ジャパニーズウイスキー

ウイスキー原酒不足はいつまで?角瓶の上位互換と現状を解説

ウイスキー原酒不足の現状を2026年版で整理。白州12年など年数表記品の休売・再発売・価格改定の時系列、熟成年数と樽の比率で戻りにくい理由、再発売後も店頭に並びにくい背景、ジャパニーズウイスキー表示基準、角瓶の上位互換まで解説します。

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ウイスキーの原酒不足はいまどうなっている?休売・再発売・価格改定の時系列(2026年版)

原酒とは、蒸溜したあと樽で熟成している途中、または熟成を終えた段階の酒で、ブレンドや瓶詰めに使う前のものを指します。「原酒不足」とは、この樽の在庫、とくに長く熟成させた原酒の在庫が需要に追いつかない状態のことです。アサヒビールは2020年に、国産ウイスキー市場の急拡大で原酒が足りなくなったと説明しています。竹鶴・余市・宮城峡を中心とするプレミアムウイスキーでは、2015年以降、出荷調整が続いていました。

主な休売・再発売・価格改定の時系列

時期出来事読み取れること
2015年以降ニッカのプレミアム銘柄(竹鶴・余市・宮城峡中心)で出荷調整が続く(2020年に説明)不足は一時的な品切れではなく、数年単位の在庫の問題
2018年6月白州12年が一時休売年数表記品から先に影響が出た
2020年3月31日竹鶴ピュアモルトをリニューアル発売限られた原酒で供給を続けるための設計変更
2021年3月30日白州12年を数量限定で再発売再発売はしたが、量は限られている
2024年ニッカが樽貯蔵庫の新設などに約60億円の投資を発表将来の熟成在庫を増やす取り組み
2025年10月7日(予定)→延期宮城峡10年の発売を延期アサヒビールは、サイバー攻撃に起因するシステム障害の影響と発表。原酒不足による延期ではない
2026年2月3日宮城峡10年を数量限定で順次発売10年以上熟成の原酒を使用、700ml・45度。発表時の国内参考小売価格は税別12,000円
2026年4月1日出荷分サントリーが響・山崎・白州などの生産者価格を改定理由は包材・仕入れ価格などの上昇

「白州12年は休売中」と書かれた古い記事が残っていますが、これは2018年6月から2021年3月までの情報です。白州12年は2021年3月30日に数量限定で再発売されています。

年数表記品ほど戻りにくい理由

白州12年は、白州蒸溜所で12年以上熟成したモルト原酒を使います。2026年に瓶詰めする分は、遅くとも2014年以前に蒸溜して樽に入れた原酒が頼りです。

山崎12年にはホワイトオーク樽、スパニッシュオーク樽、ミズナラ樽で熟成した原酒が使われます。いつもの香味を保つには、それぞれの樽の原酒を必要な比率でそろえる必要があります。総量が足りていても、どれか1種類が足りなければ、その分だけしか出荷を増やせません。仕組みは次の章で説明します。

「再発売」と「店頭にいつも並んでいる」は別のこと

再発売された年数表記品の多くは数量限定です。希望小売価格で買える機会があることと、いつ行っても棚にあることは別の話です。時系列から読み取れる結論は、「年数表記品は再発売後も出荷量が限られ、店頭で常に買える状態には戻っていない」ということです。

増産した原酒を10年・12年表記に使えるのは、その年数の熟成を経てからです。増産投資の中身と効果が出る時期は、後の章で説明します。

なぜ原酒は足りなくなるのか:熟成年数・年数表記・貯蔵庫から見る仕組み

ウイスキーのイメージ写真

需要が増えても、今日蒸溜した原酒をすぐに売ることはできません。日本洋酒酒造組合の「ジャパニーズウイスキー」表示基準は、原料・製造・貯蔵・瓶詰めのすべてに国内での要件を定めています。

項目表示基準の内容
原料麦芽を必ず使い、穀類と日本国内で採水した水に限る
製造糖化・発酵・蒸溜を国内の蒸溜所で行う
蒸溜アルコール分95度未満で蒸溜する
貯蔵700リットル以下の木製樽で、国内で3年以上
瓶詰め国内で、アルコール度数40度以上
着色プレーンカラメルの使用は可

この基準は2021年4月に施行され、既存の商品には経過措置の期間が設けられました。

これは業界団体の自主基準で、酒税法上の「ウイスキー」の定義とは同じではありません。ラベルに「ウイスキー」とあるだけでは、この条件を満たしているとは限りません。売り場の説明や贈り物の案内では、「国産のウイスキー」と「ジャパニーズウイスキー」を区別して伝えると誤解を防げます。

年数表記は「平均」ではなく「最も若い原酒」の年数

12年表記の製品は、12年以上熟成した原酒だけでつくります。15年や20年の原酒を混ぜても、表記は12年のままです。そのため在庫が細ると、メーカーは「より古い原酒を若い年数の製品に回す」か「出荷を絞る」かを選ぶことになります。出荷できる量の上限は、12年前に仕込んだ量から2つを差し引いた量です。1つは熟成中に樽から少しずつ蒸発する分(エンジェルズシェア)、もう1つはほかの製品へ回す分です。

目減りの速さは、貯蔵庫の温度や湿度、倉庫内での樽の位置などによって変わります。小さい樽ほど、容量に対して木に触れる面積の割合が大きくなるため、木材由来の成分の抽出が強まりやすくなります。ただし、酸化などの成分の変化まで同じ速さで進むわけではありません。蒸発量も温湿度や置き場所に左右されます。熟成の質やエンジェルズシェアを、樽の大きさだけで予測することはできません。長く寝かせるほど1樽から取れる本数は減ります。長期熟成品ほど価格が高く、出荷量が少なくなるのは、この構造によるものです。

量があっても同じ味は再現できない

ブレンデッドやブレンデッドモルトは、性格の異なる原酒を組み合わせて、毎回同じ味に仕上げます。角瓶のようなブレンデッドでは、モルト原酒に加えて、連続式蒸溜機でつくる軽やかなグレーン原酒も欠かせません。

樽の違いも香味に影響します。まず、一度も酒を詰めていない新樽があります。次に、バーボンやシェリーなど前の用途を終えた樽に、その蒸溜所のウイスキー原酒を初めて詰めるファーストフィルがあります。その後に再使用するのがリフィルです。新樽、ファーストフィル、リフィルの順に、木から酒に溶け出す成分の量が異なります。

前の章で山崎12年の樽構成に触れたとおり、ある1種類の原酒が足りないときに、別の樽の原酒で単純に量を埋めると、香味がずれてしまいます。実際には、ブレンダーは代替できる原酒を手持ちの樽から選び、配合や使用量を調整します。代替できるかどうかは、樽の履歴、熟成年数、酒質によって異なります。それでも目標の香味を保てなければ、出荷を絞ることになります。

スコッチとの構造の違い:表示を守る製品は外から原酒を借りにくい

スコッチウイスキーには法定義があります。スコッチウイスキー規則(SWR 2009)の主な要件は次のとおりです。

  • スコットランドで蒸溜し、蒸溜時のアルコール分は94.8%未満
  • 容量700リットル以下のオーク樽で、スコットランド国内で3年以上熟成
  • 瓶詰め時のアルコール分は40%以上
  • 加えてよいのは水とE150a(プレーンカラメル)のみ

日本の表示基準も、樽の容量・3年以上の貯蔵・40度以上の瓶詰め・カラメルの扱いなど、これに近い枠組みになっています。

スコットランドでは、原酒を外から調達する仕組みが一般的です。大手ブレンダー同士は原酒を交換し合い(リシプロカル取引)、蒸溜したての原酒(ニューメイク)を樽詰めの段階で買い取る契約(フィリング契約)も広く結ばれています。ブレンダーは他社の原酒も組み合わせて味を設計できます。

これに対して日本では、蒸溜所を持つ会社が自社内で原酒の種類をそろえる傾向が強くあります。蒸溜器や樽を使い分けて、多様な原酒を社内でつくり分けてきました。日本のメーカーも、以前から輸入したバルク原酒を国産のブレンドに使ってきました。ただし、輸入原酒を使った製品は「ジャパニーズウイスキー」とは表示できません。そのため、表示を守る年数表記品ほど自社の在庫に縛られ、ある種類の原酒の不足が出荷量に表れやすくなります。

過去の減産と、貯蔵庫という上限

不足の根には、国内の需要が低迷した時期に各社が生産を絞ったことがあります。その時期に仕込んだ量が、いまの10年・12年を超える原酒の在庫の上限になっています。また、増産には蒸溜設備だけでなく、樽と、樽を寝かせる貯蔵庫が必要です。

仕入れや購入では、次の目安で供給の安定度を判断できます。

  • 年数表記品:出荷量の上限が過去の仕込み量で決まります。入荷は不定期です
  • 年数表記のないシングルモルト:若い原酒も使えるため配分の自由度はありますが、味を保つには熟成した原酒も必要で、数量限定になる場合があります
  • 年数表記のない定番ブレンデッド(角瓶など):12年などの表示年数による縛りがない分、年数表記品より原酒の配分の自由度が高い製品です

角瓶の品薄と値上げは原酒不足のせい?原因を切り分ける

角瓶の「見かけない」と「高くなった」は、原因がそれぞれ別のことが多い問題です。原酒不足、コスト上昇、流通の事情を分けて考えると、待つべきか、別の1本に替えるべきか、店の売価を見直すべきかを判断しやすくなります。

量産品と長期熟成品では、原酒不足の効き方が違う

年数表記品の出荷量の上限は、第2章のとおりです。角瓶のような年数表記のないブレンデッドには、12年などの表示年数による制約はありません。ただし、角瓶はジャパニーズウイスキーの表示基準に適合する製品なので、使う原酒には国内で3年以上の樽貯蔵が必要です。そのため、不足は「出せる量の天井」としてではなく、狙った香味を保てる原酒の組み合わせを確保できるか、という形で効いてきます。

観点角瓶など年数表記のない量産品山崎12年など年数表記品・竹鶴などのプレミアム帯
供給の制約香味を保つための原酒の配分過去の仕込み量と熟成中の目減り
不足時の主な現れ方欠品があっても原酒不足が原因とは限らない。出荷調整の有無はメーカー発表と店舗・問屋で確認する休売、数量限定、出荷調整、リニューアル
値上げの主因包材・物流・原料などのコストが効きやすい希少性に加え、コスト要因も重なる

値上げの理由は原酒不足だけではない

サントリーは響・山崎・白州などの生産者価格を2026年4月1日出荷分から改定し、理由に包材や仕入れ価格などの上昇を挙げました。生産者価格はメーカーの出荷価格で、店頭価格は販売店が決めます。瓶、キャップ、ラベル、段ボール、輸送費は、熟成年数に関係なくどの製品にもかかるコストです。そのため、量産品の値上げを原酒不足だけで説明するのは正確ではありません。角瓶が改定の対象か、改定幅はどれだけかは、サントリーの公式発表で確認してください。

「店頭に無い」を3つに切り分ける

原因店頭での現れ方確認方法
出荷調整複数の店で長く欠品し、入荷しても本数が少ないメーカーのニュースリリースやお知らせ
物流・季節の在庫切れ特定の店や地域だけの欠品。価格改定前の買いだめや、年末などの需要期に起きやすい別の店舗・別の地域の在庫
容量・形態の切り替えいつもの容量だけが見つからず、別の容量や業務用は並んでいるメーカーの商品ページにある容量のラインナップ

角瓶の欠品を見かけても、メーカーが出荷調整を告知していない限り、原因を原酒不足と決めつけることはできません。SNSのうわさや古い記事ではなく、次の順に確かめてください。

  1. サントリーのニュースリリースとお知らせで、角瓶の出荷調整や価格改定の告知があるか、発表日とあわせて確認する
  2. 購入する店に、次回の入荷予定日と、メーカーや問屋から出荷調整の案内が来ているかを聞く
  3. いつもの容量が無い場合は、ほかの容量や業務用の在庫があるかを聞く

酒販店は、メーカーからの案内がない欠品であれば、問屋に入荷予定を確認してから、お客様に「一時的な欠品」と伝えるのが確実です。

角瓶を替えるなら:ハイボールで比べる候補

味も価格も違う酒に、すべての点で角瓶を上回る1本はありません。角瓶のハイボールに何を足したいか(甘さ、燻香、厚み)と、価格・入手性のどれを優先するかで選びます。度数・容量は、購入前にメーカーの公式ページで現行の表記を確認してください。

銘柄タイプ度数香味の由来(樽・ピートの有無)ハイボールでの違い
角瓶(比較の基準)ブレンデッド40%山崎・白州蒸溜所のバーボン樽原酒が中心で、グレーン原酒を含むウイスキー1対ソーダ4で約8%。軽快でドライな後口が基準
ブラックニッカ ディープブレンドブレンデッド45%新樽で熟成させたモルト原酒を使い、樽由来のウッディな甘さが出る同じ1対4でも約9%と濃く、氷が溶けても甘さと樽香が残りやすい
ニッカ フロム・ザ・バレル(500ml)ブレンデッド51%ブレンドした原酒を再び樽に詰めて寝かせる(マリッジ)ことで、厚みのある樽香に仕上げているソーダを1対5に増やしても約8.5%で、輪郭が崩れにくい
竹鶴ピュアモルトブレンデッドモルト43%余市と宮城峡のモルト原酒だけでつくり、グレーン原酒を使わない麦芽由来のコクが厚くなり、角瓶より味の重心が下がる
白州(年数表記なし)シングルモルトNAS43%白州蒸溜所のモルト原酒のみ。ピートを焚いた麦芽の原酒に由来する、ほのかなスモーキーさがある軽快で爽やかな香りに、穏やかな燻香が加わる

選び方の目安は次のとおりです。

  • 甘さを足したい:新樽やバーボン樽の原酒が効いたものを選びます。内側を焦がした(チャーした)新樽は、木材からバニリンなどの甘い香りの成分が溶け出しやすい樽です。角瓶に近い価格帯で選べるのはディープブレンドです
  • スモーキーさを足したい:燻香は、麦芽を乾燥させるときに焚くピート(泥炭)の煙のフェノール類が麦芽に付くことで生まれます。その強さはフェノール値(ppm)で表されます。角瓶の延長で穏やかに足すなら白州です。さらに強い燻香を求めるなら余市などのシングルモルトが候補になりますが、価格と入手性はさらに厳しくなります
  • 価格で比べたい:フロム・ザ・バレルは500mlなので、700mlの製品とは1mlあたりの単価で比べます。度数が高い分、ソーダを増やして1杯あたりのウイスキー量を減らせることも計算に入れます
  • 入手性を優先したい:竹鶴ピュアモルトと白州(年数表記なし)は、熟成原酒の配分の制約を受けやすく、店頭で見かけない時期があります。毎日の1本や店の常備には、量販店で見つけやすいブレンデッドが向いています

比べるときは、ウイスキーとソーダの比率、グラス、氷をそろえます。度数が違う酒を同じ比率で割ると、香味の差ではなくアルコール濃度の差を比べることになります。

酒販店・バー:ハイボール1杯の原価から売価を見直す

  1. 実際の仕入れ値(税込か税別かを統一)を容量(ml)で割り、1mlあたりの単価を出す
  2. 1mlあたりの単価に1杯の使用量を掛ける。使用量は「1杯30ml、増量45ml」など店で決めた実際の提供量で呼ぶ。「ダブル」と表記するなら、その店で何mlかをメニューに明示し、原価計算でも同じ量を使う
  3. ソーダ、氷、レモンなどの副材料と、こぼれや計量誤差によるロス分を足す
  4. 合計を店の目標原価率で割り、売価の目安を出す

計算しやすい仮の数字で示すと、700mlで1,400円なら1mlあたり2円です。ウイスキー代は30mlで60円、45mlで90円になります。仕入れ値が140円上がった場合、30mlの1杯あたりの増加は6円です。ウイスキー代だけで売価を動かすか、ソーダなど副材料の値上がりとまとめて見直すかは、この差額を見て判断できます。フリーポア(計量せずに注ぐこと)では使用量が増えやすいため、ジガーで計量して使用量を一定にすると、原価計算と実際の数字が合いやすくなります。

原酒不足はいつまで続く?各社の増産投資と、買う・待つの判断基準

ウイスキーのイメージ写真

全国的な原酒不足がいつ解消するかについて、メーカーが公式に示した時期は確認できません。報道でメーカー幹部などの見通しが伝えられることはありますが、それは報道ベースの情報で、約束された解消時期ではありません。そのため「いつまでか」は日付で待つのではなく、メーカーの動きを見て判断するのが確実です。

投資は「蒸溜」より「貯蔵」に向かっている

ニッカ(アサヒビール)は2024年、将来の安定供給に向けて、樽貯蔵庫の新設などに約60億円を投じると発表しました。発表時の計画では、栃木工場の樽貯蔵庫は2024年9月に稼働する予定でした。貯蔵能力は2021年比で約1割増えるとされています。稼働後の実績や現在の貯蔵量は、アサヒビールのその後の公表資料で確かめる必要があります。

投資の中心が蒸溜設備ではなく貯蔵庫であることには意味があります。蒸溜量を増やしても、樽を寝かせる場所がなければ熟成在庫は積み上がりません。ただし、増えるのは保管できる樽の容量で、熟成原酒の在庫量そのものではありません。貯蔵能力は増えますが、10年・12年表記品の出荷量がいつ増えるかは発表されていません。

再発売の年から、どの年の仕込みかを逆算する

第2章のとおり、表記年数は最も若い原酒の年数です。そのため、発売年と表記年数から、使った原酒の蒸溜年の上限を推定できます。2021年に再発売された白州12年は、2009年以前に蒸溜した原酒でつくられています。2026年に発売された宮城峡10年は、2016年以前に蒸溜した原酒です。

ただし、分かるのはここまでです。その時期にどれだけ仕込んだか、今後どれだけ供給できるかは、発売年からは分かりません。白州12年の再発売について、サントリーは「数量限定で中長期的に供給できる見込みが立った」と説明しています。供給の回復は、こうしたメーカーが公表する販売形態や出荷方針で判断します。

解消に近づいているかどうかは、次の動きで判断できます。

  • 年数表記品の「数量限定」の表記が外れ、通年の販売になる
  • 休売していた年数違い(18年など上位品)の再発売が続く
  • メーカーのお知らせで、ノンエイジ品の出荷調整の終了が告知される
  • リニューアルで年数表記が付け直される

これらが出そろうまでは、年数表記品の入手は限られたままと考えるのが現実的です。

買う・待つ・替える:条件別の3つの選択肢

条件選ぶ道具体的な動き方
その銘柄・年数でなければ意味がない(記念の贈り物、香味を確かめたい)定価の年数表記品を抽選・数量限定で入手するメーカー直販や百貨店、酒販店の抽選に複数応募する。発売日が告知されたら入荷予定の店に事前に問い合わせる
毎日飲む、ハイボールの基本の1本、店の定番メニュー年数表記のない現行品や新しいノンエイジ品で代わりにする同じ蒸溜所のノンエイジ品で香味の傾向を確かめる。店の定番の組み方はQ&A「店では品薄の銘柄をメニューに残すべき?」を参照
定価では見つからず、急いでいない二次流通の高値では買わずに待つ再発売やリニューアルのお知らせを追い、定価で買える機会を待つ

二次流通の高値を避けたほうがよい理由

価格だけの問題ではありません。転売品は、どのような環境で保管されてきたかが分かりません。高温や直射日光にさらされたり、横に寝かせてコルクが傷んだりしていても、外から見て分かるのは液面の低下くらいです。また、数量限定品が再び出荷されると、相場は下がることがあります。高値で仕入れても、売価や贈答の予算に見合う品質かを確かめる方法がありません。バーが転売品を仕入れると原価が安定せず、前の章の原価計算も成り立たなくなります。

品薄・値上げの時期の買い方・贈り方・保管のQ&A

Q. 山崎12年・白州12年を定価で買うには?

定価で買える経路は3つです。メーカーの直販、百貨店や酒販店の抽選販売、数量限定品の発売日に合わせた店頭販売です。抽選の応募条件は店ごとに違います。会員登録、過去の購入履歴、店頭での受け取りなどが求められるため、自分が条件を満たせる店に絞って応募すると手間が減ります。発売日はメーカーの公式のお知らせで確認してください。取り扱い店には、入荷の本数と販売方法(先着か抽選か)をあわせて聞いておくと確実です。

二次流通の価格は、希望小売価格と並べて判断します。山崎12年・白州12年(700ml)はいずれも税別16,000円で、消費税10%を含めると17,600円です。表示価格からこの額を引いた分が、入手しにくさへの上乗せになります。比べる前に、容量が700mlか、箱があるか、表示が税込か税別かをそろえてください。

Q. 訪日客や海外の知人への贈り物は、何を基準に選ぶ?

基準は「渡す日までに確実に手に入るか」と「製法を一言で説明できるか」の2つです。香りの好みは相手によって違いますが、製法は事実なので誰にでも同じように伝えられます。

年数表記品は「必ず用意できる」とは約束しないでください。まず年数表記のない現行品を候補にします。年数表記品は「抽選で当たれば渡す」という扱いにし、数量限定であることを伝えたうえで、渡す前に在庫を確保してから案内すると、約束が守れなくなる事態を防げます。

銘柄説明の一言入手性
山崎12年ホワイトオーク、スパニッシュオーク、日本のオークであるミズナラの3種の樽で熟成した原酒を使用店頭在庫は購入前に確認が必要
白州12年白州蒸溜所で12年以上熟成したモルト原酒を使用。甘く柔らかなスモーキーさが特徴数量限定。購入前に在庫確認が必要
余市10年石炭の直火でスチルを加熱して蒸溜したモルト原酒を使用。ピーティ(麦芽の乾燥に焚くピート=泥炭の煙に由来する燻香)な味わい。45%年数表記品のため入荷は不定期
同じ蒸溜所の年数表記のない現行品蒸溜所名と土地の話で説明できる年数表記品より見つけやすい

「ジャパニーズウイスキー」かどうかは、次の順に確かめます。第2章の表の基準に沿った製品かを見分けるためです。表示基準は、「ジャパニーズウイスキー」の表記や蒸溜所の所在地をラベルに書くことを義務づけてはいません。そのため、ラベルだけでは判断できません。

  1. ラベルの商品名や「ジャパニーズウイスキー」などの表記は、手掛かりとして確認する
  2. メーカー公式の商品ページで、表示基準に適合した製品と明記されているかを確認する
  3. 同じページの製法情報(使用した蒸溜所、国内での貯蔵など)で中身を確かめる

「国産」「日本製」と書かれているだけでは、基準に沿っているとは限りません。海外に持ち帰る場合の手荷物の規定や免税の範囲は、航空会社と相手国の規定で確認するよう、相手に伝えてください。

Q. 相手に伝えやすい受賞歴は?

品薄の時期は、受賞歴よりも「渡す日までに確実に手に入るか」を優先して選びます。受賞歴を添えるなら、贈る銘柄そのもの(同じ銘柄・同じ年数)が受けた賞に限ります。同じ蒸溜所でも、年数や原酒の構成が違えば別の製品です。25年などの上位品の受賞を、12年の品質の裏付けのように話すのは避けてください。賞の名称・年・部門は、コンペティションの公式結果で確かめてから伝えます。

Q. 開封後のウイスキーはどう保存する?

品薄の年数表記品は、飲み終えても次の1本をすぐ補充できません。開栓後の香りの変化を抑えて保管します。

  • 直射日光と高温を避ける。光と熱は香りの成分を変質させる。暗く温度変化の少ない棚に置く
  • 立てて保管する。度数の高い酒にコルクが長く触れると、コルクが傷んで崩れやすくなる
  • 残りが少なくなったら早めに飲み切る。瓶の中の空気が増えるほど、酸化と揮発で香りが変わりやすい
  • 飲み切れない場合は、容量の小さいガラス瓶に口元まで詰め替え、空気の層を減らす。開栓日と詰め替えた日を瓶に書いておく

瓶詰め後のウイスキーは、樽の中のように熟成が進むことはありません。開栓後に起きる変化は、ほとんどが香りが抜けていく方向のものです。

Q. 店では品薄の銘柄をメニューに残すべき?

年数表記品は入荷が不定期なので、定番メニューや常備品には組み込まず、常備は年数表記のない現行品で組みます。年数表記品は、入荷したときだけの限定メニューとして扱うのが基本です。

状況判断
次の入荷が確定していて、指名で注文するお客様がいるメニューに残す。在庫が少ないうちは1杯30mlなど提供量を固定し、増量(店の基準で45mlなど)は受けない
入荷が不定期で、1本(700mlを1杯30mlで注ぐと約23杯)が売り切れる前に次の入荷が見込めない「入荷時のみ」の限定欄に移す
二次流通でしか補充できない定番から外し、同じ蒸溜所の年数表記のない現行品に替える。メニューには香りの方向が近いことを書いておく

この記事で紹介した銘柄

よくある質問

ウイスキーのイメージ写真

角瓶のハイボールで、香りと炭酸を保つ作り方のコツは?

品薄で角瓶から別の銘柄に替えたときも、作り方と比率を固定しておくと、銘柄による違いを比べやすくなります。比率は、メーカーが角ハイボールで勧めるウイスキー1に対しソーダ4を基準にします。度数の高い銘柄では、ソーダを増やして濃さをそろえます。

グラスを氷で満たして先に冷やし、溶けた水を捨ててからウイスキーを注ぎます。ウイスキーと氷をよく混ぜて冷やしたら、ソーダは氷に直接当てないよう、グラスの縁から静かに注ぎます。仕上げはマドラーで氷を縦に1回持ち上げる程度にとどめます。かき混ぜすぎると炭酸が抜け、香りも水っぽくなります。

山崎12年や白州12年を少しずつ味わうとき、加水やグラスはどうすればいいですか?

少量しか手に入らない年数表記品は、1杯ごとに香りを確かめながら飲むと無駄がありません。口がすぼまったチューリップ型のグラスを使うと、香りが集まって逃げにくくなります。まずストレートで香りと味を確かめ、スポイトで水を数滴ずつ足して変化を比べます。43%のままではアルコールの刺激で香りを感じ取りにくく、少量の水を加えると香りが開くことがあります。ウイスキーと同量の水で割るトゥワイスアップも試して、好みの濃さを探してください。

同じ銘柄なのに、以前と味が違うと感じるのはなぜですか?

原酒の香味は樽ごとに違います。ブレンダーは原酒の組み合わせを調整して同じ味に近づけますが、ロットによるわずかな差は残ります。竹鶴ピュアモルトのように、リニューアルで設計そのものが変わる場合もあります。比べるときは開栓直後のボトル同士を選び、同じグラス・同じ温度・同じ飲み方で並べて飲むと、違いを判断しやすくなります。

出典・参考にした情報

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。