グラス・関連グッズ紹介

ウイスキーグラスの種類と選び方|香りが変わる理由と容量の目安

ウイスキーグラスをテイスティング・ストレート・ロック・タンブラー・耐熱の役割別に解説。ボウルの膨らみや口径で香りが変わる理由、グレンケアンなど代表製品の容量、氷や割り方に合わせた選び方の目安がわかります。

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ウイスキーグラスの主な種類と特徴|テイスティング・ストレート・ロック・タンブラー・耐熱

ウイスキーグラスは名前で覚えるより、香りを取る・氷を入れる・割る・温めるという役割で分けると選びやすくなります。形の違いは、ボウル(液体をためる胴の部分)の膨らみ、口径、そして注いだあとに残る空間(ヘッドスペース)の大きさに表れます。香りを取るグラスは空間を広く残して口をすぼめ、氷を入れるグラスは口を広げ、割るグラスは背を高くして容量を確保します。

役割主な種類容量の例向く飲み方選ぶ基準
香りを取るテイスティング(グレンケアン標準、Copita)200ml/170mlストレート、少量の加水飲み口がすぼまっているか
香りを取るストレート用(リーデル ニート・グラス)174mlストレートボウルの膨らみ、脚の有無
一口で飲むショットグラス小容量ショット香りの確認には使わない
氷を入れるロック(KINTO CAST ダブルウォール)250mlオン・ザ・ロック口径が氷の大きさに合うか
割るタンブラー・ミキサーグラス(グレンケアン Mixer:背の低い型)350mlハイボール、水割り氷を詰めてもソーダが入る容量があるか
温める耐熱グラス製品によるお湯割り耐熱ガラスと表示されているか

香りを取るグラス:テイスティング型とストレート型

テイスティンググラスは、香りを嗅ぐノージングのための形です。代表的なグレンケアンの標準グラスは、香りを集めるために飲み口がすぼまっていて、容量は200mlです。2001年に発売され、メーカーはQueen’s Award for Innovationの受賞歴を公表しています。膨らんだボウルの中で液面から立ちのぼったエステル(果実のような香りのもとになる成分)やフェノール類(ピート由来のスモーキーな香りのもと)が、すぼまった口に集まります。

脚の付いたGlencairn Copitaは容量170mlで、蒸溜所のブレンディング室でも香りを確かめるのに使われています。脚を持てばボウルに手の熱が伝わりにくく、複数のサンプルを同じ条件で嗅ぎ比べやすくなります。容量は製品ごとに異なり、標準品は200ml、カット品とCopitaは170mlです。素材の違いは後述します。

ストレート用のグラスとして、サントリーはボウルに適度な膨らみがあり、脚が付いた形を案内しています。リーデルのニート・グラス(174ml)もこの用途の型です。度数の高いカスクストレングス(法的な定義はなく、一般に複数の樽を混ぜたうえで、瓶詰め前の加水をしていないもの)を飲むときは、口のすぼまったグラスほどエタノールの刺激も集まります。初めは鼻を少し離して嗅ぎ、数滴ずつ加水して香りの開き方を確かめると、違いがつかみやすくなります。

ショットグラスは一口で飲むための形です。側面がまっすぐで香りをためる空間がないため、香りを確かめる用途には向きません。

氷を入れるグラス:ロック

ロック用には、氷を入れやすい広い口径のグラスをサントリーが勧めています。大きな氷は表面積が小さく溶けにくいので、口径は手持ちの氷に合わせて選びます。KINTOの「CAST ダブルウォール ロックグラス」は容量250ml・直径90mmの耐熱ガラス製です。氷の入れ方の注意は素材の章で説明します。KINTOは容量180mlの「CAST グリーンティーグラス」もウイスキー用に紹介しており、直径50mmの丸氷が入るとしています。

割るグラス:タンブラー・ハイボール

ハイボールや水割りのグラスには、氷を詰めたうえでソーダや水を規定の比率まで注げる容量が要ります。製品の例はグレンケアンの「Mixer」(350ml)です。ただしこれは背の低いミキサーグラスで、細長いハイボールグラスとは形が違います。比率と必要な容量は後述します。

温かい飲み方のグラス:耐熱

お湯割りには、メーカーが耐熱ガラスと明示しているグラスを選びます。通常のクリスタルグラスに熱湯を注ぐのは避けてください。前述のKINTOのダブルウォールは耐熱ガラス製なので候補になります。使える温度の条件は、製品の表示で確かめてください。

飲み方ごとにグラスを分ける

リーデルの日本公式ショップでも、ストレート用の「ニート」、氷を使う「ロック」、背の高い「ハイボール」を別々のグラスとして販売しています。1脚ですべての飲み方を兼ねるより、飲み方に合わせて揃えるほうが、それぞれの良さを引き出せます。

  • 最初の1脚:いちばん多い飲み方で選ぶ。ストレート中心なら飲み口のすぼまったテイスティンググラス、ハイボール中心なら容量に余裕のあるタンブラー、ロック中心なら手持ちの氷が入る口径のロックグラス
  • ロックも飲む人:氷の直径に合う口径のロックグラスを追加
  • ハイボールも飲む人:氷を詰めた状態でソーダが規定の比率まで入る、容量に余裕のあるタンブラーを追加。背の高さは製品の仕様で確かめる
  • 店で使う:用途ごとに型を固定する。嗅ぎ比べ用には容量がそろったCopitaなどの脚付き。ストレートはメジャーで計って注ぎ、注いだあとの空間が十分残る174〜200ml級の型にそろえる

なぜグラスの形で香りと味が変わるのか|ボウル・すぼまり・脚の役割

ウイスキーのイメージ写真

ボウルの膨らみとすぼまりが香りを集める仕組み

香りの成分は液面から揮発し、グラスの中の空気を通って鼻に届きます。鼻に届く香気の強さやバランスは、液面の面積、飲み口の径、注ぐ量の組み合わせで変わります。液面の面積はボウルの最大径ではなく、注いだ液体の表面が来る高さの内径で決まるため、同じグラスでも注量が変われば変わります。成分ごとに揮発のしやすさが違い、グラスの中の空気の流れも一様ではないため、形の効果を一つの仕組みで言い切ることはできません。ただし、すぼまった口で強まるのは香りだけではありません。度数が高いほど、鼻を刺すエタノールの刺激も強く感じます。

  1. グラスを顎の高さに持ち、離れた位置で一度短く嗅ぐ
  2. 少しずつ鼻に近づけ、刺激が強くなる手前で止める
  3. 鼻を飲み口に深く差し込まない。口を少し開けて息を吸うと刺激がやわらぐ
  4. 嗅いでは離す、を短く繰り返す。同じ香りを長く嗅ぐと鼻が慣れて感じにくくなる

広口のグラスが氷に合う理由

ロックグラスのように口が広いと、揮発した香りはすぐに外へ広がります。細かな香りを拾うには向きませんが、氷で冷やすと香りの揮発そのものが抑えられるため、香りを集める形の利点はもともと小さくなります。広口は氷を出し入れしやすく、冷えた口当たりと甘みを味わう場面に合います。香りも確かめたい銘柄は、まず常温でテイスティンググラスに注いで香りを取り、そのあとロックで飲むと、両方の表情が分かります。

脚の有無は温度の管理

手のひらの熱で液体の温度が上がると、香りもエタノールの刺激も立ちやすくなります。脚付きのグラスの利点は、ボウルを直接握らずに持てることです。ただし、脚があるだけで比較の条件がそろうわけではありません。複数の銘柄を嗅ぎ比べるときは、次の条件をそろえます。

  • 同じ型のグラスを使う
  • 同じ量を注ぐ
  • グラスと液体を同じ室温に置いておく
  • 注いでから嗅ぐまでの待ち時間を同程度にする

脚のないテイスティンググラス(グレンケアン標準品など)は、ボウルを手で包んで温め、1杯の中で香りが開く変化を見るのに使えます。銘柄同士を比べるなら脚付き、1杯の中での変化を楽しむなら脚なし、と目的で使い分けてください。

製法ごとの香りとグラスの相性

**アードベッグ 10年**のスモーキーな香りは、麦芽を乾燥させるときにピートを焚き、その煙に含まれるフェノール類が麦芽に取り込まれることに始まります。フェノール類は糖化・発酵・蒸溜を経て、その一部が製品に残ります。麦芽の仕様として示されるフェノール値(ppm)は麦芽の段階の値で、蒸溜液に残るのはその一部にとどまります。重いフェノール類は蒸溜の後半に多く出るため、スモーキーさの強さは、後半の留分をどこまでミドルカット(製品に使う蒸溜液の中間部分)に含めるかに左右されます。熟成が長くなるほど、ピート香は穏やかになっていきます。すぼまったグラスではこの香りが強く集まるため、煙の奥にある甘さや柑橘の香りを探すときは、鼻を離した位置から嗅ぐと捉えやすくなります。

グレンドロナック 12年は、メーカーの表記ではペドロ・ヒメネス(PX)とオロロソのシェリー樽で熟成されています。レーズンやドライフィグのような香りは、このシェリー樽での熟成に由来します。現在ウイスキー用に使われるシェリー樽の多くは、シェリーを一定期間入れて調整したシーズニング樽です。一般に、極甘口のPXを入れた樽は干しぶどうや糖蜜のような濃い甘さを、辛口で酸化熟成させるオロロソの樽はナッツやドライフルーツの香りを原酒に与えるとされます。また、ウイスキーの熟成に初めて使うファーストフィルの樽は影響が強く、再使用するリフィルになるほど穏やかになります。この系統の香りは注いだ直後には閉じていることがあり、膨らんだボウルの中で軽く回して空気に触れさせ、数分置くと開いてきます。ピートを使わず、果実の香りが中心のグレンフィディック 12年を横に並べると、ピートの影響がない状態での基準になり、グラスによる違いも確かめやすくなります。

加水で香りが開く様子を同じグラスで確かめる

加水して度数が下がると、香りの成分ごとに現れ方が変わります。液面上の空間で濃度が増える成分もあれば減る成分もあり、香りが開いたように感じることも、薄まって銘柄ごとの違いが弱まることもあります。

冷却濾過(瓶詰め前に低温にして、濁りのもとになる成分を濾し取る工程)をしていない銘柄は、加水や冷却で脂肪酸エステルが析出し、白く濁ることがあります。品質の問題ではありません。加水には常温の軟水(または硬度の低いミネラルウォーター)を使います。冷水は香りの立ち方を抑えるので、比較には使いません。

  1. テイスティンググラスに注ぎ、上の手順で嗅いだ香りを書き留める
  2. スポイトかストローで2〜3滴加える
  3. 軽く回して1分ほど置き、加水前と同じ距離・同じ順番で嗅ぐ
  4. 変化が小さければ数滴足す。香りが薄く平板になったと感じたら、そこを自分にとっての加えすぎの目安にする

比べるときはグラスを替えないことが条件です。グラスの形が変わると香りの集まり方も変わり、変化が加水によるものかグラスによるものか区別できなくなります。

カスクストレングスでの判断基準

グレンファークラス 105のようなカスクストレングスは、すぼまりの強いグラスで飲むとアルコールの刺激が香りに勝ちやすくなります。すぼまった口は、香りもエタノールも集めます。口が開いた形や縁が外に反った形は、エタノールの刺激を逃がす代わりに、香りの密度も下がります。

状況対応
顎の高さでも鼻を刺す数滴ずつ加水してから嗅ぐ
加水すると味まで薄く感じる加水をやめ、口の開いたグラスに替えて原酒の度数のまま飲む(香りの比較には使わない)
近づけると刺激が強く、離すと香りが弱い中間の距離を保ち、口を少し開けて嗅ぐ

口の開いたグラスは香りを比べるためではなく、刺激を抑えて原酒の度数のまま飲むための選択です。香りの細部まで拾いたいなら加水してテイスティンググラスを使う、と目的で分けてください。加水による変化を比べるときは、前の節のとおりグラスを替えずに行います。

飲み方別に容量と口径を決める|量と比率から逆算する

グラスの容量は、注ぐ量から逆算して決めます。日本のバーではシングル30ml、ダブル60mlとする店が多く(英国では法令で25mlか35ml単位)、本記事は30mlを基準に計算します。注意したいのは、グラスの表示容量は通常、縁まで満たしたときの満杯の容量だという点です。液量を差し引いて数字が残っても、飲みやすい余白があるとは限りません。実際に使える量は、氷の形、グラスの内径、縁までどれだけ余白を残すかで変わります。下の表は概算の目安として使い、最後は手持ちのグラスと氷で確かめてください。

飲み方注ぐ量グラス内の体積容量の目安
ストレート(ダブル)60ml60ml170〜200ml
トゥワイスアップ(シングル)30ml+水30ml60ml170〜200ml
トゥワイスアップ(ダブル)60ml+水60ml120ml200ml級
ロック(ダブル)60ml60ml+氷(直径50mmの丸氷で約65ml)180〜250ml
ハイボール(シングル)30ml+ソーダ90〜120ml120〜150ml+氷300ml前後
ハイボール(ダブル)60ml+ソーダ180〜240ml240〜300ml+氷350ml前後以上

ストレート・トゥワイスアップ:170〜200ml級で空間を残す

リーデルのニート・グラス(174ml)にダブルを注いでも、114mlの空間が残り、ここに香りがたまります。トゥワイスアップ(ウイスキーと同量の水で割る飲み方)では、液量が倍になる点に注意してください。ダブルを同量の水で割ると120mlになり、174mlのグラスでは空間が54mlまで減ります。軽く回して香りを開かせる余裕もほとんどありません。ダブルで作るなら200mlのグレンケアン標準品を使えば80mlが残ります。174ml級のグラスならシングルで作ってください。40度の銘柄を1対1で割ると約20度になり、前の章で触れたエタノールの刺激が収まって、果実やシリアルの香りを拾いやすくなります。

ロック:氷の直径から口径を、氷の体積から容量を決める

丸氷は、グラスの内径が氷の直径を上回らなければ入りません。KINTOの「CAST グリーンティーグラス」(180ml)は、直径50mmの丸氷が入るとメーカーが紹介しています。手持ちの製氷器で作った丸氷の直径を測り、グラスの内径と比べてください。ダブルウォール構造のグラスは、二重になっている分だけ内径が外径より小さくなります。表記の直径が外側と内側のどちらを測った寸法かも確かめてください。

容量は氷の体積も加えて見積もります。直径50mmの球は約65ml、60mmなら約113mlです。ただし、液量と氷の体積を単純に足した値は概算にすぎません。丸氷の上部は液面から出ていることが多く、液面の高さはグラスの内径と氷の収まり方で変わります。「CAST ダブルウォール ロックグラス」(250ml・直径90mm)に60mmの丸氷とダブル60mlを入れた合計は約173ml、180mlのグリーンティーグラスに50mmの丸氷とダブルを入れた場合は約125mlです。どちらも表示容量を下回りますが、表示容量は縁までの満杯の値です。氷と液体を入れた時点の液面に、持ち運びやマドラーで混ぜる余裕が残るかを、実際の氷とグラスで試してください。

ハイボール:氷を詰めた状態で量って決める

ハイボールのウイスキーとソーダの割合は、サントリーの案内では1対3〜4が目安です。シングル30mlならソーダは90〜120mlで、液量は120〜150mlになります。ダブル60mlならソーダは180〜240mlで、液量は240〜300mlです。ハイボールはグラスを氷で満たし、液体は氷のすき間に入ります。そのため、液量に氷の体積を足して必要な容量を出すことはできません。手順は次のとおりです。

  1. グラスの縁まで氷を詰める
  2. マドラーで回してグラスを冷やし、溶けた水を捨てる
  3. ウイスキーを注いで混ぜる
  4. 冷やしたソーダを氷に当てないよう静かに注ぎ、マドラーで縦に一度だけ混ぜる

容量は、氷を詰めた状態でウイスキーと規定量のソーダが縁から余裕をもって収まるかを、実際に水で量って確かめます。グレンケアンのMixer(350ml)は、氷や飾りを入れる余地を設けたミキサーグラスですが、メーカー公称の高さは100mmの背の低い型です。細長いハイボールグラスを想定している場合は、購入前に高さと容量の両方を仕様で確かめてください。ダブルを1対4で作る場合は、大きいグラスを選んでください。

大きすぎる場合と小さすぎる場合の失敗

  • 大きすぎ(ストレート):空間が広すぎて香りが薄まり、すぼまった口の効果も弱くなる
  • 大きすぎ(ハイボール):液面が広くなり、ソーダの炭酸が早く抜ける
  • 大きすぎ(店での提供):同じ60mlでも見た目の量が少なく見え、量が少ないという印象を与えやすい
  • 小さすぎ(ロック):丸氷が入らない。入っても、溶けた水で液面が縁近くまで上がる
  • 小さすぎ(ハイボール):ソーダを規定の比率まで注げず、濃くて炭酸の弱い一杯になる

グラスを買う前に、「よく飲む量」「割り材の量」「使う氷」の3つを確かめてください。表示容量は満杯の値なので、数字の差し引きだけで決めず、手持ちの氷と水を入れて縁までの余白を見れば、候補を絞り込めます。

素材の違いと手入れ|クリスタル・ソーダガラス・耐熱ガラスの注意点

ウイスキーのイメージ写真

グラスの素材は、透明度、飲み口をどこまで薄く作れるか、重さ、割れにくさ、手入れの手間を左右します。形が同じでも素材が違えば、口当たりも洗い方も変わります。

素材透明度・輝き飲み口の薄さ重さ強度・注意点価格帯手入れ
ソーダガラスやや青みや曇りが出やすい厚めの製品が多い中程度急な温度差に弱い手頃日常使いしやすい。食洗機の可否は表示で確認
鉛を含むクリスタル光の屈折が強く輝きが出る薄く仕上げやすい重い表面が柔らかく傷が付きやすい高め食洗機の可否は製品表示に従う
鉛を含まないクリスタル高い透明度薄く仕上げやすい鉛入りより軽い製品ごとに差がある中〜高食洗機の可否は製品表示に従う
耐熱ガラス高い透明度製品による軽い急な温度差に強い。お湯割りに使える中程度食洗機の可否は製品表示に従う

「クリスタル製」の表示だけでは鉛の有無は分からない

グレンケアンでも、標準品は鉛を含まないクリスタル製で、カット品(Cut Glencairn Glass)は鉛を24%含むクリスタル製です。同じブランド、似た形のグラスでも中身が違います。一方で、このカット品はメーカーが食洗機対応と表示しており、鉛の有無だけでは手入れの方法も決まりません。贈り物にする場合や、海外在住の知人へ送る場合は、受け取る側が食洗機を使うかどうかも考えてください。そのうえで、商品ページの「lead-free」「鉛不使用」の表記や、手洗いの指定があるかを型番ごとに確かめます。

ダブルウォール:利点と割れやすい場面

二重構造のグラスは、外側と内側の間の空気層が断熱の役割を果たします。そのため外側に結露が付きにくく、手の熱も液体に伝わりにくくなります。ロックの温度が上がりにくく、コースターの水たまりもできにくい形です。一方で内側の壁は薄く、衝撃を受けるのはこの内側です。KINTOのCAST ダブルウォール ロックグラスは食洗機に対応しますが、メーカーは氷を勢いよく入れると内側が割れる可能性があると記しています。

  1. グラスを30〜45度ほど傾ける
  2. トングで氷を縁に当て、内壁に沿わせて底まで滑らせる
  3. グラスを起こしてからウイスキーを注ぐ
  4. マドラーは内壁に当てず、氷を持ち上げるように静かに回す

食洗機から出した直後の温かいグラスに、冷凍庫から出したばかりの氷を入れるのは避けてください。グラスが室温に戻ってから使います。

薄い飲み口のグラスの洗い方と拭き方

飲み口が薄いほど、唇に触れたときにガラスの存在を感じにくくなり、液体がそのまま舌に乗ります。その代わり、縁は少しぶつけただけで欠けます。

  • シンクにゴム製のマットを敷き、蛇口や他の食器に縁を当てない
  • 柔らかいスポンジにぬるま湯と少量の中性洗剤を付け、縁は指でなぞるように洗う
  • 脚付きはボウルの底側を持って洗う。脚を握ってボウルをねじると、脚の付け根に力が集中して折れる
  • 拭くときは毛羽の出にくい布を2枚使う。片方の布越しにボウルの底を持ち、もう片方で内側を拭く
  • 布を内側に詰めて回さない。指先で縁を一方向に軽くなでる

食洗機の可否は、素材ではなく製品の表示に従います。そのうえで、薄い縁やカットの装飾を傷めたくない場合は、食洗機に対応していても手洗いを勧めます。

匂いを残さない:すすぎと保管

香りを取るグラスほど、ボウルの中の空気をそのまま鼻に届けます。洗剤の香料、柔軟剤を使った布の匂い、食器棚の木の匂いが残ると、ウイスキーの香りに重なります。とくにシェリー樽由来の繊細な果実香や、加水で開く香りの判断を誤る原因になります。

  • すすぎは洗う時間より長くとり、ぬるま湯で内側を数回流す
  • 柔軟剤を使った布巾は、グラス専用にしない
  • 伏せて棚にしまうと、ボウルに棚の匂いと湿気がこもる。口を上にして置き、ほこりは上から布や蓋で防ぐ
  • 注ぐ前に空のグラスを嗅ぎ、何か匂いがしたらすすぎ直す

店でグラスを伏せて保管する場合は、乾いたマットに置いて匂いのこもらない場所を選びます。提供の直前に、空のグラスの匂いを確かめる手順を決めておいてください。

予算と目的で選ぶ最初の1脚・買い足し・贈り物

グラスの予算は、1脚の価格だけでなく「何脚を、どの順で揃えるか」で決まります。価格は改定されるため、公式サイトで現行価格と入数を確認してください。

製品入数向く使い方
グレンケアン 標準グラス(200ml)ギフト箱入り1脚最初の1脚、贈り物
リーデル ニート・グラス(174ml)2脚ストレート用、2銘柄の嗅ぎ比べ
KINTO CAST ダブルウォール ロックグラス(250ml)1脚ロック・お湯割りの買い足し

グレンケアンの英国公式サイトはポンド建てです。国内の販売店で買う場合の価格とは別に考えます。

最初の1脚:いちばん多い飲み方で決める

  • ストレート中心:テイスティンググラス。グレンケアン標準品かニート・グラス
  • ハイボール中心:300ml以上のタンブラー。氷を入れてもソーダを規定の比率まで注げる
  • 両方飲む:テイスティンググラスとタンブラーの2脚から揃える。タンブラーでストレートを飲むと香りが散り、テイスティンググラスではハイボールの容量が足りない

買い足し:飲み方が増えた順に広げる

  1. ロック用:製氷器を先に決め、丸氷の直径より内径が大きい口径を選ぶ(容量の計算は前の章で触れたとおり)
  2. 耐熱用:お湯割りを飲むようになったら追加。耐熱ガラスのダブルウォールなら、ロックとお湯割りを1脚で兼ねられる
  3. 同じ型のテイスティンググラスをもう1脚:2銘柄を同じ条件で嗅ぎ比べるために揃える

贈り物:相手の飲み方が分からないとき

飲み方が分からない相手には、用途の広いテイスティンググラスが無難です。ストレートにも加水にも使えます。ふだんハイボールを飲む人でも、ボトルを開けたときに香りを確かめる1脚として使えます。候補を絞るときは、ギフト箱入りかどうかを確かめます。グレンケアン標準品はギフト箱入りで販売されています。名入れの可否は製品と販売店ごとに違うため、注文前に確認してください。相手が食洗機を使う家庭なら、鉛を含まない品か、食洗機対応の表示があるかも判断材料になります。

海外に住む知人へ贈る場合は、割れ物の配送になります。発送前に、配送会社が割れ物を受け付けるか、破損時に補償があるか、1脚ずつ仕切って緩衝材で固定できる梱包かを確かめてください。もう一つの判断材料は、相手の国で同じブランドが買えるかどうかです。現地で流通している型なら、割れても同じものを補充できます。相手の国に公式販売があるブランドなら、現地での購入や発送を手配する方法も検討できます。

バー・酒販店:飲み方ごとに分けるか、兼用するか

  • 洗浄の手間:脚付きや薄い飲み口は手洗い前提の型が多く、混雑時に洗い場が詰まりやすい。型の数を絞るほど作業は単純になる
  • 食洗機対応:「クリスタル」の表示だけで判断せず、型番ごとに対応の可否を確認する
  • 破損時の補充:単品で継続して買える定番の型に固定する。2脚入りの製品は補充も2脚単位になる
  • 兼用の範囲:ストレート、加水、トゥワイスアップはテイスティンググラス1種で兼ねられる。ハイボールは容量が足りないため、タンブラーを分ける

テイスティングの提供が中心の店は、テイスティンググラスとタンブラーの2型から始めるのが現実的です。そのうえで、ロックの注文が多ければロックグラスを、冬にお湯割りを出すなら耐熱グラスを加えます。注文の比率に合わせて型を増やしていくと、在庫と洗浄の負担を抑えられます。

よくある質問

ウイスキーのイメージ写真

ワイングラスでウイスキーの香りは取れますか?

飲み口がすぼまったチューリップ形なら、香りを集める仕組みは同じなので代わりに使えます。ただしワイングラスは容量の大きいものが多く、30ml程度では空間が広すぎて香りが薄まりやすくなります。口が外へ開いた形は、エタノールの刺激を逃がす代わりに香りの密度も下がるため、香りを比較する目的では向きません。嗅ぎ比べるときは、すべての銘柄を同じ型のグラスにそろえてください。

1つのグラスで続けて別の銘柄を嗅いでも問題ありませんか?

ピートを焚いた麦芽に由来するフェノール類はグラスの内側に残りやすく、次の銘柄の香りに重なります。銘柄を替えるときは、水ですすいで乾かすか、グラスを分けてください。1つのグラスを使い回すなら、ピートを使わない銘柄から始め、スモーキーな銘柄を最後に回すと影響を抑えられます。

カット模様のグラスでテイスティングしてもよいですか?

香りを取るだけなら使えますが、液色を見る用途には向きません。カット面で光が屈折し、色の濃さが正確に見えにくくなるためです。なお、液色が熟成年数や樽の種類をそのまま示すとは限りません。スコッチウイスキー規則(SWR 2009)では、色を調整するためのスピリットカラメルの添加が認められています。

ハイボールを作る前にグラスは冷やしておくべきですか?

冷やしておくほうが適しています。グラスが温かいと氷がすぐ溶けて味が薄まり、炭酸も抜けやすくなります。注ぐ前にグラスに氷を入れてマドラーで回し、溶けた水を捨ててから作ると、注いだ時点で全体が冷えた状態になります。冷凍庫で冷やす場合は、急な温度差に弱いソーダガラスの扱いに注意してください。

出典・参考にした情報

この記事で紹介した銘柄

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。