グラス・関連グッズ紹介

ウイスキーグラスの選び方とおすすめ|飲み方別に容量と形で比較

ストレート・ロック・水割り・ハイボールなど飲み方別に、合うグラスの形と容量を早見表で比較。氷と割り材を含めた容量の考え方、ロックグラスの口径の目安、1つだけ買うならどれかも解説し、手持ちの氷や飲み方に合うグラスを選べます。

本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれます。 掲載している商品の価格・在庫は変動するため、最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

この記事で紹介した銘柄:アベラワー 12年 ダブルカスクマチュアード・エライジャクレイグ スモールバッチ 価格と購入先へ ↓

飲み方別の早見表:ストレート・トワイスアップ・ロック・水割り・ハイボールに合う形と容量

結論から言うと、香りを確かめる飲み方(ストレート、トワイスアップ)には口のすぼまったチューリップ形が合います。氷を使う飲み方のうち、ロックには口の広いオールドファッションド、水割りとハイボールには背の高いタンブラーを選びます。容量の読み方は次の章で説明します。

飲み方合う形注ぐ順番容量の目安代表商品
ストレートチューリップ形(テイスティンググラス)。少量だけならショットウイスキーのみ60〜200ml東洋佐々木ガラス テイスティンググラス 36320(190ml)
トワイスアップチューリップ形ウイスキー→同量の水190〜200mlグレンケアン・グラス(200ml)
ロックオールドファッションド(ロックグラス)氷をたっぷり→ウイスキー210〜350ml。大きな氷を使うなら口径80mm台東洋佐々木ガラス オンザロック B-21109CS(305ml、口径82mm)
水割りタンブラー氷を縁近くまで→ウイスキー→混ぜて冷やす→溶けた分の氷を足す→水→軽く混ぜるシングルは295ml前後、ダブルは400mlクラス東洋佐々木ガラス タンブラー P-26455-JAN-H(295ml)
ハイボール背の高いタンブラー氷を縁まで→ウイスキー→混ぜて冷やす→溶けた分の氷を足す→冷やしたソーダを氷に当てず静かに注ぐ→マドラーで縦に1回だけ持ち上げるシングルは295ml前後、ダブルは400mlクラス。ダブルの1:4は氷の量次第で400mlでも収まらない東洋佐々木ガラス ハイボールグラス B-00113-J435(400ml)

注ぐ順番が違うので、必要な容量も変わる

サントリーの案内では、ストレートはウイスキーをそのまま注ぎ、ロックはグラスに氷をたっぷり入れてから注ぎます。ストレートの容量は液体の量だけで決まります。一方、ロックから先の飲み方では、まず氷がグラスの体積を占め、ウイスキーと割り材はその隙間に入ります。そのため、容量は「注ぐ液量+氷+縁までの余白」で考えます。

  • ストレート・トワイスアップ:シングル30mlに同量の水を足しても60mlです。190〜200mlのチューリップ形に30〜60mlを注いでも、容量との差は130ml以上あります。30〜60mlなら液面の上に十分なヘッドスペース(香気成分がたまる空間)が残るため、銘柄の比較にもこのまま使えます
  • ロック:容量より先に口径を見ます。210mlの「7オールド」P-01125-JANは一般的な氷に向きます。口径82mm・305mlの「オンザロック」は、大きな氷を入れても上に余白が残ります。購入前に、使う氷の直径がグラスの口径より一回り小さいことを測っておきます
  • 水割り:シングルなら295ml、ダブルなら400mlクラス(計算は次章の表)
  • ハイボール:シングルなら295ml、ダブルなら400mlクラス(計算は次章の表)。ダブルを1:4で作る場合は、氷の量次第で400mlでも収まらないため、次章の方法で手持ちのグラスに実際に入る量を測ってから決めます

1つだけ買うならどれか

  • 銘柄ごとの香りを確かめたい人、ストレートとトワイスアップが中心の人:チューリップ形を選びます。ステム(脚)付きのチューリップ形は、手の熱が液に伝わりにくいため、時間をかけて香りを比べる場面に向きます
  • ハイボールが中心の人:375〜400mlのタンブラーから選びます。同じグラスで水割りも作れます
  • ロックが中心の人:口径80mm台で、容量300ml前後のオールドファッションドを選びます

店で使う場合と、贈る場合

店の定量提供には計量ライン付きのグラスを、贈り物には相手の飲み方を確かめてから選びます。具体的な品番は比較表で、贈る際の基準は「贈り物の判断基準」で扱います。

なぜグラスの形で香りと味が変わるのか:ボウル、すぼまり、リム、液面、温度の仕組み

ウイスキーのイメージ写真

グラスはウイスキーの成分を変えません。変わるのは、液面から揮発した香気成分が鼻に届くまでの濃さと順番、そして口に入る液体の量と速さです。形の違いは、ボウル(胴の膨らみ)、すぼまり、リム(飲み口の縁)、液面の広さ、温度の5つに分けると説明できます。

ボウルで揮発させ、すぼまりで鼻先に集める

香気成分は、液体が空気に触れる面から揮発します。ボウルが膨らんでいると、少量でも液面が広くなります。グラスを回すと内壁に薄い液膜が張り、揮発する面がさらに増えます。こうして揮発した成分は、液面の上の空間(ヘッドスペース)にたまります。すぼまった口は、その空間の出口を狭めて、香りが周囲の空気に薄まる前に鼻先へ届ける部分です。テイスティンググラスにチューリップ形が使われるのは、揮発させる面積と集める出口の両方を1脚で持たせるためです。口が筒形に開いたグラスでは、香りが立っても出口で拡散するため、香りは弱く感じられます。

度数が高いと、エタノールが先に鼻に届く

液面から最も多く揮発するのはエタノールです。エタノールは香りというより鼻の粘膜への刺激として感じられ、その刺激が先に届くと、後から来る香りを感じ取りにくくなります。後から来るのは、発酵と熟成で生まれる果実のようなエステル、樽材のリグニンが分解してできるバニラ香のバニリン、ピート(泥炭)を焚いて麦芽を乾燥させる工程で付くフェノール類です。カスクストレングス(樽出し原酒の度数のまま瓶詰めしたもの)を口のすぼまりの強いグラスに注ぐと、集める仕組みがエタノールの蒸気にも働き、刺激が強く出ます。度数の高いボトルは、次の順で扱います。

  1. 鼻を縁から少し離し、口を軽く開けたまま短く嗅ぐ
  2. それでも刺すときは加水して度数そのものを下げる

加水で香りが開く理由

加水で度数が下がると、蒸気に占めるエタノールの割合が下がり、刺激が弱まります。加えて、液中の成分の振る舞いも変わります。燻製香のもとになるグアイアコールなどのフェノール類はエタノールと結び付きやすく、度数が下がると液面付近に出やすくなることが、分子シミュレーションの研究で示されています。ただし、どの度数で最も香りが開くかは原酒によって違い、加水で閉じる香りもあります。冷却濾過をしていない原酒は、加水で脂肪酸エステルなどが析出して白く濁ることがあります。これは品質の劣化ではありません。

リムの厚みは口当たりの基準になる

薄いリムは唇に当たる段差が小さく、ガラスの存在を感じにくい口当たりになります。厚いリムは唇との間に段差ができ、縁の感触がはっきり残ります。グラスを選ぶときは、この口当たりの好みを基準にします。一方、口に入る量や速さは、リムの形だけでは決まりません。傾ける角度、飲む速さ、グラスに残っている液量でも変わります。形の違うグラスで同じ酒の印象が違うと感じたときは、液量と傾け方をそろえて飲み直すと、グラスによる差かどうかを確かめられます。なお「甘味は舌先」といった舌の味覚地図は誤りで、味は舌全体で感じます。

ロック:度数と温度が同時に下がる

ロックでは、氷が溶けるにつれて度数と液温が同時に下がります。注いだ直後は冷たさで揮発が鈍り、香りは閉じます。溶けた水で度数が下がると刺激が引き、甘さや穏やかな香りが出てきます。さらに薄まると、香りも味も弱くなります。同じ重さで他の条件が同じなら、大きな氷1個は細かい氷より液体と接する面積が小さく、希釈が緩やかになりやすくなります。ただし溶ける速さは、氷の初期温度、液体との温度差、混ぜ方、手やグラスから入る熱でも変わります。大きな氷を選ぶだけでなく、冷凍庫で十分に冷やした氷を使い、グラスもあらかじめ冷やしておきます。冷凍庫から出したばかりの氷は、注いだ瞬間に割れて細かくなることがあるため、表面が少し透明になってから使います。

ハイボール:細い形で炭酸と冷たさを保つ

背の高い細めのタンブラーは、同じ液量でも液面を小さくしやすい形です。また、縦に積んだ氷が液体の上から下まで接するので、全体を冷やし続けやすくなります。二酸化炭素は低温ほど液中に溶けやすいため、冷たさを保つことも炭酸を保つことにつながります。ただし炭酸の抜け方は、形だけでなく、注ぎ方、混ぜ方、氷やグラスの表面にできる気泡、温度でも変わります。実際に作るときは、グラスの形より次の手順を優先します。

  1. グラスに氷を縁まで入れる
  2. ウイスキーを注ぎ、マドラーで混ぜて冷やす
  3. 溶けて減った分の氷を足す
  4. 冷やしておいたソーダを、氷に当てないよう静かに注ぐ
  5. マドラーで縦に1回だけ持ち上げる

口の広いロックグラスで作ると、液面が広いうえに、氷が液体の上部から露出しやすく、ぬるくなりやすく、炭酸も抜けやすくなります。

容量の数字の読み方:グラスの容量と注ぐ量は別物、氷と割り材を足して計算する

商品ページの「容量」は、グラスの縁まで液体を満たしたときの量です。1杯に注ぐウイスキーの量ではありません(東洋佐々木ガラスの注記)。300mlと書かれたタンブラーに300mlの酒が入るわけではなく、そこから氷の体積と、こぼさずに持てる余白を引いた残りが、実際に注げる液量です。この取り違えが「ダブルのハイボールが入らない」「ロックが器の底に少ししか見えない」という失敗につながります。

基準はシングル30ml・ダブル60ml

国内のバーでは、シングル30ml、ダブル60mlが基本の量です。英国のパブでは25mlか35mlを1杯とする店が多く、海外の知人へ贈るときは、相手の国で1杯が何mlかを確かめると容量を選びやすくなります。どの国でも、計算の手順は「ウイスキーの量×割り方の比率=液体の合計」を出し、グラスの容量からその合計を引くことです。引いた残りが、氷と余白に使える体積になります。比率はサントリーの案内(ハイボールはウイスキー1に対してソーダ3〜4、水割りは水2〜2.5)に合わせています。

飲み方と量液体の合計グラスの例(容量)氷と余白に残る体積判定
ロック・ダブル60ml7オールド(210ml)150ml一般的な氷なら可
ロック・ダブル60mlオンザロック(305ml)245ml大きな氷でも余裕あり
水割り・シングル(1:2〜2.5)90〜105mlタンブラー(295ml)190〜205ml可
水割り・ダブル180〜210mlタンブラー(295ml)85〜115ml氷が足りない
ハイボール・シングル(1:3〜4)120〜150mlタンブラー(295ml)145〜175ml可
ハイボール・ダブル240〜300mlタンブラー(295ml)−5〜55ml入らない
ハイボール・ダブル240〜300mlハイボールグラス(400ml)100〜160ml1:3なら可。1:4は氷の量次第で収まらない

ハイボールと水割り:ダブルなら400mlクラス

ダブルのハイボールを400mlのグラスで作るなら、比率を1:3に寄せます。ハイボールは氷を縁まで詰めて冷たさを保つ飲み物なので、1:4では氷と余白に回せる体積が足りず、氷を減らすか溢れるかのどちらかになるためです。1:4で作りたい場合は、下の方法で手持ちの氷とグラスで実際に入る量を測ってから決めます。水割りは、サントリーの手順では氷とウイスキーを混ぜて冷やし、溶けた分の氷を足してから水を注ぎます。最初に冷やす工程があるため、氷は縁近くまで入れておきます。この氷の量を確保するために、ダブルの水割りもハイボールと同じ400mlクラスで作ります。

ロック:210mlと305mlの差は氷で決まる

直径6cmの丸氷は、それだけで約113mlの体積があります。これにダブル60mlを足すと約173mlです。305mlの「オンザロック」なら、残りは約130mlになり、グラスを回しても液がこぼれにくく、香りを嗅ぐ空間も残ります。210mlの「7オールド」では、仮に同じ氷が口から入ったとしても、余白は約37mlしかありません。7オールドは、普通の角氷でシングルからダブルを飲むグラスと考えます。大きな丸氷やロックアイスを使うなら、口径82mmで305mlのオンザロックのように、口径と容量の両方に余裕のある型を選びます。

手持ちのグラスで「実際に入る量」を測る

  1. 普段使う氷を、普段どおりの量だけグラスに入れる
  2. 計量カップで水を注ぎ、縁から1cmほど下で止める
  3. 注いだ量を記録する。これがそのグラスで実際に注げる液量
  4. この量を表の「液体の合計」と比べ、ダブルや1:4が収まるか判断する

氷が占める体積は、形と大きさと詰め方で大きく変わります。容量の数字だけで判断せず、一度この方法で測っておくと、比率を決める基準になります。

計量ラインがあれば、家では量が、店では原価がそろう

リーデル「バー リチュアルズ」ダブルロック・グラス(350ml)は、内側に60mlの計量ラインがあります。東洋佐々木ガラスのハイボールグラスB-00113-J435(400ml)には、ウイスキーを注ぐ位置の目安が印刷されています。家ではメジャーカップを使わなくても量がぶれず、比率を変えたときに味の違いを比べられます。店では提供量のばらつきが原価に直結します。700mlのボトルは30mlずつ注げば23杯取れますが、1杯ごとに5ml多く注ぐと20杯に減ります。ライン付きのグラスなら、スタッフが替わっても1杯の量を目で確かめてそろえられます。

おすすめグラスを容量と価格で比較:グレンケアン、リーデル、東洋佐々木ガラス(2026年10月時点)

ウイスキーのイメージ写真

現行品を同じ項目で比較します。価格は2026年10月に各メーカーの公式オンラインショップで確認した税込の表示です。公式の税込価格を確認できなかった商品は「販売ページで確認」としています。容量は満水容量(縁まで満たした量)です。口径の欄は、メーカーが数値を示しているものだけを載せています。

商品名品番形容量口径価格(税込)合う飲み方素材
東洋佐々木ガラス テイスティンググラス36320チューリップ形190ml—814円ストレート、トワイスアップ、銘柄の比較ガラス
グレンケアン・グラス(標準品)—広いボウルとすぼまった飲み口200ml—販売ページで確認ストレート、トワイスアップ、加水の検証クリスタルガラス
東洋佐々木ガラス 2ウイスキーP-01126-JAN小型のストレートグラス60ml—販売ページで確認ストレートを少量ガラス
東洋佐々木ガラス 7オールドP-01125-JANオールドファッションド210ml—販売ページで確認ロック(角氷)ガラス
東洋佐々木ガラス オンザロックB-21109CSオールドファッションド305ml82mm販売ページで確認ロック(大きな氷)ガラス
リーデル バー リチュアルズ ダブルロック・グラス—ロック(60mlの計量ライン付き)350ml—2個入り 6,050円ロック、店での定量提供ガラス
東洋佐々木ガラス タンブラーP-26455-JAN-Hタンブラー295ml—販売ページで確認水割り、ハイボール(シングル)ガラス
東洋佐々木ガラス ハイボールグラスB-00113-J435タンブラー(注ぐ位置の目安を印刷)400ml—販売ページで確認ハイボール、水割り(ダブルまで)ガラス
東洋佐々木ガラス ロングタンブラーB-21134CS口がすぼまる細身のタンブラー375ml58mm(最大径71mm)販売ページで確認ハイボールガラス
リーデル リゾート ダブルロック—ロック——販売ページで確認屋外でのロックトライタン(割れにくい樹脂)
リーデル リゾート ハイボール—ハイボール用——販売ページで確認屋外でのハイボールトライタン(割れにくい樹脂)

グレンケアンの容量は200mlとして比べる

グレンケアン・グラスの容量を175mlとする情報が残っていますが、現在のメーカー表示は200mlです。この表も200mlで揃えています。容量だけを見ると、190mlの36320とほぼ同じ大きさです。違いは形にあります。グレンケアンはステム(脚)がなく、厚い台座の上に広いボウルが載る形です。ボウルを手で包むと液温が上がり、揮発するエタノールが増えます。時間をかけて香りを取るときは、台座を持ちます。

予算と用途で組み合わせる

ダブルのハイボールを飲むなら、タンブラーの代わりにB-00113-J435を選びます

  • 同じ銘柄の年数違いやロット差を比べる:同じ品番のテイスティンググラスを2〜3脚揃え、どのグラスにも同じ量を注ぎます。形や量が違うと、液体の差かグラスの差かを切り分けられません
  • 贈り物にする:「贈り物の判断基準」を参照
  • 店の定量提供:ロックはバー リチュアルズ ダブルロック・グラスの計量ラインで、ハイボールはB-00113-J435の印刷で、1杯の量を目で確かめられます。破損で入れ替える頻度が高い回転用は、販売ページで1脚あたりの価格を確かめてから品番を決めます
  • 屋外・キャンプ:ガラスを持ち出したくない場面では、リゾートシリーズのダブルロックとハイボールに置き換えます。香りを比べる用途は、家でガラスのテイスティンググラスを使う、と分けておくと迷いません

購入前に確かめること

  • リーデルは2026年9月1日から一部製品の価格を改定しています。表の価格と販売ページの表示が違う場合があるため、注文前に最新の価格を確かめてください
  • リゾートシリーズはガラス製ではなく、トライタン製です。60mlの計量ラインが付くのは、ガラス製の「バー リチュアルズ ダブルロック・グラス」です。リゾートのダブルロックと取り違えないよう、商品名と素材の表示を確認します
  • ナハトマンは、現行品の容量と価格をメーカー表示で確かめられないため、この表には載せていません。販売店で見かけた場合は、品番、現行の容量、税込価格の3点が公式の表示と一致するかを確認してから比べてください

銘柄のタイプ別に合わせる:ピート、シェリー樽、カスクストレングス、バーボン

樽や製法による香りの違いでも、グラスの扱い方は変わります。同じ190〜200mlのテイスティンググラスでも、ピートの煙、シェリー樽の果実香、高い度数のどれが強いかで、嗅ぎ方や加水の仕方が違います。

ピートの強いアイラ:煙の下にある香りを探す

燻製や薬品、ヨードのような香りは、製麦の工程で生まれます。麦芽を乾燥させるときにピート(泥炭)を焚き、その煙に含まれるフェノール類が麦芽に付きます。その量はフェノール値(ppm)で示します。ただし、一般に表示されるppmは原料である麦芽の値で、瓶の中の濃度や、飲んだときに感じる煙の強さを直接示すものではありません。フェノール類は蒸溜の後半に多く出る傾向があり、どこまでを製品に取り込むか(ミドルカット)で残り方が変わります。ただしカットの位置は、蒸溜所が狙う酒質に合わせて決めるもので、後半を長く取るほど良い酒になるわけではありません。熟成の過程でも煙の印象は変わります。アードベッグ 10年、カリラ 12年、キルホーマン マキヤーベイを口のすぼまりの強いグラスで嗅ぐと、煙が最初に鼻を占め、その下にある柑橘、オイリーさ、樽の甘さを見落としやすくなります。

  • 1杯目は、鼻を縁から少し離して嗅ぎ、煙以外の香りを書き出す
  • 次に数滴だけ加水する。度数が下がるとフェノール類が液面に出やすくなるため、加水すると煙がかえって強まることがある
  • 3本を比べるときは、グラスと注ぐ量の条件を「予算と用途で組み合わせる」と同じにそろえる。カリラは煙の奥の柔らかさ、アードベッグは煙と甘さの釣り合い、マキヤーベイは若い原酒の果実香を見比べる

シェリー樽熟成:同じグラスで時間の経過を追う

グレンドロナック 12年やアベラワー 12年 ダブルカスクマチュアードの香りは、何層にも重なっています。レーズンやデーツのようなドライフルーツ、ナッツのような酸化した香り、樽材のタンニンです。これらは、注いだ直後と少し置いた後で印象が変わることがあります。変化の速さは室温、注ぐ量、ボトルの状態で違うため、時間を決めずに比べます。テイスティンググラス 36320かグレンケアン・グラスに30mlを注ぎ、注いだ直後に一度嗅いだら、数分おきに同じグラスのまま嗅ぎ直して、前に出た香りと引いた香りを記録します。途中でグラスや量を変えると、時間による変化かグラスによる差かが分からなくなります。なお、現在のシェリー樽の多くは、シェリーの製造に使われた樽ではありません。ウイスキー熟成用に組んだ樽に、シェリーを一定期間入れて味付けしたもの(シーズニング樽)が主流です。同じ「シェリー樽」という表記でも、シェリーの種類やシーズニングの期間によって香りの濃さは変わります。

カスクストレングス:余裕のある容量で、量って加水する

グレンファークラス 105は60%で瓶詰めされています。そのまま嗅ぐとエタノールの刺激が強く出ます。グレンケアン・グラス(200ml)か36320(190ml)に30mlを注ぎ、次の順で進めます。

  1. 塩素臭のない常温の軟水と、5mlを量れる計量スプーンかスポイトを用意し、加水する前の香りと味を記録する。冷えた水は液温を下げて揮発を鈍らせ、水道水の塩素臭はウイスキーの香りより先に鼻に届くことがあるため、加水の前後を同じ条件で比べられなくなる
  2. 水を5ml加え、軽く回して30秒ほど置いてから嗅ぐ
  3. さらに5mlずつ足し、合計15ml(約40%)まで進める。各段階で、前に出た香りと引いた香りを記録する
  4. 香りが最も開いた段階の水量を、そのボトルの基準として書き残す

合計15mlを加えても液量は45mlなので、ボウルの膨らみより下に収まります。そのため、加水の前と後で香りを同じ条件で比べられます。

バーボン:ストレートとロックの両方で試す

米国の規定は、焦がした新しいオーク容器での熟成を求めています。焦がしの強さ(チャーレベル)は各社が選びます。焦げた炭の層の下には熱を受けた木材の層があり、そこで木材の糖分がカラメルのような香りの成分に、リグニンが分解してバニリンに変わり、熟成中に原酒へ移ります。ウッドフォードリザーブやエライジャクレイグ スモールバッチの中心にあるのは、こうしたバニラやカラメルのような甘い香りです。ただし冷やすと揮発が抑えられ、果実香やスパイスの感じ方も変わるため、ロックで甘さが残るかどうかは銘柄と好みで分かれます。まずストレートで香りと味を確かめ、同じ銘柄をロックで飲んで、何が残り何が引いたかを比べます。大きな氷を使うならオンザロック B-21109CS(305ml、口径82mm)が合います。量をそろえたい場合は、計量ライン付きのバー リチュアルズ ダブルロック・グラスを使います。

軽やかなローランド:タンブラーでハイボールに

オーヘントッシャン 12年は3回蒸溜による軽い酒質、グレンキンチー 12年は草や花のような香りが持ち味です。どちらもソーダの爽快さと香りの方向が重なるため、1対3〜4で割っても輪郭が残ります。シングルならタンブラー P-26455-JAN-H(295ml)、ダブルならハイボールグラス B-00113-J435(400ml)で作ります。

同じ銘柄でも、飲み方を変えたらグラスも替える

銘柄飲み方グラス確かめること
アードベッグ 10年ストレートテイスティンググラス 36320煙の下にある甘さと柑橘
アードベッグ 10年ハイボールハイボールグラス B-00113-J435ソーダで割っても残る煙の強さ
グレンドロナック 12年ストレートテイスティンググラス 36320注いだ直後と数分後のドライフルーツの香りの差
グレンドロナック 12年ロックオンザロック B-21109CS冷やして締まったタンニンと甘さ
グレンファークラス 105加水グレンケアン・グラス5mlごとの香りの変化
ウッドフォードリザーブロックオンザロック B-21109CS溶けた水で出てくるバニラ
ウッドフォードリザーブストレートテイスティンググラス 36320ライ麦由来のスパイス
オーヘントッシャン 12年ハイボールタンブラー P-26455-JAN-H1対3と1対4での香りの差

素材・手入れ・贈り物の判断基準と、よくある失敗

ウイスキーのイメージ写真

素材の違い:ソーダガラス、クリスタルガラス、トライタン

素材で傾向は分かれますが、重さ、リムの薄さ、食洗機に入れられるかは品番ごとに違います。東洋佐々木ガラスの品番は日常向けのガラス、グレンケアン・グラスはクリスタルガラス、リーデルの「リゾート」シリーズはトライタン製です。

素材特徴価格帯
ソーダガラス日常使いの主流。衝撃と急な温度差に弱い低い
クリスタルガラス透明度が高く、薄く仕上げた品もある中程度〜高め
トライタン(樹脂)落としても割れにくい製品による

香りと口当たりを比べるなら、ガラスかクリスタルガラスを選びます。屋外や子どものいる場ではトライタン、店の回転用には買い直しやすいソーダガラス、と用途で分けます。食洗機については、グレンケアン・グラスとリーデル バー リチュアルズ ダブルロック・グラスは、メーカーが食洗機対応と表示しています。そのほかの品番は、重さやリムの仕様とあわせて、品番ごとのメーカー表示で確かめます。

手入れ:香りの確認を邪魔するものを残さない

空のグラスに残った洗剤、柔軟剤、布の繊維、戸棚のにおいは、30mlのウイスキーの香りより先に鼻に届きます。手入れの目的は、グラスを無臭の状態に戻すことです。

  1. 使い終えたらすぐにぬるま湯ですすぎ、糖分や樽由来の成分を乾かさない
  2. 汚れが残るときだけ、薄めた中性洗剤を柔らかいスポンジに付けて洗う
  3. ぬるま湯で、洗剤のぬめりがなくなるまで念入りにすすぐ
  4. 伏せて水を切り、柔軟剤を使っていない糸くずの出にくいクロスで拭き上げる
  5. 香りを比べる前に、空のグラスを嗅いでにおいがないことを確かめる

保管は、扉付きの戸棚なら立てて置き、薄いリムが棚板に当たって欠けるのを防ぎます。伏せると、棚板や戸棚のにおいがボウルにこもりやすくなるためです。網棚やグラスラックのように空気が通る場所なら、伏せてほこりを防ぎます。

贈り物の判断基準

  • 飲み方を先に確かめる:ストレート派にはテイスティンググラス、ハイボール派には400ml前後のタンブラー。分からなければ、普段よく飲む銘柄と割り方を聞いてから選ぶ
  • 名入れ:返品や交換ができなくなることが多いため、相手の飲み方が確かなときだけにする
  • 箱とペア:夫婦や来客と飲む相手には2脚組。銘柄を比べる人には同じ品番を2〜3脚
  • 海外の知人へ送る:割れ物として申告し、1脚ずつ緩衝材で包んで箱の中で動かないようにする。破損が心配ならトライタン製を選ぶ手もある。グレンケアン・グラスは英国公式サイトでギフト箱入りが販売されており、現地で買い足しやすい

高級品やバカラを贈る場合の選び方は、関連記事で扱っています。

よくある失敗とその理由

  • 容量を注ぐ量と思って買う:氷と余白を引いて計算していない(容量の計算を参照)
  • ロックグラスの口が狭くて氷が入らない:容量が足りていても、内径が氷より小さければ入らない。大きな氷を使うなら、口径82mmのオンザロックB-21109CSのように口径の数値を確かめる
  • 口の広いグラスでハイボールを作る:液面が広く、氷が液体から出やすいため、ぬるくなりやすく、炭酸も抜けやすい

よくある質問

テイスティンググラスに蓋をして香りを取るやり方は、家でも意味がありますか。

意味があります。注いだ後にグラスの口を小皿などで覆って数分置くと、液面の上の空間に香気成分がたまり、開けた直後の一嗅ぎで香りの輪郭をつかみやすくなります。ただし、度数の高い原酒ではエタノールの蒸気も同じようにたまります。開けたらすぐに鼻を近づけず、少し離して嗅ぎます。比べるときは、どのグラスも置く時間をそろえます。

氷でグラスを冷やしたとき、溶けた水は捨ててから作りますか。

捨てます。底に残った水はそのまま割り材に加わるため、ハイボールの1対3〜4や水割りの1対2〜2.5といった比率が崩れ、度数も香りも薄まります。氷を入れてグラスを冷やしたら、ウイスキーを注ぐ前にグラスを傾けて水を切ります。溶けて小さくなった氷は、新しい氷に入れ替えてから注ぎます。

ワイングラスで代用できますか。

できます。口のすぼまった小ぶりの白ワイン用を選び、30mlを注ぎます。大型の赤ワイン用は液面の上の空間が大きすぎ、香りが薄まります。

グラスは冷やしておくべきですか。

ストレートでは冷やしません。揮発が鈍り、香りが閉じるためです。ロックとハイボールでは、冷蔵庫で冷やしておくと最初の数分で氷が溶けるのを抑えられます。

開栓後しばらく経ったボトルは、グラスを替える前に何を確かめますか。

先にボトルの状態を確かめます。開栓後は、瓶内の空気に触れて香りが弱まったり変わったりすることがあり、残量が少ないほど瓶内の空気が多くなります。直射日光や高温を避け、立てて保管していたか、栓の状態に問題がないかを見ます。そのうえで、開栓直後に使ったのと同じグラスと同じ量で嗅ぎ直し、印象の変化がグラスではなくボトル側の変化かどうかを切り分けます。

ブラインドで飲み比べるとき、グラスで気をつけることは何ですか。

グラスと注ぐ量の条件は、銘柄を比べるときと同じにそろえます(「予算と用途で組み合わせる」を参照)。そのうえで、注ぐ人と飲む人を分け、グラスには番号だけを付けて記録します。色は樽の種類、熟成の長さ、カラメル着色の有無で変わり、色を見ただけで印象が引きずられます。色まで隠したいときは、中身の見えない着色ガラスの評価用グラスを使うか、暗い照明の下で比べます。

出典・参考にした情報

この記事で紹介した銘柄

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。