マッカラン12年の飲み方と評価|2本の正解と割り方の比率
マッカラン12年は現行2本。シェリーオークとダブルカスクの違いを樽材から解説し、2025年の価格改定と外装刷新、評価の読み方、ストレートやハイボール・水割りに向く飲み方と割り方の比率まで紹介します。
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マッカラン12年の評価|現行2本の位置づけと価格
国内で現行の12年は2本あり、どちらもサントリーの現在の商品情報に掲載されています。サントリーがシェリーオーク系として扱う**「ザ・マッカラン12年」と、2017年3月7日に日本で発売された「ザ・マッカラン ダブルカスク12年」**です。バーで「マッカラン12年」とだけ頼むと、店によってどちらが出るかが変わります。注文するときは「シェリーオーク」か「ダブルカスク」まで伝えると確実です。
| 項目 | ザ・マッカラン12年(シェリーオーク) | ザ・マッカラン ダブルカスク12年 |
|---|---|---|
| 容量・度数 | 700ml・40% | 700ml・40% |
| 希望小売価格(税別) | 13,500円 | 9,900円 |
| 樽構成 | シェリー酒で風味づけしたヨーロピアンオーク樽が主体 | シェリー酒で風味づけしたアメリカンオーク樽とヨーロピアンオーク樽 |
| 香り(公式) | ドライフルーツ、柑橘の皮、ジンジャー | ファッジ、柑橘、バニラ |
| 味(公式) | レーズン、シナモン | チョコレートレーズン、トフィー、オレンジの皮 |
| 余韻(公式) | オーク、ジンジャー | — |
違いは樽材であり「シェリー樽とバーボン樽」ではない
ダブルカスクを「シェリー樽とバーボン樽」と説明するのは誤りです。2本とも、シェリー酒で風味づけした樽だけを使います。違いはシェリー樽かバーボン樽かではなく、オーク材の種類と比率です。表のとおり、シェリーオークはヨーロピアンオークが主体で、ダブルカスクはアメリカンオークとヨーロピアンオークを組み合わせます。樽材が香味にどう効くかは、次の章で製法から説明します。樽詳細の比較は「ダブルカスクとシェリーオークの違い」「12年3種の違い」の各記事で扱います。
「12年」の意味と、2025年の変更点
スコッチウイスキー規則(SWR 2009)は、スコッチを、スコットランドで容量700L以下のオーク樽により3年以上熟成させたウイスキーと定めています。「12年」は、この規則の年数表示に基づき、ボトルに含まれる最も若い原酒の熟成年数を示します。平均年数ではありません。12年より長く熟成した原酒が入っていても、表示は最も若い原酒に合わせます。
- 2025年4月1日出荷分:両商品の価格を改定。古い業務用ページに残るダブルカスクの税別8,000円は改定前の価格です
- 2025年6月:シェリーオークとダブルカスクを含むコレクションの外装デザインを刷新。メーカーは味を維持したと説明しています
「新ボトルで味が変わった」と感じた場合は、まず比較の条件をそろえてください。両12年は、ファーストフィルとリフィルを含む複数の樽の原酒を組み合わせてつくられます。その配合がバッチごとに少しずつ変わることが、ロット差の主因です。さらに、メーカーは着色せず樽由来の色のまま瓶詰めすると説明しているため、色もカラメルでそろえられていません。開栓直後か、開栓からしばらくたったあとかでも、印象は変わります。旧外装と新外装を比べるなら、同じグラスと同じ温度で、開栓時期も近づけて並べて比べるのが最低条件です。
評価の読み方と選び方
先に結論をまとめます。シェリーオーク(税別13,500円)は、公式ノートにドライフルーツ、レーズン、シナモン、ジンジャーが並ぶ1本で、ストレートや少量の加水に向きます。ダブルカスク(税別9,900円)は、ファッジ、バニラ、トフィーが並ぶ1本で、ハイボールや水割りを日常的に飲む用途に向きます。40%の口当たりは、柔らかく感じる人もいれば、軽く感じる人もいます。割ったときに樽由来の香味がどこまで感じられるかは、比率と温度で変わります。製法との関係は次の章で説明します。サントリーが案内する1対3~4の比率で割ると、度数はおよそ10~8%になります。一方で「12年は入口で、真価は18年以上」という声もあります。これは同じ蒸溜所の長期熟成品と比べたときの相対評価です。現行2本の評価は、それぞれの価格と用途に照らして読むのが妥当です。
- ハイボールや水割りを日常的に飲みたい場合:ダブルカスク。価格が抑えめで、バニラ系の甘さを炭酸と合わせやすい
- ストレートや少量の加水で樽の厚みを味わいたい場合:シェリーオーク
- 40%を軽く感じる場合:ストレートより、加水を数滴にとどめて香りの変化を確かめる飲み方が向きます
- 贈答品の場合:ブランドの中核とされるシェリーオークが無難です。相手がハイボール派なら、ダブルカスクを選ぶ理由になります
- 店頭での実勢価格は4,530円前後(2026年11月2日時点)、4,530円前後(2026年11月2日時点)を目安に、希望小売価格との差を確認してください
なぜマッカラン12年は割っても崩れにくいのか|製法から読む香味の由来

先に答えると、「割っても崩れない」と製法だけで言い切ることはできません。製法から説明できるのは、香りの主役が煙ではなく、蒸溜でできた重めの酒質と、シェリー酒で風味づけした樽の成分だという点までです。加水すると、気相に出やすくなる香り成分もあれば、減る成分もあり、その変化は成分ごとに異なります。樽由来の甘さやスパイスを割っても感じる人はいますが、比率と温度で印象は変わります。確かめるには、同じ量のウイスキーで1対3と1対4を作り、同じ温度で飲み比べます。1対4でもドライフルーツやバニラが分かるなら軽めの比率で十分です。1対3でしか分からないなら、濃いめの比率が合っています。ここでは原料、蒸溜、樽、色の順に、香味の由来を製法から説明します。
原料|ピートではなく、樽と蒸溜が香りをつくる
マッカランの原料は大麦麦芽です。メーカーは、通常はピートを焚いた麦芽で知られる銘柄ではないと説明しています。ピートを焚いた麦芽では、フェノール類(燻製香のもとになる成分)が強い香りの軸になります。マッカランではその軸がないため、香りの土台は蒸溜で生まれる果実香と、樽から溶け出す成分です。麦芽のフェノール値(ppm)は公表値を確認できないため、数値で「ゼロ」や「ごく低い」と言い切ることはできません。説明するときは「ピートを特徴とする銘柄ではない」というメーカーの表現にとどめるのが正確です。
背の低い小型スチル|還流が少ないと酒質は重くなる
蒸溜所は背の低い小型の銅製スチル(単式蒸溜器)を使っており、新蒸溜所の再溜釜は24基と公表しています。背の高いスチルでは、上昇する蒸気の多くが途中で冷えて液体に戻り、釜へ落ちます。これを還流と呼びます。還流が多いほど、沸点の高い重い成分がふるい落とされ、軽く繊細な酒質になります。背の低いスチルは還流が少ないため、重い成分も蒸気のまま冷却器へ届きやすくなります。蒸気が銅に触れる量が少ないことも、硫黄系の成分を残し、肉厚な酒質に寄与します。その結果、ニューメイク(蒸溜したばかりの無色の原酒)は油分を感じる重めの酒質になりやすいのです。
メーカーは小型スチルとともに、蒸溜液のごく一部だけを使う「最も精選したカット」を特徴に挙げています。重さは小型スチルから、雑味の少なさは狭いカットから来る、と分けて理解するのが妥当です。ただし、スチルの形で決まるのはニューメイクの傾向までです。ボトルの香味には、蒸溜時のカット、樽選び、熟成、40%への瓶詰め時の加水も関わります。割ったあとの香りの残り方も、香り成分の種類や比率によって変わるため、酒質の重さだけでは決まりません。
「シェリー酒で風味づけした樽」の実態
「シェリー樽」と聞くと、スペインのボデガでシェリーの熟成やソレラ(樽を段に積み、古い酒を少しずつ若い酒で補充していく熟成方式)に長年使われた樽を想像しがちです。マッカランの両12年に使われているのは、そうした樽ではありません。シェリー酒を一定期間入れて樽材に風味をなじませてから空けた、シェリー酒で風味づけした樽、つまりシーズニング樽です。メーカーは、ヘレスで製作し、オロロソ・シェリーでシーズニングした樽と説明しており、シーズニングの期間は約12〜18か月としています。シェリーの樽輸送が過去のものになった現在、スコッチで使われる「シェリー樽」の多くはこの方式でつくられています。
シーズニングは、樽を調整する工程です。その樽をウイスキー熟成に何回使ったかとは別の話です。シェリーを抜いて初めてウイスキーを詰める樽をファーストフィル、2回目以降に使う樽をリフィルと呼びます。ファーストフィルほどシェリー由来の色と香味が強く、リフィルを混ぜる比率でバッチの香味をそろえます。現行12年で、どの使用回数の樽がどれだけ使われているかは確認できないため、ここでは断定しません。
樽材の差は、割ったあとにどう残るか
まず、樽材の一般的な傾向です。アメリカンオークは、バニリン(バニラ香のもとになる成分)やラクトン(ココナッツ様の甘い香りの成分)が出やすい樽材です。ヨーロピアンオークは、タンニン(渋みのもとになるポリフェノール類)が多い樽材です。タンニンは舌で感じる渋みであり、シナモンやジンジャーのようなスパイスを思わせる香りとは別のものです。
次に、このボトルでの官能評価です。ダブルカスクの公式ノートにあるファッジやバニラ、トフィーは、アメリカンオークの傾向と符合します。シェリーオークは、原液でシナモンやジンジャーといったスパイスを思わせる香りが特徴です。ただし、公式ノートは原液の香味を記述したものです。割ったあとに何が残るかまでは示していません。ハイボールでも感じられるかは、少量で試して確かめます。割る前提なら、次のように試し分けられます。
- 割ってもスパイスを感じたい場合:シェリーオークから試す。少量を1対3で割り、シナモンやジンジャーを思わせる香りが残るかを確かめる
- 割って甘くまろやかに飲みたい場合:ダブルカスクから試す。同じ条件で割り、バニラ系の甘さが炭酸と合うかを確かめる
色の濃さは熟成の長さを示さない
両12年の色について、メーカーは樽由来の自然な色と説明しています。SWR 2009ではスピリットカラメル(E150a)による色調整が認められており、着色しないことはメーカーの選択です。ただし、色の濃さは熟成年数や味の濃さの指標にはなりません。色は樽材の種類や、シーズニングで樽に染み込んだシェリーの量、ファーストフィルかリフィルかで大きく変わります。同じ最低12年熟成の2本でも、樽構成や個々の樽の違いなどが影響するため、色だけで熟成年数や味の濃さは判断できません。グラスの色で年数や「濃さ」を判断せず、香りと味で比べてください。
一方で、次の事項は現行品について確認できていません。店頭やカウンターで説明するときも、断定は避けてください。
| 事項 | 扱い方 |
|---|---|
| 冷却濾過の有無 | 未確認。加水や氷で白く濁るかどうかを品質の判断材料にしない |
| ピート量(ppm) | 未確認。「ピートを特徴とする銘柄ではない」というメーカーの表現にとどめる |
| 現行品に対応する受賞歴 | 未確認。旧ボトルや他の年数の受賞を現行12年の実績として紹介しない |
マッカラン12年の飲み方別の手順と比率|ストレート・加水・ロック・ハイボール・水割り
マッカランは、ストレート、加水、氷を入れる飲み方のいずれも個人の好みとして案内しています。このため飲み方の正解は一つに決めず、ここでは飲み方ごとの手順と、うまくいったかどうかを確かめる基準を示します。
ストレート|30mlか15mlで、数分置いてから
量はシングル30mlが基準です。少しずつ試すなら、ハーフ15mlから始めます。グラスは、口がすぼまったチューリップ型のテイスティンググラスを使います。立ち上がった香りが口元に集まり、逃げにくいためです。注いだら数分置き、ノージング(香りをとる)、パレット(口に含んだ味)、フィニッシュ(余韻)の順に確かめます。最初の香りでアルコールの刺激が強いときは、グラスを鼻から少し離して嗅ぎ直してください。
加水とトゥワイスアップ|数滴から、必要なら1対1
加水には、スポイトを使います。2〜3滴ずつ加え、そのたびに香りを確かめます。40%はもともと低めの度数です。最初から多く加えると、香りが最も開く点を通り過ぎて水っぽくなります。加水で香りが変わる理由は2つあります。1つは、エタノールの刺激によるマスキング(強い刺激がほかの香りを感じにくくする現象)が弱まることです。もう1つは、加水によって香り成分ごとの揮発のバランスが変わることです。グラスの上に出やすくなる成分もあれば、減る成分もあります。シェリーオークなら柑橘の皮やドライフルーツ、ダブルカスクならバニラや柑橘が前に出てくるかを確かめてください。
トゥワイスアップは、常温の水とウイスキーを1対1で割る飲み方で、度数はおよそ20%になります。香りが最大になる比率というわけではなく、比較に使われる一つの条件です。40%の原液を一気に約20%へ下げると、かえって違いを捉えにくくなる場合もあります。2本を比べるときは、まずストレート、次に数滴の加水、必要なら1対1と段階を踏みます。各段階で、量、グラス、水、温度を2本でそろえてください。水は味の癖が少ないものを同じ量だけ使います。軟水は試しやすい選択肢です。冷水や氷を使わないのは、温度による香りの変化を比較に持ち込まないためです。
ロック|大きめの氷とグラスの冷却で、溶ける速さを抑える
氷は大きめのものを使い、グラスもあらかじめ冷やしておきます。量に対する表面積が小さい氷ほど溶けにくく、薄まる速さを抑えられます。冷やすと甘みや香りが弱まるのは、温度が下がると香り成分の蒸気圧が下がり、鼻に届く量が減るためです。舌が感じる甘みも、低温では鈍くなります。一方で液体の粘度は上がるため、口当たりはクリーミーに感じられます。何が弱まったかを判断したい場合は、氷を入れる前にストレートで一口確かめておきます。
ハイボール|すべて冷やし、混ぜるのは縦に1回
- グラス、ウイスキー、ソーダを、あらかじめすべて冷やす
- グラスに氷を詰め、ウイスキーを注いで軽く混ぜ、全体を冷やす
- ソーダを、氷に当てないようグラスの内側に沿わせて静かに注ぐ(ウイスキー1に対しソーダ3〜4)
- マドラーで氷を持ち上げるように、縦に1回だけ混ぜる
ソーダを氷に当てたり何度も混ぜたりすると、炭酸が抜けます。泡は香りを運ぶ役割も担うため、炭酸が抜けると香りも立ちにくくなります。比率は、香りを主役にするなら1対3、食事と合わせて軽く飲むなら1対4を目安にします。
水割り|癖の少ない水で、食事に合わせるなら濃いめから
ウイスキー1に対して水2〜2.5を目安に、冷やしたグラスでつくります。水は味の癖が少ないものを使い、軟水は試しやすい選択肢です。2本を比べるときは、同じ水を同じ量だけ使います。食事に合わせる場合は、料理の味に負けないよう1対1.5ほどの濃いめから始めます。強いと感じたら、そこから水を足して調整します。
| 飲み方 | 量・比率 | 温度 | 向いているボトル |
|---|---|---|---|
| ストレート | 15〜30ml | 常温 | シェリーオーク(樽の厚みを見る) |
| 加水 | 30mlに2〜3滴ずつ | 常温 | 両方(香りの変化を比べる) |
| トゥワイスアップ | ウイスキー1:常温の水1 | 常温 | 両方(比較に使う条件の一つ) |
| ロック | 30ml・大きめの氷 | 冷却 | シェリーオーク(冷えてもスパイスが残る) |
| ハイボール | ウイスキー1:ソーダ3〜4 | グラス・ウイスキー・ソーダを冷却 | ダブルカスク(バニラの甘さが開く) |
| 水割り | ウイスキー1:水2〜2.5(食中は1:1.5から) | 冷却 | ダブルカスク(甘さと価格のバランス) |
マッカラン12年で失敗しないために|割り方の失敗例・開栓後の保管・バーでの頼み方

前の章の手順どおりにつくっても、うまくいかないときがあります。原因の多くは比率、温度、氷、保管のどれかです。ここでは症状ごとに原因と直し方を示し、あわせてバーでの頼み方と1杯の値段の成り立ちを整理します。
ハイボールが薄く香らないときの原因と直し方
ハイボールの香りは、はじける泡がグラスの上へ運びます。一方で、炭酸が一気に抜けると香りも最初の数口で一緒に逃げます。また、冷やしすぎると香り成分が揮発しにくくなります。比率、温度、注ぎ方、混ぜ方は、このどれかに影響します。
| 症状の原因 | 起きていること | 直し方 |
|---|---|---|
| ソーダの入れすぎ(1対5以上) | 度数が約7%以下に下がり、樽由来の香味が感じられる濃さを下回る | 1対3に戻す。軽くしたいときも1対4までにとどめる |
| ぬるいソーダ | 温度が高いと炭酸が溶けていられず、注いだ瞬間に抜ける。氷も早く溶ける | ソーダは冷蔵庫で冷やし、開栓したらすぐ使い切る |
| 氷に当てて勢いよく注ぐ | 氷の表面の凹凸で泡が一気に発生し、炭酸と香りが注ぐ段階で抜ける | グラスの内側に沿わせ、氷に当てずに静かに注ぐ |
| 混ぜすぎ | 撹拌のたびに炭酸が抜け、氷も溶ける | 縦に1回だけ持ち上げて終える |
ロックが途中から水っぽくなるとき
家庭の製氷機の小さな氷は、量に対する表面積が大きく、早く溶けます。溶ける速さには、氷の大きさと表面積のほか、氷の温度や、グラスや液体との温度差も効きます。対策の中心は、大きめの氷を使い、グラスを冷やしておくことです。具体的には次のとおりです。
- 市販の板氷やかち割り氷、または大きな型で凍らせた氷を1個使う
- 冷凍庫から出した氷を水でさっと流し、表面の霜を落としてから入れる(霜が溶けて最初の数口を薄めるのを防ぐ)
- グラスを冷やしておき、量は30mlにとどめて、薄まる前に飲み切る
ストレートで「アルコールが強い」と感じるとき
まず条件を確かめます。注いだ直後は、揮発しやすいエタノールがグラスの上部にたまっています。また、小さいグラスでは液面と鼻の距離が近すぎ、エタノールの刺激が直接届きます。数分置いたか、15〜30mlに見合う大きさのチューリップ型を使っているかを確認してください。
条件を直しても強い場合は、2〜3滴だけ加水して判断します。刺激が引いてドライフルーツやバニラが前に出るなら、エタノールのマスキングが原因です。その量の加水で飲めば解決します。加水しても刺激だけが残り、香りが痩せる場合は、量を増やさないでください。室温が高く液温が上がっていないかを疑い、涼しい場所で飲み直します。
開栓後の保管|残り3分の1が目安
液面が下がると瓶内の空気が増え、開栓を重ねるうちに香りや味わいが変わることがあります。ウイスキーはワインほど酸化しにくく、メーカーも瓶内保管での主な変化は蒸発による可能性が高いと説明しています。栓の閉め方が甘いと、揮発による変化は進みやすくなります。開栓直後の香りが、しばらくたって落ち着いたと感じることもありますが、変化の速さは一律ではありません。保管は次の4点を守ります。
- 立てて保管する(寝かせると高い度数の液体がコルクに触れ続け、コルクが傷んで風味が移るおそれがある)
- 飲むたびに栓をしっかり閉める(密閉が甘いと揮発が進む)
- 直射日光を避ける(光が香味を変化させ、瓶内の温度も上げる)
- 高温と温度変化を避け、冷暗所に置く
残りが3分の1を切ったら、小さな瓶への移し替えを考える目安にします。絶対的な期限ではありません。移し替えれば、瓶内の空気の量を減らせます。
バーでの頼み方
銘柄、量、飲み方、加水やチェイサーの希望を一度に伝えます。たとえば「マッカランのダブルカスク12年をシングルで、ハイボールにしてください。濃いめでお願いします」と伝えます。ストレートなら「シェリーオーク12年をシングルで、チェイサーに水をください。加水用の水も少し添えてください」と伝えます。量は「ダブルで」、加水は「数滴で」、ハイボールは「1対3で」のように、比率まで伝えると意図どおりの1杯になりやすくなります。ボトルの指定は冒頭で触れたとおりです。
1杯の値段の考え方
700mlをシングル30mlで注ぐと、1本でおよそ23杯です。端数の約10mlは残ります。希望小売価格(税別)を30mlに単純換算すると、シェリーオークは約579円、ダブルカスクは約424円です。1本の価格を23杯で割ると1杯あたりはこれより少し高く出ますが、それは端数のロスを含んだ数字なので、30ml当たりの原価とは分けて考えます。また、希望小売価格での換算は目安です。店の実際の仕入れ値は業務用価格で、そこに消費税もかかるため、この数字とは異なります。バーの値付けは、仕入れ値、提供量、経費、利益で決まります。経費には次のものがあります。
- グラス代:洗浄、破損、テイスティンググラスなどの専用品
- 氷とソーダ:ロック用の大きな氷や、ハイボール用の冷えたソーダ
- 人件費:注ぐ、説明する、加水を調整する手間
- 開栓後のロス:香りが変わった残りを提供できない分や、試飲に使う分
2本で1杯の値段が違うのは、主にボトル1本あたりの仕入れ値の差によります。グラス・氷・人件費・ロスは、ストレートかハイボールかといった飲み方による差を生みます。ハイボールはソーダと氷の分が加わるため、ストレートと同じ値段とは限りません。
マッカラン12年は買いか|評価が分かれる理由と近い味わいの銘柄
評価が分かれる3つの理由
「まずい」「期待外れ」と感じる理由は、品質そのものより比べ方にある場合があります。考えられる理由は次の3つです。
- 価格に対する期待値の高さ:シェリーオークの希望小売価格は13,500円(税別)です。この価格帯では、より高い度数で瓶詰めされたシェリー樽主体の銘柄とも比べられます。そのため、40%の柔らかさを「軽い」「薄い」と受け取る人が出ます
- 過去のボトルとの記憶比較:記憶の中の旧ボトルは、並べて飲んだ比較ではありません。ロット差については冒頭で触れたとおりです。外装刷新と味の扱いは冒頭の「2025年の変更点」を参照してください
- 飲み方による印象の差:同じボトルでも、冷やしすぎたロックや薄めすぎたハイボールでは、樽の香りが感じにくくなります。評判を読むときは、その人がどう飲んだかまで確かめてください
「年数が長いほど良い」とは限らない
前の章で触れたとおり、年数表示は最も若い原酒の年数です。品質の順位を示すものではありません。12年は日常的に開けやすく、割り方も試しやすい価格帯です。18年は長期熟成で重なった樽香を、ストレートで味わう価格帯です。12年を「18年の下位版」と見ると評価を誤ります。用途で選び分けてください。年数ごとの違いは「12年・18年・25年の違い」の記事で扱います。
買うかどうかの判断基準
- ストレートや少量の加水で、樽の香りを主に楽しみたい場合:シェリーオーク
- ハイボールを含め、日常的に開けて飲みたい場合:ダブルカスク
- 初めてで迷う場合:用途が広く、価格も低いダブルカスクから始めます。樽の厚みが物足りなければ、次にシェリーオークを選びます
- 贈答品の場合:まず相手の飲み方を確かめます。店頭では新旧外装と、価格表示が改定後かを確認してください。実勢価格は4,530円前後(2026年11月2日時点)、4,530円前後(2026年11月2日時点)が目安です
近い味わいの12年クラス
シェリー樽熟成の12年で比べるなら、次の3本が候補です。樽構成は変更されることがあるため、購入時に現行ラベルと公式情報で確認してください。飲み比べるときは、前の章の手順どおり、ストレート、数滴の加水、必要なら1対1と段階ごとに条件をそろえます。
| 銘柄 | 樽構成(メーカーの説明) | マッカランとの比べどころ | 価格の目安 |
|---|---|---|---|
| グレンファークラス 12年 | シェリー樽熟成 | シェリーオーク12年と、シェリー樽主体同士で骨格を比べる | 5,880円前後(2026年11月2日時点) |
| グレンドロナック 12年 | ペドロ・ヒメネス樽とオロロソ樽 | 甘さとドライフルーツの濃さを、シェリーオーク12年と比べる | 5,940円前後(2026年11月2日時点) |
| アベラワー 12年 ダブルカスクマチュアード | 伝統的なオーク樽とシェリー樽 | 2種の樽を組む考え方は、ダブルカスク12年に近い。ただしシェリー酒で風味づけしていない樽も含む点が異なる | 5,687円前後(2026年11月2日時点) |
よくある質問

シェリーオークとダブルカスクを飲み比べるときは、どちらから飲めばよいですか?
ダブルカスクから先に飲みます。シェリーオークは、公式ノートの余韻にオークとジンジャーが挙がるように、スパイスを思わせる香りが後に残りやすい1本です。先に飲むと、ダブルカスクのバニラやファッジの甘さを感じにくくなります。2本の間には常温の水をひと口挟み、口の中の余韻を流してから次へ移ってください。
ストレートのチェイサーは、水と炭酸水のどちらがよいですか?
香りを確かめながら飲むなら、常温か軽く冷やした軟水が向きます。炭酸水は口がさっぱりしますが、炭酸の刺激が舌に残り、次のひと口の甘さやスパイスの感じ方を変えます。氷水のように冷たすぎる水も、舌を冷やして甘みを鈍らせます。ひと口ごとに少量ずつ挟むのが基本です。
マッカラン12年のハイボールにレモンを入れてもいいですか?
入れるなら、果汁を搾るより、皮を軽くひねって香りだけを移す方法が合います。両12年とも公式ノートに柑橘の皮やオレンジの皮が挙がっており、皮の香りはそれを引き立てます。果汁を加えると、酸味がドライフルーツやトフィーの甘さを覆いやすくなります。まず何も入れずに飲んでから比べてください。
テイスティンググラスがない場合、何で代用できますか?
口がすぼまった小ぶりの白ワイングラスが代わりになります。立ち上がった香りが口元に集まる形であることが条件です。口の広いロックグラスは香りが散りやすく、ストレートで香りをとる用途には向きません。洗剤の香りが残っていると樽香を誤って捉えるため、十分にすすいでから使ってください。
マッカラン12年を冷凍庫で冷やしてもいいですか?
40%のウイスキーは家庭用冷凍庫では凍りにくいものの、冷えすぎると香りと甘みが鈍ります。温度が下がると香り成分の蒸気圧が下がって鼻に届く量が減り、舌が感じる甘みも低温では弱まるためです。
家飲みでシングル30mlを量る道具がないときは、どうすればよいですか?
メジャーカップ(ジガー)があれば、30mlと45mlなどの両側に量りがあるものを使います。縁までいっぱいに注ぐと表面張力で盛り上がり、多めになりやすいため、水平に持って縁の少し手前で止め、グラスへ一気に移します。道具がない場合は、計量スプーンの大さじ1が15mlなので、大さじ2杯で30mlです。キッチンスケールで量るなら、40%のウイスキー30mlはおよそ28g強が目安です。ハイボールや水割りの比率を毎回そろえるためにも、ウイスキーの量は目分量にしないことが基本です。
ハイボール用のソーダは、強炭酸と通常のどちらがよいですか?
どちらでもつくれますが、選び方の基準があります。時間をかけて飲む場合や、氷が多く炭酸が抜けやすい場合は、強炭酸のほうが最後まで刺激を保ちやすくなります。一方で、刺激が強いと香りの細部を感じにくくなることもあります。どちらが合うかは、1対3など同じ比率で両方を作り比べて決めてください。2本のマッカランを比べるときは、ソーダの種類と温度を必ずそろえます。
ミニボトルや量り売りで、2本を比べる方法はありますか?
フルボトルを2本買う前に、ミニボトルや酒販店の量り売り、バーでのハーフ15mlの注文で比べる方法があります。取り扱いの有無は店や時期で変わるため、事前に確認してください。比べるときは、同じ日に、同じ形のグラスで、同じ量を用意します。ストレート、数滴の加水、必要なら1対1と段階を踏み、各段階を2本で同時に確かめると、違いを捉えやすくなります。
出典・参考にした情報
この記事で紹介した銘柄
20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。