ウイスキー文化に革新をもたらす富山県の蒸留所「三郎丸」の歴史と挑戦について、創業者の精神と伝統を受け継ぎながらも、新しい取り組みで注目を集めるマスターブレンダー稲垣貴彦氏の活動を紹介するブログです。地元の伝統産業とも連携しながら、ジャパニーズウイスキーの新たな価値創造に挑んでいる彼らの姿勢に注目が集まっています。
1. 若鶴酒造の歴史と伝統
若鶴酒造は、砺波市三郎丸に位置する富山県の蒸留所です。創業以来、日本酒の醸造を行ってきた若鶴酒造は、1952年に米不足によりウイスキーの製造に乗り出しました。この困難な時期にウイスキーづくりに取り組んだことは、若鶴酒造にとって大きな変革となりました。
現在、製造責任者の稲垣貴彦氏は、毎年新しい設備や技術を導入し、伝統を守りながらも酒質を進化させています。2019年には鋳物製ポットスチルである『ZEMON』を開発・導入し、特許を取得するなど、世界的にも注目を浴びる蒸留所となりました。
若鶴酒造の特徴は、非常にスモーキーな原酒造りです。他の日本の蒸留所では珍しい取り組みであり、スコットランドのアイラ島のピート(泥炭)を使って麦芽を炊きます。これにより、若鶴酒造のウイスキーは、スモーキーさと深い味わいが特徴となっています。
それぞれの時代に逆境を乗り越えてきた若鶴酒造の歴史と伝統は、現在のウイスキーづくりにも引き継がれています。稲垣貴彦氏は曾祖父の精神を受け継ぎ、ゼロからのスタートを切りました。彼の挑戦により、若鶴酒造は富山からジャパニーズウイスキーの成熟に貢献することを目指しています。
若鶴酒造の歴史と伝統を持つ蒸留所の取り組みや特徴は、日本のウイスキー文化において重要な存在です。次のセクションでは、三郎丸蒸留所の誕生と革新について詳しく見ていきます。
2. 三郎丸蒸留所の誕生と革新
三郎丸蒸留所の起源とサンシャインウイスキー
三郎丸蒸留所は、若鶴酒造がウイスキーづくりを始めたことから誕生しました。1947年、若鶴酒造は蒸留酒の研究を開始し、1953年に自社ブランドのウイスキーである「サンシャインウイスキー」を発売しました。このウイスキーは、地元の富山を中心に70年以上も愛され続けています。
再生の決意と伝統と革新のテーマ
しかし、国内のウイスキー需要の減少により、若鶴酒造のウイスキー事業は縮小せざるを得ませんでした。そこで、稲垣貴彦さんは2016年に故郷の富山に戻り、三郎丸蒸留所の再生に取り組むことを決意しました。
三郎丸蒸留所の再生には、「伝統と革新」というテーマが掲げられました。稲垣さんは、ウイスキーづくりの伝統を守りつつ、スモーキーなウイスキーの製造にこだわり、”The Ultimate Peat(ピートを極める)”を目指しています。さらに、ジャパニーズウイスキーとして新たな価値を創造し、国際的な競争に勝ち抜くために、さまざまな革新に挑戦しています。
再生への支援と施設の改修
2016年の秋には、老朽化した蒸留所の改修のためのクラウドファンディングが実施され、多くの人々から支援を受けました。この支援を受けて2017年には現在の三郎丸蒸留所がオープンしました。
技術と材料の革新
さらに2018年には、最新鋭のマッシュタンを導入し、2019年には富山県高岡市の伝統産業である高岡銅器の技術を活かして世界初の鋳造製蒸留器「ZEMON」を開発しました。また、地元の木工の伝統技術を活用し、富山県産ミズナラ材を使った「三四郎樽」の生産も始めました。
伝統と革新の両立
三郎丸蒸留所は、伝統を大切にしながらも、積極的な革新に取り組んでいます。稲垣さんの挑戦と成長を注目しながら、三郎丸蒸留所は「ここでしか味わえないウイスキー」を追求し、日本のウイスキー産業に多様性をもたらす重要な役割を果たしています。
3. サンシャインウイスキーの誕生秘話
公募による命名と日本の未来への思い
サンシャインウイスキーは、若鶴酒造が初めてウイスキーの製造免許を取得し、その際に公募によって名前が決まりました。当時、戦争によって日本が多くのものを失っていた時、若鶴酒造は水や空気、太陽光線から蒸留酒を作り出し、明るい未来を迎えたいという思いから、サンシャインウイスキーという名前を採用しました。
伝統と歴史を持つブレンデッドウイスキー
サンシャインウイスキーは、20年以上寝かせた原酒(モルトウイスキー)を使用して作られたブレンデッドウイスキーです。これは地ウイスキーの伝統を受け継いでおり、その中には豊かな歴史と伝統を感じさせる味わいが特徴となっています。
地元富山での愛され続けるウイスキー
1952年に初めて発売されたサンシャインウイスキーは、それから70年以上もの間、地元の富山を中心に多くの人々に愛され続けてきました。しかし、国内のウイスキー需要の低下により、若鶴酒造のウイスキー事業は大きく縮小せざるを得ませんでした。
マスターブレンダー稲垣貴彦の故郷への帰郷と挑戦
その後、マスターブレンダー兼マネージャーの稲垣貴彦氏が故郷の富山に戻り、三郎丸蒸留所の再生に取り組むことを決意しました。彼は「伝統と革新」というテーマを掲げ、ウイスキー製造の歴史やスモーキーなウイスキーへのこだわりを受け継ぎつつ、新たな価値を創造するために様々なイノベーションに取り組んでいます。
誕生から現在までの進化と成長
2016年には老朽化した蒸留所をクラウドファンディングで改修し、新たな三郎丸蒸留所がオープンしました。その後も最新の設備導入や技術の革新に取り組むことで、サンシャインウイスキーの品質は劇的に進化してきました。
地元の伝統産業との共同プロジェクト
若鶴酒造は地元の伝統産業との協力プロジェクトも進めており、富山県高岡市の高岡銅器の技術を活かして世界初の鋳造製蒸留器「ZEMON」を開発しました。さらに、木工の伝統技術を取り入れた「三四郎樽」の生産も行っています。
愛され続けるウイスキーの結果
サンシャインウイスキーの誕生は、戦争中の暗い時期に失われた日本の明るさを取り戻す挑戦から始まりました。若鶴酒造の努力と地元の伝統産業との協力により、サンシャインウイスキーは70年以上もの間、多くの人々に愛され続けています。稲垣貴彦氏の革新的な取り組みや受賞歴も示すように、三郎丸蒸留所は今後も成長を続け、日本のウイスキー産業の発展に追い風を与えることでしょう。
4. マスターブレンダー稲垣貴彦の挑戦
マスターブレンダーであり、三郎丸蒸留所のマネージャーでもある稲垣貴彦氏は、伝統と革新のバランスを重視した取り組みにより、ウイスキー業界の注目を集めています。
伝統との融合
稲垣氏は、ウイスキー造りの伝統を大切にしながらも、スモーキーなウイスキーにこだわりを持っています。彼は革新的なアプローチを取り入れながらも、伝統を忘れずにウイスキーの新たな価値を創造しています。その努力は、ジャパニーズウイスキーの発展に大いに貢献しています。
蒸留所の改修と新設備の導入
稲垣氏は2016年に富山に戻り、三郎丸蒸留所の再生に取り組みました。蒸留所の老朽化した設備を改修するために、彼はクラウドファンディングを活用して多くの人々から支援を集めました。その結果、2017年には現在の三郎丸蒸留所をオープンすることができました。更に、2018年には最新鋭のマッシュタンを導入し、2019年には富山県高岡市の伝統産業である高岡銅器の技術を活用して、世界初の鋳造製蒸留器「ZEMON」を発明しました。
「三四郎樽」の誕生
また、三郎丸蒸留所では地元の島田木材・山崎工務店との協働プロジェクトにより、富山県産ミズナラ材を使用した「三四郎樽」の生産も行っています。この「三四郎樽」は、日本の伝統的なミズナラ材を利用することで、ウイスキーに特有の風味を与えています。伝統技術と最新のウイスキー造り技術が融合したこの樽は、三郎丸蒸留所のウイスキーに深みと個性をもたらしています。
ジャパニーズウイスキーボトラーズ事業の開始
さらに、稲垣氏は2021年に「T&T TOYAMA」としてジャパニーズウイスキーボトラーズ事業を開始しました。これにより、三郎丸蒸留所のウイスキーをさまざまな形で楽しむことができるようになりました。彼は常に新たな挑戦を続け、日本のウイスキーを世界に発信し、多様性を創出する取り組みに取り組んでいます。
稲垣氏の挑戦は、三郎丸蒸留所が「他にはないウイスキー」を追求するきっかけとなっています。彼の努力と革新的なアプローチは、日本のウイスキー産業に新たな多様性をもたらし、富山からジャパニーズウイスキーの成熟に貢献しています。彼の未来への展望は明るく、三郎丸蒸留所の価値をさらに高めています。
5. 受賞歴と評価
若鶴酒造株式会社は、そのウイスキーの品質と味わいにおいて世界中から高い評価を受けています。数多くの国内外のコンテストで受賞し、その功績が認められています。
インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)
若鶴酒造は、世界的なウイスキーコンテストである「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)」で数々の受賞をしてきました。ISCは、イギリスの酒類専門出版社「ドリンクス・インターナショナル」が主催し、厳密なブラインドテイスティングによる審査が行われます。
以下は、ISCで若鶴酒造が受賞した一部の商品です。
- 金賞「三郎丸Ⅱ THE HIGH PRIESTESS カスクストレングス」
- 銀賞「三郎丸Ⅱ THE HIGH PRIESTESS」
- 銀賞「十年明 Noir」
- 銀賞「十年明 Rouge」
その他の受賞歴
若鶴酒造はISC以外にも、他のコンテストで数多くの受賞歴を誇っています。特に注目すべき受賞歴は以下のとおりです。
- コンクール・モンディアル・ド・ブリュッセル(CMB)での金メダル受賞
- ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)でのトロフィー受賞
- ウイスキー・マガジンのスコットランド部門での最優秀ウイスキー受賞
以上の受賞実績は、若鶴酒造が世界中で高く評価されていることを証明しています。その品質と味わいは、多くの専門家やコンテストで高く評価され、一流のウイスキーとして認められています。
若鶴酒造は、受賞を重ねることでさらなる品質向上を目指し、世界中にウイスキーの魅力を広めることを目標としています。
まとめ
若鶴酒造は、130年以上にわたる歴史と伝統を持ち、スモーキーで深い味わいのウイスキーづくりに取り組んできました。マスターブレンダーの稲垣貴彦氏は、伝統を継承しつつ革新的なアプローチにより、三郎丸蒸留所を再生させ、世界的にも高い評価を受けるジャパニーズウイスキーを生み出しています。若鶴酒造の歴史と挑戦は、日本のウイスキー文化の発展に大きな影響を与え続けており、今後も注目すべき蒸留所として、富山からジャパニーズウイスキーの未来を牽引していくことでしょう。