「シングルモルト」表記問題、オーストラリアで見直し検討【The Sydney Morning Herald】

オーストラリアの法律では、ウイスキーと称するためには最低2年間の熟成が必要とされています。しかし、新たな技術の登場により、ウイスキーの製造が2週間で可能になったことが、オーストラリアの蒸留所の間で論争を引き起こしています。

シドニーに拠点を置くGoodradigbee Distillersとビクトリア州のMountain Distillingは、この制約を回避するために製品を「シングルモルト」と名付けています。しかし、この表現は消費者に対して誤解を招くという批判が出ており、オーストラリアのウイスキー産業の評判を危険にさらしていると言われています。

特に、ウイスキーと密接に関連する言葉である「シングルモルト」を使うことは、消費者がそれをウイスキーと誤解する可能性があるとBackwoods Distilling Co.のディレクターであるLeigh Attwood氏は主張しています。

一方、Mountain Distillingの共同創設者であるMichael Harris氏は、オーストラリア法に従って製品をウイスキーと呼ばないようにしていると語っています。「シングルモルト」はオーストラリアでは規制されていない言葉で、それを借りて消費者に似た製品との関連性を提供していると述べています。

しかし、「シングルモルト」の使用は一部の小売業者に混乱をもたらし、Mountain Distillingの製品をウイスキーと表示してしまうケースも出ています。これについて、Harris氏は、「シングルモルト」が混乱を招く可能性があることを理解しており、より良い定義への移行に役立つ用語だと述べています。

彼はまた、ウイスキーの法的定義を拡大し、新たな熟成技術を取り入れたウイスキーの新しい種類を許可するべきだと主張しています。「私たちがやっていることの問題点は、私たちが作り出している製品に現在の定義がないことです」と彼は語っています。

オーストラリアの蒸留酒協会は、「シングルモルト」という用語の使用に関する論争を受けて、オーストラリアウイスキーの基準を見直すことを決定しました。この問題は、オーストラリアのウイスキー産業が「シングルモルト」という用語をどのように捉え、その使用をどの程度許容するかについての議論を巻き起こしています。この議論は、消費者への混乱を防ぎ、オーストラリアウイスキーの評判を保つために必要なものとなっています。

2023年5月13日 The Sydney Morning Herald
Whisky business: The 120-year-old law sparking a war over the name ‘single malt’
https://www.smh.com.au/national/whisky-business-the-120-year-old-law-sparking-a-war-over-the-name-single-malt-20230427-p5d3nj.html

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