイスキー30mLを注ぎ、常温の軟水30mLを加えて軽く回す。度数は約20%になり、アルコールの刺激が引いてシェリー由来の香りを拾いやすくなる
  • 数滴の加水:1滴加えるごとにグラスを回し、30秒ほど置いて香りを確かめる。香りの輪郭が増えたら止めどころ。香りが平らになり、口当たりが水っぽくなったら加えすぎ
  • グラスの使い分け:香りを確かめるならテイスティンググラス。口がすぼまっているので香りが集まる。ロックグラスは口が広く香りが逃げるので、氷を入れて冷たさと口当たりを楽しむときに使う
  • ハイボール:グラスに氷を詰め、マドラーで回してグラスを冷やす。溶けた水を捨て、ウイスキー30mLを注いで10回ほど回して冷やす。減った分の氷を足し、冷蔵庫で冷やした炭酸90mL(1:3)を、氷に当てないようにグラスの内側を伝わせて注ぐ。40%なので1:4にすると薄くなりやすい。最後はマドラーで縦に1回だけ持ち上げて止める。かき混ぜると炭酸が抜ける

開栓後の保管

  • 残りが半分(約350mL)を切り、飲み切るまで1か月以上かかりそうなら、200mL前後の小瓶と150mL前後の小瓶の2本に分け、どちらも口元まで満たす
  • 残りが200mLを切ったら、200mL前後の小瓶1本に口元まで満たして移す。さらに減ったら容量の合う瓶に移し替えるか、早めに飲み切る
  • コルク栓なので立てて保管する。横に寝かせるとアルコールがコルクを傷めるため。保管場所は直射日光が当たらず、温度変化の少ないところを選ぶ

贈答とバーでの頼み方

贈答では、約4,000円の差を払う価値があるかを、相手がシェリー樽の味を好むかどうかで判断します。シェリー好きと分かっている相手ならシェリーオーク12年、好みが分からなければダブルカスク12年が無難です。店頭の目安価格はシェリーオーク12年が4,530円前後(2026年10月25日時点)、ダブルカスク12年が4,530円前後(2026年10月25日時点)です。外国人や海外の知人に贈る場合は、前の章で触れた度数の違いと日本語の裏ラベルを合わせて確かめます。

バーで「マッカラン12年」とだけ頼むと、どちらが出てくるかは店によって違います。「マッカラン12年のシェリーオークをストレートで」「ダブルカスクでハイボールを」のように、銘柄と飲み方をまとめて伝えてください。ボトルを見せてもらうと、どちらが出てきたかをその場で確かめられます。

同じ予算で比べたい他のシェリー樽ウイスキーと、よくある疑問

ウイスキーのイメージ写真

シェリー樽の熟成感を求めるなら、マッカラン以外にも同じ予算帯で選べる銘柄があります。比べるときは、樽の構成と度数の2点で見ます。下の表の度数はメーカーの案内に基づく値です。出荷先の国によって仕様が変わることがあるため、買う前にラベルで確かめてください。

銘柄樽の構成(メーカーの案内)度数店頭価格の目安
グレンドロナック 12年ペドロ・ヒメネス(PX)とオロロソのシェリー樽43%5,940円前後(2026年10月25日時点)
グレンファークラス 12年オロロソのシェリー樽43%5,880円前後(2026年10月25日時点)
アベラワー 12年 ダブルカスクマチュアードトラディショナルオーク樽とシェリー樽40%5,687円前後(2026年10月25日時点)
(参考)ザ・マッカラン シェリーオーク12年シェリーで風味づけしたオーク樽40%4,530円前後(2026年10月25日時点)

樽に使われたシェリーの種類で、甘さの出方が変わります。PXは天日干しのブドウから造る極甘口のシェリーで、干しぶどうや糖蜜のような濃い甘さを樽に残します。オロロソは酸化熟成させた辛口のシェリーで、ナッツやドライフルーツの香りと、引き締まった骨格を与えます。グレンドロナック 12年は、この2種類を組み合わせています。

アベラワー 12年 ダブルカスクマチュアードの「ダブルカスク」は、マッカランとは意味が違います。こちらは文字どおり樽の種類が2つです。シェリーを経ていないトラディショナルオーク樽の原酒が入るため、系統としてはマッカランのダブルカスク12年より、トリプルカスク12年に近いと言えます。

条件別の選び分け

  • シェリーオーク12年のような濃いシェリー感を、予算を抑えて試したい場合:グレンドロナック 12年か、グレンファークラス 12年。甘さを求めるならPXを使ったグレンドロナック、辛口の骨格を求めるならオロロソのグレンファークラス
  • ハイボールや、軽めの甘さが中心の場合:アベラワー 12年 ダブルカスクマチュアード。度数がマッカランと同じ40%なので、ダブルカスク12年と同じ比率で割れる
  • 43%の銘柄と並べて飲み比べる場合:43%を30mL注いだグラスに水を約2mL加えると、およそ40%になる。度数をそろえると、樽の違いだけを比べられる
  • 店で飲み比べセットを組む場合:マッカランを指名で注文してもらう軸に置き、ほかの銘柄を「同じシェリー樽で樽の構成が違う1杯」として並べる。銘柄名ではなく、樽の違いで勧められる

マッカランの価格に含まれるもの

マッカランの価格には、中身の原価のほかに、ブランドの認知度、ボトルやパッケージのデザイン、国内正規流通の費用も含まれている、という見方があります。この見方をどう受け止めるかは、何のために買うかで決まります。

  • 名前で伝わることに価値がある場合(贈答、客の指名に応えるバーの棚):その分の差額を払う意味がある
  • グラスの中身だけで判断する場合(自宅で樽の違いを探りたい):表の銘柄から選べば、同じ予算で複数本を比べられる

Q. バーで2本の違いを確かめたいときは、どう頼めばよいですか

「シェリーオーク12年とダブルカスク12年を、ハーフ(15mL)ずつストレートで、同じグラスで」と伝えると、同じ条件で並べてもらえます。ハーフを扱わない店なら、シングル(30mL)ずつで十分です。ダブル(60mL)で1本ずつ頼むより、少量を並べて行き来するほうが差を拾えます。チェイサーには常温の水を頼んでおきます。

Q. 飲み比べは、どちらから飲めばよいですか

ダブルカスク12年から始め、シェリーオーク12年に進むのが基本です。タンニンの収斂感はひと口ごとに積み重なり、後に残るため、渋みの強いほうを先に飲むと、次の1杯の甘さを拾いにくくなります。2本目に移る前に、常温の水で口を戻します。

よくある質問

ストレートで飲むとき、チェイサーには何を用意すればよいですか

常温の軟水が向いています。冷たい水や炭酸水は舌を冷やすため、次のひと口で香りを拾いにくくなります。シェリーオーク12年はタンニンの収斂感で口が乾きやすい1本です。ひと口ごとに少量の水で舌を戻すと、ドライフルーツの香りとフィニッシュの渋みを分けて感じ取れます。加水に使う水と同じ水をチェイサーにすると、比べやすくなります。

ロックで飲むと、飲み進めるうちに味はどう変わりますか

注いだ直後は冷えて香りが閉じ、タンニンの渋みが強く出ます。氷が溶けると度数が下がり、渋みは和らぎますが、アルコールの厚みも薄れていきます。溶けにくい大きな氷を使い、早めに飲み切ってください。甘さが残るダブルカスク12年のほうがロックに合います。

テイスティンググラスに注いだら、すぐに香りを確かめてよいですか

注いだ直後はアルコールが強く揮発するため、鼻を近づけると刺激を先に感じます。まずはグラスの縁から少し離れた位置で香りを取ってください。次にグラスを軽く回し、それから鼻を近づけます。2本それぞれで拾いたい香りは、最初の章の「2本の香味の違い」の表を目安にしてください。

出典・参考にした情報

この記事で紹介した銘柄

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。