ジャパニーズウイスキー

山崎12年の定価と入手方法|現行価格と抽選・購入先の選び方

山崎12年の現行定価は税別16,000円(税込17,600円)。2024年の改定で税込16,500円となった旧価格との見分け方や、百貨店抽選・量販店・EC・蒸溜所ショップなど入手経路ごとの条件と現実性を解説します。

山崎12年の定価は税別16,000円|改定の経緯と「定価」の正しい読み方

山崎12年(700ml、アルコール度数43%、原材料モルト)の現行のメーカー希望小売価格は、2026年10月時点のサントリーの公表値で税別16,000円(税込換算17,600円)です。50mlのミニチュア瓶は税別1,410円です。

出典:サントリー 山崎 商品情報の山崎12年(700ml・50ml)各商品ページ、およびサントリーの価格改定のお知らせ(2026年10月22日確認)

価格改定の流れ

希望小売価格は、もとは税別10,000円でした。2024年4月出荷分から税別15,000円(税込16,500円)に改定され、その後さらに改定されて現在の税別16,000円になっています。「値上げはいつか」を調べて税別15,000円・税込16,500円という数字に行き着いた場合、それは2024年4月の改定時点の価格です。現行価格ではありません。

価格が上がりやすい背景には、12年以上熟成させた原酒の在庫によって供給が制約され、短期間では増産できない構造があります(後の章で説明)。

価格表記容量位置づけ2026年10月時点での扱い
税別10,000円700ml2024年4月出荷分より前の希望小売価格旧価格。基準に使わない
税別15,000円/税込16,500円700ml2024年4月出荷分からの改定価格旧価格。現行として扱わない
税別16,000円/税込換算17,600円700ml現行の希望小売価格基準値として使う(約22.9円/ml、税別)
税別1,410円/税込換算1,551円50ml現行の希望小売価格基準値として使う(約28.2円/ml、税別。700ml瓶より約2割高い)

「定価」の正しい読み方

メーカー希望小売価格は、販売店の価格を拘束しません。「定価で売っていない店は不当」ということにはならず、希望小売価格は相場を判断するための物差しです。目安として、実売価格が税込17,600円からどれだけ離れているかを見ると、その店の価格設定を判断しやすくなります。

古い記事や買取店のページで見かけた価格は、次の手順で確かめます。

  1. 税別か税込かを確認します(16,500円は税込表記、15,000円は税別表記で、どちらも旧価格です)
  2. 価格がいつの時点のものかを確認します。2024年4月より前の情報は改定前、2025年の告知に税込16,500円とあるのは当時の価格です
  3. 買取店のページなら、その金額が「買取価格」なのか「定価」なのかを区別します
  4. 最後にメーカーの現行商品ページで、容量と税区分を照合します

「終売」ではない

山崎12年は、サントリーの現行商品ラインナップに掲載されています。「終売」という情報は事実ではありません。ただし、店頭に常に並ぶ状況ではなく、百貨店の抽選販売などに頼る場面が続いています。蒸溜所ショップの条件は次章で説明します。訪日客に案内するときは、「現行品だが入手しにくい」と分けて伝えると誤解を防げます。

定価で手に入る主な経路と、それぞれの応募条件・現実性

ウイスキーのイメージ写真

希望小売価格に近い価格での販売実例を確認できる経路は、百貨店の抽選です。スーパー・量販店・ドラッグストアの店頭抽選、ECサイトの先着販売、山崎蒸溜所のショップも入手を試みる先になりますが、販売価格や条件は店・回ごとに異なり、希望小売価格に近いとは限りません。福袋・ウイスキーくじは山崎12年を買える保証がないため、購入手段には数えません。どの経路も「お金を出せば買える」ものではありません。応募資格を事前にそろえられるかどうかで、確度が大きく変わります。

百貨店の抽選は「応募資格」が最初の関門

百貨店の抽選は、価格が希望小売価格に近い傾向がある一方、応募できる人が絞られます。過去の実例を2つ挙げます。どちらも終了済みの事例で、現在募集中の情報ではありません。

  • 高崎高島屋(2026年4月):山崎12年・白州・山崎の700ml各1本のセットを税込34,100円で抽選販売しました。応募は対象カードの会員に限られていました
  • 福岡三越(2025年):山崎12年700ml単品を税込16,500円で20点限定の抽選販売としました。アプリとカードの連携が応募条件でした

出典:高崎高島屋、福岡三越の各店が公式サイト・アプリで出した抽選告知(いずれも終了済み。2026年10月22日確認)

この2例から、注意点が2つ読み取れます。1つ目は、単品ではなく他銘柄とのセットになる場合があることです。セットを評価するときは、各銘柄の現行の希望小売価格をメーカーの商品ページで確認して合計し、セット価格と比べます。白州や山崎(年数表記なし)を飲む予定がなければ、割安に見えても予算は膨らみます。2つ目は、旧価格の時期の事例は今の価格と一致しないことです。福岡三越の税込16,500円は、前の章で触れた旧価格と同じ水準です。次回の抽選が同じ価格になるとは考えないでください。

カードの発行やアプリの連携には日数がかかることがあります。抽選告知を見てから準備しても、締め切りに間に合わない場合があります。よく使う百貨店があるなら、会員資格を先にそろえておくのが現実的です。

店頭抽選・先着販売・福袋の仕組みと落とし穴

  • スーパー・量販店・ドラッグストアの店頭抽選:店頭やアプリで応募し、当選後に指定期間内に来店して購入する形式が中心です。会員登録や受け取り店舗の指定が条件になることがあるため、受け取りに行ける店舗かどうかを応募前に確認します
  • ECサイトの先着販売:販売開始時刻にアクセスが集中します。会員登録・ログイン・支払い方法の登録を前日までに済ませておきます。送料と他商品との抱き合わせの有無を含めた総額を、税込17,600円と比べて判断します
  • 福袋・ウイスキーくじ:山崎12年の購入手段には数えません。中身は保証されません。候補にする場合は、山崎12年が入る確率ではなく、外れた場合に届く商品の価値で判断します。「最低限の中身でも払った額に見合うか」で買うかどうかを決め、当たりを前提にしないでください

山崎蒸溜所のショップは「見学のついで」と考える

蒸溜所のショップは「ウイスキー館見学」の予約が利用の前提です。在庫は流動的で、来場日時やコースによってはウイスキー自体を購入できません。予約・入場の条件は公式サイトで確認してください。予約が取れても、山崎12年の購入は保証されません。購入目的だけで遠方から訪れるのは避け、見学を主目的にしたうえで、買えれば幸運と考えるのが妥当です。訪日客を案内するときも、この順序で説明すると期待とのずれを防げます。

出典:サントリー 山崎蒸溜所の見学・ショップ案内(2026年10月22日確認)

経路事前に必要なもの価格の定価との近さ購入できる確度手間
百貨店の抽選対象カード会員資格、アプリ連携など近い傾向。ただしセット販売あり低い(数量限定・抽選)中〜大(資格取得、当選後の来店)
量販店などの店頭抽選会員登録、受け取り店舗の指定店ごとに異なる低い応募方法による。アプリ応募なら当選後の受け取り時に来店
ECの先着販売会員登録、決済情報の登録送料・抱き合わせ次第低い(時刻勝負)小〜中
山崎蒸溜所のショップウイスキー館見学の予約、来場—保証なし(日時・コースにより購入不可の場合あり)大

バー運営者が提供用の在庫を確保したい場合、抽選や先着は数量が少なく、継続的な仕入れ経路にはなりません。取引のある酒販店に入荷の見込みを確認し、提供価格は実際の請求額から算出してください。個人で買うなら、会員資格を先にそろえた百貨店の抽選と、準備を済ませた先着販売を併用すると、試行回数を増やせます。

店頭・通販で買う前の判断基準|いくらまでなら買うか、ラベルで何を確認するか

店頭や通販の価格は、現行の希望小売価格(税込換算17,600円)に対する比率で見ます。送料・手数料を含む税込総額を17,600円で割ると、希望小売価格に対する倍率が分かります。その比率で、上乗せがどの程度かを判断します。希望小売価格に拘束力はないので、上乗せがあるだけで不当とはいえません。判断の材料は、自分がその差額を払う理由を説明できるかどうかです。

上乗せ率で「買う・待つ」を分ける

総支払額÷17,600円総支払額(税込、送料・手数料込み)17,600円との差額判断の目安
1.1倍以内〜19,360円〜1,760円抽選を待つ手間と差額を比べ、予算内なら今買うかを決める
1.1〜1.5倍19,360〜26,400円1,760〜8,800円贈答の期日が決まっている、抽選の資格がないなど、待てない理由があれば検討する
1.5〜2倍26,400〜35,200円8,800〜17,600円自分用なら抽選を優先する。バーの提供用なら、1杯の原価(仕入れ額÷22)で採算が合うかを計算してから決める
2倍超35,200円〜17,600円〜抽選や先着販売を続ける。どうしても買う場合は、購入先の信頼性を先に確認する

倍率の区切りは客観的な「買ってよい価格」ではなく、判断を整理するための編集上の目安です。差額と総支払額の両方を見たうえで、予算に収まるか、期限までに必要か、抽選を待てるかで決めてください。

バーで提供する場合、1杯の原価は後の章の方法(仕入れ額÷22)で出し、30mlと60mlの提供価格をほかの在庫と同じ原価率で組めるかを確かめてください。抽選が外れたときに次の入手先がない銘柄では、1本の上乗せ額より、継続して仕入れられるかのほうが店の値付けに響きます。

ラベル・容量・税区分の確認

  • 年数表記:ラベルに「12」の数字があるかを見ます。年数表記のない「山崎」(ノンエイジ)は別の商品で、使用原酒の最低熟成年数を示していません。商品写真が小さい、または斜めから撮った出品では、「山崎」の文字だけで判断しないでください
  • 容量:700mlか50mlかを確かめます。50mlの希望小売価格は税別1,410円なので、50ml瓶に数千円の値が付いていれば明らかな上乗せです
  • 税区分:表示価格が税別か税込かを確かめます。税別16,000円と税込17,600円は同じ価格の別表記です
  • 度数:43%です。表記が異なる場合は、別の商品か別市場向けの可能性があります

セット販売は、1本あたりに割り戻して比べます。同梱品の現行希望小売価格をメーカーのページで確認し、セット価格から差し引きます。残った額が山崎12年1本の実質価格です。飲む予定のない同梱品が含まれる場合は、その分を差し引かずに、セット総額をそのまま山崎12年1本の価格とみなすほうが実態に近くなります。

フリマアプリ・個人間取引で確かめられないこと

個人間取引の問題は、真贋だけではありません。瓶の外から確かめられない点が多いことも問題です。

  • 保管状態:直射日光や高温の場所に置かれていたかは、写真では分かりません。光と熱は香りの劣化を早め、栓の傷みにもつながります
  • 開栓・詰め替え:封の状態だけでは、一度開けて別の液体を詰め直したかを確実には見抜けません
  • 液面の高さ:同じ商品のほかの瓶より液面が低ければ、開栓や長期保管による目減りが疑われます。ただし、液面が正常でも中身は保証されません
  • 空き瓶の流通:空き瓶や化粧箱だけが売買されています。中身を詰め直して再販売する手口の材料になり得ます

中身が本物だとしても、品質が保たれているかは確かめられません。贈答用に買うなら、返品や問い合わせの窓口がある販売店を選ぶほうが安全です。訪日客から購入先を聞かれた場合も、個人出品は勧めず、店舗や百貨店を案内してください。

「定価以下」をうたう販売への警戒

希望小売価格は基準にすぎません。そのため、価格が低いことだけで偽物とはいえず、価格が定価どおりであることも本物の証明になりません。旧価格の時期に仕入れた在庫を当時の価格で売る店もあります。一方で、相場より大幅に安い通販サイトでは、次の3点を確認してください。運営者の所在地と連絡先が書かれているか。支払い方法が前払いの銀行振込だけに限られていないか。商品写真に「12」の表記と容量がはっきり写っているか。1つでも確認できない場合は、価格が魅力的でも買わない判断が妥当です。

なぜ山崎12年は定価で出回りにくいのか|年数表記と原酒・樽から考える

ウイスキーのイメージ写真

山崎12年が定価で出回りにくい理由は、需要の大きさだけではありません。年数表記のあるモルトウイスキーは、出荷できる量が十数年前の仕込みと熟成の結果で決まります。そのため、需要に合わせて供給をすぐに増やせない構造があります。

「12年」が供給を制約する仕組み

「12年」は、使用原酒のうち最も若いものの樽熟成年数です。年数表記の規則上、12年を超える原酒を配合することもでき、その場合はより長期の在庫も消費します(山崎12年の配合年数の内訳は非公表)。短期的な増産を制約するのは、12年以上熟成した使用可能な原酒の在庫です。樽詰めした量がそのまま出荷できる量になるわけではなく、熟成中の蒸発(エンジェルズシェア:樽の中で年々揮発して減る分)、品質による樽の選別、他製品への配分、将来に向けて在庫を残す方針、瓶詰め量なども関わります。これらの数量は公表されていません。確かなのは、今年増産した原酒が12年表記の製品に使えるのは、早くても12年後だということです。

3種類の樽と、ブレンダーが組み合わせる意味

サントリーが使用を明示している原酒は、次の3種類の樽で熟成したものです。樹種によって木材から溶け出す成分が異なり、香味の方向も変わります。樽に以前入っていた酒(前歴)も、香味に影響します。

樽樹種の特徴香味の傾向
ホワイトオーク樽北米産オーク。バニリンやウイスキーラクトンが出やすいバニラ、ココナッツ、甘い木香
スパニッシュオーク樽欧州産オーク(主にコモンオーク)。アメリカンオークよりタンニン(渋みのもとになるポリフェノール)が多い樹種からは渋みと色づきが出やすい。シェリーで味付け(シーズニング)した樽が多く、ドライフルーツや濃い色調はシェリー由来の要素も大きい
ミズナラ樽日本産のオーク。樽材に使える太さに育つまで長い年月がかかり、液漏れしやすく扱いが難しい長期熟成で白檀や伽羅にたとえられる香木の香り

「スパニッシュオーク」は樽材の樹種を、「シェリー樽」はシェリーを入れていた前歴を指す、別の概念です。現在ウイスキーの熟成に使われるシェリー樽は、ボデガ(シェリーの熟成庫)で長年使われた古樽ではなく、ウイスキー用に組んだ樽へシェリーを一定期間入れてなじませた(シーズニングした)樽が主流です。サントリーも、現在のシェリー樽にはホワイトオーク材が多いと説明しています。山崎12年のスパニッシュオーク樽の前歴や、シェリー樽の使用比率は非公表です。

ブレンダーは、これらの原酒を組み合わせて毎回同じ香味の設計に仕上げます。サントリーが公表しているのは使用する樽の種類と香味上の役割までで、各樽原酒の配合比率や、個別の原酒の在庫が出荷量に与える影響は公表されていません。言えるのは、必要な熟成原酒を短期間で増やせないため、供給には制約があるということです。ファーストフィル(その樽で初めてウイスキーを熟成)とリフィル(再使用)の比率や、樽内部の焼き方(チャー・トースト)の仕様は公表されていません。

16基のポットスチルと還流

山崎蒸溜所は、形の異なる16基のポットスチルを使い分けています。首の付け根が膨らんだバルジ型は、上がった蒸気が冷やされて釜に戻る「還流」が増えやすく、軽やかでクリーンな原酒になりやすい傾向があります。ストレート型は還流が少なくなりやすく、重みのある原酒に傾きます。ただし、形状は還流量を左右する要素の一つにすぎません。実際の酒質は、ラインアーム(スチル上部から冷却器へ蒸気を送る管)の角度が上向きか下向きか、加熱方式(直火か蒸気による間接加熱か)、蒸溜の速度、ミドルカット(ニューメイク=蒸溜したての原酒として取り分ける中留の範囲)の幅と組み合わせて決まります。

サントリーが公表しているのは、形状の異なるスチルの使い分けと直火・間接加熱の併用、発酵槽に木桶とステンレス槽を併用していることまでです。一般に、木桶では酵母に加えて乳酸菌などの働きが発酵の後半に加わりやすく、香味の複雑さにつながるとされます。山崎のカットポイント、発酵時間、蒸溜速度は非公表です。1つの蒸溜所で性格の違う原酒を造り分けられることが、多様な樽と組み合わせる前提になっています。

公表情報で確認できないこと

  • ピート:蒸溜所ではピートを焚いた麦芽の原酒も造っています。ただし山崎12年への配合の有無とフェノール値(ppm)は非公表です。蒸溜所で造っている事実から、製品の配合までは推定できません
  • 冷却濾過:有無は非公表です。43%という度数だけでは判断できません
  • 着色:表示基準上はカラメル着色が認められますが、山崎12年での使用有無は非公表です。色の濃さからは判断しません

「ジャパニーズウイスキー」表示基準とスコッチの法的定義の違い

項目ジャパニーズウイスキー表示基準スコッチ(SWR 2009)
性格日本洋酒酒造組合の自主基準英国の法令
原材料麦芽、穀類、日本国内で採水した水に限る。麦芽は必ず使用水と大麦麦芽。ほかの穀類は全粒のみ加えられる
製造国内の蒸溜所での糖化・発酵・蒸溜スコットランドの蒸溜所での糖化・発酵・蒸溜。糖化は麦芽自体の酵素のみ、発酵は酵母の添加のみ
蒸溜時の度数留出時95%未満94.8%未満
貯蔵700リットル以下の木製樽で国内3年以上700リットル以下のオーク樽でスコットランドにおいて3年以上
瓶詰め地日本国内シングルモルトはスコットランド国内(2012年の改正以降)
最低度数瓶詰め時40%以上40%以上
着色色調の微調整のためのカラメル使用を認める添加できるのは水とプレーンカラメル(E150a)のみ

サントリーは、山崎12年をこの基準に合致する製品としています。ただし基準そのものは業界の自主ルールで、法律による定義ではありません。訪日客から「ジャパニーズウイスキーの証明」を尋ねられた場合は、メーカーが基準への合致を示している製品だと説明するのが正確です。

受賞と設備刷新は品薄の原因か

山崎12年は、2024年のインターナショナル・スピリッツ・チャレンジで全部門最高賞「シュプリーム チャンピオン スピリット」を受賞しました。また、蒸溜所は2023年に設備と一部の建物を刷新しています。ただし、これらが品薄や価格に与えた影響を示す公表情報はありません。長期熟成が必要なため供給をすぐには増やせないことは確かですが、需要の伸び、出荷配分、流通在庫が現在の品薄にそれぞれどの程度寄与しているかは公表されていません。刷新後に仕込んだ原酒が12年表記の製品に使えるのは、早くても刷新から12年後です。そのため、近いうちに入手しやすくなると見込んで購入を先延ばしする根拠にはなりません。

外国人への贈り物・案内、バーでの提供で押さえる実務

山崎12年は、贈る相手が海外にいる場合も、店で外国人客に案内する場合も、バーで提供する場合も、「現行品だが入手しにくい」という前提から考えます。そのうえで、相手の国の規制、蒸溜所の条件、実際の仕入れ額という3つの事実を確かめれば、判断を誤りにくくなります。

訪日外国人・海外在住の知人に贈る場合

贈る日が決まっているなら、抽選の当選を待つ計画は立てないでください。前の章で触れた上乗せ率の目安を使い、期日までに確実に買える店から選ぶほうが現実的です。海外では化粧箱の有無や傷みも評価の対象になりやすいため、贈答用は箱付きで、ラベルに「12」と43%の表記がはっきりある瓶を選びます。

持ち帰りや発送の前には、次の点を相手に確認してもらいます。酒類の持ち込みに関する本数・容量の上限や免税範囲は、国・地域ごとに違い、改定もされます。そのため、ここでは数値を挙げません。

  • 持ち込み規制と免税範囲:渡航先の税関当局の公式案内
  • 機内への持ち込みと預け入れ:利用する航空会社と空港の案内。液体物の扱いは保安検査の前に買ったか、後に買ったかで変わります
  • 海外発送:郵便・国際宅配の各社が酒類を引き受けるか、引き受ける場合の条件を事前に問い合わせます
  • 受け取る側の課税:相手国で関税や酒税がかかるかを、相手自身に確認してもらいます

店頭で外国人客に購入先を聞かれたとき

案内するときは、「終売ではない」「常に買えるわけではない」「蒸溜所でも確実ではない」の3点を分けて伝えます。蒸溜所のショップについては、2章の条件を踏まえて伝えてください。英語で伝える場合は、次のように言えます。

  • It's a current product, but supply is very limited.
  • The distillery shop requires a tour reservation, and even with one, purchase is not guaranteed.
  • Department store lotteries usually require a membership card, so they may not be practical for short-stay visitors.

個人出品は勧めず、返品や問い合わせの窓口がある店舗を案内します。在庫がない場合も、年数表記のない「山崎」を同じ商品のように勧めるのは避け、別の商品であると説明してください。

バーの値付け:杯数と原価の出し方

700mlを30mlのシングルで割ると約23杯分です。ただし、端数の10mlや、テイスティングで注ぐ分、こぼれる分を考えると、22杯で原価を見積もっておくのが安全です。計算の起点は希望小売価格ではなく、手元の請求額です。

項目計算式
シングル1杯の原価実際の仕入れ額 ÷ 22
ダブル1杯の原価シングル原価 × 2
提供価格1杯原価 ÷ 自店の目標原価率

次の仕入れ値が読めない銘柄では、安く入った回の原価で価格を固定しないでください。トゥワイスアップ(ウイスキーと常温の水を1対1で合わせ、氷を入れない飲み方)は、原酒30mlに水30mlで組めば、原酒の原価はシングル原価と同じです。ハイボールも原酒30mlで組む場合は、原酒の原価=シングル原価として計算し、炭酸水と氷の分を別に加えます。

50mlミニチュア瓶の使い分け

1章の表のとおり、50ml瓶はml単価が約2割高くなります。量あたりの割安さではなく、次のような用途で選ぶと割高分に見合います。

  • 試飲用:自分の好みに合うかを、700mlを買う前に確かめます
  • 贈答の詰め合わせ:海外の相手に軽い荷物で渡したいとき、他の銘柄と組み合わせます
  • 味見:贈答用の700mlを開けずに、香味を自分で確かめておきます
  • バー:ボトルを開けずに少量を出したいときや、飲み比べの1杯目として出します

開栓後の保管

開栓後に香りが変わる主な原因は、残量が減って瓶の中の空気が増え、揮発しやすい香気成分が抜けたり酸化したりすることです。瓶は立てて保管し、高アルコールに栓が触れ続けないようにします。直射日光と高温も避けてください。

  • 半分以上残っている:栓を確実に閉め、冷暗所に立てて保管します
  • 3分の1を切った(目安):空気が入る余地の少ない、容量の合ったガラスの小瓶に移し替えます
  • バーで出数が少ない:開栓日を瓶に書き、香りの変化を定期的にノージング(香りを確かめること)して、提供を続けるかを判断します

山崎12年の定価・入手に関するよくある質問

ウイスキーのイメージ写真

過去の抽選に今から応募できますか。最新の情報はどこで分かりますか

検索で見つかる過去の抽選告知には応募できません。前の章で挙げた高崎高島屋(2026年4月)と福岡三越(2025年)の例も、すでに終了しています。最新の募集は、各販売店の公式情報で次の順に確認します。

  1. よく使う百貨店・量販店の公式サイト、アプリのお知らせ、会員向けメールを、情報源として決めておきます
  2. 告知を見つけたら、まず応募期間が今日以降かを確かめます
  3. 応募条件(カード会員資格、アプリ連携、受け取り店舗)を満たせるかを確認します
  4. 単品かセットかを確認し、販売価格が税込17,600円とどれだけ離れているかを見ます

SNSや転載ページの情報は、告知日が分からないことが多くあります。応募の根拠にはせず、必ず販売店の公式情報で確認してください。

見学当日に山崎12年が買えなかった場合、蒸溜所周辺や京都・大阪で探す価値はありますか

周辺の酒販店や京都・大阪の店に在庫が多いことを示す公表情報はありません。探すなら、店を回る前に予算の上限を決め、3章の目安で総支払額と17,600円との差額を確かめてから判断してください。上限を超えるなら、その場で買わず、帰宅後に応募できる百貨店の抽選などに切り替えるのが現実的です。訪日客の場合、出国後は国内の抽選に応募しにくいため、滞在中に買うかどうかを予算と日程で割り切って決めるよう伝えます。

並行輸入品・海外流通品(表記が異なる瓶)を国内で見かけたら、何を確認しますか

並行輸入であることだけで偽物とはいえませんが、国内向けの現行品と同じ条件とは限りません。次の点を1つずつ確かめます。

  1. 容量:海外市場では700ml以外の容量で流通する場合があります。容量が違うときは、1mlあたりの価格にそろえて税込17,600円(700ml)と比べます
  2. 度数:国内の現行品は43%です。異なる場合は別市場向けか別の商品です
  3. 輸入者の表示:海外から輸入された酒類には、輸入者の名称などを記した日本語の表示が付きます。表示がない、または販売者が仕入れ経路を説明できない場合は購入を見送ります
  4. 問い合わせ窓口:不具合があったときに販売店が対応するかを、購入前に確認します

贈答で領収書・のし・化粧箱が必要なとき、抽選品で対応できますか

対応は販売店と販売回ごとに異なります。告知に化粧箱の有無、のし・包装の可否、領収書の発行が書かれていれば、その条件で判断します。書かれていない場合は、応募前に販売店へ問い合わせてください。当選後に対応できないと分かっても、代わりの1本を期日までに用意できるとは限りません。のしや領収書が必須で贈る日が決まっているなら、抽選は補助にとどめ、条件を満たせる店での購入を主にします。その場合の価格判断には、3章の目安を使います。

旧価格の時期に仕入れた在庫を持つバーは、提供価格を見直すべきですか

手元の1本の原価は実際の仕入れ額÷22のまま変わりませんが、次の1本は現行価格以上で仕入れる可能性があります。たとえば税込16,500円で仕入れた1本の1杯原価は750円、現行の希望小売価格と同じ税込17,600円で仕入れれば800円です。上乗せのある仕入れが続けば、差はさらに広がります。残りの在庫を売り切る前に、次の仕入れで見込む額で1杯原価を計算し直し、目標原価率で提供価格を出しておくと、在庫が入れ替わった時点で急に値上げせずに済みます。

50ml瓶と700ml瓶で、香味に差は出ますか

容量によって中身を変えているという公表情報はありません。差が出るとすれば、保管と開栓後の条件です。700mlは飲み進めるにつれて瓶内の空気が増え、香りの変化が進みます。50mlはシングル1杯と少しで飲み切れるため、開栓後の空気の影響をほとんど受けません。一方、どちらも未開栓のまま光や熱にさらされた期間は瓶ごとに違います。700mlを買う前に50mlで好みを確かめるなら、開けた当日に、普段と同じグラスと温度で確かめてください。

よくある質問

手に入れた1本の香りは、どんなグラスと手順で確かめればよいですか

口がすぼまったチューリップ型のテイスティンググラスを使います。ボウルの中で立ち上がった香気成分が口元に集まるため、ホワイトオーク樽由来のバニラ香や、ミズナラ樽の長期熟成原酒に由来する香木のような香りを拾いやすくなります。まずストレートでノージングし、次に常温の水を数滴ずつ加え、加えるたびに香りを確かめます。43%のままではアルコールの刺激が先に立ち、果実や木の香りが隠れることがあるためです。入れすぎると元に戻せないので少量ずつ足し、香りが開いたと感じた水の量を控えておいてください。同じ濃さを再現でき、買い足すかどうかを決める基準にもなります。

未開栓のまま長く置いておけば、瓶の中で熟成が進みますか

進みません。熟成は、樽の中で木材の成分が溶け出し、樽を通して空気とやり取りすることで進みます。瓶詰め後は年数表記も変わらず、12年は12年のままです。一方で、未開栓でも光や熱で香りは劣化し、栓も傷みます。保管するなら直射日光と高温を避け、瓶を立てて置いてください。「寝かせて価値を上げる」目的で買うのは勧めません。買う本数は、飲む予定と時期を決めてから決めてください。

旧価格のころに買った瓶と現行価格の瓶で、味は違いますか

価格改定に合わせて香味の設計を変えたという公表情報はありません。改定は価格の変更で、中身の違いを示すものではありません。ただし原酒は樽ごとに個性が異なるため、ブレンダーが同じ香味を目指して組み合わせても、ボトリング時期による小さな差は生じえます。両方が手元にあれば、同じグラスと温度で並べてノージングすると違いを確かめられます。

出典・参考にした情報

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。 お酒は適量を楽しみ、飲酒運転は絶対におやめください。