スコットランドのウイスキー紀行:ベンローマック探訪【読売新聞オンライン】

ウイスキーは古代ゲール語で「命の水」と称され、スコットランドの風土が生んだ宝物である。新型コロナウイルスの影響を受けても、英国を訪れる日本人観光客は増加傾向にあり、特に自然を楽しむ旅が人気。その中でも、スコットランドのハイランド地方・スペイサイドは、ウイスキー製造の中心地として知られる。

スペイサイドは、良質な軟水と大麦の産地として名高い。インバーネス空港からスコットレイルを利用し、フォレス駅で降りると、ベンローマック蒸留所の赤い煙突が目印となる。この蒸留所は1898年の創業以来、家族経営を続けており、シングルモルトの品質には定評がある。また、チャールズ国王が皇太子時代に公式訪問したこともある。

ベンローマック蒸留所では、伝統的なスペイサイド・シングルモルトの製造にこだわり続けている。シングルモルト・スコッチウイスキーは、大麦麦芽のみを使用し、スコットランドの単一蒸留所で3年以上熟成されたものと定義される。この蒸留所では、4人の職人が24時間体制で製造工程を管理。特に、2種類の酵母を使用することで、複雑な味わいを生み出している。

熟成庫には4000樽以上のウイスキーが保管されており、火災などのリスクを考慮して、異なる年代のウイスキーを各棟に分散して保管している。試飲したシングルモルト・ウイスキーの中で、特に「ベンローマック15年」は独特の気品が感じられた。次回は、スペイサイドの他の蒸留所を訪れ、ウイスキーの魅力をさらに深掘りする予定だ。

2023年8月31日(木)「読売新聞オンライン」
大自然が育む命の水を求めて
https://www.yomiuri.co.jp/hobby/travel/ryokou-select/20230828-OYT8T50042/

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