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インターナショナルスピリッツチャレンジ歴代受賞|ISCウイスキー

1995年創設の英国の蒸溜酒品評会ISCの歴代受賞を解説。響21年や山崎25年・12年・18年など最高賞を得た日本の銘柄、メダルとトロフィーの格の違い、IWSCとの違い、店頭で受賞歴を正しく表記する基準がわかります。

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インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)とは|1995年創設の英国の蒸溜酒品評会

要点:ISCの最高賞であるシュプリーム・チャンピオン・スピリットを受けた日本の銘柄は、響21年(2017年)、山崎25年(2023年)、山崎12年(2024年)、山崎18年(2025年)です。2026年の最高賞はグレンモーレンジィ 30年でした。山崎25年は2026年にジャパニーズウイスキー部門のトロフィーを受けています。響30年は、部門のトロフィーを5回(2004・2006・2007・2008・2023年)受けています。

インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(International Spirits Challenge、略称ISC)は、1995年に英国で始まった蒸溜酒専門の品評会です。公式サイトはISCを「蒸溜酒だけを対象にした品評会として世界で最も長く続いている」と説明しています。

項目内容
正式名称International Spirits Challenge(ISC)
創設1995年(英国)
運営Agile Media Ltd(Drinks International誌の発行元)
対象蒸溜酒のみ(ウイスキー、ジンなど)
2026年の開催31回目(公式の表記)

創設年は1995年、回数は公式表記に合わせる

創設を1996年とする記述が一部に見られますが、確認できた資料はすべて1995年です。POPやメニュー、過去の紹介文に「1996年創設」とあれば、1995年に直して統一してください。

回数にも注意が必要です。公式サイトでは2026年が31回目とされていますが、1995年から暦年で数えると31にはなりません。「第○回」と書くときは自分で計算せず、公式の回数をそのまま使います。店頭表示では回数より「ISC2026」のように開催年で示すほうが、読み手が結果を照合しやすくなります。

IWSCとの違いは「ワインを扱うかどうか」

ISCは、名前の似たIWSCなどと並べて「三大コンペティション」として紹介されることが多い品評会です。いずれも英国の国際品評会ですが、審査の対象が違います。IWSCはワインも審査しますが、ISCは蒸溜酒だけを審査します。正式名称を見ると、この違いがはっきりします。

項目ISCIWSC
正式名称International Spirits ChallengeInternational Wine & Spirit Competition
審査の対象蒸溜酒のみワインと蒸溜酒

同じ銘柄が両方で受賞していても、審査も賞も別のものです。ボトルのネックタグやメーカーの発表で、どちらの大会の何年の結果かを確かめてから表記してください。「ISC」と「IWSC」の一文字違いの取り違えは、受賞歴の転記でとくに起きやすい誤りです。

受賞歴を店頭・案内で使うときの基準

  • 大会名・開催年・賞の3点をそろえて書く。例:「ISC2026 ダブルゴールド」。開催年がないと、何年前の評価なのか読み手が判断できません

詳しい表示例は、最終章の判断基準の表を参照してください。

審査方法と賞の格|ダブルゴールド・トロフィー・シュプリーム・チャンピオンの違い

ウイスキーのイメージ写真

ISCの審査はブラインドテイスティング(銘柄を伏せた試飲)で行われます。審査員はラベルも価格も見ず、グラスの中身だけを評価します。メダルは下からブロンズ、シルバー、ゴールド、ダブルゴールドの4段階です。その上にトロフィーがあり、さらに大会全体で一つだけ選ばれる最高賞があります。受賞歴を表示に使うときは、賞の名前だけでなく、何を比べて決まった賞なのかを知っておく必要があります。

メダルとトロフィーの違い|「基準を満たした銘柄」か「部門の最上位」か

メダルは、基準を満たせば同じ部門の複数の銘柄が受け取れます。一方、トロフィーは部門で1つ、その部門の最上位に限られる賞です(2026年の実例は後の章で取り上げます)。

この差は販売表示でよく混同されます。ダブルゴールドはメダルの最上位であり、大会の最高賞ではありません。「ダブルゴールド=最高賞」「トロフィー級」と書くのは誤りです。また、Double Goldを「最優秀金賞」と訳すと、トロフィーと取り違えられるおそれがあります。POPやメニューでは原語のまま「ダブルゴールド」と書くのが安全です。

賞単位選ばれ方店頭表示の注意
ブロンズ/シルバー/ゴールド/ダブルゴールド銘柄(出品ボトル)ブラインド審査で基準を満たした銘柄すべて同じ部門に複数の受賞銘柄がある前提で書く
トロフィー銘柄(出品ボトル)部門の最上位部門名を添えると価値が伝わる
プロデューサー・オブ・ザ・イヤー会社部門ごとに1社個別のボトルの受賞として書かない
ディスティラー・オブ・ザ・イヤー会社各部門のプロデューサー・オブ・ザ・イヤーから総合で1社同上。受賞年は公式結果で確かめる
シュプリーム・チャンピオン・スピリット銘柄(出品ボトル)部門の審査委員長がトロフィー上位をブラインドで飲み直して選ぶ部門を越えた全体の1位

会社に与える賞と、部門を越えて比べる最高賞

プロデューサー・オブ・ザ・イヤーは、部門ごとに会社単位で選ばれる賞です。ジャパニーズウイスキー部門では、サントリーがこの賞を受け続けています(連続回数は次章)。これは会社への評価で、特定のボトルが受賞したわけではありません(表示の書き分けは後述)。総合のディスティラー・オブ・ザ・イヤーは、各部門のプロデューサー・オブ・ザ・イヤーの中から選ばれます。

シュプリーム・チャンピオン・スピリットは、ほかの賞と性質が違います。各部門の審査委員長がトロフィー上位の銘柄を改めてブラインドで飲み、部門を越えて比べて一つを選ぶ賞です(2026年の例は後述)。シングルモルトとバーボンのように、熟成年数も樽の扱いも違う酒を同じテーブルで比べた結果です。このため「部門で一番」とは意味の重さが異なります。

賞はその年のロットに与えられる|年号のない「受賞銘柄」の受け止め方

賞の対象は、その年に出品されたボトリング(ロット)です。同じ銘柄名でも、樽の構成は仕込みごとに変わります。とくに長期熟成品では、使える原酒の樽数が限られるため、ロットによる差が出やすくなります。後のロットが同じ評価を受けるとは限りません。たとえば山崎25年は、2023年にシュプリーム・チャンピオン・スピリット、2026年にジャパニーズウイスキー部門のトロフィーを受けています。どちらも高い評価ですが、年ごとに賞の格は違います。

  • 年号のない「ISC受賞銘柄」は、何年のどの賞か分からない表示として扱い、メーカーの発表で年と賞を確かめてから使う
  • 「白州18年」と「白州18年 ピーテッドモルト」のように、名前の一部だけ違う別の製品を取り違えない
  • 過去の受賞を今の在庫の説明に使うときは「ISC2023 シュプリーム・チャンピオン・スピリット」のように年を残し、現行品の評価として言い切らない

締め切りから結果発表まで半年以上あく

2026年のウイスキー関連の締め切りは2026年2月で、結果は2026年10月6日(ロンドン現地時間)の授賞式で発表されました。授賞式は2024年が9月26日、2025年が9月25日、2026年が10月6日で、例年9月下旬から10月上旬に開かれています。春先に出品し、秋に結果が出る流れです。春から夏に「今年のISCで受賞」とうたう表示は、前年の結果である可能性が高いと判断できます。最新年の結果は、秋の授賞式のあとにISC公式サイトとメーカーの発表で確かめてから表示を更新してください。

ISC歴代の主な受賞年表|響・山崎・白州と2020年・2022年の結果

ISCで日本のウイスキーが受けた主な賞を、年順にまとめます。響30年はトロフィーを5回受けています。各年の評価は出品ロット単位です(前章参照)。長期熟成の原酒の構成が年ごとに変わるなかで、響30年は複数年にわたって上位に残っています。製法の面から言えるのは、長期熟成の原酒を多く持っていることが、ブレンドの選択肢を広げるという点です。

開催年銘柄・受賞者賞表示時の注意
2004・2006・2007・2008響30年トロフィー年ごとに別ロット。年を並べて書く
2017響21年シュプリーム・チャンピオン・スピリット日本の銘柄で確認できる最初の最高賞
2020サントリージャパニーズウイスキー部門 プロデューサー・オブ・ザ・イヤー(この年に新設)会社への賞
2023山崎25年シュプリーム・チャンピオン・スピリット山崎3年連続の1年目
2023響30年トロフィー5回目のトロフィー
2024山崎12年シュプリーム・チャンピオン・スピリット3年連続の2年目
2025山崎18年シュプリーム・チャンピオン・スピリット3年連続の3年目
2026山崎25年ジャパニーズウイスキー部門 トロフィー最高賞はグレンモーレンジィ 30年

シュプリーム・チャンピオンの年表と「山崎3年連続」の正しい書き方

大会全体の最高賞であるシュプリーム・チャンピオン・スピリットの受賞銘柄は、次のとおりです。ここに挙げた年以外の受賞銘柄は、ISC公式サイトの過去の結果で年ごとに確かめられます。

開催年シュプリーム・チャンピオン・スピリット
2017響21年
2023山崎25年
2024山崎12年
2025山崎18年
2026グレンモーレンジィ 30年(The Thirty)

山崎は、2023年の25年、2024年の12年、2025年の18年で、同じブランドとして3年続けてシュプリーム・チャンピオン・スピリットを受けました。ISC史上初の記録です。ただし、3回とも熟成年数の違う別の製品で、樽の構成も熟成期間も異なります。1本のボトルが3回勝ったのではなく、ブランドの複数の製品が続けて最上位に立ったという記録です。2026年の最高賞はグレンモーレンジィ 30年でした。山崎の連続受賞は3年で止まっています。「4年連続シュプリーム・チャンピオン」は誤りです。

  • 山崎12年の棚:「ISC2024 シュプリーム・チャンピオン・スピリット」
  • ブランド全体の紹介:「山崎はISCで同一ブランド初のシュプリーム・チャンピオン3年連続(2023〜2025年)」
  • 山崎25年:2023年の最高賞と2026年の部門トロフィーを、年と賞を分けて併記する

ISC2020の要点と2022年の白州

ISC2020では、ジャパニーズウイスキー部門のプロデューサー・オブ・ザ・イヤーが新設され、サントリーが受賞しました。以後2026年まで毎年サントリーが受賞しており、ほかの受賞者はいません。連続回数は基準年で変わります。2025年時点では6年連続、2026年時点では7年連続です。古いPOPに「6年連続」とある場合は、年を書き添えるか更新してください。

ISC2022で白州がトロフィーを受けたとする情報があります。白州は熟成年数違いやピーテッドなどの製品が複数あり、どのボトリングかで意味が変わります。表示に使う前に、受賞した品名をISC公式の結果かメーカーの発表で確かめてください。2022年の日本勢の受賞として、ジンやほかの蒸溜所の銘柄名を挙げる情報も出回っています。公式結果と照合できるまでは、受賞歴として扱わないほうが安全です。

ISC2025の要点とサントリー以外の受賞

ISC2025の授賞式は2025年9月25日にロンドンで開かれ、山崎18年がシュプリーム・チャンピオン・スピリットに選ばれました。サントリーはこのほか、十四代今泉今右衛門とのコラボのブレンデッドジャパニーズウイスキーと、ROKUジン47%でもトロフィーを受けています。響30年と白州25年はダブルゴールドでした。サントリー以外では、東海酒造(名古屋市)の「尾張」シリーズが受賞しています。エクスバーボンとロイヤルモルトがシルバー、ミズナラカスクとハイクラスモルトがブロンズでした。シリーズ名だけで「ISC受賞」とまとめず、受賞した品名ごとにメダルを書き分けてください。

ディスティラー・オブ・ザ・イヤーは出典で年が食い違う

総合のディスティラー・オブ・ザ・イヤーは、出典どうしで年が合いません。サントリーは2010・2012・2013・2014・2021年の受賞を挙げています。一方、ウイリアム・グラント&サンズは、2024年の受賞で9年連続(2016〜2024年)としています。この2つは2021年の受賞者が重なるため、両方が正しいことはありえません。ISC公式の過去結果で確かめるまで、この賞の受賞年は店頭表示に使わないでください。本坊酒造(マルス)は自社サイトでISCの受賞を発表していますが、焼酎部門での受賞も含まれます。ウイスキーの受賞として使う前に、年・品名・賞を公式結果で照合してください。過去の紹介文にあるほかの蒸溜所の受賞年も、同じく公式結果で照合してから使います。

ISC2026の結果|シュプリーム・チャンピオンとウイスキーのトロフィー6銘柄

ウイスキーのイメージ写真

ISC2026の授賞式は2026年10月6日(ロンドン現地時間)に開かれ、結果が発表されました。大会全体の最高賞であるシュプリーム・チャンピオン・スピリットには、グレンモーレンジィ 30年(The Thirty)が選ばれています。同じ銘柄が、21年以上のシングルモルト部門のトロフィーも受けました。部門の最上位になり、そのうえで部門を越えた飲み直しでも1位になったという順序で読むと、2つの賞の関係が正確に伝わります。

ウイスキーのトロフィー6銘柄と表示の書き方

6銘柄は、熟成年数も原料も産地もばらばらです。店頭では、それぞれの素性を添えて書きます。

銘柄要点店頭表示の例
グレンモーレンジィ 30年(The Thirty)21年以上のシングルモルト部門トロフィー、シュプリーム・チャンピオン・スピリットISC2026 シュプリーム・チャンピオン・スピリット
エヴァン・ウィリアムス ボトルド・イン・ボンド米国のボトルド・イン・ボンド法の条件を満たすバーボンISC2026 トロフィー
アードナッホー ボルサアイラ島の新しい蒸溜所、アードナッホーの製品ISC2026 トロフィー
ロッホローモンド インチマリン12年ロッホローモンド蒸溜所が造り分ける原酒の一つISC2026 トロフィー
ローズバンク リマーカブル・カスク リリース・ワンローランドで1993年に閉鎖され、のちに再稼働したローズバンク蒸溜所の製品ISC2026 トロフィー
山崎25年ジャパニーズウイスキー部門トロフィーISC2026 ジャパニーズウイスキー部門 トロフィー

エヴァン・ウィリアムス ボトルド・イン・ボンド|年数を長期熟成品と単純に比べられない理由

エヴァン・ウィリアムス ボトルド・イン・ボンドの「ボトルド・イン・ボンド」は、宣伝の文句ではなく米国の法律上の表示です。名乗れるのは、次の条件をすべて満たした原酒だけです。

  • 1つの蒸溜所で、1シーズンのうちに蒸溜した原酒であること
  • 政府の監督下にある保税倉庫で4年以上熟成させること
  • 100プルーフ(50%)で瓶詰めすること

この表示は、原酒の出どころと度数を法律が保証するものです。トロフィーは部門ごとの最上位なので、熟成年数の違う銘柄が同じ年のトロフィーに名を連ねます。30年物と同じ部門で競ったわけではありません。熟成年数の意味も、スコッチとは前提が違います。バーボンは、新しく内側を焦がしたオーク樽(チャー樽)で熟成させることが法律で決まっています。さらにケンタッキーは寒暖差が大きく、樽材から成分が出る速さは、スコッチで多いリフィル樽よりずっと速くなります。このため熟成年数が短くても、樽由来の香味が濃く出ます。スコッチの長期熟成品と年数だけで比べても意味がありません。バーで紹介するときは「法定の条件を満たした50%のバーボンで、ISC2026で部門のトロフィーを受けた銘柄」と伝えると、受賞の意味が誤解されません。

インチマリン12年|1つの蒸溜所でスタイルを造り分ける

インチマリンは、ロッホローモンド蒸溜所の原酒の一つです。ロッホローモンドは、首に精留板(棚段)を備えたストレートネック型のポットスチルを使い、精留板の使い方によって還流量を変え、軽く果実味のあるインチマリンから重めの原酒まで造り分けています。同じ蒸溜所には連続式蒸溜器もあります。インチマリンは、そうして造られる複数のブランドの一つという位置づけです。案内するときは「蒸溜所名」と「ブランド名」が別だという点を押さえてください。ラベルの「インチマリン」を蒸溜所名と取り違えないようにします。

日本勢の結果

  • 山崎25年:ジャパニーズウイスキー部門 トロフィー
  • サントリー:同部門 プロデューサー・オブ・ザ・イヤー(会社への賞。連続回数は前章)
  • 白州18年 ピーテッドモルト、白州25年:ダブルゴールド
  • 角瓶(3年連続)など:ゴールド

2026年は、日本の銘柄からシュプリーム・チャンピオンは出ていません。山崎25年の2026年の結果は部門トロフィーです(表示の書き分けは後述)。ISC2026のディスティラー・オブ・ザ・イヤーは、ISC公式の結果ページで確かめてから表示してください。

なぜ受賞が続くのか|ブラインド審査で評価される造りと、受賞ボトルの味わい方

ブラインド審査では、銘柄名も熟成年数も伏せたまま、同じ部門の酒どうしを比べます。そのため評価の中心は、部門の中でどれだけ完成度が高いかです。見られるのは、香りの立ち上がり(ノージング)、口に含んだときの厚み(パレット)、余韻の長さと切れ(フィニッシュ)の3つです。どれか一つが突出していても、ほかが弱ければ上位には残りにくくなります。日本勢の受賞を産地の評判だけで説明することはできません。製法から言えるのは、性格の違う原酒や長期熟成の原酒を多く持っていることが、ブレンドの選択肢を広げ、この3つの均衡をとりやすくするという点です。

香味の幅は原酒の造り分けで決まる

ブレンダーが香味の均衡をとるには、性格の違う原酒を手元にそろえておく必要があります。その幅を決める主な工程は次のとおりです。以下は一般的な仕組みで、各蒸溜所の仕様は公表値で確かめてください。

工程変える条件香味への効き方
蒸溜器の形と還流首の高さと形、ラインアーム(蒸気を冷却器へ送る管)の角度、蒸溜の速さ、冷却器の型還流(蒸気が蒸溜器の中で冷えて戻ること)が多いほど重い成分が釜に戻り、軽く華やかな原酒になる。ラインアームが上向きなら還流が増え、下向きなら減る。蒸気や液が銅に触れる時間が長いほど硫黄系の成分が減り、軽く果実寄りの香りが残る。冷却器がワームタブ(水槽に沈めた蛇管)だと銅との接触が少なく、重く硫黄を帯びた原酒になりやすい
ミドルカット再溜(2回目の蒸溜)で、流出液の度数を見て前留・ハート・後留に切り分ける。初溜ではカットしないハート(樽に詰める中間部分)の幅を狭くすると軽くすっきりした原酒になる。ピーテッド麦芽由来のフェノール類は後半に多く出るため、切り終わりを遅くするほど煙の香りが残る
樽の種類と使用回数ファーストフィル:バーボンやシェリーなどの前の中身を出したあと、初めてウイスキーを詰める樽。リフィル:すでにウイスキーの熟成に使った樽を再び使うことファーストフィルは樽由来の色と香りが強く出る。リフィルは樽の影響が穏やかで、長く熟成させても原酒の個性が残りやすい。シェリー樽の多くは、シーズニング(樽に酒精強化ワインを一定期間なじませる工程)を経た樽
新樽と内面の処理新樽(ヴァージンオーク)、チャー(内面を焦がす)、トースト(内面をあぶる)チャーは木の糖分をカラメル化させ、炭化した層が活性炭のように硫黄系の成分を取る。トーストは甘い香りの成分を引き出す

白州18年 ピーテッドモルトの「ピーテッド」は、麦芽を乾燥させるときにピート(泥炭)を焚き、その煙に含まれるフェノール類を麦芽に移した状態を指します。スモーキーさは乾燥の工程で生まれ、蒸溜でどこまでカットするかで、製品にどれだけ残るかが変わります。フェノール値(ppm)は、メーカーの公表値がある場合だけPOPに書いてください。

通説と実態|受賞は好みも年数も保証しない

  • 「受賞=自分の好みに合う」とは限らない。賞が示すのは部門の中での完成度で、スモーキーさや甘さが好みに合うかは別の問題
  • 年数で格は決まらない(前述)
  • 店頭では「何年熟成か」より「どの部門で何の賞か」を先に伝えると、誤解を招きにくい

受賞ボトルを確かめる手順

  1. チューリップ型のテイスティンググラスに少量を注ぐ。すぼまった口に香りが集まるため、ノージングの差が分かりやすい
  2. まずストレートで香りを取り、ひと口含んで厚みと余韻を確かめる
  3. スポイトで数滴ずつ加水し、そのたびに香りを取る。度数が下がると、閉じていた果実香や樽香が開くことが多い。開いたところで加水を止める
  4. 別のグラスでトゥワイスアップ(ウイスキーと常温の水を1:1)を作り、ストレートと並べて比べる。冷たい水を使うと香りが立ちにくいため、常温の水を使う

バーで受賞ボトルを出すときも、同じ順番がそのまま使えます。最初はストレートで出し、加水用の水とスポイトを添えると、客が審査に近い条件で香りの変化を確かめられます。

開栓後の保管の判断基準

開栓したボトルでは、中の空気に触れて酸化が少しずつ進みます。高価な長期熟成ボトルほど繊細な香りが失われやすいため、次の基準で判断してください。

  • 残量が半分を切ったら、香りが弱くなっていないか定期的に確かめる
  • 残量が3分の1を切ったら、口元近くまで満たせる小瓶に移し、空気に触れる量を減らす
  • 光と温度変化を避け、ボトルは立てて保管する。横に寝かせると、度数の高い液体がコルクを傷めるおそれがある
  • 店では開栓日をラベルに記入し、提供の順番を決める目安にする

この記事で紹介した銘柄

受賞歴を仕入れ・贈答・案内にどう使うか|判断基準とよくある質問

ウイスキーのイメージ写真

受賞歴は、使う場面によって書く情報の量が変わります。店頭のPOPは読み手が自分で照合できるだけの情報、メニューと口頭は短く言い切れる形、贈答や案内は相手が英語で調べ直せる形にします。どの場面でも、メダルとトロフィー以上の賞は分けて扱うのが前提です。

店頭POP・プライスカードの判断基準

賞の種類表示の例避ける書き方
メダル(ダブルゴールドまで)白州25年「ISC2026 ダブルゴールド」「最高賞」「トロフィー級」と添える
トロフィー山崎25年「ISC2026 ジャパニーズウイスキー部門 トロフィー」部門名を省き、メダルと同じシールで並べる
シュプリーム・チャンピオン・スピリット山崎18年「ISC2025 シュプリーム・チャンピオン・スピリット(全部門の最高賞)」年号を省いて「ISC最高賞」とだけ書く
プロデューサー・オブ・ザ・イヤーブランド棚の見出しに「サントリー:ISC2026 ジャパニーズウイスキー部門 プロデューサー・オブ・ザ・イヤー」個別のボトルのプライスカードに書く

同じ棚にダブルゴールドとトロフィーの銘柄が並ぶ場合、同じデザインのシールでそろえると格の差が見えなくなります。トロフィー以上には部門名や「全部門の最高賞」を添え、メダルとは書き方を分けてください。

メニューと口頭での伝え方

  • 最高賞という言葉はシュプリーム・チャンピオン・スピリットにだけ使う。メニューは「ISC2025で最高賞」、補足欄に正式な賞名
  • トロフィーは「2026年のISCで、ジャパニーズウイスキー部門の最上位です」、ダブルゴールドは「2026年のISCで、メダルの最上位のダブルゴールドです」と言い分ける
  • 年を省いた「ISC受賞です」は、客に聞き返されたときに答えられないので避ける

海外の知人・訪日客へ贈る、案内する場合

ISCは英国の品評会です。和訳を経由せず、英語の正式名と賞名で伝えれば、相手が自分で結果を確かめられます。

日本語の表示英語での伝え方
ISC2025 シュプリーム・チャンピオン・スピリットInternational Spirits Challenge 2025, Supreme Champion Spirit
ISC2026 ジャパニーズウイスキー部門 トロフィーInternational Spirits Challenge 2026, Trophy (Japanese whisky category)
ISC2026 ダブルゴールドInternational Spirits Challenge 2026, Double Gold

カードには「銘柄」が受賞したと書きます。例:「ISC2025でシュプリーム・チャンピオン・スピリットに選ばれた銘柄です(賞はその年の出品ロットへの評価です)」。英語では「The same expression that was named Supreme Champion Spirit at the International Spirits Challenge 2025. Awards apply to the bottling entered that year.」とします。

よくある質問

ISCで受賞した山崎や白州を飲み比べるときは、どの順番で並べればよいですか。

熟成年数の短いものから長いものへ、香味の軽いものから重いものへ並べるのが基本です。山崎なら12年、18年、25年の順です。白州18年 ピーテッドモルトのようなスモーキーなものは、フェノール類の香りが後の銘柄の印象を覆いやすいため最後に回します。グラスの形と注ぐ量をそろえ、合間に常温の水で口を戻してください。

店の在庫に同じ受賞銘柄の新旧ロットがあるとき、味の違いはどう確かめればよいですか。

比べ方は本文の「受賞ボトルを確かめる手順」と同じです。そのうえで、瓶の印字(ロット番号、瓶詰め日)を控え、どちらも開栓直後の2本で比べてください。開栓から時間がたったボトルは酸化で香りが変わっているため、ロット差と区別できません。控えた印字は、提供時の説明にも使えます。

受賞したウイスキーをハイボールで出してもよいですか。

出してかまいませんが、賞はハイボールで飲んだときの評価ではありません。炭酸と氷で冷えると香りが立ちにくくなり、長期熟成品の繊細な樽香や果実香は感じにくくなります。まずストレートで香りを確かめてもらい、そのうえで客の好みに合わせて割り方を選ぶと、受賞の意味も飲む満足も損なわずに済みます。

受賞ウイスキーをギフトに選ぶときの基準は。

相手がウイスキーに詳しい場合は、トロフィー以上の銘柄を選び、年と英語の賞名を添えると評価の重みが伝わります。詳しくない相手なら、メダル受賞品でも十分です。その場合も賞名を正確に書き、最高賞のように見せないことが基準です。

受賞ボトルの1杯の価格はどう決めればよいですか。

700mlのボトルから30mlのシングルを取ると、計算上は約23杯です。テイスティングや試飲に回す分を見込む店は、それより少ない杯数で割ります。1杯の原価は「仕入れ値÷杯数」で、これを店で決めている原価率で割り戻すと販売価格の目安になります。たとえば原価率を30%に置く店なら、1杯の原価の約3.3倍です。ダブル(60ml)は原価が2倍になるので、同じ式で計算します。受賞で仕入れ値が上がった銘柄も同じ式で計算すると、ほかの銘柄との価格の筋が通ります。

出典・参考にした情報

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。