マッカラン種類別の飲み比べ方|順番・量・費用まで実務で解説
飲み比べの前に整理:マッカラン現行の種類と、並べる組み合わせの決め方 飲み比べは、何を比べるかを先に決めてから銘柄を選ぶと結果が分かりやすくなります。マッカランの12年は現在3種あり、どれも熟成年数は同じで、違いは樽の構成です。
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飲み比べの前に整理:マッカラン現行の種類と、並べる組み合わせの決め方
飲み比べは、何を比べるかを先に決めてから銘柄を選ぶと結果が分かりやすくなります。マッカランの12年は現在3種あり、どれも熟成年数は同じで、違いは樽の構成です。まず仕様をそろえて確認します。
| 銘柄 | 樽の構成 | 容量・度数 | 希望小売価格 | 飲み比べでの役割 |
|---|---|---|---|---|
| シェリーオーク12年 | シェリー酒で風味づけしたオーク樽 | 700mL・40%(日本の正規品) | 14,850円(税込)/13,500円(税別) | シェリー樽の個性を確かめる基準 |
| ダブルカスク12年 | アメリカンオークのシェリー樽とヨーロピアンオークのシェリー樽の原酒を混ぜ合わせたもの | 700mL・40% | 10,890円(税込)/9,900円(税別) | オーク材の違いを確かめる中間 |
| トリプルカスク12年 | ヨーロピアンオークのシェリー樽、アメリカンオークのシェリー樽、アメリカンオークのバーボン樽 | 700mL・40%(2020年発売時点) | 現在の価格は未確認(2020年発売時点で8,000円・税別) | バーボン樽が入ったときの変化を確かめる |
価格は2022年4月、2025年4月と改定が続いています。シェリーオーク12年の税別価格は、2022年に8,000円から9,000円、2025年に12,500円から13,500円へ上がりました。サントリーは2026年4月出荷分から187品目を値上げしていますが、マッカランの銘柄ごとの新しい価格は確認できていません。購入前に、販売店の表示が税込か税別か、いつ時点の価格かを確かめてください。
「マッカラン12年は終売」は誤り
シェリーオーク12年とダブルカスク12年は、2026年も現行品です。サントリーの洋酒ギフトにも入っており、2025年夏はダブルカスク12年、2026年冬はシェリーオーク12年が組まれています。店頭で見かけないのは、出荷量が絞られている品薄の状態です。生産が終わったわけではありません。販売店で「入荷未定」と言われた場合も、次回の入荷予定を尋ねれば手に入ることがあります。プレミア価格の在庫に飛びつく必要はありません。
ファインオーク12年とトリプルカスク12年の関係
トリプルカスク12年は、旧ファインオーク12年の名前とボトルを変えた後継品です。どちらも3種類の樽を使う考え方は同じです。ただし、旧ボトルと現行品を並べると、比べているのはボトリング違い、つまり詰めた時期の違いになります。古いボトルは原酒のロットが違ううえ、瓶の中での年月やコルクの状態によって香りが変わっていることがあります。差を感じても、それを名称変更による違いと考えるのは早すぎます。
なお、ダブルカスクとシェリーオークのボトルとラベルは、2025年6月から世界で順次新しいデザインに替わっています。日本で切り替わる時期は確認できていません。新旧のラベルが店頭に混ざっていても、デザインの違いを中身の違いとは考えないでください。
目的別の組み合わせ
- 樽の違いを知りたい(横の比較):12年3種を、トリプルカスク→ダブルカスク→シェリーオークの順に並べます。熟成年数と度数がそろっているため、違いを樽の構成だけに絞り込めます。バーボン樽由来のバニラや軽い甘さから始めて、ヨーロピアンオークのシェリー樽に多いタンニンやドライフルーツの重さへ進むと、味の強さが順に上がっていきます。
- 樽の比率を知りたい(2本だけ):ダブルカスク12年とシェリーオーク12年を並べます。予算を抑えながら、シェリー樽に使われているオーク材の違いを感じ取れます。
- 熟成年数の違いを知りたい(縦の比較):同じ樽タイプで、12年と18年を並べます。ダブルカスクは15年と18年が日本で数量限定品として出たことがあります。手に入れば12年→15年→18年と比べられますが、限定品はロットが1回きりです。店で出すなら、再入荷できない前提で量を計画してください。
- 贈り物に選ぶ:正規品の12年2種は、現行品で手に入りやすく、品質のばらつきも少ないため選びやすい組み合わせです。
メーカーは3種とも着色をしていないと説明しています。そのため、グラスに注いだときの色の濃さは、樽の材や樽の履歴の違いを素直に表していると読めます。ただし、日本向けの40%版について冷却濾過(低温にして濁りの成分を取り除く処理)をしているかどうかは確認できていません。口当たりの違いを冷却濾過の有無のせいだと決めつけないでください。樽ごとの香味の詳しい違いは、別記事の比較で詳しく扱っています。
なぜ3種で味が分かれるのか:樽の材・前歴・混ぜ方から香味を読む

マッカランの「シェリー樽」はソレラの古樽ではない
「シェリー樽」と聞くと、ボデガ(シェリー酒の熟成庫)で長年ソレラ(古い樽から順に酒を抜き、若い酒を継ぎ足して熟成させる仕組み)に使われた古樽を想像する人が多いはずです。しかしマッカランのシェリー樽の多くは、そうした古樽ではありません。シーズニング樽と呼ばれる樽で、先に樽を作り、スペイン・ヘレスでシェリー酒を一定期間入れて木に風味を染み込ませてから、ウイスキーの熟成に使います。樽の材、焼き方、シェリーを入れる期間を管理できるため、シェリー樽でも香味の振れ幅を設計しやすくなります。
シェリーオーク12年の樽材は断定できない
日本ではシェリーオーク12年の樽材を「スペイン産オーク」と説明することが多いです。一方、海外の公式説明はヨーロピアンオークとアメリカンオークの両方としています。どちらが正しいかは断定できません。そのため、飲み比べで「シェリーオークはヨーロピアンオーク100%」という前提を置くのはやめてください。
オーク材の種類が香味を分ける仕組み
| 項目 | ヨーロピアンオーク | アメリカンオーク |
|---|---|---|
| 主な樹種 | Quercus robur | Quercus alba |
| 多く出る成分 | タンニン(渋みのもとになる成分) | ラクトン(ココナッツのような甘い香りの成分)、バニリン |
| 結びつきやすい香味 | ドライフルーツ、スパイス、渋みのある締まった余韻 | バニラ、柑橘、柔らかい甘さ |
| 色 | 濃くなりやすい | 比較的明るい |
同じシーズニング樽でも、木そのものから出る成分が違うため、シェリーの風味の出方が変わります。グラスごとに、ノージングで甘い香りがバニラ寄りかドライフルーツ寄りか、フィニッシュで舌の両脇に渋みが残るかを確かめると、材の差が判断しやすくなります。
ダブルカスクとトリプルカスクの混ぜ方
ダブルカスクは、アメリカンオークのシェリー樽とヨーロピアンオークのシェリー樽で熟成した原酒を合わせたものです。トリプルカスクは、そこにアメリカンオークのバーボン樽の原酒が加わります。バーボン樽の原酒は、シェリー由来の重さとタンニンを薄め、軽さとバニラ系の甘い香りを足します。トリプルカスクのパレット(口に含んだときの味)が軽く感じられるのは、このためです。
樽の影響を受け止める原酒:小ぶりなスチル
マッカランのポットスチル(単式蒸溜器)は「curiously small(不思議なほど小さい)」と呼ばれ、1950年代からスコットランドの銅器メーカー、フォーサイス社が作っています。背の低い小ぶりな形では、蒸気が途中で冷えて釜に落ち戻る還流が起きにくく、重い成分も留出しやすくなります。銅に触れて軽く磨かれる機会も限られます。その結果、原酒はオイリーで厚みのある性格になり、これが強い樽の影響を受け止める土台になる、という見方があります。麦芽の品種とピートの度合いは、メーカーの一次資料で確認できていません。
色・度数・冷却濾過の読み方
前の章で触れたとおり、メーカーは着色をしていないと説明しています。そのため色の濃さはおおむね樽の影響を表しますが、色が濃いほど熟成が長いとは限りません。ヨーロピアンオークのファーストフィル(初めてウイスキーを詰める樽)は短い期間でも色が濃くなり、リフィル(再使用の樽)は長く寝かせても淡いままのことがあります。海外で売られている43%版は冷却濾過なしと表示されていますが、日本の40%版は確認できていません。40%版と43%版を比べるときは、度数の差だけで口当たりやアルコールの刺激が変わります。違いを感じても、それを濾過の差と決めつけないでください。
同じ銘柄でもロット差が出る理由
12年は数多くの樽を混ぜ合わせて味をそろえています。それでも、その時期に使える樽の材、シーズニングの状態、ファーストフィルかリフィルかの比率は調達状況で変わるため、瓶詰めの時期によって微妙な差が出ます。比較の精度を上げるには、次の点を守ってください。
- 3種は同じ時期に買った瓶でそろえ、裏ラベルや瓶に刻まれたロット番号を記録する
- 店で継続して出す場合は、同じ銘柄の新旧ロットを混ぜて注がない
- 前回と味が違うと感じたら、開栓後の酸化と並べてロット差も疑う
違いが分かる飲み比べの手順:順番・量・グラス・加水のやり方
順番:トリプルカスク→ダブルカスク→シェリーオーク
並べる順番は、味の軽いものから重いものへ進めます。前の章で触れた樽構成のとおり、トリプルカスク12年→ダブルカスク12年→シェリーオーク12年の順です。シェリー樽由来のドライフルーツの香りやタンニンの渋みは、口と鼻に長く残ります。先にシェリーオークを飲むと、トリプルカスクのバニラや柑橘の香りがその陰に隠れてしまいます。3種を飲み終えたら、最初のトリプルカスクにもう一度鼻を近づけてください。最初に感じた香りが変わらず取れれば、順番による影響は小さかったと判断できます。
量・グラス・温度をそろえる
1種類の量は10〜15mLにします。3種を合わせても30〜45mLで、シングル1杯から1杯半ほどの量です。1種類ずつをシングル(約30mL)で頼むと、3杯目に入るころには酔いと舌の疲れで判断が鈍ります。バーでは「マッカラン12年の3種を、ハーフずつ順番に」と伝えると意図が通じます。家ではジガー(計量カップ)で量り、3つのグラスに同じ量を注ぎます。液量が違うと、グラスの中で香りがたまる空間の大きさが変わり、香りの強さに差が出ます。
グラスは、口がすぼまったチューリップ型のテイスティンググラスを、同じ形・同じ容量でそろえます。口径やボウルの形が違うと香りの集まり方が変わり、その差を樽の違いと取り違えます。温度は常温の18〜22℃にそろえます。冷やすと香りの成分が揮発しにくくなり、樽ごとの差が縮まって感じられます。グラスは脚を持ち、手の温度でボウルを温めないようにします。
評価の手順
- ストレートでノージング(香りをとる)。最初は鼻をグラスの縁から少し離し、アルコールの刺激に慣れてから近づける
- パレット(口に含んだときの味)を見る。少量を舌全体に行き渡らせ、甘さが出る位置と重さを確かめる
- フィニッシュ(飲んだ後の余韻)を見る。飲み込んでから何秒ほど香りが続くか、舌の両脇に渋みが残るかを確かめる
- スポイトかストローで常温の水を1〜2滴ずつ加え、香りの変化を見る
- 最後にトゥワイスアップ(ウイスキーと常温の水を1:1)にして、3種をもう一度並べる
3種とも度数は40%で、すでに瓶詰めの段階で加水されています。そのため、加水を重ねると香味が崩れやすくなります。違いが出やすいのは次の2点です。1つ目は、数滴の加水で香りが開くかどうかです。アルコールの刺激が引いた後に、隠れていた香りが出てくるかを見ます。2つ目は、1:1にしたときに甘さが残るかどうかです。度数が20%まで下がると、骨格の弱い原酒は水っぽくなります。どのグラスの甘さと余韻が最後まで残るかを見ると、樽構成の違いが判断しやすくなります。
口直しと記録
グラスを替えるたびに、常温の水を一口飲み、味の薄いクラッカーをかじって口を整えます。冷水は舌の感覚を鈍らせます。チョコレートやドライフルーツなど味の強いものは、比較を終えてから合わせてください。記録は、次の項目を3種とも同じ形で残します。
| 項目 | 記入のしかた | 見るポイント |
|---|---|---|
| 色 | 「淡い金」「赤みのある琥珀」など言葉で書く | 3つのグラスを白い紙の上に並べて比べる |
| 香り | 3語で書く(例:バニラ・柑橘・青りんご) | ストレートのときと加水後の両方を書く |
| 甘さ | 5段階 | パレットで最初に感じる強さ |
| 渋さ | 5段階 | フィニッシュで舌の両脇に残る強さ |
| 余韻の長さ | 5段階 | 飲み込んでから香りが続く時間 |
シートの欄外には、前の章で触れたロット番号と開栓日も書いておきます。次に飲み比べたときに味が違っても、ロット差なのか開栓後の変化なのかを切り分けられます。
開栓後の保管
瓶は立てて保管します。寝かせると度数の高い液体がコルクに触れ続け、コルクが傷んで香りが移ることがあります。直射日光と暖房の近くは避け、温度の変化が小さい暗い場所に置いてください。残りが少なくなると瓶の中の空気が増え、香りの酸化が早まります。目安として残りが3分の1を切ったら、小瓶に移して空気に触れる量を減らします。小瓶には銘柄、ロット番号、移した日を書いておきます。飲み比べ用の小分けを用意する場合も、この方法がそのまま使えます。
この記事で紹介した銘柄
20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。